以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1から図4は、本実施形態に係る紙幣処理装置1の構成を示す図であり、図1は、全体構成を示す斜視図、図2は、図1に示す蓋体を開放した状態を示す図、図3は、図2に示される側と反対の側から見た内部構成を示す平面図、そして、図4は、図2に示される側から見た内部構成を示す平面図である。
紙幣処理装置1は、例えば、パチンコ機等(図示せず)の遊技機間に設置される遊技媒体貸出装置に設置可能に構成されている。この場合、遊技媒体貸出装置には、紙幣処理装置1の上側又は下側に他の装置(例えば、硬貨識別装置、記録媒体処理装置、電源装置など)が設置されているが、紙幣処理装置1は、これらの他の装置と一体化されていたり、別個に構成されていても良い。或いは、遊技機間以外の他の空間に紙幣処理装置1が単独もしくは前記他の装置と共に設置されていても良い。そして、このような紙幣処理装置1に紙幣Pが挿入され、挿入された紙幣Pの有効性が判断されると、その紙幣価値に応じた遊技媒体の貸出処理、記録媒体への書き込み処理等が行なわれる。
紙幣処理装置1は、直方体状に形成された筐体1aを備えており、この筐体1aが図示されていない遊技媒体貸出装置の係止部に装着される。筐体1aの前面(露出側になる面)1bには、紙幣処理領域3が形成されている。この紙幣処理領域3は、スリット状に開口して紙幣Pが投入される紙幣挿入口3Aと、紙幣挿入口3Aに隣接するように形成され、紙幣Pを積層収容した載置トレイ(紙幣収容部)を排出する(紙幣収容部に収容された紙幣Pを回収する)ための紙幣回収口3Bとを備えており、紙幣回収口3Bは開閉可能な遮蔽板91によって閉じられている。この場合、紙幣Pは、紙幣Pの短い辺を縦方向にした状態(起立状態)で矢印D1方向に沿って紙幣挿入口3Aを介して内部に挿入される。
筐体1a内には、挿入される紙幣Pの有効性を識別する紙幣識別部5と、挿入される紙幣Pを所定の紙幣搬送路に沿って搬送する紙幣搬送機構7が設けられている。紙幣識別部5は、紙幣挿入口3Aの挿入方向の近傍位置に設置されており、紙幣搬送機構7は、紙幣識別部5から挿入方向D1に沿った領域に亘って設置されている。この場合、紙幣搬送機構7は、挿入される紙幣Pを挟持しながら搬送する機能を備えており、紙幣Pの長手方向の長さよりも短い領域、好ましくは、紙幣挿入口3Aの挿入方向の近傍位置において、紙幣Pの長さの半分以下の範囲に収まる大きさに構成されている。
なお、紙幣搬送機構7の下流側には、紙幣搬送機構を構成する下流側のローラ対によって排出される紙幣Pをそのまま摺動させる紙幣押し込み領域10が設けられている。この紙幣押し込み領域10は、下流側のローラ対から排出された紙幣Pを、何の規制も無く、排出方向と直交する方向である矢印D2方向に向けて、そのままの状態で移送できるように、紙幣Pの大きさと略同一の大きさを備えている。このように紙幣押し込み領域10は、紙幣搬送機構7の下流側に位置しており、この紙幣押し込み領域10を挟むようにして、筐体の一方側には紙幣押圧機構30が、他方側には載置トレイ(紙幣収容部)60が設けられている(図2参照)。すなわち、紙幣搬送機構7の搬送駆動によって押し込み領域10に排出された紙幣Pは、後述するように、紙幣押圧機構30の押圧プレートによって、矢印D2方向に向けてそのまま押圧され、載置トレイ60に、順次、積層収容される。
紙幣搬送機構7は、紙幣挿入方向D1に沿って延在し、所定間隔おいて設置される一対の搬送ベルト17a,17bを備えている。各搬送ベルト17a,17bは、その一端が紙幣挿入口3A側において内部フレーム1dに回転可能に支持される支軸18に取り付けられたテンションローラ18a,18bに巻回されており、他端が、紙幣識別部5の奥側において内部フレーム1dに回転可能に支持される支軸19に取り付けられたテンションローラ19a,19bに巻回されている。
支軸19は、内部フレーム1dに配設された搬送モータ20によって回転駆動されるようになっている。すなわち、支軸19は、搬送モータ20の駆動軸に固定されるギヤ20Gとこれに噛合して支軸19の端部に固定されるギヤ19Gとを介して回転駆動されるようになっている。搬送モータ20は、後述する制御手段によって、正転/逆転するように駆動制御され、紙幣搬送機構7の駆動源としての機能を有する。
上記した両端に設置される各テンションローラ18a,18bおよびテンションローラ19a,19bにはそれぞれ、ピンチローラ21a,21bおよびピンチローラ22a,22bが当接している。この場合、図18に示すように、紙幣挿入口3Aに挿入される紙幣Pは、筐体内に設置される図示しないガイドによって、テンションローラ18a(18b)とピンチローラ21a(21b)間のニップ部N1に案内され、その後、これらに挟持された状態で搬送されて行き、最終的にテンションローラ19a(19b)とピンチローラ22a,22bとの間のニップ部N2を介して、紙幣押し込み領域10に排出される。なお、搬送ベルトが巻回されるテンションローラについては、その両端以外の中間位置に設定されていても良い。
紙幣識別部5は、センサ基板5Aを備えており、このセンサ基板5Aには、支軸18よりも紙幣挿入口3A側部分に紙幣挿入センサ25が設けられている。この紙幣挿入センサ25は、例えば、光学式のセンサによって構成されており、紙幣挿入口3Aに紙幣Pが挿入されたことを検知する。そして、紙幣挿入センサ25によって紙幣Pの挿入が検知されると、後述する制御手段は、搬送モータ20を紙幣送り方向に回転駆動(正転駆動)する。
また、センサ基板5Aには、支軸18と支軸19との間に紙幣識別センサ26が設けられている。この紙幣識別センサ26は、上記した紙幣搬送機構7によって紙幣Pが搬送される際、搬送される紙幣Pに対して光を照射するよう光学式のセンサによって構成されている。紙幣識別センサ26は、紙幣挿入方向D1と直交する方向に沿って複数箇所設置されており、紙幣Pからの反射光や透過光によって得られる検知データを、後述する制御手段のCPUにおいて、予めROMに記憶されている正規の紙幣Pについてのデータとの間で比較を行ない、紙幣Pの有効性について判断を行なう。
