JP2008192450A - 電気光学装置および電気光学装置の製造方法 - Google Patents

電気光学装置および電気光学装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数種の液状体(液体材料)を用いて異なる機能膜を形成する場合に、これら機能膜の平坦性がより良好になるように制御された電気光学装置と、その製造方法を提供する。
【解決手段】複数の画素領域が隔壁によって区画されてなる電気光学装置である。複数の画素領域は、第1画素領域と第2画素領域とを有し、第1画素領域は第1機能膜を有し、第2画素領域は第1機能膜とは異なる第2機能膜を有し、隔壁は第1画素領域を区画する第1隔壁と、第2画素領域を区画する第2隔壁とを有し、第1隔壁の表面状態と第2隔壁の表面状態とは異なっている。
【選択図】図3

Description

本発明は、電気光学装置および電気光学装置の製造方法に関する。
近年、有機蛍光材料等の発光材料をインク化し、このインクを基体上に吐出するインクジェット法により、発光材料のパターニングを行う方法を採用して、陽極と陰極との間に、前記発光材料からなる発光層が挟持された構造のカラー有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)の開発が行われている。
ところで、前記インクジェット法を用いて有機EL装置を製造する場合には、配列形成された各画素(発光素子)の発光特性(輝度、色純度等)を均一化することが重要であり、このような発光特性の均一化が、有機EL装置の製造歩留まりに大きく影響している。発光特性を均一化するためには、各発光層を画素間で均一かつ平坦に形成することが必要である。特に膜厚の均一性及び平坦性は、インクの塗布法やその乾燥条件など、成膜条件によって大きく変動するため、この成膜条件が発光素子の均一性を向上させるために重要となっている。
このような背景から、従来、電気光学層の膜厚均一性及び平坦性を向上させることができる方法として、特許文献1の技術が提案されている。
この技術(製造方法)は、基板上に第1隔壁部と第2隔壁部とを形成する工程と、各隔壁部の各開口に対し電気光学層を構成する各機能材料を含む液状体(液体材料)を液滴吐出法にて吐出する工程と、を備えて構成されている。そして、吐出する液状体は、各電気光学層毎にそれぞれ異なる粘度を有している。また、隔壁部形成工程においては、相対的に低粘度の液状体を吐出する位置では、第1隔壁部のうち第2隔壁部から突き出した部分の表面積を相対的に小さくし、相対的に高粘度の液状体を吐出する位置では、第1隔壁部のうち第2隔壁部から突き出した部分の表面積を相対的に大きくしている。
すなわち、この特許文献1の製造方法は、液状体の粘度が異なることにより、形成される電気光学層の膜厚が不均一になる。つまり、用いる液状体の粘度が高いと、隔壁部の開口内に形成される電気光学層の膜厚が中心部において大きくなる傾向があり、一方、液状体の粘度が低いと、隔壁部の開口内に形成される電気光学層の膜厚が周縁部(隔壁部に近い側)において大きくなる傾向がある、との知見に基づいてなされたものである。
そして、前記構成に基づき、この特許文献1の製造方法によれば、液状体の粘度に応じて第1隔壁部の突出部の面積を好適に調整することにより、各電気光学層の膜厚をそれぞれ均一且つ平坦にすることができる、とされている。
特開2006−12762号公報
しかしながら、前記したように第2隔壁部に対する第1隔壁部の突出部の面積を調整しても、隔壁部の開口内に吐出するための粘度の異なる液状体が、互いにその溶質の分子量が大きく異なる場合、得られる電気光学層の膜平坦性をより良好にするには未だ不十分である。すなわち、異なる種類の液状体間において、それぞれの分子量に大きな差があると、これら液状体間では、塗布時の初期粘度だけでなく、乾燥時における増粘過程にも大きな差が生じてしまう。したがって、前記の突出部面積の調整だけでは、成膜過程全体を十分に制御することができず、結果として得られる膜(電気光学層)の平坦性がより良好となるまでには至っていないのである。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、特に複数種の液状体(液体材料)を用いて異なる機能膜を形成する場合に、これら機能膜の平坦性がより良好になるように制御された電気光学装置と、その製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の電気光学装置は、複数の画素領域が隔壁によって区画されてなる電気光学装置であって、前記複数の画素領域は、第1画素領域と第2画素領域とを有し、前記第1画素領域は第1機能膜を有し、前記第2画素領域は前記第1機能膜とは異なる第2機能膜を有し、記隔壁は前記第1画素領域を区画する第1隔壁と、前記第2画素領域を区画する第2隔壁とを有し、前記第1隔壁の表面状態と前記第2隔壁の表面状態とは異なることを特徴とする。
この電気光学装置によれば、前記第1隔壁の表面状態と前記第2隔壁の表面状態として、機能膜形成用の液体材料に対し、それぞれ隔壁の濡れ性を異ならせておけば、製造時、隔壁内に配された液体材料の膜状態を良好にすることができる。したがって、異なる液状体間において、塗布時の初期粘度だけでなく、乾燥時における増粘過程についてもより良好に制御することができ、これら異なる液状体から得られる機能膜の平坦性をより良好に制御することが可能になる。
また、前記電気光学装置においては、前記第1隔壁と前記第2隔壁とは、それぞれ異なる材料からなることで、互いに表面状態が異なって形成されていてもよい。
このようにすれば、単に材料を適宜に選択するだけで、隔壁の表面状態を制御することが可能になる。
また、前記電気光学装置においては、前記第1機能膜と前記第2機能膜とは、互いに溶質が異なる液体材料によって形成されており、前記第1機能膜は、前記第2機能膜を形成する液体材料よりも溶質の分子量が大きい液体材料によって形成され、前記第2隔壁の表面状態は前記第1隔壁の表面状態よりも濡れ性が高くなっているのが好ましい。
