JP4163482B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、内燃機関の吸気側または排気側の機関弁の開閉タイミングを運転状態に応じて可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のバルブタイミング制御装置として、次のようなものが案出されている。
【0003】
このバルブタイミング制御装置は、クランクシャフトにタイミングチェーン等を介して連係されたハウジング(駆動回転体)がカムシャフトの端部に回動可能に組み付けられ、ハウジングの内側端面に形成された径方向ガイドに可動案内部が径方向に沿って摺動自在に係合支持されると共に、径方向外側に突出するレバーを有するレバー軸(従動回転体)がカムシャフトの端部にボルト結合され、可動案内部とレバー軸のレバーとがリンクによって枢支連結されている。そして、前記径方向ガイドに対向する位置には、渦巻き状ガイドを有する中間回転体がハウジングとレバー軸に対して相対回動可能に設けられ、前記可動案内部の軸方向の一方の端部に突設された略円弧状の複数の突条が前記渦巻き状ガイドに案内係合されている。また、中間回転体はハウジングに対して回転を進める側にゼンマイばねによって付勢されると共に、電磁ブレーキによって回転を遅らせる側の力を適宜受けるようになっている。この装置の場合、中間回転体に操作力を付与するゼンマイばね及び電磁ブレーキと、中間回転体の回動に応じてハウジング(駆動回転体)とレバー軸(従動回転体)の組付角を回動操作するリンクと、によって組付角変更手段が構成されている。
【0004】
この装置においては、電磁ブレーキがOFF状態のときには、中間回転体がゼンマイばねの付勢力を受けハウジングに対して初期位置に位置されており、渦巻き状ガイドに突条でもって噛合う可動案内部は径方向外側に最大に変位し、リンクを引き起こしてハウジングとレバー軸の組付角を最遅角位相の角度位置(以下、「最遅角位置」と呼ぶ。)または最進角位相の角度位置(以下、「最進角位置」と呼ぶ。)に維持している。そして、この状態から電磁ブレーキがONにされると、中間回転体が減速されてハウジングに対して遅れ側に相対回転する結果、渦巻き状ガイドに噛合う可動案内部が径方向内側に変位し、今まで引き起こされていたリンクを次第に倒すようにしてハウジングとレバー軸の組付角を最進角位置または最遅角位置に変更する。
【0005】
【特許文献】
特開2001−41013号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のバルブタイミング制御装置においては、内燃機関の始動時に、機関弁(吸気弁または排気弁)のリフトタイミングを最遅角または最進角に制御するようにしているが、近年、車両の運転状況によって機関始動時のリフトタイミングよりもさらに外側のタイミング(最遅角側または最進角側のタイミング)を利用することが検討されている。この場合、図6に示すように、必然的に機関始動時のリフト特性(位相)が最遅角、最進角のいずれのリフト特性とも合致しなくなるため、上記従来の装置は、そのままの構造では利用することができない。
【0007】
即ち、上記従来のバルブタイミング制御装置の場合、機関始動時に、駆動回転体(ハウジング)と従動回転体(レバー軸)の組付角を最遅角位置または最進角位置にゼンマイばねの付勢力によって強制的に戻す構造となっているため、この構造のまま内燃機関を始動させようとすると、駆動回転体と従動回転体の組付角が機関始動に適した角度位置からずれ、確実な機関始動が行えなくなってしまう。
【0008】
そこでこの出願の発明は、機関始動に適した駆動回転体と従動回転体の組付角が最遅角位置や最進角位置からずれた角度位置にあっても、機関を迅速かつ確実に始動させることのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、発明は、内燃機関のクランキング時、つまり、内燃機関が始動モータによって始動される間に、駆動回転体と従動回転体の組付角を機関の始動に適した角度位置に変更すべく通電することによって電磁アクチュエータに発生する作動力によって組付角変更手段を制御するようにした。即ち、組付角変更手段が、電磁アクチュエータを介してコントローラからの出力信号を受けて、内燃機関のクランクキング時に、始動に適した組付角に変更するようにした。
【0010】
この発明の場合、駆動回転体と従動回転体の組付角を、内燃機関のクランクキング時に始動に適した角度位置に変更することができるため、機関停止の状態で駆動回転体と従動回転体の組付角が機関始動に適した角度位置からずれていたとしても、機関を迅速かつ確実に始動することができる。
【0011】
前記組付角変更手段は、前記駆動回転体と従動回転体の組付角を最遅角位相位置または最進角位相位置に付勢する付勢手段を備え、コントローラからの出力信号に応じて前記付勢手段に抗する力を前記電磁アクチュエータで発生させる構成とし、前記付勢手段の付勢力と前記電磁アクチュエータの作動力とのバランスによって駆動回転体と従動回転体の組付角を制御するようにしても良い。
