JP2008188938A - 微細発泡シートの成形方法および成形装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 超臨界状態の不活性流体が混練・分散された溶融樹脂を押し出す押出機のTダイ(10)の直下に第1のニップロール(11)を、その下方に冷却水槽(13)を、そして前記第1のニップロール(11)と所定の間隔をおいて第2のニップロール(12)を設ける。第1、2のニップロールは位置調節自在に冷却水槽に設ける。第1のニップロールにおいて、延伸すると共にシートの厚さと表面精度を整える。冷却水槽において滞留する時間を調整してシート表面での発泡を抑制し、かつ発泡セルの成長を制御する。第2のニップロールにおいて、その回転数と間隔を調整し延伸して、所望のアスペクト比を得る。またシートの厚さおよび表面精度の向上を図る。
【選択図】 図2
Description
そこで、発泡による気泡の成長を抑え、かつガス抜けを防ぐスキン層をいち早く形成することが必要となる。スキン層、換言するとシート表面に形成される融点以下の温度の樹脂の膜は、Tダイから押し出されるシートを素早くかつ適切に冷却することにより形成される。
特許文献2には、Tダイから押し出されるシートを、冷却ロールと水冷ドラムとで挟み込むようになっている。この水冷ドラムは、冷却ロールの外周面の面積の約1/4から1/2に相当する大きさで、冷却ロールの外周面に対応する凹面を有する。前記水冷ドラムの凹面にはさらに凹部が設けられ、水冷ドラムの前記凹部とシートの間に形成される空間が冷却水路となってシートが冷却される、発泡シートの成形方法が示されている。
特許文献3には、Tダイのダイスリップと冷却ロールの間に中間ロールを設け、ダイスリップから押し出されてシート中で発泡する気泡が顕在化する付近で、シートと接するように中間ロールを配置し、発泡を中間ロール上で終了させ、もしくは中間ロール上でほとんど終了させて、コルゲーションを防止し、中間ロールと冷却ロール間でシートの流れ方向の引張力によりシート厚みを薄くする、発泡シートの成形方法が示されている。なお、コルゲーションとは、発泡に伴う樹脂の体積膨張により、拘束されたシート幅の中で、シートがシートの幅方向に広がろうとし、カーテン状に波打ってシート長さ方向に筋状となる現象をいう。
特許文献5には、Tダイのダイスリップとわずかな隙間をおいて冷却ロールの外周面が近接するよう、冷却ロールを設け、ダイスリップから押し出されたシートを直ちに冷却ロールで冷却し、さらにTダイには可動ブロックを設け、発泡中のシートが可動ブロックと冷却ロールとによって形成される隙間を可動ブロックに接しながら通過するようにし、可動ブロックによっても、シートを冷却する、発泡シートの成形方法が示されている。
特許文献3に記載の発泡シートの成形方法によると、中間ロール上でシートの発泡がほぼ完了するので、コルゲーションを防ぎシート表面の平滑性に優れた発泡シートを得ることができるが、シートの冷却手段は冷却ロールとエアーナイフのみであり、冷却水による十分な冷却が行われていないので、微細な発泡シートを得ることは困難と思われる。
特許文献5に記載の発泡シートの成形方法によると、Tダイのダイスリップから押し出されるシートは、押し出された直後から冷却ロールと可動ブロックにより冷却されるので、素早くスキン層が形成され、シート表面の平滑性も良好な発泡シートが得られると考えられる。しかし、水槽が無いため微細な発泡シートを得るには冷却が不十分と考えられる。また、シート厚さの制御に関する開示はなく、所望の厚さの発泡シートを得ることは困難である。
したがって、本発明は、超臨界状態の不活性流体を発泡剤として用いた溶融樹脂をTダイよりシート状に押し出して、発泡させる発泡シートの成形において、所定厚さのシートで表面精度に優れ、発泡セル径が50μm以下の微細発泡シートを成形することができる微細発泡シートの成形方法およびこの方法の発明の実施に直接使用される微細発泡シートの成形装置を提供することを目的としている。
そして、前記第1のニップロールは、望ましくは内部から冷却され、その回転数と間隔が必要に応じて調整され、望ましくはTダイからの押出量との関係において回転数が制御され、延伸される。また、前記Tダイから押し出されるシートの厚さと表面精度が整えられる。さらには、前記第1のニップロールを通過したシートが前記冷却水槽内の水面下に滞留する時間が調整され、シート表面での発泡が抑制され、かつ発泡セルの成長が制御される。また、必要に応じて前記第2のニップロールの回転数が第1のニップロールとの関係において調整されて延伸され、前記冷却水槽から出るシートの発泡セルのアスペクト比が調整されると共に、シートの厚さ、表面精度等がさらに調整される。
請求項6に記載の発明によると、請求項1〜5のいずれかの項に記載の成形方法において、前記Tダイから大気中に押し出される移動中のシートを、前記第1のニップロールに達する前に、チラー水またはコールドエアにより急冷却し発泡セルの大きさを制御するので、より冷却開始時間が短縮され、発泡セルの成長を抑えた微細発泡シートを成形できる効果がさらに得られる。
