JP2008189087A - 車両用の操舵力制御装置及び方法 - Google Patents

車両用の操舵力制御装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車両用の操舵力制御装置において、運転者が意図している操舵操作に、車両が実際に走行する操舵方向を迅速且つ適切に追従させる。
【解決手段】車両用の操舵力制御装置(1)は、前輪に操舵力又は操舵角を付与する操舵力付与手段(10)と、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を検出する検出手段(14等)と、操舵操作に対応した操作操舵角と、目標軌跡に対応した目標操舵角との差である第2偏差に基づいて、第1偏差を補正する補正手段(30等)と、補正された第1偏差を目標値とする、補助的な補助操舵力を付与するように、操舵力付与手段を制御する制御手段(30等)とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、車両用の操舵力制御装置及び方法の技術分野に関する。
この種の車両用の操舵力制御装置に関して、特許文献1では、障害物を回避する最適な軌跡と、その軌跡上を走行するのに必要な制御目標を演算する操舵力制御装置に関する技術について開示されている。
また、特許文献2では、レーンキープ走行中に運転者が操舵入力を加えたときはアシストトルクを減少させる操舵力制御装置に関する技術について開示されている。
また、特許文献3では、運転者が障害物を回避する方向に操舵していると判断すると、自車両と障害物との車間距離が大きい場合は、補正ゲインを小さく設定する操舵力制御装置に関する技術について開示されている。
また、特許文献4では、レーンキープアシストに関し、運転者が逸脱回避を行うと判断した場合、逸脱回避手段による制御量を小さくする操舵力制御装置に関する技術について開示されている。
特開2005−132172号公報 特開平11−78951号公報 特開2004−243904号公報 特開2006−175957号公報
しかしながら、上述の特許文献1から4等に開示された技術によれば、例えば、運転者が障害物を安全且つ確実に回避するために、操作操舵角を大きくして、車両の操舵を行う際に、車両を目標軌跡に沿って走行させようとする補助的な補助操舵力が単に車両に付与される。このため、運転者は、運転者自らが迅速に回避しようと意図している操舵操作と、車両が実際に走行する操舵方向とがかけ離れているように体感してしまう可能性が生じるという技術的な問題点が生じる。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、運転者が意図している操舵操作に、車両が実際に走行する操舵方向を迅速且つ適切に追従させることを可能とする車両用の操舵力制御装置及び方法を提供することを課題とする。
(車両用の操舵力制御装置)
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用の操舵力制御装置は、車両の少なくとも前輪に操舵力を付与する操舵力付与手段と、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を検出する検出手段と、前記操舵操作に対応した操作操舵角と前記目標軌跡に対応した目標操舵角との差である第2偏差に基づいて(決定される係数を乗算することで)、前記検出された第1偏差を補正する補正手段と、前記操舵力として、前記補正された第1偏差を目標値とする、補助的な補助操舵力を、前記操作操舵力に加えて付与するように、前記操舵力付与手段を制御する制御手段とを備える。
本発明に係る車両用の操舵力制御装置によれば、車両走行中に、操舵力付与手段によって、車両の前輪及び後輪のうち少なくとも前輪に操舵力が付与される。ここに、本発明に係る「操舵力」は、前輪又は後輪の進行方向を基準にして、横方向又はヨーイング方向(横ぶれ方向)に付加される力を意味してよい。特に、この「操舵力」は、力の大きさを意味することに加えて、力の方向を意味してよいし、この力の方向に影響を与える後述の操舵角を意味してよい。また、本発明に係る「操舵角」は、操舵力によって設定可能な、車両の進行方向を基準にした、前輪又は後輪の進行方向を示す角度を意味してよい。
すると、検出手段によって、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差が検出される。尚、本発明に係る「検出」とは、典型的には、操作操舵力と、目標操舵力との差である第1偏差を示す何らかの物理量やパラメータを、直接的に「検出」、「測定」、「計測」等することを意味する。更に、第1偏差を示す何らかの物理量やパラメータを、間接的に「算出」、「演算」等することを含んでいてもよい。また、第1偏差が直接的に検出されてよいし、操作操舵力及び目標操舵力が夫々検出された後で、第1偏差が一義的に算出されてよい。特に、尚、本発明に係る第1偏差及び後述される第2偏差は、差若しくは差分の絶対値を意味してよい。
このような第1偏差の検出と並行して又は相前後して、補正手段によって、操舵操作に対応した操作操舵角と、目標軌跡に対応した目標操舵角との差である第2偏差に基づいて、検出された第1偏差が補正される。ここに、本発明に係る「第2偏差に基づいて、補正する」とは、第2偏差の大小に応じて、第1偏差を増減することを意味する。具体的には、第2偏差に基づいて一義的に決定される係数を第1偏差に乗算すること或いは第1偏差を一義的に補正することを意味してよい。例えば操舵角に係る第2偏差が、ある限度を超えた範囲内で大きければ、第2偏差の大きさに応じて第1偏差を減少させるように補正され、ある限度を超えていなければ或いは小さければ、補正されない又は第1偏差を増大させるように補正される。このような補正の程度及びやり方は、各種走行状態において運転手によりなされる各種操舵操作とこれに対応して実行される実際の操舵状態とが、運転手の違和感を小さくする際における、第1偏差と第2偏差との関係を、実験的、経験的に或いはシミュレーション等により求めて関数化又はテーブル化することで設定すればよい。
