JP2008190537A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】内燃機関のクランクキング時に、駆動回転体と従動回転体の組付角を機関始動が可能な範囲に戻し、内燃機関を迅速かつ確実に始動できるようにする。
【解決手段】クランクシャフト側の駆動リング3とカムシャフト1側の従動軸部材7の間に、両者の組付角を変更するための組付角変更手段4を介在させ、組付角変更手段4を内燃機関の運転状態に応じて制御するバルブタイミング制御装置であって、イグニッション・キーがオフされて機関が完全に停止するまでの間に内燃機関の始動が可能な組付角まで変更できなかった場合には、機関再始動のクランキング時に内燃機関の始動が可能な組付角を変更する制御信号をコントローラからヒステリシスブレーキ20に組付角を機関始動が可能な角度位置に変更すべく通電するようにした。
【選択図】図1

Description

この出願の発明は、内燃機関の吸気側または排気側の機関弁の開閉タイミングを運転状態に応じて可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
この種のバルブタイミング制御装置として、次のようなものが案出されている。
このバルブタイミング制御装置は、クランクシャフトにタイミングチェーン等を介して連係されたハウジング(駆動回転体)がカムシャフトの端部に回動可能に組み付けられ、ハウジングの内側端面に形成された径方向ガイドに可動案内部が径方向に沿って摺動自在に係合支持されると共に、径方向外側に突出するレバーを有するレバー軸(従動回転体)がカムシャフトの端部にボルト結合され、可動案内部とレバー軸のレバーとがリンクによって枢支連結されている。そして、前記径方向ガイドに対向する位置には、渦巻き状ガイドを有する中間回転体がハウジングとレバー軸に対して相対回動可能に設けられ、前記可動案内部の軸方向の一方の端部に突設された略円弧状の複数の突条が前記渦巻き状ガイドに案内係合されている。また、中間回転体はハウジングに対して回転を進める側にゼンマイばねによって付勢されると共に、電磁ブレーキによって回転を遅らせる側の力を適宜受けるようになっている。この装置の場合、中間回転体に操作力を付与するゼンマイばね及び電磁ブレーキと、中間回転体の回動に応じてハウジング(駆動回転体)とレバー軸(従動回転体)の組付角を回動操作するリンクと、によって組付角変更手段が構成されている。
この装置においては、電磁ブレーキがOFF状態のときには、中間回転体がゼンマイばねの付勢力を受けハウジングに対して初期位置に位置されており、渦巻き状ガイドに突条でもって噛合う可動案内部は径方向外側に最大に変位し、リンクを引き起こしてハウジングとレバー軸の組付角を最遅角位相の角度位置(以下、「最遅角位置」と呼ぶ。)または最進角位相の角度位置(以下、「最進角位置」と呼ぶ。)に維持している。そして、この状態から電磁ブレーキがONにされると、中間回転体が減速されてハウジングに対して遅れ側に相対回転する結果、渦巻き状ガイドに噛合う可動案内部が径方向内側に変位し、今まで引き起こされていたリンクを次第に倒すようにしてハウジングとレバー軸の組付角を最進角位置または最遅角位置に変更する。
特開2001−41013号公報
上記従来のバルブタイミング制御装置においては、内燃機関の始動時に、機関弁(吸気弁または排気弁)のリフトタイミングを最遅角または最進角に制御するようにしているが、近年、車両の運転状況によって機関始動時のリフトタイミングよりもさらに外側のタイミング(最遅角側または最進角側のタイミング)を利用することが検討されている。この場合、図8に示すように、必然的に機関始動時のリフト特性(位相)が最遅角、最進角のいずれのリフト特性とも合致しなくなるため、上記従来の装置は、そのままの構造では利用することができない。
即ち、上記従来のバルブタイミング制御装置の場合、機関始動時に、駆動回転体(ハウジング)と従動回転体(レバー軸)の組付角を最遅角位置または最進角位置にゼンマイばねの付勢力によって強制的に戻す構造となっているため、この構造のまま内燃機関を始動させようとすると、駆動回転体と従動回転体の組付角が機関始動が可能な角度位置からずれ、確実な機関始動が行えなくなってしまう。
また、現在、組付角変更手段にゼンマイばねと電磁ブレーキを用いる代わりに、一対の電磁ブレーキを用いて正逆両方向の回動操作力を得るものが考えられているが、このような場合には、たとえ、機関始動が可能な組付角が最遅角位置や最進角位置であっても、機関停止の状況によって再始動を行えない組付角になる可能性がある。
