JP2008180707A - 流量計測装置とガス供給システム - Google Patents

流量計測装置とガス供給システム Download PDF

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Abstract

【課題】流量計測手段から出力される瞬時流量による器具判別において判別を誤った場合に不明器具として登録し、不明器具の流量を再確認し器具判別の精度向上を可能とする流量計測装置である。
【解決手段】流量計測手段3と、流量計測手段3の流量値を記憶する流量情報記憶手段8と、流量計測手段3から出力される流量値の差分値を求める演算手段6と器具登録記憶手段7と器具の判別を行う器具判別手段9と器具を判別しえなかった情報を登録する不明器具登録手段10を有する構成である。
【選択図】図1

Description

本発明は、各家庭でのガス供給管の入り口部分に設置され、ガス流量を計測するガスメータを応用して、ガス器具別料金等の使用器具やその使い方に合わせた新料金やサービスを提供するために使用中のガス器具を判別検知する技術に関するものである。
従来、この種の流量計測装置の事例としては、以下に示すような構成がある(例えば、特許文献1参照)。
一般的に各家庭にはガス供給ラインの入り口にガスの流量計を内蔵したガスメータが取り付けられている。
従来のガスメータにおいて器具別料金を実施する場合、ガスメータに接続された複数の積算装置を用い、特定の時間使用された場合の積算流量や特定の範囲の流量が使用されている場合の積算値を求め、すなわち時間区分別流量や流量区分別流量を求め、その積算値でもって料金体系を決めるものである。図24をもとに料金体系の1例について説明を加える。予め所定の割引流量区分、及び所定の割引時間帯を設定し、その割引流量区分かつ割引時間帯に該当する流量のガス料金を割引対象とする。すなわち図24で斜線で区分された部分が対象となる。しかしながら、この方法では、器具の特定判断が曖昧であり、特定器具に対して料金を課金する等のより消費者にわかりやすく利便性のある料金設定を行うことは困難である。そこで、特定の器具を判別するための方法として、以下に示すような提案がなされている(例えば、特許文献2参照)。
提案例の動作について説明する。図25には、あるガス器具の起動時のガス流量変化パターンとそのパターンをもとにパターンマッチングを行うための参照値(パターンテーブル)を示す。1つのガス器具についてこのパターンテーブルはガス器具の燃焼制御に伴って発生する一連のガスの流量変化パターン分用意する必要があり、また各家庭で使われているガス器具の総台数分必要になる。ガスメータの流量計測装置により計測された流量値の変化とこれらのパターンテーブルを常に比較しながらマッチングするものを抽出し、器具を特定するものである。
また、計測したガス流量において登録器具以外の流量パターンが発生した場合に、ユーザに通知して流量パターンを記憶するように要求するシステムもある(例えば、特許文献3参照)。
特開2002−71421号公報 特開2003−149027号公報 特許第3490064号明細書
前記の構成においては、登録されていない流量パターンが発生した場合は器具として判別されない。ここでいう流量パターンとは、ガス流量の差分値や絶対流量の変化量、流量を時間軸に対してプロットした場合の流量変化形状、あるいは流量変化の周期性などを含む。そして流量変化形状は、短時間における形状と長時間における形状を含む。短時間における流量変化形状は、オーバーシュート、傾き(変化率)や制御値などを含む。
このような場合としては、ガス漏れの場合、登録されていない新しいガス器具が設置されて動作した場合はもちろんのこと、場合によっては本来登録されている器具にもかかわらず、経年変化等何らかの原因により器具の判別に失敗した場合も考えられる。したがって、このような場合には、器具として認識されないわけであるから、流量に変化があってもその情報が残らないし、またその器具のガス使用流量分は誤差となってしまい、器具判別の信頼性に不透明さが残ってしまうという課題を有している。
また、登録器具以外の流量パターンとしては上記のように様々なものがあり得るため、このような流量パターンが発生する毎に全てをユーザに通知すると、その都度ユーザにとって煩雑な処理を強いることになり、また、無駄な処理が発生する場合があるという課題を有している。
本発明は、前記の課題を解決するもので、登録されていない流量パターンが発生した場合に、一旦、不明器具として登録することを目的とするものである。
また、そのような場合に、既に登録されている器具でないかどうかの再確認を行うことを目的とするものである。この場合、再確認した結果、既に登録された器具であることが判った場合には、当初、不明としたのが誤りであったわけであるから、誤り訂正を行うことに相当するものである。
また、本発明は、登録器具以外の不明な流量パターンを分析し、分析結果に応じた処理を行うことで、種々の状況に合わせた適切な処理を行うことができる技術を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の流量計測装置は、流路に流れる流体の流量を計測する流量計測手段と、前記流量計測手段で計測された流量値を記憶する流量情報記憶手段と、器具毎の流量値を記憶する器具登録記憶手段と、前記流量計測手段で計測された流量値の流量パターンと前記器具登録記憶手段に記憶された器具判定値の流量パターンとを比較し、前記流量計測手段の下流側に接続された器具の使用状態を判定する器具判別手段と、前記器具判別手段が前記器具登録記憶手段内の情報により器具を判別しえない流量パターンがあった場合にその情報を不明データとして登録する不明器具登録手段とを有する構成である。
本発明の流量計測装置は、器具判別手段が器具を判別しえなかった情報を登録する不明器具登録手段を有するものであり、流量変化があってそれに対する器具の判別を誤ったとしても、その判断を不明器具としてその他の器具扱いとすることでき、さらに不明器具があった場合履歴データをもとに不明器具が何であったか推定を用いた再確認を行うことで器具判別の精度を高めることができる。また器具判別を精度よく行うためガス事業者等が用意した新料金メニューなどを利用することができる。また器具判別機能の更新はガスメータの仕様を変えることなく行えるため、将来的な機器機能のメンテナンスも容易に行えることも可能とする。また、不明データの発生に対して所定条件で所定期間の判定を行うことで、新規器具の導入、器具の複合使用、ガス漏れなどのガス使用状況を判定でき、種々の状況に合わせた適切な処理を行うことができる。
