JP2008189408A - 搬送用無給油チェーン - Google Patents

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Takashi Nakagawa
貴司 中川
Hiroki Ishida
裕樹 石田
Toshihiko Aoki
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Abstract

【課題】ローラとブシュとの間に封入された潤滑油の漏出と外部塵埃の侵入を防止して、ローラの摩耗損傷や焼付きを抑制でき、しかも、多くの潤滑油を封入して外部からの無給油状態で長期に亘ってチェーン駆動できる搬送用無給油チェーンを提供することである。
【解決手段】内プレート110と、内プレート110に圧入嵌合されたブシュ120と、ブシュ120に外嵌されたローラ130と、ブシュ120に遊挿された連結ピン140と、連結ピン140を圧入嵌合させて内プレート110を連結する外プレート150とを備え、ローラ130とブシュ120との間に潤滑油が封入され、ブシュ120に外嵌固定して相互に離間する左右一対のフランジ付きスリーブ160が、フランジ用対向段部132を左右両端に形成したローラ130を外嵌軸支している搬送用無給油チェーン100。
【選択図】図2

Description

本発明は、搬送コンベヤチェーン、伝動用ローラチェーンなどに用いる無給油チェーンに係るものであって、特に、左右一対で離間配置された内プレートと該内プレートのブシュ圧入孔に圧入嵌合された前後一対のブシュと該ブシュに対して回転自在に外嵌された前後一対のローラと前記ブシュ内に遊挿された前後一対の連結ピンと該連結ピンの両端にピン孔を圧入嵌合させて内プレートをチェーン長手方向に連結する左右一対の外プレートとを備え、前記ローラの内周面とブシュの外周面との間に潤滑油を封入してなる搬送用無給油チェーンに関する。
一般に、連結ピンとブシュとの間に潤滑機能を備えた無給油チェーンは、搬送コンベヤライン等に組み込まれる場合、チェーン走行時にローラが常に回転するとともに搬送物及びチェーン自体を支持するので、ローラとブシュとの間で摩耗損傷が発生するため、ローラとブシュとの間の潤滑機能に着目する必要があった。
そこで、このようなローラとブシュとの間の潤滑機能を備えたチェーンとして、一対の外リンクプレートの両端部をピンで連結した外リンクと一対の内リンクプレートの両端部をブシュで連結すると共に該ブシュにローラを被嵌した内リンクとを前記ブシュに前記ピンを嵌挿することにより交互に連結し、かつ前記ブシュとローラとの間に封入される潤滑油をシールするシール手段を備えてなるシールチェーンが知られている。そして、このようなシールチェーンのシール手段は、前記内リンクプレートの内側面にブシュを囲むように形成された凹部と、前記ローラの両端部に遊嵌されたリング状のシールプレートと、前記凹部とシールプレートとの間に配置された弾性体からなるシールリングとを備えている(例えば特許文献1参照。)。
特開2005−282813号公報(第7頁、図4)
前述したような従来のシールチェーンでは、ローラと内リンクプレートとの間を密封してローラとブシュとの間に注入された潤滑油のシール効果を持続させるために、シールリングとシールプレートが内リンクプレートの内側面に形成された凹部とローラとの間に押圧状態で配置され、このような押圧状態の押圧力によって、ローラと内リンクプレートとの間の相対的な回転抵抗が大きくなり、チェーン走行時にローラが円滑に転動しなくなるという問題があった。
また、リング部材と弾性シールリングが内リンクプレートやローラ等に対して摺接摩耗することによって生じるシール効果の低化を防止するために、シールリング及びシールプレートと接触する内リンクプレートの内側面とローラの端面の表面粗さを小さくする表面仕上げ加工を施す必要があり、その表面仕上げ加工の加工負担が増加するという問題があった。
そして、ローラとブシュとの間に生じた油溜り領域では、長期に亘って無給油状態でチェーン走行するのに充分な量の潤滑油を貯留できないため、外部からの潤滑油の注入を要するなど保守メンテナンス上の厄介な問題があった。
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、チェーン走行時におけるローラとブシュとの間に封入された潤滑油の漏出と外部塵埃の侵入を防止して、ローラの摩耗損傷や焼付きを抑制でき、しかも、ローラとブシュとの間に多くの潤滑油を封入して外部からの無給油状態で長期に亘ってチェーン駆動できる搬送用無給油チェーンを提供することである。
