JP2008192489A - 画像形成装置及びそれに使用されるスペーサ - Google Patents
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Abstract
【課題】帯電防止効果に優れ、さらに電子ビームの温度依存性が少ないスペーサを備えた画像表示装置並びにそれに使用されるスペーサを提供する。
【解決手段】画像表示装置のスペーサを、ガラス基材の表面に電子伝導性を示す酸化物薄膜を有するものとし、その酸化物薄膜を金属的な電気伝導性を示す酸化物とその酸化物よりも高抵抗の酸化物との固溶体により形成する。金属的な電気伝導性を示す酸化物としては酸化ルテニウムがあり、それよりも高抵抗の酸化物としては酸化チタン、酸化イリジウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウムなどがある。
【選択図】図1
【解決手段】画像表示装置のスペーサを、ガラス基材の表面に電子伝導性を示す酸化物薄膜を有するものとし、その酸化物薄膜を金属的な電気伝導性を示す酸化物とその酸化物よりも高抵抗の酸化物との固溶体により形成する。金属的な電気伝導性を示す酸化物としては酸化ルテニウムがあり、それよりも高抵抗の酸化物としては酸化チタン、酸化イリジウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウムなどがある。
【選択図】図1
Description
本発明は、自発光型の画像表示装置とそれに使用されるスペーサに関する。
近年、情報処理装置或いはテレビジョン放送の高画質化に伴い、高輝度、高精細の特性を有すると共に軽量、省スペース化が図れることから、平面型画像表示装置(FPD:Flat Panel Display)への関心が高まっている。この平面型画像表示装置の代表的なものが液晶表示装置やプラズマ表示装置であり、また、最近注目されているフィールドエミッションディスプレイ(Field Emission Display、以下、FEDと称する)である。
FEDは、冷陰極素子の電子放出素子をマトリックス状に配置した電子源を有する自発光型の画像形成装置である。電子放出素子としては、表面伝導型放出素子(SED型)、電界放出型素子(FE型)、金属/絶縁膜/金属型放出素子(MIM型)などが知られている。また、FE型では、モリブデン等の金属やシリコン等の半導体物質で作られたスピント型や、カーボンナノチューブを電子源とするCNT型などが知られている。
FEDでは、電子源が形成された背面側のカソードパネルと、電子源から放出された電子によって励起されて発光する蛍光体が形成された前面側のアノードパネルとの間に空間を設けて、この空間を真空雰囲気に保つ必要がある。真空に保たれた空間部が大気圧に耐えられるようにするために、通常、2つのパネル間にスペーサと呼ばれる支持部材が配置される。
FEDでは、通常、電子源とアノードとの間の電位差が数〜数十kV程度となるように、アノードに電圧が印加される。この印加電圧が高いほど、パネルの高輝度化と長寿命化が図れるが、一方でスペーサが帯電しやすくなる。スペーサが帯電すると、カソードからアノードに飛行する電子ビームがスペーサ側に引き寄せられる、或いは、反発してスペーサから遠ざかるという現象が起こる。この結果、明るさが変わり、スペーサの影が画面に表示されるようになって、画質が悪くなるという問題が生じる。また、放電が起こりやすくなり、カソードや他の構造部品が破壊されるという問題が生じやすくなる。
スペーサの帯電を防止するために、スペーサ表面に凹凸を形成することが特許文献1に記載されている。この特許文献1には、帯電防止性の向上のために、凹凸面の上に酸化クロム膜などの高抵抗膜を形成すること、アノード基板やカソード基板と接続される面を含む近傍にさらにAu膜、RuO2膜などの低抵抗膜を形成することが記載されている。
また、安定性が高く、再現性がよい帯電防止膜を設けたスペーサを提供することを目的として、スペーサ表面に酸化ルテニウムなどの遷移金属酸化物からなる第1層を設け、更にその上に、遷移金属、ゲルマニウム、ビスマスなどの酸化物又はそれらの混合物からなる第2層を設けることが特許文献2に記載されている。
