JP2008192225A - 追記型2層構成光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】Biを主成分として含有する薄膜(Re層)を記録層とする簡易で単純な層構成を有し、高密度記録が可能で、高感度、高PRSNR、高反射率の追記型2層構成光記録媒体の提供。
【解決手段】レーザ光入射側から、少なくとも、第一情報層、中間層、第二情報層をこの順に有し、第一情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(第一Re層)、第一誘電体層、Ti酸化物を含む層が積層されており、第二情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(第二Re層)、第二誘電体層が積層形成されている追記型2層構成光記録媒体。
【選択図】図1
【解決手段】レーザ光入射側から、少なくとも、第一情報層、中間層、第二情報層をこの順に有し、第一情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(第一Re層)、第一誘電体層、Ti酸化物を含む層が積層されており、第二情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(第二Re層)、第二誘電体層が積層形成されている追記型2層構成光記録媒体。
【選択図】図1
Description
本発明は、青色レーザ光波長領域でも高密度の記録が可能な追記型(WORM:Write Once Read Many)光記録媒体に係り、特に、少なくとも、第一情報層、中間層及び第二情報層を有する追記型2層構成光記録媒体に関するものである。
レーザ光ビームの照射により記録可能な光記録媒体としてCD−R、DVD−R等の追記型光記録媒体がある。これらの光記録媒体はCD−ROM又はDVD−ROMと再生互換性があり、小規模の配布媒体や保存用の媒体として使用されている。しかし、CD−RやDVD−Rは現在、有機色素を用いた媒体が主流であり、低コストで大量生産が行われている。追記型光記録媒体を無機記録層で実現する場合には、層数が多くなるとコストが上昇し商品としてのメリットが無くなるため、できるだけ層数の少ない追記型光記録媒体が提案されてきた。追記型光記録媒体には穴あけタイプ、相変化タイプ、合金化タイプなどがあり、コストの面からは穴あけ記録方式が有望であるが、C/Nが低くなってしまうという問題があった。これは穴を開けたピット部分において溶融した膜がピット内に水玉のようになって残ったり、周辺部に盛り上がったりすることが原因であった。また、穴あけ記録方式では層構成は1層となるため、通常使用されてきた記録膜ではROMの高い反射率に対応できず規格外製品となってしまっていた。
穴あけ記録材料としてはTeとAu又はAgの化合物があるが(特許文献1〜2など)、これらの材料の沸点は1000℃以上であり、非常に感度が低い光記録媒体であった。
融点まで温度を上昇させればよい相変化タイプに比べ、穴あけ記録方式では記録のために沸点以上まで温度を上げる大きな熱量を必要としている。そのため、相変化タイプに比べて大きなレーザパワーを必要とし、高線速記録となると半導体レーザのパワーが足りなくなる。従って、より高感度な記録膜が要求されている。
特許文献3には、400℃以下の温度で揮発性成分を遊離する第一の層の上に耐腐食性金属層を形成し、記録感度を高める試みをした発明が開示されているが、反射率を高めることは目的とされておらず、ROM互換とはなり得ない。また、耐腐食性金属をAu、Agなどとしているが、これらは熱伝導率が極めて高く、加熱したエネルギーが拡散により逃げるため、結果的に効果は低く、高線速記録には不適当であった。
融点まで温度を上昇させればよい相変化タイプに比べ、穴あけ記録方式では記録のために沸点以上まで温度を上げる大きな熱量を必要としている。そのため、相変化タイプに比べて大きなレーザパワーを必要とし、高線速記録となると半導体レーザのパワーが足りなくなる。従って、より高感度な記録膜が要求されている。
特許文献3には、400℃以下の温度で揮発性成分を遊離する第一の層の上に耐腐食性金属層を形成し、記録感度を高める試みをした発明が開示されているが、反射率を高めることは目的とされておらず、ROM互換とはなり得ない。また、耐腐食性金属をAu、Agなどとしているが、これらは熱伝導率が極めて高く、加熱したエネルギーが拡散により逃げるため、結果的に効果は低く、高線速記録には不適当であった。
また、合金化方式としては、特許文献4に、Ge、Si、Snの何れかの元素からなる層と、Au、Ag、Al、Cuの何れかの元素からなる層にレーザ光を照射し、この二層を合金化させて記録する方法が提案されているが、low to high記録となり、ROM互換とはなり得なかった。
また、特許文献5には、InとTeの合金で相変化タイプの記録層を成膜する発明が開示されており、組成比をIn:Te=2:1〜1:1又は2:3〜2:5としているが、この発明では成膜時の状態が非晶質であり反射率が低いため初期化処理が必要である。そのため工程が増えコストの増大を招いていた。
また、特許文献5には、InとTeの合金で相変化タイプの記録層を成膜する発明が開示されており、組成比をIn:Te=2:1〜1:1又は2:3〜2:5としているが、この発明では成膜時の状態が非晶質であり反射率が低いため初期化処理が必要である。そのため工程が増えコストの増大を招いていた。
また、特許文献6には、Ag−Znからなる第一の層(相変化合金薄膜)と、Te、Se、Sから選ばれる一種類を主成分とする第二の層(低融点薄膜)を設け、二つの層の拡散により記録を行なう発明が開示されているが、反射率を高めるために第一の層を30〜70nm、第二の層を50〜150nmと厚くしており、生産時のタクト及びコストに不利となっていた。また、膜厚を厚くすることにより反射率を大きく上げているが、本発明者らの調査では、反射率が高く吸収率が小さすぎるため熱吸収が記録膜上で殆ど起こらず、感度が非常に悪いということが分かった。このためDVDなどの速い線速を求められる媒体には使用できない。また、AgとTe、Seなどは非常に反応性が高く、読み取りレーザ光を照射するだけで、又は媒体を放置するだけで、二つの層の反応が起こり反射率は低下した。
また、特許文献7には、第1層が主にInからなる薄膜、第2層が周期表の5B、6B族元素を含む薄膜からなり、2層間の反応又は合金化による反射率変化を伴う媒体が開示されているが、この媒体も特許文献6の発明と同様に、InとTeなどの反応性が高いため非常に不安定であった。
上記した諸々の問題が、層数の少ない無機材料からなる記録層を有する追記型光記録媒体の普及に大きな障害となっていた。
また、特許文献7には、第1層が主にInからなる薄膜、第2層が周期表の5B、6B族元素を含む薄膜からなり、2層間の反応又は合金化による反射率変化を伴う媒体が開示されているが、この媒体も特許文献6の発明と同様に、InとTeなどの反応性が高いため非常に不安定であった。
上記した諸々の問題が、層数の少ない無機材料からなる記録層を有する追記型光記録媒体の普及に大きな障害となっていた。
また、以前に本発明者らは青色領域のレーザ光による追記型光記録媒体に関する発明の出願をした(特許文献8)。その内容について簡潔に述べると以下のようになる。
即ち、この先願発明は、従来、光吸収機能による熱発生層であり且つ分解・変質に起因した屈折率(複素屈折率の実部)変化による記録層として機能していた有機材料薄膜の代りに、無機層である主に酸化ビスマスからなる記録層(Re層)を設けた点に特徴がある。先願明細書には、その媒体層構成が重要であることが記載されており、それを最適化することにより大きな有用性を見出したものである。本発明者らは主に酸化ビスマスからなる記録層を青色レーザ対応の追記型光記録媒体に適用し、非常に優れた記録再生特性が得られることを確認している。
即ち、この先願発明は、従来、光吸収機能による熱発生層であり且つ分解・変質に起因した屈折率(複素屈折率の実部)変化による記録層として機能していた有機材料薄膜の代りに、無機層である主に酸化ビスマスからなる記録層(Re層)を設けた点に特徴がある。先願明細書には、その媒体層構成が重要であることが記載されており、それを最適化することにより大きな有用性を見出したものである。本発明者らは主に酸化ビスマスからなる記録層を青色レーザ対応の追記型光記録媒体に適用し、非常に優れた記録再生特性が得られることを確認している。
最近では、書き換え可能な追記型光記録媒体の記録容量を増大する観点から、片面2層構成の提案がなされている(例えば、特許文献9〜10、非特許文献1等参照)。
本発明者らが開発を行っているRe層を有する追記型光記録媒体はBiの結晶化を主体とした記録原理を有するが、高感度で反射率が適切な媒体を得るためには、その媒体設計が非常に重要となる。
しかしながら、前記特許文献8のRe層のBiは結晶化速度が速いため、マークを横方向に広げないためにも速やかに隣接する反射層などに熱を逃がしてやる必要がある。即ち、Biは急冷構造を取ることが必要な材料であり、記録層片面2層型のような反射層の薄い構造では、微小なマーク形成が困難になるという問題がある。