次に、制御手段の制御下で、操舵力付与手段によって、補正された第1偏差を目標値とする、補助的な補助操舵力が、操舵操作に対応した操作操舵力として、既に付与されている或いはこれから付与される予定の操作操舵力に上乗せする形で、付与される。言い換えれば、操舵力付与手段によって、目標操舵力が、そのまま操舵の目標とされるのではなく、第1偏差に応じて補正された目標操舵力が、実際の操舵の目標とされ、この値は操作操舵力及び補助操舵力の合算値に一致することになる。
一般的に、車両の運転者が障害物から遠ざかる方向へ、車両の進行方向を変更する場合、車両は、障害物の位置に対応して、この障害物を回避して走行するための車両の目標軌跡を予め特定している。
仮に、ここで、例えば、運転者が障害物を安全且つ確実に回避するために、操作操舵角を大きくして、車両の操舵を行う際に、操舵操作に対応した操作操舵角と、目標軌跡に対応した目標操舵角との第2偏差を考慮しないとすれば、車両を目標軌跡に沿って走行させようとする補助的な補助操舵力が時間軸上で平均化されて車両に付与されるので、運転者は、運転者自らが迅速に回避しようと意図している操舵操作と、車両が実際に走行する操舵方向とがかけ離れ、車両の反応が遅延しているように体感してしまう可能性が生じる。ひいては、運転者に、運転者自らが意図する操舵操作が妨げられているという違和感を心理的に与えてしまう。
これに対して、本発明によれば、補正手段によって、操舵操作に対応した操作操舵角と、目標軌跡に対応した目標操舵角との第2偏差に基づいて、検出された第1偏差が補正される。具体的には、補正手段によって、操作操舵角と、目標操舵角との第2偏差が所定閾値より大きい場合、検出された第1偏差を減少側へ補正される。そして、制御手段の制御下で、操舵力付与手段によって、操舵力として、現在付与されている或いは付与されようとしている操作操舵力に加える形で、補正された第1偏差を目標値とする、補助的な補助操舵力が付与される。
この結果、運転者が障害物を安全且つ確実に回避するために、例えば、操作操舵角を大きくして、車両の操舵を行う際に、車両を目標軌跡に沿って走行させようとする補助操舵力の目標値が、例えば減少側に補正されて車両に付与されるので、運転者自らが迅速に回避しようと意図している操舵操作に、車両が実際に走行する操舵方向を迅速且つ適切に追従させることが可能である。以上の結果、運転者自らが迅速に回避しようと意図している操舵操作に対応させて、車両の反応を鋭敏化させ、運転者自らが意図する操舵操作が妨げられているという心理的な違和感を顕著に低減させることが可能である。
本発明に係る車両用の操舵力制御装置の一の態様では、前記補正手段は、前記第2偏差が大きくなるに従って、前記第1偏差が小さくなるように、前記第1偏差を補正する。
この態様によれば、第2偏差が大きくなるに従って、第1偏差が小さくなるように、検出された第1偏差が補正される。
この結果、減少する側に補正された第1偏差によって、運転者自らが迅速に回避しようと意図している操舵操作に、車両が実際に走行する操舵方向を、より迅速且つ適切に追従させることが可能である。
本発明に係る車両用の操舵力制御装置の他の態様では、前記補正手段は、前記第2偏差が、第1閾値(例えば後述の閾値Ta)より大きい場合、前記第1偏差に、1未満の係数を前記第1偏差(例えばゲイン)に乗算しつつ、前記第1偏差を補正する。
この態様によれば、係数によって、第1偏差を、減少する側に、定量的に補正することが可能である。ここに、ここに、本発明に係る「第1閾値」とは、補助操舵力を付与する操舵力付与処理を開始させる開始状態を規定するための第2偏差の境界値を意味してよい。また、本発明に係る「係数」とは、例えばゲイン等の、対象となる数値に対して重み付けを行うことが可能な数値を意味してよい。この係数は、理論的、経験的、実験的、シミュレーション的に、所望の第1偏差が得られるように、個別具体的に規定してよい。
この結果、定量化されつつ高精度に補正された第1偏差によって、運転者自らが迅速に回避しようと意図している操舵操作に、車両が実際に走行する操舵方向を、より迅速且つ適切に追従させることが可能である。
この係数に係る態様では、前記係数は、前記第2偏差が大きくなるに従って、線形的又は非線形的に小さくなるようにしてもよい。
このように構成すれば、線形的又は非線形的に減少する側に補正された第1偏差によって、運転者自らが迅速に回避しようと意図している操舵操作に、車両が実際に走行する操舵方向を、より迅速且つ適切に追従させることが可能である。
本発明に係る車両用の操舵力制御装置の他の態様では、前記制御手段は、前記第2偏差が、第2閾値(例えば後述の閾値Tb)より大きい場合、前記補助操舵力の付与を停止するように、前記操舵力付与手段を制御する。
この態様によれば、例えば第2偏差と第2閾値(例えば後述の閾値Tb)との比較等によって、補助操舵力を付与する操舵力付与処理を行う場合に限界の状態を規定し、この限界の状態では、補助操舵力を付与する度合いを、相対的に小さくさせる、又は、補助操舵力を付与する操舵力付与処理を停止させる。ここに、本発明に係る「第2閾値」とは、補助操舵力を付与する影響を、相対的に低減可能な限界の状態を規定するための第2偏差の限界値を意味してよい。