第1の発明は、流路に流れる流体の流量を計測する流量計測手段と、前記流量計測手段で計測された流量値を記憶する流量情報記憶手段と、器具毎の流量値を記憶する器具登録記憶手段と、前記流量計測手段で計測された流量値の流量パターンと前記器具登録記憶手段に記憶された器具判定値の流量パターンとを比較し、前記流量計測手段の下流側に接続された器具の使用状態を判定する器具判別手段と、前記器具判別手段が前記器具登録記憶手段内の情報により器具を判別しえない流量パターンがあった場合にその情報を不明データとして登録する不明器具登録手段とを有する構成により、器具判別できない器具が発生しても不明器具としてその情報を残せるため判別異常があったかどうかすぐに特定できる。
第2の発明は、特に、第1の発明において器具判別手段の判別結果に基づいて器具ごとの流量を算出する器具別流量算出手段を備え、判別した器具それぞれの使用流量を求めることができる。
第3の発明は、特に、第1の発明の不明登録手段が不明器具となった流量パターンを前記器具登録記憶手段に新規器具として登録する構成により、新しい器具か使われて波形パターンがわからず不明器具になった場合でもそのデータを登録することで次回使われた時は判別可能となる。
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において不明器具登録手段内に登録データがある場合、前記流量情報記憶手段のデータをもとに再確認を行う再確認手段を有する構成であり、不明器具の発生した情報により、その不明器具となった器具を特定する再確認を行うことで、一度判別を失敗しても再判定できるため器具判別の精度を上げることができる。
第5の発明は、特に、第4の発明において前記再確認手段が前記不明器具登録手段内に情報が新規更新される都度、再確認を行う構成であり、判別を行うタイミングを不明器具が発生した都度行うために履歴のデータを多く残す必要なく再確認を行うことができる。
第6の発明は、特に、第4の発明において前記再確認手段が前記不明器具登録手段内に登録データがあり、前記流量計測手段から出力された流量値が略々0になった時点で再確認を行う構成であり、流量が0になった時点で再確認を行うため、全ての器具が停止した時点を区切りとするため稼動中の器具は無く、その時点では全ての器具は停止しているのは確定であるため間違った判定が長く続くことを回避しやすい。
第7の発明は、特に、第4の発明において前記再確認手段が前記不明器具登録手段内に登録データがある場合に、一定時間毎に再確認を行う構成にすることで、履歴データを残すのに必要な記憶容量が一定になる利点があり、演算に必要な記憶メモリなどのハード構成の仕様の決定が容易となる。
第8の発明は、流路に流れる流体の流量を計測する流量計測手段と、前記流量計測手段で計測された流量値を記憶する流量情報記憶手段と、器具毎の流量値を記憶する器具登録記憶手段と、前記流量計測手段で計測された流量値の流量パターンと前記器具登録記憶手段に記憶された器具判定値の流量パターンとを比較し、前記流量計測手段の下流側に接続された器具の使用状態を判定する器具判別手段と、前記器具判別手段が前記器具登録記憶手段内の情報により器具を判別しえない流量パターンがあった場合にその情報を不明データとして登録する不明器具登録手段と、前記不明データを所定条件で所定期間に判定し、対応処理を決定する対応処理判定手段とを有する構成である。これにより、登録器具以外の不明な流量パターンを分析し、分析結果に応じた処理を行うことで、無駄な処理を削減でき、種々の状況に合わせた適切な処理を行うことができる。
第9の発明は、特に、第8の発明において前記対応処理判定手段が、前記所定条件として特定の使用状態の発生要因にそれぞれ対応した判別条件を用い、各判別条件に適した所定期間において前記不明データの判定を行う構成である。これにより、例えば流体の漏れ、新規器具の導入、器具の複合的な使用など、それぞれの使用状態の発生要因に応じて、適切な処理を実行できるので、器具や流路の保安、メンテナンス管理、料金積算等の処理に有効に活用できる。
第10の発明は、特に、第8の発明において前記対応処理判定手段が、第1の所定条件として漏れ判別条件を用い、この漏れ判別条件に適した第1の所定期間に前記不明データの流量パターンにおいて流体の漏れを判別する漏れ判別手段を有し、前記漏れを判別した場合に前記対応処理として保安処理を決定する構成である。これにより、流体の漏れを適切なタイミングで判別し、流路の遮断、通報などの対応する保安処理を実行できる。
第11の発明は、特に、第8の発明において前記対応処理判定手段が、第2の所定条件として新規器具判別条件を用い、この新規器具判別条件に適した第2の所定期間に前記不明データの流量パターンにおいて新規器具を判別する新規器具判別手段を有し、前記新規器具を判別した場合に前記対応処理としてメンテナンス処理を決定する構成である。これにより、新規器具の導入を適切なタイミングで判別し、管理センターへの通報、新規器具の登録などの対応するメンテナンス処理を実行できる。
第12の発明は、特に、第8の発明において前記対応処理判定手段が、第3の所定条件として複合使用判別条件を用い、この複合使用判別条件に適した第3の所定期間に前記不明データの流量パターンにおいて器具の複合使用を判別する複合使用判別手段を有し、前記複合使用を判別した場合に前記対応処理として複合使用処理を決定する構成である。これにより、これにより、器具の複合使用を適切なタイミングで判別し、複合使用時の器具別、機能別のガス流量の積算処理などの対応する複合使用処理を実行できる。
第13の発明は、特に、第1〜12のいずれか1つの発明の流量情報記憶手段が流量値を時間軸方向に情報圧縮して記憶する情報圧縮手段を備えた構成により、履歴データを長く残す場合でも実際に流量の変化があった部分だけ残せばよいので大幅に記憶機器の容量を削減できる。
第14の発明は、特に、第1〜12いずれか1つの発明の流量計測手段が瞬時流量計測手段としての超音波流量計を用いた構成により、一定時間毎の瞬時計測を容易に行うことができる。
第15の発明は、特に、第1〜14のいずれか1つの発明の流量計測装置において家庭用ガス供給管に接続された流量計測装置を用いたガス供給システムを構築することで、ガス事業者が用意した新料金メニューなどを利用することができ、ガス拡販やガス器具拡販を図ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における流量計測装置の構成を示すものである。