本発明者らが開発を行っているRe層を有する追記型光記録媒体はBiの結晶化を主体とした記録原理を有するが、高感度で反射率が適切な媒体を得るためには、その媒体設計が非常に重要となる。
しかしながら、前記特許文献8のRe層のBiは結晶化速度が速いため、マークを横方向に広げないためにも速やかに隣接する反射層などに熱を逃がしてやる必要がある。即ち、Biは急冷構造を取ることが必要な材料であり、記録層片面2層型のような反射層の薄い構造では、微小なマーク形成が困難になるという問題がある。
熱を逃がすための熱拡散層を設けた発明としては、特許文献11などがあるが、これらの発明は相変化型の書き換え可能な情報記録媒体(所謂RW)に関するものである。RW媒体は相変化型の記録層に何度も記録再生を行うことを目的とした層構成を持っており、レーザ照射による加熱とその後の冷却によって、結晶状態と非晶質状態との間で相変化し、急速加熱後に急冷すると非晶質となり、徐冷すると結晶化する性質を情報の記録、消去、再生に応用したものである。しかしながら、本発明のようにBiを主成分として含有する記録層を有する追記型2層構成光記録媒体は一度だけの記録を目的としており、再記録はできない材料構成と膜構成が要求され、その最適とされる層構成が異なるため、RW媒体の発明に係る知見を単純に応用することはできない。
比較的熱伝導率が高く光吸収率の小さい窒化物又は炭化物などを用いて、反射層が担っていた熱拡散機能を補助する層(熱拡散層)を反射層の上に更に設けて急冷構造に近づけるやり方が、単層相変化型情報記録媒体(特許文献12)、及び2層相変化型情報記録媒体(特許文献13)などで提案されている。この方法は第一情報層を構成する反射層を薄くした場合に発生する前述のような欠点を解消するのに有効な方法であると考えられる。
しかしながら、これら窒化物又は炭化物などの材料は、応力が大きいために形成された熱拡散層にクラックを生じやすく、その結果、熱拡散層を設けた光記録媒体について、充分なオーバーライト特性が得られないという問題がある。また、炭化物材料は、とりわけ短波長側での吸収が大きく、青紫色レーザを用いるBlu−ray Diskシステムのような次世代のシステムでは、第一情報層の光透過率を大きくすることが出来ないと言う問題が生じる。
しかしながら、これら窒化物又は炭化物などの材料は、応力が大きいために形成された熱拡散層にクラックを生じやすく、その結果、熱拡散層を設けた光記録媒体について、充分なオーバーライト特性が得られないという問題がある。また、炭化物材料は、とりわけ短波長側での吸収が大きく、青紫色レーザを用いるBlu−ray Diskシステムのような次世代のシステムでは、第一情報層の光透過率を大きくすることが出来ないと言う問題が生じる。
Ti酸化物については、特許文献14に、多層情報記録媒体の誘電体層として酸化チタンを用いた例が開示されている。
また、青色レーザを用いた情報記録媒体に酸化チタンを用いた例としては特許文献15〜16がある。これらの発明では第一情報層の反射層として酸化チタンを用いている。
しかし、酸化チタンのみで第一情報層の反射層を形成すると、その厚みは60nm又は120nmといった厚いものになり、第二情報層の感度を悪くする結果をもたらす。また、酸化チタンのスパッタレートは非常に遅いため(1〜2nm/s)、量産する際に、前述のような厚い膜をスパッタすることは殆ど不可能であるため、薄い酸化チタンを形成させる必要がある。しかし、薄い酸化チタンでは充分な反射率が得られなかった。
また、青色レーザを用いた情報記録媒体に酸化チタンを用いた例としては特許文献15〜16がある。これらの発明では第一情報層の反射層として酸化チタンを用いている。
しかし、酸化チタンのみで第一情報層の反射層を形成すると、その厚みは60nm又は120nmといった厚いものになり、第二情報層の感度を悪くする結果をもたらす。また、酸化チタンのスパッタレートは非常に遅いため(1〜2nm/s)、量産する際に、前述のような厚い膜をスパッタすることは殆ど不可能であるため、薄い酸化チタンを形成させる必要がある。しかし、薄い酸化チタンでは充分な反射率が得られなかった。
本発明は、上述したような従来の問題に鑑み、Biを主成分として含有する薄膜(Re層)を記録層とする簡易で単純な層構成を有し、高密度記録が可能で、高感度、高PRSNR、高反射率の追記型2層構成光記録媒体の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)〜12)の発明によって解決される。
1) レーザ光入射側から、少なくとも、第一情報層、中間層、第二情報層をこの順に有し、第一情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(第一Re層)、第一誘電体層、Ti酸化物を含む層が積層されており、第二情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(第二Re層)、第二誘電体層が積層形成されていることを特徴とする追記型2層構成光記録媒体。
2) 第一情報層が第一反射層を有することを特徴とする1)記載の追記型2層構成光記録媒体。
3) 第二情報層が第二反射層を有することを特徴とする1)又は2)記載の追記型2層構成光記録媒体。
4) 第一反射層の膜厚T1とTi酸化物を含む層の膜厚T2が、T2/T1=0.4〜1.5の範囲にあることを特徴とする2)又は3)記載の追記型2層構成光記録媒体。
5) 第一誘電体層の膜厚t1と第二誘電体層の膜厚t2が、t2/t1=0.7〜1.5の範囲にあることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
6) 第一Re層の膜厚が5〜25nm、第一誘電体層の膜厚が10〜30nmであり、第二Re層の膜厚が5〜25nm、第二誘電体層の膜厚が10〜30nmであることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
7) 第一Re層と第一基板の間に、典型元素を含む化合物を主成分とする層(典型元素を含む化合物層)が積層形成されていることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
8) 典型元素を含む化合物層の典型元素がZn、In、Al及びSnの中から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする7)記載の追記型2層構成光記録媒体。
9) 典型元素を含む化合物層の膜厚が10〜70nmであることを特徴とする7)又は8)記載の追記型2層構成光記録媒体。
10) Ti酸化物を含む層の熱伝導率の値がバルクの状態で6〜9.5(W/mK)の範囲にあることを特徴とする1)〜9)の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
11) Re層が、Bi酸化物を主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
12) Re層が、Al、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、V、Nb及びBの中から選ばれる一種以上の元素Mを含有することを特徴とする1)〜11)の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
1) レーザ光入射側から、少なくとも、第一情報層、中間層、第二情報層をこの順に有し、第一情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(第一Re層)、第一誘電体層、Ti酸化物を含む層が積層されており、第二情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(第二Re層)、第二誘電体層が積層形成されていることを特徴とする追記型2層構成光記録媒体。
2) 第一情報層が第一反射層を有することを特徴とする1)記載の追記型2層構成光記録媒体。
3) 第二情報層が第二反射層を有することを特徴とする1)又は2)記載の追記型2層構成光記録媒体。
4) 第一反射層の膜厚T1とTi酸化物を含む層の膜厚T2が、T2/T1=0.4〜1.5の範囲にあることを特徴とする2)又は3)記載の追記型2層構成光記録媒体。
5) 第一誘電体層の膜厚t1と第二誘電体層の膜厚t2が、t2/t1=0.7〜1.5の範囲にあることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
6) 第一Re層の膜厚が5〜25nm、第一誘電体層の膜厚が10〜30nmであり、第二Re層の膜厚が5〜25nm、第二誘電体層の膜厚が10〜30nmであることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
