JP2008185195A - 回転伝達カップリング及びインホイールモータシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、原動軸と従動軸との間に偏心や偏角があった場合でも、回転力を確実に伝達することができる回転伝達カップリングを提供する。
【解決手段】原動側プレート11と従動側プレート12とを連結する回転伝達カップリングの10の中間プレート13を、複数の貫通孔14が設けられた中間ベースプレート15と、上記貫通孔15にそれぞれ挿入・固定される、センターにスリーブ18が取付けられ、このスリーブ18を挟んで対面2箇所にスグリ19がそれぞれ形成された第1のゴムブッシュ16Aと、スグリ方向が上記第1のゴムブッシュ16Aと直交する第2のゴムブッシュ16A,16Bとから構成するとともに、上記第1のゴムブッシュ16Aと原動側プレート11とを連結し、上記第2のゴムブッシュと従動側プレート12とを連結するようにした。
【選択図】図1
【解決手段】原動側プレート11と従動側プレート12とを連結する回転伝達カップリングの10の中間プレート13を、複数の貫通孔14が設けられた中間ベースプレート15と、上記貫通孔15にそれぞれ挿入・固定される、センターにスリーブ18が取付けられ、このスリーブ18を挟んで対面2箇所にスグリ19がそれぞれ形成された第1のゴムブッシュ16Aと、スグリ方向が上記第1のゴムブッシュ16Aと直交する第2のゴムブッシュ16A,16Bとから構成するとともに、上記第1のゴムブッシュ16Aと原動側プレート11とを連結し、上記第2のゴムブッシュと従動側プレート12とを連結するようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、回転力の伝達機構に関するもので、特に、原動側と従動側との間に偏芯などが生じた場合でも、原動側の回転力を滑らかにかつ効率的に伝達することのできる回転伝達カップリングに関する。
近年、電気自動車などのモータによって駆動される車輌においては、モータを車輪に内蔵するインホイールモータシステムが採用されつつある。その中でも、図5(a)に示すような、インホイールモータ3を、動的吸振装置30を介して、車輌の足回り部品に対して弾性支持する構成のインホイールモータシステムが注目されている(例えば、特許文献1参照)。
このインホイールモータシステムは、径方向内側が開放された、モータロータ3Rが取付けられた回転側ケース3bと、このモータケース3bと同心円状に配置され、上記モータロータ3Rと所定の間隔を隔ててモータステータ3Sが取付けられた、径方向外側が開放された非回転側ケース3aとを軸受け3jを介して回転可能に連結した中空形状のダイレクトドライブモータ3と車輌バネ下部品であるナックル5とを、上記非回転側ケース3aに取付けられるモータ側プレート31と車輌の足回り部品であるナックル5に連結されるナックル側プレート32と、これらのプレート31,32を連結する直動ガイド33Aとバネ部材33Bとを一体に構成したバネ付き直動ガイド33と、このバネ付き直動ガイド33に並行に配設された第2の直動ガイド34と、ダンパー35とを備えた動的吸振装置30により連結するとともに、上記回転側ケース3bとタイヤ1を装着するホイール2とを、ホイール2のラジアル方向に互いに偏心可能な駆動力伝達機構である回転伝達カップリング40により結合したもので、これにより、上記モータ側プレート31とナックル側プレート32とは、車輌上下方向に案内されるとともに、バネ付き直動ガイド33及びダンパー35とにより結合されているので、インホイールモータ3を上下方向にのみ揺動させることができる。
上記回転伝達カップリング40は、詳細には、図5(b)に示すように、複数枚の中空円盤状のプレート41A〜41Cと、隣接する上記プレート41A,41B、及び、プレート41B,41C間を結合するとともに、上記隣接するプレート41A,41B、及び、プレート41B,41Cを互いに円盤のラジアル方向に案内する直動ガイド42A,42Bとを備えたもので、インホイールモータ3を上記直動ガイド42A,42Bの作動方向、すなわち、円盤のラジアル方向に沿って揺動することはできるが、回転方向には揺動しない構成として、上記モータ3からの駆動トルクをホイール2に効率的に伝達することができるようにしたものである。