そこで、本発明は、内燃機関のクランキング時までに、駆動回転体と従動回転体の組付角を機関始動が可能な範囲に戻せるようにして、内燃機関を迅速かつ確実に始動することのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供しようとするものである。
請求項1に記載の発明は、とりわけ、停止兆候検出手段によって検出信号が出力されたときに、内燃機関の始動が可能な最進角位置と最遅角位置の間の組付角に変更する制御信号を前記電磁アクチュエータに出力して内燃機関の始動が可能な組付角に向けて組付角を変更すると共に、機関が完全に停止するまでの間に機関の始動が可能な組付角まで変更できなかった場合には、機関始動時の制御によって対処することを特徴としている。
この発明によれば、内燃機関が完全に停止する直前に、駆動回転体と従動回転体の組付角を電磁アクチュエータによって機関始動のための適正位置に変更することができるため、機関の再始動時には、適正な組付角でもって機関始動を行うことができる。
また、機関が完全に停止するまでの間に機関の始動が可能な組付角まで変更できなかった場合には、機関始動時の制御によって駆動回転体と従動回転体の組付角を機関始動が可能な範囲に戻せるようにして、内燃機関を迅速かつ確実に始動することが可能になる。
次に、この出願の発明の一実施形態を、図8を参照しつつ、図1〜図7に基づいて説明する。
この実施形態は、この出願の発明にかかるバルブタイミング制御装置を内燃機関の吸気側の動弁系に適用したものであるが、排気側の動弁系に同様に適用することも可能である。
バルブタイミング制御装置は、図1に示すように内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)に回転自在に支持されたカムシャフト1と、このカムシャフト1の前端部に結合された従動軸部材7(従動回転体)と、この従動軸部材7に必要に応じて相対回動できるように組み付けられ、チェーン(図示せず)を介してクランクシャフト(図示せず)に連係されるタイミングスプロケット2を外周に有する駆動リング3(駆動回転体)と、この駆動リング3と従動軸部材7の前方側(図1中左側)に配置され、両者3,1を相対回動させて組付角を操作する組付角変更手段4と、内燃機関の図外のシリンダヘッドとヘッドカバーの前面に跨って取り付けられて組付角変更手段4の前面と周域を覆う図外のVTCカバーと、を備えている。尚、組付角変更手段4は、回動操作力を発生する操作力発生部40と、その操作力発生部40で発生した回動操作力を駆動リング3と従動軸部材7の相対的な回転力に変換する変換機構部41と、によって構成されている。
駆動リング3は、段差状の挿通孔6を備えた略円板状に形成され、この挿通孔6部分が従動軸部材7(従動回転体)に回転可能に組み付けられている。そして、駆動リング3の前面(カムシャフト1と逆側の面)には、図2,図3に示すように、対面する平行な側壁を有する3つの径方向溝8(径方向ガイド)が同リング3のほぼ半径方向に沿うように形成されている。
また、従動軸部材7は、図1に示すように、カムシャフト1の前端部に突き合される基部側の外周に拡径部が形成されると共に、その拡径部よりも前方側の外周面に放射状に突出する三つのレバー9が一体に形成され、軸芯部を貫通するボルト10によってカムシャフト1に結合されている。各レバー9には、リンク11の基端がピン12によって枢支連結され、各リンク11の先端には前記各径方向溝8に摺動自在に係合する円柱状の突出部13が一体に形成されている。
各リンク11は、突出部13が対応する径方向溝8に係合した状態において、ピン12を介して従動軸部材7に連結されているため、リンク11の先端側が外力を受けて径方向溝8に沿って変位すると、駆動リング3と従動軸部材7はリンク11の作用でもって突出部13の変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
また、各リンク11の先端部には、軸方向前方側に開口する収容穴14が形成され、この収容穴14に、後述する渦巻き溝15(渦巻き状ガイド)に係合する係合ピン16と、この係合ピン16を前方側(渦巻き溝15側)に付勢するコイルばね17とが収容されている。尚、この実施形態の場合、リンク11の先端の突出部13と係合ピン16、コイルばね17等によって径方向に変位可能な可動案内部が構成されている。