7) 第一Re層と第一基板の間に、典型元素を含む化合物を主成分とする層(典型元素を含む化合物層)が積層形成されていることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
8) 典型元素を含む化合物層の典型元素がZn、In、Al及びSnの中から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする7)記載の追記型2層構成光記録媒体。
9) 典型元素を含む化合物層の膜厚が10〜70nmであることを特徴とする7)又は8)記載の追記型2層構成光記録媒体。
10) Ti酸化物を含む層の熱伝導率の値がバルクの状態で6〜9.5(W/mK)の範囲にあることを特徴とする1)〜9)の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
11) Re層が、Bi酸化物を主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
12) Re層が、Al、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、V、Nb及びBの中から選ばれる一種以上の元素Mを含有することを特徴とする1)〜11)の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の追記型2層構成光記録媒体は、基本的な層構成として、第一情報層、第二情報層共に、レーザ光照射側から、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(Re層)と誘電体層が順次積層されている。ここで、Biを主成分として含有するとは、Re層の組成においてBiが必須成分であると共に、酸素を除いた構成元素全体のうち、Biが30原子%以上を占めることを意味する。例えばRe層がBi、Fe、O(酸素)からなる場合、BiとFeの合計量のうち、Biが30原子%以上を占めることを意味する。
本発明の追記型2層構成光記録媒体は、基本的な層構成として、第一情報層、第二情報層共に、レーザ光照射側から、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(Re層)と誘電体層が順次積層されている。ここで、Biを主成分として含有するとは、Re層の組成においてBiが必須成分であると共に、酸素を除いた構成元素全体のうち、Biが30原子%以上を占めることを意味する。例えばRe層がBi、Fe、O(酸素)からなる場合、BiとFeの合計量のうち、Biが30原子%以上を占めることを意味する。
また、誘電体層の材料は、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定される。一般的には、透明性が高く高融点である金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物やCa、Mg、Li等のフッ化物を用いることができる。
上記観点及びRe層との整合性を考慮すると、好ましい結果をもたらす低熱伝導率の材料としては、ZnS、ZnO、TaS2及び希土類硫化物から選択される少なくとも1種を50〜90モル%含み、かつ、融点又は分解点が1000℃以上の耐熱性化合物を含む複合誘電体が望ましい。
上記融点又は分解点が1000℃以上の耐熱化合物材料としては、例えばMg、Ca、Y、La、Ce、Ho、Er、Yb、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Al、Si、Ge、Pb等の酸化物、窒化物又は炭化物、Ca、Mg、Li等のフッ化物が挙げられる。特に好ましいのは、ZnSとSiO2の混合物である。なお、上記酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、フッ化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、混合して用いることも有効である。
上記観点及びRe層との整合性を考慮すると、好ましい結果をもたらす低熱伝導率の材料としては、ZnS、ZnO、TaS2及び希土類硫化物から選択される少なくとも1種を50〜90モル%含み、かつ、融点又は分解点が1000℃以上の耐熱性化合物を含む複合誘電体が望ましい。
上記融点又は分解点が1000℃以上の耐熱化合物材料としては、例えばMg、Ca、Y、La、Ce、Ho、Er、Yb、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Al、Si、Ge、Pb等の酸化物、窒化物又は炭化物、Ca、Mg、Li等のフッ化物が挙げられる。特に好ましいのは、ZnSとSiO2の混合物である。なお、上記酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、フッ化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、混合して用いることも有効である。
Re層は本発明の光記録媒体において、主たる光吸収機能を担う層である。
Re層は、正常分散を示す材料よりなり、有機材料のように、ある波長範囲内に大きな吸収帯を有する材料ではないため、複素屈折率の波長依存性が小さい。従って、レーザ光の個体差や、環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという従来の問題を大幅に解消することができる。
従来公知の追記型光記録媒体においては、有機材料薄膜が記録層と光吸収層の機能を兼用しているため、記録再生波長に対して、大きな屈折率nと比較的小さな吸収係数kを有することが有機材料の必須条件とされ、そのため有機材料を分解させる温度まで到達させるには、比較的、膜厚を厚く形成する必要があった。また、相変化型の光記録媒体については、基板の溝深さを非常に深くする必要があった。
しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、本発明1のような層構成とすることにより、ジッタ、PRSNRが向上することを見出した。なお、PRSNR(Partial Response Signal to Noise Ratio)は、再生信号のS/N及び実際の再生波形と理論的なPR波形線形成を同時に表現できる指標で、ディスクのビット誤り率の推定を行うために必要な指標の一つである。再生波形から得られる振幅情報を特殊処理して目標とする信号を作り出し、実際の再生信号との差をPRSNRとして規格化している。PRSNRは、大きいほど良好な信号特性を示しており、一般にエラー率を実用的な範囲に留めるためには15以上の値が必要である。
Re層は、正常分散を示す材料よりなり、有機材料のように、ある波長範囲内に大きな吸収帯を有する材料ではないため、複素屈折率の波長依存性が小さい。従って、レーザ光の個体差や、環境温度の変化等による記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等が大きく変化するという従来の問題を大幅に解消することができる。
従来公知の追記型光記録媒体においては、有機材料薄膜が記録層と光吸収層の機能を兼用しているため、記録再生波長に対して、大きな屈折率nと比較的小さな吸収係数kを有することが有機材料の必須条件とされ、そのため有機材料を分解させる温度まで到達させるには、比較的、膜厚を厚く形成する必要があった。また、相変化型の光記録媒体については、基板の溝深さを非常に深くする必要があった。
しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、本発明1のような層構成とすることにより、ジッタ、PRSNRが向上することを見出した。なお、PRSNR(Partial Response Signal to Noise Ratio)は、再生信号のS/N及び実際の再生波形と理論的なPR波形線形成を同時に表現できる指標で、ディスクのビット誤り率の推定を行うために必要な指標の一つである。再生波形から得られる振幅情報を特殊処理して目標とする信号を作り出し、実際の再生信号との差をPRSNRとして規格化している。PRSNRは、大きいほど良好な信号特性を示しており、一般にエラー率を実用的な範囲に留めるためには15以上の値が必要である。
本発明では、Re層を用いた媒体を記録層片面2層型にするため、第一反射層を無くすか又はその膜厚を、十分に光が透過するまで薄くしなければならない。一方、前述したようにBiは結晶化速度が速いため、マークを横方向に広げないためにも速やかに隣接する反射層などに熱を逃がしてやる必要がある。即ち、急冷構造を取ることが必要な材料であり、反射層が無いか又はその膜厚が薄い構造では微小なマーク形成が困難になるという問題がある。
また、第二情報層が記録再生できるように、用いるレーザ光波長での吸収率が小さいことも望まれる。情報の記録再生に用いるレーザ光の波長において、消衰係数は0.5以下が望ましく、0.3以下がより好ましい。消衰係数が0.5よりも大きいと第一情報層での吸収率が増大し、第二情報層の記録再生が困難になる。