このインホイールモータシステムは、径方向内側が開放された、モータロータ3Rが取付けられた回転側ケース3bと、このモータケース3bと同心円状に配置され、上記モータロータ3Rと所定の間隔を隔ててモータステータ3Sが取付けられた、径方向外側が開放された非回転側ケース3aとを軸受け3jを介して回転可能に連結した中空形状のダイレクトドライブモータ3と車輌バネ下部品であるナックル5とを、上記非回転側ケース3aに取付けられるモータ側プレート31と車輌の足回り部品であるナックル5に連結されるナックル側プレート32と、これらのプレート31,32を連結する直動ガイド33Aとバネ部材33Bとを一体に構成したバネ付き直動ガイド33と、このバネ付き直動ガイド33に並行に配設された第2の直動ガイド34と、ダンパー35とを備えた動的吸振装置30により連結するとともに、上記回転側ケース3bとタイヤ1を装着するホイール2とを、ホイール2のラジアル方向に互いに偏心可能な駆動力伝達機構である回転伝達カップリング40により結合したもので、これにより、上記モータ側プレート31とナックル側プレート32とは、車輌上下方向に案内されるとともに、バネ付き直動ガイド33及びダンパー35とにより結合されているので、インホイールモータ3を上下方向にのみ揺動させることができる。
上記回転伝達カップリング40は、詳細には、図5(b)に示すように、複数枚の中空円盤状のプレート41A〜41Cと、隣接する上記プレート41A,41B、及び、プレート41B,41C間を結合するとともに、上記隣接するプレート41A,41B、及び、プレート41B,41Cを互いに円盤のラジアル方向に案内する直動ガイド42A,42Bとを備えたもので、インホイールモータ3を上記直動ガイド42A,42Bの作動方向、すなわち、円盤のラジアル方向に沿って揺動することはできるが、回転方向には揺動しない構成として、上記モータ3からの駆動トルクをホイール2に効率的に伝達することができるようにしたものである。
また、図6(a)は、本出願人が提案している、動的吸振装置60を介して車輌の足回り部品に対して弾性支持されるインホイールモータが、インナーロータ型の電気モータである場合のインホイールモータシステムの一構成例を示す図で、このインホイールモータシステムにおいては、電気モータ50Mのモータケース50aと車輌バネ下部品であるナックル5とを、ガイド固定部材62に取付けられた、上記バネ付き直動ガイド33と同様の構成の2本のバネ付き直動ガイド61,61と、このバネ付き直動ガイド61に並行に配設された図示しないダンパーとを備えた動的吸振装置60を用いて弾性支持するとともに、原動軸である上記モータ50Mの出力軸50bと従動軸であるホイール2に連結されるホイールハブ4の回転軸4kとを、回転伝達カップリング70により結合することにより、上記モータ50Mが揺動してもホイール2に回転力を伝達することができるようにしている(特願2006−26385号)。
上記回転伝達カップリング70としては、例えば、図6(b)に示すような、偏芯や偏角及びスライド方向に移動可能な、回転伝達カップリング(オルダムカップリング)70Zを用いることができる(例えば、特許文献2参照)。このオルダムカップリング70は、原動軸71の端部に取付けられる中空円筒状の原動軸部材72と、従動軸73の端部に取付けられる中空円筒状の従動軸部材74と、上記原動軸部材72と従動軸部材74との間に配置される回転力伝達部材75とから成り、原動軸部材72の従動側端部に金属製の一対の第1ガイド部材72m,72nを設け、従動軸部材74の原動側端部に上記第1ガイド部材72m,72nと直交する金属製の一対の第2ガイド部材74m,74nを設けるとともに、上記回転力伝達部材75の支持体75Kの外周部に、上記第1ガイド部材72m,72nの内面側と摺動可能に設けられたプラスチック製の第1スライド部材72a,72bと、上記第2ガイド部材74m,74nと摺動可能に設けられたプラスチック製の第2スライド部材72c,72dとを設けたもので、これにより、上記原動軸部材72と従動軸部材74とが上,下あるいは左,右に直線的に移動可能に連結されるので、原動軸71と従動軸73との同軸度がずれた状態(平行偏心)であっても、確実に回転力を伝達することができる。
