JP2008195560A - 酸化インジウムを主成分とする粉末の製造方法 - Google Patents

酸化インジウムを主成分とする粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】残留塩素品位が低い酸化インジウムを主成分とする粉末を、工業的に低コストで得られる製造方法を提供する。
【解決手段】塩化インジウムを含む水溶液を中和することにより水酸化インジウムを主成分とする澱物を晶析させた後、水洗し、さらに、含水素ガス雰囲気中において600℃を超え750℃未満の温度で仮焼をする。さらに、前記仮焼の前に、水洗を2回以上、行うことが望ましく、前記仮焼の後に、酸化性雰囲気で熱処理をすることが望ましい。また、得られる粉末中の残留塩素品位が、30質量ppm以下であることが望ましく、得られる粉末のBET一点法による比表面積が、2〜12m2/gであることが望ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化インジウムを主成分とする粉末の製造方法に関し、特に、塩化インジウムを含む塩を原料として得られる酸化インジウムを主成分とする粉末の製造方法に関する。
酸化インジウムを主成分とする粉末は、その導電性を利用して、樹脂混練用導電性フィラーのほか、透明導電膜塗料、透明導電性薄膜作製用のターゲット材などの原料として、電子材料用に広く使われている。例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)ターゲットや、IZO(Indium Zinc Oxide:酸化インジウム亜鉛)ターゲットは、酸化インジウムの粉末と、酸化スズまたは酸化亜鉛を、混合し、成型した後、焼結することにより、製造される。
酸化インジウムを主成分とする粉末は、例えば、インジウム塩と添加金属塩の混合水溶液を、アンモニアや水酸化ナトリウム等のアルカリを添加することにより中和し、水酸化インジウムを主成分とする澱物を晶析させ、水洗し、乾燥し、仮焼することにより、作製することができる。
電子材料用途では、酸化インジウムを主成分とする粉末には高純度であることが要求され、特に、不純物としてハロゲン元素を含まないことが要求される。ハロゲン元素は、導電材料として用いられる金属を腐食させたり、あるいは、塗料中の透明樹脂の透明度を低下させることがあり、電子機器に対する悪影響が懸念される。
また、ITOに代表される透明導電性薄膜作製用のターゲット材では、ハロゲン元素が存在すると、焼結性が阻害され、スパッタリング時のノジュール発生原因となる。
例えば、特許文献1(特開平10−182150号公報)には、酸化インジウム粉末を製造するための出発原料として、硝酸インジウムを用いることが記載されている。これによれば、特に、焼結温度が800℃を超えて、揮発する成分が残存すると、焼結が阻害されると考えられることから、ハロゲン元素の存在が好ましくなくないとされ、このため、その出発原料として、塩化インジウムではなく、硝酸インジウムを使用している。
しかし、塩化インジウムを出発原料として酸化インジウムを合成する場合と比較すると、硝酸インジウムを出発原料とする場合には、硝酸が塩酸よりも高価であること、および、硝酸性窒素の排水処理コストが高いことにより、結果として高コストな製造プロセスとなる。
硝酸性窒素の排水処理コストが高いため、排水処理コストを含む生産コストの観点からは、硝酸インジウムを出発原料とする製造プロセスでは、硝酸性窒素が副生するため、塩化インジウムを出発原料とする製造プロセスの方が望ましい。
特許文献2(特開2004−123523号公報)には、塩化インジウムを含む水溶液から、ターゲット用ITO粉末を製造する方法が記載されている。これによると、塩化インジウム−塩化スズ水溶液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、濾過により固液分離を行った後、水洗を5〜7回、繰り返す。次に、1000℃以上で、大気中熱処理および塩化水素含有ガス中熱処理を行い、水洗とアンモニア水溶液洗浄により、排水中の塩素イオン濃度が1mg/L以下になるまで洗浄する。その後、得られたITO粉末を、ボールミルにより粉砕し、焼成し、高密度のITO焼結体を得ている。しかしながら、この製造方法も水洗の回数が多く、仮焼温度が高いなど、コスト的に問題がある。また、仮焼時、1000℃以上の高温で塩化水素含有ガスを導入するため、装置の劣化が著しいと考えられる。