また、第二情報層が記録再生できるように、用いるレーザ光波長での吸収率が小さいことも望まれる。情報の記録再生に用いるレーザ光の波長において、消衰係数は0.5以下が望ましく、0.3以下がより好ましい。消衰係数が0.5よりも大きいと第一情報層での吸収率が増大し、第二情報層の記録再生が困難になる。
しかし、本発明1のようにTi酸化物を含む層を設ければ、反射層の薄い構造においても急冷構造を確保でき、微小なマークを形成させることが出来るようになり、PRSNRの大幅な改善が可能となる。更に、Ti酸化物は誘電体の中でも特に屈折率が高いので、反射層を無くすことも可能である。Ti酸化物のように屈折率が高く微小なマークを形成するのに充分な熱伝導率を有する誘電体は殆どない。
Ti酸化物を含む層の材料としては、Ti酸化物のみでもよいが、SiO2、Al2O3などを配合して用いてもよい。Ti酸化物の配合割合は、屈折率を充分高くするため70モル%以上、好ましくは90モル%以上とする。
また、Ti酸化物を含む層は熱拡散層の機能も有するので、その熱伝導率の値がバルク(1mm以上の厚みを持つサンプル)の状態で6〜9.5(W/mK)であることが好ましい。なお、本発明者らは熱伝導率をレーザフラッシュ法により測定した。測定試料の形状は縦12mm、横2mm、厚さ1mmであり、試料表面をカーボンスプレーで黒化処理したものを用いた。
Ti酸化物を含む層の材料としては、Ti酸化物のみでもよいが、SiO2、Al2O3などを配合して用いてもよい。Ti酸化物の配合割合は、屈折率を充分高くするため70モル%以上、好ましくは90モル%以上とする。
また、Ti酸化物を含む層は熱拡散層の機能も有するので、その熱伝導率の値がバルク(1mm以上の厚みを持つサンプル)の状態で6〜9.5(W/mK)であることが好ましい。なお、本発明者らは熱伝導率をレーザフラッシュ法により測定した。測定試料の形状は縦12mm、横2mm、厚さ1mmであり、試料表面をカーボンスプレーで黒化処理したものを用いた。
追記型2層構成光記録媒体においては、第一情報層に記録できる特性を保持しながら、第二情報層に記録再生できるだけの光を適量透過させる能力を有する必要があるので、反射層を設ける場合には、反射層の膜厚とTi酸化物を含む層の膜厚とのバランスが非常に重要である。本発明者らは、第一反射層の膜厚T1とTi酸化物を含む層の膜厚T2を、T2/T1=0.4〜1.5の範囲とすることにより、第一情報層と第二情報層の記録再生特性のバランスを取り、両情報層において良好な信号特性と感度が実現できることを見出した。T2/T1が0.4よりも小さいと、第一情報層の反射率が上昇しすぎて第二情報層へ到達する光が少なくなり、第二情報層の感度、PRSNR値の悪化を招く。また、T2/T1が1.5よりも大きいと、第一情報層の透過率が高くなりすぎて第一情報層の感度、PRSNRの悪化を招く。
また、T1が8〜25nmの範囲にある場合、T2を10〜25nmとすることにより、反射層の薄い構造においても急冷構造を確保することができ、微小なマークを形成させることが出来るようになり、PRSNRの大幅な改善が可能となる。
前述のようなBiの性質から急冷構造が重要であるが、T1が8〜25nmの範囲にある場合、T2が10nmよりも薄いと、反射層の薄い構造では微小なマーク形成が困難となり、信号特性が急激に悪化する。また、T2が25nmよりも厚いと、405nmのレーザの透過率が高くなり、第一情報層の感度とPRSNRが悪化する。
また、T1が8〜25nmの範囲にある場合、T2を10〜25nmとすることにより、反射層の薄い構造においても急冷構造を確保することができ、微小なマークを形成させることが出来るようになり、PRSNRの大幅な改善が可能となる。
前述のようなBiの性質から急冷構造が重要であるが、T1が8〜25nmの範囲にある場合、T2が10nmよりも薄いと、反射層の薄い構造では微小なマーク形成が困難となり、信号特性が急激に悪化する。また、T2が25nmよりも厚いと、405nmのレーザの透過率が高くなり、第一情報層の感度とPRSNRが悪化する。
また、第一誘電体層の膜厚t1と第二誘電体層の膜厚t2を、t2/t1=0.7〜1.5の範囲にあるようにすれば、第一情報層の透過率と第二情報層の反射率とのバランスが最適となり、両情報層において良好な記録特性(感度、PRSNR、反射率)が得られる。t2/t1が0.7未満では、第一情報層の反射率が高くなり透過率が低くなるため、第二情報層の感度が非常に悪くなる。t2/t1が1.5よりも大きいと、第二情報層の反射率が大幅に上昇し、やはり第二情報層の感度が著しく悪化し、PRSNRも悪化する。即ち、第一情報層と第二情報層の誘電体層の膜厚比を最適化することにより、両情報層において、高感度、高PRSNR、高反射率の特性を比較的簡素な層構成で実現できる。
また、第一Re層の膜厚が5〜25nm、第一誘電体層の膜厚が10〜30nm、第二Re層の膜厚が5〜25nm、第二誘電体層の膜厚が10〜30nmとなるように各層の膜厚を選択すれば、第一情報層の透過率と第二情報層の反射率とのバランスが最適となり、両情報層において良好な記録特性(感度、PRSNR、反射率)が得られる。第一情報層の各膜厚が上記限定範囲を外れると、第一情報層の透過率が低下し、第二情報層の感度が著しく悪化し、PRSNRも悪化する。第二情報層の各膜厚が上記限定範囲を外れると、第二情報層の反射率が著しく上昇し、第二情報層の感度とPRSNRが悪化する。
即ち、第一情報層及び第二情報層の各層の膜厚を最適化することにより、両情報層において、高感度、高PRSNR、高反射率の特性を比較的簡素な層構成で実現できる。
即ち、第一情報層及び第二情報層の各層の膜厚を最適化することにより、両情報層において、高感度、高PRSNR、高反射率の特性を比較的簡素な層構成で実現できる。
また、第一Re層と第一基板の間に、典型元素を含む化合物を主成分とする層(典型元素を含む化合物層)を積層することが望ましい。ここで主成分とは、材料全体の30モル%以上を占めることを意味するが、通常は上記化合物のみを用いる。
通常、基板は水分や酸素を含んでおり、また水分や酸素を透過しやすいので、記録層などが接している場合、これを酸化して特性を悪化させるが、典型元素を含む化合物層を設けると、水分や酸素を遮断して保存特性を向上させる効果が得られる。また、耐環境試験特性における安定性が大きく向上する。しかも、本典型元素を含む化合物層を用いても、反射率を低下させるなどの悪影響を及ぼさないことも特徴の一つである。
典型元素としてはZn、In、Al及びSnの中から選ばれる一種以上の元素が好ましく、典型元素を含む化合物の例としては、ZnS、ZnSSiO2、InO2、SnO2、Al2O3、AlN、ITO(インジウムスズ酸化物)などが挙げられる。
更に、第二情報層のレーザ入射面側にも典型元素を含む化合物層を設けても良い。これにより、第二情報層の安定性が増すことが期待される。
典型元素を含む化合物層の膜厚は、10〜70nmとすることが望ましい。膜厚が10nm未満では水分や酸素の透過を充分に防ぐことができず第一Re層の劣化を招き、70nmを超えると製膜に時間がかかりタクトが長くなったり、製膜の熱によって基板や溝が変形するなどの弊害をもたらす上に、記録特性が著しく劣化する。
通常、基板は水分や酸素を含んでおり、また水分や酸素を透過しやすいので、記録層などが接している場合、これを酸化して特性を悪化させるが、典型元素を含む化合物層を設けると、水分や酸素を遮断して保存特性を向上させる効果が得られる。また、耐環境試験特性における安定性が大きく向上する。しかも、本典型元素を含む化合物層を用いても、反射率を低下させるなどの悪影響を及ぼさないことも特徴の一つである。
典型元素としてはZn、In、Al及びSnの中から選ばれる一種以上の元素が好ましく、典型元素を含む化合物の例としては、ZnS、ZnSSiO2、InO2、SnO2、Al2O3、AlN、ITO(インジウムスズ酸化物)などが挙げられる。
更に、第二情報層のレーザ入射面側にも典型元素を含む化合物層を設けても良い。これにより、第二情報層の安定性が増すことが期待される。
典型元素を含む化合物層の膜厚は、10〜70nmとすることが望ましい。膜厚が10nm未満では水分や酸素の透過を充分に防ぐことができず第一Re層の劣化を招き、70nmを超えると製膜に時間がかかりタクトが長くなったり、製膜の熱によって基板や溝が変形するなどの弊害をもたらす上に、記録特性が著しく劣化する。
Re層にはBi酸化物を主成分とする材料を用いることが望ましい。ここで、主成分とは、Re層に含まれるBiの量が前述した条件を満足するように用いることを意味する。
Bi酸化物をRe層の材料として用いることにより、極めて良好なPRSNRを得ることができ、かつ反射率の向上を図ることができる。このような層は、Re層を製膜する際のターゲットをBi酸化物又はBi合金酸化物とするか、Bi又はBi合金をアルゴンと酸素の混合雰囲気中でスパッタする等の手段を用いることにより製膜できる。
