JP2008184037A - トラック用ドア材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記課題を解決するために本発明のトラック用ドア材1はトラック3の車体の一部、あるいはトラック3の貨物室7の一部として配設され、少なくとも芯材13と表面材15とを備えており、上記表面材15として基材17の表面にフッ素樹脂フィルム19を貼設した複合フィルムを適用した。
【選択図】 図3
Description
また、寒冷地では融雪剤や路面凍結防止剤として路面に塩化ナトリウムや塩化カルシウム等を散布することが行われており、このような融雪剤や路面凍結防止剤が路面から跳ね上がり、上記金属製材料によって形成されている表面材に付着すると表面材が腐食し、ピンホール状の穴が空いてトラック用ドア材の修理や交換が余儀なくされる。
また、FRP自体は常温では耐衝撃性に優れるものの、衝撃によりあるいは低温下で表面の塗膜に割れや剥がれが生じた場合には上述した変色や劣化が起こり、FRPの耐衝撃性は大きく低下してしまう。
フッ素樹脂フィルムは耐候性、耐薬品性に優れるが、単体では機械的強度に劣るため、単にFRPの表面に貼設しただけでは衝撃により上記塗膜と同様の割れや剥がれが生じてFRPの変色や劣化を招いてしまう。
また、フッ素樹脂フィルムとしてポリフッ化ビニリデンをベースにした複合プラスチックフィルムを適用した場合には、トラック用ドア材に照射される紫外線等は当該複合プラスチックフィルムによって遮蔽される。
また、芯材として木製合板を適用した場合には金属製材料を適用した場合と異なり、表面材が損傷した場合でも腐食は生じないからトラック用ドア材の耐食性の低下は起こらない。
また、貨物室7はトラック3の車体と一体になったワンボックスタイプ、トラック3の荷台5上に独立して固定設置される独立ボックスタイプ、貨物室7ごと荷上げ、荷下ろしができるコンテナタイプ、他に幌式、ウイング式等、種々のタイプの貨物室7に適用可能である。
本発明のトラック用ドア材1は少なくとも芯材13と、該芯材13の表面側に貼設される表面材15とを備えており、更に表面材15として基材17の表面にフッ素樹脂フィルム19を貼設した複合フィルムを適用している。
フッ素樹脂フィルム19としては二フッ化のポリフッ化ビニリデン(以下PVDFという)をベースにした複合プラスチックフィルムが一例として適用できる。具体的には電気化学工業株式会社製造の商品名「デンカDXフィルム」が本発明のトラック用ドア材1における好適なフッ素樹脂フィルム19として使用可能である。
尚、フッ素樹脂には他に一フッ化、三フッ化、四フッ化のものがあるが、このうち一フッ化のものは条件が許せば本発明のトラック用ドア材1に使用するフッ素樹脂フィルム19として使用可能である。
「デンカDXフィルム」の特長は、耐候性に優れ、紫外線から基材17及び芯材13を保護し、耐薬品性、耐汚染性についても優れた効果を発揮する。また、接着性にも優れ塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート等との熱接着が可能になっており、トラック3の幌や自動車の内外装材料としては既に使用実績を有している。
そして、本実施の形態ではフィルム厚が約40μmの「デンカDXフィルム」をフッ素樹脂フィルム19として使用した。
そして本実施の形態では基材17として厚さが約0.6mmのポリプロピレンシートを一例として使用し、次に述べる芯材13の表裏両面に接着剤A(一例としてエポキシ系接着剤)を使用して接着した。
またそれぞれの基材17、17の表面には接着剤B(一例としてウレタン系接着剤)を使用して上記フッ素樹脂フィルム19、19を接着することで表面材15ないし裏面材21を形成している。
尚、基材17としては、他にポリエステル、塩化ビニル、ABS樹脂、ナイロン等も適用可能であるが、このうち塩化ビニルは環境に与える影響が大きく廃棄が困難であり、ナイロンは高価であることから基材17の材料としては好適ではない。
この他、芯材13としては図5(b)に示すようなプラスチック成形品25、図5(c)に示すようなポリスチレン等の発泡体27、図5(d)に示すような金属コルゲート板29等も適用可能である。そして、これらの材料を使用した場合には芯材13ないしトラック用ドア材1全体の軽量化が図られる。
耐食性については表2に示すようにJIS Z 2371に規定する塩水噴霧試験と、JIS Z 9117に規定する耐湿性試験を実施した。
耐湿性試験では温度49℃、湿度98%RH以上の噴囲気下に2000時間「デンカDXフィルム」をラミネートコーティングした鋼板を浸して平坦部と90°折曲部とで異常の有無を確認した。上記塩水噴霧試験と同様、いずれの部位でも異常は確認されなかった。
10%塩酸、10%硫酸、5%酢酸、10%カセイソーダ中では、「デンカDXフィルム」でラミネートコーティングした鋼板と、PVFフィルムでラミネートコーティングした鋼板の2種類の試験片には共に異常は見られなかった。
促進曝露試験による表面劣化状態は図6に示すようになり、「デンカDXフィルム」をラミネートコーティングした鋼板では曝露前と曝露後とで大きな変化が見られなかった。一方、PVFフィルムをラミネートコーティングした鋼板では曝露前と曝露後とで表面状態に大きな変化が見られ、図示のように劣化の発生が明確に確認された。
図7に示すように「デンカDXフィルム」をラミネートコーティングした鋼板の場合が最も色差変化が少ないことが確認された。
また「デンカDXフィルム」の色はダークブルーよりもライトグリーンの方が色差変化が少ないことが確認された。以上の各試験によって耐候性については「デンカDXフィルム」をラミネートコーティングした鋼板がPVFフィルムをラミネートコーティングした鋼板に比べて特性が格段に優れていることが確認された。