紙幣押し込み領域10に対して、筐体1aの一方側には、紙幣押圧機構30が設けられている。この紙幣押圧機構30は、筐体1aに対して開閉可能な蓋体31と、蓋体31に設けられ、蓋体31が筐体1aに対して閉じられた状態で紙幣押し込み領域10に紙幣Pが位置した際、その紙幣Pを矢印D2方向に向けて押圧する板状の押圧プレート32と、この押圧プレート32を駆動するプレート駆動モータとを備えている。
以下、図6から図9を参照して、紙幣押圧機構30の構成について説明する。なお、これらの図において、図6は、蓋体31に対して押圧プレート32を開放した状態を示す図、図7は、プレート駆動モータ33およびその減速機構の構成を示す図、図8は、蓋体31に対する押圧プレート32の連結機構の構成を示す図(制御回路基板等は省略してある)、図9(a)および(b)は、押圧プレート32の動作を示す図であり、(a)は非押圧状態、(b)は押圧状態を示す図である。
押圧プレート32は、紙幣Pと略同程度の大きさを備えており、押圧プレート32の一端側の裏面と蓋体31の他端側の裏面とを連結するリンクプレート35によって、矢印D2方向に向けて移動可能となるように蓋体31に支持されている。リンクプレート35の両端部はそれぞれ蓋体31および押圧プレート32に設けられた支軸31A,32Aを介して回動可能に軸支されている。なお、押圧プレート32は、圧縮バネ340により蓋体31に対して連結されており、蓋体31側に向けて常時付勢されている。
また、紙幣押圧機構30は、それ自体が揺動することによって押圧作用点の位置を押圧プレート32の長手方向に沿って変化させながら押圧プレート32を載置トレイ60に向けて(D2方向に)移動させる一対の第1および第2の揺動押し込み部材300,302を有している。具体的に、これらの第1および第2の揺動押し込み部材300,302は、円柱状のローラ部材によって形成されており、対応する第1および第2のクランクシャフト304A,304Bを介して揺動駆動部310に対して連結されている。ここで、クランクシャフト304A,304Bは蓋体31に固定された対応するガイド部材306によって回転可能に支持されている。
揺動駆動部310はプレート駆動モータ33を有している。プレート駆動モータ33は、蓋体31の裏面に設置されている。また、蓋体31の裏面には、駆動モータ33の回転駆動を減速してクランクシャフト304A,304B側に伝達するための減速機構(ギヤトレイン)37が支持プレート315を介して回転可能に取り付けられており、減速機構37の最終ギヤ37aには、その中心から偏心する部位に第1のリンクアーム38Aの一端が回動可能に連結されている。また、この第1のリンクアーム38Aの他端には、第1の押し込み部材300を保持する第1のクランクシャフト304Aが取り付けられている。また、第1のリンクアーム38Aの他端には、第1のクランクシャフト304Aのほぼ支点位置で、第2のリンクアーム38Bの一端が回動可能に連結されており、第2のリンクアーム38Bの他端には第2の押し込み部材302を保持する第2のクランクシャフト304Bが取り付けられている。
したがって、このような構成では、プレート駆動モータ33を駆動させると、減速機構37の回転駆動に伴って、減速機構37の最終ギヤ37aが所定の回転速度で回転し、それに伴って、第1および第2のリンクアーム38A,38Bが所定のループ軌道を描きながら上下左右に回動して、各揺動押し込み部材300,302が図9の(a)に示される倒伏位置から図9(b)に示される起立位置へと略円弧状の経路に沿って起き上がる。このとき、各揺動押し込み部材300,302は、リンクプレート35の動きと干渉しないようにリンクプレート35の対応する切り欠き状の開口部35a,35bを通じて押圧プレート32と接触し、押圧プレート32を載置トレイ60に向けて(D2方向に)移動させるが、その際、図10に示されるように、押圧プレート32の長手方向に沿って離間する2つの位置A,Bを起点に揺動することにより押圧プレート32に対する押圧作用点Pの位置を押圧プレート32の長手方向に沿って変化させながら(押圧作用点がP1→P2→P3と徐々に変化する)押圧プレート32を載置トレイ60に向けて移動させる。すなわち、押圧プレート32をその一方側で載置トレイ60に向けて押し込んだ後(したがって、紙幣Pが押圧プレート32の一方側で載置トレイ60に向けて移動される)、押圧プレートをその他方側で載置トレイ60に向けて押し込む(したがって、紙幣Pが押圧プレート32の他方側で載置トレイ60に向けて移動される)。
この構成から分かるように、本実施形態では、最終ギヤ37aが半回転するまでの間に各揺動押し込み部材300,302が図9の(a)に示される倒伏位置から図9(b)に示される起立位置へと起き上がり、最終ギヤ37aが更に半回転することにより各揺動押し込み部材300,302が図9の(b)に示される起立位置から図9(a)に示される倒伏位置へと倒れる。つまり、最終ギヤ37aが1回転する間に、各揺動押し込み部材300,302は一往復揺動し、それにより押圧プレート32が矢印D2方向に沿って往復駆動(紙幣押し込み位置(図10の(c)の位置)と待機位置(図10の(a)の位置)との間で移動)される。
なお、上記構成では、各揺動押し込み部材300,302の揺動により押圧作用点が押圧プレート32の長手方向に沿って連続的に変化されるが、他の実施形態として、押圧プレート32をその一方側で第1の押し込み部材により載置トレイ60に向けて押し込んだ後、押圧プレート32をその他方側で第2の押し込み部材により載置トレイ60に向けて押し込むといった構成も考えられる。この場合には、押圧作用点が押圧プレート32の長手方向に沿って連続的に変化せず、押圧時期をずらして2つの別個の作用点で押圧プレート32に対して押圧力が加えられることになる。