更に、Re層には、Al、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、V、B、及びNbの中から選ばれる一種以上の元素Mを含有させることが望ましい。元素Mを含有させることにより青色波長の光に対して良好な記録を行うことができる。
未記録状態の結晶構造と記録マークの結晶構造が異なるようにすることにより変調度を得ることは、従来から相変化記録などで行われていたが、本発明では、2種類以上の酸化物の結晶が混在する状態で記録マークを形成することにより、記録マークと未記録部の屈折率差などがより大きくなり、大きな変調度が得られる。更に、それぞれの酸化物の結晶だけでなく単体元素の結晶を存在させることで、より大きな効果が得られる。また、異なる元素又は結晶構造の結晶が混在することで、結晶の成長を抑えることができる。即ち、二つ以上の異なる元素及び/又は結晶構造の結晶からなる記録マークは、大きく成長して広がってしまうことが抑制され、小さい記録マークを形成することができる。
Bi酸化物をRe層の材料として用いることにより、極めて良好なPRSNRを得ることができ、かつ反射率の向上を図ることができる。このような層は、Re層を製膜する際のターゲットをBi酸化物又はBi合金酸化物とするか、Bi又はBi合金をアルゴンと酸素の混合雰囲気中でスパッタする等の手段を用いることにより製膜できる。
更に、Re層には、Al、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、V、B、及びNbの中から選ばれる一種以上の元素Mを含有させることが望ましい。元素Mを含有させることにより青色波長の光に対して良好な記録を行うことができる。
未記録状態の結晶構造と記録マークの結晶構造が異なるようにすることにより変調度を得ることは、従来から相変化記録などで行われていたが、本発明では、2種類以上の酸化物の結晶が混在する状態で記録マークを形成することにより、記録マークと未記録部の屈折率差などがより大きくなり、大きな変調度が得られる。更に、それぞれの酸化物の結晶だけでなく単体元素の結晶を存在させることで、より大きな効果が得られる。また、異なる元素又は結晶構造の結晶が混在することで、結晶の成長を抑えることができる。即ち、二つ以上の異なる元素及び/又は結晶構造の結晶からなる記録マークは、大きく成長して広がってしまうことが抑制され、小さい記録マークを形成することができる。
中間層は記録再生のために照射する光の波長における光吸収が小さいことが好ましく、材料としては、成形性、コストの点で樹脂が好適であり、紫外線硬化樹脂、遅効性樹脂、熱可逆性樹脂などを用いることができる。また、光ディスク貼り合わせ用の両面テープ(例えば日東電工社製の粘着シートDA−8321)なども用いることができる。
中間層は、記録再生を行う際に、ピックアップが第一情報層と第二情報層とを識別して光学的に分離できるようにするものであり、その厚さは10〜70μmが好ましい。
基板の材料としては、熱的、機械的に優れた特性を有し、基板側から(基板を通して)記録再生が行われる場合には光透過特性にも優れたものであれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、非晶質ポリオレフィン、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられるが、ポリカーボネートや非晶質ポリオレフィンが好適である。
基板の厚さは、用途により適宜設定することができ、特に限定されない。
中間層は、記録再生を行う際に、ピックアップが第一情報層と第二情報層とを識別して光学的に分離できるようにするものであり、その厚さは10〜70μmが好ましい。
基板の材料としては、熱的、機械的に優れた特性を有し、基板側から(基板を通して)記録再生が行われる場合には光透過特性にも優れたものであれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、非晶質ポリオレフィン、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられるが、ポリカーボネートや非晶質ポリオレフィンが好適である。
基板の厚さは、用途により適宜設定することができ、特に限定されない。
反射層の材料は、再生光の波長で反射率の充分高いものが好ましい。
例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd等の金属を単独で、又は合金として用いることができる。特にAu、Al、Agは反射率が高く、反射層の材料として好適である。また、これらの金属を主成分として他の元素を含んでいても良く、他の元素としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属を挙げることができる。中でもAgを主成分とするものは、コストが安く高反射率が得やすいので特に好適である。
また、金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd等の金属を単独で、又は合金として用いることができる。特にAu、Al、Agは反射率が高く、反射層の材料として好適である。また、これらの金属を主成分として他の元素を含んでいても良く、他の元素としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属を挙げることができる。中でもAgを主成分とするものは、コストが安く高反射率が得やすいので特に好適である。
また、金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
反射層の膜厚は、第一反射層では8〜25nm、第二反射層では50〜200nmが好適である。
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。
反射層にAg等を用いた場合、ZnSSiO2層を隣接させて積層するとZnSSiO2中のSがAgと徐々に反応し、特性の悪化や反射率の減少などを招く可能性がある。よって、反射層と誘電体層の間に硫化防止層と呼ばれる層を設けてもよい。硫化防止層の材料としては、例えばSiO、ZnO、SnO3、Al2O3、TiO3、In2O3などの酸化物、Si3N4、AlN、TiNなどの窒化物、SiCなどの炭化物が挙げられるが、一般によく用いられているのはSiCである。
反射層を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。
反射層にAg等を用いた場合、ZnSSiO2層を隣接させて積層するとZnSSiO2中のSがAgと徐々に反応し、特性の悪化や反射率の減少などを招く可能性がある。よって、反射層と誘電体層の間に硫化防止層と呼ばれる層を設けてもよい。硫化防止層の材料としては、例えばSiO、ZnO、SnO3、Al2O3、TiO3、In2O3などの酸化物、Si3N4、AlN、TiNなどの窒化物、SiCなどの炭化物が挙げられるが、一般によく用いられているのはSiCである。
図1に本発明の追記型2層構成光記録媒体の基本的層構成を示す。但し、第一反射層、第二反射層、典型元素を含む化合物層はなくてもよい。
各層の膜厚は、通常、第一Re層を5〜25nm、好ましくは10〜15nm、第一誘電体層を10〜30nm、好ましくは13〜25nm、第一反射層を8〜25nm、好ましくは10〜15nm、Ti酸化物を含む層を10〜25nm、好ましくは12〜20nm、第二Re層を5〜25nm、好ましくは10〜15nm、第二誘電体層を10〜30nm、好ましくは13〜25nm、第二反射層を50〜200nm、好ましくは60〜90nmとする。
また、基板の上(基板の内側の面上)や反射層の下(通常は反射層と誘電体層の間)に、反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系又は有機系の上引層、下引層あるいは接着層を設けてもよい。
各層の膜厚は、通常、第一Re層を5〜25nm、好ましくは10〜15nm、第一誘電体層を10〜30nm、好ましくは13〜25nm、第一反射層を8〜25nm、好ましくは10〜15nm、Ti酸化物を含む層を10〜25nm、好ましくは12〜20nm、第二Re層を5〜25nm、好ましくは10〜15nm、第二誘電体層を10〜30nm、好ましくは13〜25nm、第二反射層を50〜200nm、好ましくは60〜90nmとする。
また、基板の上(基板の内側の面上)や反射層の下(通常は反射層と誘電体層の間)に、反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系又は有機系の上引層、下引層あるいは接着層を設けてもよい。
反射層上や、その他の構成層間に適宜保護層を設けてもよい。保護層の材料としては、外力から保護する機能を有するものであれば、従来公知の材料を何れも適用できる。
有機材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。また、無機材料としては、SiO2、Si3N4、MgF2、SnO2等が挙げられる。