自発光型の画像表示装置では、スペーサの帯電防止に加えて、電子ビーム偏向の温度依存性を少なくすることが要求される。電子ビーム偏向は、カソード基板とアノード基板の温度差に起因して生ずるものであり、スペーサの抵抗温度係数が大きい場合、或いは、スペーサの熱伝導率が小さい場合に生じ易いことがわかった。
従って、電子ビーム偏向の温度依存性を小さくするためには、スペーサの抵抗温度係数を小さくするか、或いは、スペーサの熱伝導率を大きくしてアノード基板とカソード基板の温度差を小さくする方法を用いれば良い。しかし、スペーサとしてガラスを用いる場合には、その熱伝導率を大幅に改良することは困難である。そこで、表面に抵抗温度係数の小さい金属的な電子伝導性を示す薄膜を形成することが試みられている。特許文献3には、貴金属やCrなどの金属粒子をSiO2やAl2O3などの絶縁体マトリックス中に分散させたいわゆるサーメット膜を用いることが記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、金属的な電気伝導性を示す酸化ルテニウム薄膜の抵抗が低すぎ、電流が流れすぎて熱が発生し、スペーサが溶断することが懸念される。また、特許文献3に示される方法では、SiO2やAl2O3の絶縁体マトリックス部分に電子が帯電するため、この部分に電子ビームが大きく吸引されることが懸念される。
本発明の目的は、帯電防止効果に優れ、しかも電子ビームの温度依存性が少ないスペーサを備えた画像表示装置並びにそれに使用されるスペーサを提供することにある。
本発明の画像表示装置は、電子源を備えたカソード基板と、前記電子源から放出された電子を受けて発光する蛍光体を備えたアノード基板と、前記カソード基板と前記アノード基板の間に配置され両基板を支持するスペーサを具備する画像表示装置において、前記スペーサが、ガラスを基材とし、その表面に金属的な電気伝導性を示す酸化物薄膜を有するものからなり、前記酸化物薄膜が金属的な電気伝導性を示す酸化物と、前記酸化物よりも高抵抗の酸化物からなる固溶体により形成されていることを特徴とする。
本発明の画像表示装置用スペーサは、ガラス基材の表面に金属的な電気伝導性を示す酸化物薄膜を有し、前記酸化物薄膜が金属的な電気伝導性を示す酸化物と、前記酸化物よりも高抵抗の酸化物からなる固溶体により形成されていることを特徴とする。
本発明の画像表示装置は、電子ビーム偏向の温度依存性が少なく、また、スペーサの帯電防止性に優れているので、高輝度、高精細の画像が得られる。
本発明の画像表示装置はスペーサに特徴を有しており、ガラス基材の表面に、金属的な電気伝導性を示す酸化物とそれよりも高抵抗の酸化物からなる固溶体で形成された酸化物薄膜を有する。金属的な電気伝導性を示す酸化物をAOyとし、それよりも高抵抗の酸化物をBOyとしたときに、両者はAxB(1−x)Oyよりなる固溶体を形成していることが好ましい。
また、スペーサ表面に形成される酸化物薄膜において、金属的な電気伝導性を示す酸化物を構成する金属元素と、その酸化物よりも高抵抗の酸化物を構成する金属元素の価数は等しいことが好ましい。さらに、金属的な電気伝導性を示す酸化物を構成する金属元素のイオン半径をRAとし、その酸化物よりも高抵抗の酸化物を構成する金属元素のイオン半径をRBとしたときに、0.88<RA/RB≦1.33RBの関係を有することが好ましい。
前記の金属的な電気伝導性を示す酸化物は酸化ルテニウム(RuO2)よりなり、前記の高抵抗酸化物は酸化チタン(TiO2)、酸化イリジウム(IrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)および酸化ジルコニウム(ZrO2)から選ばれた少なくとも1種よりなることが好ましい。
また、酸化物薄膜はスパッタ法、スプレー法、スピンコート法、ディップ法のいずれかの方法により被覆されることが好ましい。
以下、本発明のスペーサをMIM型FEDに適用した場合について説明するが、本発明はMIM型に限定されるものではない。
図1に本発明に係るスペーサの断面の模式図を示す。図2にMIM型FEDの斜視図を示し、図3に図2のA−A線方向における断面の一部を示す。
MIM型FEDにおいて、前面パネル210は、パネルの基材であるアノード基板211の内面側に遮光膜であるブラックマトリックス212と蛍光体層213を有している。また、背面パネル220は、パネルの基材であるカソード基板221の内面側に電極222とエミッタである電子源223を有している。
