添付の図面を参照し、本発明に係る室圧制御システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。図1,2は、一例として示す室圧制御システム10Aの概念図である。図3は、第1および第2室11,12を側方から示す室圧制御システム10Aの概念図であり、図4は、開扉された状態で示す扉24の斜視図である。図5は、このシステム10Aが実行するプロセスの一例を示すフローチャートである。図1,2は、第1および第2室11,12を上方から示している。図1,3では、扉24,25が閉じた状態(閉扉状態)にある。図2では、扉25が閉じた状態にあり、扉24が所定開度以上に開いた状態(開扉状態)にある。
室圧制御システム10Aは、隣り合う2つの室11,12に所定量の空気を供給する給気ダクト13(給気管)と、それら室11,12から所定量の空気を排出する排気ダクト14(排気管)と、給気ダクト13に取り付けられた定風量ユニット15,16(第3および第4定風量ユニット)(多段階CAV)と、排気ダクト14に取り付けられた定風量ユニット17,18(第1および第2定風量ユニット)(多段階CAV)と、開閉センサ19とから形成されている。なお、室を図示の2つに限定するものではなく、2つを超過する室にこのシステム10Aの各プロセスを実施することもできる。
室11,12は、目標室内気圧が高い第1室11(高圧室)と、第1室11よりも目標室内気圧が低い第2室12(低圧室)とに区分されている。第1および第2室11,12の目標室内気圧は、室外の気圧よりも高い。第1室11と第2室12とは、側壁20によって仕切られ、さらに、それら室11,12の四方を囲む天井21、床22、周壁23によって室外と仕切られている。なお、それら室11,12の目標室内気圧に特に限定はなく、室11,12の用途や室11,12の容積等によって目標室内気圧を自由に設定することができる。それら室11,12の用途や容積についても特に限定はない。また、第1および第2室11,12の目標室内気圧が室外の気圧より低くてもよい。
側壁20には、第1室11と第2室12とをつなぐ扉24が設置されている。周壁23には、第2室12と室外とをつなぐ扉25が設置されている。扉24は、一方の縦方向側部26が蝶番(図示せず)を介して側壁20に取り付けられている。扉24は、縦方向側部26を軸として旋回するスイング式片開き自在戸である(図4参照)。扉24は、第1室11から第2室12に向かって旋回させることはできるが、第2室12から第1室11に向かって旋回させることはできない。扉24は、側壁20に対して0〜180度の範囲で旋回する。扉25は、一方の縦方向側部が蝶番を介して周壁23に取り付けられている(図示せず)。扉25は、扉24と同様に、縦方向側部を軸として旋回するスイング式片開き自在戸であり、周壁23に対して0〜180度の範囲で旋回する。扉24を開けると、扉24の開放空間27を介して室11,12どうしがつながり、開放空間27を通って第1室11と第2室12とを行き来することができる。また、扉25を開けると、扉25の開放空間を介して第2室12と室外とがつながり、開放空間を通って第2室12と室外とを行き来することができる。扉24,25には、室11,12の気密を保持するためにエアタイトのそれが使用されている。ドアノブ28は、グレモンハンドルであり、扉24,25の閉扉後にグレモンハンドルをロック(回転)することで扉24,25の気密性を高めている。
開閉センサ19は、扉24の開閉を検出する3つの開閉センサ19A,19B,19Cから形成されている。それら開閉センサ19A,19B,19Cは、蝶番の側であって扉24が納まる側壁20の扉枠に取り付けられている。それらセンサ19A,19B,19Cは、インターフェイス36(有線または無線)を介して定風量ユニット17,18の制御器に接続されている。センサ19A,19B,19Cには、マグネットスイッチが使用されている。センサ19A,19B,19C(マグネットスイッチ)が反応するまでの遊び(ストローク)を利用することで、センサ19A,19B,19Cが反応する扉旋回角度に差を設けることができ、センサ19A,19B,19Cの取り付け位置を選択することで、センサ19A,19B,19Cが反応する扉24の開度を自由に調節することができる。扉24の開度とは、図4に示すように、扉24が開扉されたときの側壁20と扉24とのなす角度θ(扉の旋回角度θ)をいう。
このシステム10Aでは、それら開閉センサ19A,19B,19Cによって開扉された扉24の開度が第1開度〜第3開度(第1〜第n所定開度)に区分して検出される。センサ19Aのみが反応した場合、扉24の開度が15度(第1開度)、センサ19Aとセンサ19Bとが反応した場合、扉24の開度が30度(第2開度)、すべてのセンサ19A,19B,19Cが反応した場合、扉24の開度が60度(第3開度)となるようにそれらセンサ19A,19B,19Cの取り付け位置が調節されている。換言すれば、扉24の開度が15度に達したときにセンサ19Aが反応し、ON信号がセンサ19Aから制御器に出力されるとともに、OFF信号がそれらセンサ19B,19Cから制御器に出力される。扉24の開度が30度に達したときにセンサ19Aとセンサ19Bとが反応し、ON信号がそれらセンサ19A,19Bから制御器に出力されるとともに、OFF信号がセンサ19Cから制御器に出力される。扉24の開度が60度に達したときにすべてのセンサ19A,19B,19Cが反応し、ON信号がそれらセンサ19A,19B,19Cから制御器に出力される。なお、扉24ではその近傍に3個のセンサ19A,19B,19C(マグネットスイッチ)が取り付けられているが、センサの種類や個数、取り付け位置に特に限定はなく、扉24の開度を検出可能な態様においてセンサの種類や個数、取り付け位置を自由に決めることができる。
給気ダクト13は、基幹ダクト29と、基幹ダクト29から分岐して室11,12に向かって延びる2本の分岐ダクト30とから形成されている。基幹ダクト29には、室11,12に向かって所定量の空気を給気する給気用送風機31が取り付けられている。それら分岐ダクト30は、室11,12の天井21に施設された給気口(図示せず)につながり、それら室11,12に個別に連結されている。排気ダクト14は、基幹ダクト32と、基幹ダクト32から分岐して室11,12に向かって延びる2本の分岐ダクト33とから形成されている。基幹ダクト32には、室外に向かって所定量の空気を排気する排気用送風機34が取り付けられている。それら分岐ダクト33は、室11,12の周壁23に施設された排気口35につながり、それら室11,12に個別に連結されている。
第1室11につながる分岐ダクト30(給気ダクト13)には、1つの定風量ユニット16(第4定風量ユニット)が取り付けられている。第1室11につながる分岐ダクト33(排気ダクト14)には、1つの定風量ユニット18(第2定風量ユニット)が取り付けられている。第2室12につながる分岐ダクト30(給気ダクト13)には、1つの定風量ユニット15(第3定風量ユニット)が取り付けられている。第2室12につながる分岐ダクト33(排気ダクト14)には、1つの定風量ユニット17(第1定風量ユニット)が取り付けられている。なお、定風量ユニット15,16,17,18やセンサ19、給気用送風機31、排気用送風機34には、図示はしていないが、配線を介して所定の電力が供給されている。
定風量ユニット15,16,17,18は、ダクト30,33の内部気圧の変動に対してユニット15,16,17,18内を通る空気通過量を調節し、室11,12へ供給する空気量を一定に保持するとともに、室11,12から排出する空気量を一定に保持する。それら定風量ユニット15,16,17,18は、モータダンパおよび制御器と、それらを収容する筐体とから形成されている(図示せず)。ダンパは、モジュトロールモータ(回転機)と、モータの駆動力を介して旋回する旋回羽根と、旋回羽根の旋回によって開閉される空気流路とから形成されている。定風量ユニット15,16,17,18では、制御器からの制御信号によってモジュトロールモータが回転するとともに旋回羽根が所定角度に旋回する。