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法、スパッタ法、化学蒸着法等が用いられるが、特にスピンコート法が好ましい。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂からなる保護層は、樹脂を適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し乾燥することによって形成することができる。
紫外線硬化性樹脂からなる保護層は、樹脂をそのまま又は適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し、紫外線光を照射して硬化させることによって形成できる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を適用できる。
これらの材料は単独で用いても混合して用いても良いし、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmとするが、特に3〜30μmが好ましい。
有機材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。また、無機材料としては、SiO2、Si3N4、MgF2、SnO2等が挙げられる。
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法、スパッタ法、化学蒸着法等が用いられるが、特にスピンコート法が好ましい。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂からなる保護層は、樹脂を適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し乾燥することによって形成することができる。
紫外線硬化性樹脂からなる保護層は、樹脂をそのまま又は適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し、紫外線光を照射して硬化させることによって形成できる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を適用できる。
これらの材料は単独で用いても混合して用いても良いし、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmとするが、特に3〜30μmが好ましい。
本発明によれば、Re層を記録層とする追記型2層構成光記録媒体において、Ti酸化物を含む層を用いることにより第一情報層の記録特性を改善できる。その結果、簡易で単純な層構成を有し、高密度記録が可能で、高感度、高PRSNR、高反射率の追記型2層構成光記録媒体を提供できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
<追記型2層構成光記録媒体の作製>
表面にトラックピッチ0.40μm、溝深さ21nmの案内溝を有する直径120mm、厚さ0.59mmのポリカーボネート樹脂製の第一基板と第二基板を用意した。
次に、Balzers社製の枚葉スパッタ装置を用いて、第一基板上に、ZnSSiO2(80:20モル%)からなる膜厚40nmの典型元素を含む化合物層、Bi2O3からなる膜厚20nmの第一Re層、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる膜厚20nmの第一誘電体層、TiO2からなる膜厚15nmの層を順次製膜することにより、第一情報層を作製した。
同様にして、第二基板上に、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる膜厚20nmの第二誘電体層、Bi2O3からなる膜厚20nmの第二Re層を順次製膜することにより、第二情報層を作製した。
次に、第一情報層の膜面上に紫外線硬化樹脂(日本化薬株式会社 DVD003)を含む塗布液をスピンコートにより塗布し、同様にして第二基板上に紫外線硬化樹脂を塗布した後、減圧雰囲気下で貼り合わせた。その後、第一基板側から紫外線光を照射し紫外線硬化樹脂を硬化させて厚さ25μmの中間層を形成した。
以上のようにして、第一基板、第一情報層、中間層、第二情報層、第二基板がこの順に積層された追記型2層構成光記録媒体を作製した。
<追記型2層構成光記録媒体の作製>
表面にトラックピッチ0.40μm、溝深さ21nmの案内溝を有する直径120mm、厚さ0.59mmのポリカーボネート樹脂製の第一基板と第二基板を用意した。
次に、Balzers社製の枚葉スパッタ装置を用いて、第一基板上に、ZnSSiO2(80:20モル%)からなる膜厚40nmの典型元素を含む化合物層、Bi2O3からなる膜厚20nmの第一Re層、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる膜厚20nmの第一誘電体層、TiO2からなる膜厚15nmの層を順次製膜することにより、第一情報層を作製した。
同様にして、第二基板上に、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる膜厚20nmの第二誘電体層、Bi2O3からなる膜厚20nmの第二Re層を順次製膜することにより、第二情報層を作製した。
次に、第一情報層の膜面上に紫外線硬化樹脂(日本化薬株式会社 DVD003)を含む塗布液をスピンコートにより塗布し、同様にして第二基板上に紫外線硬化樹脂を塗布した後、減圧雰囲気下で貼り合わせた。その後、第一基板側から紫外線光を照射し紫外線硬化樹脂を硬化させて厚さ25μmの中間層を形成した。
以上のようにして、第一基板、第一情報層、中間層、第二情報層、第二基板がこの順に積層された追記型2層構成光記録媒体を作製した。
本実施例では更に、TiO2からなる層にSiO2を混合させて熱伝導率を変化させ、それを測定した。そして、これらの材料を用いた上記層構成の追記型2層構成光記録媒体を作製し、PRSNRと感度=最適記録パワー(Pw)を測定した。PRSNRは、パルステック社製ODU−1000を評価機として用い、レーザ波長405nm、NA0.6、クロック周波数64.8MHzで、6.61m/sの線速度で基板を回転させ、ランダムパターンを書き込んで評価した。感度は、同じ評価機を用い、消去パワーを3mWに固定し、記録パワーを媒体毎に振って(変化させて)、最も良好なPRSNR値を示す記録パワーを求め、感度=Pw(mW)として示した。なお、これらの評価では、HD DVD−R規格(PRSNRが15以上、感度が13mW以下)を満たさない場合を規格外とした。また、前述した方法で測定したTiO2のみの場合の熱伝導率は、9.5(W/mK)であり、このときの第一情報層、第二情報層のPRSNRは、それぞれ21、24、感度は、それぞれ12.6、12.2である。参考までに、SiO2の熱伝導率は、1.38(W/mK)である。また、HD DVD−R規格とは、DVD Specifications for High Density Recordable Disc for Dual Layer(HD DVD−R for DL)PHYSICAL SPECIFICATIONS Ver. 2.0のことである。
結果を図2、図3に示すが、この図から分かるように熱伝導率が6(W/mK)未満ではPRSNRは15に近づき、更に低い熱伝導率では15を割って悪化した。これは熱が充分に拡散せず微小なピットを形成し難くなっているためと推測される。また、熱伝導率が9.5(W/mK)を超えると、第一情報層の感度が悪化した。これは放熱が大きすぎてピット形成に必要なエネルギーが失われていることを示す。熱伝導率が6〜9.5の範囲ならば、サンプルのばらつきを考慮しても充分合格とみなすことができる。
結果を図2、図3に示すが、この図から分かるように熱伝導率が6(W/mK)未満ではPRSNRは15に近づき、更に低い熱伝導率では15を割って悪化した。これは熱が充分に拡散せず微小なピットを形成し難くなっているためと推測される。また、熱伝導率が9.5(W/mK)を超えると、第一情報層の感度が悪化した。これは放熱が大きすぎてピット形成に必要なエネルギーが失われていることを示す。熱伝導率が6〜9.5の範囲ならば、サンプルのばらつきを考慮しても充分合格とみなすことができる。
(実施例2)
第一誘電体層とTiO2からなる層の間に、Agからなる膜厚20nmの第一反射層を設け、第二基板上と第二誘電体層の間に、Agからなる膜厚80nmの第二反射層を設けた点以外は、実施例1と同様にして追記型2層構成光記録媒体を作製した(図1参照)。
そして、第一反射層の膜厚T1とTiO2からなる層の膜厚T2を振って、T2/T1の割合を様々に変化させ、PRSNR及び感度を実施例1と同様にして測定した。具体的には第一反射層の膜厚を8〜25nmの範囲で変化させ、それぞれについてT2を振ってT2/T1を求めた。