請求項1に係る本発明は、左右一対で離間配置された内プレートと該内プレートのブシュ圧入孔に圧入嵌合された前後一対のブシュと該ブシュに対して回転自在に外嵌された前後一対のローラと前記ブシュ内に遊挿された前後一対の連結ピンと該連結ピンの両端にピン孔を圧入嵌合させて内プレートをチェーン長手方向に連結する左右一対の外プレートとを備え、前記ローラの内周面とブシュの外周面との間に潤滑油を封入してなる搬送用無給油チェーンにおいて、前記ブシュに外嵌固定して相互に離間する左右一対のフランジ付きスリーブが、前記ブシュと同心円状のフランジ用対向段部を左右両端に形成したローラを外嵌軸支しているとともに、前記フランジ付きスリーブが、前記ブシュとローラとの間に介在するスリーブ本体と該スリーブ本体の端部から内プレートの内側面に沿って突出形成してフランジ用対向段部に遊嵌するフランジとを備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
請求項2に係る本発明は、請求項1記載の構成に加えて、前記ブシュが、シームレス型ブシュであることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
請求項3に係る本発明は、請求項1または請求項2記載の構成に加えて、前記ローラが、シームレス型ローラであることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
請求項4に係る本発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の構成に加えて、前記フランジ用対向段部の内径Wc、フランジの外径Wf、ローラの内径Wr、スリーブ本体の外径Wsが、Wc−Wf>Wr−Ws及びWf+Ws>2Wrを満足するようにそれぞれ形成されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
請求項5に係る本発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の構成に加えて、前記左右一対のフランジの内幅Df、ローラの長さDr、フランジ用対向段部のチェーン幅方向の長さDsが、Df<Dr−Dsを満足するようにそれぞれ形成されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
そこで、本発明は、左右一対で離間配置された内プレートと該内プレートのブシュ圧入孔に圧入嵌合された前後一対のブシュと該ブシュに対して回転自在に外嵌された前後一対のローラと前記ブシュ内に遊挿された前後一対の連結ピンと該連結ピンの両端にピン孔を圧入嵌合させて内プレートをチェーン長手方向に連結する左右一対の外プレートとを備え、前記ローラの内周面とブシュの外周面との間に潤滑油を封入してなることにより、外部からの無給油状態で長期に亘ってチェーン駆動することができるばかりでなく、以下のような特有の効果を奏することができる。
請求項1に係る本発明の搬送用無給油チェーンによれば、ブシュに外嵌固定して相互に離間する左右一対のフランジ付きスリーブが、ブシュと同心円状のフランジ用対向段部を左右両端に形成したローラを外嵌軸支しているとともに、フランジ付きスリーブが、ブシュとローラとの間に介在するスリーブ本体とスリーブ本体の端部から内プレートの内側面に沿って突出形成してフランジ用対向段部に遊嵌するフランジとを備えていることにより、このようなフランジ付きスリーブのフランジとローラのフランジ用対向段部との間に生じた潤滑油の漏出径路が複雑に屈曲した形状のラビリンス構造となって、チェーン走行時の周回走行によって生じる遠心力等に起因したローラとブシュとの間に封入された潤滑油の漏出を抑制するとともに外部塵埃の侵入を抑制するので、搬送物を支持するとともに走行するチェーンを支持してチェーン走行時において摺動頻度が最も高く摩耗が進行し易いローラの内周面とフランジ付きスリーブのスリーブ本体の外周面の摩耗損傷や焼付きを抑制できる。
また、ブシュの外周面とローラの内周面と左右一対のフランジ付きスリーブのスリーブ本体との間に環状油溜り部が生じて、このような環状油溜り部により多くの潤滑油を封入できるので、フランジ付きスリーブのスリーブ本体の外周面とローラの内周面との間に潤滑油を継続的に供給することができ、また、この環状油溜り部は、従来のシールチェーンにおけるブシュの外周面とローラの内周面との間に生じた油溜り領域よりも広いので、液体以外の潤滑材、例えば、粉末状の潤滑材、固形の潤滑材、グリース等の多種類に亘る潤滑材を封入できる。