前面パネル210に形成されたブラックマトリックス212と、背面パネル220に形成された電極222との間には、多数のスペーサ110が配置されている。これらのスペーサは、前面パネルに接着用フリット114を介して接着され、背面パネルに接着用フリット115を介して接着されている。接着用フリットには、スペーサに微小電流が流れることから、導電性のものが用いられる。なお、本実施例では、スペーサ端面金属膜403を形成して、スペーサから基板側へ微小電流が流れ易いようにしている。
アノード基板211とカソード基板221の内周縁部には封止枠230が設けられている。この封止枠230はアノード基板及びカソード基板に接着剤により接着され、これによって、背面パネルと前面パネルの間に空間部分が形成されて、この空間部分が表示領域240となる。前面パネルと背面パネルとの間隔は通常、3〜5mm程度であり、また、空間部分は通常、10−5〜10−7Torrの圧力の真空雰囲気に保持される。
このように構成されたFEDにおいて、背面パネル220と前面パネル210の間に数〜数十kV程度の加速電圧が印加されると、エミッタである電子源から電子が出射され、加速電圧によって蛍光体層213に衝突し、これを励起して所定周波数の光が前面パネル210の外部に出射される。これにより、画像が表示される。
スペーサ110は、ガラス基材401の表面に金属的な電気伝導性を示す酸化物薄膜410を有する。この酸化物薄膜410は、金属的な電気伝導性を示す酸化物と、その酸化物よりも高抵抗の酸化物からなる固溶体により形成される。
バナジウムとタングステンとバリウムとリンを含むV−W−Ba−P系電子伝導性ガラスを基材とし、その表面にスパッタ法により金属的な電気伝導性を示す酸化物薄膜を形成したスペーサを試作し、図2、図3に示す構造のMIM型FEDを製作して評価を行った。
本実施例では酸化物薄膜をスパッタリング法にて成膜した例について述べるが、成膜の方法はスプレー法、ディップ法、ゾルゲル法、ダイス法、スピンコート法などのように溶液を介した塗布焼成方法を用いても良い。
本実施例で行ったスパッタリングによる成膜の方法を、AuとSiO2よりなる複合金属酸化物薄膜を一層形成したものを例にとって説明する。Auの10mm角のチップを152.4mmφ×5mmtのSiO2ターゲットのエロージョン領域上に所望の薄膜組成となるように搭載して成膜を行った。成膜ガスには純度99.9999%の高純度Arガスを用いた。電源にはrfマグネトロン電源を用い、前記ターゲットに対して700W程度の高電圧を印加した。成膜前の成膜室内の真空圧力は4.0×105Paとした。
成膜後の組成を分析するために、ポリイミドフィルム上に薄膜を約200nmの厚さに形成し、ICP分光分析法を用いて組成分析を行った。この組成分析結果を薄膜組成として記載した。なお、組成はモル%で記載している。
V−W−Mo−P−Ba−O系電子伝導性ガラス基材に、薄膜材料を上記のスパッタリング条件で50nmの厚さに形成した。基材のサイズは110mm×3mm×0.15mmとし、110mm×3mmの部分に成膜を行った。薄膜のスパッタレートは組成によって異なるので、各組成ごとにレートを計算しながら成膜した。片面の成膜終了後に一旦、試料を大気中に取り出し、上下面を入れ替えた後に裏面の成膜を行った。このようにしてスペーサの両面に同条件の成膜を行った。
なお、「金属的な電気伝導性を示す」物質とは、電気伝導機構が電子伝導によるものであり、温度の上昇に伴って抵抗値が上昇する傾向にあるものを指す。すなわち、金属では自由電子による電子伝導のため、温度上昇に伴って結晶格子の格子振動が大きくなり、それによって電子伝導が阻害されるために移動度が低下する。従って、温度上昇とともに電気伝導率が低下し、抵抗が上昇する。
一方、「半導体的な電子伝導を示す」物質とは、温度上昇に伴って価電子帯から導電帯に励起される電子(キャリア)の濃度が指数関数的に増加し、温度上昇に伴って低抵抗化するものを指す。
本発明では、この金属的な電気伝導性を示す酸化物AxB(1−x)OyとしてRuxM(1−x)O2系薄膜に着目し、検討を行った。ここでMは、4価の陽イオンである。以下に、本材料系に着目した理由を述べる。電子ビームのビーム偏向を除去し、さらにその温度依存性をなくすためには、スペーサ表面に金属的な電子伝導性を示す物質を形成することが有効である。しかしながら、一般に金属的な電子伝導性を示す薄膜はその抵抗値が低すぎるため、過電流が流れ、それによる発熱のため、スペーサが溶断することが懸念される。従って、金属的な電気伝導性を保持したまま、抵抗値を高めることが必要となる。
