JP2008188877A - 液体吐出装置、液体吐出方法、及びプログラム - Google Patents

液体吐出装置、液体吐出方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】カール防止剤用ノズルに対する吐出データ数をできる限り少なくすること。
【解決手段】有色の液体を媒体に吐出する第1ノズルと、無色の液体を前記媒体に吐出する第2ノズルと、を有する液体吐出装置であって、前記第2ノズルを用いて形成する画像の解像度は、前記第1ノズルを用いて形成する画像の解像度よりも低い、ことを特徴とする液体吐出装置。
【選択図】図5

Description

本発明は、液体吐出装置、液体吐出方法、及びプログラムに関する。
液体吐出装置の1つとして、紙や布、フィルムなどの各種媒体にノズルからインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタには水溶性のインクが多く使用され、インクの溶媒成分である水分が印刷用紙内の繊維に浸透すると、印刷用紙は膨潤する。そして、インクが乾燥すると印刷用紙は収縮する。そのため、印刷用紙の表裏の膨潤率と収縮率の差が大きい場合、印刷用紙がカールしてしまう。
そこで、片面印刷のように印刷用紙の表面にだけインクが塗布される場合に、裏面にカール防止剤を塗布する方法が提案されている。その結果、印刷用紙の両面の膨潤率と収縮率が等しくなり、印刷用紙のカールを防止することができる。(特許文献1)
また、より正確にカールを防止するために、印刷用紙の表面と裏面の同位置に、それぞれインクとカール防止剤のドットを形成する方法が提案されている。(特許文献2)
平4−197637号公報 特開2006−76129号公報
印刷用紙の表面と裏面の同位置にドットを形成するには、インク用ノズルからインクを吐出させるための印刷データの解像度とカール防止剤用ノズルからカール防止剤を吐出させるための吐出データの解像度とが同じである必要がある。
そうすると、インク用ノズルに対する印刷データ数とカール防止剤用ノズルに対する吐出データ数とが等しくなり、画像を形成するための処理時間と同等に、カール防止剤を塗布するためにも時間がかかってしまう。
そこで、本発明では、カール防止剤用ノズルに対する吐出データ数をできる限り少なくすることを目的とする。
前記目的を達成するための発明は、有色の液体を媒体に吐出する第1ノズルと、無色の液体を前記媒体に吐出する第2ノズルと、を有する液体吐出装置であって、前記第2ノズルを用いて形成する画像の解像度は、前記第1ノズルを用いて形成する画像の解像度よりも低い、ことを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
すなわち、有色の液体を媒体に吐出する第1ノズルと、無色の液体を前記媒体に吐出する第2ノズルと、を有する液体吐出装置であって、前記第2ノズルを用いて形成する画像の解像度は、前記第1ノズルを用いて形成する画像の解像度よりも低い、ことを特徴とする液体吐出装置である。
このような液体吐出装置によれば、第2ノズル(カール防止剤用ノズル)から液体を吐出させるための吐出データ数を第1ノズル(インク用ノズル)から液体を吐出させるための吐出データ数よりも少なくすることができる。そうすると、吐出データ作成時間や第2ノズルからの液体吐出時間を短縮することができる。
かかる液体吐出装置であって、所定方向に複数の前記第1ノズルが並んで第1ノズル列が構成され、前記所定方向に複数の前記第2ノズルが並んで第2ノズル列が構成される場合、前記第2ノズルを用いて形成する画像の前記所定方向の解像度は、前記第1ノズルを用いて形成する画像の前記所定方向の解像度よりも低いこと。
このような液体吐出装置によれば、第2ノズルのノズル列方向に関する吐出データ数を第1ノズルのノズル列方向に関する吐出データ数よりも少なくすることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記第1ノズル列は、前記第1ノズルが第1の間隔で並ぶことにより構成され、前記第2ノズル列は、前記第2ノズルが前記第1の間隔よりも広い第2の間隔で並ぶことにより構成されること。
このような液体吐出装置によれば、第2ノズル数を第1ノズル数よりも減らすことができ、コストダウンとなる。
かかる液体吐出装置であって、前記第2ノズルは前記第1ノズルに対して、前記第1の間隔の半分の間隔だけ、前記所定方向にずれていること。
このような液体吐出装置によれば、第1ノズルにより形成される所定方向に並んだ2つのドットの間に、第2ノズルによりドットを形成することができる。第1ノズルからの有色の液体により発生する媒体のカールを第2ノズルからの無色の液体により防止する際に、よりカールを防止することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記第2の間隔は前記第1の間隔の2倍の広さであること。
このような液体吐出装置によれば、第1ノズルにより形成される所定方向に並んだ2つのドットの真ん中に、第2ノズルによりドットを形成することができる。その結果、有色の液体により発生する媒体のカールを無色の液体により防止する際に、カールをより防止することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記媒体を前記第1ノズルと前記第2ノズルに対して前記所定方向と交差する方向に搬送する搬送機構を有すること。
このような液体吐出装置によれば、第1ノズルからの有色の液体により発生する媒体のカールを第2ノズルからの無色の液体により防止する際に、カール防止の効果をより得られる。なぜなら、所定方向と交差する方向に媒体が搬送される液体吐出装置(例ラインヘッドプリンタ)では、媒体が停まることなく搬送されて液体が吐出されるため、有色の液体が乾燥しないうちに液体の吐出処理を終了し、媒体がカールしやすいからである。
かかる液体吐出装置であって、前記第2ノズルを用いて形成する画像の前記交差する方向の解像度は、前記第1ノズルを用いて形成する画像の前記交差する方向の解像度よりも低いこと。
このような液体吐出装置によれば、第2ノズルの交差する方向(媒体の搬送方向)に関する吐出データ数を第1ノズルの交差する方向に関する吐出データ数よりも少なくすることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記媒体を前記第1ノズルと前記第2ノズルに対して搬送方向に搬送する場合、前記第2ノズルを用いて形成する画像の前記搬送方向の解像度は、前記第1ノズルを用いて形成する画像の前記搬送方向の解像度よりも低いこと。
このような液体吐出装置によれば、第2ノズルの搬送方向に関する吐出データ数を第1ノズルの搬送方向に関する吐出データ数よりも少なくすることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記第1ノズルを用いて複数種類のドットを形成し、前記第2ノズルを用いて前記複数種類よりも少ない種類のドットを形成すること。
このような液体吐出装置によれば、第2ノズルがドットを形成する画素の示す階調値は、第1ノズルがドットを形成する画素の示す階調値よりも低くすることができる。その結果、第2ノズルから液体を吐出させるための吐出データ数を少なくすることができる。
かかる液体吐出装置であって、前記第1ノズルを用いて前記媒体の表面に画像を形成し、前記第2ノズルを用いて前記媒体の裏面に画像を形成すること。
このような液体吐出装置によれば、第1ノズルからの有色の液体により発生する媒体のカールを第2ノズルからの無色の液体により防止することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記第1ノズルを用いて画像を形成した後に、前記媒体を反転させ、前記第2ノズルを用いて画像を形成する場合、前記第2ノズルを用いる際の前記媒体の搬送速度は、前記第1ノズルを用いる際の前記搬送速度よりも速いこと。