また、押圧プレート32は、押圧方向に向けて所定の長さ垂下するような形状となっており、その長手方向両側にはフランジ(張り)32cが形成されている。これにより、押圧プレート32は、各揺動押し込み部材300,302によって押圧された際、後述する載置トレイ60の開口部に入り込むと共に、ある程度開口部に入り込んだ際に、この両フランジ32cが、後述する載置トレイ60の係止爪61cに当接し、それ以上入り込めないようにしている。すなわち、このようなフランジ32cを設けておくことで、押圧プレート32は、リンクプレート35によって片側が支持されているにも拘らず、紙幣Pに対して長手方向に対して均一な押圧力を作用させることが可能となる。
紙幣押し込み領域10に対して、筐体1aの他方側には、図2および図3に示すように、載置トレイ60が設けられている。この載置トレイ60は、押圧プレート32によって押圧される紙幣Pを、順次、積層収容するよう構成されている。以下、図11および図12を参照して載置トレイ60の構成について説明する。
載置トレイ60は、底壁61aと底壁61aの両側に形成された側壁61bとを具備する本体61を有している。本体61の両側壁61b間には、紙幣束を載置する載置プレート62が設けられており、この載置プレート62は、本体61の底壁61aとの間に設置される付勢バネ63によって押圧付勢されている。また、両側壁61bの開口側端部には、収容される紙幣Pの長手方向に沿って延出する一対の係止爪61cが形成されている。この係止爪61cは、図11(a)および図12(a)に示すように、紙幣搬送機構7を介して、紙幣押し込み領域10に排出される紙幣Pと、本体61内に収容される紙幣束との間を仕分けする機能を有している。すなわち、紙幣押し込み領域10に排出された紙幣Pが押圧プレート32によって押圧されると、紙幣Pは、図12(b)に示すように、係止爪61cによって中央がたわみながら載置プレート62上に移送され、かつ係止爪61cを乗り越えると、紙幣Pは、図11(b)および図12(c)に示すように、付勢バネ63の付勢力に抗して載置プレート62上に載置される。そして、押圧プレート32が初期位置に戻ると、載置プレート62上に積層収容された紙幣束は、前記付勢バネ63の付勢力によって、その両端部が前記一対の係止爪61cに当て付けられる。
これにより、載置プレート62に積層収容される最上の紙幣Pと、押圧プレート32との間には、図12(a)に示すように、隙間Rが形成されて仕分けが成される。すなわち、紙幣搬送機構7を介して排出される紙幣Pは、この隙間R内に送り込まれるようになっており、ここに送り込まれた紙幣Pは、初期位置にある押圧プレート32の駆動によって、載置トレイ60内に順次、積層収容される。
なお、隙間Rは、余り広くなりすぎると、紙幣Pに皺がある場合などにジャムが発生する原因となり、狭くなりすぎると、安定して紙幣Pが送り込めなくなってしまう。具体的に、両者の間の好ましい範囲の隙間は3〜5mm程度であり、紙幣押し込み領域10において、このような隙間が形成されるように、紙幣押圧機構30および載置トレイ60を配設しておくことが好ましい。
載置トレイ60の本体61に積層収容される紙幣Pは、押圧付勢される載置プレート62および係止爪61cによって保持されるようになっており、このような構成によって、紙幣束の前端側は露出するようになっている。このため、後述するように、載置トレイ60が駆動されて、その前端側が筐体1aの前面1bから突出すると、載置プレート62上に積層収容された紙幣束の先端部は、露出した状態になることから、作業者は、容易に紙幣束を手前に引き抜いて回収作業を行なうことが可能となる。
この場合、本体61(載置プレート62)の長手方向の長さ(紙幣載置面の長さ)は、図11(b)に示すように、挿入される紙幣Pの長さよりも短く形成されていることが好ましい。このように載置プレートの62の長さが短くなることで、そこに積層収容されている紙幣束は、上面の先端側および下面の先端側が露出した状態になることから、作業者は、紙幣束を容易に摘んで引き抜くことが可能となる。また、このように構成することで、作業者は、SUS等、金属で形成される載置プレート62に指を接触させることが無くなり、回収作業時の安全性の向上が図れる。あるいは、図11に示すように、載置プレート62の先端縁の中央に、凹部62aを形成しておいても良く、このような構成においても、紙幣束を掴み易くなり、上記したような作用効果が得られるようになる。
なお、本体61の両側壁61bの先端側の筐体1aの側部には、所定の範囲に亘って、紙幣挿入方向に延出する切欠部61dが形成されている。このような切欠部61dを形成しておくことにより、後述する遮蔽板開閉機構によって遮蔽板91が開放され、かつ載置トレイ60が突出方向に駆動された際、開放状態にある遮蔽板91と本体61との干渉を無くすことができ、効果的にスペースの効率化を図ることができる。また、載置トレイ60には、載置プレート62上に紙幣Pの存在を検知するための紙幣検知センサ128(図17のブロック図参照)を設けておいても良い。
次に、図3および図13を参照しながら、上記した載置トレイ60を紙幣回収口3Bに向けて移動させるための移動機構70について説明する。
移動機構70は、載置トレイ60内に紙幣Pを収容するための紙幣収容位置(図4および図5に示される位置)と、載置トレイ60を紙幣回収口3Bから突出させる紙幣回収位置(図24および図25に示される位置)との間で載置トレイ60を移動させるものであり、筐体1aの内部フレーム1dに固定されるトレイ駆動モータ71と、このトレイ駆動モータ71によって回転駆動される駆動シャフト(ウォームシャフト)72とを備えている。駆動シャフト72は、紙幣挿入方向に延在するようにして内部フレーム1dに回転可能に支持されており、その外周面には、雄ネジ72aが形成されている。また、駆動シャフト72の一端側は、ギヤトレイン73を介してトレイ駆動モータ71の出力軸に連結されている。