結果を図4、図5に示すが、この図から分るように、T2/T1が0.4よりも小さいと、第一情報層の反射率が上昇しすぎて第二情報層へ到達する光が少なくなり、第二情報層の感度、PRSNRの悪化を招いた。また、T2/T1が1.5よりも大きいと、第一情報層の透過率が高くなりすぎて第一情報層の感度、PRSNRの悪化を招いた。
T2/T1が0.4〜1.5の範囲ならば、サンプルのばらつきを考慮しても充分合格とみなすことができる。
また、上記範囲を満たす場合のTiO2からなる層の膜厚T2は10〜25nmであり、第一反射層が8〜15nmと薄い構造においても急冷構造を確保することができ、微小なマークを形成させることが出来るようになりPRSNRの大幅な改善が可能となった。
前述のようなBiの性質から急冷構造が重要であるが、T1が8〜25nmの範囲にある場合、TiO2からなる層の膜厚が10nmよりも薄いと、第一反射層の薄い構造では微小なマーク形成が困難となり、信号特性が急激に悪化した。また、25nmよりも厚いと、熱の拡散が多すぎる現象が生じて第一情報層のPRSNRと感度が悪化した。
第一誘電体層とTiO2からなる層の間に、Agからなる膜厚20nmの第一反射層を設け、第二基板上と第二誘電体層の間に、Agからなる膜厚80nmの第二反射層を設けた点以外は、実施例1と同様にして追記型2層構成光記録媒体を作製した(図1参照)。
そして、第一反射層の膜厚T1とTiO2からなる層の膜厚T2を振って、T2/T1の割合を様々に変化させ、PRSNR及び感度を実施例1と同様にして測定した。具体的には第一反射層の膜厚を8〜25nmの範囲で変化させ、それぞれについてT2を振ってT2/T1を求めた。
結果を図4、図5に示すが、この図から分るように、T2/T1が0.4よりも小さいと、第一情報層の反射率が上昇しすぎて第二情報層へ到達する光が少なくなり、第二情報層の感度、PRSNRの悪化を招いた。また、T2/T1が1.5よりも大きいと、第一情報層の透過率が高くなりすぎて第一情報層の感度、PRSNRの悪化を招いた。
T2/T1が0.4〜1.5の範囲ならば、サンプルのばらつきを考慮しても充分合格とみなすことができる。
また、上記範囲を満たす場合のTiO2からなる層の膜厚T2は10〜25nmであり、第一反射層が8〜15nmと薄い構造においても急冷構造を確保することができ、微小なマークを形成させることが出来るようになりPRSNRの大幅な改善が可能となった。
前述のようなBiの性質から急冷構造が重要であるが、T1が8〜25nmの範囲にある場合、TiO2からなる層の膜厚が10nmよりも薄いと、第一反射層の薄い構造では微小なマーク形成が困難となり、信号特性が急激に悪化した。また、25nmよりも厚いと、熱の拡散が多すぎる現象が生じて第一情報層のPRSNRと感度が悪化した。
(実施例3)
第一誘電体層の膜厚t1と第二誘電体層の膜厚t2をそれぞれ振った点以外は、実施例1と同様にして追記型2層構成光記録媒体を作製し、実施例1と同様にしてPRSNR及び感度を測定した。
結果を図6、図7に示すが、これらの図から分るように、t2/t1=0.7〜1.5の範囲において、第一情報層と第二情報層の両層で良好なPRSNRと感度を示した。しかし、これらの範囲を外れると、徐々にPRSNR及び感度が悪化し、特に第二情報層のPRSNR及び感度が規格値を外れてしまった。これは主にZnSSiO2のn、kと、その膜厚との関係から、反射率が高くなり過ぎて記録できる最適値から逸脱することに起因する。また、その他に、ZnO又はTaO2を50〜90モル%含んだSiO2との複合誘電体層においても同様の結果を得た。
t2/t1が0.7〜1.5の範囲ならば、サンプルのばらつきを考慮しても充分合格とみなすことができる。
第一誘電体層の膜厚t1と第二誘電体層の膜厚t2をそれぞれ振った点以外は、実施例1と同様にして追記型2層構成光記録媒体を作製し、実施例1と同様にしてPRSNR及び感度を測定した。
結果を図6、図7に示すが、これらの図から分るように、t2/t1=0.7〜1.5の範囲において、第一情報層と第二情報層の両層で良好なPRSNRと感度を示した。しかし、これらの範囲を外れると、徐々にPRSNR及び感度が悪化し、特に第二情報層のPRSNR及び感度が規格値を外れてしまった。これは主にZnSSiO2のn、kと、その膜厚との関係から、反射率が高くなり過ぎて記録できる最適値から逸脱することに起因する。また、その他に、ZnO又はTaO2を50〜90モル%含んだSiO2との複合誘電体層においても同様の結果を得た。
t2/t1が0.7〜1.5の範囲ならば、サンプルのばらつきを考慮しても充分合格とみなすことができる。
(実施例4)
典型元素を含む化合物層の膜厚を10〜70nm、第一Re層の膜厚を5〜25nm、ZnSSiO2層の膜厚を10〜30nmとし、第二Re層の膜厚を5〜25nm、ZnSSiO2層の膜厚を10〜30nmとした点以外は、実施例1と同様にして追記型2層構成光記録媒体を作製し、実施例1と同様にしてPRSNR及び感度を測定すると共に、反射率も測定した。
その結果、これらの媒体は、PRSNR20〜30という値を示し、感度も9〜11mWでの書き込みができるなど良好な特性を示した。また、反射率についてもHD DVD−R規格4.5%以上を満たす5〜7%という良好な値を示した。
なお、反射率が上昇すれば感度が悪化し、記録の際には、より大きなパワーを導入する必要があるが、大きなパワーで記録を行うと隣接マーク又は隣接トラックへ大きな影響を及ぼすことになる。これに起因してPRSNRが劣化するものと考えられる。
典型元素を含む化合物層の膜厚を10〜70nm、第一Re層の膜厚を5〜25nm、ZnSSiO2層の膜厚を10〜30nmとし、第二Re層の膜厚を5〜25nm、ZnSSiO2層の膜厚を10〜30nmとした点以外は、実施例1と同様にして追記型2層構成光記録媒体を作製し、実施例1と同様にしてPRSNR及び感度を測定すると共に、反射率も測定した。
その結果、これらの媒体は、PRSNR20〜30という値を示し、感度も9〜11mWでの書き込みができるなど良好な特性を示した。また、反射率についてもHD DVD−R規格4.5%以上を満たす5〜7%という良好な値を示した。
なお、反射率が上昇すれば感度が悪化し、記録の際には、より大きなパワーを導入する必要があるが、大きなパワーで記録を行うと隣接マーク又は隣接トラックへ大きな影響を及ぼすことになる。これに起因してPRSNRが劣化するものと考えられる。
(実施例5)
Re層のBi2O3に、Al、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、V、Nb及びBの中から選ばれる一種以上の元素Mを含有させた点以外は、実施例1と同様にして追記型2層構成光記録媒体を作製し、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
表1から分るように、これらの元素を添加することにより、実施例1に比べて、多くの場合において、更にPRSNR及び感度(Pw)を改善でき、全ての場合に、少なくとも第一情報層の感度を改善できた。
Re層のBi2O3に、Al、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、V、Nb及びBの中から選ばれる一種以上の元素Mを含有させた点以外は、実施例1と同様にして追記型2層構成光記録媒体を作製し、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
表1から分るように、これらの元素を添加することにより、実施例1に比べて、多くの場合において、更にPRSNR及び感度(Pw)を改善でき、全ての場合に、少なくとも第一情報層の感度を改善できた。
(実施例6)
典型元素を含む化合物層の膜厚を0nm、10nm、70nm、80nmとした点以外は、実施例1と同様にして追記型2層構成光記録媒体を作製し、80℃(湿度85%)の恒温槽で保存試験を行った。各保存時間ごとに実施例1と同様にして第一情報層のPRSNRを測定した結果を図8に示す。
図8から分るように、典型元素を含む化合物層がある媒体の第一情報層は良好な保存試験結果を得た。しかし、典型元素を含む化合物層が80nmになると、信号特性(PRSNR)は規格値の下限15すれすれとなった。その原因は、典型元素を含む化合物層の光学特性n、k値に応じて、各層の膜厚に最適な組み合わせがあるが、80nmでは、その最適な膜厚の組み合わせからずれてしまい、第一情報層において良好な特性が得られなくなってしまったことによると考えられる。
また、典型元素を含む化合物層の材料をInO2、Al2O3、SnO2に変えた場合でも上記とほぼ同様の結果が確認された。
典型元素を含む化合物層の膜厚を0nm、10nm、70nm、80nmとした点以外は、実施例1と同様にして追記型2層構成光記録媒体を作製し、80℃(湿度85%)の恒温槽で保存試験を行った。各保存時間ごとに実施例1と同様にして第一情報層のPRSNRを測定した結果を図8に示す。
