JP2008185111A - 油圧式無断変速装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一つのシリンダブロック7に油圧ポンプ用プランジャ8と油圧モーター用プランジャ10とを摺動可能に備え、入力軸2と同一軸心上に可動斜板6とシリンダブロック7と固定斜板12と出力ケース48を配置した油圧式無段変速装置1において、前記可動斜板6の回動を油圧サーボ機構3によって制御し、該油圧サーボ機構3のサーボスプール14を、パイロット油路61・62を介して遠隔操作弁66と連結する油圧式無断変速装置1。
【選択図】図5
Description
HSTは、可変容量型の油圧ポンプの可動斜板を主変速操作手段と連結連動して、該主変速操作手段を回動操作することにより、油圧ポンプからの吐出量を変更して出力回転数を変更して主変速を行う変速装置である。また、HSTは、主変速操作手段を中立位置から逆方向に回動することにより、前後進を切り換え・変速を行うことができる。
このようなHSTの可動斜板と主変速操作手段はリンク等を介して連結されている(例えば、特許文献1参照)。
この形式のHSTは、第1及び第2の回転軸と、軸線方向に往復動する第1及び第2のプランジャと、同じく軸線方向に往復動する第1及び第2のスプールと、該第1及び第2のプランジャ、第1及び第2のスプールを収容して第1の回転軸と一体的に回転するシリンダブロックと、該第1のプランジャと当接しつつ軸線に対する傾斜角を変更可能な可動斜板と、該第2のプランジャと当接しつつ軸線に対して所定の傾斜角を成しながら第2の回転軸と一体的に回転する固定斜板と、を具備する構成とされている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
そこで、解決しようとする課題は、前記構成のHST及び変速操作構成を更にコンパクトに設計することである。
図1は本発明の実施例に係る操作系を含む油圧式無断変速装置の全体的な構成を示す断面構成図、図2は同じく油圧式無断変速装置を示す斜視図、図3は同じくタイミングスプール及びプランジャの一連の動作を示す模式図である。
図4は同じく油圧サーボ機構を示す構成図、図5は同じく油圧サーボ機構の油圧回路図、図6は同じく変速レバーを示す側面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の実施例に係る油圧式無段変速装置1(HST)は、可変容量型の油圧ポンプと固定容量型の油圧モーターからなり、主に、入力軸2と、前記入力軸2の軸線方向に往復動する第一のプランジャである入力側プランジャ(油圧ポンプ用プランジャ)8・8・・・と、第二のプランジャである出力側プランジャ(油圧モーター用プランジャ)10・10・・・と、同じく軸線方向に往復動する第一のスプールである入力側タイミングスプール9・9・・・と、第二のスプールである出力側タイミングスプール11・11・・・と、前記各プランジャ8・10および各タイミングスプール9・11を収容して入力軸2と一体的に回転するシリンダブロック7と、軸線に対する傾斜角を変更可能な斜板面において前記入力側プランジャ8・8・・・と当接する入力側斜板(可動斜板)6と、軸線に対して所定の傾斜角を成す斜板面において前記出力側プランジャ10・10・・・と当接しつつ回転する出力側斜板(固定斜板)12と、前記入力側斜板6の駆動機構である油圧サーボ機構3等によって構成されている。
本実施例に係る油圧式無段変速装置1(HST)は、油圧ポンプは斜板保持部材5、入力側斜板6、シリンダブロック7、入力側プランジャ8、入力側タイミングスプール9、入力側スプールカム37等より構成され、また、油圧モーターはシリンダブロック7、出力側プランジャ10、出力側タイミングスプール11、出力側スプールカム47、出力側斜板12等より構成されている。
このように、一つのシリンダブロック7に油圧ポンプと油圧モーターの各プランジャ8・10を収納する構成として、コンパクト化を図っている。