定風量ユニット15,16,17,18の制御器は、演算処理を行う中央処理部と各種条件を記憶可能なメモリとを有するマイクロプロセッサである。制御器には、各種条件を入力するための入力装置、入力確認のための表示装置がインターフェイスを介して接続されている(図示せず)。制御器は、空気流路を通過する空気通過量があらかじめ設定された値となるように、空気流路に対する羽根の開度を調整する。定風量ユニット17,18の制御器のメモリには、室11,12の目標室内気圧と、定風量ユニット15,16,17,18を通過する空気通過量(初期設定値)との相関関係が格納され、目標室内気圧に対応する空気通過量(初期設定値)と、その空気通過量に対応するダンパの旋回羽根の開度(旋回角度)との相関関係が格納されている。さらに、扉24が開扉状態にあるときの定風量ユニット17,18を通過する空気通過量(第1および第2変更値)が第1開度〜第3開度に対応する3段階に区分して格納され、第1開度〜第3開度に対応する空気通過量と、それら空気通過量に対応するダンパの旋回羽根の開度(旋回角度)との相関関係が格納されている。
扉24が開扉状態にあるときの定風量ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量(第1変更値)は、初期設定値よりも多く、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に多くなる複数(3段階)の空気通過量(第1開度対応第1変更値〜第3開度対応第1変更値)に段階的に保持される。さらに、扉24が開扉状態にあるときの定風量ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量(第2変更値)は、初期設定値よりも少なく、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に少なくなる複数(3段階)の空気通過量(第1開度対応第2変更値〜第3開度対応第2変更値)に段階的に保持される。第3開度に対応する空気通過量(第2変更値)は0の場合を含む。
制御器は、メモリに記憶されたアプリケーションプログラムを起動し、所定のオペレーティングシステムに従って、各種条件を記憶する条件記憶手段と、扉24が閉扉状態にあるときに室11,12の室内気圧を目標室内気圧に維持し得るように、定風量ユニット15,16,17,18を通過する空気通過量を初期設定値に保持する初期設定値保持手段と、開扉された扉24の開度を第1〜第3開度(第1〜第n所定開度)に区分して検出する扉開度検出手段と、扉24が所定開度(第1〜第3開度)に開扉されたときに、空気を第1室11から第2室12に向かって流動させる気流方向規制手段とを実行する。
このシステム10Aでは、矢印X1で示すように、給気用送風機31によって給気ダクト13から室11,12へ所定量の空気が供給され、矢印X2で示すように、排気用送風機34によって室11,12から排気ダクト14へ所定量の空気が排出されている。システム10Aでは、給気ダクト13の内部を流れる空気に圧力変動が生じたとしても、定風量ユニット15,16によって分岐ダクト30の空気通過量が一定に保持され、常時一定量の空気が室11,12に供給されている。また、排気ダクト14の内部を流れる空気に圧力変動が生じたとしても、定風量ユニット17,18によって分岐ダクト33の空気通過量が一定に保持され、常時一定量の空気が室11,12から排気されている。扉24,25の閉扉中は、ユニット15,16,17,18によって第1および第2室11,12の室内気圧が目標室内気圧に保持されており、第1および第2室11,12の室内気圧が室外のそれよりも高く、第1室11の室内気圧が第2室12のそれよりも高くなっている。
システム10Aの起動中、定風量ユニット17,18の制御器には、開閉センサ19A,19B,19Cから扉24の開閉情報が常時入力されている。扉24が開扉状態にあるとは扉24が開いてから第1開度に達したときの状態であり、このシステム10Aでは扉24の開度が15度(第1所定開度)に達したとき(開閉センサ19Aが扉24の開扉を検出したとき)をいう。ただし、扉24の開度が20度や25度等の他の開度(第1所定開度)に達したときを開扉状態とすることもできる。扉24が閉扉状態にあるとは、扉24が閉まっている場合のみならず、扉24の開度が15度未満の場合を含む。
図5のフローチャートに基づき、制御器によって実行されるこのシステム10Aのプロセスの一例を説明すると、以下のとおりである。室11,12の使用者は、扉25を開けて室12に入り、扉25を閉めた後、システム10Aのスイッチ(図示せず)をONにしてこのシステム10Aを起動させる。なお、システム10Aの稼動中、扉25の開閉はないものとする。システム10Aを起動させた後、制御器には、入力装置を介してこのシステム10Aのプロセスを実行するために必要な各種条件(室11,12の目標室内気圧、扉24を開扉状態と判断するための扉24の第1開度(15度)、第2開度(30度)、第3開度(60度))が入力される(S−1)。制御器は、条件変更の有無を表示装置に表示する(S−2)。それら条件に変更がある場合は、入力装置によって条件変更を行う(S−3)。室11,12の目標室内気圧を入力すると、制御器は、メモリに格納された相関関係から入力された目標室内気圧に対応する定風量ユニット15,16,17,18の空気通過量(初期設定値)を決定するとともに、その空気通過量に対応する定風量ユニット15,16,17,18のダンパの旋回羽根の開度を決定する。
それら条件が入力され、かつ、条件に変更がない場合、定風量ユニット17,18の制御器は、センサ19A,19B,19Cから入力される信号によって扉24が閉扉状態にあるかを判断する(S−4)。制御器は、扉24が閉扉状態(扉の開度が15度(所定開度)未満を含む)にあると判断すると、定風量ユニット17,18を通過する空気通過量を初期設定値に保持する初期設定値保持手段を実行する(S−5)。初期設定値保持手段において制御器は、定風量ユニット17,18を通過する空気通過量が目標室内気圧に対応する空気通過量(初期設定値)となるように、ダンパの旋回羽根の開度をその空気通過量(初期設定値)に対応する開度に保持する。これにより、室11,12の室内気圧が目標室内気圧に維持される。
たとえば、定風量ユニット16を通過する空気通過量を1550[m3/h]とすることで、第1室11に供給される空気を1550[m3/h]に保持し、定風量ユニット15を通過する空気通過量を750[m3/h]とすることで、第2室12に供給される空気を750[m3/h]に保持する。さらに、定風量ユニット18を通過する空気通過量を1500[m3/h](初期設定値)とすることで、第1室11から排出される空気を1500[m3/h]に保持し、定風量ユニット17を通過する空気通過量を700[m3/h](初期設定値)とすることで、第2室12から排出される空気を700[m3/h]に保持する。使用者は、システム10Aの稼動または停止の選択を行う(S−6)。システム10Aの稼動を選択すると、制御器は、ステップ(S−2)に戻り、条件変更の有無を表示した後、扉24が閉扉状態にあるかを再び判断し(S−4)、扉24が閉扉状態にあると判断すると、初期設定値保持手段を継続して実行する(S−5)。システム10Aの停止を選択すると、システム10AのスイッチがOFFとなり、システム10Aが停止する。