一方、従動軸部材7のレバー9の突設位置よりも前方側には、円板状のフランジ壁を有する中間回転体18が軸受19を介して回転自在に支持されている。この中間回転体18のフランジ壁の後面側には断面半円状の前述の渦巻き溝15が形成され、この渦巻き溝15に、前記各リンク11の先端の係合ピン16が転動自在に案内係合されている。渦巻き溝15の渦巻きは、機関回転方向Rに沿って次第に縮径するように形成されている。したがって、各リンク11先端の係合ピン16が渦巻き溝15に係合した状態において、中間回転体18が駆動リング3に対して遅れ方向に相対回転すると、リンク11の先端部は径方向溝8に案内されつつ、渦巻き溝15の渦巻き形状に誘導されて半径方向内側に移動し、逆に、中間回転体18が進み方向に相対変位すると、半径方向外側に移動する。
組付角変更手段4の変換機構部41は、以上説明した駆動リング3の径方向溝8、リンク11、突出部13、係合ピン16、レバー9、中間回転体18、渦巻き溝15等によって構成されている。この変換機構部41は、後述する操作力発生部40から中間回転体18にカムシャフト1に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が渦巻き溝15と係合ピン16の係合部を通してリンク11の先端を径方向に変位させ、このときリンク11が揺動してその揺動量に応じて駆動リング3と従動軸部材7を相対回動させる。
一方、操作力発生部40は、中間回転体18を駆動リング3に対して機関回転方向Rに付勢する付勢手段としてのゼンマイばね45と、中間回転体18を駆動リング3に対して機関回転方向Rと逆方向に作動させる(付勢手段に抗する力を発生する)電磁アクチュエータとしてのヒステリシスブレーキ20と、を備え、ゼンマイばね45の付勢力とヒステリシスブレーキ20の作動力とのバランスによって中間回転体18を回動操作するようになっている。尚、この実施形態においては、電磁アクチュエータの一例としてヒステリシスデレーキ20を用いたが、ヒステリシスブレーキに限らず他の形式の電磁ブレーキを採用することも可能である。
ゼンマイばね45は、駆動リング3に延設された円筒壁21にその外周端部が結合される一方、内周端部が中間回転体18の円筒状の基部に結合されている。
また、中間回転体18のカムシャフト1と逆側の端面には、封止壁46が一体に結合され、その封止壁46の外周面が前記円筒壁21の内面に摺動自在に密接している。
図1,図4に示すように、ヒステリシスブレーキ20は、非回転部材であるVTCカバーに取り付けられると共に、略円筒状の隙間を挟む対向面を備えた磁気誘導部材22と、前記対向面に設けられた内側極歯23、及び、外側極歯24と、磁気誘導部材22に取り付けられて内側極歯23と外側極歯24の間に磁界を生じさせる電磁コイル25と、前記両極歯23,24間に非接触状態で挿入配置された円筒状のヒステリシスリング26と、外周端がこのヒステリシスリング26に一体に結合された状態で中間回転体18に連結ピン47とゴムブッシュ48を介して結合された円環プレート27と、を備え、電磁コイル25がコントローラ42の出力信号によって適宜通電制御されるようになっている。
磁気誘導部材22の内側極歯23と外側極歯24は夫々軸方向に沿って延出する複数の極歯要素を有している。両極歯23,24の極歯要素は夫々円周方向に沿って配置され、極歯23,24の極歯要素相互は円周方向にオフセットされている。したがって、電磁コイル25が通電されると、両極歯23,24間には、オフセットした位置関係にある相手極歯要素に向かう磁界が発生する。
ヒステリシスリング26は、磁気的ヒステリシス特性を有するヒステリシス材から成り、同リング26の回転中に内側極歯23と外側極歯24の間に磁界が発生すると、その磁界の向きとヒステリシスリング26内の磁束の向きとにずれが生じるようになっている。ヒステリシスブレーキ20は、このずれによって制動力を発生する。また、円環プレート27は、磁気誘導部材22の内周面に軸受28,29を介して支持された軸部材30に一体に結合されている。したがって、ヒステリシスリング20は、円環プレート27と軸部材30を介して磁気誘導部材22に相対回転可能に支持されている。
尚、図中43は、中間回転体18と駆動リング3の間に設けられ、両者18,3の相対回動範囲を規制するストッパである。