一方、原動軸と従動軸との軸相対角度のずれ(偏角)を吸収することのできる継手として、図7(a),(b)に示すようなゴム継手80が知られている(例えば、特許文献3参照)。このゴム継手80は、原動軸81Jに連結される、複数の筒体81Pを同心円状に等距離配列した原動側部材81と、従動軸82Jに連結される、複数の筒体82Pを同心円状に等距離配列した従動側部材82と、上記筒体81P,82Pの外周側を支持するゴム弾性体83,84と、これらのゴム弾性体83,84を連結する合成樹脂板85とを備えたもので、これにより、当該ゴム継手80の回転方向の剛性を高くすることができるので、回転力の伝達効率を向上させることができる。一方、他の方向の剛性は低いので、軸間に偏角があった場合でもこれを十分に吸収することができる。
WO 02/083446 A1
特開平9−269013号公報
特開平5−202946公報
上記回転伝達カップリング70としては、例えば、図6(b)に示すような、偏芯や偏角及びスライド方向に移動可能な、回転伝達カップリング(オルダムカップリング)70Zを用いることができる(例えば、特許文献2参照)。このオルダムカップリング70は、原動軸71の端部に取付けられる中空円筒状の原動軸部材72と、従動軸73の端部に取付けられる中空円筒状の従動軸部材74と、上記原動軸部材72と従動軸部材74との間に配置される回転力伝達部材75とから成り、原動軸部材72の従動側端部に金属製の一対の第1ガイド部材72m,72nを設け、従動軸部材74の原動側端部に上記第1ガイド部材72m,72nと直交する金属製の一対の第2ガイド部材74m,74nを設けるとともに、上記回転力伝達部材75の支持体75Kの外周部に、上記第1ガイド部材72m,72nの内面側と摺動可能に設けられたプラスチック製の第1スライド部材72a,72bと、上記第2ガイド部材74m,74nと摺動可能に設けられたプラスチック製の第2スライド部材72c,72dとを設けたもので、これにより、上記原動軸部材72と従動軸部材74とが上,下あるいは左,右に直線的に移動可能に連結されるので、原動軸71と従動軸73との同軸度がずれた状態(平行偏心)であっても、確実に回転力を伝達することができる。
一方、原動軸と従動軸との軸相対角度のずれ(偏角)を吸収することのできる継手として、図7(a),(b)に示すようなゴム継手80が知られている(例えば、特許文献3参照)。このゴム継手80は、原動軸81Jに連結される、複数の筒体81Pを同心円状に等距離配列した原動側部材81と、従動軸82Jに連結される、複数の筒体82Pを同心円状に等距離配列した従動側部材82と、上記筒体81P,82Pの外周側を支持するゴム弾性体83,84と、これらのゴム弾性体83,84を連結する合成樹脂板85とを備えたもので、これにより、当該ゴム継手80の回転方向の剛性を高くすることができるので、回転力の伝達効率を向上させることができる。一方、他の方向の剛性は低いので、軸間に偏角があった場合でもこれを十分に吸収することができる。
しかしながら、上記回転伝達カップリング40やオルダムカップリング70Zは、大きな平行偏心下であっても回転力を伝達することは可能であるが、原動軸と従動軸と角度誤差については十分に吸収できないといった問題点があった。
また、上記カップリング40,70Zでは、原動軸部材と従動軸部材とをスムースに摺動しつつトルクを伝達させるため、スライドユニットなどの精密かつ高価な部品が必要なだけでなく、高い組立精度が要求されるため組付作業に時間がかかっていた。
一方、上記ゴム継手80では、ゴム弾性体83,84の剛性が合成樹脂板85の面内において等方的であるため、大きな偏心を吸収することが困難である。
また、上記カップリング40,70Zでは、原動軸部材と従動軸部材とをスムースに摺動しつつトルクを伝達させるため、スライドユニットなどの精密かつ高価な部品が必要なだけでなく、高い組立精度が要求されるため組付作業に時間がかかっていた。