システム10Aの稼働中に使用者が扉24を開け、扉24の開度が15度(第1開度)に達すると、ON信号がセンサ19Aから定風量ユニット17,18の制御器に出力され、OFF信号がセンサ19B,19Cから制御器に出力される。制御器は、センサ19Aから出力されたON信号とそれらセンサ19B,19Cから出力されたOFF信号とに基づいて、扉24が第1開度に開扉されたと判断し(扉開度検出手段)、初期設定値保持手段を中断し、室11,12に対して気流方向規制手段を実行する(S−7)。気流方向規制手段において制御器は、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値よりも多く、かつ、第1開度に対応する変更値(第1開度対応第1変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第1変更値に対応するユニット17のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。さらに、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値よりも少なく、かつ、第1開度に対応する変更値(第1開度対応第2変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第2変更値に対応するユニット18のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。これにより、図2に矢印X3で示すように、第1室11の空気は扉24の開放空間27を通って第2室12に流入する。
たとえば、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1500[m3/h](初期設定値)から1200[m3/h](第1開度対応第2変更値)に変更することで、第1室11から排出される空気を1200[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を700[m3/h](初期設定値)から1000[m3/h](第1開度対応第1変更値)に変更することで、第2室12から排出される空気を1000[m3/h]に保持する。なお、定風量ユニット15,16を通過して室11,12に供給される空気の量は、扉24の閉扉時と同一である。
次に、扉24の開度が30度(第2開度)に達すると、ON信号がセンサ19A,19Bから定風量ユニット17,18の制御器に出力され、OFF信号がセンサ19Cから制御器に出力される。制御器は、それらセンサ19A,19Bから出力されたON信号とセンサ19Cから出力されたOFF信号とに基づいて、扉24が第2開度に開扉されたと判断し(扉開度検出手段)、室11,12に対して気流方向規制手段を継続して実行する(S−7)。制御器は、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値や第1開度対応第1変更値よりも多く、かつ、第2開度に対応する変更値(第2開度対応第1変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第1変更値に対応するユニット17のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。さらに、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値や第1開度対応第2変更値よりも少なく、かつ、第2開度に対応する変更値(第2開度対応第2変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第2変更値に対応するユニット18のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。
たとえば、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1200[m3/h](第1開度対応第2変更値)から1000[m3/h](第2開度対応第2変更値)に変更することで、第1室11から排出される空気を第1開度対応第2変更値よりも少ない1000[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を1000[m3/h](第1開度対応第1変更値)から1200[m3/h](第2開度対応第1変更値)に変更することで、第2室12から排出される空気を第2開度対応第1変更値よりも多い1200[m3/h]に保持する。なお、定風量ユニット15,16を通過して室11,12に供給される空気の量は、扉24の閉扉時と同一である。
さらに、扉24の開度が60度(第3開度)に達すると、ON信号がすべてのセンサ19A,19B,19Cから定風量ユニット17,18の制御器に出力される。制御器は、それらセンサ19A,19B,19Cから出力されたON信号に基づいて扉24が第3開度に開扉されたと判断し(扉開度検出手段)、室11,12に対して気流方向規制手段を継続して実行する(S−7)。制御器は、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値や第2開度対応第1変更値よりも多く、かつ、第3開度に対応する変更値(第3開度対応第1変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第3開度対応第1変更値に対応するユニット17のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。さらに、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値や第2開度対応第2変更値よりも少なく、かつ、第3開度に対応する変更値(第3開度対応第2変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第3開度対応第2変更値に対応するユニット18のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。
たとえば、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1000[m3/h](第2開度対応第2変更値)から800[m3/h](第3開度対応第2変更値)に変更することで、第1室11から排出される空気を第2開度対応第2変更値よりも少ない800[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を1200[m3/h](第2開度対応第1変更値)から1400[m3/h](第3開度対応第1変更値)に変更することで、第2室12から排出される空気を第2開度対応第1変更値よりも多い1400[m3/h]に保持する。あるいは、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1000[m3/h](第2開度対応第2変更値)から0[m3/h](第3開度対応第2変更値)に変更することで、第1室11から排出される空気を第2開度対応第2変更値よりも少ない0[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を1200[m3/h](第2開度対応第1変更値)から2200[m3/h](第3開度対応第1変更値)とすることで、第2室12から排出される空気を第2開度対応第1変更値よりも多い2200[m3/h]に保持する。
なお、初期設定値よりも多く、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に多くなれば第1開度対応第1変更値や第2開度対応第1変更値、第3開度対応第1変更値に特に限定はなく、初期設定値よりも多い範囲でそれら開度対応第1変更値を自由に設定することができる。また、初期設定値よりも少なく、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に少なくなれば第1開度対応第2変更値や第2開度対応第2変更値、第3開度対応第2変更値に特に限定はなく、初期設定値よりも少ない範囲でそれら開度対応第2変更値を自由に設定することができる。定風量ユニット15,16を通過して室11,12に供給される空気の量は、扉24の閉扉時と同一である。