図1において、1は流量計測装置であり、ガス供給管の途中に設けられ、その下流側の配管には各顧客宅内に設置された1台以上のガス器具が接続されている。
流量計測装置内部は、ガス管に接続されたガスの流路内に設けられたガス遮断弁2とガス流量計測手段3と流量計測手段3からの信号を演算処理して使用ガス流量を表示する表示部4、また地震などの振動を検出する感震器5、及び本発明に係わるガス器具判別を行うための、演算手段6、器具登録記憶手段7、流量情報手段8、器具判別手段9、及び不明器具登録手段10と、これらの機能その他を統括制御処理する制御回路11、及びそれらの動力源となる電池(図示せず)を内蔵している。
器具登録記憶手段7には、流量変化が起こったかどうかの判定基準となる器具判定値と各ガス器具の一連の燃焼状態の変化点(起動時、制御時、停止時など)での変化点判定値が記録されている。記録されたデータを記憶保持する器具登録記憶手段7は本発明では半導体メモリを使用しているが、記録の追加、書き換えができるものであれば、磁気記録媒体その他でも可能である。
なお、本発明の流量計測手段3に関しては、超音波方式の計測手段を使用しているが、計測方式としては、他の流量計測方式でもフルディック方式などの短時間に一定サイクルで連続計測可能であれば使用可能である。
以下、動作について説明する。
まず超音波方式の流速計測に関して図2をもとに説明する。計測流路12は矩形断面を持っており、計測流路12のガスの流れる方向と直角方向にある壁面には計測流路11を挟んで一対の超音波送受信器13、14が流路の上流側と下流側で角度φを有して斜めに対向して装着されている。超音波送受信器13、14間で交互に超音波を送受信させて流体の流れに対して順方向と逆方向の超音波の伝搬時間の差を一定間隔を置いて計り、伝搬時間差信号として出力する働きを持つ。この伝搬時間差信号を受けて計算手段(図示せず)により被計測流体の流速及び流量を算出するものである。演算式を下記に示す。
図2において、Lは測定距離であり、tを上流からの伝達時間、tを下流からの伝達時間、Cを音速とすると、流速Vは下記式(1)によって求められる。
式(1) V=(L/2cosφ)・((1/t)−(1/t))
計測の時間間隔は超音波の送受信が可能な範囲で設定できるが、本発明では2秒間隔の計測を行っている。更に時間間隔を小さくすることは測定原理上可能であり、ガス器具によっては2秒より短時間で起動する器具もあるため、測定時間間隔を小さくすることは器具判別を瞬時に行う点では有利となるが、計測間隔を短くすると電池の消耗が大きくなるなどの課題がある。また計測時間を従来のガスメータで使用している膜式方式と同等の計測間隔が2桁オーダーの秒数間隔になると、本発明のアルゴリズムの流量変化の差分を見て判断することが困難になる。よって、コストや器具判別の性能面からバランスの良い時間として本発明では2秒間隔計測で行っている。
次に、ガス器具の動作状態の判別手順について図3をもとに説明する。
流量計測装置1では上記した様に2秒間隔毎にガス流量を計測し、そのデータを演算手段6に送り流量値を微分して2秒毎の流量の差分データとして出力している。
この差分データは逐次器具判別手段9に送られ、器具登録記憶手段7に登録されている変化判定値との比較を行っている。差分値が比較判定値を超えた場合、ガス器具に状態変化があったと判断する。変化が検知されると、さらにどのガス器具がどのような状態なのか判断するため、器具判別手段9は器具登録記憶手段7に登録されている各ガス器具の状態別変化値と比較し、器具の判別とその器具の状態の判別を行う。
ただし、器具登録記録手段7に登録されていな器具の流量変化やまれではあるが、例えば経年変化などの何らかの原因により登録されている器具でも登録通りの動きをしなかった場合、不明器具と判別する可能性がある。本実施の形態では登録外の認識となった場合は、図3に示すような不明器具が有りとして不明器具登録手段10にその情報を登録する。
また、不明器具登録手段10に登録情報がある場合、その時の流量変化を器具登録記憶手段7に新たに登録する。これにより、次回同様の流量変化が生じた場合はその登録器具として認識させることが可能となり、新規器具が使用されても自動的にその器具が有る事を登録することが可能である。
図4に実際のガス器具使用時のガス流量の変化と差分値の変化を示す。
図4の特性図において、実線が流量計測手段3により測定されたガスの流量値と破線がそのときの微分値、すなわち、2秒毎の差分値を示す。ガス器具の起動時には差分値はプラス側にピークを持って表現され、停止時にはマイナス側にピークをもって表現される。
なお、上記実施の形態では、まず差分値の変化がある所定の値(変化判定値)以上の場合、図3に示すように変化があったとして次のステップでその器具の特定と状態の変化の判定を行っている。なお、予め登録された限定器具についての判定の場合や処理速度が速く、演算手段6からの差分値データをそのまま、全ての各ガス器具の変化点判定値データとの比較を2秒以内に可能であれば、差分値から直接、変化したガス器具や状態の判別をすることも可能である。
なお、図5に3つの器具(A.B.C)を同時に使用した時の流量値と差分値をグラフに示すが、3つの器具の起動時と停止時の変化を読み取ることが確認できる。
なお、判別された情報としては記憶手段内からの情報を制御回路11を介して表示部への表示または、外部の端末機(図示していない)へのデータ転送など確認できる手段であればいずれも使用可能である。
なお、図6に示すように流量計測装置1内に器具別流量積算手段15を有する構成で、図7に示す作業フローにより各ガス量の変化値を積分し機器・機能別の使用ガス変化を求めることができ、機器別、機能別のガス使用量を算出することが可能である。
また、更には機器・機能別の使用ガス流量に対して個別の料金が課金できるように個別流量に対する料金演算手段を設けることでガス事業者の設定により器具・機能別の任意の料金を算出することも可能である。
また提供しうるサービスの例として、一つに新たなガス料金体系として、暖房器具だけに割引制度を適用することが考えられ、消費者にとってはガス料金に割安感が出、暖房機の長時間使用によりガス事業社のガス拡販及び更には機器の増販に繋げることもできる。
(第2の実施の形態)
図8は本発明の第2の実施の形態の流量計測装置の構成を示すものである。