このように、高抵抗かつ金属的な電子伝導性を示す材料の一つとして、Au、Pt、Agなどの耐酸化性の貴金属微粒子をSiO2やAl2O3などの絶縁体マトリックス中に分散させた、いわゆるサーメット膜が挙げられる。しかしながら、これらの膜では、絶縁体マトリックス上に電子ビームや反射電子が照射されると、これによって二次電子が放出されるため、この絶縁体部にホールが形成される。これが絶縁体マトリックス中では接地されないために表面が正に帯電し、結果として電子ビームが吸引されるため、好ましくない。
一方、金属的な電気伝導性を示す薄膜として酸化ルテニウムなどの薄膜も提案されているが、これらの膜も抵抗値が低く、スペーサ用材料として適当とは言いがたい。
本発明者らは、酸化ルテニウムに絶縁性イオンを固溶させることにより、分子オーダーで抵抗値を高めることができることを見出した。すなわち、酸化ルテニウムの電子伝導性を発現するRuイオンの代わりに電子伝導性を発現しない別なイオンに置換することによって、高抵抗化するものである。固溶体を形成せずに混合物を形成する場合には、混合させた材料は高抵抗であることから、サーメット膜と同様に正に帯電するため好ましくない。
このような系を実現するためには、Ruと同じ価数(4価)であり、かつイオン半径がRuと同等で、かつ電気抵抗が高い材料であれば、Ruイオンに置換することが可能であり、さらに電気抵抗を高めることが可能である。
そこで、まず、このような特性を有するイオンを検討するため、4価の陽イオンを含有する酸化物(MO2)と酸化ルテニウムとの混合物の薄膜を形成し、このような条件を満たす材料の検討を行った。表1に、検討した4価の酸化物の陽イオンと、薄膜組成、Shanonnによるイオン半径表から抜粋したイオン半径、並びにRuイオンとのイオン半径比(rRu/rM)、並びに析出相、固溶体形成の有無、並びに体積抵抗率(Ωcm)を示す。
本検討では、mol比で40RuO2−60MO2(M:添加元素)の薄膜における固溶体の形成の有無を、まず薄膜X線回折により析出相を同定し、RuO2のピークのみが観測された場合には、さらに透過型電子顕微鏡を用いて平面のナノ構造を評価することで確認し、添加相の偏析が見られない場合を○、薄膜X線回折ならびに透過型電子顕微鏡のいずれかの分析方法で添加元素の偏析が見られた場合を×で示した。
表1より、4価の陽イオンMとしてTi、Ir、Mo、Sn、Hf、Zrの酸化物を添加した場合には、これらの成分の偏析は見られず、RuO2とこれらの酸化物が固溶体を形成していることが分かった。また、Si、Mn、Ge、Te、W、Feの酸化物を添加した場合には、これらの添加元素の偏析が確認され、固溶体を形成していないことが分かった。Ruと添加元素Mのイオン半径比(rRu/rM)に着目すると、0.88を超え、1.13以下のときに固溶体の形成が可能であった。
しかしながら、比較例5、6に示すように、添加元素としてWやFeの酸化物を選択した場合には、これらの元素の酸化物はWの場合には6価のWO3が安定であり、Feの場合には3価のFe2O3が安定であったため、RuO2中に固溶することなく、これらの酸化物の偏析が見られた。
以上より、RuO2のように金属的な電気伝導性を示す酸化物をAOyとし、それに添加され、固溶体を形成するAOyよりも高抵抗の酸化物をBOyとしたとき、AOyのイオン半径RAとBOyのイオン半径RBの比RA/RBが0.88を超え、1.13以下であれば固溶体を形成して良好な特性を得ることができた。また、酸化物AOyとBOyを構成する金属元素Aと金属元素Bの両者の価数が等しいことが好ましかった。
次に体積抵抗率に着目すると、固溶体形成が可能であったTi、Ir、Mo、Sn、Hf、Zrの酸化物の中でも、Mo、Snを添加した場合には比較例7に示すRuO2の体積抵抗率に比べてそれほど高抵抗化が図れていないことが分かった。これは、これらの酸化物自身の半導体的性質が強いために、高抵抗化が困難であることに起因すると考えられる。以上より、RuO2に添加することにより固溶体を形成でき、かつ高抵抗化が可能な酸化物として、Ti、Ir、Hf、Zrが有効であることが分かった。
