JP2008187302A - Pzt薄膜の製造方法、baw共振器およびそれを用いたuwb用フィルタ - Google Patents

Pzt薄膜の製造方法、baw共振器およびそれを用いたuwb用フィルタ Download PDF

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Takeo Shirai
健雄 白井
Yoshiki Hayazaki
嘉城 早崎
Chomei Matsushima
朝明 松嶋
Xiong Si-Bei
四輩 熊
Takaaki Yoshihara
孝明 吉原
Norihiro Yamauchi
規裕 山内
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Abstract

【課題】自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜を容易に製造することが可能なPZT薄膜の製造方法、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜を圧電薄膜として備えたBAW共振器およびそれを用いたUWB用フィルタを提供する。
【解決手段】ベース基板10と第1の導電性層20aとからなる成長用基板の一表面側にPZTの成分元素を含む金属アルコキシドを溶媒に溶かした溶液を塗布した後、溶媒を除去することでPZT薄膜30bの前駆体膜30aを形成し、前駆体膜30aの厚み方向に電界を印加しながらレーザアニール法により前駆体膜30aをアニールして結晶化することでPZT薄膜30bを形成し、PZT薄膜30bの一部からなる圧電薄膜30を形成し、第1の導電性層20aの一部からなる下部電極20を形成し、上部電極40を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、PZT薄膜の製造方法、圧電薄膜の厚み方向の縦振動モードを利用するBAW(Bulk Acoustic Wave)共振器およびそれを用いたUWB用フィルタに関するものである。
従来から、携帯電話機などの移動体通信機器の分野において、3GHz以上の高周波帯で利用する高周波フィルタとして、圧電薄膜の材料としてAlNを採用したBAW共振器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、上記特許文献1には、BAW共振器としてFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)が記載されているが、BAW共振器としては、近年、FBARの他にSMR(Solidly Mounted Resonator)が注目されている。なお、BAW共振器では、共振周波数が圧電薄膜の膜厚に反比例し、圧電薄膜の膜厚を薄くするほど共振周波数を高くすることができる。
ところで、本願発明者は、BAW共振器を、より広帯域の高周波フィルタ、例えばUWB(Ultra Wide Band)用フィルタに適用することを考えた。そこで、圧電薄膜の材料として、帯域幅が中心周波数に対して4〜5%しか広帯域化できないAlNに比べて機械的品質係数Qmが低く中心周波数に対して10%程度の帯域幅を得ることが可能なPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に着目した。しかしながら、例えば(111)配向のPZTをスパッタ法やCVD法により結晶成長させたPZT薄膜では、自発分極の方向がPZT薄膜の厚み方向に沿っている180°ドメインと、自発分極の方向がPZT薄膜の厚み方向に直交する面に沿っている90°ドメインとが混在しているので、このようなPZT薄膜を圧電薄膜として備えたBAW共振器では、90°ドメインの横振動モードの振動が発生してしまうので、フィルタのカットオフ特性の急峻さ(共振特性の立ち上がりおよび立ち下がりの急峻さ)を示す指標であるQ値、電気エネルギを機械的エネルギに変換する効率を表す電気機械結合係数が低いという問題があった。
これに対し、自発分極の方向がPZT薄膜の厚み方向に揃った配向性の高いPZT薄膜の製造方法として、PZTの成分元素の金属アルコキシドを溶媒に溶かした溶液を成長用基板の一表面側に塗布する塗布工程と、塗布工程の後で上記溶媒を除去することによりPZT薄膜の前駆体膜を形成する仮焼成工程と、前駆体膜をアニールして結晶化することによりPZT薄膜を形成する結晶化工程とを備え、結晶化工程において、前駆体膜に電界を印加してPZT薄膜の分極方向を揃えるようにした製造方法が知られている(例えば、特許文献2)。