溶質の分子量が小さい液体材料は、溶質の分子量が相対的に大きい液体材料に比べて粘性が低く、したがって、乾燥時において、増粘する過程で固形分である溶質が漸次径を縮めて中央に集まりやすくなる。その結果、隔壁内においても、溶質が隔壁の側面から離れて隔壁開口内の中央部に集まり、これによって乾燥後得られる膜は、その中央が凸状に盛り上がりやすくなる。そこで、隔壁の濡れ性を相対的に高くしておき、乾燥時、隔壁側面上にも溶質(固形分)が残るようにし、溶質が必要以上に中央部に集まるのを防止することにより、乾燥後得られる機能膜の平坦性をより良好にすることができる。
また、溶質の分子量が大きい液体材料は、溶質の分子量が相対的に小さい液体材料に比べて粘性が高く、したがって、乾燥時において、増粘する過程で固形分である溶質が径を縮めて中央に集まることなく、そのままの状態に保持され易くなる。すると、中央部に比べて周縁部で乾燥が速く進むことにより、溶質は周縁部側に流動する。その結果、隔壁内においても、乾燥後得られる膜は周縁部で盛り上がり、中央部で凹んだ状態になり易くなる。そこで、隔壁の濡れ性を相対的に低くしておき、乾燥時、隔壁側面の撥液作用によって溶質(固形分)を隔壁の側面からはじいて隔壁開口内の中央部に寄せるようにし、溶質が必要以上に周縁部に集まるのを防止することにより、乾燥後得られる機能膜の平坦性をより良好にすることができる。
また、前記電気光学装置においては、前記第1機能膜及び前記第2機能膜は、有機EL発光層を構成する膜であるのが好ましい。
このようにすれば、本発明の電気光学装置は、有機EL発光層の平坦性がより良好になり、したがって発光特性が均一化した優れた有機EL装置となる。
本発明の電気光学装置の製造方法は、複数の画素領域が隔壁によって区画されてなる電気光学装置の製造方法であって、前記複数の画素領域を区画する前記隔壁として、前記複数の画素領域のうち第1画素領域を区画する第1隔壁と、前記複数の画素領域のうち第2画素領域を区画し、かつ前記第1隔壁とは表面状態が異なる第2隔壁とを形成する工程と、前記第1隔壁内の前記第1画素領域に第1液体材料を配する工程と、前記第2隔壁内の前記第2画素領域に第2液体材料を配する工程と、前記第1液体材料及び前記第2液体材料をそれぞれ乾燥して第1機能膜及び第2機能膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
この電気光学装置の製造方法によれば、異なる液体材料に対応して、予め表面状態が異なる隔壁を形成するので、その後各隔壁内の画素領域に対して対応する液体材料を配することにより、隔壁内における液体材料の膜状態を良好にすることができる。したがって、異なる液状体間において、塗布時の初期粘度だけでなく、乾燥時における増粘過程についてもより良好に制御することができ、これら異なる液状体から得られる機能膜の平坦性をより良好に制御することが可能になる。
また、前記電気光学装置の製造方法においては、前記第1隔壁及び前記第2隔壁を形成する工程は、基礎隔壁を形成する工程と、前記基礎隔壁の前記第2隔壁となる領域に対して選択的に表面処理を行うことにより、前記第1隔壁の表面状態に対して濡れ性を異ならせる工程と、を備えていてもよい。
このようにすれば、表面処理の条件等を適宜に設定することにより、隔壁を所望の濡れ性に制御することが可能になる。
また、前記電気光学装置の製造方法においては、前記第1液状材料と前記第2液体材料とは、互いに溶質が異なって形成されており、前記第1液体材料は前記第2液体材料よりも溶質の分子量が大きい液状材料によって形成され、前記第2隔壁の表面状態は前記第1隔壁の表面状態よりも濡れ性が高くなるように形成されていてもよい。
このようにすれば、前記したように乾燥時の増粘過程を制御することができ、これにより乾燥後得られる機能膜の平坦性をより良好にすることができる。
また、前記電気光学装置の製造方法においては、前記第1液状材料を前記第1隔壁内の前記第1画素領域に配する工程では、液滴吐出法によって前記第1液状材料を配するのが好まし。
このようにすれば、隔壁内に液体材料をより選択的に配することが可能になる。
以下、本発明を詳しく説明する。
(有機EL装置)
図1〜図3は、本発明の電気光学装置を有機EL装置に適用した場合の一実施形態を説明するための図であり、図1は有機EL装置の配線構造を示す説明図、図2は、図1に示した有機EL装置の平面模式図、図3は、図1に示した有機EL装置の要部の断面模式図である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL装置1は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線101及び信号線102の各交点付近に、画素領域Aを形成したものである。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。また、画素領域Aの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ113と、この駆動用薄膜トランジスタ113を介して電源線103に電気的に接続したときに該電源線103から駆動電流が流れ込む陽極(画素電極)111と、この画素電極111と陰極(対向電極)12との間に挟み込まれた発光機能層110とが設けられている。
なお、陽極(画素電極)111と陰極(対向電極)12と発光機能層110とを備えてなることにより、有機EL素子が構成されている。
このような構成によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ113のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ113のチャネルを介して、電源線103から画素電極111に電流が流れ、さらに発光機能層110を介して陰極12に電流が流れる。すると、発光機能層110はこれを流れる電流量に応じて発光する。