この結果、車両の慣性力による走行状態を維持させ、車両の走行状態を安定化させることが可能である。
本発明に係る車両用の操舵力制御装置の他の態様では、前記制御手段は、(i)前記車両が前記障害物に衝突すると予測される場合で、且つ、前記運転者による操舵速度が第1所定値より大きい場合、又は(ii)前記第2偏差が第2閾値より大きい状態が継続する継続時間が第2所定値より大きい場合、前記補助操舵力を付与するように、前記操舵力付与手段を制御する。
この態様によれば、補助操舵力の付与が行われる場合を、操舵速度と第1所定値との比較、又は、継続時間と第2所定値との比較によって、定量的又は定性的に明確にさせ、迅速且つ簡便な補助操舵力の付与を実現可能である。ここに、本発明に係る「第1所定値」とは、補助操舵力を付与する必要性が相対的に高い操舵状態を規定するための操舵速度の境界値を意味してよい。また、本発明に係る「第2所定値」とは、補助操舵力を付与する必要性が相対的に高い操舵状態を規定するための継続時間の境界値を意味してよい。
本発明に係る車両用の操舵力制御装置の他の態様では、前記補正手段は、(i)前記操作操舵角と、一の目標軌跡に対応した一の目標操舵角との差である一の第2偏差に基づいて決定される一の係数、及び(ii)前記操作操舵角と、他の目標軌跡に対応した他の目標操舵角との差である他の第2偏差に基づいて決定される他の係数のうち、いずれか大きい方に基づいて、前記検出された第1偏差を補正する。
この態様によれば、1次的には、上述したように運転者の操舵操作に対応した操作操舵角を優先させて、操舵力付与処理を行いつつ、複数の回避軌跡が存在する場合では、2次的には、より大きな係数によって第1偏差を補正することで、車両の目標操舵角に近づけることが容易な回避軌跡を優先させて、操舵力付与処理を行うことによって、車両を操舵する度合いを低減させ、車両が蛇行走行するのを効果的に防止することが可能である。
本発明に係る車両用の操舵力制御装置の他の態様では、前記補正手段は、(i)前記操作操舵角と、一の目標軌跡に対応した一の目標操舵角との差である一の第2偏差、及び(ii)前記操作操舵角と、他の目標軌跡に対応した他の目標操舵角との差である他の第2偏差のうち、いずれか小さい方に基づいて、前記検出された第1偏差を補正する。
この態様によれば、1次的には、上述したように運転者の操舵操作に対応した操作操舵角を優先させて、操舵力付与処理を行いつつ、複数の回避軌跡が存在する場合では、2次的には、より小さな第2偏差に対応される、より大きなゲインによって第1偏差を補正することで、車両の目標操舵角に近づけることが容易な回避軌跡を優先させて、操舵力付与処理を行うことによって、車両を操舵する度合いを低減させ、車両が蛇行走行するのを効果的に防止することが可能である。
(車両用の操舵力制御方法)
上記課題を解決するために、車両の少なくとも前輪に操舵力を付与する操舵力付与手段を備える車両用の操舵力制御方法であって、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を検出する検出工程と、前記操舵操作に対応した操作操舵角と前記目標軌跡に対応した目標操舵角との差である第2偏差に基づいて(決定される係数を乗算することで)、前記検出された第1偏差を補正する補正工程と、前記操舵力として、前記補正された第1偏差を目標値とする、補助的な補助操舵力を前記操作操舵力に加えて付与するように、前記操舵力付与手段を制御する制御工程とを備える。
本発明に係る車両用の操舵力制御方法によれば、上述した本発明に係る車両用の操舵力制御装置に係る実施形態が有する各種利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明に係る車両用の操舵力制御装置に係る実施形態が有する各種態様に対応して、本発明に係る車両用の操舵力制御方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(1)基本構成
初めに、図1を参照しながら、本発明の操舵力制御装置に係る実施形態の基本的な構成について説明する。ここに、図1は、本発明の操舵力制御装置に係る実施形態の基本的な構成を概念的に示す概略構成図である。
図1に示すように、車両1は、前輪5及び6、並びに後輪7及び8を備えている。前輪及び後輪の少なくとも一方がエンジンの駆動力を得ることにより駆動すると共に、前輪が操舵されることで、車両1は所望の方向に進行することができる。
操舵輪である前輪5及び6は、ドライバーによるステアリングホイール11の操舵に応じて駆動される電動式パワーステアリング装置10により操舵される。尚、この電動式パワーステアリング装置10から、本発明に係る「操舵力付与手段」の一例が構成されている。具体的には、電動式パワーステアリング装置10は、例えばラックアンドピニオン式の電動式パワーステアリング装置であり、ステアリングホイール11に一方の端部が接続されるステアリングシャフト12と、該ステアリングシャフト12の他方の端部に接続されるラックピニオン機構16と、ステアリングホイール12の回転角度である操舵角θを検出する舵角センサ13と、ステアリングホイール11の操舵によってステアリングシャフト12に加えられる操舵トルクMTを検出するトルクセンサ14と、ドライバーの操舵負担を軽減する補助操舵力を発生させると共に不図示の減速ギアを介してステアリングシャフト12に補助操舵力を与える電動モータ15とを備えている。