特許文献3(特開平5−201731号公報)には、酸化インジウムにスズをドープしたITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)粉末について、ハロゲン元素である塩素の除去に関して、記載されている。塩化インジウムおよび塩化スズの混合水溶液をアルカリ水溶液で中和して得た共沈沈殿物を、デカンテーションまたは遠心分離法によって水洗し、加熱分解することによりITO粉末を得ている。
しかし、残留する塩素量を100質量ppm未満にするためには、デカンテーションまたは遠心分離法による水洗を、濾液の電気抵抗率が2000Ω・cm以上、好ましくは5000Ω・cm以上となるまで、行う必要があり、水洗工程の高コスト化が予想される。さらに、得られたITO粉末から蒸留水への溶出塩素が6〜390質量ppmである実施例が記載されているが、通常は、粉末内部に、溶出分より多くの塩素が残留しているものであり、粉末内部の塩素まで、十分に除去されているとは言い難い。
また、特許文献4(特開2001−58822号公報)には、インジウムとスズの共沈水酸化物を洗浄し、アンモニアや水素などの還元ガスあるいは水分を含有した窒素などの不活性ガス中で、500℃〜800℃の温度で2時間、仮焼することが記載されている。しかし、共沈水酸化物に限定しており、また、還元ガスの導入目的が、酸素欠損を生じさせることによる低抵抗化であり、仮焼による塩素低減効果については、記載されていない。さらに、残留する塩素品位を80質量ppm程度にすることが実施例に記載されているが、十分に塩素が除去されているとは言い難く、アンモニア水で洗浄することは、排水による環境負荷の増加、コスト増という問題が生じる。
以上のように、工業的に低コストで得られ、残留塩素品位が低い酸化インジウムを主成分とする粉末の製造方法の開発が望まれていた。
特開平10−182150号公報 特開2004−123523号公報 特開平5−201731号公報 特開2001−58822号公報
本発明は、このような従来の事情を考慮して、残留塩素品位が低い酸化インジウムを主成分とする粉末を、工業的に低コストで得られる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、塩化インジウムを原料とした酸化インジウム粉末の製造方法における残留塩素品位の低減について検討した結果、水酸化インジウムを仮焼する雰囲気が残留塩素品位に大きく影響することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の酸化インジウムを主成分とする粉末の製造方法では、塩化インジウムを含む水溶液を中和することにより水酸化インジウムを主成分とする澱物を晶析させた後、水洗し、その後、含水素ガス雰囲気中において600℃を超え750℃未満の温度で0.25〜4時間、仮焼をする。
前記仮焼の前に、水洗を2回以上、行うことが好ましい。
また、本発明に係る製造方法では、得られる粉末のBET一点法による比表面積を2〜12m2/gとすることができる。
前記澱物の残留塩素品位を酸化物換算で200質量ppm未満まで減少させることが好ましい。これにより、得られる酸化インジウムを主成分とする粉末の残留塩素品位を30質量ppm以下とすることができる。
前記含水素ガス雰囲気中の水素濃度には特に制限はないが、水素が塩素と反応し塩化水素として揮発することにより残留塩素品位が低減していると考えられるので、残留塩素品位を勘案して、塩素を十分に除去できる濃度とすればよい。0.5〜10容量%とすることが好ましい。
さらに、前記仮焼の後に、酸化性雰囲気で熱処理をすることが好ましい。
本発明により、原料として安価な塩化インジウムを含む塩を用いて合成した酸化インジウムを主成分とする粉末の残留塩素品位を、効率的に30質量ppm以下にまで低減させることができ、工業的に低コストで酸化インジウムを主成分とする粉末が得られるという極めて高い効果を得ることができる。
本発明は、塩化物原料から合成した酸化インジウムを主成分とする粉末の残留塩素品位を、効果的に低減させる方法であって、含水素ガス雰囲気中で仮焼をすることにより、残留塩素を除去することを特徴とする。
本発明の製造方法においては、塩化インジウムを含む水溶液を用いる。原料としては、硝酸塩を用いることが可能であるが、コストおよび環境負荷を考慮して、塩化物を用いる。塩化インジウムを含む水溶液は、塩化インジウムを直接、溶解させた水溶液でもよいし、インジウムメタルあるいは酸化物等のインジウム化合物を溶解させた塩酸でもよい。塩化インジウムを溶解する場合には、溶解を容易にするために、水に塩酸を加えてもよい。塩化インジウムを含む水溶液には、得られる酸化インジウムを主成分とする粉末において有用である元素、例えば、スズや、亜鉛などが含まれていてもよい。