このような液体吐出装置によれば、カール防止のため(無色の液体を吐出するため)の処理時間を短縮することができる。
かかる液体吐出装置であって、前記第1ノズルを用いて前記媒体に画像を形成し、前記画像の周囲に前記第2ノズルから前記無色の液体を吐出させること。
このような液体吐出装置によれば、第1ノズルからの有色の液体が多量に塗布されることにより発生する媒体のうねりを防止することができる。
また、有色の液体を媒体に吐出する第1ノズルを用いて、第1の解像度で画像を形成するステップと、無色の液体を前記媒体に吐出する第2ノズルを用いて、前記第1の解像度よりも低い第2の解像度で画像を形成するステップと、を有する液体吐出方法を実現すること。
このような液体吐出方法によれば、第2ノズルから液体を吐出させるための吐出データ数を第1ノズルから液体を吐出させるための吐出データ数よりも少なくすることができる。
有色の液体を媒体に吐出する第1ノズルを用いて、第1の解像度で画像を形成するステップと、無色の液体を前記媒体に吐出する第2ノズルを用いて、前記第1の解像度よりも低い第2の解像度で画像を形成するステップと、を液体吐出装置に実現させるためのプログラムを実現させること。
このようなプログラムによれば、第2ノズルから液体を吐出させるための吐出データ数を第1ノズルから液体を吐出させるための吐出データ数よりも少なくすることができる。
===ラインヘッドプリンタの構成===
本実施形態では、インクジェットプリンタと、プリンタドライバを記憶したコンピュータ60とが接続されたシステムを液体吐出装置とする。また、インクジェットプリンタの中のラインヘッドプリンタ(プリンタ1)を例に挙げて説明する。ラインヘッドプリンタでは、ノズルを有する複数のヘッドが紙幅方向(所定方向)に並んでおり、印刷中にヘッドは移動しない。そして、印刷用紙がヘッドの下面であるノズル面と対向するように、停まることなく搬送されることで、画像が印刷される。
図1は、本実施形態のプリンタ1の全体構成ブロック図である。図2Aは、プリンタ1の断面図である。図2Bは、プリンタ1が印刷用紙(媒体)を搬送する様子を示す図である。外部装置であるコンピュータ60から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ10により、各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット30、用紙反転ユニット40)を制御し、印刷用紙に画像を形成する。また、プリンタ1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラ10は各ユニットを制御する。
コントローラ10は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピュータ60とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、メモリ13に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
検出器群50には、ロータリー式エンコーダ、紙検出センサ、および光学センサ等が含まれる。
搬送ユニット20は、印刷用紙を印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向(所定方向と交差する方向)に所定の搬送速度で印刷用紙を搬送する。給紙部23に積載された印刷用紙は給紙ローラ(不図示)により、搬送ベルト22上に自動的に給紙される。そして、輪状の搬送ベルト22が搬送ローラ21A及び21Bにより回転し、搬送ベルト22上の印刷用紙は搬送される。なお、印刷用紙は搬送ベルト22に静電吸着又はバキューム吸着している(不図示)。
ヘッドユニット30は、印刷用紙にインクを吐出するためのものであり、複数のヘッド31を有する。ヘッド31は、インク吐出部であるノズルを複数有する。そして、各ノズルには、インクが入った圧力室(不図示)と、圧力室の容量を変化させてインクを吐出させるための駆動素子(ピエゾ素子PZT)が設けられている。
また、本実施形態のプリンタ1は2つのヘッドユニット30を有する。上流側ヘッドユニット30Aは上流側の搬送ローラ21A付近に配置され、下流側ヘッドユニット30Bは下流側の搬送ローラ21B付近に配置されている。
用紙反転ユニット40は、印刷用紙を表裏反転して、ノズル面と対向する印刷用紙の面を切り替える。例えば、印刷用紙の両面を印刷する場合、最初の印刷面(表面)がノズル面と対向しながら搬送ベルト22上を搬送された後、印刷用紙は切替ガイド41Aにより上方へ搬送される。そして、上方の切替ガイド41Bにより、印刷用紙は反転部42に送り込まれる。この際に印刷用紙は用紙検出センサ(不図示)に検出される。なお、切替ガイド41は図中の矢印の方向に可変であり、状況に応じて印刷用紙の導く方向を変える。検出された印刷用紙は反転ローラ43により所定量だけ反転部42へと送り込まれる。その後、反転ローラ43が逆回りし、印刷用紙は再び送り込まれた側へと逆戻りする。送り戻された印刷用紙は、切替ガイド41Bに導かれ、ヘッドユニット30の上方を通り、給紙部23側へと搬送される。最終的に、印刷用紙は上流側の搬送ローラ21Aの上下ローラに挟まれる。そして、先程印刷した面(表面)と反対側の面(裏面)がノズル面と対向しながら、印刷用紙は搬送ベルト22上を搬送される。こうして、印刷用紙の両面の印刷が終了すると、印刷用紙は切替ガイド41Aに導かれ、排紙部24へ排紙される。
===印刷用紙カールについて===
図3は、片面印刷の際の印刷用紙のカールを示す図である。インクジェットプリンタでは、水性のインクが用いられることが多い。そのため、印刷用紙の片面(表面)にだけ画像を印刷すると、インクの溶媒成分(水分)が印刷用紙の繊維に浸透し、印刷用紙の表面側が膨潤する。その結果、表面側が盛り上がるようにカールしてしまう(丸まってしまう)。このような印刷直後のカールを「排紙カール」とする。
そして、印刷後しばらく時間が経つと、印刷用紙の繊維内部に浸透したインクの溶媒成分(水分)が蒸発し、表面側が印刷前よりも収縮する。その結果、排紙カールとは逆方向に印刷用紙がカールしてしまう。このようなインク乾燥後のカールを「永久カール」とする。
なお、片面印刷だけでなく両面印刷の場合でも、表面と裏面にそれぞれ塗布されるインク量(水分量)が大きく異なると、印刷用紙の両面における膨潤率と収縮率の違いにより印刷用紙はカールしてしまう。
また、ヘッドが移動しながらインクを吐出するシリアル式のプリンタに比べて、本実施形態のラインヘッドプリンタは印刷が高速に行われるので、顕著な排紙カールが発生してしまう。そのため、印刷用紙のカールを抑えたり、カールを防止したりする対策をとらないと、カールした状態で印刷用紙が排紙部24へ排紙され、排紙部24において印刷用紙が正しく積層されなくなってしまう。
ところで、排紙カールと永久カールは、印刷用紙の表裏の膨潤率と収縮率の違いにより発生する。そこで、本実施形態では、印刷用紙の表裏の膨潤率と収縮率を等しくするために、片面印刷の場合には、印刷面と反対側の面にカール防止剤を塗布する。また、インクの溶媒成分である水分が印刷用紙の膨潤・収縮に影響するため、カール防止剤には水分が含まれている。そして、印刷面の繊維に浸透する水分量と反対側の面の繊維に浸透する水分量とが等しくなるように、カール防止剤を塗布する。そうすることで、印刷用紙の表裏の膨潤率と収縮率を等しくでき、印刷用紙のカールを防止することができる。また、両面印刷の場合には、表面と裏面において塗布されるインク量の差が大きい箇所であり、塗布されるインク量が少ない方の面にカール防止剤を塗布する。そうして、印刷用紙の表面と裏面の繊維に浸透する水分量を等しくする。