なお、これらの油圧サーボ機構3の出力部3a、調整部3b等の配置勝手は限定するものではなく、適宜変更可能である。
軸受ハウジング部4aには、前記入力軸2を貫通させるための貫通孔が穿設され、該貫通孔の内周面前部には入力側円錐コロ軸受21の外輪が嵌合し、内周面後部には入力側針状コロ軸受22が嵌合する。
斜板保持部材5の後端部(保持部5a)は略半円状に窪んだ形状を有している。該半円状に窪んだ部位には斜板用メタル軸受28がスプリングピン等により固設されている。
プランジャ部10aは略円筒形状の部材であり、シリンダブロック7の出力側プランジャ孔41に摺接しつつ往復動可能である。ボール10bは略球状の部材であり、略円盤形状の部材である当接盤10cと一体的に固設される。当接盤10cはボール10bによりプランジャ部10aの突出端(出力側端面7bより出力側斜板12に向かって突出している側の端部)に揺動可能に連結されるとともに、プランジャ部10aの突出端はボール10bにより閉塞される(より厳密には、ボール10bおよび当接盤10cには潤滑用油路が穿設されており、出力側プランジャ孔41内の作動油は少量ずつ該潤滑用油路から当接盤10cと出力側斜板12との当接面に漏出し、該当接面を潤滑している)。
プランジャ部10aの内部にはバネ押さえ29およびバネ30が収容される。バネ30はその一端がバネ押さえ29と当接し、他端がプランジャ部10aの開口端から突出して出力側プランジャ孔41の底壁面に当接している。従って、出力側プランジャ10はバネ30により、シリンダブロック7の出力側端面から突出する方向(すなわち、出力側斜板12の斜板面12aに当接盤10cが当接する方向)に付勢されている。
出力側斜板12は入力軸2が貫通する貫通孔が設けられた略円筒形状の部材であり、その前部には斜板面12aが設けられている。斜板面12aは平面であり、斜板面12aには出力側プランジャ10の突出端(当接盤10c)が当接する。斜板面12aは入力軸2の軸線に対して所定の傾斜角(斜板面12aと入力軸2の軸線とが成す角度)を成している。
なお、本実施例において、入力側タイミングスプール9と出力側タイミングスプール11とは部品共用化のために同一形状としているが、これに限定されず、入力側タイミングスプール9と出力側タイミングスプール11とが異なる形状でも良い。
拡径部9aは、入力側タイミングスプール9の長手方向(往復動する方向)において中間部(または略中央部)に配置される。また、拡径部9b・9bは入力側タイミングスプール9の長手方向において両端に位置する。
弁軸部9cは、拡径部9a及び拡径部9b・9bよりも外径が小さい略円柱形状の部位であり、拡径部9aと拡径部9b・9bとの間に位置する。
係合部9dは、一方の拡径部9bから入力側タイミングスプール9の長手方向に向けて突設される。係合部9dと拡径部9bとの接続部はくびれた形状であり、入力側スプールカム37に係合する。
本実施例では、係合部9dを断面視略そろばん玉状に形成して、入力側スプールカム37の溝部との係合箇所における接触面積を小さくして摩擦抵抗を低減させるとともに、製作性を向上させている。また、係合部9dを断面視略円弧状に形成してもよい。
このように、前記係合部9dと断面視略円弧状の溝部を接触させることにより、摩擦抵抗を低減させて、入力側タイミングスプール9をスムーズに駆動させることができる。
係合部9dに連なる拡径部9bは、入力側タイミングスプール9が入力側タイミングスプール孔32内で往復動しても、常に第一の内周溝により形成される入力側油室35と入力側タイミングスプール孔32とが連通する連絡部よりも入力側端面7a側に位置する。また、係合部9dから遠い方の拡径部9bは、入力側タイミングスプール9が入力側タイミングスプール孔32内で往復動しても、常に第二の内周溝により形成される出力側油室45と入力側タイミングスプール孔32とが連通する連絡部よりも出力側端面7b側に位置する。
このように、前記係合部11dと断面視略円弧状の溝部47aを接触させることにより、摩擦抵抗を低減させて、出力側タイミングスプール11をスムーズに駆動させることができる。