第2の実施の形態が、第1の実施の形態と異なる点は、再確認手段16を有している点である。基本的な流量計測装置の構成は第1の実施の形態と同様であるためその部分の説明は省略する。
以下、動作について説明する。
図9に示すように、器具判別手段9が行った器具判別結果が不明器具であった場合、その情報は不明器具登録手段10に登録される。不明器具登録手段10内にそのデータがあると、再確認手段16は流量情報記録手段8の中にある流量のデータ記録をもとにして、例えば不明器具となった部分の判別を起動時の流量変化と登録値に対してマージン幅を広げるなどして比較しどの器具であったか再確認する。そして、再確認により器具の特定ができれば不明器具登録を抹消するとともにその時点での起動器具を確定させる。
なお図10に示すように不明器具登録手段10内に不明器具登録が有った場合、計測流量がゼロになった時点で再確認をする。このように、ゼロ流量の時には明らかに全ての器具が停止しているため、その時点までの不明器具の再判定を行い起動器具を再確認するとともに、その時点までに各器具が使用した使用流量を確定できる。このように使用流量を確定したその時点で過去の流量データが必要なくなり、流量の記憶情報をクリアできるので流量情報を記憶するメモリが有効に使える。
なお図11に示すように流量計測装置にタイマー手段(図示せず)を有し、一定時間毎にその間に不明器具登録手段10内に登録データがあればその間の再確認と各使用器具の流量を確定させる。これにより、予め設定された流量データだけを残せばよくなるので、再確認する時間の構成を考慮することでメモリの使える仕様を変更でき、少ないメモリでの構成も可能となる。
なお、本発明に用いている流量情報記憶手段8内に残すデータとしては2秒おきのデータを全て記憶させているが、図12に示すように流量が変化していない部分の流量データは必要ないので、その部分はデータを間引いて圧縮させることが可能である。これにより、メモリの記憶域の削減を図ることが可能である。
(第3の実施の形態)
以下の実施の形態では、上述した第1の実施の形態または第2の実施の形態の動作に加えて、不明な流量パターンが発生した場合の条件判定処理及び判定結果に応じた対応処理について説明する。流量計測装置の構成は図6に示したものと同様である。
図13は第3の実施の形態における不明な流量パターンが発生した場合の処理を示す流れ図である。本実施の形態では、ステップS11において流量計測手段3はガス流量の計測を行い、ステップS12において器具判別手段9は測定データの流量パターンが登録されている器具の流量パターンと一致するかどうかを照合する。ここで、既に登録されている器具の流量パターンと一致する場合は、ステップS13において器具判別手段9は器具判別処理を行い、制御回路11は判別結果に応じて器具毎に対応する処理を実行させる。例えば、器具別、機能別の料金の算出などのために、器具別流量積算手段15によって器具別、機能別のガス流量(ガス使用量)の積算処理などを行わせる。その後、ステップS11に戻って計測処理を継続する。
ステップS12において登録器具の流量パターンと一致しない場合は、ステップS14において器具判別手段9はその流量パターンを不明器具の流量パターンであるとみなし、不明データ扱いとして不明器具登録手段10によって不明器具の流量パターンデータを格納する。このように登録に無い不明な流量パターンを不明器具の流量パターンデータとして一旦登録した後、この不明器具の流量パターンデータについて、各発生要因に対応した所定条件により規定される各々の状況に合致するかどうかを判定する。
この際、器具判別手段9は所定条件で所定期間判定を行い、不明データの発生要因の各状況に合わせた処理を決定する。すなわち、ステップS15において所定期間が経過したかどうかを判定し、所定期間内である場合に、ステップS16において所定条件に合致するかどうかを照合する。ここで、所定期間において所定条件に合致した場合に、ステップS17において制御回路11は当該不明器具の流量パターンデータに対して所定条件の状況に合わせた対応処理を実行する。その後、ステップS11に戻って計測処理を継続する。一方、ステップS16において所定条件に合致しない場合は、ステップS18において制御回路11はいずれにも該当しない不明データであるとして、管理センターまたはユーザに通知するなどのエラー処理を行う。その後、ステップS11に戻って計測処理を継続する。
第3の実施の形態では、不明データの発生要因の状況の第1例として、ガス漏れを判定し、保安処理等の対応する処理を行う場合を示す。この場合、第1の所定条件として、流量の安定性、圧力センサで検出されたガス圧力と流量との圧力相関、あるいは、新規器具の導入などの他の所定条件に合致せずに長期間にわたる微少漏れと判定する場合、などの漏れ判別条件を用いる。また、この漏れ判別条件に適した第1の所定期間としては、大流量の漏れについては主として数十秒から数分の短時間、微少流量の漏れについては例えば3リットル/hの漏れであれば2週間程度などの長時間を用い、安全確認に必要なタイミングで判定する。なお、上記所定期間の設定は、最大条件を示しており、これよりも短い期間で所定条件の判定を行うようにしても良い。不明データの判定をより早いタイミングでできた方が好ましいことは言うまでもない。
次に、ガス漏れの判別方法について説明する。ここでは、ガス漏れの判別方法の一例として、流量の安定性(変化量)に基づいてガス漏れを判別する場合の動作を示す。まず、流量値の変化幅によるガス器具の判別動作について説明し、続いて流量値の変化幅を用いたガス漏れの判別動作を説明する。
図14、図15は、流量計測手段3による計測毎に計測流量値が変化した量に対応する計測毎計測流量値変化幅を用いてガス器具を判別する例を示す。図14は、このような計測毎計測流量値変化幅が、(所定の閾値より)小さい例を示し、図15は、このような計測毎計測流量値変化幅が、(所定の閾値より)大きい例を示している。
図14(a)は、流量計測手段3による計測毎の計測時間と得られた計測流量値のグラフを示している。このような計測時間と計測流量値の組み合わせのデータ(対象データ)は、所定のメモリである流量情報記憶手段8に記憶される。
演算手段6は、計測流量値が変化した量に対応する計測流量値変化幅を、所定の期間内において算出する。特に本例では、演算手段6は、計測流量値変化幅として、流量計測手段3による計測毎に計測流量値が変化した量(計測毎計測流量値変化幅)を、Cで示された期間内において算出する。図14(a)において、計測毎計測流量値変化幅はΔq1,Δq2,・・・,Δqiである。
