JP2008188531A - 汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法 - Google Patents

汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法 Download PDF

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道彦 石田
Kensuke Fujii
研介 藤井
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Abstract

【課題】汚染地盤又は汚染地下水を原位置にて十分に浄化することができる汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法を提供する。
【解決手段】有機ハロゲン化合物に汚染された汚染地盤又は汚染地下水を、その汚染地盤中又は汚染地下水中に存在する前記有機ハロゲン化合物の分解活性を有する嫌気性微生物によって、原位置にて浄化するための汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法であって、前記嫌気性微生物を活性化させる栄養材と、鉄粉と、増粘材と、水とを混合してスラリー状にし、このスラリー状の混合物を前記汚染地盤又は前記汚染地下水に供給する。
【選択図】なし

Description

本発明は、汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法に関する。
近年、有機ハロゲン化合物に汚染された汚染地盤又は汚染地下水を、その汚染地盤中又は汚染地下水中に存在する有機ハロゲン化合物の分解活性を有する嫌気性微生物によって、原位置にて浄化するための技術が開発されている(特許文献1,2参照)。
例えば、特許文献1には、嫌気性微生物を活性化させる栄養材と還元剤である鉄粉とを混合し、この混合物を汚染地盤又は汚染地下水に供給する技術が開示されている(同特許文献1の請求項11などを参照)。かかる技術によれば、栄養材による嫌気性微生物の活性化作用により、汚染地盤中又は汚染地下水中に存在する嫌気性微生物が活性化され、汚染物質である有機ハロゲン化合物が脱ハロゲン化されて無害化する。また、鉄粉の還元作用により、有機ハロゲン化合物が脱ハロゲン化されて無害化する。このようにして、汚染地盤又は汚染地下水が原位置にて浄化されることとなる。
特開平11−253926号公報 特開2006−159132号公報
しかしながら、従来の技術の如く、栄養材と鉄粉とを混合しただけでは、例えば、鉄粉は比重が大きく沈殿しやすいなどの理由により、両者を均一な状態に維持することが困難である。そのため、これらの混合物を汚染地盤又は汚染地下水に供給したとしても、栄養材及び鉄粉を、汚染地盤又は汚染地下水に対して均等に拡散させることができず、その結果、従来の技術では、汚染地盤又は汚染地下水を原位置にて十分に浄化することができないという問題があった。
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、汚染地盤又は汚染地下水を原位置にて十分に浄化することができる汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、有機ハロゲン化合物に汚染された汚染地盤又は汚染地下水を、その汚染地盤中又は汚染地下水中に存在する前記有機ハロゲン化合物の分解活性を有する嫌気性微生物によって、原位置にて浄化するための汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法であって、前記嫌気性微生物を活性化させる栄養材と、鉄粉と、増粘材と、水とを混合してスラリー状にし、このスラリー状の混合物を前記汚染地盤又は前記汚染地下水に供給することを特徴とする。
かかる構成によれば、スラリー状の混合物に含まれる増粘材の作用により、栄養材及び鉄粉が均一な状態に維持されることとなり、これらの混合物を汚染地盤又は汚染地下水に対して均等に拡散させることが可能となる。その結果、本発明によれば、汚染地盤又は汚染地下水を原位置にて十分に浄化することができる。
また、本発明において、前記増粘材は、水溶性高分子であることを特徴とする。
また、本発明において、前記栄養材は、難水溶性且つ易分解性の有機炭素源であることを特徴とする。
また、本発明は、有機ハロゲン化合物に汚染された汚染地盤又は汚染地下水を、その汚染地盤中又は汚染地下水中に存在する前記有機ハロゲン化合物の分解活性を有する嫌気性微生物によって、原位置にて浄化するための汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法であって、前記嫌気性微生物を活性化させる作用を有する増粘材と、鉄粉と、水と、を混合してスラリー状にし、このスラリー状の混合物を前記汚染地盤又は前記汚染地下水に供給することを特徴とする。
また、本発明において、前記増粘材は、グアガムであることを特徴とする。
本発明によれば、汚染地盤又は汚染地下水を原位置にて十分に浄化することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明は、有機ハロゲン化合物に汚染された汚染地盤又は汚染地下水を、嫌気性微生物によって、原位置にて浄化するための汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法であって、栄養材と、鉄粉と、増粘材と、水とを混合してスラリー状にし、このスラリー状の混合物を汚染地盤又は汚染地下水に供給することに特徴がある。
有機ハロゲン化合物は、周期表の17族のフッ素 (F)、塩素 (Cl)、臭素 (Br)、ヨウ素 (I) の4元素を含む有機化合物の総称であり、具体的には、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、塩化ビニルなどである。嫌気性微生物は、汚染地盤中又は汚染地下水中に存在する微生物であり、有機ハロゲン化合物の分解活性を有する。
栄養材は、嫌気性微生物を活性化させるものであれば、特に限定されるものではないが、難水溶性且つ易分解性の有機炭素源が好ましい。かかる難水溶性且つ易分解性の有機炭素源としては、例えば、乳化植物油、でんぷん等が挙げられる。そして、栄養材として難水溶性且つ易分解性の有機炭素源を用いた場合には、栄養材が少量ずつ水に溶解してから分解し、その分解物が適度な濃度を保持しながら嫌気性微生物を活性化させることになるので、栄養材による嫌気性微生物の高濃度障害を防止しつつ、嫌気性微生物の活性を長期に亘って維持することが可能となる。
また、栄養材には、嫌気性微生物を活性化させる作用のみならず、前述した鉄粉の還元作用を促進する作用を有する。以下、この作用について説明する。まず、鉄粉は、有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化する際に、下記(式1)の如く、水を還元分解する。
Fe+2HO→Fe+2H+4OH・・・・・(式1)
上記(式1)において、水の還元分解によって生じた水素イオン(H)は、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化に用いられるので、水酸化イオン(OH)が水溶液中に残留することとなり、その結果、鉄粉が添加された水溶液は、アルカリ性を示すようになる。そして、水溶液がアルカリ側に傾くにつれて、水の還元分解が進行しなくなり、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応の反応速度が遅くなってしまう。
ところが、この水溶液に栄養材が添加されている場合には、栄養材が嫌気分解されて有機酸(例えば、酢酸等)が発生し、この有機酸が水溶液を中性側に維持する。すなわち、栄養材は、鉄粉のpH緩衝材として働き、汚染地盤又は汚染地下水を中性付近に維持し、鉄粉の還元作用を促進する作用を有する。従って、栄養材と鉄粉とを併用することにより、鉄粉のみを単独で用いた場合と比べ、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応の速度が向上することとなる。なお、鉄粉は、還元性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、汚染地盤又は汚染地下水の性質に応じて、粒径及び添加量等を適宜調整したものが好ましい。
増粘材は、栄養材及び鉄粉を均一な状態に維持することが可能なものであれば、特に限定されるものではないが、水溶性高分子が好ましい。かかる水溶性高分子としては、グアガム(Cyamoposis gum)等の天然高分子や、カルビキシメチルセルロース(CMC)等の半合成高分子、あるいはポリビニルアルコール(PVA)等の合成高分子がある(「高分子・粘土複合体の泥水工法への適用」 喜田大三 川地武 1980年2月号「土と基礎」参照)。そして、増粘材として水溶性高分子を用いた場合には、増粘材が速やかに水に溶解して粘ちょうな液体を形成する。これにより、比重の大きな鉄粉が沈殿しにくくなり、スラリー状の混合物に含まれている栄養材及び鉄粉がいずれも均一な状態に維持されることとなる。なお、増粘材には、栄養材としての作用を兼ね備えたもの(例えば、グアガム等)が好ましい。このような増粘材を用いる場合には、別途、栄養材を添加する必要がなくなり、コスト削減に寄与することとなる。
このような状態のスラリー状の混合物を汚染地盤又は汚染地下水に供給することにより、汚染地盤又は汚染地下水に対して栄養材及び鉄粉を均等に拡散させることが可能となり、その結果、汚染地盤又は汚染地下水を原位置にて十分に浄化することができる。なお、スラリー状の混合物を汚染地盤に供給する場合には、例えば、スラリー状の混合物を汚染地盤に対して噴射し、深層混合機の攪拌翼によってスラリー状の混合物を汚染地盤とともに攪拌すればよい。これにより、スラリー状の混合物に含まれている栄養材及び鉄粉を汚染地盤に対して均等に拡散させることが可能となる。