また、図2及び図3に示すように本実施形態の有機EL装置1は、ガラス等からなる透明な基板2と、マトリックス状に配置された有機EL素子とを具備して構成されている。
図3に示すように基板2上に形成される有機EL素子3は、画素電極111と、正孔注入層60と発光層70からなる発光機能層110と、陰極12とによって構成されている。また、基板2の厚さ方向において、前記有機EL素子3を含むEL素子部10と基板2との間には、回路素子部14が形成されている。この回路素子部14には、前述の走査線、信号線、保持容量、スイッチング用の薄膜トランジスタ、駆動用の薄膜トランジスタ123等が形成されている。
また、陰極12は、その一端が基板2上に形成された陰極用配線(図示略)に接続されており、図2に示すように、この配線の一端部12aがフレキシブル基板5上の配線5aに接続されている。なお、この配線5aは、フレキシブル基板5上に備えられた駆動IC6(駆動回路)に接続されている。
また、本実施形態の有機EL装置1は、発光機能層110から基板2側に発した光が、回路素子部14及び基板2を透過して基板2の外側(観測者側)に出射されるとともに、発光機能層110から基板2と反対の側に発した光も、陰極12に反射されて回路素子部14及び基板2を透過し、基板2の外側(観測者側)に出射される、いわゆるボトムエミッション型となっている。
図3に示すように回路素子部14には、基板2上にSiOを主体とする下地保護層281が下地として形成され、その上にはシリコン層241が形成されている。このシリコン層241の表面には、SiO及び/又はSiNを主体とするゲート絶縁層282が形成されている。
また、前記シリコン層241のうち、ゲート絶縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領域が、チャネル領域241aとされている。なお、このゲート電極242は、図示しない走査線の一部である。一方、シリコン層241を覆い、ゲート電極242を形成したゲート絶縁層282の表面には、SiOを主体とする第1層間絶縁層283が形成されている。
また、シリコン層241のうち、チャネル領域241aのソース側には、低濃度ソース領域241bおよび高濃度ソース領域241Sが設けられる一方、チャネル領域241aのドレイン側には低濃度ドレイン領域241cおよび高濃度ドレイン領域241Dが設けられて、いわゆるLDD(Light Doped Drain )構造となっている。これらのうち、高濃度ソース領域241Sは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール243aを介して、ソース電極243に接続されている。このソース電極243は、電源線(図示せず)の一部として構成されている。一方、高濃度ドレイン領域241Dは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール244aを介して、ソース電極243と同一層からなるドレイン電極244に接続されている。
ソース電極243およびドレイン電極244が形成された第1層間絶縁層283の上層には、平坦化膜284が形成されている。この平坦化膜284は、アクリル系やポリイミド系等の、耐熱性絶縁性樹脂などによって形成されたもので、駆動用TFT123やソース電極243、ドレイン電極244などによる表面の凹凸をなくすために形成された公知のものである。
そして、この平坦化膜284の表面上には画素電極(陽極)111が形成されており、この画素電極111は、前記平坦化膜284に設けられたコンタクトホール111aを介してドレイン電極244に接続されている。すなわち、画素電極111は、ドレイン電極244を介して、シリコン層241の高濃度ドレイン領域241Dに接続されている。なお、画素電極111は、ボトムエミッション型である本実施形態では、透明導電材料によって形成され、具体的にはITOが好適に用いられている。
画素電極111が形成された平坦化膜284の表面上には、画素電極111と、これの周縁部を覆う第1隔壁部25とが形成されており、さらにこの第1隔壁部25上には、第2隔壁部221が形成されている。ここで、第1隔壁部25はSiOからなる無機隔壁となっている。また、第2隔壁部221は、本発明における画素領域を区画するための隔壁であって、後述する複数種の発光層の種類に対応して、その表面状態(例えば濡れ性)が適宜に調整されたものである。
すなわち、本実施形態では、発光機能層110が正孔注入層60と発光層とから構成されており、特に発光層は、赤色発光用の発光層70R、緑色発光用の発光層70G、青色発光用の発光層70Bからなっている。したがって、これら発光層70R、70G、70Bを形成するための液体材料は、各発光層毎に異なるものとなり、これに対応して、第2隔壁部221もその濡れ性が調整されているのである。ただし、本実施形態では、後述するように液体材料中の溶質となる赤色発光用の発光材料(固形分)と、同じく緑色発光用の発光材料(固形分)とは、その分子量が同等であることから、これら材料から形成される発光層70Rに対応する第2隔壁部221Rと、発光層70Gに対応する第2隔壁部221Gとは、同じ濡れ性に調整されている。
具体的には、赤色発光層70R、緑色発光層70G、青色発光層70Bがそれぞれ形成される画素領域を区画する第2隔壁部221R、第2隔壁部221G、第2隔壁部221Bは、本実施形態ではいずれも、フルオロアルキル基を有するポリシロキサン中に光触媒である酸化チタンが含有させられた材料により、形成されている。ただし、特に赤色発光層70R、緑色発光層70Gに対応する第2隔壁部221R、第2隔壁部221Gに関しては、紫外線照射による表面処理が施されたことにより、その濡れ性が調整されている。すなわち、後述するように赤色発光層70R、緑色発光層70Gの各形成材料(液体材料)中の溶質(固形分)となる発光材料は、青色発光層70Bの形成材料(液体材料)中の溶質(固形分)となる発光材料に比べ、その分子量が1/10程度と低い(小さい)ものが用いられている。したがって、互いにその増粘過程等が異なることから、それぞれの発光材料(溶質)に対応するよう、第2隔壁部221Rおよび第2隔壁部221Gと、第2隔壁部221Bとは、互いに濡れ性が異なって形成されているのである。
