JP2008190925A - 加速度検出装置 - Google Patents

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潤 渡辺
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高弘 亀田
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Abstract

【課題】加速度以外の衝撃を受けた場合でも安定して動作する加速度検出装置を提供する。
【解決手段】基準信号を出力する基準発振回路2と、音叉型振動素子20を備え、音叉型振動素子20により決定される共振周波数に基づいて基準発振回路2から出力される出力信号を移相する共振回路4と、基準発振回路2から出力される出力信号と共振回路4から出力される出力信号の位相を比較する位相比較回路6と、位相比較回路6から出力される位相差信号を直流化して出力するLPF9と、LPF9から出力される出力信号を微分する微分回路10と、を備え、音叉型振動素子20の応力検知方向を加速度検出方向と一致させ、微分回路10の出力信号を加速度検出信号として出力するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は音叉型振動素子を検出センサとして用いた加速度検出装置に関する。
近年、加速度を検出する加速度センサは、次世代の自動車、ロボット、宇宙産業など幅広い応用を目指して研究、開発が行われている。民生機器向けに開発されている加速度センサは、加速度検知機構を半導体プロセスにより作製したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサが良く知られている。
一方、例えば気体や液体などの圧力の測定を行う圧力センサ等においてはMEMSセンサ以外にも音叉型振動子を利用したものが開発されている。
図7は、特許文献1に開示されている従来の振動式センサ回路の構成を示した図である。図7に示す従来の振動式センサ回路100は、センサ部101とドライブ回路102により構成される。センサ部101はセンサ素子である振動子101a、アンプ101b、整流回路101cを有して構成される。振動子101aは、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:lead zirconium titanate)が組付けられた振動子である。
ドライブ回路102は、電圧制御発振器102a、アンプ102b、位相比較器102cを有して構成される。このように構成されるセンサ回路100では、センサ部101の振動子101aがドライブ回路部102の電圧制御発振器102aにより駆動される。
ここで、振動子101aが物理的な応力(圧力)を受けると、振動子101aの共振周波数が変化する。振動子101aの共振周波数が変化すると、ドライブ回路102の位相比較器102cから出力される出力信号の位相が変動する。これにより、電圧制御発振器102aの出力信号は振動子101aの共振周波数と一致するように制御され、振動子101aは応力に応じた共振周波数で振動することになる。よって、ライン104または103の出力を検知信号として取り出すことで振動子101aが受けた応力値を検知することができる。
実開昭62−155336号公報
ところで、上記したような振動式センサ回路100を加速度センサとして移動物体等に搭載した場合、移動物体の移動時に受ける加速以外の衝撃により振動子101aの共振周波数が急激に変動すると、位相比較器102cの出力信号も急激に変動することになる。 しかしながら、図7に示す振動式センサ回路100は、振動子101aの出力に基づく位相比較結果を電圧制御発振器102aにフィードバックするPLL制御構成であるため、位相比較器102cの出力信号が急激に変動した場合は電圧制御発振器102aがPLL制御に追従することができなくなる結果、電圧制御発振器102aの発振が停止する不具合が発生するおそれがあった。このため、従来の振動式センサ回路100を用いて加速検出装置を構成することはできなかった。