なお、ゾルゲル法を利用したPZT薄膜の製造方法では、溶液の濃度、組成比、溶媒材料や、塗布時の回転数、温度などが重要であり、これらのプロセスパラメータを適宜調節することによって所望の組成比、膜厚のPZT薄膜を得ることが可能となる。
特開2002−140075号公報 特開2000−294844号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載されたPZT薄膜の製造方法では、前駆体膜を結晶化させる結晶化工程が、拡散炉によるアニール(熱処理)なので、結晶化工程において前駆体膜全体が同時にアニールされて膨張し、冷却過程における収縮時にPZT薄膜に発生する応力に起因して欠陥が生じPZT薄膜の結晶性が低下してしまう。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜を容易に製造することが可能なPZT薄膜の製造方法、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜を圧電薄膜として備えたBAW共振器およびそれを用いたUWB用フィルタを提供することにある。
請求項1の発明は、ゾルゲル法を用いたPZT薄膜の製造方法であって、PZTの成分元素を含む金属アルコキシドを溶媒に溶かした溶液を成長用基板の一表面側に塗布する塗布工程と、塗布工程の後で前記溶媒を除去することによりPZT薄膜の前駆体膜を形成する仮焼成工程と、仮焼成工程の後に前駆体膜をアニールして結晶化することによりPZT薄膜を形成するアニール工程とを備え、アニール工程では、前駆体膜に対して前駆体膜の厚み方向に電界を印加しながらレーザアニール法により前駆体膜をアニールして結晶化することでPZT薄膜を形成することを特徴とする。
この発明によれば、アニール工程では、前駆体膜に対して前駆体膜の厚み方向に電界を印加しながらレーザアニール法により前駆体膜をアニールして結晶化することでPZT薄膜を形成するので、前駆体膜に対して前駆体膜の厚み方向に電界を印加しながら前駆体膜をアニールして結晶化することにより自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高いPZT薄膜を製造することが可能となり、しかも、当該アニールをレーザアニール法により行うことにより、前駆体膜を局所的に加熱することができるとともにレーザ光の照射領域をスキャンすることで前駆体膜全体を結晶化させることができ、温度降下時にPZT薄膜に発生する応力を緩和することができて欠陥の少ない結晶性の良いPZT薄膜を容易に製造することができるから、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜を容易に製造することが可能となる。
請求項2の発明は、ベース基板と、ベース基板の一表面側に形成された下部電極と、下部電極におけるベース基板側とは反対側に形成された圧電薄膜と、圧電薄膜における下部電極側とは反対側に形成された上部電極とを備えたBAW共振器であって、圧電薄膜は、請求項1記載のPZT薄膜の製造方法により製造されたPZT薄膜からなることを特徴とする。
この発明によれば、圧電薄膜は、請求項1記載のPZT薄膜の製造方法により製造されたPZT薄膜からなるので、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜を圧電薄膜として備えたBAW共振器の低コスト化を図れる。
請求項3の発明は、請求項2記載のBAW共振器を用いたことを特徴とする。
この発明によれば、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜を圧電薄膜として備えたBAW共振器を用いたUWB用フィルタの低コスト化を図れる。
請求項1の発明では、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜を容易に製造することが可能になるという効果がある。
請求項2の発明では、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜を圧電薄膜として備えたBAW共振器の低コスト化を図れるという効果がある。
