JP2008190713A - 振動低減機構およびその諸元設定方法 - Google Patents

振動低減機構およびその諸元設定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】過大な付加質量を必要とせずに優れた振動低減効果が得られる振動低減機構とその諸元設定方法を提供する。
【解決手段】曲げ変形が卓越する塔状構造物1を対象とする振動低減機構およびその諸元設定方法であって、振動低減対象の塔状構造物の中間部を軸力部材2により支持するとともに、該軸力部材には、前記塔状構造物の曲げ変形が軸力部材の軸方向変形を介して伝達されることにより錘が回転して回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパー3を介装し、該回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量Ψと前記軸力部材の軸剛性kとにより定まる固有振動数を、前記塔状構造物の固有振動数に同調させる。
【選択図】図1

Description

本発明は塔状構造物を対象とする振動低減機構およびその諸元設定方法に関する。
鉄塔や展望タワーのような曲げ変形が卓越する塔状構造物の振動を抑制するために、たとえば特許文献1に示されているように所謂チューンド・マス・ダンパー(Tunned Mass Damper:TMD)を設置するという手法が知られている。これは、塔状構造物の頂部に付加バネを介して付加質量を設置し、それら付加バネと付加質量により定まる固有振動数を塔状構造物の固有振動数に同調させることにより塔状構造物の共振点近傍における応答を低減させるというものである。
特に、そのようなTMDをアンテナポールに適用するものとして、特許文献2には衝突ダンパ式の制振装置をアンテナポールの高次モードの固有振動数に対応させて設置するものが開示されている。
特開昭63−156171号公報 特開平10−126126号公報
しかし、特許文献1および特許文献2に示されるような従来一般のTMDでは、十分な振動低減効果を得るためには付加質量を大きくする必要があり、したがって重量を増した分だけ塔状構造物への負荷が増加することになるので好ましくなく、特にアンテナポールのように本来的に軽量で簡易な構造の塔状構造物には適用し難いものである。
上記事情に鑑み、本発明は従来一般のTMDのように過大な付加質量を必要とせずに充分な振動低減効果が得られる振動低減機構とその諸元設定方法を提供することを目的としている。
本発明は、曲げ変形が卓越する塔状構造物を対象とする振動低減機構およびその諸元設定方法であって、振動低減対象の塔状構造物の中間部を軸力部材により支持するとともに、該軸力部材には、前記塔状構造物の曲げ変形が軸力部材の軸方向変形を介して伝達されることにより錘が回転して回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを介装し、該回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量と前記軸力部材の軸剛性とにより定まる固有振動数を、前記塔状構造物の固有振動数に同調させるようにしたものである。
本発明によれば次のような格別顕著な効果が得られる。
曲げ変形の卓越する塔状構造物からなる主振動系に対し、その中間部を支持する短い軸力部材に回転慣性質量ダンパーを直列に組み込んだ付加振動系を付加し、その付加振動系の固有振動数、すなわち回転慣性質量ダンパーによる回転慣性質量と軸力部材の軸剛性(付加バネを設ける場合にはそれを含めた全体の軸剛性)とにより定まる固有振動数を、主振動系の固有振動数に同調させることによって、主振動系の応答を大幅に低減できる。
この場合、回転慣性質量ダンパーは実際の錘の質量の10〜1000倍もの回転慣性質量が得られるものであり、したがって小質量の錘による小型軽量かつ小容量の回転慣性質量ダンパーであっても大きな質量を有するTMD等の他の振動低減機構と同等ないしそれ以上の性能が得られ、コスト的にも設置スペースの点でも有利である。