本発明は上記したような点を鑑みてなされたものであり、加速度以外の衝撃を受けた場合でも安定して動作する加速度検出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の加速度検出装置は、基準信号を出力する基準発振回路と、応力感応素子を備え、応力感応素子により決定される共振周波数に基づいて基準発振回路から出力される出力信号を移相する共振回路と、基準発振回路から出力される出力信号と共振回路から出力される出力信号の位相を比較する位相比較回路と、位相比較回路から出力される位相差信号を直流化して出力するローパスフィルタと、ローパスフィルタから出力される出力信号を微分する微分回路と、を備え、応力感応素子の応力検知方向を加速度検出方向と一致させ、微分回路の出力信号を加速度検出信号として出力するようにした。
このような本発明によれば、応力感応素子を共振子として備えた共振回路の出力信号と基準発振回路からの基準信号との位相を位相比較回路で比較し、その位相比較結果をローパスフィルタにより直流化し、さらに微分回路で微分するようにした。これにより、共振回路に共振子として備えた応力感応素子を利用して加速度を検出することが可能になる。
また本発明では、電圧制御型発振回路を設ける必要がないので、従来の振動式センサ回路のように加速度以外の強い衝撃が加わった場合でも発振が停止するといったことがない。
また本発明の加速度検出装置は、基準信号を出力する基準発振回路と、第1の応力感応素子を備え、第1の応力感応素子により決定される共振周波数に基づいて基準発振回路から出力される出力信号を移相する第1の共振回路と、第2の応力感応素子を備え、該第2の応力感応素子により決定される共振周波数に基づいて基準発振回路から出力される出力信号を移相する第2の共振回路と、第1の共振回路から出力される出力信号と第2の共振回路から出力される出力信号の位相を比較する位相比較回路と、位相比較回路から出力される位相差信号を直流化して出力するローパスフィルタと、ローパスフィルタから出力される出力信号を微分する微分回路と、を備え、第1及び第2の応力感応素子の応力検知方向を加速度検出方向と一致させ、且つ、第1及び第2の応力感応素子において検出する加速度検出方向が逆向きとなるように配置したうえで、微分回路の出力信号を加速度検出信号として出力するようにした。
このような本発明によれば、第1の応力感応素子を共振子として備えた第1の共振回路の出力信号と、第2の応力感応素子を共振子として備えた第2の共振回路の出力信号との位相を位相比較回路で比較し、その位相比較結果をローパスフィルタにより直流化し、さらに微分回路で微分するようにした。これにより、共振回路に共振子として備えた応力感応素子を利用して加速度を検出することが可能になる。
また本発明では、電圧制御型発振回路を設ける必要がないので、従来の振動式センサ回路のように加速度以外の強い衝撃が加わった場合でも発振が停止するといったことがない。
さらに本発明では、第1及び第2の応力感応素子を加速度検出方向に対して対向配置しているので、応力感応素子が1つの場合に比べて位相比較回路から出力される位相差信号のレベルが約2倍になり、加速度の検出感度を約2倍に高めることができる。
また本発明の加速度検出装置は、基準発振回路から出力される基準信号を分周する分周回路を備えるようにした。このような本発明によれば、例えば基準発振回路に使用する振動子の発振周波数と、共振回路において共振子として利用する応力感応素子の共振周波数との周波数差が異なる場合でも加速度検出装置を実現することができる。
また本発明の加速度検出装置は、位相比較回路に入力される入力信号の一方又は両方を矩形化する矩形化回路を備えるようにした。このような本発明によれば、位相比較回路の前段に矩形化回路を設けたことで位相比較回路において精度の高い位相比較を行うことが可能になる。
また本発明の加速度検出装置は、基準発振回路又は分周回路の出力信号を移相する移相回路を備えるようにした。このような本発明によれば、基準発振回路又は分周回路から分岐して出力される出力信号の一方を位相比較回路の位相特性に併せて移相回路により移相することで、位相比較回路において精度の高い位相比較を行うことが可能になる。