なお、カール防止剤は印刷画像と関係ないため、できるだけ無色透明である必要がある。印刷用紙のカールに影響する物質は水分であるので、カール防止剤は純水でも構わない。但し、インクジェットにより安定して吐出させるため、カール防止剤はできるだけインクと物性が近い方が好ましい。そこで、本実施形態では、ノズル面での水分の乾燥を防ぐための有機溶媒と、印刷用紙への浸透に影響する界面活性剤と水を混合したものを、カール防止剤として好適とするが、これに限らない。
以下、比較例のカール防止剤の塗布方法の説明後に、本実施形態のカール防止剤の塗布方法について説明する。また、本実施形態では片面印刷を例に挙げ、印刷用紙の表面に有色のインクが塗布され、裏面に無色のカール防止剤が塗布されるとする。
===比較例のカール防止剤の塗布方法について===
図4Aは、ブラックインクにより印刷用紙の表面に印刷される画像(文字)を示す図である。図4Bは、カール防止剤により印刷用紙の裏面にドットが形成される様子を示す図である。印刷用紙上に仮想的に定められた領域を画素とし、図中の升目を画素とする。そして、ドットが形成されている画素とドットが形成されない画素が2次元的に並ぶことにより画像が構成される。
アプリケーションソフトから「↑(矢印)」という文字をブラックインクで印刷用紙の片面に印刷するように指示された場合、図4Aのようにブラックインクのドットが形成される。しかし、印刷用紙の表面だけにブラックインクが塗布されると、表面だけがブラックインク内の水分により膨潤・収縮し、印刷用紙がカールしてしまう。
そこで、比較例では、印刷用紙の裏面に図4Bのようにカール防止剤のドットを形成する。図4Bのドットの配置は、図4Aのドットの配置を上下反転したものであり、図4Aの画像を印刷用紙の先端方向を後端側にして裏面側から見た画像(鏡像)に相当する。つまり、印刷用紙の先端方向を後端側にして裏面側から見たブラックインクのドット配置をカール防止剤のドット配置とし、表裏重なる同位置に同じ大きさのドットを形成する。こうすることで、印刷用紙の表裏の膨潤率と収縮率を同等にし、印刷用紙のカールを防止する。
このため、比較例では、ブラックインクにより形成される画像の解像度(紙幅方向×搬送方向)とカール防止剤により形成される画像(ドットの配置)の解像度(紙幅方向×搬送方向)を等しくする必要がある。「解像度」とは、画像のきめ細かさを示し、1インチ当たりに形成されるドット数(dpi)で表される。即ち、解像度が等しいということは、ブラックインク用ノズルに割り当てられた画素(ブラックインク用画素)の大きさと、カール防止剤用ノズルに割り当てられた画素(カール防止剤用画素)の大きさが等しいということになる。そうすると、印刷用紙の表面上に定められたブラックインク用画素数と、印刷用紙の裏面上に定められたカール防止剤用画素数とが等しくなり、ブラックインク用ノズルからインクを吐出する時間と同じだけ、カール防止剤用ノズルからカール防止剤を吐出するために時間がかかってしまう。
また、プリンタ1は印刷データ(吐出データ)に基づいて各ノズルから各画素に対してインク(カール防止剤)を吐出させる。印刷データ(吐出データ)とは、各画素がドットを形成するか否かを示すデータのことであり、印刷用紙上に定められた画素数が多くなれば印刷データ数も多くなる。この比較例では、ブラックインク用画素数とカール防止剤用画素数とが等しいため、ブラックインク用ノズルに対する印刷データ数とカール防止剤用ノズルに対する吐出データ数とが等しくなる。吐出データ数が印刷データ数と同等に多いと、カール防止剤を塗布するための処理時間が長くなってしまう。データ数が多ければ、データ作成時間も長くなり、データの送受信(コンピュータ60とプリンタ1間)にも時間がかかる。
つまり、比較例では、印刷用紙の表裏重なる同位置にインクのドットとカール防止剤のドットをそれぞれ形成するため、カール防止剤の吐出データ作成時間やカール防止剤を塗布する時間が長くかかってしまう。また、図4Aは、ブラックインクによるモノクロ印刷であるが、カラー印刷の場合では、1つの画素に複数の色のドットが形成される。この場合、更に、吐出データ作成が複雑になり、カール防止剤を塗布する時間も長くなってしまう。
他に、ラインヘッドプリンタの場合、ヘッドが移動しないため、紙幅方向に沿ったノズル列のノズルピッチにより、印刷可能な紙幅方向の解像度が決まってくる。例えば、ブラックインク用ノズルが印刷可能な紙幅方向の最高解像度を360dpiとすると、図4Aに示すように、ブラックインクノズル列のノズルピッチは最低でも360dpi以下にする必要がある。比較例では、ブラックインクにより形成される画像の解像度とカール防止剤により形成される画像の解像度を等しくするため、カール防止剤ノズル列のノズルピッチも最低でも360dpi以下にする必要がある。そして、ブラックインクノズル列のノズルピッチとカール防止剤ノズル列のノズルピッチが等しいと、ブラックインクノズル列のノズル数と同じ数のノズルをカール防止剤ノズル列も備える必要があり、コストがかかる。
そこで、本実施形態では、出来る限りカール防止剤用ノズルに対する吐出データ数を減らし、カール防止剤を塗布するための処理時間(データ作成や塗布時間)を短縮することを目的とする。
===本実施形態のカール防止剤の塗布方法の概要===
図5は、ブラックインクにより形成されるドットとカール防止剤により形成されるドットの関係を示す図である。ブラックインクにより形成されるドットを実線の丸で示し、カール防止剤により形成されるドットを点線の丸で示す。なお、図5はモノクロ印刷とする。また、説明の為、ブラックインクのドットもカール防止剤のドットも同一面に描かれているが、ブラックインクのドットは印刷用紙の表面に形成され、カール防止剤のドットは印刷用紙の裏面に形成されるとする。
本実施形態では、カール防止剤の吐出データ数を少なくするため、カール防止剤用ノズルにより形成される画像(ドット配置)の紙幅方向と搬送方向の解像度(以下、カール防止剤解像度)を、ユーザーから指定された画像を印刷する際の紙幅方向と搬送方向の解像度(以下、印刷解像度)よりも低くする。
図5に示すように、カール防止剤解像度を「紙幅方向×搬送方向」=「180dpi×180dpi」とし、印刷解像度を「紙幅方向×搬送方向」=「360dpi×360dpi」とする。そうすると、カール防止剤のドットは、「紙幅方向×搬送方向」の長さが「180dpi×180dpi」である画素に形成され、ブラックインクのドットは、「紙幅方向×搬送方向」の長さが「360dpi×360dpi」の画素に形成される。即ち、カール防止剤用の画素の大きさは、ブラックインク用の画素の大きさの4倍となる。そのため、印刷用紙の表面上に定められたカール防止剤用の画素数は、印刷用紙の裏面上に定められたブラックインク用の画素数の1/4となる。
そして、カール防止剤用の画素数がブラックインク用の画素数の1/4であるということは、カール防止剤用ノズルに対する吐出データ数もブラックインク用ノズルに対する印刷データ数の1/4となる。つまり、カール防止剤解像度を印刷解像度よりも低くすることで、カール防止剤の吐出データ数を印刷データ数よりも少なくすることができる。なお、本実施形態の吐出データ数は比較例の吐出データ数の1/4とすることができる。
つまり、本実施形態では、有色の液体(YMCKのインク)を媒体に吐出する第1ノズル(インク用ノズル)と、無色の液体(カール防止剤)を媒体に吐出する第2ノズル(カール防止剤用ノズル)とを有する液体吐出装置(ラインヘッドプリンタ)において、第2ノズルを用いて形成する画像の解像度を、第1ノズルを用いて形成する画像の解像度よりも低くすることを特徴とする。
その結果、カール防止剤用ノズルに対する吐出データ数をインク用ノズルに対する印刷データ数よりも少なくすることができ、カール防止剤を塗布するための処理時間(データ作成や塗布時間)をできる限り短くすることができる。
吐出データ数を減らすだけでなく、紙幅方向のカール防止剤解像度を印刷解像度よりも低くすることで、図5に示すように、カール防止剤ノズル列のノズルピッチ(180dpi)をブラックインクノズル列のノズルピッチ(360dpi)よりも広くすることができる。その結果、カール防止剤ノズル列のノズル数をブラックインクノズル列のノズル数の半分にすることができ、コストダウンとなる。