このような電動式パワーステアリング装置10においては、ECU30により、舵角センサ13から出力される操舵角θ、トルクセンサ14から出力される操舵トルクMT、ロール角算出回路31から出力される車両1のロール角RA、タックイン判定回路32から出力されるタックインが発生しているか否かを示す制御信号S1、ABS制御回路33から出力されるABS制御が行なわれているか否かを示す制御信号S2、サス制御回路34から出力されるサスペンション制御又はスタビライザ制御が行なわれているか否かを示す制御信号S3、車速センサ41から出力される車速V、並びに横力センサ42から出力される前輪の横力Ff及び後輪の横力Frに基づいて、電動モータ15が発生するトルクである目標操舵トルクTが算出される。尚、このECU30から、本発明に係る「制御手段」の一例が構成されている。
この場合、ロール角算出回路31は、横Gセンサ43により検出される横Gに基づいて、ロール角RAを算出する。タックイン判定回路32は、ヨーレートセンサ44により検出されるヨーレート(YawRate)γ及びスロットル開度センサ45により検出されるスロットル開度Oに基づいて、タックインが発生しているか否かを示す制御信号S1を生成する。
目標操舵トルクTはECU30から電動モータ15に出力され、目標操舵トルクTに応じた電流が電動モータ15に供給されることで、電動モータ15が駆動される。これにより、電動モータ15からステアリングシャフト12に操舵補助力が加えられ、その結果、ドライバーの操舵負担が軽減される。また、ラックピニオン機構16により、ステアリングシャフト12の回転方向の力が、ラックバー17の往復動方向の力に変換される。ラックバー17の両端は、タイロッド18を介して前輪5及び6に連結されており、ラックバー17の往復運動に応じて、前輪5及び6の向きが変わる。
尚、横力センサ42が直接横力Ff及びFrを検出するように構成してもよいし、或いは横力センサ42を設けることに代えて、例えばECU30が他のパラメータに基づいて横力Ff及びFrを演算等により推定(言い換えれば、算出)するように構成してもよい。他の各種センサについても同様に、センサを設けることでセンサの検出対象を直接的に検出するように構成してもよいし、或いはセンサを設けることに代えて、例えばECU30が他のパラメータに基づいてセンサの検出対象を演算等により推定するように構成してもよい。特に、車両1は、例えばミリ波を利用したレーダ50や、例えばステレオカメラ等のカメラ51を備えて構成されてよい。この結果、ECU30の制御下で、車両1と障害物との衝突判定を、高精度且つ迅速に行うことが可能である。特に、この衝突判定は、操舵角、操舵角速度、ヨーレート、重力等の自車両の走行状態に加えて、レーダ50や、カメラ51から取得される、距離、相対速度、横方向の位置関係に関する情報を解析することによって、車両1と障害物との衝突判定を、高精度且つ迅速に行うことが可能である。尚、本実施形態に係る車両は、VDIM(ABS/VSC/TRC)や、VGRS(Variable Gear Ratio System)や、4WS(4 wheel steering)や、ARS(Active Rear Steering)などの走行状態を制御する各種のシステムが適用されてよい。
(2)補助操舵力を付与する操舵力付与処理
次に、図2から図4を参照して、本実施形態に係る電動式パワーステアリング装置10によって、主に、行われる補助的な補助操舵力を付与する操舵力付与処理について説明する。ここに、図2は、本実施形態に係る、補助的な補助操舵力を付与する操舵力付与処理の流れを示したフローチャートである。尚、この操舵力付与処理は、ECU30によって、例えば、数十μ秒、又は数μ秒等の所定の周期で繰り返し実行される。図3は、本実施形態に係る、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を補正するためのゲインKと、運転操作に対応した操作操舵角との定量的な相関関係を示したグラフである。
図2に示されるように、ECU30の制御下で、操舵力付与処理を開始するか否かが判定される(ステップS101)。詳細には、ECU30の制御下で、例えば、車両が、障害物の位置に対応して、障害物を回避しないと、車両がこの障害物に衝突してしまう可能性があるか否かが判定されてよい。或いは、運転者の操舵操作に対応した操舵速度が、閾値より大きいか否かが判定されてよい。或いは、後述される第2偏差が相対的に大きい状態が継続する継続時間が相対的に長いか否かが判定されてよい。従って、補助操舵力の付与が行われる場合を、操舵速度の大小、又は、継続時間の大小によって、定量的又は定性的に明確にさせ、迅速且つ簡便な補助操舵力の付与を実現可能である。
このステップS101の判定の結果、ECU30が、操舵力付与処理を開始すると判定する場合(ステップS101:Yes)、ECU30の制御下で、操舵角センサ13によって、運転者の操舵操作に対応した操作操舵角が検出される(ステップS102)。
次に、ECU30の制御下で、障害物を回避可能な目標軌跡に対応した目標操舵角が特定される(ステップS103)。
次に、ECU30の制御下で、検出された操作操舵角と、特定された目標操舵角との差である第2偏差が、閾値Taより大きいか否かが判定される(ステップS104)。尚、本実施形態に係る偏差(第2偏差及び第1偏差)は、差の絶対値を意味してよい。ここで、検出された操作操舵角と、特定された目標操舵角との差である第2偏差が、閾値Taより大きい場合(ステップS104:Yes)、ECU30の制御下で、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を補正するためのゲインKが、「1」より小さくなるように設定される(ステップS105)。具体的には、図3に示されるように、このゲインKは、操作操舵角と、目標操舵角との差である第2偏差が、閾値Taより更に大きくなるに従って、「1.0」より更に小さくなるように規定してよい。加えて、このゲインKは、操作操舵角と、目標操舵角との差である第2偏差が、閾値Tb(但し、Tb>Ta)より大きくなる場合、本実施形態に係る操舵力付与処理を終了するようにしてよい。或いは、このゲインKを、「0.0」から「1.0」の間の値となるように規定してよい。