そして、器具判別手段9は、計測流量値変化幅が所定の閾値Δqm以下であるか否かを判定することにより、ガスを使用するガス器具を判別する。本例では、器具判別手段9は、上記した計測毎計測流量値変化幅(Δq1,Δq2,・・・,Δqi)が、所定の閾値Δqm以下として、連続して演算手段6により算出された回数に基づき、ガス器具を判別する。閾値Δqmはガス器具毎に固有の変化幅として与えられるものであり、図示せぬメモリ(閾値記憶部)に記憶されている。
図14(b)は、器具判別手段9が得る、所定の閾値Δqmより小である計測毎計測流量値変化幅が算出された連続回数を積算度数として示すグラフである。図14(b)では、期間Cにおいて、5回連続して、計測毎計測流量値変化幅が閾値Δqm以下であったことが示されている(|Δqi|<Δqm)。そして、器具判別手段9は、このように5回連続した閾値以下の計測毎計測流量値変化幅が得られた場合、使用しているガス器具を特定のガス器具(例えばファンヒータ)として判別する。
図15は図14と同様の図であるが、図15(a)に示すように、演算手段6によって算出された計測毎計測流量値変化幅Δq1',Δq2',・・・,Δqi'が、図14(a)のΔq1,Δq2,・・・,Δqiより大きい例、すなわちガス流量値の変動が大きい例を示す。計測毎計測流量値変化幅Δq1',Δq2',・・・,Δqi'は総て閾値Δqmより大きいため(|Δqi'|≧Δqm)、図15(b)に示すように、積算度数は0のままである。そして、器具判別手段9は、このように5回連続した閾値以上の計測毎計測流量値変化幅が得られた場合、使用しているガス器具を特定のガス器具(例えば給湯器)として判別する。
図14、図15の例では、器具判別手段9は、閾値以下の計測毎計測流量値変化幅が得られた連続回数に基づき、使用ガス器具を判別することとしている。上記においては連続回数は5としたが、連続回数自体は任意である。尚、実際の器具の運転時間、すなわち所定時間は長く、図14と図15のケースが混在する場合もあるので、その場合は両者の割合で判断しても良い。
また、連続回数のみならず、他の指標を適用することも可能である。例えば器具判別手段9は、所定の閾値以下である計測毎計測流量値変化幅が出現する頻度に基づき、ガス器具を判別するようにしてもよい。例えば10個の変化幅のうち6個が閾値以下ならばファンヒータ、2個だけが閾値以下の場合は給湯器、などのごとき指標を用いてもよい。
図16は、図14、図15の例とは異なり、ガス器具の安定動作中における計測流量値の、所定期間の全期間における変化した量(絶対値変化量)に対応する全期間計測流量値変化幅を用いる例である。すなわち、本例では所定の期間Bの全部における計測流量値が流量情報記憶手段8に記憶された後、総ての計測流量値の変化幅である全期間計測流量値変化幅Δqが、演算手段6によって算出される。
図16(a)のように、全期間計測流量値変化幅Δqが所定の閾値Δqmより小さい場合、例えば器具判別手段9は、使用しているガス器具を特定のガス器具(例えばファンヒータ)として判別する。一方、図16(b)のように、全期間計測流量値変化幅Δqが所定の閾値Δqmより大きい場合、例えば器具判別手段9は、使用しているガス器具を特定のガス器具(例えば給湯器)として判別する。尚、実際の器具の運転時間、すなわち所定時間は長く、図16(a),(b)のケースが混在する場合もあるので、その場合は両者の割合で判断しても良い。
図14から図16の例では、変化幅を求める基礎となる計測流量値を取得する期間は、ガス器具の安定動作中の時間であるCとした。しかしながらこの期間としては、ガス器具の動作開始から動作停止までの他の一部の期間であってもよい。さらにこの期間は、ガス器具の動作開始から動作停止までの期間としてもよい。
また、上述した計測流量値変化幅を用いることにより、ガス器具の判別のみならず、特定のガス器具の運転状態を判別することも可能である。例えば、ガステーブルが動作を開始した後、正常に燃焼している場合としていない場合(不完全燃焼や立ち消えの場合)とで、ガステーブルという同じ器具であって図14と図15のように変化幅が変わることがある。また、図16の(a)と(b)のように変化幅が変わることがある。このような変化幅の変動を捕捉することにより、ガス器具が正常に運転しているかどうか、またはどのような運転をしているか判別することが可能となる。このような判別は、例えばガス器具の保安検査に応用することができる。
また、上述した計測流量値変化幅を用いることにより、ガス器具の判別のみならず、ガス漏れを判別することも可能である。例えば、ガス器具が正常に燃焼している場合と、その器具とほぼ同じ流量のガス漏れが生じている場合とで、図14と図15のように変化幅が変わることがある。また、図16の(a)と(b)のように変化幅が変わることがある。このような変化幅の変動を捕捉することにより、ガス器具が使用されているのか、ガス漏れかを判別することが可能となる。一般的には変化幅の小さい場合が漏れに相当する。この場合、器具判別手段9が器具使用とガス漏れとの判別を行う。このような判別は、例えばガス漏れの保安検査に応用することができる。
本実施の形態では、不明な流量パターンが発生した場合に、所定条件の判定において上記の所定条件の判定を行うことにより、ガス漏れの識別が可能となる。ガス漏れを判定した場合は、制御回路11の指示により、不明データの対応処理としてガス漏れに対する保安処理を行い、ガス遮断弁2を閉じてガスの遮断を行う。また、図示しない通信手段を介して管理センターにガス漏れが起きた旨を通報するような処理も可能である。なお、ガス漏れの流量パターンを既知の流量パターンとして登録するようにしても良い。このように不明データの発生要因としてガス漏れの状況を判別し、対応する保安処理を行うことによって、ガス使用時の安全性を確保できる。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態では、不明データの発生要因の状況の第2例として、新しい器具の導入を判定し、メンテナンス処理等の対応する処理を行う場合を示す。この場合、第2の所定条件として、不明な流量パターンの発生頻度などによる再現性、などの新規器具判別条件を用いる。また、この新規器具判別条件に適した第2の所定期間としては、2週間程度などを用い、管理センターへの通報を行うタイミングで判定する。なお、上記所定期間の設定は、最大条件を示しており、これよりも短い期間で所定条件の判定を行うようにしても良い。不明データの判定をより早いタイミングでできた方が好ましいことは言うまでもない。
