JP2008185082A - ガスシール装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シール面で摩擦を発生せずに、充分にシール性能が確保されるガスシール装置を提供する。
【解決手段】回転軸3に伴って回転する回転環11に向かって固定環12をスプリング17により付勢して、回転軸3の軸線に対して垂直な回転環11及び固定環12の各シール面11a、12a間でガスを封止するガスシール装置10であって、回転環11のシール面11aに、回転環11の外周からガスを導入して、回転環11と固定環12との間にガス膜を形成する溝30を設けるとともに、回転環11及び固定環12が反発し合うように回転環11に第1の磁石20を固定環12に第2の磁石21を設ける。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガスを封止するガスシール装置に係り、詳しくは、回転部材と固定部材との間でガスを封止するガスシール装置に関する。
回転軸とハウジングとの間に設けられ、ガス等の流体を封止するシール装置において、磁石を用いているものがある。このシール装置では、回転軸に伴って回転する回転部材と固定部材との接触部であるシール面に夫々磁石が設けられており、磁石によって固定部材と回転部材とを引き寄せ合いシール面における面圧を確保することによって、流体の漏れを防止している(特許文献1)。
実公平1−18932号公報
上記のようなシール装置では、回転部材の回転時において固定部材と回転部材とが接触しているので、回転部材及び固定部材のシール面が磨耗し、やがてシール性能が低下するといった問題点がある。
この問題に鑑みて、ガスを封止する装置として、ドライガスシール装置が開発されている。ドライガスシール装置は、例えばスプリングによって固定部材が回転部材に向かって付勢されているとともに、回転部材のシール面にスパイラル溝が形成されている。これより、このドライガスシール装置では、回転部材が回転することによって、スパイラル溝により固定部材と回転部材との間に微少な厚さの高圧なガス膜が形成される。回転部材の回転時には、スプリングによる固定部材の付勢力に抗して、ガス膜により固定部材と回転部材との間で反発力が作用し、固定部材と回転部材とが微少な距離だけ離間するように調整されている。これにより、ドライガスシール装置では、固定部材と回転部材との間のガスの流通を抑制しつつ、固定部材と回転部材との間の摩擦を低減することができる。
しかしながら、上記のような構成のドライガスシール装置でも、回転部材の回転起動時や低速回転時では、充分にガス膜が形成されず、固定部材と回転部材とが接触してしまう虞がある。このような低速回転時であっても、固定部材と回転部材とが接触してしまうと、シール面が磨耗するだけでなく、酸素等のような助燃性あるいは可燃性のあるガスを封止する場合では、固定部材と回転部材との摩擦により、固定部材、回転部材あるいはガス自体が燃焼してしまう虞がある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、シール面で摩擦を発生せずに、充分にシール性能が確保されるガスシール装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1のガスシール装置は、回転軸に伴って回転する回転部材と固定部材との少なくともいずれか一方を付勢手段により他方に向かって付勢して、前記回転軸の軸線に対して垂直な前記回転部材及び前記固定部材の各シール面でガスを封止するガスシール装置であって、前記回転部材及び前記固定部材が反発し合うように前記回転部材及び前記固定部材に夫々設けられた磁石と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項2のガスシール装置は、請求項1に記載の発明において、前記回転部材及び前記固定部材に夫々設けられた磁石は、永久磁石であることを特徴とする。
また、請求項3のガスシール装置は、請求項1に記載の発明において、前記回転部材及び前記固定部材に夫々設けられた磁石のうち、少なくともいずれか一方が電磁石であるとともに、前記回転軸の回転時に前記回転部材及び前記固定部材が反発し合うように前記電磁石に電力を供給する一方、前記回転軸の回転停止時に前記電磁石への電力の供給を停止する制御手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項4のガスシール装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記回転部材のシール面に、前記回転部材の外周から前記ガスを導入するよう設けられ、前記回転部材及び前記固定部材の少なくとも一方のシール面にガス膜を形成する溝を備えたことを特徴とする。
請求項1のガスシール装置によれば、回転軸の回転起動時等のような低回転時においても、磁石による反発力により回転部材と固定部材とが微少な距離だけ離間するので、シール面での磨耗を防止すると共に、シール性能を確保することができる。
請求項2のガスシール装置によれば、回転部材及び固定部材に設けられる磁石として永久磁石を採用することにより、容易に回転部材及び固定部材に磁石を設置可能となる。また、永久磁石の反発力は、互いの離間距離が小さくなるほど大きくなるので、回転部材と固定部材とが微少距離だけ離間するように設定することが容易となり、シール面でのシール性能を向上させることができる。