本発明の加速度検出装置は、移相回路が90°移相回路であることを特徴とする。このような本発明によれば、電圧制御型圧電発振回路から分岐して出力される出力信号の一方を、位相比較回路の位相特性に併せて90°移相することで、位相比較回路から出力される位相差信号により加速度の向き検出することが可能になる。
本発明の加速度検出装置は、応力感応素子が音叉型振動素子又は双音叉型振動素子であることを特徴とする。このような本発明によれば、加速度を検知する応力感応素子として音叉型振動素子、又は双音叉型振動素子を利用することが可能になり、応力感度を高めることができる。
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る加速度検出装置の構成を示したブロック図である。
この図1に示す加速度検出装置1は、基準発振回路2、分周回路3、共振回路4、第1の矩形化回路5、位相比較回路6、90°移相回路7、第2の矩形化回路8、ローパスフィルタ(以下、LPFと称する)9、微分回路10、及び緩衝増幅回路(以下、バッファアンプと称する)11により構成される。
基準発振回路2は、例えばATカットの水晶振動子等を用いて構成され、所定の周波数で発振する。分周回路3は、基準発振回路2からの基準信号が所定の周波数となるように分周して出力する。分周回路3の出力信号は分岐されて共振回路4及び第1の矩形化回路5及び90°移相回路7に入力される。
共振回路4は、音叉型水晶振動素子20を備え、音叉型水晶振動素子20により決定される共振周波数に基づいて分周回路3の出力信号を移相して出力する。
第1の矩形化回路5は、例えばコンパレータなどにより構成され、共振回路4から出力信号を矩形波信号に変換して位相比較回路6に出力する。
一方、90°移相回路7は、分周回路3から出力される出力信号の位相を90°移相する。なお、90°移相回路7の構成にもよるが、通常、90°移相回路7において移相可能な信号波形は正弦波とされるので、分周回路3は、その出力信号波形が正弦波形となるように回路を構成することが望ましい。
第2の矩形化回路8もまた、例えばコンパレータなどにより構成され、90°移相回路7の出力信号を矩形波信号に変換して位相比較器6に出力する。
位相比較回路6は、第1の矩形化回路5からの出力信号と、第2の矩形化回路8からの出力信号との位相を比較し、その比較結果を出力する。このとき、位相比較回路6は90°の位相差を基準に位相比較を行って、その位相差を位相差信号として出力する。なお、位相比較回路6において位相比較を行う場合には、入力信号の少なくとも一方の波形が矩形である必要があるため、本実施形態では、位相比較回路6の前段に夫々第1及び第2の矩形化回路5、8を設けるようにしたが、矩形化回路は、少なくとも何れか一方だけを設けるようにすれば良い。
また、分周回路3の出力波形が矩形波であれば、第1及び第2の矩形化回路5、8は必ずしも設ける必要はない。但し、通常、共振回路4、8や90°移相回路7等に入力する信号波形を正弦波形にする必要があるため、本実施形態では分周回路3の出力波形を正弦波形とし、位相比較回路6に入力する際に第1、第2の矩形化回路5、8により矩形化することが望ましい。
さらに、位相比較回路6に入力される2つの信号のレベルが一致していないと検波結果に2つの入力信号の位相差以外に信号レベルの差に基づく値も含まれてしまい正確な加速度検知結果を得ることができない可能性がある。従って、このような不具合の発生を防止する為にも第1、第2の矩形化回路5、8により矩形化(波形整形)することが望ましい。
LPF9は、位相比較回路6から出力される位相差信号を直流化して出力する。微分回路10は、LPF9からの位相差信号を微分して出力する。そして、微分回路10で微分された信号は、バッファアンプ11を介して加速度検出信号Sαとして出力する。
ここで、微分回路10の機能について説明する。
例えば本実施形態のように音叉型水晶振動素子等を加速度センサとして加速度検出を行う場合は、加速度値と、センサ周波数の周波数変位とが比例関係になる。即ち、加速度∝Δセンサ周波数(FM検波出力)の関係を満たすことになる。
