JP2008195971A - サーメット - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い耐欠損性と耐摩耗性を有する切削工具に適するサーメットを提供する。
【解決手段】 Tiを主成分とする周期表第4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物からなる硬質相2をCoまたはNiを主成分とする結合相3で結合したサーメット1であって、硬質相2が、TiCNを主成分とする第1硬質相4と、Wを必須として含む周期表第4、5および6族金属の少なくとも1種とTiとの複合炭窒化物固溶体の第2硬質相5とからなり、第1硬質相4中のN含有比率が第2硬質相5中のN含有比率よりも多く、第1硬質相4中のC含有比率が第2硬質相5中のC含有比率よりも多く、かつ第2硬質相5中のW含有比率は最小値Wが最大値Wの50%以上の範囲で均一であるサーメット1である。
【選択図】 図2

Description

本発明は切削工具や耐摩耗部材等に適するサーメットに関する。
現在、切削工具や耐摩部材、摺動部材といった耐摩耗性や摺動性、耐欠損性を必要とする部材としてTiを主成分とするサーメットが広く使われている。サーメットは超硬合金に比べて熱伝導率が低く、切削時に切刃に熱がこもって高温となり切刃の周辺との温度差ができやすい結果、熱衝撃によって切刃付近にクラックが発生してしまう可能性があった。
そこで、例えば特許文献1には、TiCNの(CN)についてのNの比が0.25以上のTiCN粒子(I型粒子)と、周辺部にTiを多く含むとともに芯部にWを多く含むTiとWの含有比率の傾斜が連続的な有芯粒子(II型粒子)とからなる硬質(分散)相を主体とするサーメットが開示され、サーメットの優れた機械的な耐摩耗性および耐熱溶着性能を損なうことなく、機械的な耐欠損性、耐熱衝撃性および耐塑性変形性を向上できることが提案されている。
また、特許文献2では、硬質相が、0.4≦(N/(C+N))≦0.95のTiCNの芯部の周囲をTiとTi以外の周期表第4、5、6族金属の1種以上の複合炭窒化物固溶体の周辺部が囲んだ第1硬質相と、前記周辺部のみからなる第2硬質相とで構成されたサーメットが開示され、耐摩耗性、耐欠損性および耐熱衝撃性が向上することが記載されている。
特開平2−190438号公報 特開2005−200668号公報
しかしながら、上記特許文献1の構成からなるサーメットのように中心部と周辺部で組成が傾斜した粒子を分散させると、サーメットに熱が発生した際に傾斜粒子の中心部と周辺部で熱膨張挙動が異なるので傾斜粒子内での熱の伝達が遅くなって熱伝導性が低く、耐熱衝撃性はまだ不十分であるという問題があった。これは従来の硬質相が有芯構造をなす粒子にて構成された従来のサーメットにおいても同じであり、サーメットの熱伝導率が低いということが問題であった。そして、この問題は特に引用文献2のようにTiCN粒子に比べて固溶体粒子の粒径が大きい場合に顕著であり、さらなる耐熱衝撃性の向上が求められていた。
そこで、本発明のサーメットは上記問題を解決するためのものであり、その目的は、高い熱伝導性によって耐熱衝撃性に優れた高い耐摩耗性と耐欠損性を有するサーメットを提供することである。
本発明のサーメットは、Tiを主成分とする周期表第4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物からなる硬質相をCoまたはNiを主成分とする結合相で結合したサーメットであって、前記硬質相が、TiCNを主成分とする第1硬質相と、Wを必須として含む周期表第4、5および6族金属の少なくとも1種とTiとの複合炭窒化物固溶体の第2硬質相とからなり、前記第1硬質相中のN含有比率が前記第2硬質相中のN含有比率よりも多く、前記第2硬質相中のC含有比率が前記第1硬質相中のC含有比率よりも多く、かつ前記第2硬質相中のW含有比率は最小値が最大値の40%以上の範囲で均一であることを特徴とする。
ここで、上記構成において、前記第1硬質相中のN含有比率は最小値が最大値の50%以上の範囲で均一であることが望ましい。
また、前記第2硬質相中の周期表第4、5および6族金属元素総量に対するW含有比率の最小値が10〜20質量%であることが望ましい。