図8から分るように、典型元素を含む化合物層がある媒体の第一情報層は良好な保存試験結果を得た。しかし、典型元素を含む化合物層が80nmになると、信号特性(PRSNR)は規格値の下限15すれすれとなった。その原因は、典型元素を含む化合物層の光学特性n、k値に応じて、各層の膜厚に最適な組み合わせがあるが、80nmでは、その最適な膜厚の組み合わせからずれてしまい、第一情報層において良好な特性が得られなくなってしまったことによると考えられる。
また、典型元素を含む化合物層の材料をInO2、Al2O3、SnO2に変えた場合でも上記とほぼ同様の結果が確認された。
(実施例7)
本実施例では、ブルーレイ方式の追記型2層構成光記録媒体の作製方法とその効果について述べる。
表面にトラックピッチ0.32μm、溝深さ21nmの案内溝を有する直径120mm、厚さ1.1mmのポリカーボネート樹脂製の第二基板を用意した。
次に、Balzers社製の枚葉スパッタ装置を用いて、第二基板上に、Agからなる膜厚80nmの第二反射層、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる膜厚20nmの第二誘電体層、Bi2O3からなる膜厚20nmの第二Re層を順次製膜し第二情報層を形成した。
次に、第二情報層の膜面上に紫外線硬化樹脂(日本化薬株式会社 DVD003)を含む塗布液をスピンコートし、光透過性のスタンパを減圧雰囲気下で貼り合わせ、光透過性のスタンパ側から紫外線光を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させた後、光透過性のスタンパを剥がして第二基板と同様な溝を持つ厚さ25μmの中間層を形成した。
次に、その溝を付けた中間層上に、TiO2からなる膜厚50nmの層、Agからなる膜厚15nmの第一反射層、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる膜厚20nmの第一誘電体層、Bi2O3からなる膜厚20nmの第一Re層、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる膜厚40nmの典型元素を含む化合物層を順次製膜することにより、第一情報層を作製した。
次に、第一情報層上に、厚さ0.09mmのポリカーボネート樹脂製カバーフィルムを紫外線硬化樹脂により貼り合わせ、紫外線を照射し硬化させてカバー層とした。
以上のようにして、カバー層、第一情報層、中間層、第二情報層、第二基板がこの順に積層されたブルーレイ方式の追記型2層構成光記録媒体を作製した(図9参照)。
ブルーレイの評価においては、レーザ光波長:405nm、対物レンズの開口数:0.85、クロック周波数66MHzで、4.92m/sの線速度で基板を回転させ、ランダムパターンを書き込んで評価した。これらの記録マークについて、ジッタを測定した。
その結果、ジッタは5.2%となりBD−R DL規格(Test Specifications for Blu−ray DiscRecordable Media Ver.1.1)の規格値6.5%以下を満足することが確認された。
本実施例では、ブルーレイ方式の追記型2層構成光記録媒体の作製方法とその効果について述べる。
表面にトラックピッチ0.32μm、溝深さ21nmの案内溝を有する直径120mm、厚さ1.1mmのポリカーボネート樹脂製の第二基板を用意した。
次に、Balzers社製の枚葉スパッタ装置を用いて、第二基板上に、Agからなる膜厚80nmの第二反射層、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる膜厚20nmの第二誘電体層、Bi2O3からなる膜厚20nmの第二Re層を順次製膜し第二情報層を形成した。
次に、第二情報層の膜面上に紫外線硬化樹脂(日本化薬株式会社 DVD003)を含む塗布液をスピンコートし、光透過性のスタンパを減圧雰囲気下で貼り合わせ、光透過性のスタンパ側から紫外線光を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させた後、光透過性のスタンパを剥がして第二基板と同様な溝を持つ厚さ25μmの中間層を形成した。
次に、その溝を付けた中間層上に、TiO2からなる膜厚50nmの層、Agからなる膜厚15nmの第一反射層、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる膜厚20nmの第一誘電体層、Bi2O3からなる膜厚20nmの第一Re層、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる膜厚40nmの典型元素を含む化合物層を順次製膜することにより、第一情報層を作製した。
次に、第一情報層上に、厚さ0.09mmのポリカーボネート樹脂製カバーフィルムを紫外線硬化樹脂により貼り合わせ、紫外線を照射し硬化させてカバー層とした。
以上のようにして、カバー層、第一情報層、中間層、第二情報層、第二基板がこの順に積層されたブルーレイ方式の追記型2層構成光記録媒体を作製した(図9参照)。
ブルーレイの評価においては、レーザ光波長:405nm、対物レンズの開口数:0.85、クロック周波数66MHzで、4.92m/sの線速度で基板を回転させ、ランダムパターンを書き込んで評価した。これらの記録マークについて、ジッタを測定した。
その結果、ジッタは5.2%となりBD−R DL規格(Test Specifications for Blu−ray DiscRecordable Media Ver.1.1)の規格値6.5%以下を満足することが確認された。
Claims (12)
- レーザ光入射側から、少なくとも、第一情報層、中間層、第二情報層をこの順に有し、第一情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(第一Re層)、第一誘電体層、Ti酸化物を含む層が積層されており、第二情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(第二Re層)、第二誘電体層が積層形成されていることを特徴とする追記型2層構成光記録媒体。
- 第一情報層が第一反射層を有することを特徴とする請求項1記載の追記型2層構成光記録媒体。
- 第二情報層が第二反射層を有することを特徴とする請求項1又は2記載の追記型2層構成光記録媒体。
- 第一反射層の膜厚T1とTi酸化物を含む層の膜厚T2が、T2/T1=0.4〜1.5の範囲にあることを特徴とする請求項2又は3記載の追記型2層構成光記録媒体。
- 第一誘電体層の膜厚t1と第二誘電体層の膜厚t2が、t2/t1=0.7〜1.5の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
- 第一Re層の膜厚が5〜25nm、第一誘電体層の膜厚が10〜30nmであり、第二Re層の膜厚が5〜25nm、第二誘電体層の膜厚が10〜30nmであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
- 第一Re層と第一基板の間に、典型元素を含む化合物を主成分とする層(典型元素を含む化合物層)が積層形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
- 典型元素を含む化合物層の典型元素がZn、In、Al及びSnの中から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする請求項7記載の追記型2層構成光記録媒体。
- 典型元素を含む化合物層の膜厚が10〜70nmであることを特徴とする請求項7又は8記載の追記型2層構成光記録媒体。
- Ti酸化物を含む層の熱伝導率の値がバルクの状態で6〜9.5(W/mK)の範囲にあることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
- Re層が、Bi酸化物を主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
- Re層が、Al、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、Co、Fe、Cu、Ni、Zn、Li、Si、Ge、Zr、Ti、Hf、Sn、Pb、Mo、V、Nb及びBの中から選ばれる一種以上の元素Mを含有することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の追記型2層構成光記録媒体。
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---|---|---|---|
JP2007024754A JP2008192225A (ja) | 2007-02-02 | 2007-02-02 | 追記型2層構成光記録媒体 |
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Publications (1)
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