載置トレイ60の本体61の後端部には、連結片66が形成されており、この部分に駆動シャフト72を囲繞するように配設された摺動部材75が連結されている。この摺動部材75には、駆動シャフト72の雄ネジ部72aと螺合する雌ネジ部(図示せず)が形成されており、駆動シャフト72が回転駆動されることにより、摺動部材75、すなわち、載置トレイ60は、軸方向に沿って往復駆動可能となっている。この場合、摺動部材75は、駆動シャフト72と平行に配設されたガイド棒76に挿通されており、摺動部材75が往復動する際に、回り止めされている。
そして、このような移動機構70には、載置トレイ60の移動量を検知することが可能な移動量検知手段80が設けられている。この移動量検出手段80は、例えば、トレイ駆動モータ71の出力軸を反対側に突出させ、その部分に装着される円板状の回転体81と、この回転体81と隙間を介在させて挟持するように配設される回転量検知センサ(光センサ)82とによって構成することが可能である。回転体81には、エンコーダ81a(周方向に沿って所定間隔で形成される開口)が形成されており、トレイ駆動モータ71の回転と共にエンコーダ81aが回転すると、回転量検知センサ82は、回転量に応じたパルスを得ることができ、そのパルス数に応じて載置トレイ60の移動量を把握することが可能となる。
このような移動量検知手段80を設けておくことで、載置トレイ60の突出方向の停止位置を正確に制御することが可能となり、トレイ駆動モータ71に対する負荷を軽減することが可能となる。
また、上記構成の移動機構70には、更に、載置トレイ60の収納位置(紙幣Pを収容できる位置;収容ポジション)を検知することが可能な位置検知手段85が設けられている。このような位置検知手段85は、例えば、載置トレイ60を駆動する摺動部材75に係止片(図示せず)を設けておき、この係止片が当接/離反することでON/OFFするリミットスイッチ86を内部フレーム1dに装着することによって構成することが可能である。
このような位置検知手段85を設けておくことで、載置トレイ60の状態(収納位置にあるか、回収位置にあるか)を把握することが可能となり、紙幣回収作業時において、載置トレイ60を適切に駆動することが可能となる。
また、上記構成の載置トレイ60に積層収容された紙幣Pは、移動機構70により載置トレイ60を紙幣回収口3Bに向けて移動させるとともに、遮蔽板91の開放動作により開放された紙幣回収口3Bを通じて載置トレイ60を外部に突出させることにより回収することができるようになっている(図25参照)。そこで、以下では、遮蔽板91を開閉させる開閉機構150および遮蔽板91の閉塞状態を解除可能にロックするロック機構400について説明する。
まず初めに、図4および図5を参照しながら、遮蔽板91の閉塞状態を解除可能にロックするロック機構400について説明する。
本実施形態において、ロック機構400は、移動機構70によって移動される載置トレイ60の動きに機械的に連動して作動されるようになっている。特に、本実施形態において、ロック機構400は、移動機構70により紙幣回収口3Bに向けて移動される載置トレイ60と当接することによって遮蔽板91の閉塞状態のロックを解除するようになっている。具体的には、ロック機構400は、遮蔽板91と対向して遮蔽板の開放を阻止するロック位置(図4および図5の位置)と、遮蔽板91から退避して遮蔽板91の開放を許容するロック解除位置(図23および図24に示される位置)との間で回動する一対の回動部材402を(移動機構70によって移動される)載置トレイ60の移動経路の両側に有している。これらの回動部材402は、紙幣収容位置(図4および図5に示される位置)にある載置トレイ60と遮蔽板91との間に配置されており、内部フレーム1dに固定された支軸430を中心に回動可能な本体部402aと、本体部402aの前端部に形成され且つ前記ロック位置で遮蔽板91と当接する当接部402bと、載置トレイ60の移動経路内に突出する凸部としての第1の連動作用部402cとを有しており、移動機構70により紙幣回収口3Bに向けて移動される載置トレイ60が第1の連動作用部402aと当接することにより前記ロック位置から前記ロック解除位置へと回動されるようになっている。
また、支軸430の周囲には、その一端が内部フレーム1dに固定され且つその他端が回動部材402に固定された付勢バネ(付勢手段)411が巻回状態で設けられており、この付勢バネ411は、回動部材402を前記ロック位置へと付勢している。
また、本実施形態において、載置トレイ60には、前記紙幣収容位置でロック機構400と係合することにより遮蔽板91の閉塞状態のロックが解除されることを阻止するロック解除阻止手段が設けられている。具体的に、このロック解除阻止手段は、載置トレイ60に向けて延びる回動部材402の後端の突片部402dと前記紙幣収容位置で当接する載置トレイ60の本体61の両側壁61bの前端面61b’によって形成されている。
また、本実施形態において、載置トレイ60には、移動機構70による載置トレイ60の紙幣回収口3Bへの移動に伴って前記ロック解除阻止手段によるロック解除阻止状態を解除する阻止解除手段が設けられている。具体的に、この阻止解除手段は、図14に明確に示されるように、載置トレイ60の本体61の両側壁61bに沿って形成された長溝230から成る。この長溝230は、移動機構70によって載置トレイ60が紙幣回収口3Bへ移動する際に、回動部材402の後端の突片部402dをその内側に受け入れて逃がすことにより、載置トレイ60の前端面61b’と回動部材402の突片部402dとの当接状態を解除して、回動部材402の前記ロック解除位置への回動を許容する。
次に、遮蔽板91を開閉させる開閉機構150について説明する。