なお、冷却時間は冷却水の水温と共に考慮する必要があり、樹脂材料の種類によって異なる固化速度を勘案し、テスト、経験等により決定する。
「実施例1」
装置:押出機は株式会社日本製鋼所製のP65−34AWを使用し、図1に示されているような、冷却水槽、第1、2のニップロールおよび巻取機を備えた装置を使用した。なお、ダイスは80mmフラットダイとした。
樹脂材料:PP(ポリプロピレン、FH3500 チッソ製発泡グレード)を使用した。
発泡剤:窒素ガス(N2)。
成形条件:超臨界流体の圧力、溶融樹脂の押出量、樹脂温度、冷却水温度等の成形条件は、図4の表の実施例1の箇所に示す通りで行った。
結果:上記条件で成形した微細発泡シートの断面を、走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S−200型)により撮影した。その写真を図5の(ア)に示す。また、写真から平均セル径を算出した。密度、発泡倍率、セル径等の成形結果を図4の表に記す。
結果:発泡セル径については流れ方向直角断面では15μmと小さな径の発泡シートとなった。フェレ径については、第1のニップロールと第2のニップロールの回転数を同一にしたが、Tダイリップ部での溶融樹脂の流速と第1のニップロールの回転速度との関係からシートは延伸されて、流れ方向断面のセル形状は楕円となり、アスペクト比は1.8であった。この断面写真を図5の(イ)に示す。また、シート厚さ、密度、発泡倍率、平均セル径等の成形結果を図4の表に記す。
結果:第1、2のニップロール間でも延伸され、アスペクト比は1.8から2.0へと大きくなった。流れ方向直角断面の平均セル径も、巻き取り速度が6m/minと速くなった分だけ冷却時間が短くなり発泡平均セル径は15μmから17μmと大きくなった。この断面写真を図5の(ウ)に示す。
結果:冷却水槽により水冷しなかったので、周りの雰囲気温度のみにより冷却され、その結果図5の(エ)に示されているように、セル径が大きく特にシートの厚さ方向の中央部の温度降下が小さく、セルが大きく成長した。
なお、冷却水槽による冷却は行わず、ダイス直下に設けたノズルから−28℃のコールドエアを吹き付けて冷却した。その断面写真を図5の(オ)に示す。また、密度、発泡倍率、セル径等の成形結果を図4の表に記す。
結果:図5の(オ)の断面写真に示されているように、−28℃という極低温のコールドエアを吹き付けたにも拘わらず、平均セル径がやや大きくなった。これは、冷却時間が水中冷却に比較して極わずかであることに起因すると思われる。表層のスキン層についてはロール側ではやや厚くなっているのが見受けられる。
さらには、実施例2と3から、第1、2のニップロールの回転数を変えて、また巻き取り速度を上げて、さらに延伸すると、延伸をかけた分だけアスペクト比は大きくなることがわかる。これにより、第1、2のニップロールの回転数あるいは回転速度を調整することにより目的にあった任意のアスペクト比が得られることが判明した。
7 超臨界流体製造装置 10 Tダイ
11 第1のニップロール 12 第2のニップロール
13 冷却水槽 14a 第1の浸漬ガイドローラ
14b 第2の浸漬ガイドローラ 22 漏斗状冷却水受 23 チラー水またはコールドエアー噴射ノズル
S シート
Claims (12)
- 超臨界状態の不活性流体が混練・分散された溶融樹脂を、Tダイから大気中にシート状に所定量宛押し出して発泡させて発泡シートを連続的に得る、発泡シートの成形方法において、
前記Tダイから大気中に押し出されるシートを、第1のニップロールの回転数と間隔とを調整して、延伸すると共にシート厚さと表面精度とを整える第1の処理工程と、
前記第1の処理工程で処理されたシートを、前記第1のニップロールの下方に設けられた冷却水槽内の水面下に滞留させる冷却時間を調整して、シート表面でのスキン層の形成を確保しシート内部での発泡セルの成長を制御する第2の処理工程とからなる、微細発泡シートの成形方法。 - 超臨界状態の不活性流体が混練・分散された溶融樹脂を、Tダイから大気中にシート状に所定量宛押し出して発泡させて発泡シートを連続的に得る、発泡シートの成形方法において、
前記Tダイから大気中に押し出されるシートを、第1のニップロールの回転数と間隔とを調整して、延伸すると共にシート厚さと表面精度とを整える第1の処理工程と、
前記第1の処理工程で処理されたシートを、前記第1のニップロールの下方に設けられた冷却水槽内の水面下に滞留させる冷却時間を調整して、シート表面でのスキン層の形成を確保しシート内部での発泡セルの成長を制御する第2の処理工程と、