本発明によれば、風や機械振動などの外乱だけでなく地震動に対しても振動を抑制する効果が得られるので、超高層建物等に適用すれば居住性を改善できるし、高度の指向性が要求される通信アンテナ等に適用すれば振動に伴う指向性のずれを有効に防止することができる。
勿論、本発明は新築のみならず既存の塔状構造物に対する振動低減対策として簡易に適用することができる。
図1は本発明の一実施形態である振動低減機構を示すもので、(a)は全体の概要図、(b)は振動モデルである。本実施形態の振動低減機構は自立している塔状構造物1の中間部を軸力部材2により支持するとともに、その軸力部材2に回転慣性質量ダンパー3を組み込んだことを主眼とするものである。
本実施形態における軸力部材2は方杖ないし火打材と同様に機能して塔状構造物1の転倒と振動を防止するようにその中間部を支持するものであって、少なくとも低減対象とする振動方向に沿う鉛直面内において傾斜状態に配置され、その一端が地盤あるいは基礎等に対して固定され、他端が塔状構造物1の所定高さの位置に連結されているものである。
本実施形態における回転慣性質量ダンパー3は、塔状構造物1の曲げ変形による振動が軸力部材2の軸方向変形(伸縮)を介して伝達されて作動するものであって、軸力部材2の伸縮により小質量の錘を回転させてその回転慣性モーメントと回転角加速度とにより錘に生じる慣性モーメントを制御力として利用して振動低減効果を得る構成のものである。
具体的には、回転慣性質量ダンパー3に生じる加力方向(軸力部材2の軸方向)の相対変位をx、その際の錘の回転角をθとし、それら相対変位xと回転角θとの間にx=αθの関係があるとき、摩擦等による回転ロスを無視すると、この回転慣性質量ダンパー3の加力方向の慣性力(制御力)Pは次式で表される。
Figure 2008190713
上式は、一般的なバネが相対変位にバネ定数を乗じて負担力とするのと同様に、相対加速度に回転慣性質量を乗じて負担力とすることを意味しており、相対変位ではなく相対加速度を乗じる点で通常のバネによる場合と大きく異なるものである。
上記のような回転慣性質量ダンパー3が発生する回転慣性質量Ψの大きさは、回転する錘の実際の質量に対して10〜1000倍にもなるので、小質量の錘を回転させることのみで極めて大きな慣性回転質量Ψを得ることができ、したがって錘が小質量であっても充分な制御力、つまりは充分な振動低減効果が得られるものである。
しかも、回転慣性質量Ψの大きさは、錘の質量のみならずその径寸法および径方向の質量分布により決定されるものであり、錘の質量が大きいほど、径寸法が大きいほど、質量が内周部よりも外周部に分布しているほど回転慣性質量Ψは大きくなるから、それらを適正に設定することによって回転慣性質量Ψを所望の大きさに設定することができ、所望の振動低減効果を得られる。
なお、この種の回転慣性質量ダンパーとしてはたとえば特許第3250795号公報や特開2004−44748号公報に免震装置として使用されるものが公知であり、本実施形態においてはそれらに示されているようなボールネジ式の回転慣性質量ダンパーが好適に採用可能であるが、回転慣性質量ダンパー3の構成は特に限定されるものではなく、所望の形式、特性のものを任意に採用することができる。
そして本発明では、そのような回転慣性質量ダンパー3を用いたうえで、その回転慣性質量ダンパー3により生じる回転慣性質量Ψと、軸力部材3の軸剛性k(後述するように付加バネ4を設置する場合にはそのバネ剛性も考慮した総合的な軸剛性)により定まる固有振動数を塔状構造物1の固有1次振動数に同調させるようにそれらの諸元を設定することを要旨としている。
すなわち、一般に質量mとバネkによる振動系における固有角振動数ωは
ω=k/m
なる関係で定まるのと同様に、本発明のような軸力部材2と回転慣性質量ダンパー3とによる付加振動系においては、その固有角振動数ωは回転慣性質量Ψおよび軸力部材2の軸剛性kから