一方、上記ゴム継手80では、ゴム弾性体83,84の剛性が合成樹脂板85の面内において等方的であるため、大きな偏心を吸収することが困難である。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、原動軸と従動軸との間に偏心や偏角があった場合でも、回転力を確実に伝達することができる回転伝達カップリングと、この回転伝達カップリングを備えたインホイールモータシステムを提供することを目的とする。
本願の請求項1に記載の発明は、原動側と同一軸線上において回転する原動側プレートと、従動側と同一軸線上において回転する従動側プレートと、上記2つのプレートとの間に配置される中間プレートとを備えた回転伝達カップリングであって、上記中間プレートを複数の貫通孔が設けられた中間ベースプレートと、上記貫通孔にそれぞれ挿入・固定される、上記中間ベースプレートの面内に平行な面内においてその剛性に異方性を有する第1のゴムブッシュと、剛性の低い方向が上記第1のゴムブッシュの剛性の低い方向と直交する第2のゴムブッシュとから構成するとともに、上記第1のゴムブッシュと原動側プレートを連結し、上記第2のゴムブッシュと従動側プレートを連結して成ることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転伝達カップリングであって、上記第1のゴムブッシュには1つの中心線に対称な位置にそれぞれ薄肉部もしくは貫通切り込み(スグリ)が形成されており、上記第2のゴムブッシュは上記第1のゴムブッシュの上記中心線と直交する中心線に対称な位置にそれぞれ薄肉部もしくは貫通切り込みが形成されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、車輪を駆動するモータを、バネ要素とダンパー要素とを備えた動的吸振装置を介して車輌バネ下部材に取り付け、上記モータの質量を上記動的吸振装置の質量として使用する構成のインホイールモータシステムにおいて、上記モータとホイールまたはハブとを、請求項1または請求項2に記載の回転伝達カップリングを用いて連結したことを特徴とするものである。
上記インホイールモータシステムの具体例としては、動的吸振装置を介して車輌バネ下部材に取付けられるインホイールモータが、上記図5(a)に示したような、円環状のモータロータと、上記モータロータの径方向内側に所定の間隔を隔てて配置された円環状のモータステータと、上記モータステータを収容する円環状の非回転側ケースを備えた中空形状のインホイールモータであったり、上記図6(a)に示したような、モータがインナーロータ型の電気モータであるようなインホイールモータシステムが挙げられる。また、本発明は、インホイールモータが、電気モータと減速歯車機構とを備えたギヤドモータである場合にも適用可能である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転伝達カップリングであって、上記第1のゴムブッシュには1つの中心線に対称な位置にそれぞれ薄肉部もしくは貫通切り込み(スグリ)が形成されており、上記第2のゴムブッシュは上記第1のゴムブッシュの上記中心線と直交する中心線に対称な位置にそれぞれ薄肉部もしくは貫通切り込みが形成されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、車輪を駆動するモータを、バネ要素とダンパー要素とを備えた動的吸振装置を介して車輌バネ下部材に取り付け、上記モータの質量を上記動的吸振装置の質量として使用する構成のインホイールモータシステムにおいて、上記モータとホイールまたはハブとを、請求項1または請求項2に記載の回転伝達カップリングを用いて連結したことを特徴とするものである。
上記インホイールモータシステムの具体例としては、動的吸振装置を介して車輌バネ下部材に取付けられるインホイールモータが、上記図5(a)に示したような、円環状のモータロータと、上記モータロータの径方向内側に所定の間隔を隔てて配置された円環状のモータステータと、上記モータステータを収容する円環状の非回転側ケースを備えた中空形状のインホイールモータであったり、上記図6(a)に示したような、モータがインナーロータ型の電気モータであるようなインホイールモータシステムが挙げられる。また、本発明は、インホイールモータが、電気モータと減速歯車機構とを備えたギヤドモータである場合にも適用可能である。
