しかしながら、特許文献1に記載された技術では、カーボン紙を使用して複写した原稿(以下、カーボンコピーと称す)をコピーする際に、用紙に予め上から何枚目の用紙であるかを識別する識別マークが付加されている場合には、濃度を調整することができるが、用紙にその識別マークが付加されていない場合は、濃度を調整することができないという問題点があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、原稿の種類に応じて適切な濃度で出力することができる画像読取装置および画像読取処理プログラムを提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の画像読取装置は、原稿を少なくともモノクロ画像で読み取る画像読取手段と、その画像読取手段と原稿とを相対的に移動させる移動手段とを備え、前記画像読取手段による読取動作と前記移動手段による移動動作とを繰り返して前記原稿を読み取るものであり、前記移動手段による移動方向における原稿の一端側に設けられ、その原稿の種類を判定するための判定範囲を前記画像読取手段を用いてモノクロ画像で読み取る判定範囲処理手段と、その判定範囲処理手段により読み取られた前記判定範囲のモノクロ画像の明度を検出する明度検出手段と、その明度検出手段により検出された明度が所定の範囲に含まれる場合に、前記原稿が特殊原稿であると判断する判断手段と、前記判断手段により前記原稿が特殊原稿であると判断された場合は、前記画像読取手段により読み取られたモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する出力手段とを備えている。
請求項2記載の画像読取装置は、原稿をカラー画像あるいはモノクロ画像で読み取る画像読取手段と、その画像読取手段と原稿とを相対的に移動させる移動手段とを備え、前記画像読取手段による読取動作と前記移動手段による移動動作とを繰り返して前記原稿を読み取るものであり、前記移動手段による移動方向における原稿の一端側に設けられ、その原稿の種類を判定するための判定範囲を前記画像読取手段を用いてカラー画像で読み取る判定範囲処理手段と、その判定範囲処理手段により読み取られた前記判定範囲のカラー画像の色彩情報の値を検出する色彩情報検出手段と、その色彩情報検出手段により検出された色彩情報の値が所定の範囲に含まれる場合に、前記原稿が特殊原稿であると判断する判断手段と、前記判断手段により前記原稿が特殊原稿であると判断された場合は、前記画像読取手段により原稿をモノクロ画像で読み取る場合に、そのモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する出力手段とを備えている。
請求項3記載の画像読取装置は、請求項2記載の画像読取装置において、前記判定範囲処理手段により読み取られ、前記色彩情報検出手段により検出された色彩情報は少なくとも明度、及び色相を含み、前記判断手段は、前記明度が所定の範囲に含まれ、かつ、前記色相が所定の範囲である場合に、前記原稿が特殊原稿であると判断するものである。
請求項4記載の画像読取装置は、請求項1から3のいずれかに記載の画像読取装置において、前記原稿の一端を検出するエッジ検出手段を備え、前記判定範囲処理手段は、そのエッジ検出手段により検出された前記原稿の一端から前記他端側へ向けて略3mmの幅の内側であって、そのエッジ検出手段により検出された一端に沿う帯状の範囲を前記判定範囲として画像を読み取るものである。
請求項5記載の画像読取装置は、請求項1から4のいずれかに記載の画像読取装置において、前記出力手段は、前記判断手段により前記原稿が特殊原稿であると判断された場合は、前記画像読取手段により読み取られたモノクロ画像のうち前記判定範囲を除く画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力するものである。
請求項6記載の画像読取装置は、原稿を少なくともモノクロ画像で読み取る画像読取手段を備えたものであり、前記画像読取手段により前記原稿の全範囲をモノクロ画像で読み取るプレスキャン処理手段と、そのプレスキャン処理手段により読み取られたモノクロ画像に基づいて原稿の複数のエッジを検出するエッジ検出手段と、そのエッジ検出手段により検出された複数のエッジに沿う原稿の内側の帯状の範囲を判定範囲とし、その判定範囲の明度を前記プレスキャン処理手段により読み取られたモノクロ画像に基づいて検出する明度検出手段と、その明度検出手段により検出された明度が所定の範囲に含まれる場合に、前記原稿が特殊原稿であると判断する判断手段と、前記プレスキャン処理手段によりモノクロ画像を読み取った後、前記画像読取手段により前記原稿を再度モノクロ画像で読み取る本スキャン処理手段と、前記判断手段により前記原稿が特殊原稿であると判断された場合は、前記本スキャン処理手段により読み取られたモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する出力手段とを備えている。
請求項7記載の画像読取装置は、原稿をカラー画像あるいはモノクロ画像で読み取る画像読取手段を備えたものであり、前記画像読取手段により前記原稿の全範囲をカラー画像で読み取るプレスキャン処理手段と、そのプレスキャン処理手段により読み取られたカラー画像に基づいて原稿の複数のエッジを検出するエッジ検出手段と、そのエッジ検出手段により検出された複数のエッジに沿う原稿の内側の帯状の範囲を判定範囲とし、その判定範囲の色彩情報の値を前記プレスキャン処理手段により読み取られたカラー画像に基づいて検出する色彩情報検出手段と、その色彩情報検出手段により検出された色彩情報の値が所定の範囲に含まれる場合に、前記原稿が特殊原稿であると判断する判断手段と、前記プレスキャン処理手段によりカラー画像を読み取った後、前記画像読取手段により前記原稿を再度モノクロ画像で読み取る本スキャン処理手段と、前記判断手段により前記原稿が特殊原稿であると判断された場合は、前記本スキャン処理手段により読み取られたモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する出力手段とを備えている。
請求項8記載の画像読取装置は、請求項7記載の画像読取装置において、前記色彩情報検出手段により検出された色彩情報は少なくとも明度、及び色相を含み、前記判断手段は、前記明度が所定の範囲に含まれ、かつ、前記色相が所定の範囲である場合に、前記原稿が特殊原稿であると判断するものである。
請求項9記載の画像読取装置は、請求項6から8のいずれかに記載の画像読取装置において、前記明度検出手段は、前記エッジ検出手段により検出されたエッジから、そのエッジに対向するエッジ側へ向けて略3mmの幅の内側であって、そのエッジ検出手段により検出されたエッジに沿う帯状の範囲を判定範囲として、その判定範囲の明度を検出するものである。
請求項10記載の画像読取装置は、請求項7または8記載の画像読取装置において、前記色彩情報検出手段は、前記エッジ検出手段により検出されたエッジから、そのエッジに対向するエッジ側へ向けて略3mmの幅の内側であって、そのエッジ検出手段により検出されたエッジに沿う帯状の範囲を判定範囲として、その判定範囲の色彩情報を検出するものである。
請求項11記載の画像読取装置は、請求項6から10のいずれかに記載の画像読取装置において、前記プレスキャン処理手段により所定の解像度で読み取られた前記原稿の全範囲の画像を記憶する画像情報記憶手段を備え、前記エッジ検出手段は、その画像情報記憶手段により記憶された画像に基づいて原稿の複数のエッジを検出し、前記本スキャン処理手段は、前記プレスキャン処理手段の読み取り解像度より高い解像度で前記画像読取手段によりモノクロ画像を取得するものである。
請求項12記載の画像読取装置は、請求項1または6に記載の画像読取装置において、前記画像読取手段により読み取られた画像を構成する画素の明度値が所定の明度値より大きい白色画素を検出する白色画素検出手段を備え、前記明度検出手段は、前記判定範囲の画像を構成する画素から前記白色画素検出手段により検出された白色画素を除いた上で、前記判定範囲の画素の明度値を平均した平均明度値を算出する平均明度値算出手段を備え、その平均明度値算出手段により算出された平均明度値を前記判定範囲の明度とするものである。
請求項13記載の画像読取装置は、請求項1または6に記載の画像読取装置において、前記画像読取手段により読み取られた画像に基づいて地色を検出する地色検出手段を備え、前記明度検出手段は、前記判定範囲の画像を構成する画素から前記地色検出手段により検出された地色の画素を除いた上で、前記判定範囲の画素の明度値を平均した平均明度値を算出する平均明度値算出手段を備え、その平均明度値算出手段により算出された平均明度値を前記判定範囲の明度とするものである。
請求項14記載の画像読取装置は、請求項2,3,7,8,9,10のいずれか記載の画像読取装置において、前記画像読取手段により読み取られたカラー画像を構成する画素の明度値が所定の明度値より大きい白色画素を検出する白色画素検出手段を備え、前記色彩情報検出手段は、前記判定範囲の画像を構成する画素から前記白色画素検出手段により検出された白色画素を除いた上で、前記判定範囲の画素の明度値および彩度値をそれぞれ平均した平均明度値および平均彩度値を算出する色彩情報平均値算出手段を備え、その色彩情報平均値算出手段により算出された、平均明度値及び平均彩度値を前記判定範囲の色彩情報として用いるものである。
請求項15記載の画像読取装置は、請求項2,3,7,8、9,10のいずれか記載の画像読取装置において、前記画像読取手段により読み取られたカラー画像を構成する画素の彩度値に基づいて、無彩色の画素を検出する無彩色画素検出手段を備え、前記色彩情報検出手段は、前記判定範囲の画像を構成する画素から前記無彩色画素検出手段により検出された無彩色画素を除いた上で、前記判定範囲の画素の明度値及び彩度値をそれぞれ平均した平均明度値及び平均彩度値を算出する色彩情報平均値算出手段を備え、その色彩情報平均値算出手段により算出された平均明度値及び平均彩度値を前記判定範囲の色彩情報として用いるものである。
請求項16記載の画像読取装置は、請求項2,3,7,8,9,10のいずれか記載の画像読取装置において、前記画像読取手段により読み取られたカラー画像に基づいて地色を検出する地色検出手段を備え、前記色彩情報検出手段は、前記判定範囲の画像を構成する画素から前記地色検出手段により検出された地色の画素を除いた上で、前記判定範囲の画素の明度値及び彩度値をそれぞれ平均した平均明度値及び平均彩度値を算出する色彩情報平均値算出手段を備え、その色彩情報平均値算出手段により算出された、平均明度値及び平均彩度値を前記判定範囲の色彩情報として用いるものである。
請求項17記載の画像読取装置は、請求項14から16のいずれか記載の画像読取装置において、前記色彩情報平均値算出手段は、前記判定範囲の画像を構成する画素の色相値が所定の範囲内である画素を抽出し、その抽出した画素の明度値または彩度値をそれぞれ平均して前記平均明度値または平均彩度値を算出するものである。