また、フランジ付きスリーブがローラとの間に隙間を設けて配置されていることにより、内リンクプレートの内側面とローラの端面との間にシール部材を押圧状態で配置した従来のシールチェーンと比べて、チェーン走行時にローラが円滑に転動しながらスプロケットに噛み合うことができる。
そして、従来のシールチェーンでは、シール部材の摺接摩耗を防止して潤滑油の密封性を維持するために、内リンクプレートの内側面とローラの端面に表面粗さを小さくする表面仕上げ加工を施す必要があったが、本発明の搬送用無給油チェーンでは、従来のような表面仕上げ加工を施す必要がなく、チェーンの製造負担を軽減できる。
請求項2に係る本発明の搬送用無給油チェーンによれば、請求項1記載の搬送用無給油チェーンが奏する効果に加えて、ブシュがシームレス型ブシュであることにより、潤滑油がブシュの継ぎ目から漏出することを阻止するので、ローラとフランジ付きスリーブの摩耗損傷や焼付きを抑制できる。
請求項3に係る本発明の搬送用無給油チェーンによれば、請求項1または請求項2記載の搬送用無給油チェーンが奏する効果に加えて、ローラがシームレス型ローラであることにより、潤滑油がローラの継ぎ目から漏出することを阻止するので、ローラとフランジ付きスリーブの摩耗損傷や焼付きを抑制できる。
請求項4に係る本発明の搬送用無給油チェーンによれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の搬送用無給油チェーンが奏する効果に加えて、フランジ用対向段部の内径Wc、フランジの外径Wf、ローラの内径Wr、スリーブ本体の外径Wsが、Wc−Wf>Wr−Ws及びWf+Ws>2Wrを満足するようにそれぞれ形成されていることにより、ローラがフランジ付きスリーブに対してチェーン進行方向に片寄った場合に、ローラの内周面とフランジ付きスリーブのスリーブ本体の外周面とが接触して、潤滑油が充分に供給されてない状態となっても、ローラのフランジ用対向段部の内周面とフランジ付きスリーブのフランジの外周面とが互いに接触することを完全に阻止するので、フランジ付きスリーブのフランジが摩耗損傷することによるシール効果の低下を防止でき、また、フランジ付きスリーブのフランジがローラのフランジ用対向段部から外れることを阻止して、潤滑油の外部漏出を防止するので、ローラとフランジ付きスリーブの摩耗損傷や焼付きを抑制できる。
請求項5に係る本発明の搬送用無給油チェーンによれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の搬送用無給油チェーンが奏する効果に加えて、左右一対のフランジの内幅Df、ローラの長さDr、フランジ用対向段部のチェーン幅方向の長さDsが、Df<Dr−Dsを満足するようにそれぞれ形成されていることにより、チェーン走行時にローラがフランジ付きスリーブに対してチェーン幅方向にスキュー、揺動、若しくは、片寄りを生じた場合であっても、フランジ付きスリーブのフランジがローラのフランジ用対向段部から外れることを阻止して、潤滑油の外部漏出を防止するので、ローラとフランジ付きスリーブの摩耗損傷や焼付きを抑制できる。
本発明は、左右一対で離間配置された内プレートと該内プレートのブシュ圧入孔に圧入嵌合された前後一対のブシュと該ブシュに対して回転自在に外嵌された前後一対のローラと前記ブシュ内に遊挿された前後一対の連結ピンと該連結ピンの両端にピン孔を圧入嵌合させて内プレートをチェーン長手方向に連結する左右一対の外プレートとを備え、前記ローラの内周面とブシュの外周面との間に潤滑油を封入してなる搬送用無給油チェーンにおいて、前記ブシュに外嵌固定して相互に離間する左右一対のフランジ付きスリーブが、前記ブシュと同心円状のフランジ用対向段部を左右両端に形成したローラを外嵌軸支しているとともに、前記フランジ付きスリーブが、前記ブシュとローラとの間に介在するスリーブ本体と該スリーブ本体の端部から内プレートの内側面に沿って突出形成してフランジ用対向段部に遊嵌するフランジとを備えて、チェーン走行時におけるローラとブシュとの間に封入された潤滑油の漏出と外部塵埃の侵入を防止して、ローラの摩耗損傷や焼付きを抑制でき、しかも、ローラとブシュとの間に多くの潤滑油を封入して外部からの無給油状態で長期に亘ってチェーン駆動するものであれば、その具体的な実施の形態は如何なるものであっても何ら構わない。
例えば、本発明の搬送用無給油チェーンに組み込まれるフランジ付きスリーブの具体的材料については、耐摩耗性を備えたものであれば、工具鋼(例えば、炭素工具鋼)、ステンレス鋼、鉄、アルミニウムなどのいずれであっても良く、特に、工具鋼を採用した場合には、優れた耐摩耗性を発揮して、ローラとの摺接摩耗に起因したシール効果の劣化を抑制できるので、より好ましい。