本発明によれば、原動側プレートと従動側プレートとを連結する回転伝達カップリングの中間プレートを、複数の貫通孔が設けられた中間ベースプレートと、上記貫通孔にそれぞれ挿入・固定される、上記中間ベースプレートの面内に平行な面内においてその剛性に異方性を有する第1のゴムブッシュと、剛性の低い方向が上記第1のゴムブッシュの剛性の低い方向と直交する第2のゴムブッシュとから構成するとともに、上記第1のゴムブッシュと原動側プレートを連結し、上記第2のゴムブッシュと従動側プレートを連結することにより、上記ゴムブッシュの剛性の高い方向で原動側プレートと従動側プレートとの動きを規制して回転力を伝達し、剛性の低い方向には移動可能としとしたので、原動軸と従動軸との間に大きな平行偏心があった場合でも、回転力を確実に伝達することができるとともに、角度誤差があった場合にも、これを十分に吸収することができる。
このとき、第1及び第2のゴムブッシュに、その1つの中心線に対称な位置にそれぞれ薄肉部もしくはスグリを形成しておけば、上記薄肉部同士もしくはスグリ同士を結んだ方向(対称軸となる中心線と直交する方向)が剛性の低い方向となるので、簡単な構造でゴムブッシュの剛性に異方性を付与することができる。
また、本発明の回転伝達カップリングを、車輪を駆動するモータを、バネ要素とダンパー要素とを備えた動的吸振装置を介して車輌バネ下部材に取り付け、上記モータの質量を上記動的吸振装置の質量として使用する構成のインホイールモータシステムに適用すれば、偏心が大きな場合でも、モータのトルクを確実にホイールへ伝達させることができる。また、上記ゴムブッシュに動的吸振装置として必要なバネレートを与えておけば、インホイールモータの動的吸振装置のダンパー要素を小型化もしくは省略することが可能となる。
このとき、第1及び第2のゴムブッシュに、その1つの中心線に対称な位置にそれぞれ薄肉部もしくはスグリを形成しておけば、上記薄肉部同士もしくはスグリ同士を結んだ方向(対称軸となる中心線と直交する方向)が剛性の低い方向となるので、簡単な構造でゴムブッシュの剛性に異方性を付与することができる。
また、本発明の回転伝達カップリングを、車輪を駆動するモータを、バネ要素とダンパー要素とを備えた動的吸振装置を介して車輌バネ下部材に取り付け、上記モータの質量を上記動的吸振装置の質量として使用する構成のインホイールモータシステムに適用すれば、偏心が大きな場合でも、モータのトルクを確実にホイールへ伝達させることができる。また、上記ゴムブッシュに動的吸振装置として必要なバネレートを与えておけば、インホイールモータの動的吸振装置のダンパー要素を小型化もしくは省略することが可能となる。
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
図1は、本最良の形態に係る回転伝達カップリング10の構成を示す図で、同図において、11は第1の回転軸11Jに連結される原動側プレートである第1のヨーク、12は第2の回転軸12Jとに連結される従動側プレートである第2のヨーク、13は中間プレートで、この中間プレート13は、その中心軸に対して対称な位置に形成された4個の貫通孔14を有する中間ベースプレート15と、上記貫通孔14にそれぞれ挿入・固定される第1及び第2のゴムブッシュ16A,16Bとを備えている。
第1のゴムブッシュ16Aは、図2(a),(b)に示すように、そのセンターに、ボルト17を通すための、金属もしくはそれに類する硬い材料から成るスリーブ(パイプ)18が圧入もしくは接着により取付けられている。また、上記スリーブ18を挟んで対面2箇所、詳細には、当該ゴムブッシュ16Aの1つの中心線lに対称な位置には、貫通長孔(スグリ)19がそれぞれ形成されている。
一方、第2のゴムブッシュ16Bは、上記第1のゴムブッシュ16Aと同様の構成であるが、上記スグリ19,19同士を結んだ方向(以下、スグリ方向という)が上記第1のゴムブッシュ16Aに対して直交する方向となっている。