ω =k/Ψ
なる関係で定まる。
したがって、その固有角振動数ωを塔状構造物1の固有1次角振動数ωにほぼ一致させて
ω =k/Ψ≒ω
の関係が成り立つようにΨおよびkの値を設定すれば、つまり、
Figure 2008190713
となるように軸力部材2および回転慣性質量ダンパー3の諸元を設定すれば、塔状構造物1の固有1次モードの振動に対する応答を大きく低減させることができる。
なお、上記の軸剛性kは軸力部材2自体の軸剛性をそのまま利用しても良いが、その軸剛性kを調整するために図1(b)に示しているように軸力部材2の要所に適宜の付加バネ4を直列に組み込んでも良く、その場合は付加バネ4の剛性も含めて軸力部材2の軸剛性として評価すれば良い。そのように付加バネ4を設けることより、軸力部材2全体の総合的な軸剛性kの設定、したがって付加振動系の固有角振動数ωの設定をより容易にかつ確実に行うことができる。
また、図1(b)に示すようにこの振動低減機構には付加減衰5も必要であり、その付加減衰5は図示例のように回転慣性質量ダンパー3に対して並列に設置すれば良いが、あるいは上記の付加バネ4を設置する場合にはそれに並列に設置することでも良い。もしくは、回転慣性質量ダンパー3として付加減衰を並列に組み込み一体化したものを用いても良く、その場合には他に格別の付加減衰を設置する必要はない。いずれにしても、そのような付加減衰5があることによってこの付加振動系の固有角振動数ωは塔状構造物1の固有1次角振動数ωとは厳密には一致しないが、実質的にほぼ同等とすることができる。
また、本実施形態における振動低減機構は図1に示すように低減対象とする主たる振動方向に沿う鉛直面内に少なくとも1基の軸力部材2を設置してそれに回転慣性質量ダンパー3を組み込むことで良いが、それ以外にもたとえば図2に示すような配置パターンが考えられる。
図2(a)は塔状構造物1の両側にそれぞれ軸力部材2を配置してそれぞれに回転慣性質量ダンパー3を組み込むことで塔状構造物1を両側から支持するようにしたもの、(b)はその場合において両側の軸力部材2の傾斜角度に差を付けたもの、(c)は両側の軸力部材2による支持点の位置に差を付けたものである。また、(d)〜(f)は平面的な配置パターンを示すもので、(d)は直交する2方向に軸力部材2を1基ずつ配置したもの、(e)は直交する2方向に軸力部材2を2基ずつ配置したもの、(f)は塔状構造物1の周囲に複数(3基ないしそれ以上)の軸力部材2を等間隔で放射状に配置したものであり、いずれも水平各方向に対して振動低減効果が得られる。勿論、上記(a)〜(f)の配置パターンやさらに他の配置パターンを様々に組み合わせても良い。
また、軸力部材2は方杖やステーのように水平に対して傾斜状態で配置することに限らず水平に配置することでも良く、その場合の配置パターンの例を図3に示す。(a)は塔状構造物1をピット内より自立させて地盤レベルに水平に設置した1基あるいは複数の軸力部材2により支持するもの、(b)は塔状構造物1に近接配置した他の構造物との間に軸力部材2を水平に架設したものであり、いずれも同様の効果が得られる。
いずれにしても、塔状構造物1に対する軸力部材2の支持点の位置は頂部に近くすることが効果的ではあるが、その場合は必然的に軸力部材2の所要長さが長くなるし建築計画上の制約を受けることも多いことから、全高の1/5〜1/4程度の中間部の位置とすることが現実的であり、通常はそれで充分な効果が得られる。
本実施形態の振動低減機構は、塔状構造物1という主振動系に対して所定の軸剛性kを有する短い軸力部材2とそれに直列に組み込んだ回転慣性質量ダンパー3とによる付加振動系を付加し、その付加振動系の固有角振動数ωを主振動系の固有1次角振動数ωに同調させることによって、付加振動系がTMDとして機能して主振動系(すなわち塔状構造物1)の曲げ振動に対する共振特性および応答を有効に改善でき、大幅な振動低減効果が得られるものである。