しかし、本実施形態では位相比較回路6において加速度センサから得られる2つの周波数の位相比較を行っているので、位相比較回路6からは位相検波出力Φが得られることになる。そして、この位相検波出力ΦはΔセンサ周波数を積分値と等しくなる。即ち、位相検波出力Φ=∫センサ周波数(FM検波出力)の関係を満たすことになる。
そこで、本実施形態の加速度検出装置では微分回路10を設け、微分回路10において、LPF9から出力信号として出力される位相検波出力Φを微分することにより加速度値を得るようにしている。これにより、FM検波=dΦ/dt∝加速度の関係を満たすことになる。
図2は共振回路に備えられる音叉型水晶振動素子の構成を模式的に示した図である。
図2に示す音叉型水晶振動素子20は、並列に配置された2本の振動腕21a、21bと、この2本の振動腕21a、21bの延長方向一端を結合する結合部22とから成る。そして、音叉型水晶振動素子20の結合部22を、該音叉型水晶振動素子20が搭載される基板(図示しない)に固定するようにしている。このとき、図2に示すように音叉型水晶振動素子20の各振動腕21a、21bの延長方向を加速度検出軸方向に一致させるようにしている。このように構成される音叉型水晶振動素子20は、図示しない駆動電極に交流電圧を印加すると、並列する2本の振動腕21a、21bが破線で示すように対称的な屈曲振動する。そして、屈曲振動している状態で、例えば、図2に示す矢印方向の加速度αが加わると、音叉型水晶振動素子20には見かけ上では加速度αの方向と逆方向の慣性力が発生するので、この影響により音叉型水晶振動素子20の振動腕21a、21bは加速度αに対して逆の方向へ引っ張られる引張応力を受けることになる。この場合、音叉型水晶振動素子20の周波数は引張応力の影響を受けて高くなる。
一方、図2に示す矢印方向とは逆方向の加速度が加わると、音叉型水晶振動素子20には加速度の方向と逆方向に向かう慣性力が見かけ上発生するので音叉型水晶振動素子20の振動腕21a、21bは、結合部22の方向へ圧縮する圧縮応力を受けることになる。この場合、音叉型水晶振動素子20の周波数は圧縮応力の影響を受けて加速度αの場合のときとは逆に低くなる。そこで、本実施形態では、このような音叉型水晶振動素子20に加速度が加わったとき発生する周波数変化に基づき加速度検出信号Sαを得るようにしている。
このような音叉型水晶振動素子20は、従来のMEMS加速度センサに比べて、ダイナミックレンジが広く(例えば±3g〜±400g)、しかも高リニアリティ(例えば、0.05%F.S.)で温度感度安定度が良いといった利点がある。
なお、図2においては説明を分かり易くするために音叉型水晶振動素子20の屈曲振動の概念を破線により示したが、実際には音叉型水晶振動素子20の形状自体は殆ど変位しないのである。
以下、図2に示した音叉型水晶振動素子の特性を踏まえて第1の実施形態の加速度検出装置1の動作を説明する。
図3は共振回路4の移相特性を示した図である。
ここで、定速運動状態における共振回路4の移相特性を図3に実線で示すような特性に設定しておく。この場合、共振回路4では周波数Aの信号が入力されたときは、入力信号と共振回路4から出力される出力信号との位相差は「0」となる。
ここで、共振回路4の音叉型水晶振動素子20の振動腕21a、21b延長方向へ加速運動が生じ、音叉型水晶振動素子20の振動腕21a、21bに引っ張り方向の慣性力が加わったとする。すると、音叉型水晶振動素子20は慣性力の影響を受けて周波数が高くなる。音叉型水晶振動素子20の周波数が高くなった場合、共振回路4の移相特性は図3に実線で示した特性から破線で示した特性へと推移することになる。即ち、特性が全体的に高周波側へシフトしたようになる。従って、共振回路4から出力される信号の位相は、ΔAの位相差を有するものとなる。
従って、加速度検出装置1においては、共振回路4の出力信号と90°移相回路7の出力信号との位相を位相比較回路6で比較し、その位相比較結果をLPF9により直流化し、さらに微分回路10で微分することにより、共振回路4に備えた音叉型水晶振動素子20を利用して加速度を検出することが可能になる。
また、加速度検出装置1では、従来のように電圧制御型発振回路を設けることなく構成することができるので、従来の振動式センサ回路のように、加速度以外の強い衝撃が加わった場合でも発振が停止するといったことがない。