本実施形態において、前記開閉機構150は、移動機構70によって移動される載置トレイ60の動きに機械的に連動して作動されるようになっている。特に、本実施形態において、開閉機構150は、遮蔽板91の閉塞状態のロックが解除された状態で紙幣回収口3Bに向けて移動される載置トレイ60と当接することにより遮蔽板91を開放するようになっている。具体的には、開閉機構150は、遮蔽板91に近接して載置トレイ60の移動経路の片側に設けられており、載置トレイ60の移動経路内に突出する第2の連動作用部153を有する略円柱状の回転部材150Aと、この回転部材150Aと噛み合い且つ回転部材150Aの回転力を遮蔽板91の開閉動作に変換する歯車機構150Bとを備えている。この場合、回転部材150Aは、第2の連動作用部153と反対側の端部にギヤ部154を有しており、このギヤ部154は歯車機構150Bのギヤ列159と噛み合っている。また、ギヤ列159の最終ギヤ159aは遮蔽板91の回転軸(遮蔽板91の開閉動作の回動軸)に固定されている。したがって、回転部材150Aを回転させれば、歯車機構150Bを介して遮蔽板91が開閉動作する。
また、本実施形態において、回転部材150Aの第2の連動作用部153は、移動機構70により紙幣回収口3Bに向けて移動される載置トレイ60と当接することにより載置トレイ60の側壁61b上に乗り上がり回転部材150Aを一方向(本実施形態では、遮蔽板91が開放される方向)に回転させるようにその形状および位置が設定されている。そして、第2の連動作用部153は、載置トレイ60の移動中に載置トレイ60の側壁61b上に乗り上がったままとなることにより、回転部材150Aの回転された状態を保持する。言い換えると、載置トレイ60の側壁61bの上面は、第2の連動作用部153との当接後に第2の連動作用部153を下側から支持することにより遮蔽板91の開放状態を保持する開放保持手段を構成していると言える。
また、本実施形態において、回転部材150Aと内部フレーム1dとの間には、回転部材150Aを前記一方向と反対の他方向(本実施形態では、遮蔽板91が閉塞される方向)へ付勢する付勢手段としてのバネ160が介挿されている。
なお、上記構成では、移動機構70によって移動される載置トレイ60の動きに機械的に連動して開閉機構150が作動されることにより遮蔽板91が開閉されるようになっているが、遮蔽板91は、ロック機構400によりその閉塞状態のロックが解除された状態で、移動機構70により紙幣回収口3Bに向けて移動される載置トレイ60と当接することによって紙幣回収口3Bを開放するようになっていても良い。その場合には、開閉機構150は不要になる。
また、上記構成では、装置の安全性を向上させるために、遮蔽板91の開閉状態を検知する検知手段が設けられている。具体的に、そのような検知手段は、図26に示されるように、遮蔽板91の開閉動作の中心軸となる回動軸91aと反対側の端縁部に形成された突出状の検出片91bと、装置本体側に設けられ且つ遮蔽板91の開放時に検出片91bを受ける受け凹部700aを有する遮蔽板開閉検知センサ700とから成る。検知センサ700は透過型の光センサから成り、発光部700bから受光部700cへと向かって受け凹部700aの空間内を横切る光Lが受け凹部700a内に受けられる遮蔽板91の検出片91bによって遮られることにより遮蔽板91の閉状態がCPU130(図17参照)により認識される。この場合、不適切な状況下で遮蔽板91の開状態(凹部700aの空間内を横切る光Lが遮蔽板91の検出片91bによって遮られない状態)がCPU130によって認識されると、アラーム等の警告がなされることが好ましい。通常、遮蔽板91は外部から開かないように工夫が施されているが、載置トレイ60内の紙幣束を回収する動作の実施後、載置トレイ60が未起動状態の場合に、遮蔽板91が開状態のままになる場合があり得る。その場合、遮蔽板91の奥に位置する載置トレイ60を外部から認識できるようになる。そのため、本構成のように、遮蔽板91の開閉状態を検知する検知手段を設ければ、遮蔽板91の開閉状態をCPU130で常に監視できるため、装置のセキュリティ性能が向上する。
また、本実施形態の紙幣処理装置1には、紙幣挿入口3Aから挿入された紙幣Pが紙幣搬送路により搬送されているときに紙幣挿入口3Aを閉塞して更なる紙幣の挿入を防止するシャッタ機構500が設けられている。以下、このシャッタ機構について説明する。
シャッタ機構500は、図18等に示されるように、紙幣搬送路(紙幣搬送面)Lを挟んだ一方側で紙幣搬送路Lに対向して配置されており、内部フレーム1dに対して着脱自在に取り付けられる板状の支持部材210(図4および図5も参照;紙幣搬送路Lは、図4に示されている載置トレイ60の移動経路の裏側に設けられている)を有している。図15および図16に明確に示されるように、支持部材210には、揺動部材510が支軸502により揺動可能に支持されている。揺動部材510は、例えば樹脂により形成されており、紙幣搬送路Lの両側に位置される一対の揺動部510A,510Aと、これらの揺動部510A,510A同士を連結する連結部510Bとから成る。なお、各揺動部510A,510Aには、支軸502が貫通する貫通穴512が形成されている。
各揺動部510A,510Aは、支軸502に対して一方側(紙幣挿入口3Aに近い側)に設けられ且つ紙幣挿入口3Aを閉塞可能な第1の端部510aと、支軸502に対して他方側(紙幣挿入口3Aから遠い側)に設けられ且つ紙幣搬送路Lを遮蔽可能な第2の端部510bとを有しており、紙幣搬送路Lにより搬送される紙幣Pと第2の端部510bとの当接に伴う支軸502を介した揺動動作により第1の端部510aが紙幣挿入口3Aを閉塞するようになっている。具体的には、第1および第2の端部510a,510bは紙幣搬送路L(紙幣搬送面)側に向けて折り曲げられており、紙幣挿入口3Aから挿入された紙幣Pが第2の端部510bと紙幣搬送面との間に入り込むと、第2の端部510bが持ち上げられ、それにより、揺動部材510が支軸502を中心に揺動して第1の端部510aが下がり、紙幣挿入口3Aが封鎖される(図19の状態)。これにより、紙幣挿入口3Aにおいて新たな紙幣Pが装置本体内に挿入されることが防止される。