【0012】
この場合、駆動回転体と従動回転体を機関の始動に適した組付角に維持するのに要する電磁アクチュエータの作動力が付勢手段の変位との関係で一義的に決まる。したがって、機関の始動時に、駆動回転体と従動回転体の現在の組付角を逐次求めなくても、電磁アクチュエータの作動力を管理することで、組付角を適正角度位置に変更または維持することが可能となる。この結果、コントローラによる制御が容易になり、製造コストの低減が可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、この出願の発明の一実施形態を、図6を参照しつつ図1〜図5に基づいて説明する。
【0014】
この実施形態は、この出願の発明にかかるバルブタイミング制御装置を内燃機関の吸気側の動弁系に適用したものであるが、排気側の動弁系に同様に適用することも可能である。
【0015】
バルブタイミング制御装置は、図1に示すように内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)に回転自在に支持されたカムシャフト1と、このカムシャフト1の前端部に結合された従動軸部材7(従動回転体)と、この従動軸部材7に必要に応じて相対回動できるように組み付けられ、チェーン(図示せず)を介してクランクシャフト(図示せず)に連係されるタイミングスプロケット2を外周に有する駆動リング3(駆動回転体)と、この駆動リング3と従動軸部材7の前方側(図1中左側)に配置され、両者3,1を相対回動させて組付角を操作する組付角変更手段4と、内燃機関の図外のシリンダヘッドとヘッドカバーの前面に跨って取り付けられて組付角変更手段4の前面と周域を覆う図外のVTCカバーと、を備えている。尚、組付角変更手段4は、回動操作力を発生する操作力発生部40と、その操作力発生部40で発生した回動操作力を駆動リング3と従動軸部材7の相対的な回転力に変換する変換機構部41と、によって構成されている。
【0016】
駆動リング3は、段差状の挿通孔6を備えた略円板状に形成され、この挿通孔6部分が従動軸部材7(従動回転体)に回転可能に組み付けられている。そして、駆動リング3の前面(カムシャフト1と逆側の面)には、図2,図3に示すように、対面する平行な側壁を有する3つの径方向溝8(径方向ガイド)が同リング3のほぼ半径方向に沿うように形成されている。
【0017】
また、従動軸部材7は、図1に示すように、カムシャフト1の前端部に突き合される基部側の外周に拡径部が形成されると共に、その拡径部よりも前方側の外周面に放射状に突出する三つのレバー9が一体に形成され、軸芯部を貫通するボルト10によってカムシャフト1に結合されている。各レバー9には、リンク11の基端がピン12によって枢支連結され、各リンク11の先端には前記各径方向溝8に摺動自在に係合する円柱状の突出部13が一体に形成されている。
【0018】
各リンク11は、突出部13が対応する径方向溝8に係合した状態において、ピン12を介して従動軸部材7に連結されているため、リンク11の先端側が外力を受けて径方向溝8に沿って変位すると、駆動リング3と従動軸部材7はリンク11の作用でもって突出部13の変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
【0019】
また、各リンク11の先端部には、軸方向前方側に開口する収容穴14が形成され、この収容穴14に、後述する渦巻き溝15(渦巻き状ガイド)に係合する係合ピン16と、この係合ピン16を前方側(渦巻き溝15側)に付勢するコイルばね17とが収容されている。尚、この実施形態の場合、リンク11の先端の突出部13と係合ピン16、コイルばね17等によって径方向に変位可能な可動案内部が構成されている。
【0020】
一方、従動軸部材7のレバー9の突設位置よりも前方側には、円板状のフランジ壁を有する中間回転体18が軸受19を介して回転自在に支持されている。この中間回転体18のフランジ壁の後面側には断面半円状の前述の渦巻き溝15が形成され、この渦巻き溝15に、前記各リンク11の先端の係合ピン16が転動自在に案内係合されている。渦巻き溝15の渦巻きは、機関回転方向Rに沿って次第に縮径するように形成されている。したがって、各リンク11先端の係合ピン16が渦巻き溝15に係合した状態において、中間回転体18が駆動リング3に対して遅れ方向に相対回転すると、リンク11の先端部は径方向溝8に案内されつつ、渦巻き溝15の渦巻き形状に誘導されて半径方向内側に移動し、逆に、中間回転体18が進み方向に相対変位すると、半径方向外側に移動する。
【0021】