次に、表1で良好な結果の得られた酸化物のうち、Ti、Ir、Hf、Zrの酸化物を用いて体積抵抗率の組成依存性を検討した。また、図2、図3に示すMIM型FEDパネルを作製し、スペーサ周辺のエミッタから放出される電子ビームのビーム偏向量、消費電力を評価した。表2に、作製した薄膜の組成、膜厚、電気抵抗値、並びに室温から40℃までの抵抗温度係数を示す。抵抗温度係数(α(%/℃))は、下記の式1を用いて計算した。
式1において、Rは温度Tにおける体積抵抗率、R0は室温(T0)における体積抵抗率である。本測定では室温T0は25℃、Tは40℃とした。本検討で用いたV−W−Ba−P系電子伝導性ガラス基材の抵抗温度係数は−3.3%/℃であった。
本検討では、アノード−カソード間の電圧を7kVで一定とした。表2において、消費電力は17インチパネルに110mmのスペーサを18本搭載したときのパネルトータルの消費電力を示した。17インチパネルに6行分のスペーサが形成され、各行に長さ110mmのスペーサが約15mmのギャップを設けて3本形成されている。従って、パネル一枚あたりのスペーサ搭載数は18本になる。この消費電力が20W以上の場合には一枚のパネルで消費する電力が大きくなるので好ましくない。消費電力は20W未満であることが好ましい。
また、ビーム偏向量は、エミッタから放出された電子ビームがアノード上の蛍光体塗料上に照射されたときのずれ量を、拡大鏡を用いて定量的に評価し、ずれ量の数値を記載した。このときのカソードとアノードの温度はそれぞれ24℃、26℃で一定条件とした。ビームがスペーサ側に吸引しているときを+、反発しているときを−として表記した。ビーム偏向が±20μm以下の場合には、人間の目には、ずれによる黒い帯は観測されないので好ましい。スペーサが形成されたゲート電極の直近にある一行目に配列したエミッタにおけるビーム偏向量を評価した。
ビーム偏向は、スペーサの電気抵抗値が高く、かつ二次電子放出係数が1より大きい場合或いは小さい場合に、正電荷や負電荷がスペーサ表面に蓄積され、この表面に蓄積された電荷にエミッション電流が例えば正電荷の場合には吸引され、負電荷の場合には反発されて、エミッタの直上に形成されたアノード基板上の蛍光体の中心からずれた位置に電子線が照射されて生じる現象である。ビーム偏向が生じると、蛍光体が発光しない領域が生成するため、スペーサに沿ってライン状の黒い帯が観測されるようになるので好ましくない。
実施例7〜9は、RuO2にTiO2を含有させた薄膜を形成したものである。スペーサ全体の体積抵抗率は106〜108Ωcmオーダで、消費電力、偏向量とも良好で、抵抗温度係数もガラス基材そのものに比べて1%/℃ほど良好になっていた。しかしながら、比較例8〜11に示すように、TiO2の含有量が少なすぎる場合も多すぎる場合も、消費電力、ビーム偏向量が良好でなくなるため好ましくなかった。すなわち、比較例8、9に示すように、TiO2含有量が50mol%未満では、体積抵抗率が10−6〜10−1Ωcmと非常に小さいため、消費電力が大きくなりすぎ、また、偏向量も大きく反発し、好ましくなかった。
一方、比較例10、11に示すように、TiO2含有量が90mol%以上になると、スペーサ抵抗が109Ωcm台まで上昇し、消費電力は抑えられるものの正に帯電するためビームが吸引側に大きくシフトし、好ましくなかった。また、抵抗温度係数の絶対値が大きくなり、スペーサ基材とほぼ同等となってしまうため、抵抗温度係数を改善することが難しくなった。
さらに、表2に示すように、膜組成をmol%で表記した場合、添加元素をIr、Hf、Zrとした場合でも、Tiを添加した場合と同様に添加する酸化物の含有量が60〜80mol%では体積抵抗率が適切で、抵抗温度係数を改善することができ、かつ消費電力、偏向量の適切なスペーサが得られた。
しかしながら、添加する酸化物の含有量が50mol%以下では体積抵抗率が低下しすぎ、消費電力が上昇し、かつビーム偏向量が大きく反発するため好ましくない。また、添加する酸化物の含有量が80mol%を超えると、スペーサの体積抵抗率が大きくなりすぎ、抵抗温度係数の改善効果が見られなくなり、かつビームが大きく吸引するため好ましくない。