塩化インジウムを含む水溶液を中和することにより水酸化インジウムを主成分とする澱物を晶析させ、得られた澱物を水洗し、含水素ガス雰囲気中で仮焼をすることにより、残留塩素が極めて少ない状態で、酸化インジウムを主成分とする粉末が得られる。
中和は、塩化インジウムを含む水溶液に、アルカリ性溶液を加えることにより行うが、アルカリ性固体を加えてもよい。アルカリ性溶液としては、アンモニア水溶液または水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
また、中和時の水溶液の温度は、45℃以下とすることが好ましい。45℃以下とすることにより、水酸化インジウム粒子の凝集を防ぎ、水酸化物内部への塩素の取り込みが減少して、その後の洗浄、仮焼で効率的に塩素が低減できるようになる。
水溶液の液温は、水溶液の凝固点以上であれば問題ないが、液温が低すぎると、濾過性が悪化するため、30℃以上とすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、水洗により残留塩素品位を低減させておくことが必要である。残留塩素品位が十分に低い状態で、酸化インジウムを主成分とする粉末を得るためには、仮焼前の残留塩素品位を200質量ppm以下にまで低減させておくことがより好ましい。仮焼前の残留塩素品位が低いほど、仮焼後の残留塩素品位を低減することができる。
仮焼前の残留塩素品位、すなわち、中和によって得られた水酸化インジウムを主成分とする澱物の残留塩素品位は、澱物を水洗することによって低減できる。水洗は、バッチ方式および連続方式のいずれで行なってもよいが、塩素を除去できるのに十分な水量を用いることが好ましく、水洗によって不純物が混入しないように、純水を用いることが好ましい。
バッチ方式で水洗を行う場合には、十分な水量を用いて、2回以上、水洗を行うことが好ましい。1回の水洗では、残留塩素品位が十分に低減しない場合があり、1回の水洗で残留塩素品位を低減させようとすると、多量の水が必要となり、効率が悪い。通常の水洗では、2回程度、行うことにより、残留塩素品位を200ppm以下に低減することができる。また、水洗時に、塩基水溶液、無機塩水溶液等を用いることで、さらに残留塩素品位を低減することができる。
本発明の製造方法において、仮焼は、含水素ガス雰囲気中において行い、これにより残留塩素品位を低下させることができる。理由の詳細は不明であるが、含水素ガス雰囲気中で加熱されることにより、残留塩素が水素と結合して揮発しやすくなるものと推定される。これに対して、大気中や不活性ガス雰囲気中の仮焼では、残留塩素品位は低下しない。
含水素ガス雰囲気中の水素濃度には特に制限はないが、水素が塩素と反応し塩化水素として揮発することにより残留塩素品位を低減していると考えられるので、残留塩素品位を勘案して、塩素を十分に除去できる濃度とすればよい。含水素ガス雰囲気中の水素濃度は、0.5〜10容量%が好ましく、1〜5容量%とすることが、さらに好ましい。0.5容量%未満では、脱塩素能力が低下し、10容量%を超えると、粒子が異常粒成長して、酸化インジウムの一次粒子径にばらつきを生じやすくなる。
仮焼温度については、600℃を超え750℃未満であることが好ましく、650〜700℃がさらに好ましい。600℃以下では、脱塩素能力が低下して、残留塩素品位が高くなり、750℃以上では、酸化インジウムの異常粒成長により、ターゲット焼結時の焼結性が低下する。
仮焼時間は、仮焼する水酸化インジウムの量および仮焼温度等を勘案して、塩素が低減されるとともに、酸化インジウムに転換されるのに十分な時間とすればよいが、0.25〜4時間とすることが好ましく、0.5〜2時間とすることがさらに好ましい。
また、含水素ガス雰囲気中での仮焼後に、酸化性雰囲気で熱処理を行うことが好ましい。酸化性雰囲気で熱処理を行うことにより、酸化インジウムの粒子の表面の酸素欠損部分を酸化し、ターゲット製造時に行う湿式粉砕の際のスラリー粘度増加や、分散剤とのなじみの悪化を、防止することができる。酸化性雰囲気は、特に限定されないが、コスト面を考慮すると、大気雰囲気とすることが好ましい。
酸化性雰囲気での熱処理温度は、400〜900℃とすることが好ましく、熱処理時間は0.5〜2時間とすることが好ましい。