その点で本発明の基本原理は従来一般のTMDと共通するといえるが、上述したように従来一般のTMDでは十分な振動低減効果を得るためには大きな付加質量を必要とする点で難があるのに対し、本発明では小質量の錘を回転させる構成の回転慣性質量ダンパー3を用いることでその錘の10〜1000倍にも及ぶ大きな回転慣性質量Ψが得られることから、従来一般のTMDに比べて遙かに小型軽量の回転慣性質量ダンパー3で同等ないしそれ以上の振動低減効果が得られる。換言すれば、従来一般のTMDにより本発明と同等の効果を得ようとすれば、それに必要となる付加質量は著しく大きなものとなってしまって現実的ではない。
なお、詳細は後述するが、回転慣性質量ダンパー3を設けることなく軸力部材2のみで塔状構造物1の水平変位を拘束する場合(軸力部材2の軸剛性kを無限大と想定した場合に相当する)には、共振振動数は短周期側にシフトするものの、当然に本発明において得られるような顕著な応答低減効果は得られない。
また、回転慣性質量ダンパー3に代えてたとえば通常のオイルダンパー等の単なる付加減衰のみを設置する場合と比較すれば、本発明では同等の応答低減効果を発揮するためのダンパー容量は格段に小さくて済む。つまり、本発明では減衰係数の小さいダンパーによって大きな応答低減効果を得ることができ、したがって通常のダンパーを用いる場合に比べてコスト軽減を図ることができる。しかも、本発明においては回転慣性質量Ψと付加減衰cを大きく設定すれば、共振振動数領域のみならず全振動数領域にわたって応答倍率を低減できるものとなり、もはや共振のない振動特性が得られる。さらに、本発明においては回転慣性質量ダンパー3の負担力は共振振動数付近の狭い範囲であり、したがってダンパー反力処理が容易であるし、種々の振動数成分が混在する条件下では通常のダンパーを用いる場合よりも回転慣性質量ダンパー3の方がダンパー負担力が小さくなり、この点においても通常のダンパーを単なる付加減衰として設置する場合に比べて有利である。
以下、本発明の振動低減機構の効果を確認するための解析手法とその結果について図4〜図8を参照して詳細に説明する。
本発明の振動低減機構の振動モデル(図1(b))において、塔状構造物1の曲げ剛性EI、その等価質量mとする。軸力部材2の水平に対する傾斜角をφ、その軸剛性(付加バネ4を含む)k、回転慣性質量ダンパー3による回転慣性質量Ψとし、付加減衰5(容量c)を回転慣性質量ダンパー3と並列に設置する。また、塔状構造物1の全高h、軸力部材2による支持点の高さhとし、h/h=1/4とする。つまり、軸力部材2による支持点の位置を全高の1/4の高さとする。
回転慣性質量ダンパー3を使用しない場合の比較モデルを図4に示す。(a)は何らの対策のない場合、(b)は塔状構造物1の水平変位を拘束した場合(拘束点の高さを軸力部材2による支持点の高さhと等しくした場合。つまり軸力部材2の軸剛性kを無限大と想定した場合に相当する)、(c)は軸力部材2に付加減衰5のみを組み込んだ場合である。
(1)頂部水平変位の応答倍率
加振力fに対する頂部水平変位をx、頂部回転角θ、軸力部材2の支持点での水平変位x、そこでの回転角θとし、頂部に作用するせん断力をQ,軸力部材2からの反力をPとすると、次式が成り立つ。
Figure 2008190713
上式を変位と力についてマトリクス表示すると
Figure 2008190713
頂部に作用する加振力f、塔状構造物の減衰係数Cとすると、振動方程式は次式で表される。
Figure 2008190713
変位xが角振動数ωで正弦波振動するとして、x=xiωt、θ=θeiωt(j=1、2)を用いて、加振力f=fiωt に対する釣合式は次式で表される。
Figure 2008190713
ここで、Zは回転慣性質量ダンパー3と付加バネ4との直列バネであり、次式で表される。
Figure 2008190713
(3)式の第2式により
Figure 2008190713
となる。
これを第1式に代入すると、
Figure 2008190713