他方、ステップS104の判定の結果、検出された操作操舵角と、特定された目標操舵角との差である第2偏差が、閾値Taより大きくない場合、即ち、閾値Taより小さい又は等しいと判定された場合(ステップS104:No)、ECU30の制御下で、操作操舵力と、目標操舵力との差である第1偏差を補正するためのゲインKが、「1」になるように設定される(ステップS106)。
次に、ECU30の制御下で、操舵角センサ13、横Gセンサ43、ヨーレートセンサ44によって、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力が検出される(ステップS107)。
次に、ECU30の制御下で、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力が特定される(ステップS108)。
次に、ECU30の制御下で、検出された操作操舵力と、特定された目標操舵力との差である第1偏差に、上述の設定されたゲインKが乗算される(ステップS109)。
次に、ECU30の制御下で、電動モータ15によって、ゲインKが乗算された第1偏差を目標値とする、補助的な補助操舵力を付与される(ステップS110)。具体的には、電動式パワーステアリング装置10が駆動され、ゲインKが乗算された第1偏差を目標値とする、補助的な補助操舵力を付与されるように、電動モータ15が駆動される。
(3)本実施形態に係る作用と効果との検討
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る作用と効果とについて検討する。ここに、図4は、比較例に係る、補助操舵力の目標値を決定する数値データの流れを概念的に示したブロック図(図4(a))、及び、本実施形態に係る、補助操舵力の目標値を決定する数値データの流れを概念的に示したブロック図(図4(b))である。図5は、本実施形態に係る車両が障害物を回避する走行軌跡と、比較例に係る車両が障害物を回避する走行軌跡との位置関係を図式的に示した平面図(図5(a))、及び、本実施形態に係る、運転操作に対応した操作操舵角と、目標操舵角との差である第2偏差と、走行時間との相関関係の一具体例を示したグラフ(図5(b))である。尚、この図5(b)中の走行時間は、車両が走行する走行距離で示されるようにしてよい。
図4(a)に示されるように、比較例に係る補助操舵力の目標値を決定する決定手法においては、ECU30の制御下で、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差が目標値として決定される。よって、例えば、運転者が障害物を安全且つ確実に回避するために、操作操舵角を大きくして、車両の操舵を行う際に、車両を目標軌跡に沿って走行させようとする補助的な補助操舵力が時間軸上で平均化されて車両に付与されるので、運転者は、運転者自らが迅速に回避しようと意図している操舵操作と、車両が実際に走行する操舵方向とがかけ離れ、車両の反応が遅延しているように体感してしまう可能性が生じる。ひいては、運転者に、運転者自らが意図する操舵操作が妨げられているという違和感を心理的に与えてしまう。より具体的には、本願発明者による研究によれば、図5(a)中の点線に示されるように、障害物を回避するための車両の走行軌跡が、障害物に近づいており、更に、障害物を回避した後に、車両の走行軌跡を、障害物を回避する前の本来の進行方向に戻すまでに、蛇行してしまうことが判明している。
これに対して、本実施形態に係る補助操舵力の目標値を決定する決定手法においては、図4(b)に示されるように、先ず、ECU30の制御下で、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差が検出される。次に、この検出された第1偏差に対して、運転操作に対応した操作操舵角と、目標軌跡に対応した目標操舵角との差である第2偏差に基いて規定されるゲインKを乗算することで、第1偏差が減少側に補正される。そして、この補正された第1偏差が目標値として決定される。
この結果、運転者が障害物を安全且つ確実に回避するために、例えば、操作操舵角を大きくして、車両の操舵を行う際に、車両を目標軌跡に沿って走行させようとする補助的な補助操舵力の目標値が、例えば減少側に補正されて車両に付与されるので、運転者自らが迅速に回避しようと意図している操舵操作に、車両が実際に走行する操舵方向を迅速且つ適切に追従させることが可能である。具体的には、本願発明者による研究によれば、図5(a)中の実線に示されるように、障害物を回避するための車両の走行軌跡が、障害物に近づくより手前側において、障害物から距離的に離れている。加えて、障害物を回避した後に、車両の走行軌跡を、障害物を回避する前の本来の進行方向に、蛇行することなく、迅速且つ適切に戻すことが実現可能である。より具体的には、図5(b)中に示されるように、運転操作に対応した操作操舵角と、目標軌跡に対応した目標操舵角との差である第2偏差が、閾値Taより大きい時間間隔である、「時間X1と、時間X2との間の時間間隔」、及び、「時間X3と、時間X4との間の時間間隔」においては、操作操舵角と、目標操舵角との差である第2偏差が大きくなるに従って小さくなる、「1.0」より小さいゲインKが第1偏差に乗算されることで、第1偏差が減少側に補正される。特に、図5(b)中の時間X1aにおいては、前述の図3中に示されるように、ゲインKとして「0.65」が第1偏差に乗算されることで、第1偏差が減少側に補正される。他方、図5(b)中に示されるように、操作操舵角と、目標操舵角との差である第2偏差が、閾値Taより小さい時間間隔である、「時間X0と、時間X1との間の時間間隔」、「時間X2と、時間X3との間の時間間隔」、及び、「時間X4以降の時間」においては、操作操舵角と、目標操舵角との差である第2偏差に対応することなく、「1.0」のゲインKが第1偏差に乗算される、言い換えると、第1偏差がゲインKによって補正されなく、検出された第1偏差がそのまま目標値として決定される。