請求項3の発明では、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜を圧電薄膜として備えたBAW共振器を用いたUWB用フィルタの低コスト化を図れるという効果がある。
(実施形態1)
本実施形態のBAW共振器は、図1(f)に示すように、ベース基板10と、ベース基板10の一表面側に形成された下部電極20と、下部電極20におけるベース基板10側とは反対側に形成されたPZT薄膜からなる圧電薄膜30と、圧電薄膜30における下部電極20側とは反対側に形成された上部電極40とを備えている。
ここにおいて、本実施形態のBAW共振器は、ベース基板10を、主表面が(100)面の単結晶のシリコン基板11と、シリコン基板11の主表面上に形成され圧電薄膜30で発生したバルク弾性波を反射させる音響多層膜12とで構成してある。要するに、本実施形態のBAW共振器は、ベース基板10の一表面側の音響多層膜12上に下部電極20が形成されたSMRを構成している。
音響多層膜12は、相対的に音響インピーダンスの低い材料からなる低音響インピーダンス層12aと相対的に音響インピーダンスの高い材料からなる高音響インピーダンス層12bとが交互に積層されており、上述の下部電極20は、最上層の低音響インピーダンス層12a上に形成されている。なお、低音響インピーダンス層12aおよび高音響インピーダンス層12bの膜厚は、圧電薄膜30の共振周波数の弾性波(バルク弾性波)の波長の4分の1の値に設定すればよい。
本実施形態では、低音響インピーダンス層12aの材料としてSiO、高音響インピーダンス層12bの材料としてW、下部電極20の材料としてPt、上部電極40の材料としてAlを採用しているが、これらの材料は特に限定するものではなく、例えば、下部電極20の材料としては、例えば、Irを採用してもよく、低音響インピーダンス層12aの材料としては、例えば、Si,poly−Si,Al,ポリマーなどを採用してもよく、高音響インピーダンス層12bの材料としては、例えば、Au,Mo,AlN,ZnOなどを採用してもよく、上部電極40の材料としては、例えば、Moなどを採用してもよい。また、ベース基板10におけるシリコン基板11の代わりに、主表面が(100)面のMgO基板や、主表面が(100)面のSTO(SrTiO)基板などを用いてもよい。
なお、本実施形態のBAW共振器では、共振周波数を4GHzに設定してあり、下部電極20の厚みを100nm、圧電薄膜30の厚みを300nm、上部電極40の厚みを100nm、低音響インピーダンス層12aの厚みを400nm、高音響インピーダンス層12bの厚みを350nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。また、共振周波数を3GHz〜5GHzの範囲で設計する場合には、圧電薄膜30の厚みは200nm〜600nmの範囲で、低音響インピーダンス層12aの厚みは250nm〜550nmの範囲で、高音響インピーダンス層12bの厚みは200nm〜450nmの範囲で、それぞれ適宜設定すればよい。
ところで、本実施形態のBAW共振器における圧電薄膜30は、自発分極の方向が厚み方向に揃ったPZT薄膜により構成されている。
以下、本実施形態のBAW共振器の製造方法について図1を参照しながら説明する。
まず、ベース基板10の基礎となる単結晶のシリコン基板11の主表面側に、SiO膜からなる低音響インピーダンス層12aとW膜からなる高音響インピーダンス層12bとを例えばスパッタ法やCVD法などにより交互に成膜することで音響多層膜(音響ミラー)12を形成する音響多層膜形成工程を行い、その後、シリコン基板11と音響多層膜12とからなるベース基板10の一表面側(図1(a)における上面側)の全面に、第1の導電性材料(例えば、Pt,Irなど)からなり下部電極20の基礎となる第1の導電性層20aを例えばスパッタ法や蒸着法などにより形成する第1導電性層形成工程を行うことによって、図1(a)に示す構造を得る。なお、本実施形態では、第1の導電性層20aをPt層により構成してあるが、第1の導電性層20aは、単層構造に限らず、例えば、音響多層膜12上のTi層と、当該Ti層上のPt層とで構成してもよい。