また、本実施形態のように音叉型水晶振動素子20を用いて加速度センサを構成した場合は、従来のMEMS加速度センサに比べて、ダイナミックレンジが広く、しかも高リニアリティで、感度の温度安定度が良いといった利点もある。
次に、本発明の加速度検出装置の第2の実施形態について説明する。
図4は本発明の第2の実施形態に係る加速度検出装置の構成を示したブロック図である。なお、図1に示す加速度検出装置1と同一ブロックには同一符号を付して詳細な説明は省略する。図4に示す加速度検出装置30では、90°移相回路7と第2の矩形化回路8との間に共振回路12を設けた点が上記図1に示した加速度検出装置1とは異なる。
即ち、図4に示す加速度検出装置30では、第1の音叉型水晶振動素子20aを備える共振回路4においては、第1の音叉型水晶振動素子20aにより決定される共振周波数に基づいて分周回路3の出力信号を移相して出力し、第2の音叉型水晶振動素子20bを備える共振回路12においては、第2の音叉型水晶振動素子20bにより決定される共振周波数に基づいて90°移相回路7の出力信号を移相して出力するようにしている。
図5は第2の実施形態の加速度検出装置に備られる音叉型水晶振動素子の構成を模式的に示した図である。
図5に示すように第1及び第2の音叉型水晶振動素子20a、20bは、それぞれ並列に配置された2本の振動腕21a、21bと、この2本の振動腕21a、21bの延長方向一端を結合する結合部22とから成る。そして、第1及び第2の音叉型水晶振動素子20a、20bの各結合部22を、当該音叉型水晶振動素子20a、20bがそれぞれ搭載される基板(図示しない)に固定するようにしている。なお、結合部22は基板と接続する固定部である。このとき、第1の音叉型水晶振動素子20aの各振動腕21a、21bと第2の音叉型水晶振動素子20bの各振動腕21a、21bの延長方向を加速度検出軸方向に一致させ、且つ、第1の音叉型水晶振動素子20aの振動腕21a、21bの自由端部と第2の音叉型水晶振動素子20bの振動腕21a、21bの自由端部を対向配置する、或いは第1の音叉型水晶振動素子20aの結合部22と第2の音叉型水晶振動素子20bの結合部22を対向配置するようにした。即ち、振動腕21a、振動腕21bの延長方向が各音叉型水晶振動素子20a、20bとの間で互いに逆向きとなるように対向配置した。
このように構成される第1及び第2の音叉型水晶振動素子20a、20bは、図示しない駆動電極に交流電圧を印加すると、並列する2本の振動腕21a、21bが破線で示すように対称的に屈曲振動する。そして、屈曲振動している状態で、例えば、図5に示す矢印方向の加速度αが加わると、第1の音叉型水晶振動素子20aには見かけ上では加速度αの方向とは逆方向の慣性力が発生するので、この影響により音叉型水晶振動素子20aの振動腕21a、21bは加速度αに対して逆の方向へ引っ張られる引張応力を受けることになる。この場合、第1の音叉型水晶振動素子20aの周波数は引張応力の影響を受けて高くなる。一方、第2の音叉型水晶振動素子20bにも見かけ上では加速度αの方向とは逆方向の慣性力が発生するので、この影響により音叉型水晶振動素子20bの振動腕21a、21bは、結合部22の方向へ圧縮する圧縮応力を受けることになる。この場合、第2の音叉型水晶振動素子20bの周波数は圧縮応力の影響を受けて低くなる。そこで、第2の実施形態では、このような第1及び第2の音叉型水晶振動素子20a、20bに加速度が加わったとき発生する周波数変化に基づき加速度検出信号Sαを得るようにしている。
このような音叉型水晶振動素子20a、20bは、従来のMEMS加速度センサに比べて、ダイナミックレンジが広く(例えば±3g〜±400g)、しかも高リニアリティ(例えば、0.05%F.S.)で温度感度安定度が良いといった利点がある。
また、加速度検出軸方向と振動腕21a、21bとの延長方向とを一致させることができるので加速度検出軸方向と垂直方向(基板面に垂直な方向)に対する低背化にも有利である。なお、図5においても説明を分かり易くするために音叉型水晶振動素子20a、20bの屈曲振動の概念を破線により示したが、実際には音叉型水晶振動素子20の形状自体は殆ど変位しないものである。