以上の結果、運転者自らが迅速に回避しようと意図している操舵操作に対応させて、車両の反応を鋭敏にさせ、運転者自らが意図する操舵操作が妨げられているという心理的な違和感を顕著に低減させることが可能である。
(5)他の実施形態(その1)
次に、図6から図8を参照して、本発明の操舵力制御装置に係る他の実施形態(その1)について説明する。
(5−1)基本構成
最初に、図6を参照しながら、本発明の操舵力制御装置に係る他の実施形態(その1)の基本的な構成について説明する。ここに、図6は、本発明の操舵力制御装置に係る他の実施形態の基本的な構成を概念的に示す概略構成図である。尚、上述した本実施形態と概ね同様の構成要素については、同様の符号番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
図6に示されるように、車両1は、上述したレーダ50や、カメラ51に加えて又は代えて、例えばビーコンなどを利用した自車両が、情報発信基地又は他の車両と通信するための通信手段52を備えて構成されてよい。この結果、ECU30の制御下で、車両1と、道路上の障害物や、他の車両との衝突判定を、より高精度且つ迅速に行うことが可能である。
(5−2)補助操舵力を付与する操舵力付与処理
次に、図7及び図8を参照して、他の実施形態(その1)に係る電動式パワーステアリング装置10によって、主に、行われる補助的な補助操舵力を付与する操舵力付与処理について説明する。ここに、図7は、他の実施形態(その1)に係る、補助的な補助操舵力を付与する操舵力付与処理の流れを示したフローチャートである。尚、この操舵力付与処理は、ECU30によって、例えば、数十μ秒、又は数μ秒等の所定の周期で繰り返し実行される。また、上述した本実施形態と概ね同様の動作処理については、同様の符号番号を付し、それらの説明は適宜省略する。図8は、他の実施形態(その1)に係る、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を補正するためのゲインKと、運転操作に対応した操作操舵角との定量的な相関関係を示したグラフ群(図8(a)から図8(b))である。
図7に示されるように、上述のステップS104の判定の結果、検出された操作操舵角と、特定された目標操舵角との差である第2偏差が、閾値Taより大きい場合(ステップS104:Yes)、ECU30の制御下で、更に、第2偏差が、閾値Tbより小さいか否かが判定される(ステップS201)。ここで、第2偏差が、閾値Tbより小さくないと判定される場合、即ち、第2偏差が、閾値Tbより大きいと判定される場合、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を補正するためのゲインKが、例えば「0.1」等の、一定値k1となるように設定されてよい(ステップS202)。より詳細には、図8(a)に示されるように、ゲインKが設定される一定値k1は、操作操舵角と、目標操舵角との差である第2偏差が、閾値Tbより大きくなる場合、例えば「0.1」等の目標操舵角の影響が運転者の操舵操作に影響を殆ど又は完全に与えない程度に、十分小さい値であるように規定してよい。或いは、図8(b)に示されるように、ゲインKが設定される一定値k1は、「1.0」より小さく、且つ、操作操舵角と、目標操舵角との差である第2偏差の変化に対応して、第2偏差が、更に大きくなるに従って、「1.0」より更に小さくなるように(言い換えると「0.0」により近づくように)、非線形的に変化するように規定してよい。この場合、一定値k1は、閾値Ta又は閾値Tbと関連して変化するようにしてよい、又は、一定値k1は、閾値Ta又は閾値Tbと関連することなく変化するようにしてよい。更に、或いは、前述の図3に示されるように、ゲインKが設定される一定値k1は、閾値Tb(但し、Tb>Ta)より大きくなる場合、「0.0」となるように規定してよい。更に、或いは、本実施形態に係る補助操舵力の付与を停止するようにしてよい。
このように、例えば第2偏差と閾値Tbとの比較等によって、補助操舵力を付与する操舵力付与処理を行う場合に限界の状態を規定し、この限界の状態では、補助操舵力を付与する度合いを、相対的に小さくさせる、又は、補助操舵力を付与する操舵力付与処理を停止させる。この結果、車両の慣性力による走行状態を維持させ、車両の走行状態を安定化させることが可能である。
(6)他の実施形態(その2)
次に、図9及び図10を参照して、本発明の操舵力制御装置に係る他の実施形態(その1)について説明する。
(6−1)補助操舵力を付与する操舵力付与処理