また、本実施形態において、各揺動部510A,510Aの第2の端部510bは、図18に示されるように、紙幣Pと当接していない状態で、第1の端部510aと紙幣搬送面(紙幣搬送路Lの搬送面)との間に紙幣1枚分程度の隙間sのみを形成するように紙幣搬送路Lの他方側に当接して紙幣搬送路Lを遮蔽するようになっている。
なお、支持部材210には、第2の端部510bを紙幣搬送路Lに対して当接させる方向に揺動部材510を常時付勢する付勢手段が設けられている。この付勢手段は、本実施形態では、支持部材210を切り起こすことにより形成され且つ揺動部材510の連結部510Bに当接する弾片329によって形成されている(図4および図15参照)。
また、本実施形態において、各揺動部510A,510A(揺動部材510)は、第1の端部510aと第2の端部510bとの間の長さK(図16の(b)参照)が紙幣Pの搬送方向の長さH(図11参照)よりも短く設定されているとともに、紙幣との当接により変形可能に形成されている。このような変形を実現するため、例えば揺動部材510全体を弾性部材により形成したり、あるいは、各揺動部510A,510Aに溝や凹部を設けて屈曲し易くすることが考えられるが、本実施形態では、支軸502と第1の端部510aとの間の揺動部510Aの部位に、支軸502と第2の端部510bとの間の揺動部510Aの部位の肉厚よりも薄い領域が設けられている。特に、本実施形態では、支軸502と第1の端部510aとの間の揺動部510Aの部位の肉厚が、支軸502と第2の端部510bとの間の揺動部510Aの部位の肉厚よりも薄く形成されている(図16の(b)参照)。
また、本実施形態において、揺動部510Aの第1の端部510aは、紙幣挿入口側3Aに向けて突出する補強用の突出部520を有している。また、この第1の端部510aには、紙幣挿入口3A側に面する部位と反対側の部位に、紙幣搬送路Lに向けて傾斜する傾斜面522が形成されている。
また、本実施形態において、揺動部510Aの第2の端部510bには、紙幣挿入口3A側に面する部位と反対側の部位に、紙幣搬送路Lから逸れるように傾斜する傾斜面524が形成されている。また、この第2の端部510bは、紙幣挿入口3Aと反対の側に向けて突出する突出部526を有している。更に、第2の端部510bには、紙幣挿入口3A側に面する部位と反対側の部位に、紙幣搬送路Lに向けて傾斜する傾斜面526が形成されている。また、本実施形態において、第2の端部510bには、紙幣挿入口3A側に面する部位に、紙幣搬送路に向けて傾斜する傾斜面530が形成されている。
また、本実施形態において、紙幣搬送路Lは、揺動部510Aの第1の端部510aが紙幣挿入口3Aを閉塞するときにこの第1の端部510aと係合する係合部390(図5および図20の(b)参照)を有している。また、紙幣搬送路Lには、紙幣搬送路Lを遮蔽する揺動部510Aの第2の端部510bと係合する係合部392(図18の(b)参照)が設けられている。
また、本実施形態では、紙幣処理装置1における各種の駆動機構の駆動を制御する制御基板(制御手段を構成する)40がロック機構400の一対の回動部材402間の所定の空間内に位置して設けられている(図5参照)。図17は、こうした紙幣処理装置1の動作を制御する制御手段の構成例を示すブロック図である。
図17に示されるように、制御手段(制御基板40)は、前述した搬送モータ20、プレート駆動モータ33、トレイ駆動モータ71等、各種の駆動装置の制御動作機能を有するCPU130、前述した各種の駆動装置の作動プログラムや正規の紙幣に関する検知データ等を格納したROM131、および制御RAM132を備えて構成されている。
前記CPU130には、I/Oポート135を介して、前述した各種のモータを駆動するモータ駆動回路140〜142が接続されており、各駆動モータは、作動プログラムに従って、CPU130からの制御信号によりその駆動動作(正転、逆転、停止)が制御される。また、CPU130には、I/Oポート135を介して、紙幣挿入センサ25から紙幣の挿入を検知する信号、紙幣識別センサ26から紙幣の判別に関する検知信号、回転量検知センサ82から載置トレイ60の位置に関する検知信号、リミットスイッチ86から載置トレイ60が収容位置にあるか否かの検知信号、遮蔽板開閉検知センサ700からの検出信号が入力されるようになっており、これらの検知信号に基づいて、上述した搬送モータ20、プレート駆動モータ33、トレイ駆動モータ71の駆動が制御されるようになっている。
また、CPU130は、図示しない遊技機本体内に配設された遊技処理を実行する制御回路200に接続されており、遊技機側に対して、挿入された紙幣の価値に応じた遊技価値情報が送信されるようになっている。
次に、上述した構成の紙幣処理装置1の動作について説明する。まず、紙幣を、載置トレイ60に順次、積層収容する手順について説明する。
図1および図18に示すように、紙幣Pを、短片側を垂直に立てた起立状態で紙幣挿入口3Aに挿入すると、その挿入は、紙幣挿入センサ25(図3参照)によって検知される。紙幣挿入センサ25が紙幣の挿入を検知すると、搬送モータ20が正転駆動され、図19に示されるように、紙幣Pは、テンションローラ18a,18bおよびテンションローラ19a,19bに夫々巻回される搬送ベルト17a,17bと各テンションローラに当接するピンチローラ21a,21bおよびピンチローラ22a,22bとに挟持された状態で筐体1aの内部へ搬送される。この場合、揺動部材510の第2の端部510bが紙幣Pと当接していない状態でも、第1の端部510aと紙幣搬送路Lとの間に媒体1枚分程度の隙間sしか形成されないため(図18参照)、紙幣Pが紙幣搬送路Lに沿って搬送されている最中に更なる紙幣Pが装置1内に挿入されることが防止される。