また、図5には、3種類(複数種類)の大きさのブラックインクのドット(実線の丸)が存在するが、カール防止剤のドット(点線の丸)は1種類(複数種類よりも少ない種類)の大きさのみしか存在しない。即ち、本実施形態では、ブラックインク用ノズルは、1つの画素に対して、「ドットを形成しない」、又は「小ドット」、「中ドット」、「大ドット」を形成することで、4階調の表現を可能とするのに対して、カール防止剤用ノズルは、1つの画素に対して、「ドットを形成しない」、又は「ドットを形成する」の2階調の表現を可能とする。
そうすると、ブラックインク用ノズルの印刷データは、1つの画素につき2ビットのデータ(2の2乗=4階調)となり、カール防止剤用ノズルの吐出データは、1つの画素につき1ビットのデータ(0又は1=2階調)となる。つまり、カール防止剤用の画素が示す階調数(2階調)をブラックインク用の画素が示す階調数(4階調)よりも低くすることで、カール防止剤用ノズルに対する吐出データ数をブラックインク用ノズルに対する印刷データ数よりも少なくすることができる。
このようにして本実施形態では、比較例に対して、カール防止剤用ノズルに対する吐出データ数を減らすことができる。但し、本実施形態では、比較例とは異なり、印刷用紙の表裏同位置にドットを形成することはできない。そこで、印刷用紙の表面の単位面積当たりに浸透する水分量と、印刷用紙の裏面の単位面積当たりに浸透する水分量が等しくなるように、カール防止剤を塗布する(詳細は後述)。そうすることで、比較例と同様に、印刷用紙の表裏の膨潤率と収縮率を同等にし、印刷用紙のカールを防止する。
以下、本実施形態のカール防止剤の塗布方法を実現するためのシステム構成や詳細な塗布方法について説明する。なお、以下の説明では、4色のインク(YMCK)により片面印刷を行うとし、印刷用紙の表面にはインクにより画像を形成し、印刷用紙の裏面にはカール防止剤を塗布する。そして、4色のインクにより印刷される画像の印刷解像度「紙幅方向×搬送方向=360dpi×360dpi」よりも、カール防止剤解像度「紙幅方向×搬送方向=180dpi×180dpi」を低くする。また、カール防止剤用ノズルにより1種類の大きさのドットが形成され、4色のインク用ノズルにより3種類の大きさのドットが打ち分けられるとする。
===ヘッドユニットの構成について===
図6は、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの下面におけるヘッド31の配列を示す図である。各ヘッドユニット30は、それぞれ複数(n個)のヘッド31を有する。そして、複数のヘッド31は紙幅方向に千鳥状に並んで配置されている。上流側ヘッドユニット30Aに属する上流側ヘッドを31Aとし、下流側ヘッドユニット30Bに属する下流側ヘッドを31Bとする。そして、紙幅方向の左側のヘッド31ほど、かっこ内に若い番号を付す。
図7Aは、上流側ヘッド31Aの下面のノズルの配列を示す図である。上流側ヘッド31Aの下面には、イエローインクノズル列Yと、マゼンタインクノズル列Mと、シアンインクノズル列Cと、ブラックインクノズル列Kが形成され、各ノズル列は、ノズルを180個ずつ備えている。180個のノズルのうち、左側のノズルほど若い番号が付されている(#i=1〜180)。そして、各ノズル列のノズルは紙幅方向に一定の間隔180dpiで整列している。
図7Bは、下流側ヘッド31Bの下面のノズルの配列を示す図である。下流側ヘッド31Bの下面には、イエローインクノズル列Yと、マゼンタインクノズル列Mと、シアンインクノズル列Cと、ブラックインクノズル列Kと、カール防止剤ノズル列Pが形成されている。即ち、下流側ヘッド31Bは上流側ヘッド31Aに比べてカール防止剤ノズル列分だけ多くノズル列が形成されている。そして、下流側ヘッドユニット30Bの各ノズル列もノズルを180個ずつ備え、各ノズルは紙幅方向に一定の間隔180dpiで整列している。
また、上流側ヘッド31Aのインク用ノズル(YMCK)は下流側ヘッド31Bのインク用ノズル(YMCK)に対して、180dpiの半分の間隔である360dpiずつ紙幅方向の右側にずれている。例えば、上流側ヘッド31A(2)のノズル#180は、下流側ヘッド31B(2)のノズル#180よりも紙幅方向に360dpiだけ右側に配置されている。
つまり、上流側ヘッドユニット30Aのノズルと下流側ヘッドユニット30Bのノズルを合わせると、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの各ノズルは紙幅方向に360dpiの間隔で配置されていることになる。即ち、インク用のズル列(第1ノズル列、YMCK)のノズルピッチは360dpi(第1の間隔)となる。印刷用紙は、まず、上流側ヘッドユニット30Aと対向するように搬送され、紙幅方向に180dpiの解像度で画像が印刷され、次に印刷用紙は下流側ヘッドユニット30Bと対向するように搬送され、先程上流側ヘッドユニット30Aにより印刷された画像から180dpiだけ左側にずれて、紙幅方向に180dpiの解像度で画像が印刷される。即ち、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの各ノズル列は紙幅方向に360dpiの解像度で印刷することができる。
一方、カール防止剤ノズル列Pは下流側ヘッド31Bにのみ形成されるため、カール防止剤用ノズルは紙幅方向に180dpiの間隔でノズルが配置されていることになる。即ち、カール防止剤ノズル列(第2ノズル列)のノズルピッチは180dpi(第2の間隔)となる。カール防止剤用ノズル列のノズルピッチはインク用ノズル列のノズルピッチの2倍である。ゆえに、カール防止剤用ノズル列により印刷可能な紙幅方向の最高解像度は180dpiとなる。そして、インク用ノズル列(YMCK)がそれぞれ上流側ヘッド31Aと下流側ヘッド31Bの両方に形成されているのに対して、カール防止剤ノズル列は下流側ヘッド31Bにのみ形成されている。そのため、カール防止剤用のノズル数は、各インク用ノズル列が有するノズル数の半分となる。
また、下流側ヘッド31Bにおいて、カール防止剤ノズル列Pのノズルは、インク用ノズル列(YMCK)のノズルに対して、インク用ノズル列のノズルピッチの半分の間隔である720dpiだけ左側にずれている。そうすることで、図5に示すように、紙幅方向に並ぶ2つのブラックインク用画素(360dpi×360dpi)と搬送方向に並ぶ2つのブラックインク用画素とを合わせた4つの画素の中心にカール防止剤のドットを形成することができる。その結果、ブラックインク用画素の何れかの画素に偏ることなく、カール防止剤のドットを形成できる。また、カール防止剤のドットと、対応する4つのインク用画素に形成される各ドットとが、印刷用紙の表裏で重なり合うことができる。その結果、より印刷用紙のカールを防止することができる。
なお、本実施形態では、カール防止剤用ノズル列のノズルピッチ(180dpi)をインク用ノズル列のノズルピッチ(360dpi)の2倍としているが、これに限らない。例えば、カール防止剤用ノズル列のノズルピッチとインク用ノズル列のノズルピッチとを等しくし、且つ、カール防止剤用ノズルがインク用ノズルと搬送方向に並ぶように、カール防止剤用ノズルを配置する。そして、カール防止剤用ノズルにより形成される画像の搬送方向の解像度のみをインク用ノズルにより形成される画像の搬送方向の解像度よりも低くして、紙幅方向の解像度はカール防止剤用ノズルとインク用ノズルとで等しくしても良い。そうすると、カール防止剤用ノズルの搬送方向に関する吐出データ数をインク用ノズルの搬送方向に関する印刷データ数よりも少なくすることができる。
また、カール防止剤用ノズル列のノズルピッチとインク用ノズル列のノズルピッチとを等しくしても、使用するノズルを選択することで、カール防止剤用ノズルの紙幅方向の解像度をインク用ノズルの紙幅方向の解像度よりも低くすることができる。但し、インク用ノズル列が備えるノズル数とカール防止剤用ノズル列が備えるノズル数が等しくなるため、コストダウンは図れない。