請求項3のガスシール装置によれば、回転が低回転時であっても、磁石による反発力により回転部材と固定部材とが離間するので、シール面での磨耗を防止することができる一方、回転軸の停止時には回転部材及び固定部材に磁石による反発力が作用しないので、付勢手段によって固定部材が付勢されてシール面が密着することにより、回転軸の停止時におけるシール性能を確保することができる。
請求項4のガスシール装置によれば、回転軸の回転時には、溝により回転部材と固定部材とのシール面間にガス膜が形成されるので、回転部材と固定部材とが付勢手段による付勢力に抗して離間し、シール面での磨耗が防止されるとともに、このガス膜によりシール面間でガスが封止されることによりシール性能を充分に確保することができる。
以下、本発明の実施形態を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明に係るガスシール装置を採用した一軸多段型窒素圧縮機の構造を示す断面図である。
図1に示すように、一軸多段型窒素圧縮機(以下、窒素圧縮機1という)は、窒素を圧縮する多段の遠心圧縮機であって、回転軸3と、回転軸3に固定されるとともに回転軸3の軸方向に並べて配置される複数のインペラ4と、回転軸3を回転自在かつ軸線が略水平方向に延びるように支持するとともに複数のインペラ4を囲うケーシング5とを備えている。ケーシング5には、インペラ4から導かれた窒素を圧縮するディフューザ6と、前段のインペラ4からの窒素を後段のインペラ4に導く流路であるリターンチャネル7とが設けられている。
この窒素圧縮機1では、図示しない電動モーター等の動力機関によって回転軸3が回転されると、ケーシング5内に取り込まれた窒素は、インペラ4により径方向外方のディフューザ6に導かれ、ここで圧縮されて圧力が高められる。圧縮された窒素はリターンチャネル7を通過して次の段のインペラ4に導かれ、以後同様にして窒素の圧縮が各段で行われる。このように、窒素圧縮機1は、複数段にわたって圧縮を繰り返すことにより、窒素の圧力を所望の圧縮比まで高める機能を有している。
この窒素圧縮機1において、回転軸3の支持部では、回転軸3とケーシング5との間に、ガスシール装置10が備えられている。ガスシール装置10は、高圧側であるケーシング5内の窒素が支持部から低圧側である外部に流出しないように封止する機能を有している。
図2は、ガスシール装置10の構造を示す断面図である。
図2に示すように、ガスシール装置10は、回転軸3とケーシング5との間に設けられたステンレス鋼等の硬質材料により形成された回転環11(回転部材)とカーボン等の摺動抵抗の少ない材質により形成された固定環12(固定部材)とを含んで構成されている。回転環11及び固定環12は、それぞれ回転軸3の軸線方向の断面が略矩形状であって円環板状に形成されている。回転環11及び固定環12は略同径に形成されており、回転軸3の軸方向に並べて配置されている。回転環11と固定環12とが相対する面は、夫々回転軸3の軸線に垂直なシール面11a、12aとなる。
回転環11は、回転軸3に固定されたスリーブ13に、内周面11bとシール面11aの反対側の側面11cとが固定されており、回転軸3の回転に伴って回転を行う。
固定環12は、ボルト14によってケーシング5に固定されたシールケース15に、回転軸3の軸方向に摺動可能に支持されている。詳しくは、固定環12は、ノックピン16によって、シールケース15に対し回転方向の移動が規制されるとともに、スプリング17(付勢手段)によって回転軸3の軸方向に付勢されている。
スプリング17は、シールケース15とシール面12aの反対側の側面12bとの間に設けられ、固定環12を回転環11に向かって押し付けるように、すなわちシール面11a及び12aが互いに押し付け合うように付勢する。
更に、本願発明を採用したガスシール装置10では、回転環11に第1の磁石20が、固定環12に第2の磁石21が設けられている。第1の磁石20及び第2の磁石21は、永久磁石であって、シール面11a、12aで相対し、互いに反発し合うように配置されている。
図3は、回転環11の構造を示し、シール面11aの形状を示す側面図である。
図3に示すように、回転環11のシール面11aには、周方向に間隔をおいて複数のスパイラル溝30が形成されている。スパイラル溝30は、シール面11aの外周縁から内周側に向かって回転方向後方に傾斜しており、内周側の先端部30aで溝の出口が封じられている。第1の磁石20は、円環筒状に形成され、スパイラル溝30の内周側に配置されている。
図4は、固定環12及びシールケース15の構造を示す側面図である。
図4に示すように、第2の磁石21は、第1の磁石20と略同径の円環筒状に形成されている。ノックピン16は、シールケース15に固定されており、固定環12の外周端より径方向外方に配置されている。
なお、第1の磁石20及び第2の磁石21として、本実施形態では、シール面11a、12aに円環筒状の磁石が設けられているが、複数の直方体状の磁石を周方向に等間隔に並べて配置してもよい。