次に、新規器具の判別方法について説明する。ここでは、新規器具の判別方法の一例として、新事象である新たな流量パターンの発生回数に基づいて新規器具の導入を判別する場合の動作を示す。
本実施の形態では、器具判別手段9により、流量計測手段3で計測された流量パターンから、ガスを使用するガス器具として新しい器具が導入されたことを新事象として検知する。ここで、「新しい器具」とは、市場に投入された新しい器具(いわゆる新製品)のみならず、家庭内など、当該流量計測装置1の使用環境に初めて導入された器具の双方を含む。図17は、ガス器具A、ガス器具B、ガス器具Cが使用されたときの流量パターンを示す。例えば、従前からガス器具A、ガス器具Bのみが使用され、これらの器具以外の新たなガス器具が使用されない場合、新たな流量パターンは得られないため、新事象の判別はなされない。
そして、新たなガス器具としてガス器具Cが使用開始されたとする。図17のグラフに示すように、ガス器具Cの流量パターンはガス器具Aおよびガス器具Bの流量パターンとは異なっている。そこで、器具判別手段9は、新しい器具であるガス器具Cが導入されて使用されたことを新事象として検知する。図17の例では、器具判別手段9は、新しいガス器具Cの流量パターンが1回得られた場合、新規器具であると判定する。しかしながら1回の流量パターンのみでは、ノイズなどによる誤動作、誤検知を招き、新しいガス器具が導入されていないにもかかわらず、新規器具であると判定してしまうおそれがある。そこで、図18に示す例では、新しいガス器具Cの流量パターンが3回得られたとき、新規器具の使用状況であると判定することとしている。これにより、誤動作、誤検知を招く可能性を減らすことができる。尚、ここで必要とされる流量パターンの登場回数は3回に限定されるものではなく、所定の複数回に設定することができる。
図18の例は、新しいガス器具の流量パターンが連続して複数回得られた場合、すなわちガス器具Cの流量パターンの間に何ら他のパターンが混じっていない例である。しかしながら、このような連続して新しいガス器具の流量パターンが得られない場合であっても、新規器具の使用状況を判定することも可能である。例えば、図19の例では、ガス器具Cの流量パターンが本来なら3回連続して得られるはずなのに、2回目の流量パターンにおける流量の計測において、流量計測手段3の計測タイミングにより、緩点火点Pのような、流量の変化の乏しい個所を捉えきれていない。このように、ガス器具Cの流量パターンの発生が不連続の場合においても、複数回の不連続流量パターンに基づき、器具判別手段9は新しいガス器具Cが導入されたことを検知するようにしてもよい。このような新たなガス器具の判別は、例えば管理センターやガスメータでのメンテナンスなどに応用することができる。
なお、上記のように所定条件として不明な流量パターンの発生頻度等を用いることによって、新規器具の導入を判別することが可能であるが、不明な流量パターンに関して異常パターンを判定し、不適切な使用などの異常使用の状況を判定することも可能である。異常使用としては、ガス器具の故障時の異常運転や、操作者による不適切な運転等、正常な仕様とは異なる使用態様を意味する。また、COセンサを併用して、不明な流量パターンとCOセンサの検出出力との連動によってCOが発生している状況を判定することも可能である。この場合、ガス漏れ判定の場合と同様に、保安処理としてガスの遮断や管理センターへの通報を行うようにする。
本実施の形態では、不明な流量パターンが発生した場合に、所定条件の判定において上記の所定条件の判定を行うことにより、新規器具の導入の検知が可能となる。新規器具の導入を判定した場合は、制御回路11の指示により、不明データの対応処理として新規器具に対するメンテナンスや管理に関するメンテナンス処理を行い、管理センターへの通報、新規器具の登録などを行う。この際、図示しない通信手段を介して管理センターに新規器具が導入された旨を通報する。また、流量計測装置1では、自装置の制御回路11の指示または管理センターからの指示により、新規器具の流量パターン等のデータを器具登録記憶手段7に記憶して登録する。このように不明データの発生要因として新規器具導入の状況を判別し、対応するメンテナンス処理を行うことによって、新しい器具の導入を把握できる。また、検知した新規器具に関して、器具別や機能別のガス流量の積算処理等を行うことも可能である。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態では、不明データの発生要因の状況の第3例として、器具の複合使用を判定し、器具別流量積算等の対応する処理を行う場合を示す。この場合、第3の所定条件として、器具使用時の複合組み合わせ、などの複合使用判別条件を用いる。また、この複合使用判別条件に適した第3の所定期間としては、1ヶ月などを用い、ガス使用料金の計算を行うタイミングで判定する。なお、上記所定期間の設定は、最大条件を示しており、これよりも短い期間で所定条件の判定を行うようにしても良い。不明データの判定をより早いタイミングでできた方が好ましいことは言うまでもない。
次に、器具の複合使用の判別方法について説明する。ここでは、器具の複合使用の判別方法の一例として、起動流量の加算値の組み合わせ、マイナス側の差分値と停止判別値との比較、流量制御特性値などに基づいて、器具の複合使用を判別する場合の動作を示す。
まず、器具判別手段9による器具の複合使用に関する第1の判別ロジックを説明する。複数のガス器具、例えば2台のガス器具が同時に起動した場合等、器具登録記憶手段7にはガス器具別の個別の判別値が記憶されているだけである。このため、2台分の流量変化値いわゆる差分値と器具登録記憶手段7に記憶された起動判別値を比較して器具判別を行う通常の判別ロジックで器具判別処理を実行すると、起動ガス器具の判別が不能となり、使用ガス器具の特定ができない状態となる。そこで、本実施の形態では、演算手段6により計算される所定時間毎の流量の差分値で示される流量変化の大きさと器具登録されている起動流量の加算値が合致する組み合わせから、複合的に起動された器具を判定する。