請求項18記載の画像読取処理プログラムは、原稿を少なくともモノクロ画像で読み取る画像読取手段と、その画像読取手段と原稿とを相対的に移動させる移動手段とを備え、前記画像読取手段による読取動作と前記移動手段による移動動作とを繰り返して前記原稿を読み取る画像読取装置において実行されるものであり、前記移動手段による移動方向における原稿の一端側に設けられ、その原稿の種類を判定するための判定範囲を前記画像読取手段を用いてモノクロ画像で読み取る判定範囲処理ステップと、その判定範囲処理ステップにより読み取られた前記判定範囲のモノクロ画像の明度を検出する明度検出ステップと、その明度検出ステップにより検出された明度が所定の範囲に含まれる場合に、前記原稿が特殊原稿であると判断する判断ステップと、前記判断ステップにより前記原稿が特殊原稿であると判断された場合は、前記画像読取手段により読み取られたモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する出力ステップとを備えている。
請求項19記載の画像読取処理プログラムは、原稿をカラー画像あるいはモノクロ画像で読み取る画像読取手段と、その画像読取手段と原稿とを相対的に移動させる移動手段とを備え、前記画像読取手段による読取動作と前記移動手段による移動動作とを繰り返して前記原稿を読み取る画像読取装置において実行されるものであり、前記移動手段による移動方向における原稿の一端側に設けられ、その原稿の種類を判定するための判定範囲を前記画像読取手段を用いてカラー画像で読み取る判定範囲処理ステップと、その判定範囲処理ステップにより読み取られた前記判定範囲のカラー画像の色彩情報の値を検出する色彩情報検出ステップと、その色彩情報検出ステップにより検出された色彩情報の値が所定の範囲に含まれる場合に、前記原稿が特殊原稿であると判断する判断ステップと、前記判断ステップにより前記原稿が特殊原稿であると判断された場合は、前記画像読取手段により原稿をモノクロ画像で読み取る場合に、そのモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する出力ステップとを備えている。
請求項20記載の画像読取処理プログラムは、原稿を少なくともモノクロ画像で読み取る画像読取手段を備えた画像読取装置において実行されるものであり、前記画像読取手段により前記原稿の全範囲をモノクロ画像で読み取るプレスキャン処理ステップと、そのプレスキャン処理ステップにより読み取られたモノクロ画像に基づいて原稿の複数のエッジを検出するエッジ検出ステップと、そのエッジ検出ステップにより検出された複数のエッジに沿う原稿の内側の帯状の範囲を判定範囲とし、その判定範囲の明度を前記プレスキャン処理手段により読み取られたモノクロ画像に基づいて検出する明度検出ステップと、その明度検出ステップにより検出された明度が所定の範囲に含まれる場合に、前記原稿が特殊原稿であると判断する判断ステップと、前記プレスキャン処理ステップにより原稿を読み取った後、前記画像読取手段により前記原稿を再度モノクロ画像で読み取る本スキャン処理ステップと、前記判断ステップにより前記原稿が特殊原稿であると判断された場合は、前記本スキャン処理手段により読み取られたモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する出力ステップとを備えている。
請求項21記載の画像読取処理プログラムは、原稿をカラー画像あるいはモノクロ画像で読み取る画像読取手段を備えた画像読取装置において実行されるものであり、前記画像読取手段により前記原稿の全範囲をカラー画像で読み取るプレスキャン処理ステップと、そのプレスキャン処理ステップにより読み取られたカラー画像に基づいて原稿の複数のエッジを検出するエッジ検出ステップと、そのエッジ検出ステップにより検出された複数のエッジに沿う原稿の内側の帯状の範囲を判定範囲とし、その判定範囲の色彩情報の値を前記プレスキャン処理手段により読み取られたカラー画像に基づいて検出する色彩情報検出ステップと、その色彩情報検出ステップにより検出された色彩情報色の値が所定の範囲に含まれる場合に、前記原稿が特殊原稿であると判断する判断ステップと、前記プレスキャン処理ステップによりカラー画像を読み取った後、前記画像読取手段により前記原稿を再度モノクロ画像で読み取る本スキャン処理ステップと、前記判断ステップにより前記原稿が特殊原稿であると判断された場合は、前記本スキャン処理ステップにより読み取られたモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する出力ステップとを備えている。
例えば、カーボン紙を介して複写されたような特殊な原稿(以下、「特殊原稿」と称す)は、原稿の端付近にカーボン紙のインクが付着していることが多い。インクの濃度は、原稿の地色の濃度より濃いので、原稿にインクが付着されていれば、そのインクが付着されている部分の明度は低くなる。従って、原稿の端付近の画像を読み取り、その読み取った画像の明度を検出し、その明度が所定の範囲に含まれるかにより、その原稿が特殊原稿かを判定することができる。
請求項1記載の画像処理装置によれば、原稿の種類を判定するための判定範囲は、画像読取手段の移動方向に対して垂直となる方向の一端側に設けられ、その判定範囲の画像が判定範囲処理手段により読み取られる。そして、その判定範囲処理手段により読み取られた画像の明度が明度検出手段により検出される。判断手段は、その明度検出手段により検出された明度が所定の範囲である場合にその原稿が特殊原稿であると判断する。判断手段により、その原稿が特殊原稿であると判断された場合、出力手段は、読み取ったモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する。
特殊原稿に形成されている画像は、薄い画像が多いが、請求項1によれば、この薄い画像は出力手段により濃度が濃くなるように変更されて出力されるので、原稿の種類に応じて適切な濃度で出力することができるという効果がある。原稿の種類に応じて適切な濃度で出力されるので、使用者は、原稿の種類に応じた濃度の補正を行うように装置を手動で設定する必要が無く、使い勝手がよい。また、原稿の一端側に設けられた判定範囲の画像により、特殊原稿であることが判定されるので、原稿全体の画像に基づいて特殊原稿であるかを判定する場合に比べ、その判定処理を高速に行うことができるという効果もある。
請求項2記載の画像読取装置によれば、原稿の種類を判定するための判定範囲は、読取手段の移動方向に対して垂直となる方向の一端側に設けられ、その判定範囲のカラー画像が判定範囲処理手段により読み取られる。そして、色彩情報検出手段は、その判定範囲処理手段により読み取られたカラー画像の色彩情報の値を検出する。特殊原稿の端付近には、カーボン紙などのインクが付着され、そのインクは、青や赤などの色彩を有し、その色彩を表す色彩情報の値が検出される。判断手段は、色彩情報検出手段により検出された色彩情報の値が所定の範囲に含まれる場合に、原稿が特殊原稿であると判断する。モノクロ画像からは明度(輝度)のみが得られるので、有彩色の画像と無彩色の画像とを識別すること、さらに有彩色の画像の色の種類を識別できないが、カラー画像からは彩度や色相などが得られ、その彩度や色相などの色彩情報の値により、無彩色の画像と有彩色の画像とを識別し、さらに有彩色の画像の色の種類を識別することができる。判断手段は、色彩情報の値に基づいて判定を行うので、明度に基づいて特殊原稿であるかを判定する場合に比べ、精度良く特殊原稿であるかを判断することができるという効果がある。
そして、判断手段により、その原稿が特殊原稿であると判断された場合、出力手段は、読み取ったモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する。特殊原稿に形成されている画像は、薄い画像が多いが、請求項2によれば、この薄い画像は出力手段により濃度が濃くなるように変更されて出力されるので、原稿の種類に応じて適切な濃度で出力することができるという効果がある。原稿の種類に応じて適切な濃度で出力されるので、使用者は、原稿の種類に応じた濃度の補正を行うように装置を手動で設定する必要が無く、使い勝手がよい。また、原稿の一端側に設けられた判定範囲の画像により、特殊原稿であることが判定されるので、原稿全体の画像に基づいて特殊原稿であるかを判定する場合に比べ、その判定処理を高速に行うことができるという効果もある。
請求項3記載の画像読取装置によれば、請求項2記載の画像読取装置の奏する効果に加え、判定範囲処理手段により判定範囲の画像が読み取られ、その判定範囲の画像の色彩情報が、色彩情報検出手段により検出される。その検出される色彩情報は少なくとも明度、及び色相を含み、判断手段は、その検出された明度が所定の範囲に含まれ、かつ、色相が所定の範囲である場合に、原稿が特殊原稿であると判断する。
特殊原稿の端付近には、カーボン紙などのインクが付着されている。そのインクは、青や赤などの限られた色である。色相は、赤、黄、青というように区別される「色あい」であり、判定範囲の画像の色相がインクの限定された色を含む所定範囲以内であれば、インクが付着されていると判断することができる。よって、明度だけで判断する場合に比べ、明度と色相とにより判断するので、精度良く特殊原稿であるかを判定することができるという効果がある。
請求項4記載の画像読取装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の画像読取装置の奏する効果に加え、エッジ検出手段は、原稿の一端を検出し、判定範囲処理手段は、その検出された原稿の一端から他端側へ向けて略3mmの幅の内側であって、その検出された一端に沿う帯状の範囲を判定範囲として画像を読み取る。そして、この読み取られた画像に基づいて特殊原稿か否かの判定が行われる。特殊原稿の一端に沿う略3mm幅の内側には、カーボン紙などのインクが付着しており、この範囲の画像のみを読み取ることにより特殊原稿かを判定することができる。この略3mm幅は、原稿全体に比べ非常に狭い範囲であるので、原稿全体の画像に基づいて特殊原稿であるかの判定を行う場合に比べ、その判定処理をより高速に行うことができるという効果がある。
請求項5記載の画像読取装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の画像読取装置の奏する効果に加え、判断手段により原稿が特殊原稿であると判断された場合、出力手段は、読み取られたモノクロ画像のうち判定範囲を除く画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する。判断手段により、原稿が特殊原稿であると判断された場合は、判定範囲に例えばインクが付着され、そのインクが付着された画像が読み取られた場合である。このインクが付着された画像の濃度を濃くして例えば、印刷などを行うと、そのインクが付着した部分が濃く印刷され、見づらくなるが、この部分については、濃度が濃くなるように変更されない。よって、きれいな画像を形成することができるという効果がある。
請求項6記載の画像読取装置によれば、プレスキャン処理手段により、原稿の全範囲のモノクロ画像が読み取られ、そのモノクロ画像に基づいてエッジ検出手段により、原稿の複数のエッジが検出される。明度検出手段は、その検出された複数のエッジに沿う原稿の内側の帯状の範囲を判定範囲とし、その判定範囲の明度を検出する。特殊原稿は、一般に長方形であって4辺を有し、その4辺のうちのいずれかの辺の近辺にカーボン紙などのインクが付着していることが多い。原稿の一辺だけについてインクが付着しているか否かを検出する場合には、検出されない可能性があるが、請求項6では、複数の辺について検出を行うので、より精度良く検出することができるという効果がある。判断手段は、明度検出手段により検出された明度が所定の範囲に含まれる場合に、原稿が特殊原稿であると判断する。インクの濃度は、原稿の地色の濃度より高いので、原稿にインクが付着されていれば、インクが付着されている部分の画像の明度が低くなる。よって、読み取られた画像の明度を検出することによりインクが付着しているか否かを判定することができ、判断手段は、インクが付着している場合に、特殊原稿であると判断する。