これにより、上記スグリ方向が当該ゴムブッシュの剛性の低い方向となるので、簡単な構造で、剛性の低い方向が直交する2つのゴムブッシュ16A,16Bを作製することができる。なお、本例のように、ゴムブッシュの形を円盤状にした場合には、第1のゴムブッシュ16Aと第2のゴムブッシュ16Bは同一のものを使用することができる。
図1は、本最良の形態に係る回転伝達カップリング10の構成を示す図で、同図において、11は第1の回転軸11Jに連結される原動側プレートである第1のヨーク、12は第2の回転軸12Jとに連結される従動側プレートである第2のヨーク、13は中間プレートで、この中間プレート13は、その中心軸に対して対称な位置に形成された4個の貫通孔14を有する中間ベースプレート15と、上記貫通孔14にそれぞれ挿入・固定される第1及び第2のゴムブッシュ16A,16Bとを備えている。
第1のゴムブッシュ16Aは、図2(a),(b)に示すように、そのセンターに、ボルト17を通すための、金属もしくはそれに類する硬い材料から成るスリーブ(パイプ)18が圧入もしくは接着により取付けられている。また、上記スリーブ18を挟んで対面2箇所、詳細には、当該ゴムブッシュ16Aの1つの中心線lに対称な位置には、貫通長孔(スグリ)19がそれぞれ形成されている。
一方、第2のゴムブッシュ16Bは、上記第1のゴムブッシュ16Aと同様の構成であるが、上記スグリ19,19同士を結んだ方向(以下、スグリ方向という)が上記第1のゴムブッシュ16Aに対して直交する方向となっている。
これにより、上記スグリ方向が当該ゴムブッシュの剛性の低い方向となるので、簡単な構造で、剛性の低い方向が直交する2つのゴムブッシュ16A,16Bを作製することができる。なお、本例のように、ゴムブッシュの形を円盤状にした場合には、第1のゴムブッシュ16Aと第2のゴムブッシュ16Bは同一のものを使用することができる。
中間プレート13を組上げる際には、上記中間ベースプレート15の4個の貫通孔14に上記第1及び第2のゴムブッシュ16A,16Bを圧入または接着により挿入・固定する。このとき、図3に示すように、上記第1及び第2のゴムブッシュ16A,16Bを交互に配置する。これにより、同図の上下方向を中間プレート13の上下方向としたときに、中間ベースプレート15の上下方向に設けられた貫通孔14には上下方向に剛性の低い第1のゴムブッシュ16Aが配置され、左右方向に設けられた貫通孔14には左右方向に剛性の低い第2のゴムブッシュ16Bが配置されることになる。
本例では、図1に示すように、中間ベースプレート15の貫通孔14に挿入・固定された第1のゴムブッシュ16A,16Aの各スリーブ18にボルト17を通して、このボルト17の他端側を第1のヨーク11に連結するとともに、第2のゴムブッシュ16B,16Bの各スリーブ18にボルト17を通して、このボルト17の他端側を第2のヨーク12に連結することにより、第1のヨーク11と第2のヨーク12とを中間プレート13を介して連結した構成の回転伝達カップリング10を組上げる。
なお、上記ボルト17の他端側を第1及び第2のヨーク11,12に連結する方法としては、上記第1及び第2のヨーク11,12に貫通孔を設け、裏面側からナットにて上記ボルト17を固定したり、第1及び第2のヨーク11,12にネジ穴を形成し、このネジ穴に上記ボルト17を螺入するなどすればよい。
本例では、図1に示すように、中間ベースプレート15の貫通孔14に挿入・固定された第1のゴムブッシュ16A,16Aの各スリーブ18にボルト17を通して、このボルト17の他端側を第1のヨーク11に連結するとともに、第2のゴムブッシュ16B,16Bの各スリーブ18にボルト17を通して、このボルト17の他端側を第2のヨーク12に連結することにより、第1のヨーク11と第2のヨーク12とを中間プレート13を介して連結した構成の回転伝達カップリング10を組上げる。
なお、上記ボルト17の他端側を第1及び第2のヨーク11,12に連結する方法としては、上記第1及び第2のヨーク11,12に貫通孔を設け、裏面側からナットにて上記ボルト17を固定したり、第1及び第2のヨーク11,12にネジ穴を形成し、このネジ穴に上記ボルト17を螺入するなどすればよい。