次に、図9及び図10を参照して、他の実施形態(その2)に係る電動式パワーステアリング装置10によって、主に、行われる補助的な補助操舵力を付与する操舵力付与処理について説明する。ここに、図9は、他の実施形態(その2)に係る、補助的な補助操舵力を付与する操舵力付与処理の流れを示したフローチャートである。尚、この操舵力付与処理は、ECU30によって、例えば、数十μ秒、又は数μ秒等の所定の周期で繰り返し実行される。また、上述した本実施形態と概ね同様の動作処理については、同様の符号番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
図10は、他の実施形態(その2)に係る車両が障害物を回避する走行軌跡が複数ある場合における、2つの回避軌跡と、比較例に係る車両が障害物を回避する走行軌跡との位置関係を図式的に示した平面図(図10(a))、及び、他の実施形態(その2)に係る、運転操作に対応した操作操舵角と、複数の目標操舵角(即ち、目標操舵角a及び目標操舵角b)との夫々の差である第2a偏差及び第2b偏差と、走行時間との相関関係の一具体例を示したグラフ(図10(b))である。
図9に示されるように、上述したステップS102に続いて、ECU30の制御下で、障害物を回避可能な目標軌跡に対応した2種類の目標操舵角a及び目標操舵角bが特定される(ステップS301)。
次に、ECU30の制御下で、(i)検出された操作操舵角と、特定された目標操舵角aとの差である第2a偏差が、(ii)検出された操作操舵角と、特定された目標操舵角bとの差である第2b偏差より小さいか否かが判定される(ステップS302)。ここで、目標操舵角aに対応される第2a偏差が、目標操舵角bに対応される第2b偏差より小さいと判定される場合(ステップS302:Yes)、ECU30の制御下で、より小さい第2a偏差の値が、上述した第2偏差に代入される(ステップS303)。他方、ステップS302の判定の結果、目標操舵角aに対応される第2a偏差が、目標操舵角bに対応される第2b偏差より小さくないと判定される場合、即ち、第2a偏差が、第2b偏差より大きいと判定される場合(ステップS302:No)、ECU30の制御下で、より小さい第2b偏差の値が、上述した第2偏差に代入される(ステップS304)。
続いて、上述したように、ECU30の制御下で、検出された操作操舵角と、特定された目標操舵角との差である第2偏差が、閾値Taより大きいか否かが判定される(ステップS104)。
特に、上述の他の実施形態(その2)に係る操舵力付与処理においては、第2a偏差及び第2b偏差を検出し、それら検出された偏差のうち小さい方を入力情報として選択したが、検出された第2a偏差及び第2b偏差に夫々対応して、2種類のゲインKを設定し、この2種類のゲインKのうち大きい方を、第1偏差に乗算することで、第1偏差を補正してよい(図8(c)を参照)。
このように、図10(a)に示されるように、車両が障害物を回避する走行軌跡が複数ある場合における、2つの回避軌跡、即ち、回避軌跡a及び回避軌跡bに対しては、夫々の軌跡に対応して第2a偏差及び第2b偏差を検出し、より小さい値を採用して、操舵力付与処理を行う。具体的には、図10(b)中の時間X1bにおいては、目標操舵角bに対応される第2b偏差より小さい値である、目標操舵角aに対応される第2a偏差を優先させて選択する。このように、1次的には、上述したように運転者の操舵操作に対応した操作操舵角を優先させて、操舵力付与処理を行いつつ、複数の回避軌跡が存在する場合では、2次的には、車両の目標操舵角に近づけることが容易な回避軌跡を優先させて、操舵力付与処理を行うことによって、車両を操舵する度合いを低減させ、車両が蛇行走行するのを効果的に防止することが可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、本発明は、例えばディーゼルエンジンや、ガソリンその他の燃料を利用する各種の内燃機関によって駆動する車両や、ハイブリッド式の車両や電気自動車(Electric Vehicle)等の各種の車両用の操舵力制御装置に限らず、飛行機用の操舵力制御装置などの各種の移動体に備えられる車輪に操舵力を付与する操舵力制御装置に適用してよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両用の操舵力制御装置及び方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の操舵力制御装置に係る実施形態の基本的な構成を概念的に示す概略構成図である。 本実施形態に係る、補助的な補助操舵力を付与する操舵力付与処理の流れを示したフローチャートである。 本実施形態に係る、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を補正するためのゲインKと、運転操作に対応した操作操舵角との定量的な相関関係を示したグラフである。 比較例に係る、補助操舵力の目標値を決定する数値データの流れを概念的に示したブロック図(図4(a))、及び、本実施形態に係る、補助操舵力の目標値を決定する数値データの流れを概念的に示したブロック図(図4(b))である。 本実施形態に係る車両が障害物を回避する走行軌跡と、比較例に係る車両が障害物を回避する走行軌跡との位置関係を図式的に示した平面図(図5(a))、及び、本実施形態に係る、運転操作に対応した操作操舵角と、目標操舵角との差である第2偏差と、走行時間との相関関係の一具体例を示したグラフ(図5(b))である。 本発明の操舵力制御装置に係る他の実施形態の基本的な構成を概念的に示す概略構成図である。 他の実施形態(その1)に係る、補助的な補助操舵力を付与する操舵力付与処理の流れを示したフローチャートである。 