JP2008180555A - 画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 計算量を増大させないで、心臓の核医学画像から心臓部位の輪郭を正確に抽出し得る画像処理方法、並びに当該方法を実行するためのプログラム、及び画像処理装置を提供する。
【解決手段】 画像処理装置10は、心臓領域を撮像した核医学画像を入力する画像入力部12と、核医学画像を、放射状の境界によって仕切られた複数のセグメントに分割する画像分割部14と、各セグメントから、当該セグメントにおいて最も信号強度の大きいピクセルを代表ピクセルとして抽出する代表ピクセル抽出部18と、各セグメントの代表ピクセルの位置に基づいて心臓の輪郭を求める輪郭算出部20とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、心臓領域を撮像した医学画像の画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関する。本発明が適用される核医学画像には、陽電子放出型断層撮像(以下、「PET」という)による画像、及び単光子放出型断層撮像(以下、「SPECT」という)による画像が含まれる。
心筋梗塞等の虚血性心疾患を始めとする心臓病は死亡原因の上位を占めている。心臓病は、発見が遅れた場合の致死率が高いため、早期に診断することが重要である。心臓病の診断には、画像を用いた診断が行なわれる。
画像を用いた心臓の診断方法としては、侵襲的な左室造影や冠動脈造影のほか、非侵襲的な画像診断方法として、心エコー検査、X線コンピュータ断層撮像(X線CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、並びに、PETおよびSPECT等の核医学診断が知られている。
核医学画像は、特定の放射性同位元素で標識された薬剤(以下、「放射性医薬品」という)を被験者に投与し、薬剤から直接的又は間接的に放出されたγ線を専用のカメラによって検出することによって撮影される。核医学画像診断では、投与された放射性医薬品の性質を勘案しながら核医学画像を参照することによって、対象部位の機能や疾患の重症度に関する知見を得ることができるという特徴がある。
心臓の核医学画像診断においては、複数の短軸像及び心尖部の画像における信号強度に関する情報を一枚の画像上に表示する技術が知られている。この方法では、まず、核医学画像を分割したセグメントマップを作成する。続いて、核医学画像から読み取ったスコアをセグメントマップに書き込む。このように作成された一枚の画像上に表示されたスコアによって、病変部を検出したり、その重症度を適切に判断することができる。
ところで、セグメントマップの作成においては、心筋部位を画像上で特定する必要があり、そのためには、核医学画像上で心臓の輪郭を正確に抽出することが必要となる。従来は、例えば、非特許文献1に記載された方法を用いて心臓画像の輪郭を抽出していた。非特許文献1に記載された輪郭抽出法では、短軸断層像上に中心点を設定し、設定された中心点を通る複数のプロファイルカーブを一定の角度ステップで作成する。その後、各プロファイルカーブにおいて、信号強度が最大値を示す点を輪郭上の点として検出する。
Guido Germano et al., "Automatic Quantification of Ejection Fraction from Gated Myocardial Perfusion SPECT", The Journal of Nuclear Medicine, 1995, 36, p.2138-2147
しかし、上記した従来の方法では、プロファイルカーブ上のデータしか検出していないので、作成されるプロファイルカーブの本数が少ない場合には、輪郭を精度良く検出することができない。例えば、輪郭部の周辺で、プロファイルカーブの信号強度の欠損があった場合や、ノイズにより実際の信号強度が変化して検出されている場合等には、輪郭部の抽出が不正確になる。
従来の方法は、プロファイルカーブの本数を増やせば、精度を高めることが可能であるが、この場合、プロファイルカーブ上における信号強度の最大値を求めるための処理負担が増加する。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、計算量を増大させないで、心臓の核医学画像から心臓部位の輪郭を抽出できる画像処理装置、画像処理方法およびプログラム、を提供することを目的とする。