定風量ユニット17,18の制御器は、扉24が開扉状態(第3開度)になった後、センサ19A,19B,19Cから入力される信号によって扉24が開扉状態(第3開度)のままかを判断する(S−8)。扉24が開扉状態(第3開度)の場合、制御器は、それら室11,12に第3開度における気流方向規制手段を継続して実行する(S−7)。使用者が扉24を閉め、扉24の開度が60度未満かつ30度以上になると、OFF信号がセンサ19Cから制御器に出力されるとともに、ON信号がセンサ19A,19Bから制御器に出力される。制御器は、センサ19Cから出力されたOFF信号とそれらセンサ19A,19Bから出力されたON信号とに基づいて扉24が第3開度から第2開度になったと判断する(扉開度検出手段)。
定風量ユニット17の制御器は、ユニット17を通過する空気通過量が第2開度に対応する第2開度対応第1変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第1変更値に対応するユニット17のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット18の制御器は、ユニット18を通過する空気通過量が第2開度に対応する第2開度対応第2変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第2変更値に対応するユニット18のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。具体的には、ユニット18を通過する空気通過量を800[m3/h](第3開度対応第2変更値)または0[m3/h](第3開度対応第2変更値)から1000[m3/h](第2開度対応第2変更値)とすることで、第1室11から排出される空気を1000[m3/h]に保持し、ユニット17を通過する空気通過量を1400[m3/h](第3開度対応第1変更値)または2200[m3/h](第3開度対応第1変更値)から1200[m3/h](第2開度対応第1変更値)とすることで、第2室12から排出される空気を1200[m3/h]に保持する。
使用者が扉24を閉め、扉24の開度が30度未満かつ15度以上になると、OFF信号がセンサ19A,19Bから定風量ユニット17,18の制御器に出力されるとともに、ON信号がセンサ19Cから制御器に出力される。制御器は、センサ19A,19Bから出力されたOFF信号とセンサ19Cから出力されたON信号とに基づいて扉24が第2開度から第1開度になったと判断する(扉開度検出手段)。
定風量ユニット17の制御器は、ユニット17を通過する空気通過量が第1開度に対応する第1開度対応第1変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第1変更値に対応するユニット17のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット18の制御器は、ユニット18を通過する空気通過量が第1開度に対応する第1開度対応第2変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第2変更値に対応するユニット18のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。具体的には、ユニット18を通過する空気通過量を1000[m3/h](第2開度対応第2変更値)から1200[m3/h](第1開度対応第2変更値)とすることで、第1室11から排出される空気を1200[m3/h]に保持し、ユニット17を通過する空気通過量を1200[m3/h](第2開度対応第1変更値)から1000[m3/h](第1開度対応第1変更値)とすることで、第2室12から排出される空気を1000[m3/h]に保持する。
使用者が扉24をさらに閉め、扉24の開度が15度(所定開度)未満になると、それらセンサ19A,19B,19CからOFF信号が定風量ユニット17,18の制御器に出力される。制御器は、それらセンサ19A,19B,19Cから出力されたOFF信号に基づいて扉24が閉扉されたと判断し(扉開度検出手段)、ステップ(S−2)に戻り、条件変更の有無を表示した後、扉24が閉扉状態にあるかを再び判断する(S−4)。扉24が閉扉状態にあると判断すると、気流方向規制手段を中断し、それら室11,12に初期設定値保持手段を実行する(S−5)。具体的には、ユニット18を通過する1200[m3/h](第1開度対応第2変更値)から1500[m3/h](初期設定値)に変更することで、第1室11から排出される空気を1500[m3/h]に保持し、ユニット17を通過する空気通過量を1000[m3/h](第1開度対応第1変更値)から700[m3/h](初期設定値)に変更することで、第2室12から排出される空気を700[m3/h]に保持する。
この室圧制御システム10Aは、扉24が第1〜第3開度に開扉されたときに、定風量ユニット17(第1定風量ユニット)がそこを通過する空気通過量を初期設定値よりも多く、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に多くなる複数の第1変更値に段階的に保持するから、扉24の閉扉中よりも多くの量の空気が排気管14を通って第2室12から室外に排出されるとともに、扉24の開度が大きくなるにつれて第2室12から室外に排出される空気の量が次第に多くなる。また、扉24が第1〜第3開度に開扉されたときに、定風量ユニット18(第2定風量ユニット)がそこを通過する空気通過量を初期設定値よりも少なく、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に少なくなる複数の第2変更値に段階的に保持するから、扉24の閉扉中よりも少ない量の空気が排気管14を通って第1室11から室外に排出されるとともに、扉24の開度が大きくなるにつれて第1室11から室外に排出される空気の量が次第に少なくなる。ゆえに、この室圧制御システム10Aは、空気が開扉された扉24の開放空間27を通って第1室11から第2室12に流動し易く、扉24の開扉中に空気を第1室11から第2室12に向かって確実に流動させることができる。
この室圧制御システム10Aは、扉24の開扉中に空気を第1室11から第2室12に向かって流動させることができるから、第2室12の空気が汚染されていたとしても、汚染された空気が第2室12から第1室11に向かって流れ込むことはなく、汚染された空気を所定の経路で安全に室外へ排気することができ、空気汚染の全室への拡大を防ぐことができる。この室圧制御システム10Aは、開扉されていた扉24の開度が第1開度(15度)よりも小さくなったときに、定風量ユニット17,18を通過する空気通過量を初期設定値に戻すから、扉24を閉めた後に空気通過量を初期設定値に戻す場合と比較し、扉24を閉めた後の各室11,12の室内気圧の不安定状態を防ぐことができ、扉24を閉めた後にそれら室11,12の室内気圧をあらかじめ設定された目標室内気圧に速やかに復帰させることができる。
図6,7は、他の一例として示す室圧制御システム10Bの概念図であり、図8は、第1および第2室11,12を側方から示す室圧制御システム10Bの概念図である。図6,7は、第1および第2室11,12を上方から示している。図6,8では、扉24,25が閉じた状態(閉扉状態)にある。図7では、扉25が閉じた状態にあり、扉24が所定開度以上に開いた状態(開扉状態)にある。図6〜図8に示すシステム10Bが図1〜図3に示すそれと異なるところは、扉24に取り付けられた開閉センサ19A,19B,19Cが給気ダクト13に取り付けられた定風量ユニット15,16の制御器にも接続されている点にある。なお、このシステム10Bのその他の構成は図1〜図3のそれと同一であり、図1〜図3と同一の符号を付すことで図6〜図8に示すシステム10Bのその他の構成の説明は省略する。
このシステム10Bでは、3つの開閉センサ19A,19B,19Cによって開扉された扉24の開度が第1開度〜第3開度(第1〜第n所定開度)に区分して検出される。センサ19Aのみが反応した場合、扉24の開度が15度(第1開度)、センサ19Aとセンサ19Bとが反応した場合、扉24の開度が30度(第2開度)、すべてのセンサ19A,19B,19Cが反応した場合、扉24の開度が60度(第3開度)となるようにそれらセンサ19A,19B,19Cの取り付け位置が調節されている。