ここで、駆動リング3と従動軸部材7は、前記ストッパ43による中間回転体18の回動規制によって組付角が規制され、それによって両者の遅角側と進角側の最大変位位置である最遅角位置と最進角位置とが決定されているが、このバルブタイミング制御装置の場合、内燃機関の始動に適した組付角(確実な始動が可能な組付角)は前記最遅角位置と最進角位置のほぼ中間位置に設定されている。即ち、この実施形態のバルブタイミング制御装置は、吸気側の動弁系に適用されているため、時間軸に対する機関弁のリフト特性は、図8中の右側の山形の線のようになるが、このとき内燃機関の始動に適した位相(図中実線)は、最遅角位相と最進角位相のほぼ中間の位相となっている。
また、内燃機関の始動時には、駆動リング3と従動軸部材7の組付角が前述の始動に適した角度位置になっていなければならないが、この装置においては、図7のタイミングチャートに示すように、機関停止時にイグニッション・キーがオフにされた後の所定時間T1と、機関始動時にイグニッシュン・キーがオンにされて少なくとも始動モータによる機関始動(クランクキング)が完了するまでの間、コントローラ42による制御によってヒステリシースブレーキ20に所定の電流が通電され、それによって組付角が機関始動可能な角度位置に調整されるようになっている。尚、機関停止時と始動時の具体的な制御については後に詳述する。
コントローラ42には、クランクシャフトの回転角(回転位置)を検出するクランク角センサ35、カムシャフト1の回転角(回転位置)を検出するカム角センサ36、イグニッション・キーのオン・オフ状態を検出するオン・オフ検出回路37、内燃機関を循環する潤滑油の温度を検出する油温センサ38等の検出信号が入力され、コントローラ42は、これらの信号に基づいてヒステリシスブレーキ20に通電する電流を適宜制御するようになっている。尚、オン・オフ検出回路37は、イグニッション・キーがオフになったことを検出することで内燃機関が完全停止する兆候にあることを検知することができ、この実施形態の場合、このオン・オフ検出回路37がこの出願の発明における停止兆候検出手段を構成している。
このバルブタイミング制御装置は以上のような構成であるため、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相(機関弁の開閉タイミング)を最進角側に変更する場合には、ヒステリシスブレーキ20に所定の電流を通電することにより、ゼンマイばね45の力に抗する制動力が円環プレート27から中間回転体18に連結ピン47とゴムブッシュ48を介して伝達される。これにより、中間回転体18が駆動リング3に対して逆方向に回転し、それによってリンク11の先端の係合ピン16が渦巻き溝15に誘導されてリンク11の先端部が径方向内側に変位し、このとき、図3に示すようにリンク11の作用によって駆動リング3と従動軸部材7の組付角が最進角位置に変更される。
また、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相(機関弁の開閉タイミング)を最遅角側に変更する場合には、ヒステリシスブレーキ20の通電をオフにすることにより、中間回転体18がゼンマイばね45の力によって機関回転方向に回転させられる。すると、渦巻き溝15による係合ピン16の誘導によってリンク11の先端部が径方向外側に変位し、このとき、図2に示すようにリンク11の作用によって駆動リング3と従動軸部材7の組付角が最遅角位置に変更される。
また、内燃機関の停止時と始動時には、前述のようにヒステリシスブレーキ20に所定の電流が通電されるが、このときの具体的な制御は、夫々図5,図6のフローチャートに示すように行われる。
図5は、機関の運転状態に応じた通常のバルブタイミング制御の処理から続く機関の完全停止までの処理のフローを示すものであり、S100においては、イグニッション・キーがオフであるかどうかをオン・オフ検出回路37からの信号を基に判断する。このとき、オフでないと判断されたときには通常のバルブタイミング制御の処理に戻り、オフと判断されたときにはS101に進む。
S101においては、機関運転時に検出した始動時の機関回転速度と潤滑油の温度を、予めメモリに記憶させてあるマップと照合し、そのマップを基にして組付角が機関始動に適した角度位置(目標変換角θ1)となるように電流値I1を決定する。尚、内燃機関の始動に適した組付角は潤滑油の油温や機関回転速度によって変化するため、メモリ内にはこれらの相関関係がマップとして格納されている。