本スキャン処理手段は、原稿を再度モノクロ画像で読み取り、判断手段により原稿が特殊原稿であると判断された場合、出力手段は、本スキャン処理手段により読み取られたモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する。特殊原稿に形成されている画像は、薄い画像が多いが、請求項6によれば、この薄い画像は出力手段により濃度が濃くなるように変更されて出力されるので、原稿の種類に応じて適切な濃度で出力することができるという効果がある。原稿の種類に応じて適切な濃度で出力されるので、使用者は、原稿の種類に応じた濃度の補正を行うように装置を手動で設定する必要が無く、使い勝手がよい。
請求項7記載の画像読取装置によれば、プレスキャン処理手段により、原稿の全範囲のカラー画像が読み取られ、そのカラー画像に基づいてエッジ検出手段により、原稿の複数のエッジが検出される。色彩情報検出手段は、その検出された複数のエッジに沿う原稿の内側の帯状の範囲を判定範囲とし、その判定範囲の色彩情報の値を検出する。特殊原稿は、一般に長方形であって4辺を有し、その4辺のうちのいずれかの辺の近辺にインクが付着していることが多い。したがって、原稿の一辺だけについてインクが付着しているか否かを検出すると、特殊原稿であってもインクが検出されない可能性があるが、請求項7では複数の辺について検出を行うので、より精度良く検出することができるという効果がある。特殊原稿は、原稿の端付近に、インクが付着され、そのインクは、青色や赤色などの色彩を有し、その色彩を表す色彩情報の値が色彩情報検出手段により検出される。判断手段は、色彩情報検出手段により検出された色彩情報の値が所定の範囲に含まれる場合に、原稿が特殊原稿であると判断する。モノクロ画像からは明度(輝度)のみが得られるので、有彩色の画像と無彩色の画像とを識別すること、さらに有彩色の画像の色の種類を識別できないが、カラー画像からは彩度や色相などが得られ、その彩度や色相などの色彩情報の値により、無彩色の画像と有彩色の画像とを識別し、さらに有彩色の画像の色の種類を識別することができる。判断手段は、色彩情報の値に基づいて判定を行うので、明度に基づいて特殊原稿であるかを判定する場合に比べ、精度良く特殊原稿であるかを判断することができるという効果がある。
本スキャン処理手段は、原稿を再度モノクロ画像で読み取る。そして、判断手段により原稿が特殊原稿であると判断された場合、出力手段は、本スキャン処理手段により読み取られたモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する。特殊原稿に形成されている画像は、薄い画像が多いが、請求項7によれば、この薄い画像は出力手段により濃度が濃くなるように変更されて出力されるので、原稿の種類に応じて適切な濃度で出力することができるという効果がある。原稿の種類に応じて適切な濃度で出力されるので、使用者は、原稿の種類に応じた濃度の補正を行うように装置を手動で設定する必要が無く、使い勝手がよい。
請求項8記載の画像読取装置によれば、請求項7記載の画像読取装置の奏する効果に加え、色彩情報検出手段により検出された色彩情報は少なくとも明度、及び色相を含み、判断手段は、明度が所定の範囲に含まれ、かつ、色相が所定の範囲である場合に、原稿が特殊原稿であると判断する。特殊原稿は、端付近にインクが付着され、そのインクは、青や赤などの限定された色である。色相は、赤、黄、青というように区別される「色あい」であり、判定範囲の画像の色相がインクに用いられる限定された色を含む所定範囲以内であれば、インクが付着されていると判断することができる。よって、明度だけで判断するよりも、より精度良く特殊原稿であるかを判定することができるという効果がある。
請求項9記載の画像読取装置によれば、請求項6記載の画像読取装置の奏する効果に加え、明度検出手段は、エッジ検出手段により検出されたエッジから、そのエッジに対向するエッジ側へ向けて略3mmの幅の内側であって、その検出されたエッジに沿う帯状の範囲を判定範囲として、その判定範囲の明度を検出する。そして、この検出された明度に基づいて特殊原稿か否かの判定が行われる。特殊原稿は、原稿の一端に沿う略3mm幅の内側に、カーボン紙などのインクが付着していることが多く、この範囲の画像を使用することにより特殊原稿かを判定することができる。この略3mm幅は、原稿全体に比べ非常に狭い範囲であるので、原稿全体の画像に基づいて特殊原稿であるかの判定を行う場合に比べ、その判定処理をより高速に行うことができるという効果がある。
請求項10記載の画像読取装置によれば、請求項7または8記載の画像読取装置の奏する効果に加え、色彩情報検出手段は、エッジ検出手段により検出されたエッジから、そのエッジに対向するエッジ側へ向けて略3mmの幅の内側であって、その検出されたエッジに沿う帯状の範囲を判定範囲として、その判定範囲の色彩情報を検出する。そして、この検出された色彩情報に基づいて特殊原稿か否かの判定が行われる。特殊原稿は、原稿の一端に沿う略3mm幅の内側に、カーボン紙などのインクなどが付着していることが多く、この範囲の画像を使用することにより特殊原稿かを判定することができる。この略3mm幅は、原稿全体に比べ非常に狭い範囲であるので、原稿全体の画像に基づいて特殊原稿であるかの判定を行う場合に比べ、その判定処理をより高速に行うことができるという効果がある。
請求項11記載の画像読取装置によれば、請求項6から10のいずれかに記載の画像読取装置の奏する効果に加え、プレスキャン処理手段は、所定の解像度で原稿の全範囲の画像を読み取り、画像情報記憶手段は、そのプレスキャン処理手段により読み取られた原稿の全範囲の画像を記憶する。エッジ検出手段は、その画像情報記憶手段により記憶された画像に基づいて原稿の複数のエッジを検出し、判断手段により、検出されたエッジに沿う判定範囲の画像に基づいて、原稿が特殊原稿かを判断する。本スキャン処理手段は、プレスキャン処理手段の読み取り解像度より高い解像度で画像読取手段によりモノクロ画像を取得するものである。即ち、プレスキャン処理手段は、本スキャン処理手段より低い解像度で画像を読み取るので、画像情報記憶手段の記憶容量を小さくすることができるとともに、読み取りを高速で行うことができるという効果がある。一方、本スキャン処理手段は、高い解像度で画像を読み取るので、高画質の画像情報を出力することができる。
請求項12記載の画像読取装置によれば、請求項1または6に記載の画像読取装置の奏する効果に加え、白色画素検出手段は、画像読取手段により読み取られた画像を構成する画素の明度値が所定の明度値より大きい白色画素を検出する。平均明度値算出手段は、判定範囲の画像を構成する画素から白色画素検出手段により検出された白色画素を除いた上で、判定範囲の画素の明度値を平均した平均明度値を算出し、その算出された平均明度値が判定範囲の明度とされる。特殊原稿の端付近には、カーボン紙などのインクが付着されるが、その量は微量であり、判定範囲の多くの部分は、地色である。従って、地色が白色である場合に、判定範囲に含まれる白色の画素の明度と、インクが付着されている部分の明度とを合わせて平均するとその平均値は、白色の画素の明度の値に近くなり、インクが付着されているか否かを判定するのが困難である。請求項12によれば、判定範囲に含まれる画素のうち、白色の画素を除いた残りの画素の明度の平均値を算出するので、その平均値は、白色の画素の明度との差が大きい値となり精度良く特殊原稿を判定することができるという効果がある。
請求項13記載の画像読取装置によれば、請求項1または6に記載の画像読取装置の奏する効果に加え、地色検出手段は、画像読取手段により読み取られた画像に基づいて地色を検出し、平均明度値算出手段は、判定範囲の画像を構成する画素から地色検出手段により検出された地色の画素を除いた上で、判定範囲の画素の明度値を平均した平均明度値を算出し、その算出された平均明度値が判定範囲の明度とされる。特殊原稿の端付近には、カーボン紙などのインクが付着されるが、その量は微量であり、判定範囲の多くの部分は、地色である。従って、判定範囲の全画素の多くは、地色の画素であり、地色の明度と、インクが付着されている部分の明度とを合わせて平均するとその平均値が、地色の明度の値に近くなり、インクが付着されているか否かを判定するのが困難である。請求項13によれば、判定範囲に含まれる画素のうち、地色の画素を除いた画素の明度の平均値を算出するので、その平均値は、地色の明度との差が大きい値となり精度良く特殊原稿を判定することができるという効果がある。
請求項14記載の画像読取装置によれば、請求項2,3,7,8,9,10のいずれかに記載の画像読取装置の奏する効果に加え、白色画素検出手段は、画像読取手段により読み取られたカラー画像を構成する画素の明度値が所定の明度値より大きい白色画素を検出する。色彩情報平均値算出手段は、判定範囲の画像を構成する画素から検出された白色画素を除いた上で、判定範囲の画素の明度値および彩度値をそれぞれ平均した平均明度値および平均彩度値を算出し、その色彩情報平均値算出手段により算出された平均明度値及び平均彩度値を判定範囲の色彩情報とする。特殊原稿の端付近には、カーボン紙などのインクが付着されるが、その量はごく少量であり、判定範囲の多くの部分は、地色である。従って、地色が白色である場合に、判定範囲に含まれる白色の画素の明度と、インクが付着されている部分の明度とを合わせて平均するとその平均値と、白色の画素の明度の値との差が小さくなり、特殊原稿の判定が困難になる。同様に、判定範囲に含まれる白色の画素の彩度と、インクが付着されている部分の彩度とを合わせて平均するとその平均値と、白色の画素の彩度の値との差も小さくなり、特殊原稿の判定が困難になるが、請求項14によれば、判定範囲の画素のうち、白色の画素を除いた残りの画素の明度値を平均し、更にする白色の画素を除いた残りの画素の彩度値を平均するので、白色の画素の明度および彩度との差が大きくなり、精度良く判定することができるという効果がある。
請求項15記載の画像読取装置によれば、請求項2,3,7,8,9,10のいずれかに記載の画像読取装置の奏する効果に加え、無彩色画素検出手段は、画像読取手段により読み取られたカラー画像を構成する画素の彩度値に基づいて、無彩色の画素を検出する。色彩情報平均値算出手段は、判定範囲の画像を構成する画素から無彩色画素検出手段により検出された無彩色画素を除いた上で、判定範囲の画素の明度値及び彩度値をそれぞれ平均した平均明度値及び平均彩度値を算出し、その色彩情報平均値算出手段により算出された、平均明度値及び平均彩度値を判定範囲の色彩情報とする。特殊原稿の端付近には、カーボン紙などのインクが付着されるが、ゴミや汚れが付着する場合があり、これらのゴミや汚れの画像は、灰色などの無彩色である。
従って、判定範囲に含まれる全ての画素の明度および彩度のそれぞれの平均値は、これらの無彩色の画素の明度および彩度も含めた平均値となり、インクだけが付着している場合の平均値とは、異なり、精度良く判定することができないが、判定範囲の画素のうち、無彩色の画素を除いた画素の明度および彩度の平均値を求めることにより、これらのゴミや汚れによる影響を排除し、精度良く特殊原稿かを判定することができるという効果がある。