ここで、第2隔壁部221R、第2隔壁部221G、第2隔壁部221Bを形成するための前記ポリシロキサンは、例えば特開2004−264422号公報に開示されたもので、中性域のpHを有し、かつ光触媒としての酸化チタンと、撥液性を有する置換基(フルオロアルキル基)がポリシロキサンを構成するSi原子に直接結合しているポリシロキサンと、を含有してなるものである。このようなポリシロキサンは、これが硬化することにより、その表面に存在するフルオロアルキル基の作用によって液体材料に対し撥液性を呈するようになる。具体的には、このポリシロキサン硬化体は比較的濡れ性が低く、これに接する液体材料は、その静的接触角が大きくなる。また、このポリシロキサン硬化体は、例えば表面処理として紫外線照射処理が施されることにより、光触媒である酸化チタンの触媒作用によってSi原子とフルオロアルキ基との間の結合が切断される。したがって、フルオロアルキ基による撥液性が抑えられ、相対的に親液性のものとなる。よって、このように紫外線照射処理が施されたポリシロキサン硬化体は、比較的濡れ性が高くなり、これに接する液体材料は、その静的接触角が小さくなる。
そして、本実施形態では、赤色発光層70R、緑色発光層70Gに対応する第2隔壁部221R、第2隔壁部221Gは、紫外線照射による表面処理が施されたことにより、その濡れ性が高くなり、相対的に親液性となるよう調整されている。一方、青色発光層70Bに対応する第2隔壁部221Bは、紫外線照射による表面処理が施されていないことにより、元の、比較的濡れ性が低い、相対的に撥液性のものとなっている。
また、前記第2隔壁部221R、第2隔壁部221G、第2隔壁部221Bは、実際には全てが連続した層となっており、後述するようにエッチングによるパターニングによって画素電極111(陽極)上に開口部が形成され、この開口部内を画素領域としたものである。そして、各第2隔壁部221R、第2隔壁部221G、第2隔壁部221Bは、その開口部を形成している部位、すなわち画素領域を区画している部位がこの画素領域に対応する隔壁となっている。すなわち、図3に示した例では、赤色発光層70Rを囲っている部分がこの赤色発光層70Rに対応する第2隔壁部221Rとなっており、緑色発光層70Gを囲っている部分がこの緑色発光層70Gに対応する第2隔壁部221Gとなっており、青色発光層70Bを囲っている部分がこの青色発光層70Bに対応する第2隔壁部221Bとなっている。
このような構成からなる各第2隔壁部221R、第2隔壁部221G、第2隔壁部221Bの開口部内(画素領域)には、それぞれ発光機能層110が設けられている。発光機能層110は、前述したように正孔注入層60と発光層70R(70G、70B)とが、画素電極(陽極)111側からこの順で積層されて形成されたものである。
正孔注入層60は、その形成材料として、特に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT−PSS)を含有する液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれをグリコールエーテル系の溶媒、例えばジエチレングリコールと、水とに分散させあるいは溶解させた液状体が好適に用いられている。
この正孔注入層60上には、本発明における機能膜としての、発光層70R(70G、70B)が形成されている。これら発光層70R(70G、70B)を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。具体的には、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
そして、本実施形態では、特に赤色発光層70Rの形成材料(発光材料)として、以下の化合物(1)に示すCN−PPV(ポリ(2,5−ビスヘキシルオキシ−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)))が用いられている。なお、この発光材料の分子量は約40k(40000)である。また、この発光材料は、溶媒としてのシクロヘキシルベンゼンに1重量%の濃度で溶解され、液体材料として後述する成膜に供されている。
Figure 2008192450
また、緑赤色発光層70Gの形成材料(発光材料)としては、以下の化合物(2)に示すPF8−BT(ポリ((9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−アルト−(ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル)))が用いられている。この発光材料の分子量も約40k(40000)である。また、この発光材料も、前記赤色の発光材料と同様に、溶媒としてのシクロヘキシルベンゼンに1重量%の濃度で溶解され、液体材料として後述する成膜に供されている。
Figure 2008192450
青赤色発光層70Bの形成材料(発光材料)としては、以下の化合物(3)に示すPF8−TPA(ポリ((9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−アルト−(ピリジン−2,6−ジイル)))が用いられている。この発光材料の分子量は約400k(400000)である。また、この発光材料も、前記赤色の発光材料と同様に、溶媒としてのシクロヘキシルベンゼンに1重量%の濃度で溶解され、液体材料として後述する成膜に供されている。
Figure 2008192450