ここで、塔状構造物1の固有1次角振動数ω、それに対する減衰定数h、付加振動系の固有角振動数ω、それに対する減衰定数hは以下で表される。また、( ̄Ψ)、( ̄ω)、( ̄ω)、( ̄h)をそれぞれ以下のように表す。なお、( ̄Ψ)はΨの上部に ̄(バー)がつくことを表すものである(他の記号についても同様)。
Figure 2008190713
さらに静的な加振力fに対する頂部水平変位をxとすると、xは次式で求められる。
Figure 2008190713
加振力fに対する頂部水平変位xは次式で求められる。
Figure 2008190713
上式にZを代入すると、頂部水平変位の応答倍率はxに対するxの比(複素数の絶対値|x/x|)として次式で求められる。
Figure 2008190713
なお、上式において( ̄h)=h/h=0とすれば軸力部材2のない場合の結果と一致し、( ̄h)=h/h=1とすれば軸力部材2の支持点を頂部とした場合の結果と一致する。
一方、回転慣性質量ダンパー3を使用せずに図4(c)に示す比較モデルのように付加減衰5のみを設置した場合(付加剛性∞)の応答倍率は、h01=c/(2mω)として、次式となる。
Figure 2008190713
さらに、図4(b)に示す比較モデルのように水平拘束のみの場合における応答倍率は次式となる。
Figure 2008190713
(2)ダンパー負担力倍率
回転慣性質量ダンパー3を含む軸力部材2の反力の水平成分Pは次式で求められる。なお、次式で求められるPは複素数であり、その絶対値が粘性減衰を含むダンパー反力の水平成分となる。
Figure 2008190713
ダンパー負担力Nは N=P/cosθとして求められ、したがってダンパー負担力倍率は加振力fに対するダンパー負担力Nの比(複素数の絶対値|N/f|)として求められる。
一方、回転慣性質量ダンパー3を使用せずに付加減衰5のみを設置した場合(付加剛性∞)の反力の水平成分Pは、h01=c/(2mω)として次式となる。
Figure 2008190713
(3)頂部回転角の応答倍率
頂部回転角θは次式で求められる。
Figure 2008190713
ここで、
Figure 2008190713
として、頂部応答回転角θおよびその応答倍率θ/θは次式により求められる。
Figure 2008190713
上式におけるθ
Figure 2008190713
である。これは静的加力fに対する頂部回転角であり、頂部回転角の応答倍率は頂部応答回転角θのθに対する比(複素数の絶対値|θ/θ|)として求められる。
一方、回転慣性質量ダンパー3を使用せず、付加減衰5のみを設置した場合(付加剛性∞)の応答倍率は、h01=c/(2mω)として、次式となる。
Figure 2008190713
また、高さhにおいて水平拘束のみの場合にはk→∞として次式となる。
Figure 2008190713
以上の解析結果の具体例を図5〜図8に示す。
図5は、付加質量比( ̄Ψ)=Ψ/m=2、構造減衰h=0.02、付加振動系の( ̄ω)=ω/ω=1.007、付加減衰h=c/(2Ψω)=0.06(これはh01=c/(2mω)=( ̄Ψ)・( ̄ω)h=0.12に相当)の場合の例である。
なお、比較例である付加減衰5のみの場合については、回転慣性質量ダンパー3を設置した場合と頂部応答倍率が同等となるように付加減衰を設定してh01=8とした。
図5(a)、(b)から、回転慣性質量ダンパー3を設置することにより、何ら対策をしない場合や、水平拘束のみの場合に比べて頂部水平変位および頂部回転角の応答倍率をいずれも充分に低減できることがわかる。また、付加減衰のみによる場合と同等の効果を得るために必要なダンパー容量は1/67で済み、小さな減衰でも大きな応答低減効果が得られることがわかる。さらに(c)に示すようにダンパー最大負担力は応答が同等の粘性ダンパーと同等ではあるが、共振振動数帯域が狭く共振域を外れると負担力が急激に低減することがわかる。