請求項16記載の画像読取装置によれば、請求項2,3,7,8,9,10のいずれか記載の画像読取装置の奏する効果に加え、地色検出手段は、画像読取手段により読み取られたカラー画像に基づいて地色を検出する。原稿の地色が、白色や灰色以外の色である場合に、原稿のモノクロ画像に基づいて地色を判断すると、原稿の色とインクの色とが異なっても、明度が等しい場合は、インクの画素も地色と判断されてしまうが、カラー画像に基づいて判断すると、原稿の地色とインクとを識別することができる。
色彩情報平均値算出手段は、判定範囲の画像を構成する画素から地色検出手段により検出された地色の画素を除いた上で、判定範囲の画素の明度値及び彩度値をそれぞれ平均した平均明度値及び平均彩度値を算出し、その算出された、平均明度値及び平均彩度値を判定範囲の色彩情報とする。特殊原稿の端付近には、カーボン紙などのインクが付着されるが、その量は微量であり、判定範囲の多くの部分は、地色である。従って、判定範囲に含まれる地色の画素の明度と、インクが付着されている部分の明度とを合わせて平均するとその平均値と、地色の画素の明度の値との差が小さくなり、特殊原稿の判定が困難になる。同様に、判定範囲に含まれる地色の画素の彩度と、インクが付着されている部分の彩度とを合わせて平均するとその平均値と、地色の画素の彩度の値との差も小さくなり、特殊原稿の判定が困難になるが、請求項16によれば、判定範囲の画素のうち、地色の画素を除いた残りの画素の明度値を平均し、更にする白色の画素を除いた残りの画素の彩度値を平均するので、地色の画素の明度および彩度との差が大きくなり、精度良く判定することができるという効果がある。
請求項17記載の画像読取装置によれば、請求項14から16のいずれか記載の画像読取装置の奏する効果に加え、色彩情報平均値算出手段は、判定範囲の画像を構成する画素から色相値が所定の範囲内である画素を抽出し、その抽出した画素の明度値または彩度値をそれぞれ平均して平均明度値または平均彩度値を算出する。特殊原稿の端付近には、カーボン紙などのインクが付着し、そのインクの色は、青や赤などの限られた色である。これらの色は、色相の値により識別することができる。色相の範囲を設定し、画素の色相値が、その範囲に入る画素を対象として、平均明度値または平均彩度値を算出する。これにより、カーボン紙により付着したインクか否かをより精度良く判定することができるという効果がある。
請求項18記載の画像読取処理プログラムによれば、原稿の種類を判定するための判定範囲は、画像読取手段の移動方向に対して垂直となる方向の一端側に設けられ、その判定範囲の画像が判定範囲処理ステップにより読み取られる。そして、その判定範囲処理ステップにより読み取られた画像の明度が明度検出ステップにより検出される。判断ステップは、その明度検出ステップにより検出された明度が所定の範囲である場合にその原稿が特殊原稿であると判断する。判断ステップにより、その原稿が特殊原稿であると判断された場合、出力ステップは、読み取ったモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する。
特殊原稿に形成されている画像は、薄い画像が多いが、請求項18によれば、この薄い画像は出力ステップにより濃度が濃くなるように変更されて出力されるので、原稿の種類に応じて適切な濃度で出力することができるという効果がある。原稿の種類に応じて適切な濃度で出力されるので、使用者は、原稿の種類に応じた濃度の補正を行うように装置を手動で設定する必要が無く、使い勝手がよい。また、原稿の一端側に設けられた判定範囲の画像により、特殊原稿であることが判定されるので、原稿全体の画像に基づいて特殊原稿であるかを判定する場合に比べ、その判定処理を高速に行うことができるという効果もある。
請求項19記載の画像読取処理プログラムによれば、原稿の種類を判定するための判定範囲は、読取手段の移動方向に対して垂直となる方向の一端側に設けられ、その判定範囲のカラー画像が判定範囲処理ステップにより読み取られる。そして、色彩情報検出ステップは、その判定範囲処理ステップにより読み取られたカラー画像の色彩情報の値を検出する。特殊原稿は、原稿の端付近にインクが付着され、そのインクは、青や赤などの色彩を有し、その色彩を表す色彩情報の値が検出される。判断ステップは、その色彩情報検出ステップにより検出された色彩情報の値が所定の範囲に含まれる場合に、原稿が特殊原稿であると判断する。モノクロ画像からは明度(輝度)のみが得られるので、有彩色の画像と無彩色の画像とを識別すること、さらに有彩色の画像の色の種類を識別できないが、カラー画像からは彩度や色相が得られ、その彩度や色相などの色彩情報の値により、無彩色の画像と有彩色の画像とを識別し、さらに有彩色の画像の色の種類を識別することができる。判断手段は、色彩情報の値に基づいて判定を行い、明度に基づいて特殊原稿であるかを判定する場合に比べ、精度良く特殊原稿であるかを判断することができるという効果がある。
そして、判断ステップにより、その原稿が特殊原稿であると判断された場合、出力ステップは、読み取ったモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する。特殊原稿に形成されている画像は、薄い画像が多いが、請求項19によれば、この薄い画像は出力ステップにより濃度が濃くなるように変更されて出力されるので、原稿の種類に応じて適切な濃度で出力することができるという効果がある。原稿の種類に応じて適切な濃度で出力されるので、使用者は、原稿の種類に応じた濃度の補正を行うように装置を手動で設定する必要が無く、使い勝手がよい。また、原稿の一端側に設けられた判定範囲の画像により、特殊原稿であることが判定されるので、原稿全体の画像に基づいて特殊原稿であるかを判定する場合に比べ、その判定処理を高速に行うことができるという効果もある。
請求項20記載の画像読取処理プログラムによれば、プレスキャン処理ステップにより、原稿の全範囲のモノクロ画像が読み取られ、そのモノクロ画像に基づいてエッジ検出ステップにより、原稿の複数のエッジが検出される。明度検出ステップは、その検出された複数のエッジに沿う原稿の内側の帯状の範囲を判定範囲とし、その判定範囲の明度を検出する。特殊原稿は、一般に長方形であって4辺を有し、その4辺のうちのいずれかの辺の近辺にカーボン紙などのインクが付着していることが多い。したがって、原稿の一辺だけについてインクが付着しているか否かを検出する場合には、特殊原稿であっても検出されない可能性があるが、請求項20では複数の辺について検出を行うので、より精度良く検出することができるという効果がある。判断ステップは、明度検出ステップにより検出された明度が所定の範囲に含まれる場合に、原稿が特殊原稿であると判断する。インクの濃度は、原稿の地色の濃度より高いので、原稿にインクが付着されていれば、インクが付着されている部分の画像の明度が低くなる。よって、読み取られた画像の明度を検出することによりインクが付着しているか否かを判定することができ、判断手段は、インクが付着されている場合に、特殊原稿であると判断する。
本スキャン処理ステップは、原稿を再度モノクロ画像で読み取り、判断ステップにより原稿が特殊原稿であると判断された場合、出力ステップは、本スキャン処理ステップにより読み取られたモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する。特殊原稿に形成されている画像は、薄い画像が多いが、請求項20によれば、この薄い画像は出力ステップにより濃度が濃くなるように変更されて出力されるので、原稿の種類に応じて適切な濃度で出力することができるという効果がある。原稿の種類に応じて適切な濃度で出力されるので、使用者は、原稿の種類に応じた濃度の補正を行うように装置を手動で設定する必要が無く、使い勝手がよい。
請求項21記載の画像読取処理プログラムによれば、プレスキャン処理ステップにより、原稿の全範囲のカラー画像が読み取られ、そのカラー画像に基づいてエッジ検出ステップにより、原稿の複数のエッジが検出される。色彩情報検出ステップは、その検出された複数のエッジに沿う原稿の内側の帯状の範囲を判定範囲とし、その判定範囲の色彩情報の値を検出する。特殊原稿は、一般に長方形であって4辺を有し、その4辺のうちのいずれかの辺の近辺にインクが付着していることが多い。したがって、原稿の一辺だけについてインクが付着しているか否かを検出すると、特殊原稿であってもインクが検出されない可能性があるが、請求項21では、複数の辺について検出を行うので、より精度良く検出することができるという効果がある。また、特殊原稿は、原稿の端付近に、インクが付着され、そのインクは、青色や赤色などの色彩を有し、その色彩を表す色彩情報の値が色彩情報検出ステップにより検出される。判断ステップは、色彩情報検出ステップにより検出された色彩情報の値が所定の範囲に含まれる場合に、原稿が特殊原稿であると判断する。モノクロ画像からは明度(輝度)のみが得られるので、有彩色の画像と無彩色の画像とを識別すること、さらに有彩色の画像の色の種類を識別できないが、カラー画像からは彩度や色相が得られ、その彩度や色相などの色彩情報の値により、無彩色の画像と有彩色の画像とを識別し、さらに有彩色の画像の色の種類を識別することができる。判断ステップは、色彩情報の値に基づいて判定を行い、明度に基づいて特殊原稿であるかを判定する場合に比べ、精度良く特殊原稿であるかを判断することができるという効果がある。
本スキャン処理ステップは、原稿を再度モノクロ画像で読み取る。そして、判断ステップにより原稿が特殊原稿であると判断された場合、出力ステップは、本スキャン処理手段により読み取られたモノクロ画像を構成する各画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更して出力する。特殊原稿に形成されている画像は、薄い画像が多いが、請求項21によれば、この薄い画像は出力ステップにより濃度が濃くなるように変更されて出力されるので、原稿の種類に応じて適切な濃度で出力することができるという効果がある。原稿の種類に応じて適切な濃度で出力されるので、使用者は、原稿の種類に応じた濃度の補正を行うように装置を手動で設定する必要が無く、使い勝手がよい。
以下、本発明の好ましい第1の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態における多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)もしくは(Multi Function Printer)」と略す)1の外観構成を示す斜視図である。図1に示すように、本MFP1は、下部に設けられたプリンタ2と、上部に設けられたスキャナ3と、スキャナ3の正面側に設けられた操作パネル4とを一体的に備え、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能を有する。
MFP1は、不図示のコンピュータと接続されて、そのコンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、記録用紙(被記録媒体)に画像や文書を記録したり、デジタルカメラ等の外部機器と接続されてデジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録したり、メモリカード等の各種記憶媒体を装填して、その記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録することが可能である。