また、本発明の搬送用無給油チェーンに組み込まれるローラの具体的材料については、耐摩耗性、耐衝撃性を備えたものであれば、工具鋼、ステンレス鋼、ゴム、エンプラと称するエンジニアリングプラスチックなどのいずれであっても良く、特に、工具鋼を採用した場合には、フランジ付きスリーブ等との摺動接触に起因した摩耗損傷を防止できるので、より好ましい。
また、ローラとフランジ付きスリーブとの間に潤滑油を供給する油溜り溝がブシュの外周面に刻設されている場合には、より多くの潤滑油を封入することができ、ローラとフランジ付きスリーブとの間に潤滑油を継続的に供給できるので、ローラ及びフランジ付きスリーブの摩耗損傷や焼付きを抑制できるので、より好ましい。
そして、内プレートの内側面とローラの端面とが相互に近接対向するラビリンス構造形成粗面、いわゆる、ラビリンス構造を形成し得る粗面を備えている場合には、内プレートの内側面とローラの端面との間にはラビリンス構造が形成されているので、ローラとブシュとの間に注入された潤滑油のシール効果をより一層向上させることができ、ローラとブシュとの間に注入された潤滑油の外部漏出を防止できるとともに外部塵埃の侵入を防止できるので、より好ましい。
以下、本発明の一実施例である搬送用無給油チェーン100を図面に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施例である搬送用無給油チェーンの一部を切り欠いた全体概要図であり、図2は、図1に示す搬送用無給油チェーンの連結状態を示す斜視図であり、図3は、図1に示す搬送用無給油チェーンの分解組み立てした全体図であり、図4は、図1に示す搬送用無給油チェーンの断面図であり、図5は、図1に示す搬送用無給油チェーンの組み付け寸法図であり、図6は、図1の搬送用無給油チェーンのローラがチェーン進行方向に片寄った状態を示す寸法図であり、図7は、図1の搬送用無給油チェーンのローラがチェーン幅方向に片寄った状態を示す寸法図である。
まず、本実施例である搬送用無給油チェーン100は、図1及び図4に示すように、左右一対で離間配置された内プレート110、110と、この内プレート110のブシュ圧入孔111に圧入嵌合された前後一対のブシュ120、120と、このブシュ120に対して回転自在に外嵌された前後一対のローラ130、130と、このブシュ120の内部に遊挿された前後一対の連結ピン140、140と、この連結ピン140の両端にピン孔151を圧入嵌合させて内プレート110をチェーン長手方向に連結する左右一対の外プレート150、150とを備えている。
また、ローラ130の内周面131とブシュ120の外周面121との間には、潤滑油が封入されている。
そこで、本実施例の搬送用無給油チェーン100が最も特徴とするローラ130、フランジ付きスリーブ160、ブシュ120の具体的な形態について図1乃至図5により詳しく説明する。
まず、ローラ130は、工具鋼製であるとともに、その外周面に継ぎ目の無いシームレス型ローラであり、潤滑油がローラ130の継ぎ目から漏出することを阻止するようになっている。
このローラ130の左右両端には、図1乃至図4に示すように、ブシュ120と同心円状のフランジ用対向段部132が形成されている。
また、フランジ付きスリーブ160は、図1乃至図4に示すように、ブシュ120とローラ130との間に介在するスリーブ本体161と、このスリーブ本体161の端部から内プレート110の内側面112に沿って突出形成してフランジ用対向段部132に遊嵌するフランジ162とを備えている。
このフランジ付きスリーブ160、160は、工具鋼からなり、チェーン幅方向に左右一対で配置され、相互に離間するようにブシュ120にそれぞれ外嵌固定され、ローラ130を外嵌軸支するようになっている。
そして、ブシュ120は、その外周面に継ぎ目の無いシームレス型ブシュであり、潤滑油がブシュ120の継ぎ目から外部に漏出することを阻止するようになっている。
また、搬送用無給油チェーン100は、図5に示すように、フランジ用対向段部132の内径Wc、フランジ162の外径Wf、ローラ130の内径Wr、スリーブ本体161の外径Wsが、Wc−Wf>Wr−Ws及びWf+Ws>2Wrを満足するようにそれぞれ形成されている。
また、左右一対のフランジ162の内幅Df、ローラ130の長さDr、フランジ用対向段部132のチェーン幅方向の長さDsが、Df<Dr−Dsを満足するようにそれぞれ形成されている。