係合部11dに連なる拡径部11bは、出力側タイミングスプール11が出力側タイミングスプール孔42内で往復動しても、常に第二の内周溝により形成される出力側油室45と出力側タイミングスプール孔42とが連通する連絡部よりも出力側端面7b側に位置する。また、係合部11dから遠い方の拡径部11bは、出力側タイミングスプール11が出力側タイミングスプール孔42内で往復動しても、常に第一の内周溝により形成される入力側油室35と出力側タイミングスプール孔42とが連通する連絡部よりも入力側端面7a側に位置する。
したがって、拡径部11aは、出力側タイミングスプール11が出力側タイミングスプール孔42内で摺動することにより、(1)入力側油室35と出力側プランジャ孔41とが遮断されて出力側油室45と出力側プランジャ孔41とが連通される位置と、(2)入力側油室35と出力側油室45と出力側プランジャ孔41とがいずれも遮断される位置と、(3)入力側油室35と出力側プランジャ孔41とが連通されて出力側油室45と出力側プランジャ孔41とが遮断される位置、の計三つの位置をとることが可能である。
図1に示すように、前記油圧サーボ機構3の出力部3aは、前記軸受ハウジング部4aの上方に前後方向に形成された出力部シリンダ4bと、該出力部シリンダ4bにおいて前後方向に往復摺動可能に内挿されるパワーピストン15と、該パワーピストン15の後端部に固設される掛止部材16等で構成されている。
パワーピストン15の前端部には拡径部15aが形成され、該拡径部15aの前端面と出力部シリンダ4bによって前側油室17を構成するとともに、該拡径部15aの後端面と出力部シリンダ4bによって後側油室18を構成している。そして、各油室17・18内の油圧を変化させることにより、パワーピストン15を前後方向に往復摺動可能としている。
前記前側油室17の前方側の壁部には、調整ボルト19が螺設されており、該調整ボルト19の後端部が前記拡径部15aの前端面と当接するように構成している。
このように構成することにより、調整ボルト19を出力部シリンダ4b内部へ臨ませる長さを調整して、パワーピストン15の前方側への摺動位置を制限することができるようにしている。また、調整ボルト19をロックナット53で固定可能な構成として、調整ボルト19を出力部シリンダ4b内部へ臨ませる長さを保持できるようにしている。
掛止部材16は、後述する入力側斜板6の掛止部6cを掛止する断面視略コの字型の部材であり、コの字の開放側を下方に向ける態様で前記パワーピストン15の後端部に固設されている。
なお、本実施例においては、パワーピストン15はシリンダロッドにより構成するようにしており、油圧装置全体の小型化に有利な構成としているが、パワーピストン15の構成はこれに限定するものではない。
また、入力側ハウジング4のサーボシリンダ13の他側には前側油室17と連通する油路4gと、後側油室18に連通する油路4fとが構成されている。
図5に示すように、前記油圧サーボ機構3は前記パイロット油路61またはパイロット油路62に圧油を送油することにより切り換えられて、入力側斜板6の角度が変更されて変速される。該パイロット油路61・62には前進用と後進用の遠隔操作弁63・64がそれぞれ接続され、該遠隔操作弁63・64は二つのバルブを一体として変速バルブユニット65として変速レバー66の基部に配設されている(図6参照)。該変速レバー66を一側(前側)に回動すると増速用遠隔操作弁64が切り換えられて前進増速され、他側(後側)に回動すると減速用遠隔操作弁63が切り換えられて後進増速するようにし、操作力をなくす、つまり、手を放すと遠隔操作弁63・64は切り換えられず中立位置に戻り減速する構成としている。