本発明の製造方法により、仮焼後の酸化インジウムを主成分とする粉末における残留塩素品位を100質量ppm以下とすることができ、さらに仮焼前の残留塩素品位を酸化物換算で200質量ppm以下とすることにより、仮焼後の残留塩素品位を30質量ppm以下とすることができるという顕著な効果を有する。
得られる酸化インジウムを主成分とする粉末において、残留塩素品位は、30質量ppm以下とすることが好ましい。30質量ppmを超えると、ターゲットの原料として用いた場合、高密度の焼結体が得られない場合がある。また、100質量ppmを超えると、電子材料として使用した場合、残留塩素により金属の腐食等の問題が発生する場合がある。
なお、本発明においては、残留塩素品位は、水酸化インジウムを主成分とする澱物もしくは酸化インジウムを主成分とする粉末を、乾燥後に硝酸で溶解し、硝酸銀を加えて塩化銀の沈殿を捕集し、検量線を用いた蛍光X線定量分析にて測定する。これにより、粉末の表面のみならず、粉末の内部に存在するものを含めて、残留塩素品位が測定される。
BET一点法による比表面積(以下、BET値と表記する)については、2m2/g以上とすることが好ましい。2m2/g未満になると、凝集が進み、導電性粉末等として用いる場合に不具合が生じることがある。また、ターゲット用原料として用いる場合には、4〜12m2/gとすることが好ましく、9.5m2/g未満がより好ましい。4m2/g未満になるとターゲット焼結時の焼結性が低下する場合がある。さらに、12m2/gを超えるとターゲット焼結時に割れが発生しやすくなる。
特に、本発明の製造方法によって得られる残留塩素品位が30質量ppm以下の酸化インジウムを主成分とする粉末は、39.2MPa(400kgf/cm2)で直径10mmの型に一軸成型し、1500℃で3時間、焼成した時の焼結体の相対密度が、70%以上となる。70%未満では、例えばITOターゲットを焼成する時、焼結体密度を97%以上とすることが困難なことがある。なお、相対密度は、酸化インジウム(In23)の真密度を7.04g/cm3として算出した。
本発明の製造方法により、ターゲット材作製時の焼結を阻害し、かつ、ノジュール発生の原因となる残留塩素を、洗浄工数を大幅に削減して、低減させることができる。
(実施例1)
インジウムメタルを濃塩酸(関東化学株式会社製、特級試薬)に溶解して得られた0.88mol/Lの塩化インジウム水溶液と、6.5mol/LのNH4OH水溶液(和光純薬工業株式会社製、一級試薬)を混合し、水酸化インジウムを合成した。得られた水酸化インジウムを濾過した後、水洗および濾過を2回、繰り返して、120℃で真空乾燥させた。
得られた水酸化インジウムの一部を、乾燥後に硝酸で溶解し、硝酸銀を加えて塩化銀の沈殿を捕集し、検量線を用いた蛍光X線定量分析(PnNalytical製、Magix)にて塩素品位を測定したところ、160質量ppmであった。
水酸化インジウムを、650℃にて4容量%水素−96容量%窒素混合ガス10L/minの気流中で、1時間、保持した。その後、雰囲気を大気雰囲気に変更して、さらに1時間、保持することにより、酸化インジウムの粉末を得た。
得られた酸化インジウムの粉末の一部について、前述と同様に塩素品位を測定したところ、残留塩素品位は、25質量ppmであった。
得られた酸化インジウムの粉末を手粉砕した後、39.2MPa(400kgf/cm2)で、直径10mmの型に一軸成型し、1500℃で3時間、焼成した。焼結体の相対密度は、72%であった。
(実施例2)
仮焼温度および熱処理温度を700℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化インジウムの粉末を得た。得られた酸化インジウムの粉末の残留塩素品位は、10質量ppmであった。
また、得られた酸化インジウムの粉末を、実施例1と同様に一軸成型して焼成した。焼結体の相対密度は、78%であった。
実施例2で得られた酸化インジウムの粉末について、電界放出型走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−4700)の写真(SEM像)を、図1に示す。酸化インジウム粉末の一次粒子径に大きなばらつきは見られず、異常粒成長した粒子は見られなかった。
(比較例1)
仮焼温度および熱処理温度を550℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化インジウムの粉末を得た。得られた酸化インジウムの粉末の残留塩素品位は、160質量ppmであった。