本実施の形態では、例えば図20に示すように使用する各器具の登録データを備えている。このとき、例えば、図21に示すように流量計測手段3の実測流量がQrであって、この時Qrに合致する器具の登録が無い場合、登録器具A,Bの登録起動流量がQup_a,Qup_bであってQup_a+Qup_b≒Qrであるなら、起動した器具は器具Aと器具Bであると判定する。
このように、流量変化が検知され、その変化量Qrを器具登録手段7に記憶された起動判別値Qup_a,Qup_bと比較して使用ガス器具の特定を行う通常の器具判別処理で使用ガス器具が特定できなかった場合に、不明データとして取り扱う。この際、通常の器具判別処理とは異なる判別ロジック、つまり器具登録記憶手段7に記憶した起動判別値の加算処理(Qup_a+Qup_b)を行って差分値Qrと比較する処理を実行するようにしている。これによって、複数のガス器具が同時に起動したような場合でも確実に使用ガス器具を判別することができ、器具判別情報に基づく保安機能や新料金メニューなど各種サービスへの利用精度を高めることができ、ガス需要の拡大に大きく寄与することができる。
なお、本実施の形態では同時に起動するガス器具が2台の場合について説明したが、それ以上のガス器具が同時に起動した場合でも同様に判別できることはいうまでもない。
次に、器具判別手段9による器具の複合使用に関する第2の判別ロジックについて説明する。上記同様に複数のガス器具、例えば2台のガス器具が同時に起動した場合など、起動ガス器具の判別が不可能であった場合、器具判別手段9は、不明データとして取り扱い、器具の複合使用の判別を行う。この際、演算手段6の出力の差分値からマイナス側の差分を検知したとき、いずれかのガス器具が停止したと判断し、器具登録記憶手段7に記憶した停止判別値と比較してどのガス器具が使用されていたかを特定する。これと共に、流量計測手段3で計測される流量計測値から現在使用されているガス器具を特定する。これによって、複数のガス器具が同時に起動した場合など通常の器具判別では判別できないような条件下でも確実に使用ガス器具の判別を行えるようにする。
すなわち、図22に示すように、器具Aと器具Bが同時に起動したとして、器具Aが先に停止したとすると、その時Y時点での計測流量の流量変化はΔQとなる。器具Aの登録されている停止流量Qstop_aとΔQがほぼ等しいため、器具判別手段9は器具Aが停止したと判断し、不明であった一つの器具がX時点で器具Aが起動し、Y時点で停止したと判定する。また、Y時点以降の使用流量と登録された器具Bの起動流量がほぼ等しいため、もう1台の器具の起動は器具Bであったと判定する。
また、別の実施形態として、2台以上のガス器具が起動し差分値と器具別判別値が合致しなかった場合であって、演算手段6の出力の差分値からマイナス側の差分値が検知された場合に、器具判別手段9はこのマイナス側の差分値と器具登録手段7に記憶された停止判別値を比較する。そして、比較結果が不一致の場合は複数のガス器具が同時に停止したと判断して、器具登録手段7に記憶されている停止判別値の加算値と比較し、マイナス側の差分値に近い停止判別値の加算値を見つけ出す。これにより、同時に停止した複数のガス器具を特定することができ、通常の器具判別では判別できないような条件下でも確実に使用ガス器具の判別を行うことができる。
次に、器具判別手段9による器具の複合使用に関する第3のロジックについて説明する。上記同様に2台同時に器具が起動した場合など、起動ガス器具の判別が不可能であった場合、器具判別手段9は、不明データとして取り扱い、器具の複合使用の判別を行う。この際、流量制御機能を有する器具が含まれている場合は、流量の変化値を用いた器具判別ロジック以外に流量制御特性を制御登録値として器具登録記憶手段7に記憶させておき、複合使用の判別に利用する。これにより、流量計測手段3で計測される瞬時流量値から求められる器具特有の流量波形パターンから、使用ガス器具を特定することを可能にする。
すなわち、図23に示すように、器具Aと器具Bが同時に起動したとして、Z時点で起こっているような流量の変化(変化時間がTcon_aで変化流量がQcon_a)が器具Aの制御変化として登録されている場合、その時点で器具Aが動いていることが確認できる。これにより、器具AがX時点より起動しているという判断が可能である。
本実施の形態では、不明な流量パターンが発生した場合に、所定条件の判定において上記の所定条件の判定を行うことにより、ガス器具の複合使用の識別が可能となる。複合使用を判定した場合は、制御回路11の指示により、不明データの対応処理として器具別流量積算手段15により複合使用処理に相当する複合使用時の器具別、機能別のガス流量の積算処理等を行う。また、複合使用時の流量パターンを器具登録記憶手段7に登録しても良い。このように不明データの発生要因として器具の複合使用の状況を判別し、複合使用処理として対応する器具別処理を行うことによって、複合使用時の個々のガス器具の流量積算が可能になり、ガス事業者の設定により器具別や機能別の任意の料金算出等に利用できる。このような器具別料金や機能別料金の算出を行う場合、個別流量に対する料金演算手段を設ければ良い。例えば、提供しうるサービスの例の一つに新たなガス料金体系として、暖房器具だけに割引制度を適用することなどが考えられ、ガス事業者のガス需要の拡大及び器具の拡販に繋げることも可能となる。
なお、上記第3〜第5の実施の形態において不明器具としたデータの所定条件による判定を行う場合に、第3の実施の形態のようなガス漏れを判定する際、新規器具の導入や複合使用などの他の所定条件にいずれも当てはまらない場合に、漏れであると判定することも可能である。
また、上記第3〜第5の実施の形態の各所定条件に当てはまらない場合に、登録器具の流量データの再確認を行い、登録された流量パターンと類似のものである場合に、経年変化によるものであると判定することも可能である。この場合、登録されている該当器具の流量データの修正を行ったり、器具のメンテナンスを行うタイミングでユーザや管理センターに通知し、使用している器具の調整、修理、交換などを促すことができる。
また、上記の不明器具としたデータの所定条件による判定を行った結果、どの条件にも合致しない場合に、ガス器具やガス流路におけるいたずらや想定外の使用状況の可能性を判定することも可能である。この場合、異常状況を管理センターに通報したり、ユーザに警告することができる。
以上のように、本発明にかかる流量計測装置は、器具判別の精度を高めることができるので、ガス,水道事業者等が用意した新料金メニューなどを利用することができるとともに、器具判別情報を用いた保安機能や器具メンテナンスに利用することができる。