このようにして得られた本実施例の搬送用無給油チェーン100は、ブシュ120に外嵌固定して相互に離間する左右一対のフランジ付きスリーブ160が、ブシュ120と同心円状のフランジ用対向段部132を左右両端に形成したローラ130を外嵌軸支しているとともに、フランジ付きスリーブ160が、ブシュ120とローラ130との間に介在するスリーブ本体161とスリーブ本体161の端部から内プレート110の内側面112に沿って突出形成してフランジ用対向段部132に遊嵌するフランジ162とを備えている。
したがって、このようなフランジ付きスリーブ160のフランジ162とローラ130のフランジ用対向段部132との間に生じた潤滑油の漏出径路が複雑に屈曲した形状のラビリンス構造Lとなって、チェーン走行時の周回走行によって生じる遠心力等に起因したローラ130とブシュ120との間に封入された潤滑油の漏出を抑制するとともに外部塵埃の侵入を抑制するので、搬送物を支持するとともに走行するチェーンを支持してチェーン走行時において摺動頻度が最も高く摩耗が進行し易いローラ130の内周面131とフランジ付きスリーブ160のスリーブ本体161の外周面161aの摩耗損傷や焼付きを抑制できる。
また、ブシュ120の外周面121とローラ130の内周面131と左右一対のフランジ付きスリーブ160のスリーブ本体161との間に環状油溜り部Sが生じて、このような環状油溜り部Sにより多くの潤滑油を封入できるので、フランジ付きスリーブ160のスリーブ本体161の外周面161aとローラ130の内周面131との間に潤滑油を継続的に供給することができ、また、この環状油溜り部Sは、従来のシールチェーンにおけるブシュの外周面とローラの内周面との間に生じた油溜り領域よりも広いので、液体以外の潤滑材、例えば、粉末状の潤滑材、固形の潤滑材、グリース等の多種類に亘る潤滑材を封入できる。
また、搬送用無給油チェーン100は、フランジ付きスリーブ160がローラ130との間に隙間を設けて配置されている。
したがって、内リンクプレートの内側面とローラの端面との間にシール部材を押圧状態で配置した従来のシールチェーンと比べて、チェーン走行時にローラ130が円滑に転動しながらスプロケット(図示しない)に噛み合うことができる。
そして、従来のシールチェーンでは、シール部材の摺接摩耗を防止して潤滑油の密封性を維持するために、内リンクプレートの内側面とローラの端面に表面粗さを小さくする表面仕上げ加工を施す必要があったが、本発明の搬送用無給油チェーン100では、従来のような表面仕上げ加工を施す必要がなく、チェーンの製造負担を軽減できる。
また、搬送用無給油チェーン100は、ブシュ120がシームレス型ブシュである。
したがって、潤滑油がブシュ120の継ぎ目から漏出することを阻止するので、ローラ130とフランジ付きスリーブ160の摩耗損傷や焼付きを抑制できる。
また、搬送用無給油チェーン100は、ローラ130がシームレス型ローラである。
したがって、潤滑油がローラ130の継ぎ目から漏出することを阻止するので、ローラ130とフランジ付きスリーブ160の摩耗損傷や焼付きを抑制できる。
また、搬送用無給油チェーン100は、フランジ用対向段部132の内径Wc、フランジ162の外径Wf、ローラ130の内径Wr、スリーブ本体161の外径Wsが、Wc−Wf>Wr−Ws及びWf+Ws>2Wrを満足するようにそれぞれ形成されている。
したがって、図6に示すように、ローラ130がフランジ付きスリーブ160に対してチェーン進行方向に片寄った場合に、ローラ130の内周面131とフランジ付きスリーブ160のスリーブ本体161の外周面161aとが接触して、潤滑油が充分に供給されてない状態となっても、ローラ130のフランジ用対向段部132の内周面132aとフランジ付きスリーブ160のフランジ162の外周面162aとが互いに接触することを完全に阻止するので、フランジ付きスリーブ160のフランジ162が摩耗損傷することによるシール効果の低下を防止でき、また、フランジ付きスリーブ160のフランジ162がローラ130のフランジ用対向段部132から外れることを阻止して、潤滑油の外部漏出を防止するので、ローラ130とフランジ付きスリーブ160の摩耗損傷や焼付きを抑制できる。
そして、搬送用無給油チェーン100は、左右一対のフランジ162の内幅Df、ローラ130の長さDr、フランジ用対向段部132のチェーン幅方向の長さDsが、Df<Dr−Dsを満足するようにそれぞれ形成されている。
したがって、図7に示すように、チェーン走行時にローラ130がフランジ付きスリーブ160に対してチェーン幅方向にスキュー、揺動、若しくは、片寄りを生じた場合であっても、フランジ付きスリーブ160のフランジ162がローラ130のフランジ用対向段部132から外れることを阻止して、潤滑油の外部漏出を防止するので、ローラ130とフランジ付きスリーブ160の摩耗損傷や焼付きを抑制できるなど、その効果は甚大である。