陰極12は、前記発光層70を覆って形成されたもので、LiFからなる電子注入層(図示せず)と、Alからなる陰極層(図示せず)とが積層されたことで形成されたものである。なお、陰極12についても透明な材料を用いれば、発光した光を陰極側からも出射させることができる。透明な材料としては、ITO、Pt、Ir、Ni、もしくはPdを用いることができる。
また、この陰極12上には、接着層51を介して封止基板(図示せず)が貼着されている。
なお、前記発光機能層110において正孔注入層60は、正孔を発光層70R(70G、70B)に注入する機能を有するとともに、正孔を正孔注入層60内部において輸送する機能をも有している。このような正孔注入層60を画素電極111と発光層70R(70G、70B)との間に設けることにより、発光層70R(70G、70B)の発光効率、寿命等の素子特性を向上させることができる。発光層70R(70G、70B)では、正孔注入層60から注入された正孔と、陰極12から注入される電子とが再結合し、発光をなすようになっている。
(有機EL装置の製造方法)
このような構成の有機EL装置1を製造するには、従来と同様にして基板2上に回路素子部14を形成する。そして、基板2の全面を覆うように画素電極111となる透明導電膜を、ITOによって形成する。次いで、この導電膜をパターニングすることにより、図4(a)に示すように平坦化膜284のコンタクトホール111aを介してドレイン電極244と導通する画素電極111を形成する。
次いで、画素電極111上および平坦化膜284上に、SiO等の無機絶縁材料をCVD法等で成膜して第1隔壁層(図示せず)を形成し、続いて、公知のホトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて隔壁層をパターニングする。これにより、図4(b)に示すように、形成する各有機EL素子3の画素領域毎に開口部(図示略)を形成した、第1隔壁部25を形成する。
次いで、第1隔壁部25を覆って、前述した第2隔壁用の材料、すなわち光触媒としての酸化チタンと、撥液性を有する置換基(フルオロアルキル基)がポリシロキサンを構成するSi原子に直接結合しているポリシロキサンと、を含有してなる材料を塗布し、さらにこれを加熱等によって硬化させることにより、第2隔壁層(図示せず)を形成する。
続いて、この第2隔壁層を公知のホトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いてパターニングし、図4(c)に示すように第1隔壁部25上の所定位置、詳しくは画素領域を囲む位置に隔壁層221(基礎隔壁)を残す。
次いで、赤色発光層70Rと緑色発光層70Gとを形成するための画素領域を囲む隔壁部分に対し、マスク(図示せず)を用いて選択的に紫外線照射処理を行い、これら隔壁部分の表層を改質処理し、親液化する。すなわち、前記ポリシロキサン硬化体中の酸化チタンの触媒作用により、Si原子とフルオロアルキ基との間の結合を切断して親液化し、これによってその濡れ性を高める。ここで、マスクとしては、紫外線照射を行う部位に対応して開口部を有し、紫外線照射を行わない部分は紫外線を透過しないように形成されたものが用いられる。
このような表面処理(紫外線照射処理)によって親液化され、濡れ性が高められた部分は、図4(d)に示すようにそれぞれ第2隔壁部221R、221Gとなり、後述する赤色発光層用の液体材料および緑色発光層用の液体材料に対する濡れ性、すなわちこれら液体材料の第2隔壁部221R、221Gに対する静的接触角が、30°となった。
また、表面処理(紫外線照射処理)がなされずに元のポリシロキサン硬化体の状態に保持された部分は、元の撥液性のままとなり、濡れ性が相対的に低い第2隔壁部221Bとなり、後述する青色発光層用の液体材料に対する濡れ性、すなわちこの液体材料の第2隔壁部221Bに対する静的接触角が、90°となった。
次いで、前記第2隔壁部221R、221G、221Bに囲まれた各画素領域に、図5(a)に示すように正孔注入層60を形成する。この正孔注入層60の形成工程では、スピンコート法や液滴吐出法が採用されるが、本実施形態では、第2隔壁部221R、221G、221Bに囲まれた領域に正孔注入層60の形成材料を選択的に配する必要上、特に液滴吐出法であるインクジェット法が好適に採用される。このインクジェット法により、正孔注入層60の形成材料であるPEDOT−PSSの分散液を前記画素電極111の露出面上に配し、次いで真空乾燥処理を施した後、200℃で10分の熱処理を行うことにより、厚さ50nmの正孔注入層60を形成する。なお、PEDOT−PSSの分散液としては、例えばPEDOT:PSSが1:50(重量比)であり、固形分濃度が0.5重量%、溶媒(分散媒)としてジエチレングリコールが50重量%、残量が純水であるものが用いられる。
次いで、図5(b)に示すように、前記正孔注入層60の上に発光層70R、70G、70Bを形成する。この発光層70R、70G、70Bの形成工程では、前記の正孔注入層60の形成と同様に、液滴吐出法であるインクジェット法が好適に採用される。すなわち、インクジェット法により、前記した各発光層70R、70G、70Bの形成材料(発光材料)を溶質とし、これを溶媒で溶解してなる溶液(液体材料)を、それぞれ対応する第2隔壁部221R(221G、221B)に囲まれた画素領域内の正孔注入層60上に吐出する。
ここで、各発光層70R、70G、70Bを形成するための液体材料(溶液)として、前記したように全て同じ濃度(1重量%)のものを用いているので、三種類の液体材料が全て同等の初期粘度を有するものとなる。したがって、インクジェット法により、これら三種類の液体材料を同じ条件のもとで吐出し、対応する第2隔壁部221内に選択的に配することができる。
その後、これら三種類の液体材料を同じプロセスで同時に熱処理する。すなわち、窒素雰囲気中にて130℃で1時間程度熱処理を行い、第2隔壁部221R、221G、221Bの開口部内、つまり画素領域上にそれぞれ発光層70R(70G、70B)を厚さ100nm程度に形成する。