次に、PZTの成分元素を含む金属アルコキシドを溶媒(例えば、メタノール、デカノール、テトラデカンなど)に溶かした溶液をベース基板10の上記一表面側の全面(ここでは、第1の導電性層20aの表面)に例えばスピンコート法により塗布する塗布工程を行い、続いて、例えば窒素雰囲気中で所定の焼成温度(例えば、300℃〜350℃程度)、所定の焼成時間(例えば、30秒〜10分程度)において上記溶媒を蒸発させて除去することによりPZT薄膜30b(図1(c)参照)の前駆体膜30aを形成する仮焼成工程を行うことによって、図1(b)に示す構造を得る。なお、本実施形態では、ベース基板10と、当該ベース基板10上の第1の導電性層20aとで成長用基板を構成している。
上述の仮焼成工程の後、前駆体膜30aを酸素雰囲気中でアニールして結晶化する(焼結する)ことによりPZT薄膜30bを形成するアニール工程を行うことによって、図1(c)に示す構造を得る。ここにおいて、アニール工程では、前駆体膜30aに対して前駆体膜30aの厚み方向に電界を印加しながらレーザアニール法により前駆体膜30aを例えば700℃程度でアニールして結晶化することでPZT薄膜30bを形成する。ここで、前駆体膜30aに電界を印加しながらレーザアニール法により前駆体膜30aをアニールするにあたっては、例えば、図2に示すように、一表面側に前駆体膜30aが形成されたベース基板10を陰極71上に載置し、陰極71に対向配置された陽極72と陰極71との間に陽極72を高電位側として電圧源Eから所定の電圧を印加することで前駆体膜30aに電界を印加しながら、レーザ光源2からレーザ光3を前駆体膜30aに照射し前駆体膜30aを局所的に加熱し、レーザ光3の照射領域をスキャン(走査)することで前駆体膜30a全体を結晶化させる。ここにおいて、上述の塗布工程、仮焼成工程、アニール工程を順次行うPZT薄膜30bの製造方法によれば、アニール工程では、前駆体膜30aに対して前駆体膜30aの厚み方向に電界を印加しながらレーザアニール法により前駆体膜30aをアニールして結晶化することでPZT薄膜30bを形成するので、前駆体膜30aに対して前駆体膜30aの厚み方向に電界を印加しながら前駆体膜30aをアニールして結晶化することにより自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高いPZT薄膜30bを製造することが可能となり、しかも、当該アニールをレーザアニール法により行うことにより、前駆体膜30aを局所的に加熱することができるとともにレーザ光3の照射領域をスキャンすることで前駆体膜30a全体を結晶化させることができ、温度降下時にPZT薄膜30bに発生する応力(膜中応力)を緩和することができて欠陥の少ない結晶性の良いPZT薄膜30bを容易に製造することができるから、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜30bを容易に製造することが可能となる。
なお、図2に示した例では、前駆体膜30aの表面に対して斜め方向からレーザ光3を照射するようにしているが、陽極72を透明電極により構成し、図3に示すように、レーザ光3を前駆体膜30aの表面に直交する方向から照射してレーザ光3の照射領域をスキャンするようにしてもよい。ここで、図3中の矢印Aは電界の印加方向を示し、矢印Bはレーザ光のスキャン方向を示している。
上述のPZT薄膜30bを形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してPZT薄膜30bを所望の平面形状にパターニングすることでPZT薄膜30bの一部からなる圧電薄膜30を形成する圧電体パターニング工程を行うことによって、図1(d)に示す構造を得る。
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第1の導電性層20aを所望の平面形状にパターニングすることで第1の導電性層20aの一部からなる下部電極20を形成する下部電極パターニング工程を行うことによって、図1(e)に示す構造を得る。
その後、ベース基板10の上記一表面側の全面に、第2の導電性材料(例えば、Al,Mo,Ptなど)からなり上部電極40の基礎となる第2の導電性層をスパッタ法や蒸着法などによって形成する第2導電性層形成工程を行い、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第2の導電性層を所望の平面形状にパターニングすることで第2の導電性層の一部からなる上部電極40を形成する上部電極パターニング工程を行うことによって、図1(f)に示す構造のBAW共振器を得る。なお、本実施形態では、第2の導電性層をAl層により構成してあるが、第2の導電性層は、単層構造に限らず、多層構造でもよい。