また、得られた酸化インジウムの粉末を、実施例1と同様に一軸成型して焼成した。焼結体の相対密度は、67%であった。
(比較例2)
仮焼温度および熱処理温度を600℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化インジウムの粉末を得た。得られた酸化インジウムの粉末の残留塩素品位は、160質量ppmであった。
また、得られた酸化インジウムの粉末を、実施例1と同様に一軸成型して焼成した。焼結体の相対密度は、72%であった。
(比較例3)
仮焼温度および熱処理温度を750℃とした以外は、実施例1と同様にして、酸化インジウムの粉末を得た。得られた酸化インジウムの粉末の残留塩素品位は、10ppm未満であった。
比較例3で得られた酸化インジウムの粉末について、電界放出型走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−4700)の写真(SEM像)を、図2に示す。異常粒成長した粒子が観察でき、一次粒子径に大きなばらつきが見られた。
また、得られた酸化インジウムのBET値も0.64m2/gと低くなり、得られた酸化インジウムの粉末を、実施例1と同様に一軸成型して焼成することにより得られた焼結体の相対密度は、65%であった。
(比較例4)
実施例1と同様にして得られた水酸化物を用いて、10L/minの大気気流中で、850℃にて3時間20分、保持することにより、酸化インジウムの粉末を得た。得られた酸化インジウムの粉末の残留塩素品位は、180質量ppmであり、低減効果は見られなかった。
また、得られた酸化インジウムの粉末を、実施例1と同様に一軸成型して焼成した。焼結体の相対密度は、63%であった。
(実施例3)
インジウムメタルを濃塩酸(関東化学株式会社製、特級試薬)に溶解して得られた0.88mol/Lの塩化インジウム水溶液と、6.5mol/LのNH4OH水溶液(和光純薬工業株式会社製、一級試薬)を混合し、水酸化インジウムを合成した。得られた水酸化インジウムを濾過した後、水洗および濾過の後、100℃で乾燥させた。前述と同様に塩素品位を測定したところ、酸化物換算で10000質量ppmであった。この水酸化インジウムを、700℃にて4容量%水素−96容量%窒素混合ガス10L/minの気流中で、2時間、保持した。その後、雰囲気を大気雰囲気に変更して、さらに2時間、保持することにより、酸化インジウムの粉末を得た。得られた酸化インジウムの粉末について、前述と同様に塩素品位を測定したところ、残留塩素品位は、80質量ppmであった。
また、得られた酸化インジウムの粉末を、実施例1と同様に一軸成型して焼成した。焼結体の相対密度は、65%であった。
(比較例5)
仮焼温度および熱処理温度を600℃とした以外は、実施例3と同様にして、酸化インジウムの粉末を得た。得られた酸化インジウムの粉末の残留塩素品位は、337質量ppmであった。
また、得られた酸化インジウムの粉末を、実施例1と同様に一軸成型して焼成した。焼結体の相対密度は、66%であった。
表1に、実施例1〜3および比較例1〜5に関して、熱処理温度、熱処理時間、残留塩素品位、BET値、酸化インジウムの焼結体の相対密度を示す。
実施例2で得られた酸化インジウム粉末を示すSEM像である。 比較例3で得られた酸化インジウム粉末を示すSEM像である。

Claims (4)

  1. 塩化インジウムを含む水溶液を中和することにより水酸化インジウムを主成分とする澱物を晶析させた後、水洗し、その後、含水素ガス雰囲気中において600℃を超え750℃未満の温度で0.25〜4時間、仮焼をすることを特徴とする酸化インジウムを主成分とする粉末の製造方法。
  2. 前記仮焼の前に、水洗を2回以上、行うことを特徴とする請求項1に記載の酸化インジウムを主成分とする粉末の製造方法。
  3. 前記澱物の残留塩素品位を酸化物換算で200質量ppm未満まで減少させることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化インジウムを主成分とする粉末の製造方法。
  4. 前記仮焼の後に、酸化性雰囲気で熱処理をすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化インジウムを主成分とする粉末の製造方法。
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