このとき、前記液体材料において、特にその溶質(発光材料)の分子量が相対的に小さい赤色発光層用の液体材料および緑色発光層用の液体材料と、溶質(発光材料)の分子量が相対的に大きい青色発光層用の液体材料とは、その増粘過程が異なるものの、それぞれの分子量の対応して第2隔壁部221の濡れ性が異なっているので、共に平坦性に優れた良好な膜となる。
すなわち、溶質の分子量が小さい赤色発光層用および緑色発光層用の各液体材料は、乾燥により溶媒が蒸発し、増粘する過程で固形分である溶質が漸次径を縮めて中央に集まりやすくなる。その結果、第2隔壁部221R(221G)内においても、溶質が該隔壁の側面から離れてその開口部内の中央部に集まり、これによって乾燥後得られる発光層(膜)は、その中央が凸状に盛り上がりやすくなる。そこで、第2隔壁部221R(221G)の濡れ性を相対的に高くしたことにより、乾燥時、これら第2隔壁部221R(221G)の側面上にも溶質(固形分)が残るようになる。これにより、溶質が必要以上に中央部に集まるのが防止され、乾燥後得られる発光層70R(70G)の平坦性がより良好になる。
一方、溶質の分子量が大きい青色発光層用の液体材料は、乾燥時に増粘する過程で固形分である溶質が径を縮めて中央に集まることなく、そのままの状態に保持され易くなる。すると、中央部に比べて周縁部で乾燥が速く進むことにより、溶質は周縁部側に流動する。その結果、第2隔壁部221B内においても、乾燥後得られる発光層(膜)は周縁部で盛り上がり、中央部で凹んだ状態になり易くなる。そこで、第2隔壁部221Bの濡れ性を相対的に低くしたことにより、乾燥時、該隔壁221Bの側面の撥液作用によって溶質(固形分)が該側面からはじかれて隔壁221Bの開口部内の中央部に寄るようになる。これにより、溶質が必要以上に周縁部に集まるのが防止され、乾燥後得られる発光層70Bの平坦性がより良好になる。
次いで、図5(c)に示すように、前記各発光層70R、70G、70B及び各第2隔壁部221R、221G、221Bを覆ってフッ化リチウム(LiF)、アルミニウム(Al)を積層し、陰極12を形成する。なお、この陰極12の形成では、前記正孔注入層60や発光層70の形成とは異なり、蒸着法やスパッタ法等で行うことにより、画素領域にのみ選択的に形成するのでなく、基板2のほぼ全面に陰極12を形成する。
その後、前記陰極12上に接着層51を形成し、さらにこの接着層51によって封止基板(図示せず)を接着し、封止を行う。これにより、本実施形態の有機EL装置1を得る。
このような有機EL装置1にあっては、発光層形成用の異なる液体材料に対し、第2隔壁部221R、221Gと第2隔壁部221Bとの濡れ性を異ならせているので、各液体材料に対してそれぞれ隔壁の濡れ性を対応させておくことにより、製造時、隔壁内に配された液体材料の膜状態を良好にすることができる。したがって、異なる液状体間において、特に乾燥時における増粘過程についてより良好に制御することができ、これら異なる液状体から得られる発光層70R、70G、70Bの膜平坦性をより良好に制御することができる。よって、この有機EL装置1は、各発光層70R,70G、70Bの平坦性がいずれも良好なものとなり、したがって発光特性が均一化した優れたものとなる。
また、前記第2隔壁部221R、221Gと第2隔壁部221Bとの濡れ性を、紫外線照射による表面処理の有無によって異ならせているので、表面処理(紫外線照射処理)の条件等を適宜に設定することにより、第2隔壁を所望の濡れ性に容易に制御することができる。なお、表面処理については、被処理体である第2隔壁の形成材料にもよるものの、前記したような紫外線照射処理に代えて、例えばレジストマスクを用いてプラズマ処理やエッチング処理を選択的に行うといった手法を採用し、このような手法により、得られる第2隔壁の濡れ性を調整するようにしてもよい。
次に、本発明の電気光学装置を有機EL装置に適用した場合の他の実施形態について説明する。この実施形態が先の実施形態と異なる点は、第2隔壁部221R、221G、221Bの形成材料およびその形成方法にある。
すなわち、この実施形態では、図3に示した第2隔壁部221R、221Gと、第2隔壁部221Bとを、異なる材料で形成し、これによって液体材料に対する濡れ性を異ならせている。
本実施形態では、図3において第2隔壁部221R、221Gが、アクリル系樹脂材料によって形成されており、第2隔壁部221Bが、フッ素系樹脂材料添加アクリル系樹脂材料によって形成されている。このような材料で形成されていることにより、第2隔壁部221R、221Gは、赤色発光層用の液体材料および緑色発光層用の液体材料に対する濡れ性、すなわちこれら液体材料の第2隔壁部221R、221Gに対する静的接触角が、30°となっている。一方、第2隔壁部221Bは、青色発光層用の液体材料に対する濡れ性、すなわちこの液体材料の第2隔壁部221Bに対する静的接触角が、90°となっている。
このような第2隔壁部221R、221G、221Bを形成するには、前記実施形態において、図4(b)に示したように第1隔壁部25を形成した後、前記のアクリル系樹脂材料あるいはフッ素系樹脂材料添加アクリル系樹脂材料、例えば第2隔壁部221R、221G用のアクリル系樹脂材料を塗布し、さらにこれを加熱等によって硬化させることにより、赤、緑用の第2隔壁層(図示せず)を形成する。
続いて、この第2隔壁層を公知のホトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いてパターニングし、図6(a)に示すように第1隔壁部25上の所定位置(画素領域を囲む位置)で、かつ、赤色発光層70Rと緑色発光層70Gとを形成するための画素領域を囲む隔壁部分を形成し、これらを第2隔壁部221R、221Gとする。
次いで、これら第2隔壁部221R、221Gを覆って前記フッ素系樹脂材料添加アクリル系樹脂材料を塗布し、さらにこれを加熱等によって硬化させることにより、青用の第2隔壁層(図示せず)を形成する。