この後、S103においては、所定時間T1だけヒステリシスブレーキ20に電流I1を通電し、それによって組付角が機関始動可能な角度位置θ1となるように組付角変更手段4を制御する。このとき、図7のタイミングチャートの(a’)の線図に示すように、イグニッション・キーがオフにされる直前の組付角等によっては、機関が完全に停止するまでの間に組付角を目標角度位置θ1(目標変換角)まで変更できないこともあり得るが、この場合は、後述する機関始動時の制御によって対処する。尚、図7のタイミングチャートの(a)の線図は機関が完全に停止する前に組付角が目標角度位置θ1に変更される場合を示す。
図6は、イグニッション・キーの操作によって内燃機関を始動させてから通常のバルブタイミング制御の処理に移行するまでのフローを示すものであり、S1において、イグニッション・キーをオンにし、その後に、S2において、前述のS101と同様にマップを基にして組付角が機関始動に適した角度位置θ1(目標変換角)となるように電流値I1を決定する。
この後、S3において、ヒステリシスブレーキ20に電流I1を通電し、次のS4において始動モータをONにする。このとき、図7の(a)に示すように機関停止時に組付角が既に目標角度位置θ1に変更されていれば、ヒステリシスブレーキ20の作動によってその組付角が維持されたままクランキングが行われ、図7の(a’)に示すように機関停止時に組付角が目標角度位置θ1まで完全に変更されていなければ、組付角がこのとき目標角度位置θ1に変更されつつクランクキングが行われる。
そして、次のS5において内燃機関の始動が完了したかどうかが判断され、このとき始動が完了してしなければS3に戻り、始動が完了していれば、S6において通常のバルブタイミング制御に移行する。
このバルブタイミング制御装置は、以上説明したように、基本的に内燃機関の停止時に機関が完全に停止するまでの間に機関始動に適した組付角に変更、乃至は、その組付角に近付けることができるため、内燃機関の再始動時には速やかな始動を実現することができる。
さらに、この実施形態の場合、イグニッションキーをオンにしてから少なくとも始動モータをオンにしている間は、組付角を機関始動に適した角度位置に制御すべく電流をヒステリシスブレーキ20に通電するため、機関停止時に始動に適した角度位置に完全に戻すことができなかったとしても、内燃機関を確実に始動させることができる。ただし、この場合であっても機関の停止時に組付角が機関始動に適した目標角度位置に充分に近付けられているため、機関始動時には速やかに始動を完了することができる。
また、この実施形態の場合、組付角変更手段4は、ゼンマイばね45とヒステリシスブレーキ20の力のバランスによって組付角を操作するものであるため、クランクキング時等のカムシャフト1の回転速度がほぼ決まっている条件下においては、組付角をある角度位置に維持するのに要するヒステリシスブレーキ20の作動力(制動力)はゼンマイばね45の変形量との関係で一義的に決定される。このため、この実施形態においては、ヒステリシスブレーキ20に通電する電流値のみを管理することにより、機関始動に適した組付角に変更、乃至は保持するようにしている。したがって、この実施形態の場合、クランクシャフトとカムシャフト1の位相を逐次に検出して組付角操作を行う必要が無いため、コントローラ42による制御が容易となる。
ところで、以上説明した実施形態は、イグニッションキーがオフにされたときに組付角を機関始動可能な角度位置に変更するものであるが、クランクキング開始時のゼンマイばね45や駆動カムからの反力による戻りを考慮して、機関始動可能な角度位置よりも多めに組付角を変更するようにしても良い。この場合、イグニッションキーがオフにされたときにヒステリシスブレーキに通電する電流I1(制御信号)は、機関始動時の反力による組付角のずれ分を補正したものとする。
尚、この発明の実施形態は以上で説明したものに限るものではなく、例えば、上記の実施形態においては、組付角変更手段の操作力発生部はゼンマイばねとヒステリシスブレーキによって構成したが、操作力発生部はこれら以外の付勢手段と電磁アクチュエータによって構成するようにしても良い。また、操作力発生部は必ずしも付勢手段を用いる必要はなく、正転逆転操作ができる電磁アクチュエータを用いれば付勢手段を無くすこともできる。
次に、上記の各実施形態から把握し得る請求項に記載以外の発明について、以下にその作用効果と共に記載する。
(イ)内燃機関のクランキング時に、内燃機関の始動が可能な組付角に変更するための制御信号を電磁アクチュエータに出力することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この場合、内燃機関の停止時に、機関始動が可能な位置まで組付角を完全に戻すことができなかったとしても、始動モータの作動開始直後に組付角を即時に適正位置に戻し、速やかな機関始動を実現することができる。