前記第2の処理工程で処理されたシートを、前記第1のニップロールと、該第1のニップロールと所定の間隔をおいて設けられている第2のニップロールとによって、前記第1、2のニップロールの各々の回転数と各々の間隔とを調整して、さらに延伸すると共にシート厚さと表面精度とを調整する第3の処理工程とからなる、微細発泡シートの成形方法。 - 請求項1に記載の成形方法において、冷却過程で延伸することにより、シート内部の発泡セルの流れ方向のアスペクト比も調整する、微細発泡シートの成形方法。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載の成形方法において、前記Tダイの先端部と前記第1のニップルロール及び冷却水槽の冷却水水面との間隔を調節して、前記Tダイから大気中に押し出されるシートの空冷時間と、前記押し出し時から前記冷却水に浸漬されるまでの冷却時間を調整し発泡セルの大きさを制御する、微細発泡シートの成形方法。
- 請求項1〜4のいずれかの項に記載の成形方法において、前記冷却水槽内の冷却水の水温を10〜25℃の範囲に保つと共に、前記冷却水槽内の水面下に設けられている複数本の浸漬ガイドローラの選択により、シートの前記冷却水槽内の水面下における滞留距離を調節し、それによってシートの前記冷却水槽内の水面下における冷却時間を調整し発泡セルの大きさを制御する、微細発泡シートの成形方法。
- 請求項1〜5のいずれかの項に記載の成形方法において、前記Tダイから大気中に押し出される移動中のシートを、前記第1のニップロールに達する前に、チラー水またはコールドエアにより急冷却し発泡セルの大きさを制御する、微細発泡シートの成形方法。
- 超臨界状態の不活性流体が混練・分散された溶融樹脂を押し出す押出機と、該押出機のTダイの下方に配置されている第1のニップロールと、該第1のニップロールの下方に配置されている冷却水槽と、前記第1のニップロールと所定の間隔をおいて設けられている第2のニップロールとからなり、
前記Tダイから押し出される発泡シートが、前記第1のニップロール、前記冷却水槽の水中、前記第2のニップロールへと送られ、そして巻取機により製品として連続的に巻き取られるようになっている発泡シートの成形装置であって、
前記第1、2のニップロールは、前記冷却水槽に、少なくとも前記第2のニップロールは位置調節自在に取り付けられており、
前記第1のニップロールは、その回転数とその間隔とが制御されるようになっていると共に、
前記冷却水槽の水面下には、前記第1のニップロールを通過したシートが選択的に案内される複数個の浸漬ガイドローラが所定の間隔をおいて設けられていることを特徴とする、微細発泡シートの成形装置。 - 超臨界状態の不活性流体が混練・分散された溶融樹脂を押し出す押出機と、該押出機のTダイの下方に配置されている第1のニップロールと、該第1のニップロールの下方に配置されている冷却水槽と、前記第1のニップロールと所定の間隔をおいて設けられている第2のニップロールとからなり、
前記Tダイから押し出される発泡シートが、前記第1のニップロール、前記冷却水槽の水中、前記第2のニップロールへと送られ、そして巻取機により製品として連続的に巻き取られるようになっている発泡シートの成形装置であって、
前記第1、2のニップロールは、前記冷却水槽に、少なくとも前記第2のニップロールは位置調節自在に取り付けられており、
前記第1のニップロールは、その回転数とその間隔とが各々独立して制御されるようになっていると共に、
前記冷却水槽の水面下には、前記第1のニップロールを通過したシートが選択的に案内される複数個の浸漬ガイドローラが所定の間隔をおいて設けられ、
前記第2のニップロールも、その回転数とその間隔とが制御されるようになっていることを特徴とする、微細発泡シートの成形装置。 - 請求項7または8に記載の発泡シートの成形装置において、前記第1のニップロールが内部から冷却水により冷却されるようになっている、微細発泡シートの成形装置。
- 請求項7〜9のいずれかの項に記載の発泡シートの成形装置において、前記第2のニップロールは、前記冷却水槽の水面から出るシートを案内すると共に、前記複数個の浸漬ガイドローラに対応してシートの流れ方向に移動可能である、微細発泡シートの成形装置。
- 請求項7〜10のいずれかの項に記載の発泡シートの成形装置において、前記冷却水槽内の冷却水の温度は温調機により10〜25℃に保たれるようになっていると共に、前記第1のニップロールと前記押出機のTダイの先端部との間隔が前記冷却水槽の高さを上下させることで調節自在になっている、微細発泡シートの成形装置。
- 請求項7〜11のいずれかの項に記載の発泡シートの成形装置において、前記Tダイの先端部と前記第1のニップロールとの間には漏斗状の冷却水受とチラー水噴射ノズルとが設けられ、またはコールドエア噴射ノズルが設けられ、前記Tダイから大気中に押し出されるシートは、前記冷却水槽の水面に達する前に前記噴射ノズルから噴射されるチラー水、またはコールドエアにより急冷却される、微細発泡シートの成形装置。
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