===ドットの大きさについて===
本実施形態のプリンタ1は、インク用ノズル列(YMCK)のノズルから吐出されるインク量を変化させ、3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を打ち分ける。一方、カール防止剤用ノズルにより形成されるドットは1種類とする。そうすると、インク用ノズルの印刷データは、1つの画素につき2ビットのデータとなり、カール防止剤用ノズルの吐出データは、1つの画素につき1ビットのデータとなり、カール防止剤用ノズルに対する吐出データ数をインク用ノズルに対する印刷データ数よりも少なくすることができる。以下、各ノズルからインク(カール防止剤)が吐出される仕組みについて説明する。
図8Aは、インク用ノズル#iに対応付けられたピエゾ素子PZT(i)に印加される駆動信号DRVを示す図である。駆動信号DRVは繰り返し周期Tの間に第1駆動パルスW1と第2駆動パルスW2を有する。また、各ピエゾ素子に対応付けられたスイッチ(不図示)のオン・オフ動作により、駆動信号DRVが各ピエゾ素子に印加もしくは遮断される。そして、スイッチのオン・オフ動作はスイッチ制御信号SWにより制御されている。例えば、スイッチ制御信号SW(i)のレベルが「1」のとき、スイッチがオンとなり駆動パルスがノズル#iに対応するピエゾ素子PZT(i)に印加される。一方、スイッチ制御信号SW(i)のレベルが「0」のとき、スイッチはオフとなり、駆動パルスはピエゾ素子PZT(i)に印加されることなく遮断される。
そして、スイッチを通過した駆動信号DRV(i)の駆動パルスに応じて、ピエゾ素子PZT(i)が変形する。ピエゾ素子PZT(i)が変形すると、圧力室の一部を区画する弾性膜(側壁)が変形し、圧力室内のインクがノズル#iから吐出される。
図8Bは、インク用ノズル(YMCK)により形成されるドットの種類を示す図である。駆動パルスの形状は、吐出されるインク量に応じて、あらかじめ定められている。つまり、駆動パルスの違いにより、大きさの異なるドットを形成することが出来る。例えば、図8Aでは、スイッチ制御信号SW(i)が「11」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に第1駆動パルスW1及び第2駆動パルスW2が印加され、大ドットが形成される。第1駆動パルスW1と第2駆動パルスW2によりピエゾ素子PZT(i)が変形した結果、大ドットに対応するインク量(20pl)がノズル#iから吐出される。
そして、スイッチ制御信号SW(i)が「10」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に第1駆動パルスW1が入力され、中ドット(8pl)が形成され、スイッチ制御信号SW(i)が「01」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に第2駆動パルスW2が入力され、小ドット(2pl)が形成される。スイッチ制御信号SW(i)が「00」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に駆動パルスが何も入力されないので、ドットは形成されない。
図8Cは、カール防止剤用ノズル#iに対応付けられたピエゾ素子PZT(i)に印加される駆動信号DRV’を示す図である。カール防止剤用ノズルは3種類のドットを打ち分ける必要がないため、カール防止剤用の駆動信号DRV’は繰り返し周期T’内に1種類の駆動パルス(第3駆動パルスW3)のみを有する。そして、スイッチ制御信号SW’(i)は1ビットのデータであり、スイッチ制御信号SW’(i)が「1」の場合には、カール防止剤用ノズルに対応したピエゾ素子PZT’(i)に第3駆動パルスW3が入力され、カール防止剤のドットが形成される。一方、スイッチ制御信号SW’(i)が「0」の場合には、ピエゾ素子PZT’(i)に第3駆動パルスW3が入力されないので、ドットが形成されない。
===印刷データ作成処理について===
図9は、印刷データ作成処理のフロー図である。まず、インク用ノズル(YMCK)からインクを吐出するための印刷データの作成処理について説明する。印刷データは、コンピュータ60のメモリに記憶されているプリンタドライバに従って作成される。
アプリケーションソフトから画像データを受信すると、プリンタドライバは、画像データを、印刷用紙に印刷する際の印刷解像度に変換する(S001:解像度変換処理)。本実施形態ではインク用ノズル(YMCK)により360dpi×360dpiの画像が印刷されるため、プリンタドライバは画像データを360dpi×360dpiの解像度のデータに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される256階調のデータ(RGBの8ビットデータ)である。
次に、プリンタドライバはRGBデータをプリンタ1のインクに対応したYMCK色空間により表されるYMCKデータに変換する(S002:色変換処理)。この色変換処理は、RGBデータの階調値とYMCKデータの階調値とを対応づけたテーブル(不図示)をプリンタドライバが参照することによって行われる。
そして、プリンタドライバは、高階調数のYMCKデータを、インク用ノズルにより形成可能な階調数のYMCKデータに変換する(S003:ハーフトーン処理)。前述の通り、インク用ノズルにより3種類のドットが打ち分けられるので、256階調のデータが4階調のデータに変換される。
最後に、プリンタドライバは、マトリクス状の4階調のYMCKデータを、プリンタ1に転送すべきデータ順に並べ替える(S004:ラスタライズ処理)。このようにして、インク用ノズルに対する印刷データが作成される。
===吐出データ作成処理===
図10は、吐出データ作成処理のフロー図である。印刷データが完成した後に、プリンタドライバは印刷データを基に、カール防止剤用ノズルに対する吐出データを作成する。本実施形態は片面印刷とするため、プリンタドライバは、まず、印刷用紙の表面にどれくらいインク量が塗布されるかを算出する(S101)。なお、表面のインク量は、印刷用紙の裏面上に定められたカール防止剤用画素ごとに算出される。
図11は、表面のインク量算出のイメージ図である。プリンタドライバは、印刷データにより、各インク用画素(360dpi×360dpi)に各色(YMCK)のドットが形成されるか否かを確認することができる。本来、1つのインク用画素に各色(YMCK)のドットが重ねて形成されるが、図11では説明のため、色ごとにインク用画素を分けて図示する。例えば、図11により、一番左上のインク用画素にはイエローの大ドットとマゼンタの小ドットとブラックの小ドットが形成され、シアンのドットは形成されないことが分かる。
また、本実施形態では、カール防止剤解像度(180dpi×180dpi)を印刷解像度(360dpi×360dpi)の半分とするため、1つのカール防止剤用画素の大きさは、4つ分のインク用画素の大きさに相当する。そのため、プリンタドライバは、1つのカール防止剤用画素に対応する表面の4つのインク用画素に塗布されるインク量を算出する。図11では、一番左上のカール防止剤用画素(太い実線)には、一番左上のインク用画素と、一番左上のインク用画素と接する3つの画素とを合わせた4つのインク用画素(太い実線)が対応する。
例えば、図11の一番左上のカール防止剤用画素に対応する表面の4つのインク用画素には、イエローの大ドットと中ドットが1個ずつ形成され、マゼンタの小ドットが2個形成され、ブラックの大ドットと中ドットと小ドットが1個ずつ形成される。そして、形成されるドット数とドットに対応するインク量(図8B)により、表面のインク量が算出される。一番左上のカール防止剤用画素に対応する表面には、大ドットが2個(=20pl×2個)と、中ドットが2個(=8pl×2個)と、小ドットが3個(=2pl×3個)とが形成され、合計62pl(=40+16+6)のインクが塗布される。このようにして、プリンタドライバは、印刷用紙の裏面上の全カール防止剤用画素に対して、対応する表面に塗布されるインク量を算出する。