続いて、この第2隔壁層を公知のホトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いてパターニングし、図6(b)に示すように第1隔壁部25上の所定位置(画素領域を囲む位置)で、かつ、青色発光層70Bを形成するための画素領域を囲む隔壁部分を形成し、これを第2隔壁部221Bとする。
以下、図5(a)〜(c)に示した工程と同様にして、正孔注入層60、発光層70R、70G、70B、陰極12を形成する。すなわち、正孔注入層60を形成した後、第2隔壁部221R内に赤色発光層用の形成材料、第2隔壁部221G内に緑色発光層用の形成材料、第2隔壁部221B内に青色発光層用の形成材料をそれぞれインクジェト法(液滴吐出法)で選択的に配し、乾燥することにより発光層70R、70G、70Bを形成する。なお、発光層形成用の各液体材料については、それぞれ前記実施形態と同一のものが用いられる。
このようにして発光層70R、70G、70Bを形成すると、前記実施形態と同様に、液体材料の溶質(発光材料)の分子量に対応して第2隔壁部221R、221Gの濡れ性と第2隔壁部221Bの濡れ性とを異ならせているので、これら三種類の液体材料を同じプロセスで同時に熱処理するにもかかわらず、乾燥後得られる発光層70R、70G、および発光層70Bは、いずれも平坦性がより良好なものとなる。
したがって、このような発光層70R、70G、70Bを有してなる本実施形態の有機EL装置は、各発光層70R,70G、70Bの平坦性がいずれも良好なものとなり、したがって発光特性が均一化した優れたものとなる。
(実施例1)
前記の、表面処理によって第2隔壁部221R、221Gと第2隔壁部221Bとの濡れ性を異ならせた実施形態の、有機EL装置1を発光させたところ、R、G、Bのいずれも均一な発光が観測された。
(実施例2)
前記の、異なる材料を用いることで第2隔壁部221R、221Gと第2隔壁部221Bとの濡れ性を異ならせた実施形態の、有機EL装置を発光させたところ、R、G、Bのいずれも均一な発光が観測された。
(比較例1)
実施例1において、紫外線照射処理による表面処理を行う際、マスクを用いて選択的に紫外線照射を行うのに代えて、基板温度を50℃に加温した状態で、全ての隔壁部に紫外線照射を行った。これにより、第2隔壁部221R、221G、221Bの全てを、濡れ性が高いもの(親液性のもの)とした。得られた発光層70R、70G、70Bを観察したところ、発光層70R、70Gは、実施例1と同様に平坦性が良好な膜となっていた。一方、発光層70Bは、その多くが第2隔壁部221Bに付着していることにより、中央部が凹んだ凹形状のものとなっていた。
このようにして得られた有機EL装置を発光させたところ、第2隔壁部221R、221G内の発光層70R、70Gでは、実施例1と同様、共に均一な発光が観測された。また、発光層70Bでは、中央部の輝度が高くなる不均一な発光が観測された。
(比較例2)
実施例1において、紫外線照射処理を行うことなく、したがって第2隔壁部221R、221G、221Bの全てを、濡れ性が低いもの(撥液のもの)とした。得られた発光層70R、70G、70Bを観察したところ、発光層70R、70Gは、その中央部が盛り上がる凸形状のものとなっていた。一方、発光層70Bは、実施例1と同様に平坦性が良好な膜となっていた。
このようにして得られた有機EL装置を発光させたところ、第2隔壁部221R、221G内の発光層70R、70Gでは、中央部の輝度が低くなる不均一な発光が観測された。また、発光層70Bでは、実施例1と同様、均一な発光が観測された。
(比較例3)
実施例2において、全ての第2隔壁の221R、221G、221Bの材料をアクリル系樹脂材料に統一して、これら第2隔壁の221R、221G、221Bを形成した。得られた発光層70R、70G、70Bを観察したところ、発光層70R、70Gは、実施例2と同様に平坦性が良好な膜となっていた。一方、発光層70Bは、その多くが第2隔壁部221Bに付着していることにより、中央部が凹んだ凹形状のものとなっていた。
このようにして得られた有機EL装置を発光させたところ、第2隔壁部221R、221G内の発光層70R、70Gでは、実施例2と同様、共に均一な発光が観測された。また、発光層70Bでは、中央部の輝度が高くなる不均一な発光が観測された。
(比較例4)
実施例2において、全ての第2隔壁の221R、221G、221Bの材料をフッ素系樹脂材料添加アクリル系樹脂材料に統一して、これら第2隔壁の221R、221G、221Bを形成した。得られた発光層70R、70G、70Bを観察したところ、発光層70R、70Gは、その中央部が盛り上がる凸形状のものとなっていた。一方、発光層70Bは、実施例1と同様に平坦性が良好な膜となっていた。
このようにして得られた有機EL装置を発光させたところ、第2隔壁部221R、221G内の発光層70R、70Gでは、中央部の輝度が低くなる不均一な発光が観測された。また、発光層70Bでは、実施例2と同様、均一な発光が観測された。
(電子機器)
次に、前記実施形態の有機EL装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図7(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図7(a)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は前記有機EL装置からなる表示部を示している。
図7(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図7(b)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は前記有機EL装置からなる表示部を示している。
図7(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図7(c)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は前記有機EL装置からなる表示部を示している。