定風量ユニット15,16,17,18の制御器のメモリには、室11,12の目標室内気圧と、ユニット15,16,17,18を通過する空気通過量(初期設定値)との相関関係が格納され、目標室内気圧に対応する空気通過量(初期設定値)と、その空気通過量に対応するダンパの旋回羽根の開度(旋回角度)との相関関係が格納されている。さらに、扉24が開扉状態にあるときのユニット15,16,17,18を通過する空気通過量(第1および第2変更値)が第1開度〜第3開度に対応する3段階に区分して格納され、第1開度〜第3開度に対応する空気通過量と、それら空気通過量に対応するダンパの旋回羽根の開度(旋回角度)との相関関係が格納されている。
扉24が開扉状態にあるときのユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量(第1変更値)は、初期設定値よりも多く、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に多くなる複数の空気通過量(第1開度対応第1変更値〜第3開度対応第1変更値)に段階的に保持される。扉24が開扉状態にあるときのユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量(第2変更値)は、初期設定値よりも少なく、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に少なくなる複数の空気通過量(第1開度対応第2変更値〜第3開度対応第2変更値)に段階的に保持される。扉24が開扉状態にあるときのユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量(第3変更値)は、初期設定値よりも少なく、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に少なくなる複数の空気通過量(第1開度対応第3変更値〜第3開度対応第3変更値)に段階的に保持される。さらに、扉24が開扉状態にあるときのユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量(第4変更値)は、初期設定値よりも多く、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に多くなる複数の空気通過量(第1開度対応第4変更値〜第3開度対応第4変更値)に段階的に保持される。第3開度に対応する空気通過量(第2変更値)や空気通過量(第3変更値)は0の場合を含む。
定風量ユニット15,16,17,18の制御器は、各種条件を記憶する条件記憶手段と、扉24が閉扉状態にあるときに室11,12の室内気圧を目標室内気圧に維持し得るように、ユニット15,16,17,18を通過する空気通過量を初期設定値に保持する初期設定値保持手段と、開扉された扉24の開度を第1〜第3開度(第1〜第n所定開度)に区分して検出する扉開度検出手段と、扉24が所定開度(第1〜第3開度)に開扉されたときに、空気を第1室11から第2室12に向かって流動させる気流方向規制手段とを実行する。
図5のフローチャートを援用し、制御器によって実行される図6〜図8のシステム10Bのプロセスの他の一例を説明すると、以下のとおりである。室11,12の使用者は、扉25を開けて室12に入り、扉25を閉めた後、システム10BのスイッチをONにしてこのシステム10Bを起動させる。システム10Bを起動させた後、制御器には、入力装置を介してこのシステム10Bのプロセスを実行するために必要な各種条件(室11,12の目標室内気圧、扉24を開扉状態と判断するための扉24の第1開度(15度)、第2開度(30度)、第3開度(60度))が入力される(S−1)。制御器は、条件変更の有無を表示装置に表示する(S−2)。それら条件に変更がある場合は、入力装置によって条件変更を行う(S−3)。室11,12の目標室内気圧を入力すると、制御器は、メモリに格納された相関関係から入力された目標室内気圧に対応する定風量ユニット15,16,17,18の空気通過量(初期設定値)を決定するとともに、その空気通過量に対応するユニット15,16,17,18のダンパの旋回羽根の開度を決定する。
それら条件が入力され、かつ、条件に変更がない場合、定風量ユニット15,16,17,18の制御器は、センサ19A,19B,19Cから入力される信号によって扉24が閉扉状態にあるかを判断する(S−4)。制御器は、扉24が閉扉状態(扉24の開度が15度(所定開度)未満を含む)にあると判断すると、ユニット15,16,17,18を通過する空気通過量を初期設定値に保持する初期設定値保持手段を実行する(S−5)。初期設定値保持手段において制御器は、ユニット15,16,17,18を通過する空気通過量が目標室内気圧に対応する空気通過量(初期設定値)となるように、ダンパの旋回羽根の開度をその空気通過量(初期設定値)に対応する開度に保持する。これにより、室11,12の室内気圧が目標室内気圧に維持される。
たとえば、ユニット16を通過する空気通過量を2000[m3/h](初期設定値)とすることで、第1室11に供給される空気を2000[m3/h]に保持し、ユニット15を通過する空気通過量を1050[m3/h](初期設定値)とすることで、第2室12に供給される空気を1050[m3/h]に保持する。また、ユニット18を通過する空気通過量を1900[m3/h](初期設定値)とすることで、第1室11から排出される空気を1900[m3/h]に保持し、ユニット17を通過する空気通過量を950[m3/h](初期設定値)とすることで、第2室12から排出される空気を950[m3/h]に保持する。次に、使用者は、システム10Bの稼動または停止の選択を行う(S−6)。システム10Bの稼動を選択すると、制御器は、ステップ(S−2)に戻り、条件変更の有無を表示した後、扉24が閉扉状態にあるかを再び判断し(S−4)、扉24が閉扉状態にあると判断すると、初期設定値保持手段を継続して実行する(S−5)。システム10Bの停止を選択すると、システム10BのスイッチがOFFとなり、システム10Bが停止する。
システム10Bの稼働中に使用者が扉24を開け、扉24の開度が15度(第1開度)に達すると、ON信号がセンサ19Aから定風量ユニット15,16,17,18の制御器に出力され、OFF信号がセンサ19B,19Cから制御器に出力される。制御器は、センサ19Aから出力されたON信号とそれらセンサ19B,19Cから出力されたOFF信号とに基づいて、扉24が第1開度に開扉されたと判断し(扉開度検出手段)、初期設定値保持手段を中断し、室11,12に対して気流方向規制手段を実行する(S−7)。
定風量ユニット16の制御器は、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値よりも多く、かつ、第1開度に対応する変更値(第1開度対応第4変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第4変更値に対応するユニット16のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット15の制御器は、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値よりも少なく、かつ、第1開度に対応する変更値(第1開度対応第3変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第3変更値に対応するユニット15のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット18の制御器は、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値よりも少なく、かつ、第1開度に対応する変更値(第1開度対応第2変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第2変更値に対応するユニット18のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット17の制御器は、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値よりも多く、かつ、第1開度に対応する変更値(第1開度対応第1変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第1変更値に対応するユニット17のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。これにより、図7に矢印X3で示すように、第1室11の空気は扉24の開放空間27を通って第2室12に流入する。