上述のBAW共振器の製造にあたっては、上述のシリコン基板11としてウェハを用いてウェハレベルで多数のBAW共振器を形成した後、ダイシング工程で個々のBAW共振器に分割すればよい。
以上説明した本実施形態のBAW共振器では、圧電薄膜30が、上述の塗布工程、仮焼成工程、アニール工程を順次行うPZT薄膜30bの製造方法により製造されたPZT薄膜30bからなるので、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜30bを圧電薄膜30として備えており、フィルタ特性の向上を図れる。また、本実施形態のBAW共振器では、下部電極20が音響多層膜12上に形成されているので、圧電薄膜30側からベース基板10側へ伝搬しようとする弾性波を音響多層膜12により圧電薄膜30側へ反射することができ、弾性波のエネルギ損失(音響エネルギの損失)を低減できるから、音響多層膜12を備えていない場合に比べてエネルギ変換効率を高めることができる。
ところで、上述のBAW共振器を、3GHz以上の高周波帯においてカットオフ特性が急峻で且つ帯域幅の広いフィルタ、例えば、UWB用フィルタとして応用する場合には、図4に示すように、下部電極20と圧電薄膜30と上部電極40とで構成される共振子5を同一のベース基板10に複数個形成するようにし(図4には2個しか記載されていないが、例えば、8個形成するようにし)、これらの共振子5を図5に示すようなラダー型フィルタを構成するように接続すれば、UWB用フィルタの低コスト化および小型化を図れる。なお、同一ベース基板10上に複数個の共振子5を形成する構成において、上述のように音響多層膜12の低音響インピーダンス層12aの材料として絶縁材料であるSiO、高音響インピーダンス層12bの材料として金属材料であるWを採用している場合には、隣り合う共振子5間で高音響インピーダンス層12bを介したクロストークが発生するのを防止するために、例えば、高音響インピーダンス層12bを共振子5ごとに分離したパターンとなるように製造時に適宜パターニングすればよい。
(実施形態2)
図6(f)に示す本実施形態のBAW共振器の基本構成は実施形態1と略同じであり、ベース基板10として、一表面が(100)面の単結晶のシリコン基板を採用しており、ベース基板10に、下部電極20における圧電薄膜30側とは反対側の表面を露出させる開孔部13が形成されている点が実施形態1とは相違する。要するに、本実施形態のBAW共振器は、下部電極20と下部電極20直下の媒質との音響インピーダンス比を大きくすることによりベース基板10側への弾性波エネルギの伝搬を抑制するようにしたFBARを構成している。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
以下、本実施形態のBAW共振器の製造方法について図6を参照しながら説明するが、実施形態1にて説明したBAW共振器の製造方法と同様の工程については簡単に説明する。
まず、上述の単結晶のシリコン基板からなるベース基板10の一表面側(図6(a)における上面側)の全面に、下部電極20の基礎となる第1の導電性層20aを例えばスパッタ法や蒸着法などにより形成する第1導電性層形成工程を行い、その後、実施形態1と同様に、PZTの成分元素を含む金属アルコキシドを溶媒に溶かした溶液をベース基板10の上記一表面側の全面に例えばスピンコート法により塗布する塗布工程を行い、続いて、例えば窒素雰囲気中で所定の焼成温度(例えば、300℃〜350℃程度)、所定の焼成時間(例えば、30秒〜10分程度)において上記溶媒を蒸発させて除去することによりPZT薄膜30b(図6(b)参照)の前駆体膜30aを形成する仮焼成工程を行うことによって、図6(a)に示す構造を得る。
次に、前駆体膜30aを酸素雰囲気中でアニールして結晶化する(焼結する)ことによりPZT薄膜30bを形成するアニール工程を行うことによって、図6(b)に示す構造を得る。なお、アニール工程は、実施形態1と同じである。
上述のPZT薄膜30bを形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してPZT薄膜30bを所望の平面形状にパターニングすることでPZT薄膜30bの一部からなる圧電薄膜30を形成する圧電体パターニング工程を行うことによって、図6(c)に示す構造を得る。