以上のような構成のガスシール装置1では、回転軸3が回転することにより、回転環11の外周面11dから高圧側の窒素がスパイラル溝30に微量取り込まれ、内周側の先端部30aに導かれる。先端部30aに流入した窒素は更に高圧となって、スプリング17による押し付け力に抗して固定環12を押し上げる。これにより、回転軸3の回転時に、回転環11と固定環12とが離間するので、シール面11aとシール面11bとの摩擦を失くすことができる。更に、固定環12を押し上げたガスにより、回転環11と固定環12との間に円環状の高圧のガス膜が形成されるので、回転環11と固定環12とが離間していても、シール面11a、11bでのシール性能を充分に確保することができ、高圧側から低圧側へのガス漏れが抑制される。なお、回転軸3の回転時における回転環11と固定環12との離間距離は、シール性能を向上させるために、極力少ないことが望ましいので、高速回転時に回転環11と固定環12との間が数μm程度離間するように、スプリング17の押し付け力をあらかじめ設定しておけばよい。
更に、本発明に係るガスシール装置1では、回転環11と固定環12とが反発するように、第1の磁石20及び第2の磁石21が設けられているので、回転軸3の回転起動時等のような低速回転時においても、回転環11と固定環12とを離間させることができる。これにより、低速回転時においても、シール面11a、12aでの摩擦がなくなるので、シール面11a、12aの磨耗を確実に防止することができるとともに、酸素等のような助燃性のあるガスあるいは可燃性のあるガスの圧縮機にも、本願発明のシール装置を採用することができる。また、永久磁石の反発力は、互いの離間距離が小さくなるほど大きくなるので、第1の磁石20及び第2の磁石21として永久磁石が採用されることにより、回転環11と固定環12とが微少距離だけ離間するように設定することが容易となり、シール面11a、12aでのシール性能を向上させることができる。
なお、本実施形態では、第1の磁石20及び第2の磁石21のいずれも永久磁石にしているが、他の実施形態として、このうちの少なくとも一方を電磁石にしてもよい。図5に示すガスシール装置40では、固定環12に設けられる第2の磁石41を電磁石にしている。更に、当該他の実施形態では、第2の磁石41への電力の供給を制御するコントロールユニット(制御手段)42を備える。コントロールユニット42は、回転軸3を回転させる電動モーター43の作動も制御可能であって、例えば、回転軸3の回転起動直前までは電力の供給を停止し、シール面を接触しておき、回転軸3の回転起動直前に第2の磁石41に電力を供給して、回転環11と固定環12とを離間させるようにする。これにより、回転軸3の回転停止時にシール面11aと11bとを密着させてシール性能を確保できるので、回転軸3の回転停止時にケーシング5内に残留した窒素の漏れを防止することができる。
また、本発明のガスシール装置は、一軸多段型窒素圧縮機だけでなく、ギアード型窒素圧縮機に採用するガスシール装置にも適用可能であり、更には、窒素以外のガスの圧縮機やその他の機器等に用いられるガスシール装置に広く適用することができる。
また、回転環や固定環のシール面にある溝は、スパイラル溝で説明したが、この形状に限らず、回転力を使って動圧を発生することができる穴や溝であればよい。例えば、本実施形態のように高圧ガス側がケーシング5の外側にあり、低圧ガス側がケーシング5の内側にある場合は、図6(a)のように回転環11や固定環の外側から内側にガスを取り込み、出口が封止された溝50が考えられる。また、高圧ガス側がケーシング5の内側にあり、低圧ガス側がケーシング5の外側にある場合には、図6(b)、(c)のように、回転環11や固定環の内側からガスを取り込み、出口が封止された溝51や、内側からガスを取り込み、遠心力をつかってガスをシール面に対して放出するような穴52であっても良い。
本発明に係るガスシール装置を採用した一軸多段型窒素圧縮機の構造図である。 ガスシール装置の構造を示す断面図である。 回転環の構造を示す側面図である。 固定環及びシールケースの構造を示す側面図である。 本発明のガスシール装置の他の実施形態の構造を示す断面図である。 溝の他の実施形態の構造を示す側面図である。
符号の説明
10、40 ガスシール装置
11 回転環
12 固定環
11a、12a シール面
17 スプリング
30 スパイラル溝
20 第1の磁石
21、41 第2の磁石
42 コントロールユニット

Claims (4)

  1. 回転軸に伴って回転する回転部材と固定部材との少なくともいずれか一方を付勢手段により他方に向かって付勢して、前記回転軸の軸線に対して垂直な前記回転部材及び前記固定部材の各シール面でガスを封止するガスシール装置であって、
    前記回転部材及び前記固定部材が反発し合うように前記回転部材及び前記固定部材に夫々設けられた磁石と、
    を備えたことを特徴とするガスシール装置。
  2. 前記回転部材及び前記固定部材に夫々設けられた磁石は、永久磁石であることを特徴とする請求項1に記載のガスシール装置。
  3. 前記回転部材及び前記固定部材に夫々設けられた磁石のうち、少なくともいずれか一方が電磁石であるとともに、
    前記回転軸の回転時に前記回転部材及び前記固定部材が反発し合うように前記電磁石に電力を供給する一方、前記回転軸の回転停止時に前記電磁石への電力の供給を停止する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のガスシール装置。
  4. 前記回転部材のシール面に、前記回転部材の外周から前記ガスを導入するよう設けられ、前記回転部材及び前記固定部材の少なくとも一方のシール面にガス膜を形成する溝を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガスシール装置。
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