本検討では、金属的な電気伝導性を示す酸化物AOyとしてRuO2に着目し、それに固溶するAOyよりも高抵抗の酸化物BOyとして酸化チタン(TiO2)、酸化イリジウム(IrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いた固溶体薄膜AxB(1−x)Oy系酸化物に着目して検討を行ったが、金属的な電子伝導性を示す酸化物にそれよりも高抵抗の酸化物を添加することによって固溶体を形成する材料であれば、いかなる材料であっても上記のような効果を得ることが可能である。
また、本実施例ではスパッタリング法にて成膜した例について記載したが、成膜の方法はスプレー法、ディップ法、ゾルゲル法、ダイス法、スピンコート法などのように溶液を介した塗布焼成方法を用いることも可能である。
110…スペーサ、114…接着用フリット、115…接着用フリット、210…前面パネル、211…アノード基板、212…ブラックマトリックス、213…蛍光体層、220…背面パネル、221…カソード基板、222…電極、223…電子源、230…封止枠、240…表示領域、401…ガラス基材、403…スペーサ端面金属膜、410…酸化物薄膜。
Claims (11)
- 電子源を備えたカソード基板と、前記電子源から放出された電子を受けて発光する蛍光体を備えたアノード基板と、前記カソード基板と前記アノード基板の間に配置され両基板を支持するスペーサを具備する画像表示装置において、前記スペーサが、ガラスを基材とし、その表面に金属的な電気伝導性を示す酸化物薄膜を有するものからなり、前記酸化物薄膜が金属的な電気伝導性を示す酸化物と、前記酸化物よりも高抵抗の酸化物からなる固溶体により形成されていることを特徴とする画像表示装置。
- 前記金属的な電気伝導性を示す酸化物をAOyとし、それよりも高抵抗の酸化物をBOyとしたときに、前記固溶体がAxB(1−x)Oyよりなることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記金属的な電気伝導性を示す酸化物を構成する金属元素と、その酸化物よりも高抵抗の酸化物を構成する金属元素の価数が等しいことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記金属的な電気伝導性を示す酸化物を構成する金属元素のイオン半径をRAとし、その酸化物よりも高抵抗の酸化物を構成する金属元素のイオン半径をRBとしたときに、0.88<RA/RB≦1.33RBの関係を有することを特徴とする請求項3記載の画像表示装置。
- 前記金属的な電気伝導性を示す酸化物が酸化ルテニウムであり、それよりも高抵抗の酸化物が酸化チタン、酸化イリジウム、酸化ハフニウムおよび酸化ジルコニウムから選ばれた少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 前記酸化物薄膜が、スパッタ法、スプレー法、スピンコート法、ディップ法のいずれかの方法により被覆されていることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 画像表示装置の背面パネルと前面パネルの間に配置されるスペーサであって、ガラス基材の表面に金属的な電気伝導性を示す酸化物薄膜を有し、前記酸化物薄膜が金属的な電気伝導性を示す酸化物と、前記酸化物よりも高抵抗の酸化物からなる固溶体により形成されていることを特徴とする画像表示装置用スペーサ。
- 前記金属的な電気伝導性を示す酸化物をAOyとし、それよりも高抵抗の酸化物をBOyとしたときに、前記固溶体がAxB(1−x)Oyよりなることを特徴とする請求項7記載の画像表示装置用スペーサ。
- 前記金属的な電気伝導性を示す酸化物を構成する金属元素と、その酸化物よりも高抵抗の酸化物を構成する金属元素の価数が等しいことを特徴とする請求項7記載の画像表示装置用スペーサ。
- 前記金属的な電気伝導性を示す酸化物を構成する金属元素のイオン半径をRAとし、その酸化物よりも高抵抗の酸化物を構成する金属元素のイオン半径をRBとしたときに、0.88<RA/RB≦1.33RBの関係を有することを特徴とする請求項9記載の画像表示装置用スペーサ。
- 前記金属的な電気伝導性を示す酸化物が酸化ルテニウムであり、それよりも高抵抗の酸化物が酸化チタン、酸化イリジウム、酸化ハフニウムおよび酸化ジルコニウムから選ばれた少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項7記載の画像表示装置用スペーサ。
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