さらに、内部における断面組織を観察した場合に、前記第1硬質相の平均粒径をaとし、前記第2硬質相の平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜8であることが望ましい。
また、内部における断面組織を観察した場合に、前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が1.5〜5であることが望ましい。
さらに、上記構成において、表面近傍における断面組織を観察した場合に、前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が内部におけるAとBとの比率(B/A)よりも大きい表面領域が存在することが望ましい。
また、前記表面領域が30〜300μmの厚さで存在することが望ましい。
本発明のサーメットは、TiCNを主成分とする第1硬質相中のN含有比率が、WとTiとが必須の複合炭窒化物固溶体の第2硬質相中のN含有比率よりも多く、前記第2硬質相中のC含有比率が前記第1硬質相中のC含有比率よりも多く、かつ前記第2硬質相中のW含有比率は最小値が最大値の40%以上の範囲で均一であることが大きな特徴である。すなわち、第2硬質相が、TiNよりも熱伝導率のよいTiC、およびTiCよりも熱伝導率のよいWCを含むとともに、組成が均一で粒子全体が熱伝導性の向上に寄与することによって、サーメットの熱伝導性を高めて耐熱衝撃性を改善することができる。
ここで、上記構成において、前記第1硬質相中のN含有比率は最小値が最大値の50%以上の範囲で均一であることが、第1硬質相の硬度を維持してサーメットの硬度および耐摩耗性を向上できる点で望ましい。
また、前記第2硬質相中の周期表第4、5および6族金属元素総量に対するW含有比率の最小値が10〜20質量%であることが、第2硬質相の熱伝導性を高めてサーメットの耐熱衝撃性を向上できる点で望ましい。
さらに、内部における断面組織を観察した場合に、前記第1硬質相の平均粒径をaとし、前記第2硬質相の平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜8であること、特に内部における前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が1.5〜5であることが、サーメットの熱伝導性を高めて耐熱衝撃性を高めることができるために望ましい。
さらに、上記構成において、表面近傍における断面組織を観察した場合に、前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が前記内部におけるAとBとの比率(B/A)よりも大きい表面領域が存在することが、特に切削時に温度の上がりやすいサーメット表面近傍における熱伝導性を高めてサーメットの耐熱衝撃性を向上できるとともに、サーメット表面領域における耐摩耗性が向上するために望ましい。
また、前記表面領域が30〜300μmの厚さで存在することが、サーメット表面近傍における熱伝導性を高めることができるとともにサーメット表面付近での靭性を高めてサーメットの耐熱衝撃性を向上させるために望ましい。
本発明のサーメットの一例について、図1の(a)内部、(b)表面近傍についての走査型電子顕微鏡写真、および図2のサーメット1の第2硬質相5を含む要部についてのオージェ分析における元素含有比率分布を基に説明する。
本発明のサーメット1は、Tiを主成分とする周期表第4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物からなる硬質相2をCoまたはNiを主成分とする結合相3で結合してなり、図1(a)に示すように、硬質相2が、TiCNを主成分とする第1硬質相4と、Wを必須として含む周期表第4、5および6族金属の少なくとも1種とTiとの複合炭窒化物固溶体の第2硬質相5とからなり、第1硬質相4中のN含有比率が第2硬質相5中のN含有比率よりも多く、第2硬質相5中のC含有比率が第1硬質相4中のC含有比率よりも多い構成されている。そして、図2に示すように、第2硬質相5中のW含有比率の最小値Wが第2硬質相5中のW含有比率の最大値Wの40%以上(W≧W×0.40)の範囲で均一となっている。