次に、プリンタドライバは各カール防止剤用画素にドットを形成するか否かを決定する(S102)。カール防止剤用画素に対応する表面(4つのインク用画素)のインク量は、4つのインク用画素に形成されるドットの種類やドット数により変化する(0pl〜320pl)。一方、カール防止剤用ノズルからは1種類の大きさのドットしか形成されない。即ち、カール防止剤用画素は「ドットを形成する」または「ドットを形成しない」の2種類の表現しかできない。そのため、1つのカール防止剤用画素の範囲で、印刷用紙の表面(インク)と裏面(カール防止剤)の水分量を等しくすることはできない。
そこで、本実施形態では、カール防止剤用画素よりも大きい範囲(単位領域)内において、カール防止剤のドットの生成密度に違いを持たせることで、単位領域中の印刷用紙の表面(インク)と裏面(カール防止剤)の水分量を等しくする(ディザ法)。その結果、印刷用紙全体の表面と裏面の膨潤率と収縮率が等しくなり、印刷用紙のカールを防止することができる。
図12は、ディザ法によるドットのオン・オフ判定の様子を示す図である。印刷用紙の表面と裏面の水分量が単位領域ごとに等しくなるように、単位領域と等しい大きさのディザマトリクスを予め設定する。また、ディザマトリクスの各画素に対して閾値を設定する。なお、説明の簡略のため、図中では、ディザマトリクスを2×2画素としている。以下、プリンタドライバによる、カール防止剤用画素のドットのオン・オフ判定について説明する。
例えば、図12の単位領域中の一番左上のカール防止剤用画素と対応する表面には62plのインクが塗布されるとする。そして、単位領域中の一番左上の画素に対応するディザマトリクスの画素が示す閾値は「1」である。プリンタドライバは、一番左上のカール防止剤用画素と対応する表面のインク量(62pl)と、一番左上のカール防止剤用画素に対応するディザマトリクスの閾値(「1」)とを比較して、表面のインク量が閾値よりも大きい場合には、カール防止剤用画素にドットを形成する(オン)と判定する。そのため、図12では、プリンタドライバは単位領域中の一番左上のカール防止剤用画素にドットを形成するとし、一番左上のカール防止剤用画素が示す吐出データを「1(ドットを形成する)」とする。
一方、カール防止剤用画素に対応する表面のインク量が閾値以下の場合には、そのカール防止剤用画素にはドットが形成されず(オフ)、そのカール防止剤用画素が示す吐出データは「0(ドットを形成しない)」となる。
このように、プリンタドライバは、カール防止剤用画素ごとにドットのオン・オフ判定を行い、カール防止剤用ノズルに対する吐出データを作成する。最後に、プリンタドライバは、印刷データと同様に、マトリクス状の吐出データをプリンタ1に転送すべきデータ順に並べかえる(S103、ラスタライズ処理)。
こうして、プリンタドライバは画像形成のための印刷データと、印刷用紙のカールを防止するための吐出データを作成する。そして、プリンタドライバは印刷データと吐出データをコマンドデータ(搬送量など)と共にプリンタ1に送信する。
===印刷方法について===
プリンタ1中のコントローラ10は、印刷データや吐出データ等を受信すると、各ユニットを制御して、印刷データに基づきインク用ノズルを用いて画像を形成し、吐出データに基づきカール防止剤用ノズルからカール防止剤を吐出させる。以下、画像形成とカール防止剤の塗布の流れについて説明する。
まず、コントローラ10は、印刷すべき印刷用紙を搬送ベルト22上まで送る。そして、コントローラ10は、搬送ローラ21A及び21Bを回転させ、給紙された印刷用紙を印刷開始位置に位置決めする。このとき、印刷用紙の表面は少なくとも一部のノズルと対向している。
次に、印刷用紙は搬送ベルト22上を一定速度で停まることなく搬送され、上流側ヘッドユニット30Aと下流側ヘッドユニット30Bの下を通る。2つのヘッドユニット30の下を印刷用紙が通る間に、各インク用ノズル(YMCK)から印刷データに基づいてインクが断続的に吐出される。その結果、印刷用紙の表面にはYMCKのインクにより、ユーザーから指定された画像が印刷される。このとき印刷用紙はカール防止剤用ノズルの下を通るが、カール防止剤用ノズルからカール防止剤は吐出されない。
印刷用紙の表面の印刷が終了すると、印刷用紙はカール(排紙カール)しないように搬送ローラ等で押さえられながら、反転部42へ送りこまれる。例えば、フチあり印刷の場合、印刷用紙の搬送方向に沿ったフチ部分(余白部分)が常に搬送ローラ等で押さえられながら搬送される。そして、今度は、印刷用紙の裏面がカール防止剤用ノズルと対向するように、再び給紙される。その後、吐出データに基づいて、印刷用紙の裏面にカール防止剤用ノズルからカール防止剤が吐出される。このとき印刷用紙はインク用ノズルの下を通るが、インク用ノズルからインクは吐出されない。
YMCKのインクとカール防止剤による印刷が終了すると、印刷用紙は搬送ローラ21Bから排紙される。このとき、印刷用紙の表面と裏面の繊維に浸透した水分量が等しいため、排紙カールが発生しない。その結果、印刷が終了した印刷用紙は排紙部24に正しく積層される。また、印刷用紙に塗布されたインクとカール防止剤が乾燥した後も、表面と裏面の収縮率が等しいため、永久カールも発生しない。
===搬送速度について===
印刷用紙の搬送速度は1つの画素が1つのノズルと対向する時間により決定する。1つの画素が1つのノズルと対向する時間とは、1つの画素にドットを形成するために必要な時間である。ドットを形成するためには、図8Aの駆動信号が有する駆動パルスをノズルに対応付けられたピエゾ素子に印加する必要がある。即ち、駆動パルスをピエゾ素子に印加する時間(繰り返し周期T)の間、インク用ノズル(YMCK)は少なくとも1つの画素と対向していなければならない。
また、本実施形態のインク用画素の搬送方向の長さは1/360インチである。そのため、印刷用紙の表面にインク用ノズルにより画像を印刷する際の印刷用紙の搬送速度Vは、V=(1/360インチ)/(繰り返し周期T)となる。
一方、カール防止剤用画素の搬送方向の長さは1/180インチである。そして、図8Cの繰り返し周期T’の間、カール防止剤用ノズルは少なくとも1つの画素と対向していなければならない。そのため、印刷用紙の裏面にカール防止剤用ノズルによりカール防止剤を塗布する際の搬送速度V’は、V’=(1/180インチ)/(繰り返し周期T’)となる。
カール防止剤用画素の搬送方向の長さ(180dpi)はインク用画素の搬送方向の長さ(360dpi)の2倍であるため、もし、繰り返し周期の時間(T=T’)が同じであれば、カール防止剤を塗布する際の搬送速度V’はインク用ノズルにより画像を印刷する際の印刷用紙の搬送速度Vの2倍となる。本実施形態では、印刷用紙の表面にインクにより画像を形成し、裏面にカール防止剤を塗布するため、裏面の搬送速度を表面の搬送速度の2倍にすることができる。即ち、ある印刷用紙の裏面にカール防止剤を塗布する時間は、インク用ノズルにより表面に画像を印刷する時間よりも短くなる。
また、本実施形態では、カール防止剤用画素は1種類のドットのみを形成するため、3種類のドットを形成するインク用ノズルに対する駆動信号の繰り返し周期Tよりも、カール防止剤用ノズルに対する駆動信号の繰り返し周期T’を短くすることが可能である。なぜなら、3種類のドットを打ち分けるには図8Aのように、駆動信号DRVは繰り返し周期T内に2つの駆動パルスを有する必要があるが、1種類のドットのみを形成するには図8Cのように、駆動信号DRV’は繰り返し周期T’内に1つの駆動パルスのみを有すればよいからである。もし、繰り返し周期がT>T’であれば、カール防止剤を塗布する際の搬送速度V’はインク用ノズルにより画像を印刷する際の印刷用紙の搬送速度Vの2倍以上となり、カール防止剤の塗布時間を更に短縮することができる。