また、このように紙幣Pが筐体1aの内部へ搬送されると、紙幣識別センサ26が紙幣Pを検知し、上記した制御手段において紙幣Pの有効性が判断されるとともに、紙幣搬送路Lにより搬送される紙幣Pと第2の端部510bとが当接し、それに伴なって、揺動部材510が支軸502を介して揺動して第1の端部510aが紙幣挿入口3Aを閉塞するように移動する。その状態が図19に示されている。この状態では、紙幣Pと第1の端部510aとが当接するが、揺動部材510は紙幣Pとの当接により変形可能に形成されているため、第1の端部510a自体が変形して紙幣Pに対する衝撃を緩和する。そのため、紙幣Pを破損させないで済む。また、紙幣Pと第2の端部510bとが当接して紙幣Pが更に装置1の内部に送り込まれる際の搬送は、第2の端部510bに形成される傾斜面522の案内作用によってスムーズに行なわれる。
また、図19に示される状態から更に紙幣Pが装置1内に送り込まれて紙幣Pの後端が第1の端部510aを完全に通過する(図20の状態)と、第1の端部510aによって紙幣挿入口3Aが完全に閉塞されるとともに、第1の端部510aが紙幣搬送路Lの係合部390と係合して閉塞状態が保持される。このように、第1の端部510aと紙幣搬送路Lの係合部390とが係合すると、第1の端部510aが紙幣搬送路L側に支持されて補強されるため、紙幣挿入口3A外部からの衝撃に対して、第1の端部510aの強度を大きく確保できる。また、このような作用は、第1の端部510aに設けられた突出部520により促進される。
また、紙幣Pの有効性が判断され、図20の状態から更に紙幣Pが装置1内に送り込まれて紙幣Pの後端が第2の端部510bを完全に通過する(図21の状態)と、揺動部材510が図18と同様の初期位置に戻り、第2の端部510bによって紙幣搬送路Lが遮蔽される。この搬送時においては、紙幣Pの後端がテンションローラ19a,19bとピンチローラ22a,22bとの間のニップ部N2を通過するまで、搬送モータ20が回転駆動される。また、この図21の状態に達した際、何らかの誤作動により或いは装置外部からの意図的な引張力(例えば不正行為など)が紙幣に作用して紙幣Pが逆搬送されそうな事態が生じても、第2の端部510bには紙幣搬送路Lから逸れるように傾斜する傾斜面524が形成されているため、揺動部材510を通過した装置1内の紙幣Pは、図21に破線で示されるように逆搬送力により傾斜面524上を乗り上がり、紙幣挿入口3A側に向けた逆搬送が阻止される。また、この図21の状態(図18の状態も同様)では、第2の端部510bと紙幣搬送路L側の係合部392(図18参照)とが係合するため、係合部392によって第2の端部510bによる紙幣搬送路Lの遮蔽状態を確実に保持することができ、紙幣の逆搬送を確実に防止することができる。また、逆搬送に対する対向力においては、第2の端部510bに形成された突出部526も大きく寄与することになる。
なお、紙幣識別センサ26が紙幣Pの有効性を判断できなかった場合には、搬送モータ20が逆転駆動され、搬入途中にある紙幣Pが差し戻し作用を受けてそのまま紙幣挿入口3Aから排出されることになる。このような逆搬送は、第1の端部510aに設けられた傾斜面522および第2の端部510bに設けられた傾斜面528によってスムーズに行なわれる。
以上のようにして図21の状態まで送り込まれる紙幣Pは、図11(a)および図12(a)に示すように、テンションローラ19a,19bとピンチローラ22a,22bの下流側に位置する紙幣押し込み領域10の押圧プレート32の押圧面と載置トレイ60の係止爪61cを含む平面との間の隙間R内に排出される。なお、この隙間は、ジャム等が生じることがないような範囲に設定されており、必要に応じて、ニップ部N2の下流側に隙間Rに紙幣が移行し易いようにガイド(図示せず)を設置しておいても良い。
紙幣Pの後端がニップ部N2を通過した段階で、搬送モータ20の正転駆動は停止されると共に、プレート駆動モータ33が回転駆動される。これにより、押圧プレート32は、揺動押し込み部材300,302によって押し下げ方向に駆動され、その下面が紙幣を押圧するようになる(図12(b)参照)。この際、紙幣Pは、前述した押圧機構30の構成により、押圧プレート32の一方側で載置トレイ60に向けて移動された後、押圧プレート32の他方側で載置トレイ60に向けて移動されるといったように、紙幣押し込み動作の過程において押圧機構30による押圧作用の時期がその両側間でずらされる。これにより、紙幣Pの一方側が押圧された後に紙幣Pの他方側が更に押圧されることとなり、紙幣Pに折れが生じないばかりか、紙幣Pを両端間で引っ張るような押し込み形態を実現することができ、紙幣Pに皺が生じていた場合でもその皺を伸ばして紙幣Pを水平に矯正して収容することができる。更に、揺動押し込み部材300,302の作用により、押圧作用点の位置が紙幣Pの長手方向に沿って変化しながら紙幣Pが載置トレイ60に押し込まれるため、すなわち、紙幣Pの一方側から他方側に向かって紙幣Pの折れや皺を伸ばすように押圧力を移動させて紙幣Pを押圧トレイ60へと押し込むことができるため、紙幣Pをその長手方向のほぼ全体にわたって平らに矯正することが可能となる。また、この押し込みにより、載置トレイ60内に積層状態で収容されている紙幣に対しても同様の形態で押圧力を作用させることができるため、積層状態の紙幣間に生じているかもしれない隙間をも無くして平らに矯正することができる。