図7(d)は、薄型大画面テレビの一例を示した斜視図である。図7(d)において、薄型大画面テレビ1300は、薄型大画面テレビ本体(筐体)1302、スピーカーなどの音声出力部1304、前記有機EL装置からなる表示部1306を備える。
図7(a)〜(d)に示す電子機器1000,1100,1200,1300は、前記有機EL装置を備えているので、この有機EL装置からなる表示部1001,1101,1206,1306の発光特性が良好となり、したがってこれら電子機器1000,1100,1200,1300自体も、表示部1001,1101,1206,1306の発光性能に優れたものとなる。
なお、本発明は前記実施形態に限られることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、前記実施形態では、本発明の機能膜を有機EL発光層とすることで、本発明を有機EL装置に適用した場合について説明したが、例えば本発明の機能膜をカラーフィルタとすることで、本発明を液晶装置などの電気光学装置に適用することもできる。もちろん、カラーフィルタを備える有機EL装置にも適用可能である。
また、本発明の隔壁(第2隔壁)についても、その濡れ性を変えるため、前記実施形態で示した表面処理法や材料に限定されることなく、種々の表面処理法や材料が採用可能である。
さらに、発光層の形成材料(液体材料)についても、前記実施形態のものに限定されることなく、従来公知の種々の材料が使用可能である。
また、前記実施形態では、赤色発光層用の発光材料と緑色発光層用の発光材料とを同等の分子量のものとし、これによって赤色用の第2隔壁部221Rと緑色用の第2隔壁部221Gとを同じ濡れ性に調整したが、赤色発光層用の発光材料、緑色発光層用の発光材料、青色発光層用の発光材料をそれぞれ大きく異なる分子量のものとした場合には、第2隔壁部221R、第2隔壁部221G、第2隔壁部221Bについても、全て異なる濡れ性に調整するのが好ましい。
有機EL装置の一実施形態の配線構造を示す説明図である。 図1の有機EL装置の平面模式図である。 図1の有機EL装置の要部断面模式図である。 (a)〜(d)は図1の有機EL装置の製造方法を説明する工程図である。 (a)〜(c)は図4に続く製造方法を説明する工程図である。 (a)、(b)は本発明の他の実施形態の製造方法説明図である。 (a)〜(d)は本発明の電子機器の実施形態を示す斜視図である。
符号の説明
1…有機EL装置(電気光学装置)、2…基板、12…陰極、60…正孔注入層、70R、70G、70B…発光層(機能膜)、110…発光機能層、111…画素電極(陽極)、221R、221G、221B…第2隔壁部(隔壁)

Claims (8)

  1. 複数の画素領域が隔壁によって区画されてなる電気光学装置であって、
    前記複数の画素領域は、第1画素領域と第2画素領域とを有し、
    前記第1画素領域は第1機能膜を有し、
    前記第2画素領域は前記第1機能膜とは異なる第2機能膜を有し、
    前記隔壁は前記第1画素領域を区画する第1隔壁と、前記第2画素領域を区画する第2隔壁とを有し、
    前記第1隔壁の表面状態と前記第2隔壁の表面状態とは異なることを特徴とする電気光学装置。
  2. 前記第1隔壁と前記第2隔壁とは、それぞれ異なる材料からなることで、互いに表面状態が異なって形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気光学装置。
  3. 前記第1機能膜と前記第2機能膜とは、互いに溶質が異なる液体材料によって形成されており、
    前記第1機能膜は、前記第2機能膜を形成する液体材料よりも溶質の分子量が大きい液体材料によって形成され、
    前記第2隔壁の表面状態は前記第1隔壁の表面状態よりも濡れ性が高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
  4. 前記第1機能膜及び前記第2機能膜は、有機EL発光層を構成する膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  5. 複数の画素領域が隔壁によって区画されてなる電気光学装置の製造方法であって、
    前記複数の画素領域を区画する前記隔壁として、前記複数の画素領域のうち第1画素領域を区画する第1隔壁と、前記複数の画素領域のうち第2画素領域を区画し、かつ前記第1隔壁とは表面状態が異なる第2隔壁とを形成する工程と、
    前記第1隔壁内の前記第1画素領域に第1液体材料を配する工程と、
    前記第2隔壁内の前記第2画素領域に第2液体材料を配する工程と、
    前記第1液体材料及び前記第2液体材料をそれぞれ乾燥して第1機能膜及び第2機能膜を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  6. 前記第1隔壁及び前記第2隔壁を形成する工程は、基礎隔壁を形成する工程と、前記基礎隔壁の前記第2隔壁となる領域に対して選択的に表面処理を行うことにより、前記第1隔壁の表面状態に対して濡れ性を異ならせる工程と、を備えることを特徴とする請求項5記載の電気光学装置の製造方法。
  7. 前記第1液状材料と前記第2液体材料とは、互いに溶質が異なって形成されており、
    前記第1液体材料は前記第2液体材料よりも溶質の分子量が大きい液状材料によって形成され、
    前記第2隔壁の表面状態は前記第1隔壁の表面状態よりも濡れ性が高くなるように形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の電気光学装置の製造方法。
  8. 前記第1液状材料を前記第1隔壁内の前記第1画素領域に配する工程では、液滴吐出法によって前記第1液状材料を配することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
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