これによって、第2硬質相5は熱伝導率のよい化合物をより多く含むとともに組成が均一で粒子全体が熱伝導性の向上に寄与することから、サーメット1の熱伝導性を高めて耐熱衝撃性を改善することができる。すなわち、従来のサーメットでは、図3に示すように、Wを含有する硬質相においてはW含有比率の最小値Wが最大値Wの40%より低くて(W<W×0.40)大きな差があるので、サーメットの耐熱衝撃性が悪いのである。第2硬質相5におけるW含有比率は最小値Wが最大値Wの50%以上であることが特に望ましい。
ここで、断面組織を走査型電子顕微鏡にて観察した場合に、第1硬質相4は黒色の粒子として観察される。一方、第2硬質相5は灰白色の粒子、または白色の芯部の周辺に灰白色の周辺部が存在する有芯構造からなる粒子として観察される。なお、上記灰白色とは、写真撮影の条件によって白色に近い色調に見えることもあり、灰色に近い色調に見えることもある。ここで、第1硬質相4はTiCNからなる黒色粒子であるがCoやNiを含有していても良い。また、第1硬質相4の外周には、灰白色の周辺部が存在して有芯構造をなしていてもよい。
なお、図2に示すように、第1硬質相4中のN含有比率は最小値Nが最大値Nの50%以上の範囲で均一であることが、第1硬質相4の硬度を維持してサーメット1の硬度および耐摩耗性を向上できる点で望ましい。サーメット1の耐塑性変形性を高めるためには、第1硬質相4中のN含有比率の最小値Nが最大値Nの75%以内の範囲で均一であることが望ましい。
また、第2硬質相5中の周期表第4、5および6族金属元素総量に対するW含有比率の最小値が10〜20質量%であることが、サーメット1の熱伝導性が向上して耐熱衝撃性が向上するため望ましい。W含有比率の最小値の特に望ましい範囲は14〜20質量%である。
さらに、図1(a)に示すように、サーメットの内部における断面組織を観察した場合に、第2硬質相5の平均粒径が第1硬質相4の平均粒径よりも大きいこと、望ましくは内部における第1硬質相4の平均粒径をaとし、第2硬質相5の平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜8であることが、第2硬質相5が熱伝播に有効に寄与してサーメット1の熱伝導率が向上し、サーメット1の耐熱衝撃性が向上する点で望ましい。aとbとの比率(b/a)の望ましい範囲はサーメット1の耐欠損性を維持できる点で3〜7である。
なお、本発明における硬質相2の粒径の測定は、CIS−019D−2005に規定された超硬合金の平均粒径の測定方法に準じて測定する。この時、硬質相2が有芯構造からなる場合については、芯部と周辺部を含めた周辺部の外縁までを1つの硬質相としてその粒径を測定する。
また、図1(a)のサーメット1の内部についての断面組織に示すように、第2硬質相5の平均面積が第1硬質相4の平均面積よりも大きいこと、望ましくは内部における硬質相2全体に対する第1硬質相4が占める平均面積をAとし、第2硬質相5が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が1.5〜5であることが、第2硬質相5が熱伝播により有効に寄与してサーメット1の熱伝導率が向上し、サーメット1の耐熱衝撃性が向上する点で望ましい。
また、図1(b)のように、サーメット1の表面近傍における断面組織を観察した場合、サーメット1の表面に、硬質相2全体に対する第1硬質相4が占める平均面積をAとし、第2硬質相5が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が前記AとBとの比率(B/A)よりも大きい表面領域8が存在することが、サーメット1の表面近傍における熱伝導性を高めてサーメット1の耐熱衝撃性を向上させるために望ましい。比率(B/A)の特に望ましい範囲は3〜10であり、比率(B/A)/比率(B/A)の望ましい範囲は1.2〜2.3である。
なお、表面領域8においては、表面領域8における第2硬質相5の平均粒径をbとしたとき、内部における第2硬質相5の平均粒径bとの比率(b/b)が1.1〜2であることが、表面領域8における第2硬質相5が熱伝播に有効に寄与してサーメット1の熱伝導率が向上し、サーメット1の耐熱衝撃性が向上する点で望ましい。