このようにして押圧プレート32によって押圧される紙幣Pは、やがて載置トレイ60の一対の係合爪61cを乗り越えて、載置プレート62上に付勢バネ63の付勢力に抗して押し付けられる。押圧プレート32は、前述したように紙幣に対する押圧位置を変動させるが、押圧プレート32の両側に形成されたフランジ(張り)32cが係止爪61cに当て付くことにより、紙幣Pには、長手方向に沿って略均等な押圧力が作用するようになる。すなわち、紙幣全体を均等に押さえ付けることが可能となり、紙幣Pが折れ曲がっていたり、腰の強い紙幣(積層枚数が多くなることによる)であっても、所定の枚数を確実に収容することが可能となる。
そして、押圧プレート32に所定の押圧力を作用させてフランジ(張り)32cが係止爪61cに当て付く時期とほぼ同じくして、押圧プレート32は前述した機構により初期位置に戻される。このとき、載置プレート62は、付勢バネ63の付勢力によって、係止爪61c側に付勢され、最上の紙幣は、図12(c)に示すように、係止爪61cに当て付けられて、次に搬入されてくる紙幣との間で仕分けが成される。
そして、上記した動作が繰り返されることにより、載置トレイ60の載置プレート62上には、安定して紙幣が積層収容されて行く。
次に、図22〜図25を参照しながら、載置トレイ60に収容された紙幣Pを回収する手順について説明する。
紙幣の回収時においては、例えば、ホール全体を管理する管理サーバ側から、島に設置されている各紙幣処理装置1に対して、紙幣回収信号を送信し、あるいは、個々の紙幣処理装置1の対応するスイッチを押圧する。これにより、トレイ駆動モータ71が回転駆動され、載置トレイ60は、図4の状態から図22に示される待機位置まで前進される。なお、図4の状態では、載置トレイ60の前端面61b’と回動部材402の突片部402dとが当接した状態にあるため、例えば外部から振動が加わるなどしても、付勢バネ411の付勢力に抗してロック機構400が作動し、それによりロックが解除されるといった不測の事態を回避することができる。
その後、所定のタイミングでトレイ駆動モータ71が再度駆動し、載置トレイ60が紙幣回収口3Bに向けて移動される。この移動中においては、まず、載置トレイ60の側壁61bの前端がロック機構400の回動部材402の第1の連動作用部402cに当接してこれを前方に押し出す。これにより、回動部材402が付勢バネ411の付勢力に抗して支軸403を中心に外側に回動し、回動部材402の当接部402bが遮蔽板91と対向するロック位置(図22に示される位置)から図23に示されるロック解除位置へと退避する。このとき、回動部材402の突片部402dは載置トレイ60の側壁61に形成された長溝230内に入り込む。
また、このように遮蔽板91のロックが解除された図23の状態から更に載置トレイ60が前進すると、載置トレイ60の側壁61bの前端が開閉機構150の回転部材150Aの第2の連動作用部153に当接し、これにより、第2の連動作用部153が載置トレイ60の側壁61b上に乗り上がる。そのため、回転部材150Aが回転し、歯車機構150Bを介して遮蔽板91が装置1の内側に向けて回動され、紙幣回収口3Bが開放される(図24の状態)。そして、この開放状態は、長尺な載置トレイ60の側壁61bにより第2の連動作用部153が側壁61b上に乗り上がったままの状態となることにより保持される。この図24の状態では、筐体1aの前面から載置トレイ60の前端側が排出される(図25も参照)。前述したように、載置トレイ60の本体61の両側壁61bには、切欠部61cが形成されていることから、倒伏状態にある遮蔽板91と干渉することなく、その前端側が排出される。なお、トレイ駆動モータ71の回転量は、回転量検知センサ82によって検知されており、載置トレイ60は、適切な位置で停止駆動される。
載置トレイ60が停止駆動された状態では、載置プレート62に載置された紙幣束は、図25に示すように、前端側が露出するように保持されていることから、作業者は、露出している紙幣束を摘んでそのまま引き出すことができ、紙幣の回収作業を効率的に行なえるようになる。特に、本実施形態では、図11に示したように、紙幣を載置する載置プレート62の長さが、紙幣の長さよりも短く形成されており、しかも載置プレート62の先端縁の中央に、凹部62aが形成されていることから、載置トレイ60が突出すると、積層収容された状態の紙幣束は、先端部分で容易に摘むことが可能となり、紙幣の回収作業が行ない易くなる。
以上説明したように、本実施形態の紙幣処理装置1によれば、紙幣押し込み領域10内に搬送された紙幣Pを、押圧プレート32の一方側で載置トレイ60に向けて移動させた後に、押圧プレート32の他方側で載置トレイ60に向けて移動させるといったように、紙幣押し込み動作の過程において紙幣押圧機構30による押圧作用の時期を紙幣Pの両側間でずらしている。このようにすれば、紙幣Pの一方側が押圧された後に紙幣Pの他方側が更に押圧されることとなるため、紙幣Pに折れを生じさせないで済むばかりか、紙幣Pを両端間で引っ張るような押し込み形態を実現することができ、紙幣Pに皺が生じていた場合でもその皺を伸ばして紙幣を水平に矯正して収容することもできる。すなわち、本構成によれば、紙幣Pに皺や折れを生じさせることなく、また、載置トレイ60内で紙幣間に隙間を生じさせないように、紙幣Pを載置トレイ60内に押し込むことができる。したがって、載置トレイ60内にその容量に見合った適正な枚数分だけ紙幣Pを確実に収容することができる。
また、本実施形態の紙幣処理装置1によれば、揺動押し込み部材300,302の作用により、押圧作用点の位置を紙幣Pの長手方向に沿って変化させながら紙幣を載置トレイ60に押し込むことができるため、すなわち、紙幣Pの一方側から他方側に向かって紙幣Pの折れや皺を伸ばすように押圧力を移動させて紙幣Pを載置トレイ60へと押し込むことができるため、紙幣Pをその長手方向のほぼ全体にわたって平らに矯正することが可能となる。また、この押し込みにより、載置トレイ60内に積層状態で収容されている紙幣に対しても同様の形態で押圧力を作用させることができるため、積層状態の紙幣間に生じているかもしれない隙間をも無くして平らに矯正することができる。