組付角変更手段4の変換機構部41は、以上説明した駆動リング3の径方向溝8、リンク11、突出部13、係合ピン16、レバー9、中間回転体18、渦巻き溝15等によって構成されている。この変換機構部41は、後述する操作力発生部40から中間回転体18にカムシャフト1に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が渦巻き溝15と係合ピン16の係合部を通してリンク11の先端を径方向に変位させ、このときリンク11が揺動してその揺動量に応じて駆動リング3と従動軸部材7を相対回動させる。
【0022】
一方、操作力発生部5は、中間回転体18を駆動リング3に対して機関回転方向Rに付勢する付勢手段としてのゼンマイばね45と、中間回転体18を駆動リング3に対して機関回転方向Rと逆方向に作動させる(付勢手段に抗する力を発生する)電磁アクチュエータとしてのヒステリシスブレーキ20と、を備え、ゼンマイばね45の付勢力とヒステリシスブレーキ20の作動力とのバランスによって中間回転体18を回動操作するようになっている。
【0023】
ゼンマイばね45は、駆動リング3に延設された円筒壁21にその外周端部が結合される一方、内周端部が中間回転体18の円筒状の基部に結合されている。
【0024】
また、中間回転体18のカムシャフト1と逆側の端面には、封止壁46が一体に結合され、その封止壁46の外周面が前記円筒壁21の内面に摺動自在に密接している。
【0025】
図1,図4に示すように、ヒステリシスブレーキ20は、非回転部材であるVTCカバーに取り付けられると共に、略円筒状の隙間を挟む対向面を備えた磁気誘導部材22と、前記対向面に設けられた内側極歯23、及び、外側極歯24と、磁気誘導部材22に取り付けられて内側極歯23と外側極歯24の間に磁界を生じさせる電磁コイル25と、前記両極歯23,24間に非接触状態で挿入配置された円筒状のヒステリシスリング26と、外周端がこのヒステリシスリング26に一体に結合された状態で中間回転体18に連結ピン47とゴムブッシュ48を介して結合された円環プレート27と、を備え、電磁コイル25がコントローラ42の出力信号によって適宜通電制御されるようになっている。
【0026】
磁気誘導部材22の内側極歯23と外側極歯24は夫々軸方向に沿って延出する複数の極歯要素を有している。両極歯23,24の極歯要素は夫々円周方向に沿って配置され、極歯23,24の極歯要素相互は円周方向にオフセットされている。したがって、電磁コイル25が通電されると、両極歯23,24間には、オフセットした位置関係にある相手極歯要素に向かう磁界が発生する。
【0027】
ヒステリシスリング26は、磁気的ヒステリシス特性を有するヒステリシス材から成り、同リング26の回転中に内側極歯23と外側極歯24の間に磁界が発生すると、その磁界の向きとヒステリシスリング26内の磁束の向きとにずれが生じるようになっている。ヒステリシスブレーキ20は、このずれによって制動力を発生する。また、円環プレート27は、磁気誘導部材22の内周面に軸受28,29を介して支持された軸部材30に一体に結合されている。したがって、ヒステリシスリング20は、円環プレート27と軸部材30を介して磁気誘導部材22に相対回転可能に支持されている。
【0028】
尚、図中43は、中間回転体13と駆動リング3の間に設けられ、両者13,3の相対回動範囲を規制するストッパである。
【0029】
ここで、駆動リング3と従動軸部材7は、前記ストッパ43による中間回転体18の回動規制によって組付角が規制され、それによって両者の遅角側と進角側の最大角度位置である最遅角位置と最進角位置とが決定されているが、このバルブタイミング制御装置の場合、内燃機関の始動に適した組付角(確実な始動が可能な組付角)は前記最遅角位置と最進角位置のほぼ中間位置に設定されている。即ち、この実施形態のバルブタイミング制御装置は、吸気側の動弁系に適用されているため、時間軸に対する機関弁のリフト特性は、図6中の右側の山形の線図のようになるが、このとき内燃機関の始動に適した位相(図中実線)は、最遅角位相と最進角位相のほぼ中間の位相となっている。
【0030】
また、内燃機関の始動時には、駆動リング3と従動軸部材7の組付角が始動に適した角度位置になっていなければならないが、この装置においては、内燃機関のクランキング時、つまり、イグニッションキー等による操作によって始動モータがオンにされているときに、コントローラ42から組付角変更手段4に組付角を始動に適した角度位置に制御すべく出力信号が発されるようになっている。
【0031】
このバルブタイミング制御装置は以上のような構成であるため、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相(機関弁の開閉タイミング)を最進角側に変更する場合には、コントローラ42による制御によってヒステリシスブレーキ20に所定の電流を通電することにより、ゼンマイばね45の力に抗する制動力が円環プレート27から中間回転体18に連結ピン47とゴムブッシュ48を介して伝達される。これにより、中間回転体18が駆動リング3に対して逆方向に回転し、それによってリンク11の先端の係合ピン16が渦巻き溝15に誘導されてリンク11の先端部が径方向内側に変位し、このとき、図3に示すようにリンク11の作用によって駆動リング3と従動軸部材7の組付角が最進角位置に変更される。