図6は付加質量比( ̄Ψ)=Ψ/m=10、構造減衰h=0.02、付加振動系の( ̄ω)=ω/ω=1.05、付加減衰h=c/(2Ψω)=0.15(これはh01=c/(2mω)=( ̄Ψ)・( ̄ω)h=1.58に相当)の場合の例である。
比較例である付加減衰のみの場合には回転慣性質量ダンパーを設置した場合と頂部応答倍率が同等となるように付加減衰を設定してh01=18とした。
この場合も回転慣性質量ダンパー3を設置することにより頂部水平変位および頂部回転角の応答倍率をいずれも充分に低減でき、付加減衰のみによる場合に比べてダンパー容量を1/11程度としても同等の効果が得られることがわかる。
図7は、図6の場合における構造減衰を鉄塔等において一般的な値であるh=0.01とした場合の結果を示すものであり、図6の場合に比べて構造減衰が半減しても同様の効果が得られることがわかる。
図8は、付加質量比( ̄Ψ)=Ψ/m=100、構造減衰h=0.02、付加振動系の( ̄ω)=ω/ω=4.8、付加減衰h=c/(2Ψω)=0.17(これはh01=c/(2mω)=( ̄Ψ)・( ̄ω)h=81.6に相当)の場合の例である。
比較例である付加減衰のみの場合には回転慣性質量ダンパーを設置した場合と頂部応答倍率が同等となるように付加減衰を設定してh01=100とした。
この場合は、付加振動系の固有角振動数ωが主振動系の固有角振動数ωと厳密には同調していないともいえるが、それであってもオイルダンパー等の単なる付加減衰のみによる場合では実現できない大きな応答低減効果が得られることがわかる。
しかも、全振動数域にわたって頂部水平変位の応答倍率が1.3以下、頂部回転角の応答倍率が1.4以下であって、もはや共振による増幅特性はみられず、ダンパー負担力も付加減衰のみの場合と同等であることがわかる。
本発明の振動低減機構の一実施形態を示す概念図および振動モデルである。 同、付加振動系の配置パターンを示す図である。 同、さらに他の配置パターンを示す図である。 従来一般の振動モデルを示す図である。 本発明の振動低減機構における応答倍率およびダンパー負担力倍率についての解析結果を示す図である。 同、他の解析結果を示す図である。 同、他の解析結果を示す図である。 同、他の解析結果を示す図である。
符号の説明
1 塔状構造物
2 軸力部材
3 回転慣性質量ダンパー
4 付加バネ
5 付加減衰

Claims (2)

  1. 曲げ変形が卓越する塔状構造物を対象とする振動低減機構であって、
    振動低減対象の塔状構造物の中間部を軸力部材により支持するとともに、該軸力部材には、前記塔状構造物の曲げ変形が軸力部材の軸方向変形を介して伝達されることにより錘が回転して回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを介装し、
    該回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量と前記軸力部材の軸剛性とにより定まる固有振動数を、前記塔状構造物の固有振動数に同調させてなることを特徴とする振動低減機構。
  2. 曲げ変形が卓越する塔状構造物を対象とする振動低減機構の諸元設定方法であって、
    振動低減対象の塔状構造物の中間部を軸力部材により支持するとともに、該軸力部材には、前記塔状構造物の曲げ変形が該軸力部材の軸方向変形を介して伝達されることにより錘が回転して回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを介装し、
    該回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量と前記軸力部材の軸剛性とにより定まる固有振動数を前記塔状構造物の固有振動数に同調させるように、回転慣性質量ダンパーと軸力部材の諸元を設定することを特徴とする振動低減機構の諸元設定方法。
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