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第1の導電性層20aを所望の平面形状にパターニングすることで第1の導電性層20aの一部からなる下部電極20を形成する下部電極パターニング工程を行うことによって、図6(d)に示す構造を得る。
その後、ベース基板10の上記一表面側の全面に、上部電極40の基礎となる第2の導電性層をスパッタ法や蒸着法などによって形成する第2導電性層形成工程を行い、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して第2の導電性層を所望の平面形状にパターニングすることで第2の導電性層の一部からなる上部電極40を形成する上部電極パターニング工程を行うことによって、図6(e)に示す構造を得る。
次に、ベース基板10の他表面側に上述の開孔部13形成用にパターニングされたマスク層(例えば、レジスト層、SiO膜)を形成するマスク層形成工程を行ってから、当該マスク層をマスクとしてアルカリ系溶液(例えば、KOH、TMAH、NaOHなどの水溶液)を用いた異方性エッチングや、誘導結合プラズマ型のエッチング装置を用いたドライエッチングを行うことにより開孔部13を形成する開孔部形成工程を行い、続いて、上記マスク層を除去するマスク層除去工程を行うことによって、図6(f)に示す構造のBAW共振器を得る。なお、開孔部13をアルカリ系溶液を用いた異方性エッチングにより形成する場合、上部電極40の材料がPtであればベース基板10の上記一表面側にマスクを設ける必要はないが、上部電極20の材料がAlの場合にはベース基板10の上記一表面側に上部電極20を保護するマスクを設ける必要がある。
以上説明した本実施形態のBAW共振器においても、実施形態1と同様に、圧電薄膜30が、上述のPZT薄膜30bの製造方法により製造されたPZT薄膜30bからなるので、自発分極の方向が厚み方向に揃って配向性が高く且つ結晶性の良いPZT薄膜30bを圧電薄膜30として備えているので、フィルタ特性の向上を図れる。また、本実施形態のBAW共振器では、下部電極20における圧電薄膜30側とは反対側に開孔部13が形成されているので、下部電極20および上部電極40それぞれにおいて圧電薄膜30に重なる各部分それぞれが空気と接することとなり、エネルギ変換効率を高めることができる。また、本実施形態のBAW共振器も実施形態1と同様にUWB用フィルタに応用できる。
実施形態1におけるBAW共振器の製造方法を説明するための主要工程断面図である。 同上におけるPZT薄膜の製造方法の説明図である。 同上におけるPZT薄膜の製造方法の説明図である。 同上におけるUWB用フィルタの概略断面図である。 同上におけるUWB用フィルタの回路図である。 実施形態2におけるBAW共振器の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
符号の説明
10 ベース基板
20 下部電極
20a 第1の導電性層
30a 前駆体膜
30b PZT薄膜
30 圧電薄膜
40 上部電極

Claims (3)

  1. ゾルゲル法を用いたPZT薄膜の製造方法であって、PZTの成分元素を含む金属アルコキシドを溶媒に溶かした溶液を成長用基板の一表面側に塗布する塗布工程と、塗布工程の後で前記溶媒を除去することによりPZT薄膜の前駆体膜を形成する仮焼成工程と、仮焼成工程の後に前駆体膜をアニールして結晶化することによりPZT薄膜を形成するアニール工程とを備え、アニール工程では、前駆体膜に対して前駆体膜の厚み方向に電界を印加しながらレーザアニール法により前駆体膜をアニールして結晶化することでPZT薄膜を形成することを特徴とするPZT薄膜の製造方法。
  2. ベース基板と、ベース基板の一表面側に形成された下部電極と、下部電極におけるベース基板側とは反対側に形成された圧電薄膜と、圧電薄膜における下部電極側とは反対側に形成された上部電極とを備えたBAW共振器であって、圧電薄膜は、請求項1記載のPZT薄膜の製造方法により製造されたPZT薄膜からなることを特徴とするBAW共振器。
  3. 請求項2記載のBAW共振器を用いたことを特徴とするUWB用フィルタ。
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