上記第1及び第2のヨーク11,12を連結する第1及び第2のゴムブッシュ16A,16Bは、いずれもスグリ方向の剛性が低いので、上記第1及び第2のヨーク11,12はスグリ方向には少ない抵抗で移動できる。したがって、第1の回転軸11Jと第2の回転軸12Jとが並行偏心していた場合でも、この偏心を十分に吸収することができる。
一方、スグリのない方向では、第1及び第2のゴムブッシュ16A,16Bのゴムが抵抗となるため、第1及び第2のヨーク11,12の動きが規制されることから、この方向が回転力の伝達方向となる。
上記のような中間プレート13の働きは、従来のオルダムカップリングと同様であるが、本発明の回転伝達カップリング10では、原動側と従動側とをゴム部材(第1及び第2のゴムブッシュ16A,16B)を介して連結しているので、第1及び第2のヨーク11,12間に軸間に偏角があった場合でもこれを十分に吸収することができる。
一方、スグリのない方向では、第1及び第2のゴムブッシュ16A,16Bのゴムが抵抗となるため、第1及び第2のヨーク11,12の動きが規制されることから、この方向が回転力の伝達方向となる。
上記のような中間プレート13の働きは、従来のオルダムカップリングと同様であるが、本発明の回転伝達カップリング10では、原動側と従動側とをゴム部材(第1及び第2のゴムブッシュ16A,16B)を介して連結しているので、第1及び第2のヨーク11,12間に軸間に偏角があった場合でもこれを十分に吸収することができる。
このように、本例の回転伝達カップリング10は、回転力を確実に伝達することができるとともに、偏心や偏角があった場合にも、これを十分に吸収することができるので、上記図5(a),(b)に示したインホイールモータシステムのフレキシブルカップリング40、あるいは、上記図6(a),(b)に示したインホイールモータシステムのフレキシブルカップリング70Zに代えて、上記回転伝達カップリング10を用いれば、偏心や偏角があった場合でも、インホイールモータ3,50Mのトルクを確実にホイール2へ伝達させることができる。
また、上記ゴムブッシュ16A,16Bに動的吸振装置として必要なばねレートを与えておけば、動的吸振装置30,60のダンパー要素を小型化もしくは省略することが可能となるので、インホイールモータシステムを小型軽量化することができる。
また、上記ゴムブッシュ16A,16Bに動的吸振装置として必要なばねレートを与えておけば、動的吸振装置30,60のダンパー要素を小型化もしくは省略することが可能となるので、インホイールモータシステムを小型軽量化することができる。
なお、上記最良の形態では、第1及び第2のゴムブッシュ16A,16Bに貫通長孔(スグリ)19を設けて、その剛性に異方性を付与したが、図4(a)に示すように、上記スグリ19に代えて薄肉部20を設けてもよい。また、上記スグリもしくは薄肉部の形状を円形とし、これを多数配置してもよい。
あるいは、図4(b)に示すように、ゴムブッシュ16A(16B)を剛性の異なる2種類のゴム部材G1,G2から構成し、軸方向から見たときに、中心軸を含む帯状の部分16pに剛性の高いゴム部材G1を使用し、その上側の部分16qと下側の部分16rとに剛性の低いゴム部材G2を配置すれば、上下方向には剛性が低く、左右方向には剛性の高いゴムブッシュを得ることができる。
あるいは、図4(b)に示すように、ゴムブッシュ16A(16B)を剛性の異なる2種類のゴム部材G1,G2から構成し、軸方向から見たときに、中心軸を含む帯状の部分16pに剛性の高いゴム部材G1を使用し、その上側の部分16qと下側の部分16rとに剛性の低いゴム部材G2を配置すれば、上下方向には剛性が低く、左右方向には剛性の高いゴムブッシュを得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、簡単な構成で、原動軸と従動軸とに偏心や偏角があった場合でも、回転力を確実に伝達することができる回転伝達カップリングを提供することができるので、この回転伝達カップリングを、例えば、車輪を駆動するモータを、バネ要素とダンパー要素とを備えた動的吸振装置を介して車輌バネ下部材に取り付け、上記モータの質量を上記動的吸振装置の質量として使用する構成のインホイールモータシステムに適用すれば、偏心が大きい場合だけでなく、軸間に角度誤差があった場合でも、上記モータのトルクを確実にホイールへ伝達させることができる。