本発明の第1の実施の形態における流量計測装置の構成図 本発明の第1の実施の形態における流量計測部構成図 本発明の第1の実施の形態における判別動作(1)の流れ図 本発明の第1の実施の形態における流量及び演算値の特性図 本発明の第1の実施の形態における流量及び演算値の特性図 本発明の第1の実施の形態における流量計測装置の構成図 本発明の第1の実施の形態における判別動作の流れ図 本発明の第2の実施の形態における流量計測装置の構成図 本発明の第2の実施の形態における判別動作の流れ図 本発明の第2の実施の形態における判別動作の流れ図 本発明の第2の実施の形態における判別動作の流れ図 本発明の第2の実施の形態における判別動作の流れ図 本発明の第3の実施の形態における不明な流量パターンが発生した場合の処理を示す流れ図 本発明の第3の実施の形態におけるガス器具及び漏れを判別する流量パターンを示す図 本発明の第3の実施の形態におけるガス器具及び漏れを判別する流量パターンを示す図 本発明の第3の実施の形態におけるガス器具及び漏れを判別する流量パターンを示す図 本発明の第4の実施の形態における新規器具を判別する流量パターンを示す図 本発明の第4の実施の形態における新規器具を判別する流量パターンを示す図 本発明の第4の実施の形態における新規器具を判別する流量パターンを示す図 本発明の第5の実施の形態における登録データの一例を示す図 本発明の第5の実施の形態における複合使用を判別する流量パターンを示す図 本発明の第5の実施の形態における複合使用を判別する流量パターンを示す図 本発明の第5の実施の形態における複合使用を判別する流量パターンを示す図 従来の流量計測装置の判別方法概念図 従来の流量計測装置の判別方法データ構成図
符号の説明
1 流量計測装置
2 ガス遮断弁
3 流量計測手段
4 表示部
5 感震器
6 演算手段
7 器具登録記憶手段
8 流量情報記憶手段
9 器具判別手段
10 不明器具登録手段
11 制御回路
12 計測流路
13,14 超音波送受信器
15 器具別流量積算手段
16 再確認手段

Claims (15)

  1. 流路に流れる流体の流量を計測する流量計測手段と、
    前記流量計測手段で計測された流量値を記憶する流量情報記憶手段と、
    器具毎の流量値を記憶する器具登録記憶手段と、
    前記流量計測手段で計測された流量値の流量パターンと前記器具登録記憶手段に記憶された器具判定値の流量パターンとを比較し、前記流量計測手段の下流側に接続された器具の使用状態を判定する器具判別手段と、
    前記器具判別手段が前記器具登録記憶手段内の情報により器具を判別しえない流量パターンがあった場合にその情報を不明データとして登録する不明器具登録手段
    とを有する流量計測装置。
  2. 前記器具判別手段の判別結果に基づいて器具ごとの流量を算出する器具別流量算出手段を備える請求項1に記載の流量計測装置。
  3. 前記不明器具登録手段は、不明器具となった流量パターンを前記器具登録記憶手段に新規器具として登録する機能を有する請求項1記載の流量計測装置。
  4. 前記不明器具登録手段内に登録データがある場合、前記流量情報記憶手段のデータをもとに再確認を行う再確認手段を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の流量計測装置。
  5. 前記再確認手段は、前記不明器具登録手段内に情報が新規更新される都度、再確認を行う請求項4に記載の流量計測装置。
  6. 前記再確認手段は、前記不明器具登録手段内に登録データがあり、前記流量計測手段から出力された流量値が略々0になった時点で再確認を行う請求項4に記載の流量計測装置。
  7. 前記再確認手段は、前記不明器具登録手段内に登録データがある場合に、一定時間毎に再確認を行う請求項4に記載の流量計測装置。
  8. 流路に流れる流体の流量を計測する流量計測手段と、
    前記流量計測手段で計測された流量値を記憶する流量情報記憶手段と、
    器具毎の流量値を記憶する器具登録記憶手段と、
    前記流量計測手段で計測された流量値の流量パターンと前記器具登録記憶手段に記憶された器具判定値の流量パターンとを比較し、前記流量計測手段の下流側に接続された器具の使用状態を判定する器具判別手段と、
    前記器具判別手段が前記器具登録記憶手段内の情報により器具を判別しえない流量パターンがあった場合にその情報を不明データとして登録する不明器具登録手段と、
    前記不明データを所定条件で所定期間に判定し、対応処理を決定する対応処理判定手段とを有する流量計測装置。
  9. 前記対応処理判定手段は、前記所定条件として特定の使用状態の発生要因にそれぞれ対応した判別条件を用い、各判別条件に適した所定期間において前記不明データの判定を行う請求項8に記載の流量計測装置。
  10. 前記対応処理判定手段は、第1の所定条件として漏れ判別条件を用い、この漏れ判別条件に適した第1の所定期間に前記不明データの流量パターンにおいて流体の漏れを判別する漏れ判別手段を有し、前記漏れを判別した場合に前記対応処理として保安処理を決定する請求項8に記載の流量計測装置。
  11. 前記対応処理判定手段は、第2の所定条件として新規器具判別条件を用い、この新規器具判別条件に適した第2の所定期間に前記不明データの流量パターンにおいて新規器具を判別する新規器具判別手段を有し、前記新規器具を判別した場合に前記対応処理としてメンテナンス処理を決定する請求項8に記載の流量計測装置。
  12. 前記対応処理判定手段は、第3の所定条件として複合使用判別条件を用い、この複合使用判別条件に適した第3の所定期間に前記不明データの流量パターンにおいて器具の複合使用を判別する複合使用判別手段を有し、前記複合使用を判別した場合に前記対応処理として複合使用処理を決定する請求項8に記載の流量計測装置。
  13. 前記流量情報記憶手段は、流量値を時間軸方向に情報圧縮して記憶する情報圧縮手段を備えた請求項1〜12のいずれか1項に記載の流量計測装置。
  14. 前記流量計測手段は、瞬時流量計測手段としての超音波流量計を用いた請求項1〜12のいずれか1項に記載の流量計測装置。
  15. 家庭用ガス供給管に接続された請求項1〜14のいずれか1項に記載の流量計測装置を用いたガス供給システム。
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