スキャナ3は、FBS(Flatbed Scanner、以下「FBS」という)として機能する原稿読取台6に対して、自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder、以下「ADF」という。)7を備えた原稿カバー8が、背面側の蝶番を支点として開閉自在に取り付けられている。
原稿読取台6の上面は大きく開口されており、その開口部にプラテンガラスが嵌め込まれ、原稿読取台6の内部には、上記画像読取ユニット3a(図3参照)の移動スペースや、画像読取ユニット3aを支持する部材および駆動させる機構などを配設するスペースが確保されている。
ADF7は、原稿トレイ9から原稿排出トレイ10へ原稿搬送路を通じて原稿を搬送するものである。ADF7には、原稿を取り込む際に原稿の先端を検出する原稿先端センサ(図示なし)が設けられ、そのセンサにより検出された原稿の先端を基準位置として、原稿を搬送する制御が行なわれる。
プリンタ2は、スキャナ3で読み取られた画像データ或いは外部から入力された画像データに基づいて、選択的にインク滴を吐出することによって、記録用紙上に画像を記録する所謂インクジェット方式の画像記録装置(インクジェット記録装置)である。このプリンタ2は、上述したように、スキャナ3の下方に配設されている。
MFP1の正面側、換言すれば、プリンタ2の正面側には開口5が形成されている。この開口5内に給紙トレイ14及び排紙トレイ15が完全に内包されるように設けられている。給紙トレイ14と排紙トレイ15は上下二段となるように配設されており、上段に排紙トレイ15が設けられ、その下方に給紙トレイ14が設けられている。
MFP1の正面側には、図1に示すように横長形状の操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、プリンタ2やスキャナ3を操作するためのものであり、各種操作キー40と液晶表示部(LCD:Liquid Crystal Display)41(以下、表示画面と称す)とを具備する。この表示画面41は、縦横比が3:4の画面を横に2個並べ、縦横比が3:8のものである。
使用者は、操作パネル4を用いて、所望の指令を入力することができる。MFP1に所定の指令が入力されると、その入力された情報に基づいて該MFP1の動作が制御される。操作パネル4に設けられる操作キー40には、十字キーやテンキーなどが設けられている。
プリンタ2の上記開口5の上側には、接続パネル70が設けられている。この接続パネル70には、その左端側にUSB端子71が配設されている。USB端子71は、外部機器とUSB接続することにより該外部機器と本MFP1とを通信可能に接続するコネクタ端子である。また、接続パネル70の右端側にはスロット部72が配設されている。スロット部72はカード型メモリを装填可能な複数のカードスロットが設けられている。カードスロットにカード型メモリが装填され、その装填されたカード側メモリから画像データが読み出されると、その読み出された画像データや該画像データに関する情報が表示画面41に表示される。
図2は、原稿カバー8が開かれた状態のMFP1の外観を示す斜視図である。図2に示すように、原稿カバー8の裏側には、原稿押さえ19が設けられている。原稿押さえ19は、少なくとも片面が白色に形成された板状の部材であり、白色面が下向きに固定されている。原稿読取台6の上面は大きく開口されており、その開口部にはプラテンガラス12が嵌め込まれている。プラテンガラス12の上面の一端(図2では、左側)に、プラテンガラス12の上面に原稿を載置する際に、原稿の一辺を当接させる原稿ガイド16が設けられている。
原稿読取台6の内部には、画像読取ユニット3a(図3参照)が内蔵され、副走査方向(X方向)に往復移動可能に設けられている。この画像読取ユニット3aについて、詳細は後述する。なお、副走査方向Xと垂直な方向(Y方向)を主走査方向という。
このように構成されたスキャナ3をFBSとして使用する場合は、原稿カバー8を開いてプラテンガラス12上に原稿を載置し、その後、原稿カバー8を閉じて当該原稿を固定する。原稿は、プラテンガラス12と原稿押さえ19との間に挟まれることにより固定される。読取開始指令が入力されると、画像読取ユニット3aがプラテンガラス12の裏面に沿って副走査方向Xに走査され、原稿の画像が読み取られる。
ADF7を使用し、原稿を自動搬送させて読み取る場合は、ADF7による原稿の搬送過程において、原稿が原稿読取台6上の読取面13を通過し、該読取面13の下方に移動して待機する画像読取ユニット3aによって該原稿の画像が読み取られる。このようなADF7による画像読み取りは、原稿カバー8が原稿読取台6に対して閉じられた状態で行われる。
次に、図3を参照して、スキャナ3の概略について説明する。図3は、スキャナ3の構成を概略的に表した断面図であり、MFP1を正面視したものである。図3に示すように、原稿読取台6の開口部には、プラテンガラス12が嵌め込まれており、その下方には画像読取ユニット3aが設けられている。
画像読取ユニット3aは、CIS方式により原稿を読み取るものであり、光を照射する光源(LED)3bと、原稿Gの読み取り部分に光を収束させるための導光体3cと、原稿Gから反射された反射光を撮像素子3eに集光させるための導光体3dと、受光した光の強度に応じて電圧を出力する撮像素子3eとを一ライン分、主走査方向Yに沿って備え、副走査方向Xに往復移動可能に設けられている。
プラテンガラス12の上面に原稿Gを載置して、操作キー40の原稿読み取りボタンが押下されると、画像読取ユニット3aが原稿Gの読み取り開始位置に搬送され、原稿Gの読み取りが開始される。まず、LED3bが点灯され、光が照射される。その光は、導光体3cにより経路が変更され、照射光Sとして撮像素子3eの上方に向かって照射される。原稿G(プラテンガラス12)の表面で反射された光のうち、撮像素子3eに向かって反射する反射光Rは、導光体3dにより集光され、撮像素子3eにより受光される。撮像素子3eは、CMOSセンサーなどにより構成され、受光した光の強度に応じて電圧値を出力し、その電圧値は、ASIC3fに入力される。撮像素子3eは、複数の素子が直線上(主走査方向Y)に配設されたものであり、一の素子が画像データの一ラインの一の画素を形成する。原稿Gの一ライン分が読み取られると、画像読取ユニット3aは、次の一ラインを読み取るために副走査方向Xに所定量搬送され、次の一ライン分の読み取りが行われる。この一ライン分の読み取りと所定量の搬送とが繰り返され、原稿Gの全域の読み取りが行われる。尚、搬送される所定量は、読み取りに際して設定される解像度等によって適宜設定される。
ASIC3fは、撮像素子3eの各素子より入力された電圧値をそれぞれ16ビットの数値データに変換し、その後、各種のデータ補正を行い、画像データとして出力させるために設計された集積回路である。撮像素子3eの一の素子に対応する画素値は、16ビットの数値で形成される。ASIC3fから出力された画像データは、後述の図4に示すバスライン25を介して、RAM23(図4参照)の画像メモリ23aに書き込まれ、原稿Gの画像が画像データとして記憶される。
次に、図4を参照してMFP1の電気的構成について説明する。図4は、MFP1の電気的構成を示したブロック図である。MFP1は、プリンタ2、スキャナ3、CPU21、ROM22、RAM23、ネットワーク・コントロール・ユニット(以下、「NCU」と称す)31、モデム32、操作キー40、LCD41、USB端子71、スロット部72、アンプ73、スピーカ74を主に備え、これらはバスライン25を介してお互いに接続されている。
CPU21は、ROM22やRAM23に記憶される固定値やプログラム或いは、MFP1が備えている各機能の制御や、NCU31を介して送受信される各種信号にしたがって、バスライン25により接続された各部を制御するものである。ROM22は、このMFP1で実行される各種の制御プログラム22aと、その制御プログラム22aにより、画像の濃度を設定する際に参照される通常のガンマテーブル22bおよびカーボン紙専用のガンマテーブル22cとを記憶する書換不能なメモリである。制御プログラム22aの一つとして、スキャナ3により原稿Gの画像を読み込み、印刷を行う複写処理を行うものがあり、この複写処理については、図11に示すフローチャートを参照して後述する。
通常のガンマテーブル22bは、印刷を行う場合に、画素の濃度値を変更しない変換テーブルであり、カーボン紙専用のガンマテーブル22cは、画素の濃度値を濃度が濃くなるように変更する変換テーブルである。スキャナ3により読み込まれた画像により、原稿Gがカーボンコピーされた特殊な原稿であるか否かが判定され、原稿Gが、カーボンコピーされたものではないと判定された場合は、通常のガンマテーブル22bにより変換が行われ、カーボンコピーされたものであると判定された場合は、カーボン紙専用のガンマテーブル22cにより変換が行われ、変換された画素の濃度値に基づいて、印刷が行われる。通常のガンマテーブル22bとカーボン紙専用のガンマテーブル22cについては、図10を参照して後述する。
RAM23は各種のデータを記憶するための書換可能なメモリである。このRAM23には、画像メモリ23aなどの各種のメモリが設けられている。画像メモリ23aは、スキャナ3により読み取られた原稿の画像データ等を記憶するメモリである。原稿Gがカーボンコピーされたものであるか否かを判定する際には、スキャナ3により読み込まれた画像の画素値(RGB)が、この画像メモリ23aに記憶され、その画素値に基づいて判定が行われる。
NCU31は電話網(図示しない)に対するダイヤル信号の送出や、電話網からの呼出信号の応答等の動作を行うものである。モデム32は、NCU31を介して、画像データを変調及び復調し、相手ファクシミリ装置(図示しない)へ伝送すると共に、伝送制御用の各種手順信号を送受信するためのものである。USB端子71は、コンピュータとUSBケーブル(図示しない)を介してデータの送受信を行うための既知の回路である。アンプ73は、そのアンプ73に接続されたスピーカ74を鳴動して、呼出音などを出力するためのものである。
次に、図5を参照して、スキャナ3により読み取られる原稿Gと、読み取られた原稿Gの画像データと、原稿Gのエッジを検出する方法について説明する。図5(a)は、スキャナ3の画像読取ユニット3aと、プラテンガラス12と、プラテンガラス12に載置された原稿Gとを概略的に表した平面図である。図5(b)は、図5(a)に示すA−A’線における断面図である。図5(c)は、スキャナ3により読み取られた画像データの全体を模式的に表した図である。
スキャナ3により原稿Gが読み取られる場合は、読み取られる原稿のサイズに関わらず、画像読取ユニット3aにより読み取り可能な領域全てが読み取られる。読み取られた画像データから原稿Gのエッジが検出され、そのエッジに沿う帯状の範囲(領域)の画像を検査することにより、読み取ろうとしている原稿Gが、カーボンコピーされたものであるか否かが判断される。
カーボンコピーされた原稿Gを注意深く観察すると、その多くは、原稿Gの4辺のそれぞれのエッジから略3mm程原稿Gの内側の幅の範囲に、カーボン紙から転写されたインクが付着している。カーボン紙の多くは、青、または赤などのインクが塗布されており、これらの色のインクが付着される。従って、原稿Gのエッジの内側で、エッジに沿う帯状の範囲を判定範囲として設定し、その判定範囲の画像を読み取り、その判定範囲の画像に基づいて、インクが付着されているか否かを判定し、これらの色のインクが付着している場合に、カーボンコピーされた特殊原稿であると判定する。