たとえば、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量を2000[m3/h](初期設定値)から2100[m3/h](第1開度対応第4変更値)に変更することで、第1室11に供給される空気を初期設定値よりも多い2100[m3/h]に保持し、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量を1050[m3/h](初期設定値)から950[m3/h](第1開度対応第3変更値)に変更することで、第2室12に供給される空気を初期設定値よりも少ない950[m3/h]に保持する。さらに、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1900[m3/h](初期設定値)から1800[m3/h](第1開度対応第2変更値)に変更することで、第1室11から排出される空気を初期設定値よりも少ない1800[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を950[m3/h](初期設定値)から1050[m3/h](第1開度対応第1変更値)に変更することで、第2室12から排出される空気を初期設定値よりも多い1050[m3/h]に保持する。
次に、扉24の開度が30度(第2開度)に達すると、ON信号がセンサ19A,19Bから定風量ユニット15,16,17,18の制御器に出力され、OFF信号がセンサ19Cから制御器に出力される。制御器は、それらセンサから出力されたON信号とセンサ15,16,17,18から出力されたOFF信号とに基づいて、扉24が第2開度に開扉されたと判断し(扉開度検出手段)、室11,12に対して気流方向規制手段を継続して実行する(S−7)。
定風量ユニット16の制御器は、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値や第1開度対応第4変更値よりも多く、かつ、第2開度に対応する変更値(第2開度対応第4変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第4変更値に対応するユニット16のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニットの制御器15は、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値や第1開度対応第3変更値よりも少なく、かつ、第2開度に対応する変更値(第2開度対応第3変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第3変更値に対応するユニット15のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット18の制御器は、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値や第1開度対応第2変更値よりも少なく、かつ、第2開度に対応する変更値(第2開度対応第2変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第2変更値に対応するユニット18のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット17の制御器は、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量が初期設定値や第1開度対応第1変更値よりも多く、かつ、第2開度に対応する変更値(第2開度対応第1変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第1変更値に対応するユニット17のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。
たとえば、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量を2100[m3/h](第1開度対応第4変更値)から2200[m3/h](第2開度対応第4変更値)に変更することで、第1室11に供給される空気を第1開度対応第4変更値よりも多い2200[m3/h]に保持し、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量を950[m3/h](第1開度対応第3変更値)から850[m3/h](第2開度対応第3変更値)に変更することで、第2室12に供給される空気を第1開度対応第3変更値よりも少ない850[m3/h]に保持する。さらに、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1800[m3/h](第1開度対応第2変更値)から1700[m3/h](第2開度対応第2変更値)に変更することで、第1室11から排出される空気を第1開度対応第2変更値よりも少ない1700[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を1050[m3/h](第1開度対応第1変更値)から1150[m3/h](第2開度対応第1変更値)に変更することで、第2室12から排出される空気を第1開度対応第1変更値よりも多い1150[m3/h]に保持する。
さらに、扉24の開度が60度(第3開度)に達すると、ON信号がすべてのセンサ19A,19B,19Cから定風量ユニット15,16,17,18の制御器に出力される。制御器は、それらセンサ19A,19B,19Cから出力されたON信号に基づいて扉24が第3開度に開扉されたと判断し(扉開度検出手段)、室11,12に対して気流方向規制手段を継続して実行する(S−7)。
定風量ユニット16の制御器は、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量が第2開度対応第4変更値よりも多く、かつ、第3開度に対応する変更値(第3開度対応第4変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第3開度対応第4変更値に対応するユニット16のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット15の制御器は、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量が第2開度対応第3変更値よりも少なく、かつ、第3開度に対応する変更値(第3開度対応第3変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第3開度対応第3変更値に対応するユニット15のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット18の制御器は、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量が第2開度対応第2変更値よりも少なく、かつ、第3開度に対応する変更値(第3開度対応第2変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第3開度対応第2変更値に対応するユニット18のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット17の制御器は、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量が第2開度対応第1変更値よりも多く、かつ、第3開度に対応する変更値(第3開度対応第1変更値)となるように、メモリに格納された相関関係から第3開度対応第1変更値に対応するユニット17のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。