【0032】
また、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相(機関弁の開閉タイミング)を最遅角側に変更する場合には、コントローラ42による制御によってヒステリシスブレーキ20の通電をオフにすることにより、中間回転体18がゼンマイばね45の力によって機関回転方向に回転させられる。すると、渦巻き溝15による係合ピン16の誘導によってリンク11の先端部が径方向外側に変位し、このとき、図2に示すようにリンク11の作用によって駆動リング3と従動軸部材7の組付角が最遅角位置に変更される。
【0033】
また、内燃機関の始動時には、前述のように始動モータがオンにされたときに、コントローラから組付角変更手段に組付角を始動に適した角度位置に変更すべく指令が発され、それによって迅速、かつ確実に内燃機関が始動される。
【0034】
この内燃機関の始動時における具体的な制御は、例えば、図5のフローチャートに示すように行われる。
【0035】
図5のフローにおいては、まず、S1において、始動モータがオンにされているかどうかが判断され、オンにされているときにのみ次のS2のステップに進み、S2においては、組付角を機関始動に適した組付角に変更すべく出力指令がコントローラ42から発され、それによってヒステリシスブレーキ20に所定の電流が通電される。S3においては、内燃機関が始動を完了したかどうかの判断が行われ、このとき始動が完了していればS4において通常のバルブタイミング制御に移行し、完了していなければS3の条件を満たすまでS2に戻るループが繰り返される。したがって、この処理によれば、内燃機関が確実に始動されるまでの間、最適な組付角(機関始動が可能な組付角)となるようにヒステリシスブレーキ20の通電制御が続けられ、内燃機関が始動されたところで通常のバルブタイミング制御に切換えられる。
【0036】
尚、S3の機関始動の完了の判断にあたっては、専用の検出機器を設けることも考えられるが、例えば、始動モータの通電信号がオフで、かつ、カム角センサからカムシャフト1の回転を示す信号が出力されているときに機関が始動したものと判断するようにしても良い。ただし、この場合、内燃機関の始動の有無を速やかに判断するため、カム角センサによる検出信号は角度変化に対して細かく設定することが望ましい。
【0037】
また、この実施形態の場合、組付角変更手段4は、ゼンマイばね45とヒステリシスブレーキ20の力のバランスによって組付角を操作するものであるため、クランクキング時等のカムシャフト1の回転速度がほぼ決まっている条件下においては、組付角をある角度位置に維持するのに要するヒステリシスブレーキ20の作動力(制動力)はゼンマイばね45の変形量との関係で一義的に決定される。このため、この実施形態においては、ヒステリシスブレーキ20に通電する電流値のみを管理することにより、機関始動に適した組付角に変更、乃至は保持するようにしている。したがって、この実施形態の場合、クランクシャフトとカムシャフト1の位相を逐次に検出して組付角操作を行う必要が無いため、コントローラ42による制御が容易となる。
【0038】
尚、この発明の実施形態は以上で説明したものに限るものではなく、例えば、上記の実施形態においては、組付角変更手段の操作力発生部はゼンマイばねとヒステリシスブレーキによって構成したが、操作力発生部はこれら以外の付勢手段とアクチュエータによって構成するようにしても良い。また、操作力発生部は必ずしも付勢手段を用いる必要はなく、正転逆転操作ができるアクチュエータを用いれば付勢手段を無くすこともできる。
【0039】
また、上記の実施形態においては、クランクキング時に、ヒステリシスブレーキに常に一定電流を通電するようにしたが、駆動リングと従動軸部材の組付角を検出する(例えば、クランク角センサとカム角センサの各検出値に基づいて組付角を算出する。)組付角検出手段を設け、その組付角検出手段によって検出した機関停止時の組付角をメモリに記憶させておき、機関を再始動させるときのクランクキング時に、メモリに記憶してある組付角のデータをコントローラに読み込み、そのデータに基づいてヒステリシスブレーキに通電する電流を適宜制御するようにしても良い。
【0040】
この場合の電流制御は、例えば、機関の始動に適した組付角と機関停止時の組付角との乖離度合いに応じた大きさの電流を通電初期に流すようにすれば、より迅速に組付角を目的の角度位置に変更することができる。
【0041】
次に、上記の各実施形態から把握し得る請求項に記載以外の発明について、以下にその作用効果と共に記載する。
【0042】
(イ)駆動回転体と従動回転体の組付角を検出する組付角検出手段を設け、内燃機関の停止時に、前記組付角検出手段によって検出した組付角を記憶させておき、機関を再始動させるときのクランクキング時に、前記記憶されている組付角に応じた作動信号を組付角変更手段に出力することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0043】