そこで、まず、原稿Gのエッジを検出する方法について説明する。なお、本実施形態においては、説明を分かりやすくするために、原稿1枚分の画像データが一旦画像メモリ23aに格納される場合を例として説明する。
図5(a)に示すように、原稿Gは、本実施形態においては長方形であって、画像記録部Pとその画像記録部Pの周囲を囲む余白とにより形成されている。原稿Gは、読み取り面である画像記録部Pが下面に向けられ、原稿Gの一辺が副走査方向Xに平行となるようにプラテンガラス12上に載置されている。原稿カバー8は閉じられており、原稿Gは、プラテンガラス12と原稿押さえ19とに挟まれ固定される。尚、図5(a)の例では、原稿Gの長手方向の一辺が副走査方向Xに平行となるように載置された状態を示しているが、プラテンガラス12の上面に設置された原稿ガイド16に原稿の一辺が当接されて載置されることもある。
図5(b)は、図5(a)に示すA−A’線における断面図であり、画像読取ユニット3aが、X0、X1、X2の位置に移動された場合を重複して図示している。画像読取ユニット3aが待機している状態(図示なし)で、操作キー40の原稿読み取りボタンが押下されると、画像読取ユニット3aが原稿の読み取り開始位置X0に搬送され、原稿Gの読み取りが開始される。この位置X0においては、撮像素子3eの上部に原稿が載置されていないため、原稿押さえ19の表面で反射した光が読み取られ、画像データとして画像メモリ23aに記憶される。一ライン分の画像データが読み取られると、画像読取ユニット3aは、副走査方向Xに所定量搬送され、次の一ライン分の読み取りが行われる。この読み取りと搬送とが繰り返される。
画像読取ユニット3aが、副走査方向Xに搬送され、原稿Gの一つのエッジに対応する位置X1に搬送されると、原稿Gのエッジの画像が読み取られ、画像データとして画像メモリ23aに記憶される。この位置X1では、正面視した照射光Sは、左上方に向かうよう角度が設けられているため、この原稿Gの一端で光の回折が生じて反射光Rが強くなり、図5(c)の位置X1に示すように原稿押さえ19部分の画像データよりも白い画像データとなる。よって、この色の違いにより原稿Gのエッジを識別することができる。
さらに、画像読取ユニット3aが、原稿Gの副走査方向Xに移動され、原稿Gの他のエッジに対応する位置X2に搬送されると、同様に原稿Gの他のエッジの画像が読み取られる。この位置X2では、照射光Sに角度が設けられているため、この原稿Gのエッジで光の回折が生じて反射光Rが弱くなり、図5(c)の位置X2に示すように原稿押さえ19部分の画像データよりも黒い画像データとなる。よって、この色の違いにより原稿Gのエッジを識別することができる。
また、図5(a)に示す画像読取ユニット3aの照射光Sの方向は、左下方に向かうよう副走査方向Xおよび主走査方向Yと角度が設けられている。よって、画像読取ユニット3aにより、位置X1から位置X2までの原稿Gの画像が読み取られると、原稿Gの一つのエッジ(図5ではの上側の辺)に対応する画像は、図5(c)のY1に示すように黒い画像データとなり、原稿Gの他のエッジ(図5では下側の辺)に対応する画像は、図5(c)のY2に示すように白い画像データとなる。
従って、これら原稿Gの4つのエッジ(辺)に対応する黒い画像データと白い画像データとを検出することにより、原稿Gの4つのエッジを検出することができる。
次に、図6を参照して、カーボン紙のインクが付着しているか否かを検出する検出位置である判定範囲について説明する。原稿Gは、長方形であり、長方形の原稿Gには、4つのエッジ(または辺)があり、カーボン紙のインクが、このエッジに沿って付着されていることが多い。そこで、これらの4つのエッジに沿って判定範囲を設定し、その判定範囲の画像を読取り、カーボンコピーに用いられるインクが付着しているか否かを判定する。しかしながら、4つのエッジに沿って判定範囲を設定する場合は、一度、原稿Gの全範囲の画像を読み取り、カーボンコピーされたものであるか否かを判定した後、再度原稿Gの全範囲のモノクロ画像を読み取り、印刷を行う必要がある。この方法は、第2の実施形態として、後述する。
第1の実施形態としては、原稿Gの4つのエッジのうち、一つのエッジのみに沿って判定範囲を設定し、その判定範囲の画像に基づいてカーボンコピーされたものであるか否かを判定した後、原稿の残りの範囲(画像範囲)について、モノクロ画像を読み取り、カーボンコピーされたものである場合は、カーボン紙専用のガンマテーブル22cにより濃度を濃く補正し、カーボンコピーされたものでない場合は、通常のガンマテーブル22bにより濃度の補正を行わずにプリンタ2に出力するという処理を行う。この場合は、1回の走査により原稿の画像を読み取るので、2回走査を行う場合に比べ時間を短縮することができる。
図6、図7および図8は、第1の実施形態および第2の実施形態で適用される判定範囲の設定方法を示す平面図である。図6は、主走査方向Yの判定範囲を設定する場合の基準の設定方法を示し、図7は、判定範囲の主走査方向Yの長さSの設定方法を示し、図8は、副走査方向Xの判定範囲の位置を設定する方法を示す平面図である。
図6は、主走査方向Yの判定範囲を設定する方法を各種示し、原稿Gに対し、読み取り範囲を破線、中心線を一点鎖線、副走査方向をX、判定範囲を帯状の長方形でそれぞれ示し、判定範囲の主走査方向Yの長さをSとし、基準とする位置から判定範囲までの長さをそれぞれ示している。
図6(a)は、読み取り位置の中心を基準に設定する方法を示す。原稿Gは、スキャナ3に予め定められた所定位置に載置される。その所定位置に載置される原稿Gの中心を基準とし、図6(a)に一点鎖線で示すように、その中心から両側に長さAをとり、その範囲を判定範囲とし、判定範囲の主走査方向Yの長さSを2×Aとする方法である。この方法は、原稿Gの主走査方向Yの中心を読取り位置の中心に合わせるタイプのスキャナ3に適用する場合に好適である。なお、上記例では、中心の両側に等しい長さを設定するものとしたが、異なる長さに設定してもよい。
図6(b)は、原稿ガイド16の原稿Gが当接される端部を基準とする方法を示す。原稿ガイド16から長さBの位置を一端とし、判定範囲の主走査方向Yの長さをSとする方法である。この方法は、原稿Gを載置するプラテンガラス12などの上に原稿ガイド16が設置されているタイプのスキャナ3に好適である。
図6(c)は、読取範囲の両側を基準に設定する方法を示す。読取範囲は、画像読取ユニット3aが画像を読み取ることができる主走査方向Yの範囲である。図6(c)において、読取範囲の左端および右端をそれぞれ、破線で示し、左端の読み取り範囲から長さDの位置を判定範囲の左端とし、読取り範囲の右端から長さEの位置を判定範囲の右端とする方法である。
図6(d)は、原稿Gの主走査方向Yの両端のエッジを検出し、その検出された両端のエッジの中心を基準として判定範囲を設定する方法を示す。検出された両端のエッジ中心から両側の長さFの範囲を判定範囲とし、判定範囲の主走査方向Yの長さSを2×Fとする方法である。このように両側に等しい長さとしてもよいし、異なる長さとしてもよい。
図6(e)は、原稿Gの主走査方向Yの両端のエッジを検出し、その検出されたエッジを基準とする方法を示す。検出された原稿Gの左側のエッジから長さCの位置を判定範囲の左端とし、検出された原稿Gの右側のエッジから長さHの位置を判定範囲の右端とする方法である。このように両端からの長さを異なる長さとしてもよいし、同一の長さとしてもよい。
図6(f)は、原稿Gの主走査方向Yの両側のエッジを検出し、その検出されたエッジが読取り範囲の端と異なる場合の判定範囲を設定する方法を示す。この図6(f)の場合は、読取範囲の左端が、検出された原稿の左側のエッジより内側であって、検出された原稿の右側のエッジが読取範囲の右端より内側であり、読取範囲の左端と原稿の右側のエッジとの中心を基準として、その中心から両側に長さIをとり、その範囲を判定範囲とし、判定範囲の主走査方向Yの長さSを2×Iとする方法である。なお、上記例では、中心の両側に等しい長さを設定するものとしたが、異なる長さに設定してもよい。また、この図6(f)の場合とは反対に、原稿の左端が、読取り範囲の左端より内側であって、読取り範囲の右端が原稿の右端より内側である場合は、原稿の左端と読取り範囲の右端との中心を基準として、左右両側にIの長さを判定範囲とする。なお、このように中心から両側に等しい長さとしてもよいし、異なる長さとしてもよい。
図6(g)は、図6(f)の場合と同様に、原稿Gの主走査方向Yの両側のエッジを検出し、その検出されたエッジが読取範囲の端と異なる場合の判定範囲を設定する方法であって、この図の場合は、読取範囲の左端が、検出された原稿の左側のエッジより内側であって、検出された原稿の右側のエッジが読取範囲の右端より内側である。この場合は、読取範囲の左端と原稿の右側のエッジとを基準とし、読取範囲の左端から長さJの位置を判定範囲の左端とし、原稿の右側のエッジからKの長さの位置を判定範囲の右端とする方法である。
この図6(g)の場合とは反対に、原稿の左端が、読取り範囲の左端より内側であって、読取り範囲の右端が原稿の右端より内側である場合は、原稿の左端と読取り範囲の右端とを基準とし、原稿の左端から長さJの位置から読取り範囲の右端からKの長さの位置までの範囲長Sを判定範囲とする。なお、このように両側から異なる長さとしてもよいし、等しい長さとしてもよい。
次に図7を参照して、主走査方向Yの判定範囲の範囲長Sの設定方法について説明する。図6においても、判定範囲の主走査方向YのサイズSについて説明したが、上記以外の方法について説明する。
図7(a)は、設定された用紙サイズの主走査方向Yの幅と同じサイズを判定範囲とする方法を示す。用紙サイズは、A4、B5などの規格化されたサイズの中から、使用者により選択されるものであり、用紙の幅と同一サイズを範囲長Sとするものである。市販されているプリンタやスキャナには、用紙のサイズを使用者が設定するものがあり、その設定されたサイズに合わせて判定範囲の長さを設定する方法である。
図7(b)は、設定された用紙サイズの主走査方向Yの幅より狭い範囲を判定範囲とする方法を示す。使用者により設定された用紙サイズの主走査方向Yの両端から所定幅L(例えば、2cm)だけ内側を範囲長Sとする方法である。両端から等しい長さで設定してもよいし、それぞれの端から異なる長さで設定してもよい。また、用紙サイズの主走査方向Yの幅に対する割合(例えば、90%)により設定してもよい。
図7(c)は、設定された用紙サイズの両側に耳白(例えば、3mm)が設定され、その耳白の内側を判定範囲とする方法を示す。スキャナ3などは、機種により、読み取られる範囲が、設定された用紙の幅の両側に耳白が設定され、その耳白の内側が読み取り範囲として設定されるものがあり、その読み取り範囲を判定範囲として設定する方法である。
図7(d)は、図7(c)の主走査方向Yの読取範囲のさらに内側に判定範囲を設定する方法を示す。設定された用紙サイズの両側に耳白が設定される。左側の耳白の右端からMの長さの位置を判定範囲の左端とし、右側の耳白の左端からNの長さの位置を判定範囲の右端とする方法である。