試験片としては木製合板の表面に「デンカDXフィルム」を貼設した複合パネルと、表面に塗装を施したFRP合板とを使用し、試験機器としてはテスター産業製のテーバー式摩耗試験機(AB−101)と、島津製作所のデュポン式衝撃試験器を使用してJIS K 5400−1999に規定する耐摩耗試験と、JIS K 5400−1990に規定する耐衝撃性試験を実施した。
また、耐衝撃試験では、撃ち型と受け台の寸法を6.35mmとし、1000gのおもりを50cmの高さから落下させて試験片(各3枚)の外観の変化を観察した。
一方、FRP合板では耐摩耗試験後の質量変化が1枚目が−0.407g、2枚目が−0.214g、3枚目が−0.388g、3枚の平均が−0.336gであった。
従って「デンカDXフィルム」を貼設した複合パネルの質量変化はFRP合板の質量変化の約7分の1であり、「デンカDXフィルム」を貼設した複合パネルの方がFRP合板より耐摩耗性が格段に優れていることが確認された。
一方、FRP合板ではすべての試験片について塗膜の割れと塗膜の剥れが確認された。
従って「デンカDXフィルム」を貼設した複合パネルの方がFRP合板より耐衝撃性が優れていることが確認された。
またトラック3の走行中、路面に散布されていた凍結防止剤等が跳ね上がってトラック用ドア材1に付着したとしてもフッ素樹脂フィルム19の有する優れた耐食性と耐薬品性とによって芯材13への進入は防止されている。
また、基材17としてポリプロピレンシートを適用したことによってフッ素樹脂フィルム19の補強作用が得られ、表面材15全体の機械的強度が増強されている。
また、芯材13として木製合板23を適用したことによって、金属製材料を芯材13に適用した場合と異なり、表面材15がたとえ損傷した場合でも芯材13の腐食は生じないからトラック用ドア材1の耐食性の低下は起こらない。
また、基材17をポリプロピレンシートによって構成した場合には、フッ素樹脂フィルム19との接着が容易、且つ強固になる。また、ポリプロピレンシートの有する衝撃吸収作用によってトラック用ドア材1の耐衝撃性と耐摩耗性は一層向上し、耐食性、耐候性及び耐薬品性の向上にも寄与するようになる。
また、芯材13として、プラスチック成形品25や発泡体27、あるいは金属コルゲート板29等を適用すればトラック用ドア材1の軽量化を図ることも可能になる。
この他、本発明のトラック用ドア材1の構造をトラック3の車体フレームや貨物室7のパネル材に適用することも可能であり、このようにすればトラック3の車体や貨物室7を含めた総合的な耐食性、耐候性、耐薬品性、耐衝撃性及び耐摩耗性の向上を図ることができる。
3 トラック
5 荷台
7 貨物室
9 後面部
11 フレーム
13 芯材
15 表面材
17 基材
19 フッ素樹脂フィルム
21 裏面材
23 木製合板
25 プラスチック成形品
27 発泡体
29 金属コルゲート板
31 側面部
33 側面部
A 接着剤
B 接着剤
Claims (4)
- トラックの車体の一部、あるいはトラックの貨物室の一部として配設され、少なくとも芯材と、該芯材の表面側に貼設される表面材とを備えたトラック用ドア材において、
上記トラック用ドア材は表面材として基材の表面にフッ素樹脂フィルムを貼設した複合フィルムを適用したことを特徴とするトラック用ドア材。 - 上記フッ素樹脂フィルムはポリフッ化ビニリデンをベースにした複合プラスチックフィルムによって構成されていることを特徴とする請求項1記載のトラック用ドア材。
- 上記基材は、ポリプロピレンシートであることを特徴とする請求項1または2記載のトラック用ドア材。
- 上記芯材は、木製合板によって形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトラック用ドア材。
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---|---|---|---|
JP2007019464A JP2008184037A (ja) | 2007-01-30 | 2007-01-30 | トラック用ドア材 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015509997A (ja) * | 2012-01-11 | 2015-04-02 | エルジー・ハウシス・リミテッドLg Hausys,Ltd. | ハードコーティング用組成物およびこれを含む黄変が改善された装飾用フィルム |
JP5987094B1 (ja) * | 2015-08-06 | 2016-09-06 | 加藤 隆 | 車輛フレーム |
Citations (3)
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JPH10168199A (ja) * | 1996-12-12 | 1998-06-23 | Dainippon Printing Co Ltd | フッ素樹脂シートの積層方法、及びフッ素樹脂シート積層品 |
JPH11115118A (ja) * | 1997-10-20 | 1999-04-27 | Izumi Kk | トラック車体パネル用高剛性シート |
JP2002256777A (ja) * | 2001-03-02 | 2002-09-11 | Nippon Fruehauf Co Ltd | 雨水浸入防止装置を備えたバン型車両における後部ドア |
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2007
- 2007-01-30 JP JP2007019464A patent/JP2008184037A/ja active Pending
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