図4に示すように、軸受ハウジング部4aの上部にパワーピストン15を入力軸2と平行に前後方向に配置し、該パワーピストン15の後端を入力側斜板6の一端に連結している。該パワーピストン15の側部に上下方向にサーボスプール14を上下に配置し、該サーボスプール14にはバネ部材20・20、フィードバックリンク24、及び入力側斜板6とを連動連結している。つまり、該フィードバックリンク24の一端は軸受ハウジング部4aの側面に突設した枢支軸55に枢支され、他端は入力側斜板6の側部より突出した係止ピン6dと係合し、フィードバックリンク24の中途部に形成した孔に挿入したリンクピン34とバネ部材20・20を介して連結されている。
すなわち、前記変速レバー66を前進増速側に回動すると、遠隔操作弁64が切り換えられて、パイロット油路62の圧油をドレンさせ、チャージポンプ26からの圧油は遠隔操作弁63からパイロット油路61を介してシリンダ摺動孔4cの上部油室40に送油される。該上部油室40に圧油が送油されることにより、サーボスプール14はバネ部材20の付勢力に抗して下降し、ポンプポート(油路4e)と連通しているサーボスプール14の第二縮径部14dが油路4fと連通し、チャージポンプ26からの圧油が後側油室17内に送油され、パワーピストン15が前方へ摺動される。そして同時に、タンクポートと第一縮径部14bと油路4gが連通して、前側油室17内の作動油がドレンされ、パワーピストン15の摺動が妨げられることがないようにしている。
このパワーピストン15の前方への摺動により、入力側斜板6が傾倒されて、油圧ポンプへの送油量が増加して、回転数を前進増速させることができる。この入力側斜板6の傾倒によりフィードバックリンク24が上方へ回動され、該フィードバックリンク24に係合したリンクピン34を介してバネ部材20の圧縮力を該サーボスプール14にフィードバックするようにしている。そして、バネ部材20の圧縮力が上部油室40の圧油に打ち勝って、サーボスプール14が上昇することで、開口した油孔が閉じられ、ポンプポートと油路4fが遮断され、タンクポートと油路4gの間も遮断され、入力側斜板6の傾動が停止され、その角度が保持される。
このパワーピストン15の後方への摺動により、入力側斜板6が前記と逆方向に傾倒されて、油圧ポンプへの送油量が逆方向に増加して、回転数を後進増速させることができる。この入力側斜板6の傾倒によりフィードバックリンク24が下方へ回動され、該フィードバックリンク24に係合したリンクピン34を介してバネ部材20の圧縮力がサーボスプール14に付勢して、前記サーボスプール14が中立方向に移動して、ポンプポートと油路4gが遮断され、タンクポートと油路4fの間も遮断され、入力側斜板6の傾動が停止され、その角度が保持される。
すなわち、一つのシリンダブロックに油圧ポンプ用プランジャと油圧モーター用プランジャとを摺動可能に備え、入力軸と同一軸心上に可動斜板とシリンダブロックと固定斜板と出力軸を配置したHST1において、従来用いられていたレバーリンクを油圧ラインに変更することで、操作構成をコンパクトに設計できる。
つまり、操作構成も含めてコンパクトに構成されるHST1は、建設作業車や農業作業車への搭載性が向上できる。
同時に、操作系統にフィードバック機構を設けることで、駆動をスムーズにできる。つまり、HST1の操作性を向上できる。
2 入力軸
3 油圧サーボ機構
6 可動斜板
7 シリンダブロック
8 油圧ポンプ用プランジャ
10 油圧モーター用プランジャ
12 固定斜板
14 サーボスプール
48 出力ケース
61 パイロット油路
62 パイロット油路
66 変速レバー
Claims (2)
- 一つのシリンダブロックに油圧ポンプ用プランジャと油圧モーター用プランジャとを摺動可能に備え、入力軸と同一軸心上に可動斜板とシリンダブロックと固定斜板と出力軸を配置した油圧式無段変速装置において、
前記可動斜板の回動を油圧サーボ機構によって制御し、該油圧サーボ機構のスプールを、パイロット油路を介して遠隔操作弁と連結することを特徴とする油圧式無断変速装置。 - 請求項1記載の油圧式無段変速装置において、
前記可動斜板の制御量を前記油圧サーボ機構のスプールにフィードバックすることを特徴とする油圧式無断変速装置。
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