他の実施形態(その1)に係る、運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と、障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を補正するためのゲインKと、運転操作に対応した操作操舵角との定量的な相関関係を示したグラフ群(図8(a)から図8(b))である。 他の実施形態(その2)に係る、補助的な補助操舵力を付与する操舵力付与処理の流れを示したフローチャートである。 他の実施形態(その2)に係る車両が障害物を回避する走行軌跡が複数ある場合における、2つの回避軌跡と、比較例に係る車両が障害物を回避する走行軌跡との位置関係を図式的に示した平面図(図10(a))、及び、他の実施形態(その2)に係る、運転操作に対応した操作操舵角と、複数の目標操舵角(即ち、目標操舵角a及び目標操舵角b)との夫々の差である第2a偏差及び第2b偏差と、走行時間との相関関係の一具体例を示したグラフ(図10(b))である。
符号の説明
1 車両
5、6 前輪
7、8 後輪
10 電動式パワーステアリング装置
11 ステアリングホイール
13 舵角センサ
14 トルクセンサ
15、55 電動モータ
30 ECU
31 ロール角算出回路
32 タックイン判定回路
33 ABS制御回路
34 サス制御回路
41 車速センサ
42 横力センサ
50 レーダ
51 カメラ
52 通信手段

Claims (9)

  1. 車両の少なくとも前輪に操舵力を付与する操舵力付与手段と、
    運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を検出する検出手段と、
    前記操舵操作に対応した操作操舵角と前記目標軌跡に対応した目標操舵角との差である第2偏差に基づいて、前記検出された第1偏差を補正する補正手段と、
    前記操舵力として、前記補正された第1偏差を目標値とする、補助的な補助操舵力を、前記操作操舵力に加えて付与するように、前記操舵力付与手段を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする車両用の操舵力制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記第2偏差が大きくなるに従って、前記検出された第1偏差が小さくなるように、前記第1偏差を補正することを特徴とする請求項1に記載の車両用の操舵力制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記第2偏差が、第1閾値より大きい場合、前記第1偏差に、1未満の係数を前記第1偏差に乗算しつつ、前記第1偏差を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用の操舵力制御装置。
  4. 前記係数は、前記第2偏差が大きくなるに従って、線形的又は非線形的に小さくなることを特徴とする請求項3に記載の車両用の操舵力制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記第2偏差が、第2閾値より大きい場合、前記補助操舵力の付与を停止するように、前記操舵力付与手段を制御することを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の車両用の操舵力制御装置。
  6. 前記制御手段は、(i)前記車両が前記障害物に衝突すると予測される場合で、且つ、前記運転者による操舵速度が第1所定値より大きい場合、又は(ii)前記第2偏差が第2閾値より大きい状態が継続する継続時間が第2所定値より大きい場合、前記補助操舵力を付与するように、前記操舵力付与手段を制御することを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の車両用の操舵力制御装置。
  7. 前記補正手段は、(i)前記操作操舵角と、一の目標軌跡に対応した一の目標操舵角との差である一の第2偏差に基づいて決定される一の係数、及び(ii)前記操作操舵角と、他の目標軌跡に対応した他の目標操舵角との差である他の第2偏差に基づいて決定される他の係数のうち、いずれか大きい方に基づいて、前記検出された第1偏差を補正することを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の車両用の操舵力制御装置。
  8. 前記補正手段は、(i)前記操作操舵角と、一の目標軌跡に対応した一の目標操舵角との差である一の第2偏差、及び(ii)前記操作操舵角と、他の目標軌跡に対応した他の目標操舵角との差である他の第2偏差のうち、いずれか小さい方に基づいて、前記検出された第1偏差を補正することを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の車両用の操舵力制御装置。
  9. 車両の少なくとも前輪に操舵力を付与する操舵力付与手段を備える車両用の操舵力制御方法であって、
    運転者の操舵操作に対応した操作操舵力と障害物を回避可能な目標軌跡を走行するための目標操舵力との差である第1偏差を検出する検出工程と、
    前記操舵操作に対応した操作操舵角と前記目標軌跡に対応した目標操舵角との差である第2偏差に基づいて、前記検出された第1偏差を補正する補正工程と、
    前記操舵力として、前記補正された第1偏差を目標値とする、補助的な補助操舵力を前記操作操舵力に加えて付与するように、前記操舵力付与手段を制御する制御工程と
    を備えることを特徴とする車両用の操舵力制御方法。
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