上記のように構成される加速度検出装置30においては、共振回路4に設けられている第1の音叉型水晶振動素子20aの振動腕21a、21bの延長方向へ加速運動が生じ、例えば第1の音叉型水晶振動素子20aの振動腕21a、21bに引っ張り方向の慣性力が加わった場合、共振回路12に設けられている第2の音叉型水晶振動素子20bの振動腕21a、21bには圧縮方向の慣性力が加わることになる。すると、第1の音叉型水晶振動素子20aは、慣性力の影響を受けて周波数が高くなる。これに対して、第2の音叉型水晶振動素子20bは、慣性力の影響を受けて周波数が低くなる。従って、共振回路4の移相特性は、図3に示したように特性が全体的に高周波側へシフトするのに対して、共振回路12の移相特性は、図示しないが全体的に低周波側へシフトすることになる。
従って、図4に示した加速度検出装置30の位相比較回路6において検波される位相差は、図1に示した加速度検出装置1の位相比較回路6において検波される位相差ΔAの約2倍となる。
従って、加速度検出装置30においても、共振回路4の出力信号と共振回路12の出力信号との位相を位相比較回路6で比較し、その位相比較結果をLPF9により直流化し、さらに微分回路10で微分することにより、共振回路4に備えた第1の音叉型水晶振動素子20aと共振回路12に備えた第2の音叉型水晶振動素子20bとを利用して加速度を検出することが可能になる。
またこの場合も、従来のように電圧制御型発振回路を設けることなく構成することができるので、従来の振動式センサ回路のように、加速度以外の強い衝撃が加わった場合でも発振が停止するといったことがない。
さらに、第1及び第2の音叉型水晶振動素子20a、20bを加速度検出方向に対して対向配置しているので、音叉型水晶振動素子が1つの場合に比べて位相比較回路6から出力される位相差信号のレベルを約2倍に高めることができる。これにより加速度の検出感度を約2倍に高めることができる。
さらにまた、第1及び第2の音叉型水晶振動素子20a、20bを用いて加速度センサを構成した場合は、従来のMEMS加速度センサに比べて、ダイナミックレンジが広く、しかも高リニアリティで、感度の温度安定度が良いといった利点もある。
また、これまで説明した音叉型水晶振動素子20、20a及び20bの構成はあくまでも一例であり、本発明の音叉型水晶振動素子としては、例えば図6に示すような双音叉型水晶振動子を用いることも可能である。
図6に示す双音叉型水晶振動素子23は、並列に配置された2本の振動腕21a、21bと、この2本の振動腕21a、21bの延長方向の両端を夫々結合した結合部22a、22bとから成る。そして、この場合は、例えば、結合部22a、22bの内、一方の結合部22aだけを双音叉型水晶振動素子23が搭載される基板(図示しない)に固定し、他方を自由端とすれば良い。なお、結合部22aは基板と接続する固定部である。
双音叉型水晶振動素子23を用いて本実施形態の加速度検出装置を構成した場合は、自由端側の結合部22bが重りとして機能するため、大きな慣性力を発生させることができるので、上記した音叉型水晶振動素子20a、20bより加速度感度を高めることができる。
また、本実施形態では、基準発振回路2を分周回路3で分周して出力される正弦波信号を移相する移相回路として90°移相回路7を設けるようにしているが、移相回路は必ずしも90°移相回路である必要はない。また、位相比較回路6の特性によっては移相回路を必ずしも設ける必要はない。但し、移相回路を設け、分周回路3から分岐して出力される出力信号の一方を位相比較回路6の位相特性に併せて移相することで、位相比較回路6において第1及び第2の音叉型水晶振動素子20a、20bから出力される出力信号の位相差を確実に検出することが可能になる。
特に、本実施形態のように位相比較回路6が90°位相比較回路であり、移相回路として90°移相回路を設けると、位相比較回路6において第1及び第2の音叉型水晶振動素子20a、20bから出力される出力信号の位相差から加速度の向きを検出することが可能になる。つまり、図5に於いて加速度αの方向であるか、或いは加速度αと逆の方向であるかを検出可能になる。