本発明の画像処理装置は、心臓領域を撮像した核医学画像を入力する画像入力部と、前記核医学画像を、所定の分割中心点を中心とする放射状の境界によって仕切られた複数のセグメントに分割する画像分割部と、前記各セグメントから、当該セグメントにおいて最も信号強度の大きいピクセルを代表ピクセルとして抽出する代表ピクセル抽出部と、前記各セグメントの代表ピクセルの位置に基づいて心臓の輪郭を求める輪郭算出部とを備える。
このように核医学画像を放射状の境界によって仕切られた複数のセグメントに分割し、各セグメントの信号強度の最大の点(代表ピクセル)を求めることにより、簡単な計算で、全画像データの中から心臓の輪郭上の点を求めることができる。従って、代表ピクセルに基づいて、心臓の輪郭を適切に求めることができる。
上記画像処理装置は、前記核医学画像中で所定の閾値より高い信号強度を有するピクセルによって形成される領域内の所定の点を前記分割中心点として決定する分割中心点決定部を備えてもよい。
これにより、各セグメントに輪郭が含まれるように、核医学画像を分割することができる。
上記画像処理装置において、前記分割中心点決定部は、前記核医学画像中で所定の閾値より高い信号強度を有するピクセルによって形成される略円形領域の略中心を、前記分割中心点として決定してもよい。
このように信号強度の高い略円形領域の略中心をセグメント分割の中心とすることにより、各セグメントから求めた代表ピクセルに基づいて、心臓の輪郭を精度良く求めることができる。
上記画像処理装置において、前記分割中心点決定部は、前記核医学画像が長軸断層像である場合には、短軸断層像における分割中心点の位置情報を利用して、長軸断層像の分割中心点を決定してもよい。
短軸断層像における分割中心点の位置情報を利用して長軸断層像の分割中心点を求めることにより、心臓が点対称に映らない方向から見た長軸断層像において、分割中心点を適切に求めることができる。
上記画像処理装置において、前記画像分割部は、前記核医学画像が長軸垂直断層像の場合には、長軸垂直断層像を心尖部側の領域と心基部側の領域に分割し、心基部側の領域をセグメント分割の範囲から除外してもよい。
心基部側の領域の画像処理を省略することにより、処理負担を軽減することができる。例えば、短軸断層像によって心基部の様子を把握できる場合には、処理負担を軽減し、かつ核医学画像診断に十分な情報を得られる。
上記画像処理装置において、前記輪郭算出部は、前記分割中心点と前記各代表ピクセルとの距離が、隣接するセグメント間において滑らかに変化するように、前記代表ピクセルの位置を補正し、補正されたピクセル位置を用いて輪郭を求めてもよい。
このように分割中心点と各代表ピクセルとの距離が滑らかに変化するように補正することにより、代表ピクセルを用いて算出される輪郭を滑らかにできる。
上記画像処理装置において、前記輪郭算出部は、前記分割中心点からの距離が補正された代表ピクセルと等しい当該セグメント内のピクセルを、輪郭を構成するピクセルとして決定してもよい。
これにより、代表ピクセル間を補間して、心臓の輪郭を算出できる。
上記画像処理装置は、前記輪郭算出部にて算出した輪郭に幅を持たせて表示する輪郭表示部を備えてもよい。
これにより、心臓の外壁を示した画像を表示できる。ここで付与する幅は、標準的な心臓の外壁の厚さに基づいてあらかじめ設定された値としてもよい。
本発明の別の態様の画像処理装置は、心臓領域を撮像した画像を入力する画像入力部と、前記画像を、放射状の境界によって仕切られた複数のセグメントに分割する画像分割部と、前記各セグメントから、当該セグメントにおいて最も信号強度の大きいピクセルを代表ピクセルとして抽出する代表ピクセル抽出部と、前記各セグメントの代表ピクセルの位置に基づいて心臓の輪郭を求める輪郭算出部とを備える。
この構成により、MRI画像やCT画像等の核医学画像以外の画像においても、上記した発明と同様に、簡単な計算で、全画像データの中から心臓の輪郭上の点(代表ピクセル)を求めることができ、これに基づいて心臓の輪郭を適切に求めることができる。なお、上記した核医学画像から心臓の輪郭を抽出する画像処理装置の各種の構成を、本発明の画像処理装置に適用することも可能である。