つまり、カール防止剤用ノズルに対する搬送方向の解像度(180dpi)を、インク用ノズルに対する搬送方向の解像度(360dpi)よりも低くすることで、データ数を削減するだけでなく、カール防止剤の塗布時間を短縮することができる。但し、本実施形態のように片面印刷でなく、印刷用紙の同一面にカール防止剤とインクの両方を塗布する場合には、インク用ノズルにより印刷する際の搬送速度Vに合わせる必要があるため、カール防止剤の塗布時間を短縮することはできない。
なお、本実施形態では、カール防止剤用ノズルにより形成される画像の搬送方向の解像度をインク用ノズルにより形成される画像の搬送方向の解像度よりも低くしているがこれに限らない。例えば、カール防止剤用ノズルの紙幅方向の解像度のみをインク用ノズルの紙幅方向の解像度よりも低くして、搬送方向の解像度はカール防止剤用ノズルとインク用ノズルとで等しくしても良い。そうすると、カール防止剤用ノズルの紙幅方向に関する吐出データ数をインク用ノズルの紙幅方向に関する印刷データ数よりも少なくすることができる。但し、前述のように印刷用紙の裏面にカール防止剤のみを塗布する場合に、カール防止剤用画素とインク用画素の搬送方向の長さが等しくなるため、搬送速度を大幅に短縮することができない。
===第2実施形態:カール防止剤のドットの大きさについて===
前述の実施形態では、カール防止剤用ノズルにより1種類の大きさのドットのみしか形成されないとするが、第2実施形態ではカール防止剤用ノズルにより3種類の大きさのドットが形成されるとする。なお、インク用ノズルにより形成される3種類のドットの大きさと、カール防止剤により形成される3種類のドットの大きさは、必ずしも同じ大きさとは限らない。
図13は、4つのインク用画素に塗布されるインク量と1つのカール防止剤用画素に形成されるドットの対応表を示す図である。なお、前述の実施形態と同様に、印刷用紙の表面に4色のインク(YMCK)を塗布し、裏面にカール防止剤を塗布するとする。また、紙幅方向と搬送方向のカール防止剤解像度を印刷解像度の半分とし、印刷用紙の裏面に定められた1つのカール防止剤用画素と表面に定められた4つのインク用画素とが対応するとする。
4つのインク用画素に塗布されるインク量は形成されるドットの種類やドットの個数によって異なる。例えば、図13に示すように、4つのインク用画素の各画素にYMCKの大ドットが形成された場合、4つのインク用画素には16個の大ドットが形成されるため、塗布される合計インク量は320pl(=20pl×16個)となる。前述の実施形態ではカール防止剤用ノズルにより1種類の大きさのドットしか形成できないため、単位領域当たりのドット生成率を変化させることで(ディザ法)、印刷用紙の表面と裏面に塗布される水分量を同じにしていた。しかし、第2実施形態では、1つのカール防止剤用画素に対して、大ドット、中ドット、小ドット、ドット無しと、4階調の変化をもたすことができるため、図13に示すように閾値を設定し、カール防止剤用画素のドットのオン・オフ判定および形成するドットの種類を決定する。なお、ドットのオン・オフ判定はプリンタドライバが行う。
プリンタドライバはコンピュータ60にインストールされると同時に、プリンタ1のメモリ13に記憶された対応表(図13)を送信させ、コンピュータ60内のメモリに記憶させる。プリンタドライバは、アプリケーションソフトから印刷命令を受けて、印刷データの作成処理が終了すると、カール防止剤用ノズルに対する吐出データの作成処理を開始する。まず、前述の実施形態と同様に、プリンタドライバは、カール防止剤用の各画素に対応する表面のインク量(4つのインク用画素に塗布されるインク量)を算出する。
次に、プリンタドライバは、図13の対応表を基に、算出した表面のインク量を対応させ、ドットのオン・オフ判定及びドットの種類を決定する。例えば、あるカール防止剤用画素に対応する表面のインク量が308plであれば、そのカール防止剤用画素に大ドットを形成するように吐出データを作成する。そして、図13に示すように、218plを第1閾値として設定し、表面のインク量が218pl以上であればカール防止剤用画素に大ドットを形成させ、218plよりも少なければ中ドットを形成させる。同様に、124plを第2閾値として、表面のインク量が218plよりも少なく124pl以上であれば中ドットを形成させる。そして、10plを第3閾値として、表面のインク量が124plよりも少なく10pl以上であれば小ドットを形成させ、表面のインク量が10plよりも少なければ、ドットは形成させない。
このように、プリンタドライバは各カール防止剤用画素のドットのオン・オフ判定と形成するドットの種類を決定し、吐出データを作成する。そして、対応表をもとに、印刷用紙の裏面のカール防止剤用画素に浸透する水分量と、対応する表面の4つのインク用画素に浸透する水分量をほぼ等しくすることができる。その結果、印刷用紙の表裏の膨潤率と収縮率がほぼ等しくなり、印刷用紙のカールを防ぐことができる。
第2実施形態では、印刷解像度に対して、カール防止剤解像度を低くしているため、インク用ノズルに対する印刷データ数よりもカール防止剤用ノズルに対する吐出データ数を少なくすることができ、カール防止剤を塗布するための処理時間を短縮することができる。但し、カール防止剤用ノズルにより3種類のドットを打ち分けるため、各カール防止剤用画素の吐出データは2ビットのデータとなるので、前述の実施形態のようにカール防止剤用ノズルが1種類のドットしか形成しない場合(1ビットの吐出データ)に比べて、データ数は多くなる。
===その他の実施形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェット方式のプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、印刷用紙のカール防止方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
〈片面印刷について〉
前述の実施形態では、片面印刷において、印刷用紙の表面に塗布するインク内の水分量と裏面に塗布するカール防止剤内の水分量とを等しくすることで、カール防止を行っているが、これに限らない。
例えば、両面印刷において、印刷用紙の表面に多量のインクが塗布され、裏面にはあまりインクが塗布されないと、印刷用紙の表面と裏面の膨張率と収縮率の差によりカールが発生してしまう。そのため、片面印刷に限らず両面印刷においても、印刷用紙の表面と裏面で塗布されるインク量の差が大きい箇所に、塗布されるインク量が少ない方の面にカール防止剤を塗布してもよい。
このとき、印刷用紙の同一面にインクとカール防止剤を塗布するが、カール防止剤解像度を印刷解像度よりも低くする。その結果、カール防止剤用ノズルに対する吐出データ数は印刷データ数よりも少なくなり、カール防止剤塗布のための処理時間を短縮させることができる。
〈排紙カールと永久カールについて〉
前述の実施形態では、印刷用紙の表裏の繊維に浸透する水分量の違いにより発生する排紙カールと永久カールの防止のためにカール防止剤を塗布しているが、これに限らない。例えば、印刷用紙の同一面上においても、インクが多量に塗布される箇所とインクが塗布されない箇所が隣り合う場合には、印刷用紙が膨潤・収縮する箇所と変化しない箇所とが隣り合い、印刷用紙が波打ってしまうことがある(うねり)。
この場合、インクが多量に塗布される箇所の周辺にカール防止剤を塗布することで、印刷用紙のうねりを緩和することができる。この際に、印刷用紙の同一面にインクとカール防止剤を塗布するが、カール防止剤解像度を印刷解像度よりも低くする。
〈液体吐出装置について〉
前述の実施形態ではコンピュータ60内のプリンタドライバが、カール防止剤の吐出データを作成していたが、プリンタ1側のCPU12がプリンタドライバの役割を担ってもよい。この場合には、プリンタ1単体が液体吐出装置となる。