Claims (5)

  1. 有機ハロゲン化合物に汚染された汚染地盤又は汚染地下水を、その汚染地盤中又は汚染地下水中に存在する前記有機ハロゲン化合物の分解活性を有する嫌気性微生物によって、原位置にて浄化するための汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法であって、
    前記嫌気性微生物を活性化させる栄養材と、鉄粉と、増粘材と、水とを混合してスラリー状にし、このスラリー状の混合物を前記汚染地盤又は前記汚染地下水に供給することを特徴とする汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法。
  2. 請求項1において、
    前記増粘材は、水溶性高分子であることを特徴とする汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法。
  3. 請求項1又は2において、
    前記栄養材は、難水溶性且つ易分解性の有機炭素源であることを特徴とする汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法。
  4. 有機ハロゲン化合物に汚染された汚染地盤又は汚染地下水を、その汚染地盤中又は汚染地下水中に存在する前記有機ハロゲン化合物の分解活性を有する嫌気性微生物によって、原位置にて浄化するための汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法であって、
    前記嫌気性微生物を活性化させる作用を有する増粘材と、鉄粉と、水と、を混合してスラリー状にし、このスラリー状の混合物を前記汚染地盤又は前記汚染地下水に供給することを特徴とする汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法。
  5. 請求項4において、
    前記増粘材は、グアガムであることを特徴とする汚染地盤又は汚染地下水の原位置浄化方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010221184A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Kurita Water Ind Ltd 土壌及び/又は地下水の浄化方法
JP2014012233A (ja) * 2012-07-03 2014-01-23 Ohbayashi Corp 汚染土壌浄化用添加材、及びそれを用いた汚染土壌の浄化方法
JP2014113573A (ja) * 2012-12-12 2014-06-26 Ohbayashi Corp 有機塩素化合物で汚染された汚染土壌又は汚染地下水の浄化材、及び、浄化方法

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