たとえば、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量を2200[m3/h](第2開度対応第4変更値)から2300[m3/h](第3開度対応第4変更値)に変更することで、第1室11に供給される空気を第2開度対応第4変更値よりも多い2300[m3/h]に保持し、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量を850[m3/h](第2開度対応第3変更値)から750[m3/h](第3開度対応第3変更値)に変更することで、第2室12に供給される空気を第2開度対応第3変更値よりも少ない750[m3/h]に保持する。さらに、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1700[m3/h](第2開度対応第2変更値)から1600[m3/h](第3開度対応第2変更値)に変更することで、第1室11から排出される空気を第2開度対応第2変更値よりも少ない1600[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を1150[m3/h](第2開度対応第1変更値)から1250[m3/h](第3開度対応第1変更値)に変更することで、第2室12から排出される空気を第2開度対応第1変更値よりも多い1250[m3/h]に保持する。
あるいは、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量を2200[m3/h](第2開度対応第4変更値)から3000[m3/h](第3開度対応第4変更値)に変更することで、第1室11に供給される空気を第2開度対応第4変更値よりも多い3000[m3/h]に保持し、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量を850[m3/h](第2開度対応第3変更値)から0[m3/h](第3開度対応第3変更値)に変更することで、第2室12に供給される空気を第2開度対応第3変更値よりも少ない0[m3/h]に保持する。さらに、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1700[m3/h](第2開度対応第2変更値)から0[m3/h](第3開度対応第2変更値)に変更することで、第1室11から排出される空気を第2開度対応第2変更値よりも少ない0[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を1150[m3/h](第2開度対応第1変更値)から2000[m3/h](第3開度対応第1変更値)に変更することで、第2室12から排出される空気を第2開度対応第1変更値よりも多い2000[m3/h]に保持する。
定風量ユニット15,16,17,18の制御器は、扉24が開扉状態(第3開度)になった後、センサ19A,19B,19Cから入力される信号によって扉24が開扉状態(第3開度)のままかを判断する(S−8)。扉24が開扉状態(第3開度)の場合、制御器は、それら室11,12に第3開度における気流方向規制手段を継続して実行する(S−7)。使用者が扉24を閉め、扉24の開度が60度未満かつ30度以上になると、OFF信号がセンサ19Cから制御器に出力されるとともに、ON信号がセンサ19A,19Bから制御器に出力される。制御器は、センサ19Cから出力されたOFF信号とそれらセンサ19A,19Bから出力されたON信号とに基づいて扉24が第3開度から第2開度になったと判断する(扉開度検出手段)。
定風量ユニット16の制御器は、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量が第2開度対応第4変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第4変更値に対応するユニット16のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット15の制御器は、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量が第2開度対応第3変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第3変更値に対応するユニット15のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット18の制御器は、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量が第2開度対応第2変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第2変更値に対応するユニット18のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット17の制御器は、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量が第2開度対応第1変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第2開度対応第1変更値に対応するユニット17のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。
具体的には、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量を2300[m3/h](第3開度対応第4変更値)または3000[m3/h](第3開度対応第4変更値)から2200[m3/h](第2開度対応第4変更値)に変更することで、第1室11に供給される空気を2200[m3/h]に保持し、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量を750[m3/h](第3開度対応第3変更値)または0[m3/h](第3開度対応第3変更値)から850[m3/h](第2開度対応第3変更値)に変更することで、第2室12に供給される空気を850[m3/h]に保持する。さらに、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1600[m3/h](第3開度対応第2変更値)または0[m3/h](第3開度対応第2変更値)から1700[m3/h](第2開度対応第2変更値)に変更することで、第1室11から排出される空気を1700[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を1250[m3/h](第3開度対応第1変更値)または2000[m3/h](第3開度対応第1変更値)から1150[m3/h](第2開度対応第1変更値)に変更することで、第2室12から排出される空気を1150[m3/h]に保持する。