なお、上述したような本発明の搬送用無給油チェーンは、搬送用コンベヤチェーンを対象としたものであるが、このような考え方は、伝動用ローラチェーンにも適用できることは言うまでもない。
本発明の一実施例である搬送用無給油チェーンの一部を切り欠いた全体概要図。 図1に示す搬送用無給油チェーンの連結状態を示す斜視図。 図1に示す搬送用無給油チェーンの分解組み立てした全体図。 図1に示す搬送用無給油チェーンの断面図。 図1に示す搬送用無給油チェーンの組み付け寸法図。 図1の搬送用無給油チェーンのローラがチェーン進行方向に片寄った状態を示す寸法図。 図1の搬送用無給油チェーンのローラがチェーン幅方向に片寄った状態を示す寸法図。
符号の説明
100 ・・・ 搬送用無給油チェーン
110 ・・・ 内プレート
111 ・・・ 内プレートのブシュ圧入孔
112 ・・・ 内プレートの内側面
120 ・・・ ブシュ
121 ・・・ ブシュの外周面
130 ・・・ ローラ
131 ・・・ ローラの内周面
132 ・・・ フランジ用対向段部
132a ・・・ フランジ用対向段部の内周面
140 ・・・ 連結ピン
150 ・・・ 外プレート
151 ・・・ 外プレートのピン孔
160 ・・・ フランジ付きスリーブ
161 ・・・ スリーブ本体
161a ・・・ スリーブ本体の外周面
162 ・・・ フランジ
162a ・・・ フランジの外周面
L ・・・ ラビリンス構造
S ・・・ 環状油溜り部
Wc ・・・ フランジ用対向段部の内径
Wf ・・・ フランジの外径
Wr ・・・ ローラの内径
Ws ・・・ スリーブ本体の外径
Df ・・・ 左右一対のフランジの内幅
Dr ・・・ ローラの長さ
Ds ・・・ フランジ用対向段部のチェーン幅方向の長さ

Claims (5)

  1. 左右一対で離間配置された内プレートと該内プレートのブシュ圧入孔に圧入嵌合された前後一対のブシュと該ブシュに対して回転自在に外嵌された前後一対のローラと前記ブシュ内に遊挿された前後一対の連結ピンと該連結ピンの両端にピン孔を圧入嵌合させて内プレートをチェーン長手方向に連結する左右一対の外プレートとを備え、前記ローラの内周面とブシュの外周面との間に潤滑油を封入してなる搬送用無給油チェーンにおいて、
    前記ブシュに外嵌固定して相互に離間する左右一対のフランジ付きスリーブが、前記ブシュと同心円状のフランジ用対向段部を左右両端に形成したローラを外嵌軸支しているとともに、
    前記フランジ付きスリーブが、前記ブシュとローラとの間に介在するスリーブ本体と該スリーブ本体の端部から内プレートの内側面に沿って突出形成してフランジ用対向段部に遊嵌するフランジとを備えていることを特徴とする搬送用無給油チェーン。
  2. 前記ブシュが、シームレス型ブシュであることを特徴とする請求項1記載の搬送用無給油チェーン。
  3. 前記ローラが、シームレス型ローラであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の搬送用無給油チェーン。
  4. 前記フランジ用対向段部の内径Wc、フランジの外径Wf、ローラの内径Wr、スリーブ本体の外径Wsが、
    Wc−Wf>Wr−Ws
    及び、
    Wf+Ws>2Wr
    を満足するようにそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の搬送用無給油チェーン。
  5. 前記左右一対のフランジの内幅Df、ローラの長さDr、フランジ用対向段部のチェーン幅方向の長さDsが、
    Df<Dr−Ds
    を満足するようにそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の搬送用無給油チェーン。
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JP2007023208A Pending JP2008189408A (ja) 2007-02-01 2007-02-01 搬送用無給油チェーン

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109252557A (zh) * 2017-07-13 2019-01-22 上海广大基础工程有限公司 一种锯链式铣槽机传动链条及铣削刀具组合

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