さらに、表面領域8が30〜300μmの厚さで存在することが、サーメット1の表面近傍における熱伝導性を高めてサーメット1の耐熱衝撃性を向上させるために望ましい。なお、本発明におけるサーメット1の内部における断面組織を観察する場合には、サーメット1の表面からの深さが1000μm以上の領域において観察する。
また、サーメット1に含有される硬質相をなすTiを主成分とする周期表第4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物の合計含有比率は70〜96質量%であることが望ましく、特に耐摩耗性の向上の点で88〜96質量%であることが望ましい。一方、結合相3の含有比率は4〜12質量%であることによって、基体の硬度および靭性のバランスに優れたものとなる。また、結合相としては、鉄族金属の総量に対してCoを65質量%以上含有することが切削工具の耐熱衝撃性を高めるために望ましい。なお、サーメット1の焼肌面が平滑な面となるようにサーメット1の良好な焼結性を維持するためには、鉄族金属としてNiを5〜50質量%、特に10〜35質量%の割合で含有せしめることが望ましい。
(製造方法)
次に、上述したサーメットの製造方法について説明する。
まず、平均粒径0.1〜1.2μm、特に0.2〜0.9μmのTiCN粉末と、平均粒径0.1〜2μmのTiN粉末、上述した他の金属の炭化物粉末、窒化物粉末または炭窒化物粉末のいずれか1種と、Co粉末やNi粉末とを混合した混合粉末を調整する。
本発明によれば、上記TiCN原料粉末中の炭素(C)と窒素(N)との含有比率の合計に対して、N含有比率(CN比)をモル比で0.45〜0.50の範囲に、WC原料粉末中に含有されるC量を6.30〜6.40質量%の範囲に制御することが望ましく、このC量とN量の範囲に制御することによって、サーメット1中の硬質相2の構成を上記範囲に精度良く制御することができる。TiCN原料粉末中のCN比のさらに望ましい範囲は0.47〜0.50であり、WC原料粉末中に含有されるC量のさらに望ましい範囲は6.31〜6.35質量%である。
さらに、鉄族金属粉末、すなわちCo粉末やNi粉末の平均粒径は2μm以下、特に0.05〜1.5μmであることがサーメット基体の焼結性を高めるために望ましい。さらには、結合金属原料粉末として、CoおよびNiを所定の比率で含有する固溶体粉末を用いることが、さらに焼結性を高める点で望ましい。なお、他の原料粉末の平均粒径は0.05〜3μmであることが望ましい。
そして、この混合粉末にバインダを添加して、プレス成形、押出成形、射出成形等の公知の成形方法によって所定形状に成形する。
次に、本発明によれば、下記の条件にて焼成することにより、上述した所定組織のサーメットを作製することができる。焼成条件としては、(a)1050〜1250℃の焼成温度Aまで5〜15℃/分で昇温した後、焼成温度Aから1275〜1375℃の焼成温度Bまでを0.1〜3℃/分で昇温し、(b)ついで窒素分圧30〜2000Paの雰囲気下にて焼成温度Bから1550〜1630℃の焼成温度Cまで4〜15℃/分で昇温して、(c)焼成温度Cにて窒素分圧30〜2500Paの雰囲気下で、65〜100分間焼成した後、(d)窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)の不活性ガスを分圧80k〜900kPaのガス圧に保持した雰囲気下で少なくとも1000℃までを200〜30℃/分の降温速度で冷却する条件で常温まで冷却する工程にて焼成する。
本発明によれば、上記原料を用いるとともに、焼成時の昇温、焼成、冷却パターン、および所定量の不活性ガスを導入するタイミングを制御することによって上述した組織のサーメット1を作製することができる。すなわち、調合原料中のN含有量およびC含有量を制御して、上記(a)(b)工程で焼結の際発生するガスや液相の発生量を十分に制御し、(c)工程でW元素等の各金属元素の固溶を十分に促進して第1硬質相4と第2硬質相5を生成し、(d)工程で第2硬質相5中のTiおよびW元素の分布を均一に保った状態を維持することができる。