次に、図8を参照して、副走査方向Xの判定範囲を設定する方法について説明する。図8(a)は、検出された原稿Gの一端(原稿先端位置)を基準とし、その一端からの距離で判定範囲の位置を設定する方法を示す。検出された原稿Gの一端から3mmの位置を判定範囲の下端とし、そこから原稿Gの一端方向に、所定幅(1〜2mm)を判定範囲とする方法である。
ADF7により原稿Gが搬送される場合は、ADF7に設けられた原稿先端センサにより検出された原稿Gの先端を基準として判定範囲が設定される。また、プラテンガラス12に原稿Gが載置される場合は、原稿のエッジが検出され、その検出されたエッジを基準として判定範囲が設定される。なお、判定範囲の下端は、原稿Gの先端から3mmの位置としたが、2〜3mmであってもよい。
図8(b)は、原稿ガイド16が設けられている場合に、その原稿ガイド16の原稿が当接される一端から所定距離(3mm)に判定範囲の下端を設定し、そこから原稿ガイド16の方に、所定幅(1〜2mm)を判定範囲とする方法を示す。この方法のように原稿ガイド16を基準にした場合、使用者により原稿Gが原稿ガイド16から離して載置されると、判定範囲が適切な位置ではない場合がある。
次に、図9を参照して、スキャナ3により読み取られた判定範囲の画像に基づいてカーボン紙を用いてコピーされた原稿Gであるか否かを判定する方法について説明する。
スキャナ3により読み取られた判定範囲の画像情報は、画素毎にR値(赤)、G値(緑)、B値(青)により構成され、各値は、12〜16ビットの数値である。
このRGB値をテーブルなどを参照することによりLab値に変換する。L値は、輝度(明度)であり、L値が大きいほど明るく、小さいほど暗い。従って、このL値により濃度を判定することができる。また、a値とb値とから、彩度値Cを下記数式(1)により、色相値Hを下記数式(2)により求め、これらの値を用いて色彩の判定を行うことができる。
次に、判定を行う場合の判定対象とする画素を設定する方法について説明する。
第1の方法:読み取られた判定範囲の全ての画素を判定対象とする
明度により判定する場合は、判定範囲内に含まれる全ての画素の明度値Lを加算し、その和を画素の総数で除算することにより明度の平均値を求める。その明度値Lの平均値が、所定の範囲内であるか否かを判定する。
色彩により判定する場合は、所定の色(例えば青や赤)ごとに、色相値Hの範囲を定め、その範囲に含まれる画素の彩度値Cをそれぞれの範囲で平均した平均彩度値を求める。そして、それぞれの平均彩度値が、それぞれの色に設定された所定の範囲内であるか否かにより、その色のインクが付着されているか否かを判定する。
第2の方法:白色の画素を除外した画素を判定対象とする
読み取られた判定範囲の画素のうち、明度値Lが所定の値より大きい白色の画素を検出し、その検出された画素を除外した残りの画素を判定対象とする。
図9(a)は、判定範囲の画素を模式的に示すものであり、白丸で示す画素Aは、明度値Lが大きい白色の画素を示し、黒丸Bで示す画素が、カーボンコピーが行われた際に付着したインクの画素を示す。白色の画素Aは、地色が白色の原稿の地色の画素であり、この図に示すように、インクが付着した部分は、地色の部分より少ない。
よって、判定範囲に含まれる全ての画素の明度値Lの平均値は、高くなり、地色の明度値Lとの差が小さく、インクが付着しているか否かの判定が困難になる。そこで、第2の方法では判定範囲に含まれる画素のうち、明度値Lが大きい白色の画素Aを除き、黒丸で示す画素Bのみにより判定する。明度値Lにより判定する場合は、白色の画素Aを除いた画素Bのみの明度値Lを加算し、その和を判定対象にされた画素の数で除算することにより明度値Lの平均値である平均明度を求める。その求められた平均明度の値が、所定の範囲内であるか否かにより、インクが付着されているかを判定する。白色の画素Aを除いた残りの画素の数が所定の数より少ない場合は、インクが付着していないと判定し、所定の数以上の画素が対象となった場合にだけ、平均値を求めるようにしてもよい。
第3の方法
読み取られた判定範囲の画素のうち、彩度値Cが所定の値より小さい無彩色の画素を検出し、その検出された画素を除外した残りの画素を判定対象とする。
図9(b)は、判定範囲の画素の様子を模式的に示すものであり、白丸で示す画素Aは、明度値Lが大きい地色の白色の画素であり、灰色の丸で示す画素Dは、ごみなどが原稿G、またはセンサに付着して読み取られた画素を示し、黒丸で示す画素Bが、カーボンコピーが行われた際に付着したインクを読み取った画素を示す。
判定範囲の画素のうち、彩度値が小さい画素は、地色が白や灰色である場合の地色の画素や、ごみなどが付着していて読み取られた画素であり、インクの色は、有彩色であるから、無彩色の画素を除くと、付着されたインクの画素だけが残る。
従って、画素の彩度値Cが小さい無彩色の画素を検出し、その検出された無彩色の画素を除いた画素により判定を行うと、より精度良く判定を行うことができる。なお、この場合も、無彩色の画素を除いた結果、判定対象となる画素の数が所定の数より少ない場合は、インクが付着していないと判定し、所定の数以上の画素が対象となった場合にだけ、平均値を求めるようにしてもよい。
第4の方法
原稿Gの地色を検出し、読み取られた判定範囲の画素のうち、地色に対応する画素を除き、残りの画素を判定対象とする。地色が白色である場合は、第2の方法により判定対象が設定され、地色が白色または灰色である場合は、第3の方法により判定対象が設定されるが、原稿Gの地色が、白色または灰色以外の場合には、判定対象に含まれることになる。そこで、この第4の方法では、地色を検出し、その検出した地色の画素を判定対象から除外するものである。
地色を検出する方法としては、最も、頻度が高い色彩の画素を地色として検出する。図9(c)に示すように、横軸に色相値Hをとり、判定範囲の全ての画素について、色相値Hの値を取る画素数を縦軸とするヒストグラムを作成する。そして、最も頻度が高い色相値Hを地色と判断する。
第4の方法では、このようにして判断された地色の色相値Hの画素を除外し、残りの画素を判定対象とする。これにより、より良い精度で判定を行うことができる。
いずれの方法においても、明度による判定を行う場合は、判定対象とされた画素の明度値Lを加算し、その和を判定対象とされた画素の数で除算することにより明度値Lの平均値を求める。その明度値Lの平均値が、所定の範囲内であるか否かによりカーボン紙などのインクが付着しているかが判定される。
色彩により判定する場合は、判定対象とされた画素の色相値Hが所定の色(青や赤)である画素の彩度値Cを加算して平均をとった平均彩度の値が所定の範囲内であるか否かによりカーボン紙などのインクが付着しているかが判定される。
なお、モノクロ画像で判定範囲の画像を読み込んだ場合は、図9(c)に示すグラフの横軸を明度値とし、各明度値毎の画素数を集計してヒストグラムを作成し、最も頻度が高い明度が地色の明度であるとしてもよい。つまり、判定範囲は必ずしもカラーで読み取る必要はない。
次に、図10を参照して、スキャナ3により読み取られた画像情報の濃度を濃くする方法について説明する。ここでは、2つの方法について説明する。まず、一つの方法は、多値により形成される画像情報(例えば、8ビットで形成される256段階)の値を変換することにより濃度を濃くする方法である。もう一つの方法は、印刷を行う場合、ハーフトーン処理が行われ、このハーフトーン処理において二値を制御することにより濃度を濃くする方法である。
まず、多値により濃度を濃くする方法について、図10(a)、図10(b)を参照して説明する。判定範囲の画像は、カラー画像により判定を行うが、印刷を行う場合は、モノクロ画像が読み取られ、そのモノクロ画像に基づいて印刷が行われる。図10に示すグラフは、いずれも横軸をそのモノクロ画像で検出された画素の値を入力値とし、縦軸を出力値として示すガンマカーブを示すものである。
図10(a)は、濃度を変更しない場合のガンマカーブであり、このガンマカーブは、グラフの対角線に引かれた直線である。このガンマカーブは、通常のガンマテーブル22bとしてROM22に記憶される。
図10(b)は、全体的に濃度を濃くするように変更を行うガンマカーブである。対角線に引かれた直線のほぼ全域に渡って濃度が濃くなるように上に凸のカーブとなっている。このガンマカーブは、カーボン紙専用のガンマテーブル22cとしてROM22に記憶される。原稿Gがカーボン紙を用いてコピーされた特殊原稿であると判定された場合は、図10(b)に示すガンマカーブを用いて画素の値を変換し、その変換された値により印刷が行われ、一方、カーボン紙を用いてコピーされた特殊原稿ではないと判定された場合は、図10(a)に示す通常のガンマカーブを用いて画素の値を変換し、その変換された値により印刷が行われる。
次に、二値により濃度を濃くする方法について、図10(c)、図10(d)を参照して説明する。インクジェット方式の印刷装置では、記録媒体に対して、画素毎に微量なインクを吐出するか吐出しないかを制御して画像を形成する。この場合に、印刷情報が多値であり、その値に応じて、インクを吐出するか吐出しないかが設定される。
図10(c)に示すグラフは、入力値がAより大きい場合は、インクを吐出し、Aより小さい場合は、インクを吐出しないように設定することを示している。また、 図10(d)に示すグラフは、入力値がBより大きい場合は、インクを吐出し、Bより小さい場合は、インクを吐出しないように設定することを示し、値Bは値Aより、入力値が小さい値に設定されるので、(d)に示される場合は、(c)に示される場合より広い範囲でインクが吐出され、濃度が高くなる。
次に、図11を参照して、CPU21が実行する複写処理について説明する。この複写処理は、ROM22に記憶された制御プログラム22aに記述されている。この処理は、使用者により画像が記録された原稿Gをモノクロで印刷するように指示された場合に、実行される処理である。この処理では、まず、画像読取ユニット3aを、原稿Gの一端に沿う判定範囲に移動し、判定範囲のカラー画像を読み取り、そのカラー画像からカーボンコピーされた原稿Gであるか否かを判定する。判定が行われた後、原稿Gのモノクロ画像が読み込まれ、判定によりカーボンコピーされた原稿Gではないと判断された場合は、そのまま印刷が行われ、カーボンコピーされた原稿Gであると判断された場合は、濃度を濃くして印刷が行われる。
図11に示すフローチャートに従って説明する。使用者により原稿Gが原稿読取台6の開口部に載置され、モノクロ画像でコピーを行うように操作されると、まず、モノクロ用とカラー用の白基準レベルと黒基準レベルとを取得する(S1)。スキャナ3には、白基準板が備えられ、原稿Gの画像を読み取る前に、この白基準板に光を照射して白基準板の画像を読み取ることにより白基準レベルを取得し、次に、光を照射しないで、白基準板を読み取り黒基準レベルを取得する。
次に、画像読取ユニット3aを原稿Gの先端部に移動する(S2)。この先端部は、判定範囲に対応する位置であり、この実施形態では、原稿Gの先端から内側へ略1mm移動された位置である。この位置から、順次画像読取ユニット3aを移動しながら判定範囲の幅1〜2mmのカラー画像を読み取る(S3)。
次に、この判定範囲のカラー画像を構成する画素のRGB値をLab値に変換し、明度値Lに基づいて平均明度を算出する(S4)。この平均明度は、図9を参照して説明したように、判定範囲に含まれる画素の全ての明度を平均する方法や、白色の画素を除いた画素の明度値Lを平均する方法がある。そして、それぞれの方法で算出した場合に、特殊原稿であれば、平均明度の値がとる所定範囲が予め設定され、平均明度が、その所定範囲以内であるか否かを判断する(S5)。ここで、所定範囲は、原稿が特殊原稿である場合に平均明度の値が取り得る範囲を規定したものであり、予め実験等に基づいて決定され、ROM22に記憶されている。