(ロ) 内燃機関の始動が可能な組付角が、最遅角位置と最進角位置の間に設定されていることを特徴とする請求項1、2、前記(イ)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
始動可能な組付角が最遅角位置や最進角位置にある場合には、付勢手段による付勢等によって組付角を機関停止時や始動時に比較的容易にその所定位置に戻すことができるが、始動可能な組付角が最遅角位置と最進角位置の間に設定されている場合には、その所定位置に戻すことは非常に困難になる。ところが、このバルブタイミング制御装置においては、内燃機関が完全停止する直前に組付角を機関始動が可能な位置に電磁アクチュエータの力によって戻すため、特に、始動可能な組付角が前記のように設定されている場合には、迅速な機関始動を実現するうえで有効となる。
(ハ) 前記組付角変更手段は、駆動回転体と従動回転体の組付角を最遅角側または最進角側に付勢する付勢手段と、制御信号の入力によって前記付勢手段に抗する力を発生する電磁アクチュエータと、を備えた構成とし、前記付勢手段の付勢力と電磁アクチュエータの作動力とのバランスによって前記組付角を制御することを特徴とする請求項1、2、前記(イ)、(ロ)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この場合、組付角を所定角度に維持するのに要する電磁アクチュエータの作動力が付勢手段の変位との関係で一義的に決まる。したがって、駆動回転体と従動回転体の現在の組付角を逐次求めなくても、電磁アクチュエータの作動力を管理することで組付角を適正角度位置に変更または維持することが可能となる。この結果、コントローラによる制御が容易になり、製造コストの低減が可能となる。
この出願の発明の一実施形態を示す縦断面図。 同実施形態を示す図1のA−A線に沿う断面図。 同実施形態の作動状態を示す図2に対応の断面図。 同実施形態を示す分解斜視図。 同実施形態の制御を示すフローチャート。 同実施形態の制御を示すフローチャート。 同実施形態の制御を示すタイミングチャート。 吸気弁と排気弁のリフト特性図。
符号の説明
1…カムシャフト
3…駆動リング(駆動回転体)
4…組付角変更手段
7…従動軸部材(従動回転体)
20…ヒステリシスブレーキ(電磁アクチュエータ)
37…オン・オフ検出回路(停止兆候検出手段)

Claims (3)

  1. 内燃機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、
    カムシャフト若しくは同シャフトに結合された別体部材から成り、前記駆動回転体が必要に応じて相対回動できるように組み付けられた従動回転体と、
    電磁コイルに通電することによって作動力を発生する電磁アクチュエータと、
    該電磁アクチュエータの作動力によって前記駆動回転体と従動回転体の組付角を操作する組付角変更手段と、
    内燃機関の完全停止の兆候が検出されたときに検出信号を出力する停止兆候検出手段と、を備え、
    該停止兆候検出手段によって検出信号が出力されたときに、内燃機関の始動が可能な最進角位置と最遅角位置の間の組付角に変更する制御信号を前記電磁アクチュエータに出力して内燃機関の始動が可能な組付角に向けて組付角を変更すると共に、
    機関が完全に停止するまでの間に機関の始動が可能な組付角まで変更できなかった場合には、機関始動時の制御によって対処することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    機関が完全に停止するまでの間に内燃機関の始動が可能な組付角まで変更できなかった場合には、再始動のクランキング時に内燃機関の始動が可能な組付角を変更する制御信号を前記電磁アクチュエータに出力することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記停止兆候検出手段によって検出信号が出力されたときは、機関回転数が減少し始めてから停止するまでの間に内燃機関の始動が可能な組付角に向けて組付角を変更することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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