そして、所望により、サーメット1の表面に被覆層を成膜する。被覆層の成膜方法として、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の物理蒸着(PVD)法が好適に適応可能である。
表1に示すC量とN量(表1にC量とN量とのモル比をCN比として示した。)からなるとともに、マイクロトラック法による測定で平均粒径(d50値)が0.6μmのTiCN粉末、平均粒径1.1μmで表1のC量のWC粉末、平均粒径1.5μmのTiN粉末、平均粒径2μmのTaC粉末、平均粒径1.5μmのNbC粉末、平均粒径1.8μmのZrC粉末、平均粒径1.0μmのVC粉末、平均粒径2.4μmのNi粉末、および平均粒径1.9μmのCo粉末を表1に示す割合で調整した混合粉末をステンレス製ボールミルと超硬ボールを用いて、イソプロピルアルコール(IPA)を添加して湿式混合し、パラフィンを3質量%添加、混合した後、200MPaでCNMG120408の工具形状にプレス成形し、表2に示す焼成条件で焼成した。
得られたサーメットについて、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、10000倍の写真にて、表面および内部のそれぞれ任意5箇所について市販の画像解析ソフトを用いて8μm×8μmの領域で画像解析を行い、硬質相の存在状態、表面領域の存在を確認するとともにこれらの平均粒径を測定し、これらの比率を算出した。結果は表3または表4に示した。
また、オージェ電子分光分析法(AES)の線分析によってサーメット内部の第2硬質相の中心部と外周部の組成について定量した。なお、オージェ電子分光分析法(AES)の測定条件は、加速電圧は20KeV、試料電流10nA、試料傾斜角30度として測定を行った。そして、W含有比率の分布、第1硬質相と第2硬質相中のCとNの含有比率を確認した。このとき、オージェ分析におけるTiのエネルギー390eV付近についてはN元素のピークと重なって正確な測定ができないために、N元素が含有される可能性がある場合にはこのピークは算出に用いるピークから外してTiのエネルギー421eV付近のピークを用いてTiの含有比率分布を測定した。そして、本発明によれば、エネルギー390eV付近のTiとNのピークからエネルギー421eV付近のTiのピークを差し引いた分についてNの含有比率分布として計算した。さらに、周期表第4、5および6族金属の総量に対するWの含有比率の比率を算出した。なお、比率の算出については任意の第2硬質相5個についての平均値をとった。結果は表3に示した。
次に、得られたサーメット製の切削工具を用いて以下の切削条件にて切削試験(耐摩耗性評価試験、耐欠損性評価試験)を行った。結果は表4に併記した。
(耐摩耗性評価試験)
被削材:SCM435
切削速度:250m/min
送り:0.25mm/rev
切込み:1.0mm
切削状態:湿式(水溶性切削液使用)
評価方法:摩耗量が0.2mmに達するまでの時間
(耐欠損性評価試験)
被削材:SCM440H
切削速度:150m/min
送り:0.25mm/rev
切込み:1.5mm
切削状態:乾式
評価方法:欠損するまでの衝撃回数
表1〜4より、焼成工程(c)での焼成温度が1550℃より低い試料No.12では、第1硬質相および第2硬質相が形成されず単純な有芯粒子のみとなって耐摩耗性が低いものであった。逆に、焼成工程(c)での焼成温度が1630℃を越えた試料No.13および焼成温度(c)での保持時間が100分より長い試料No.17では、第1硬質相中のN含有比率が第2硬質相中におけるN含有比率よりも小さくなって、耐摩耗性および耐欠損性(耐熱衝撃性)とも劣るものであった。また、焼成温度(c)でのガス圧が500Paより低い試料No.14および焼成工程(b)(c)において真空中で焼成した試料No.18では、焼成中に金属成分が揮発して第2硬質相中のW含有比率の最小値が最大値の40%に満たない大きな分布ができ、降温時の冷却速度が30℃/分よりも遅い試料No.15でも第2硬質相中のW含有比率の最小値が最大値の40%に満たない大きな分布ができていずれも耐摩耗性、耐欠損性(耐熱衝撃性)が悪くなった。さらに、焼成温度(c)での保持時間が65分より短い試料No.16では第2硬質相中のW元素の固溶が十分でなくて第2硬質相中のW含有比率の最小値が最大値の40%に満たない大きな分布ができていずれも耐摩耗性、耐欠損性(耐熱衝撃性)が悪くなった。また、焼成工程(a)の温度AB間における昇温速度が1℃/分より早くかつ焼成工程(b)においても温度BC間における昇温速度が15℃/分より早い試料No.19でも焼結時の発生ガス、発生する液相の制御がうまくゆかずに第2硬質相中のW含有比率の分布に40%より大きな差ができた。