この場合、機関停止時の組付角のデータを基にして、クランクキング時に、最も効率の良い作動信号を組付角変更手段に出力することができるため、内燃機関をより迅速に始動させることができる。
【0044】
(ロ)組付角変更手段の操作力発生部として電磁アクチュエータを用いたことを特徴とする請求項1、2、前記(イ)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0045】
この場合、操作力発生部に電磁アクチュエータを用いるため、通電とほぼ同時に大きな作動力を得ることができる。したがって、組付角変更手段を速やかに作動させ、より迅速に内燃機関を始動させることができる。
【0046】
(ハ)組付角変更手段は、
駆動回転体と従動回転体のいずれか一方に設けられた径方向ガイドと、
前記駆動回転体と従動回転体に対して相対回転可能に設けられ、前記径方向ガイドに対峙する側の面に渦巻き状ガイドを有する中間回転体と、
前記径方向ガイドと渦巻き状ガイドに変位可能に案内係合される可動案内部と、
前記駆動回転体と従動回転体のいずれか他方のものの回転中心から離間した部位と前記可動案内部とを揺動可能に連結するリンクと、
前記中間回転体を回動させる回動操作力を発生する操作力発生部と、を備え、中間回転体に入力された回動操作力を、渦巻き状ガイドと可動案内部の係合部によって増幅して、駆動回転体と従動回転体の組付角操作力に変換することを特徴とする請求項1、2、前記(イ)、(ロ)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0047】
この場合、操作力発生部から中間回転体に入力された回動操作力を増幅して駆動回転体と従動回転体の組付角操作力に変換するため、内燃機関がクランキング時にある場合であっても、駆動回転体と従動回転体の組付角を所望の組付角位置に確実に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の一実施形態を示す縦断面図。
【図2】同実施形態を示す図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】同実施形態の作動状態を示す図2に対応の断面図。
【図4】同実施形態を示す分解斜視図。
【図5】同実施形態の制御を示すフローチャート。
【図6】吸気弁と排気弁のリフト特性図。
【符号の説明】
1…カムシャフト
3…駆動リング(駆動回転体)
4…組付角変更手段
7…従動軸部材(従動回転体)
20…ヒステリシスブレーキ(アクチュエータ)
42…コントローラ
45…ゼンマイばね(付勢手段)

Claims (2)

  1. 内燃機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、
    カムシャフト若しくは同シャフトに結合された別体部材から成り、前記駆動回転体が必要に応じて相対回動できるように組み付けられた従動回転体と、
    前記駆動回転体と従動回転体を相対回動させて両者の組付角を操作する組付角変更手段と、
    通電することにより前記組付角変更手段に操作力を発生させて前記駆動回転体と従動回転体の組付角を変更する電磁アクチュエータと、
    を備え、
    前記電磁アクチュエータへの通電をオフすることにより、前記駆動回転体と従動回転体の組付角が最遅角位置または最進角位置に変更され、前記電磁アクチュエータに通電することによって該電磁アクチュエータが発生する作動力により前記駆動回転体と従動回転体の組付角が内燃機関の運転状態に応じて制御される内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
    内燃機関の始動に適した前記駆動回転体と従動回転体の組付角が、最遅角位相の角度位置と最進角位相の角度位置の間に設定されており、
    内燃機関のクランクキング時に、前記電磁アクチュエータに通電して、前記組付角を前記電磁アクチュエータへの通電がオフとなった際に変更される最遅角位置または最進角位置から内燃機関の始動に適した角度位置に変更すべく組付角変更手段を制御することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 前記組付角変更手段は、前記駆動回転体と従動回転体の組付角を最遅角位相位置または最進角位相位置に付勢する付勢手段を備え、コントローラからの出力信号に応じて前記付勢手段に抗する力を前記電磁アクチュエータで発生させる構成とし、前記付勢手段の付勢力と前記電磁アクチュエータの作動力とのバランスによって駆動回転体と従動回転体の組付角を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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