算出された平均明度が、所定範囲以内であれば(S5:Yes)、次に、判定範囲の各画素の彩度値Cを上述の数式(1)を用いて算出し、その彩度値Cを平均した平均彩度を算出する(S6)。平均彩度を算出する際は、図9を参照して説明したように、判定範囲のすべての画素の彩度値Cを平均する方法や、原稿Gの地色を検出し、地色の画素を除いた画素の彩度値Cを平均する方法などがある。
また、原稿Gに複数種類の色彩の画素が存在する可能性がある場合には、各画素の色相を取得し、色相が所定の範囲の画素のみについて、彩度値Cを平均するとより精度良く、特殊原稿であるか否かを判定することができる。ここでの所定範囲も、原稿が特殊原稿である場合に色相の値が取り得る範囲を規定したものであり、予め実験等に基づいて決定され、ROM22に記憶されている。
例えば、カーボンコピーされた原稿Gであって、カーボン紙のインクが青色であり、そのインクが判定範囲に付着するとともに、赤い朱肉を使用して判が押され、その赤い朱肉が判定範囲に付着したような場合に、青色の画素と、赤色の画素とをまとめて彩度値Cを平均した平均彩度を算出すると、カーボン紙のインクが付着しているにもかかわらず、その平均彩度が所定範囲内に入らない恐れがある。そこで、青色の画素と赤色の画素を色相値Hにより区分し、それぞれの区分で、平均彩度を算出する。そして、区分毎に、所定範囲を設定し、その平均彩度の値がそれぞれの区分に設定された範囲内であるか否かを判定し、いずれかの区分の平均彩度が所定範囲内であれば、カーボン紙などのインクが付着していると判定する。このように処理することにより、より精度良くカーボン紙などのインクが付着しているか否かを判定することができる。ここでの所定範囲も、原稿が特殊原稿である場合に平均彩度の値が取り得る範囲を規定したものであり、予め実験等に基づいて決定され、ROM22に記憶されている。
平均彩度を算出した場合は、次に、その算出した平均彩度が所定範囲以内であるか否かを判断し(S7)、算出された彩度が所定範囲以内であれば(S7:Yes)、原稿Gは、カーボンコピーされた特殊原稿であると判断し、濃度を濃くするカーボン紙専用のガンマテーブル22cを使用して変換を行うように設定する(S8)。
一方、S5の判断処理において、算出された平均明度が、所定範囲以内ではない場合(S5:No)、またはS7の判断処理において、算出された彩度が所定範囲以内ではない場合は(S7:No)、原稿Gは、カーボンコピーされた特殊原稿ではないと判断し、濃度を変更しない通常のガンマテーブル22bを使用して変換を行うように設定する(S9)。
S8またはS9の処理を終了した場合は、判定範囲の残りの原稿Gの領域をモノクロ画像で読み込み、S8またはS9において設定されたガンマテーブルを用いて読み込まれた画素値を変換し、変換した画素値を、プリンタ2に送信して印刷を行うように、プリンタ2に指示する(S10)。
以上、第1の実施形態について説明したように、まず、原稿Gの一端から略3mm以内に設定された判定範囲をカラー画像で読み込み、そのカラー画像に基づいて、原稿Gがカーボンコピーされた特殊原稿であるか否かを判定する。この判定は、判定範囲の画像の画素の明度値Lを平均した平均明度値と彩度値Cを平均した平均彩度値とが、それぞれ所定範囲以内である場合に、特殊原稿であると判定し、特殊原稿である場合は、モノクロ画像で読み込んだ原稿濃度を濃くしてプリンタ2に出力する。よって、特殊原稿であることが、適切に判断され、カーボンコピーされた薄い原稿Gが濃く印刷され、印刷された画像が薄く、不鮮明になることを防止することができる。
次に、図12を参照して第2の実施形態について説明する。上記、第1の実施形態では、原稿Gの一端に設けられた判定範囲のカラー画像に基づいて、原稿Gが、カーボンコピーされたものであるか否かを判定し、次に、原稿Gの残りの部分をモノクロ画像で読みとり、その読み取られた情報に基づいて、モノクロ画像を印刷するものであった。この第1の実施形態では、1回のスキャンにより、判定と印刷とを行うことができるので、処理時間が短いという長所がある反面、判定が、原稿Gの一端だけについて行われるので、判定の精度が低くなる可能性がある。
これに対し、第2の実施形態では、まず原稿G全体のカラー画像を読み込み、原稿Gの4辺に判定範囲を設定して、カーボンコピーされたか否かを判定するので、判定の精度が高いという長所がある反面、処理に時間を要するという欠点がある。なお、第2の実施形態は、複写処理のみが異なるものであって、他の構成は、第1の実施形態と同一であるので、その説明を省略する。
図12は、第2実施形態における複写処理を示すフローチャートである。このフローチャートに従って、複写処理について説明する。まず、プレスキャンを行う。このプレスキャンでは、使用者により設定された原稿Gのカラー画像をスキャナ3により読み取るために、カラー読み取りによる白基準値と黒基準値とを読み込む(S11)。
次に、原稿Gの全画像のカラー画像を読み込み、その読み込んだ画像情報を画像メモリ23aに記憶する(S12)。この画像情報は、各画素のRGB値であって、先に設定された白基準値と黒基準値により正規化された値である。このプレスキャンは、解像度を本スキャンの場合より低くして行われる。本スキャンの解像度は、例えば、600dpiであり、プレスキャン時の解像度は、100dpiである。解像度を低くすることにより、取得される画像情報の量が少なくなり、画像情報を記憶するメモリの記憶容量を小さくすることができる。また、読み取りに要する時間を短縮することができる。
次に、画像メモリ23aに記憶された画像データに基づいて、原稿Gのエッジを検出する(S13)。原稿Gのエッジは、図5を参照して説明したように、エッジに対応する画像が白または黒の直線となるので、この直線を検出することにより、エッジが検出される。次に、検出されたエッジから略1mm内側のエッジ沿う1〜2mm幅の帯の判定範囲を設定する(S14)。この判定範囲の設定方法は、図6〜図8を参照して説明した方法のいずれかの方法である。
次に、原稿Gの地色を検出する。この地色の検出は、図9(c)を参照して説明したように、判定範囲の全ての画素について、色相値Hを横軸として各色相値Hをとる画素の数を縦軸とするヒストグラムを作成し、最も頻度が高い色相値Hが示す色を地色として検出する(S15)。
次に、判定範囲の全画素から、画素の色相値Hに基づいて地色と判定された画素を除き、残りの画素の明度値Lを平均して平均明度を算出する(S16)。次に、求められた平均明度の値が所定範囲内であるか否かを判断する(S17)。
算出された平均明度が、所定範囲以内であれば(S17:Yes)、次に、判定範囲の全ての画素から地色の画素を除き、残りの画素の彩度値Cを平均した平均彩度を算出する(S18)。平均彩度を算出した場合は、次に、その算出した平均彩度が所定範囲以内であるか否かを判断し(S19)、算出された彩度が所定範囲以内であれば(S19:Yes)、原稿Gは、カーボンコピーされた特殊原稿であると判断し、濃度を濃くするカーボン紙専用のガンマテーブル22cを使用して変換を行うように設定する(S20)。
一方、S17の判断処理において、算出された平均明度が、所定範囲以内ではない場合(S17:No)、または、S18の判断処理において、算出された彩度が所定範囲以内ではない場合は(S19:No)、原稿Gは、カーボンコピーされた特殊原稿ではないと判断し、濃度を変更しない通常のガンマテーブル22bを使用して変換を行うように設定する(S21)。
S20またはS21の処理を終了した場合は、モノクロ用の白基準レベルと黒基準レべルとを取得し(S22)、再度原稿G全体のモノクロ画像を読み込み(本スキャン処理)、S20またはS21において設定されたガンマテーブルを用いて読み込まれた画素値を変換し、変換した画素値を、プリンタ2に送信して印刷を行うように、プリンタ2に指示する(S23)。
以上、第2の実施形態について説明したように、まず、プレスキャン処理により原稿Gの全体のカラー画像を低解像度で読み込み、そのカラー画像に基づいて原稿Gの4辺のエッジを検出し、そのエッジに沿いエッジから内側に略3mmの範囲の画像を判定範囲とする。その判定範囲の画像の平均明度と平均彩度とが、それぞれ所定範囲以内である場合に、その原稿Gは、特殊原稿であると判定する。次に、原稿G全体を再度モノクロ画像で読み込む本スキャンを行い、特殊原稿である場合は、本スキャンで読み込んだモノクロ画像の濃度を濃くしてプリンタ2に出力する。原稿Gが特殊原稿であるかの判定が、原稿Gの4辺の内側の辺に沿った帯状の判定範囲の画像により判定されるので、1辺に沿う判定範囲の画像で判定する場合に比べ、精度よく判定することができる。
なお、各請求項に記載の判定範囲処理手段は、図11に記載のフローチャートのS3の処理が該当し、明度検出手段および平均明度値算出手段は、図11に記載のフローチャートのS4の処理が該当し、判断手段は、図11に記載のフローチャートのS5およびS7の処理が該当し、出力手段は、図11に記載のフローチャートのS10の処理が該当する。また、色彩情報検出手段および色彩情報平均値算出手段は、図11に記載のフローチャートのS6の処理が該当し、エッジ検出手段は、図12に記載のフローチャートのS13の処理が該当し、プレスキャン処理手段は、図12に記載のフローチャートのS12の処理が該当し、本スキャン処理手段は、図12に記載のフローチャートのS22の処理が該当する。
以上実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、多機能周辺装置における処理について説明したが、スキャナ3を備えた、コピー装置や、ファクシミリ装置などの単機能の装置における処理としてもよい。
また、上記実施形態では、判定範囲の画像をカラー画像で読み込み、読み込んだ画像を構成する画素の、明度と彩度と色相に基づいて、特殊原稿であるか否かを判定するとしたが、明度または輝度のみにより、判定するようにしてもよい。その場合には、判定範囲をモノクロ画像で読み込むようにしてもよい。さらに、判定範囲はカーボン紙のインクが付いている可能性が高いため、コピー時の印字データとして使用しないように構成しても良い。
また、上記実施形態では、平均明度値、または平均彩度値を算出する際に、地色の画素などを除いた画素の平均値を算出するものとしたが、地色の画素を除いた画素の数が所定数以下である場合には、平均値を算出するまでもなく、特殊原稿ではないと判定してもよい。
また、上記実施形態では、平均明度値や平均彩度値を算出して、その値が所定の範囲以内であるか否かにより特殊原稿であるか否かを判定したが、明度L値、彩度C値、色相H値、それぞれに所定範囲を設定、または、L値、a値、b値それぞれに所定範囲を設定し、この3つの範囲内に入る画素の数により、特殊原稿であるか否かを判定するようにしてもよい。カーボンコピーされた場合に、カーボン紙のインクが付着し、それを読み込んだ画像の画素は、色空間の限られた領域に入ると考えられる。従って、その領域に入る画素の数が、多い場合に、特殊原稿であると判定することができる。この方法の場合は、RGBでもよいし、YCrCbなどの色空間を表す値でもよい。
また、上記実施形態では、スキャナ3により読み込まれ、濃度調整された画像情報は、プリンタ2に送信されるものとしたが、ファクシミリにより送信されたり、パーソナルコンピュータに送信するようにしてもよい。