これに対し、本発明の範囲内の組織となったサーメットである試料No.1〜11では、優れた耐摩耗性を発揮するとともに耐欠損性(耐熱衝撃性)も良好であり、その結果、工具寿命も長いものであった。
実施例1で作製した試料No.7の切削工具形状のサーメットをダイヤモンド砥石によって加工し、アークイオンプレーティング法にて被覆層の成膜を行った。具体的には、上記基体をアークイオンプレーティング装置にセットし500℃に加熱した後にTi0.4Al0.50.1Nの被覆層を成膜した。なお、成膜条件は窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを総圧力2.5Paの雰囲気中、アーク電流100A、バイアス電圧50V、加熱温度500℃とした。なお、被覆層の層厚は1.0μmとした。
得られた切削工具を用いて実施例1と同様の切削条件にて切削試験を行った。
その結果、切削開始後摩耗量が0.2mmに達するまでの時間は83分、衝撃回数48000回と良好な切削性能を示した。
本発明のサーメットの一例を示し、(a)表面付近、(b)内部についての走査型電子顕微鏡写真である。 図1のサーメット中の第2硬質相を含む要部についてのオージェ分析結果である。 従来のサーメット中の第2硬質相を含む要部についてのオージェ分析結果である。
符号の説明
1 サーメット
2 硬質相
3 結合相
4 第1硬質相
5 第2硬質相
8 表面領域

Claims (7)

  1. Tiを主成分とする周期表第4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物からなる硬質相をCoまたはNiを主成分とする結合相で結合したサーメットであって、前記硬質相が、TiCNを主成分とする第1硬質相と、Wを必須として含む周期表第4、5および6族金属の少なくとも1種とTiとの複合炭窒化物固溶体の第2硬質相とからなり、前記第1硬質相中のN含有比率が前記第2硬質相中のN含有比率よりも多く、前記第2硬質相中のC含有比率が前記第1硬質相中のC含有比率よりも多く、かつ前記第2硬質相中のW含有比率は最小値が最大値の40%以上の範囲で均一であることを特徴とするサーメット。
  2. 前記第1硬質相中のN含有比率は最小値が最大値の50%以上の範囲で均一であることを特徴とする請求項1記載のサーメット。
  3. 前記第2硬質相中の周期表第4、5および6族金属元素総量に対するWの含有比率の最小値が10〜20質量%であることを特徴とする請求項2記載のサーメット。
  4. 内部における断面組織を観察した場合に、前記第1硬質相の平均粒径をaとし、前記第2硬質相の平均粒径をbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が2〜8であることを特徴とする請求項2または3記載のサーメット。
  5. 内部における断面を組織観察した場合に、前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が1.5〜5であることを特徴とする請求項4記載のサーメット。
  6. 表面近傍における断面組織を観察した場合に、前記硬質相全体に対する前記第1硬質相が占める平均面積をAとし、前記第2硬質相が占める平均面積をBとしたとき、AとBとの比率(B/A)が前記AとBとの比率(B/A)よりも大きい表面領域が存在することを特徴とする請求項5記載のサーメット。
  7. 前記表面領域が30〜300μmの厚さで存在することを特徴とする請求項6記載のサーメット。
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