使用者が扉24を閉め、扉24の開度が30度未満かつ15度以上になると、OFF信号がセンサ19B,19Cから定風量ユニット15,16,17,18の制御器に出力されるとともに、ON信号がセンサ19Aから制御器に出力される。制御器は、センサ19B,19Cから出力されたOFF信号とセンサ19Aから出力されたON信号とに基づいて扉24が第2開度から第1開度になったと判断する(扉開度検出手段)。
定風量ユニット16の制御器は、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量が第1開度対応第4変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第4変更値に対応するユニット16のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット15の制御器は、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量が第1開度対応第3変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第3変更値に対応するユニット15のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット18の制御器は、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量が第1開度対応第2変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第2変更値に対応するユニット18のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。定風量ユニット17の制御器は、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量が第1開度対応第1変更値となるように、メモリに格納された相関関係から第1開度対応第1変更値に対応するユニット17のダンパの旋回羽根の開度を決定し、ダンパの旋回羽根の開度を決定した開度に変更してその開度を保持する。
具体的には、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量を2200[m3/h](第2開度対応第4変更値)から2100[m3/h](第1開度対応第4変更値)に変更することで、第1室11に供給される空気を2100[m3/h]に保持し、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量を850[m3/h](第2開度対応第3変更値)から950[m3/h](第1開度対応第3変更値)に変更することで、第2室12に供給される空気を950[m3/h]に保持する。さらに、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1700[m3/h](第2開度対応第2変更値)から1800[m3/h](第1開度対応第2変更値)に変更することで、第1室11から排出される空気を1800[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を1150[m3/h](第2開度対応第1変更値)から1050[m3/h](第1開度対応第1変更値)に変更することで、第2室12から排出される空気を1050[m3/h]に保持する。
使用者が扉24をさらに閉め、扉24の開度が15度(所定開度)未満になると、それらセンサ19A,19B,19CからOFF信号が定風量ユニット15,16,17,18の制御器に出力される。制御器は、それらセンサ19A,19B,19Cから出力されたOFF信号に基づいて扉24が閉扉されたと判断し(扉開度検出手段)、ステップ(S−2)に戻り、条件変更の有無を表示した後、扉24が閉扉状態にあるかを再び判断する(S−4)。扉24が閉扉状態にあると判断すると、気流方向規制手段を中断し、それら室11,12に初期設定値保持手段を実行する(S−5)。
具体的には、ユニット16(第4定風量ユニット)を通過する空気通過量を2100[m3/h](第1開度対応第4変更値)から2000[m3/h](初期設定値)に変更することで、第1室11に供給される空気を2000[m3/h]に保持し、ユニット15(第3定風量ユニット)を通過する空気通過量を950[m3/h](第1開度対応第3変更値)から1050[m3/h](初期設定値)に変更することで、第2室12に供給される空気を1050[m3/h]に保持する。さらに、ユニット18(第2定風量ユニット)を通過する空気通過量を1800[m3/h](第1開度対応第2変更値)から1900[m3/h](初期設定値)に変更することで、第1室11から排出される空気を1900[m3/h]に保持し、ユニット17(第1定風量ユニット)を通過する空気通過量を1050[m3/h](第1開度対応第1変更値)から950[m3/h](初期設定値)に変更することで、第2室12から排出される空気を950[m3/h]に保持する。
この室圧制御システム10Bは、扉24が第1〜第3開度に開扉されたときに、第1定風量ユニット17がそこを通過する空気通過量を初期設定値よりも多く、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に多くなる複数の第1変更値に段階的に保持するから、扉24の閉扉中よりも多くの量の空気が排気管14を通って第2室12から室外に排出されるとともに、扉24の開度が大きくなるにつれて第2室12から室外に排出される空気の量が次第に多くなる。扉24が第1〜第3開度に開扉されたときに、第2定風量ユニット18がそこを通過する空気通過量を初期設定値よりも少なく、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に少なくなる複数の第2変更値に段階的に保持するから、扉24の閉扉中よりも少ない量の空気が排気管14を通って第1室11から室外に排出されるとともに、扉24の開度が大きくなるにつれて第1室11から室外に排出される空気の量が次第に少なくなる。扉24が第1〜第3開度に開扉されたときに、第3定風量ユニット15がそこを通過する空気通過量を初期設定値よりも少なく、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に少なくなる複数の第3変更値に段階的に保持するから、扉24の閉扉中よりも少ない量の空気が給気管13を通って第2室12に供給されるとともに、扉24の開度が大きくなるにつれて第2室12に供給される空気の量が次第に少なくなる。扉24が第1〜第3開度に開扉されたときに、第4定風量ユニット16がそこを通過する空気通過量を初期設定値よりも多く、かつ、第1開度から第3開度に向かって空気通過量が順に多くなる複数の第4変更値に段階的に保持するから、扉24の閉扉中よりも多くの量の空気が給気管13を通って第1室11に供給されるとともに、扉24の開度が大きくなるにつれて第1室11に供給される空気の量が次第に多くなる。ゆえに、この室圧制御システム10Bは、空気が開扉された扉24の開放空間を通って第1室11から第2室12に流動し易く、扉24の開扉中に空気を第1室11から第2室12に向かって確実に流動させることができる。
この室圧制御システム10Bは、扉24の開扉中に空気を第1室11から第2室12に向かって流動させることができるから、第2室12の空気が汚染されていたとしても、汚染された空気が第2室12から第1室11に向かって流れ込むことはなく、汚染された空気を所定の経路で安全に室外へ排気することができ、空気汚染の全室への拡大を防ぐことができる。この室圧制御システム10Bは、開扉されていた扉24の開度が第1開度(15度)よりも小さくなったときに、定風量ユニット15,16,17,18を通過する空気通過量を初期設定値に戻すから、扉24を閉めた後に空気通過量を初期設定値に戻す場合と比較し、扉24を閉めた後の各室11,12の室内気圧の不安定状態を防ぐことができ、扉24を閉めた後にそれら室11,12の室内気圧をあらかじめ設定された目標室内気圧に速やかに復帰させることができる。