10 回転伝達カップリング、11 第1のヨーク、11J 第1の回転軸、12 第1のヨーク、12J 第2の回転軸、13 中間プレート、
14 貫通孔、15 中間ベースプレート、16A 第1のゴムブッシュ、
16B 第2のゴムブッシュ、17 ボルト、18 スリーブ、
19 貫通長孔(スグリ)。
14 貫通孔、15 中間ベースプレート、16A 第1のゴムブッシュ、
16B 第2のゴムブッシュ、17 ボルト、18 スリーブ、
19 貫通長孔(スグリ)。
Claims (3)
- 原動側と同一軸線上において回転する原動側プレートと、従動側と同一軸線上において回転する従動側プレートと、上記2つのプレートとの間に配置される中間プレートとを備えた回転伝達カップリングであって、上記中間プレートを複数の貫通孔が設けられた中間ベースプレートと、上記貫通孔にそれぞれ挿入・固定される、上記中間ベースプレートの面内に平行な面内においてその剛性に異方性を有する第1のゴムブッシュと、剛性の低い方向が上記第1のゴムブッシュの剛性の低い方向と直交する第2のゴムブッシュとから構成するとともに、上記第1のゴムブッシュと原動側プレートを連結し、上記第2のゴムブッシュと従動側プレートを連結して成ることを特徴とする回転伝達カップリング。
- 上記第1のゴムブッシュには1つの中心線に対称な位置にそれぞれ薄肉部もしくは貫通切り込みが形成されており、上記第2のゴムブッシュは上記第1のゴムブッシュの上記中心線と直交する中心線に対称な位置にそれぞれ薄肉部もしくは貫通切り込みが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転伝達カップリング。
- 車輪を駆動するモータを、バネ要素とダンパー要素とを備えた動的吸振装置を介して車輌バネ下部材に取り付け、上記モータの質量を上記動的吸振装置の質量として使用する構成のインホイールモータシステムにおいて、上記モータとホイールまたはハブとを、請求項1または請求項2に記載の回転伝達カップリングを用いて連結したことを特徴とするインホイールモータシステム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2007021683A JP2008185195A (ja) | 2007-01-31 | 2007-01-31 | 回転伝達カップリング及びインホイールモータシステム |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012137125A (ja) * | 2010-12-24 | 2012-07-19 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | 回転伝達カップリング |
JP2020100187A (ja) * | 2018-12-20 | 2020-07-02 | Toyo Tire株式会社 | インホイールモータユニット及び弾性カップリング |
JP2020100188A (ja) * | 2018-12-20 | 2020-07-02 | Toyo Tire株式会社 | インホイールモータユニット |
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2007
- 2007-01-31 JP JP2007021683A patent/JP2008185195A/ja active Pending
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JP7199217B2 (ja) | 2018-12-20 | 2023-01-05 | Toyo Tire株式会社 | インホイールモータユニット及び弾性カップリング |
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