即ち、位相比較回路6が0°位相比較回路である場合、位相比較回路6からは定速度状態から加速度が増減した何れの状況に対しても位相差が大きくなるような出力結果が得られる。従ってこの場合は、加速度の方向を確認することはできない。
一方、本実施形態のように位相比較回路6が90°位相比較回路であり、90°移相回路7を設けた構成では、位相比較回路6の出力結果は、例えば定速度状態から加速した場合であれば位相差が大きくなるような信号が、また定速度状態から減速した場合であれば位相差が小さくなるような信号となる。従って、この場合は加速度の方向を確認することが可能になるという利点がある。
本発明の第1の実施形態に係る加速度検出装置の構成を示した図である。 音叉型水晶振動素子の構成を示した図である。 共振回路の移相特性を示した図である。 本発明の第2の実施形態に係る加速度検出装置の構成を示した図である。 音叉型水晶振動素子の構成を示した図である。 双音叉型水晶振動素子の構成を示した図である。 従来の振動式センサ回路の構成を示した図である。
符号の説明
1、30…加速度検出装置、2…基準発振回路、3…分周回路、4、12…共振回路、5…第1の矩形化回路、6…位相比較回路、7…90°移相回路、8…第2の矩形化回路、9…LPF、10…微分回路、11…バッファアンプ、20、20a、20b…音叉型水晶振動素子、21a、21b…振動腕、22…結合部、23…双音叉型水晶振動素子

Claims (7)

  1. 基準信号を出力する基準発振回路と、
    応力感応素子を備え、該応力感応素子により決定される共振周波数に基づいて前記基準発振回路から出力される出力信号を移相する共振回路と、
    前記基準発振回路から出力される出力信号と前記共振回路から出力される出力信号の位相を比較する位相比較回路と、
    前記位相比較回路から出力される位相差信号を直流化して出力するローパスフィルタと、
    前記ローパスフィルタから出力される出力信号を微分する微分回路と、を備え、
    前記応力感応素子の応力検知方向を加速度検出方向と一致させ、前記微分回路の出力信号を加速度検出信号として出力することを特徴とする加速度検出装置。
  2. 基準信号を出力する基準発振回路と、
    第1の応力感応素子を備え、該第1の応力感応素子により決定される共振周波数に基づいて前記基準発振回路から出力される出力信号を移相する第1の共振回路と、
    第2の応力感応素子を備え、該第2の応力感応素子により決定される共振周波数に基づいて前記基準発振回路から出力される出力信号を移相する第2の共振回路と、
    前記第1の共振回路から出力される出力信号と前記第2の共振回路から出力される出力信号の位相を比較する位相比較回路と、
    前記位相比較回路から出力される位相差信号を直流化して出力するローパスフィルタと、
    前記ローパスフィルタから出力される出力信号を微分する微分回路と、を備え、
    前記第1及び第2の応力感応素子の応力検知方向を加速度検出方向と一致させ、且つ、前記第1及び第2の応力感応素子において検出する加速度検出方向が逆向きとなるように配置したうえで、前記微分回路の出力信号を加速度検出信号として出力することを特徴とする加速度検出装置。
  3. 前記基準発振回路から出力される基準信号を分周する分周回路を備えたこと特徴とする請求項1又は2記載の加速度検出装置。
  4. 前記位相比較回路に入力される入力信号の一方又は両方を矩形化する矩形化回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の加速度検出装置。
  5. 前記基準発振回路又は前記分周回路の出力信号を移相する移相回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の加速度検出装置。
  6. 前記移相回路は、90°移相回路であることを特徴とする請求項5に記載の加速度検出装置。
  7. 前記応力感応素子は、音叉型振動素子、又は双音叉型振動素子であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の加速度検出装置。
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