前述の実施形態では、液体吐出方法を実施する液体吐出装置(一部)としてインクジェットプリンタを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンタ(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、前述の実施形態のプリンタは、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を吐出しているが、これに限らない。例えば、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって液体を吐出させるプリンタでもよい。
〈シリアル式のプリンタについて〉
前述の実施形態では、ラインヘッドプリンタを例に挙げて、印刷中のフラッシング方法について説明しているが、これに限らない。例えば、紙を搬送方向に移動させる搬送動作と、1つのヘッドが搬送方向と交差する移動方向に移動しながらドットを形成する動作(パス)と、を交互に繰り返しながら画像を形成するシリアル式プリンタでもよい。
シリアル式プリンタの場合、搬送方向に沿ってノズル列が形成される。そのため、カール防止剤用ノズルの搬送方向のノズルピッチをインク用ノズルの搬送方向のノズルピッチよりも広くし、搬送方向のカール防止剤解像度を印刷解像度よりも低くする。
但し、シリアル式プリンタはドット形成動作と搬送動作が交互に行われるため、印刷中にインクが乾きやすく、排紙カールもラインヘッドプリンタのように顕著に発生しないため、本件発明はラインヘッドプリンタにおいて、より有効な効果があるといえる。
本実施形態のプリンタの全体構成ブロック図である。 図2Aはプリンタの断面図であり、図2Bはプリンタが印刷用紙を搬送する様子を示す図である。 片面印刷の際の印刷用紙のカールを示す図である。 図4Aはブラックインクにより印刷用紙の表面に印刷される画像(文字)を示す図であり、図4Bはカール防止剤により印刷用紙の裏面にドットが形成される様子を示す図である。 ブラックインクにより形成されるドットとカール防止剤により形成されるドットの関係を示す図である。 上流側ヘッドユニットと下流側ヘッドユニットの下面におけるヘッドの配列を示す図である。 図7Aは上流側ヘッドの下面のノズルの配列を示す図であり、図7Bは下流側ヘッドの下面のノズルの配列を示す図である。 図8Aはインク用ノズルに対応付けられたピエゾ素子に印加される駆動信号を示す図であり、図8Bはインク用ノズルにより形成されるドットの種類を示す図であり、図8Cはカール防止剤用ノズルに対応付けられたピエゾ素子に印加される駆動信号を示す図である。 印刷データ作成処理のフロー図である。 吐出データ作成処理のフロー図である。 表面のインク量算出のイメージ図である。 ディザ法によるドットのオン・オフ判定の様子を示す図である。 4つのインク用画素に塗布されるインク量と1つのカール防止剤用画素に形成されるドットの対応表を示す図である。
符号の説明
1 プリンタ、
10 コントローラ、11インターフェース部、12 CPU、13 メモリ、
14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21A 搬送ローラ、21B 搬送ローラ、22 搬送ベルト、
23 給紙部、24 排紙部、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
40 用紙反転ユニット、41A 切替ガイド、41B 切替ガイド、42 反転部、
43 反転ローラ
50 検出器群、
60 コンピュータ

Claims (14)

  1. 有色の液体を媒体に吐出する第1ノズルと、
    無色の液体を前記媒体に吐出する第2ノズルと、
    を有する液体吐出装置であって、
    前記第2ノズルを用いて形成する画像の解像度は、前記第1ノズルを用いて形成する画像の解像度よりも低い、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置であって、
    所定方向に複数の前記第1ノズルが並んで第1ノズル列が構成され、前記所定方向に複数の前記第2ノズルが並んで第2ノズル列が構成される場合、
    前記第2ノズルを用いて形成する画像の前記所定方向の解像度は、前記第1ノズルを用いて形成する画像の前記所定方向の解像度よりも低い、
    液体吐出装置。
  3. 請求項2に記載の液体吐出装置であって、
    前記第1ノズル列は、前記第1ノズルが第1の間隔で並ぶことにより構成され、
    前記第2ノズル列は、前記第2ノズルが前記第1の間隔よりも広い第2の間隔で並ぶことにより構成される、
    液体吐出装置。
  4. 請求項3に記載の液体吐出装置であって、
    前記第2ノズルは前記第1ノズルに対して、前記第1の間隔の半分の間隔だけ、前記所定方向にずれている、
    液体吐出装置。
  5. 請求項4に記載の液体吐出装置であって、
    前記第2の間隔は前記第1の間隔の2倍の広さである、
    液体吐出装置。
  6. 請求項2から請求項5のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
    前記媒体を前記第1ノズルと前記第2ノズルに対して前記所定方向と交差する方向に搬送する搬送機構を有する、
    液体吐出装置。
  7. 請求項6に記載の液体吐出装置であって、
    前記第2ノズルを用いて形成する画像の前記交差する方向の解像度は、前記第1ノズルを用いて形成する画像の前記交差する方向の解像度よりも低い、
    液体吐出装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
    前記媒体を前記第1ノズルと前記第2ノズルに対して搬送方向に搬送する場合、
    前記第2ノズルを用いて形成する画像の前記搬送方向の解像度は、前記第1ノズルを用いて形成する画像の前記搬送方向の解像度よりも低い、
    液体吐出装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
    前記第1ノズルを用いて複数種類のドットを形成し、前記第2ノズルを用いて前記複数種類よりも少ない種類のドットを形成する、
    液体吐出装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
    前記第1ノズルを用いて前記媒体の表面に画像を形成し、前記第2ノズルを用いて前記媒体の裏面に画像を形成する、
    液体吐出装置。
  11. 請求項10に記載の液体吐出装置であって、
    前記第1ノズルを用いて画像を形成した後に、前記媒体を反転させ、前記第2ノズルを用いて画像を形成する場合、
    前記第2ノズルを用いる際の前記媒体の搬送速度は、前記第1ノズルを用いる際の前記搬送速度よりも速い、
    液体吐出装置。
  12. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
    前記第1ノズルを用いて前記媒体に画像を形成し、前記画像の周囲に前記第2ノズルから前記無色の液体を吐出させる、
    液体吐出装置。
  13. 有色の液体を媒体に吐出する第1ノズルを用いて、第1の解像度で画像を形成するステップと、
    無色の液体を前記媒体に吐出する第2ノズルを用いて、前記第1の解像度よりも低い第2の解像度で画像を形成するステップと、
    を有する液体吐出方法。
  14. 有色の液体を媒体に吐出する第1ノズルを用いて、第1の解像度で画像を形成するステップと、
    無色の液体を前記媒体に吐出する第2ノズルを用いて、前記第1の解像度よりも低い第2の解像度で画像を形成するステップと、
    を液体吐出装置に実現させるためのプログラム。
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