本発明の画像処理方法は、心臓領域を撮像した核医学画像を入力するステップと、前記核医学画像を、放射状の境界によって仕切られた複数のセグメントに分割するステップと、前記各セグメントから、当該セグメントにおいて最も信号強度の大きいピクセルを代表ピクセルとして抽出するステップと、前記各セグメントの代表ピクセルの位置に基づいて心臓の輪郭を求めるステップとを備える。
このように核医学画像を放射状の境界によって仕切られるセグメントに分割し、各セグメントの代表ピクセルを求めることにより、簡単な計算で、全画像データの中から心臓の輪郭上の点(代表ピクセル)を求めることができ、これに基づいて心臓の輪郭を適切に求めることができる。なお、上記した画像処理装置の各種の構成を、本発明の画像処理方法に適用することも可能である。
本発明のプログラムは、心臓領域を撮像した核医学画像から心臓の輪郭を抽出するためのプログラムであって、コンピュータに、前記核医学画像を入力するステップと、前記核医学画像を、放射状の境界によって仕切られた複数のセグメントに分割するステップと、前記各セグメントから、当該セグメントにおいて最も信号強度の大きいピクセルを代表ピクセルとして抽出するステップと、前記各セグメントの代表ピクセルの位置に基づいて心臓の輪郭を求めるステップとを実行させる。
このように核医学画像を放射状の境界によって仕切られるセグメントに分割し、各セグメントの代表ピクセルを求めることにより、簡単な計算で、全画像データの中から心臓の輪郭上の点(代表ピクセル)を求めることができ、これに基づいて心臓の輪郭を適切に求めることができる。なお、上記した画像処理装置の各種の構成を、本発明のプログラムに適用することも可能である。
本発明によれば、核医学画像を放射状の境界によって仕切られるセグメントに分割し、各セグメントの代表ピクセルを求めることにより、簡単な計算で、全画像データの中から心臓の輪郭上の点(代表ピクセル)を求めることができる。
以下、本発明の実施の形態の画像処理装置および画像処理方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の画像処理装置10の構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の画像処理装置10は、核医学画像を入力する画像入力部12と、入力された核医学画像を複数のセグメントに分割する画像分割部14と、各セグメントの代表ピクセルを抽出する代表ピクセル抽出部18と、代表ピクセルに基づいて心臓の輪郭を算出する輪郭算出部20と、求めた輪郭を表示する輪郭表示部22とを有している。
画像分割部14は、画像入力部12にて入力された核医学画像を、放射状の境界線によって仕切られた複数のセグメントに分割する。画像分割部14は、セグメントに分割する際の放射状の境界線の中心(分割中心点)を決定する分割中心点決定部16を有している。分割中心点決定部16は、核医学画像に映った心臓領域の略中心を分割中心点として決定する。具体的には、分割中心点決定部16は、所定の閾値より信号強度の高いピクセルによって形成された領域を心臓領域と仮定して、その概略の中心を分割中心点として決定する。
図2は、心臓領域の略中心を求める方法を示す図である。核医学画像において、心臓領域は、信号強度の高いピクセルによって形成された領域30として表示される。分割中心点決定部16は、信号強度の高い領域30に外接する長方形32を求める。そして、分割中心点決定部16は、求めた長方形32の中心Oを分割中心点として決定する。
画像分割部14は、分割中心点決定部16にて求めた分割中心点Oを中心とする放射状の境界線によって画像を分割する。
図3は、画像分割部14によって画像を分割した例を示す図である。図3に示すように、画像分割部14は、分割中心点Oを中心とする放射状の境界線34によって画像を36個のセグメントSegに分割する。図3に示す例では画像を36分割しているが、画像の分割数は36分割に限定されない。分割数を増やせば、輪郭抽出の精度を高めることができる。
代表ピクセル抽出部18は、各セグメントSegにおいて信号強度の最も大きいピクセルを代表ピクセル36として抽出する。
図4は、代表ピクセル抽出部18によって代表ピクセル36を抽出した例を示す図である。セグメントSeg内の全ピクセルの中から、信号強度が最も大きいピクセルを抽出するので、セグメントSeg内の一部のデータが欠損していても、心臓領域の中から適切なピクセルを選択することができる。
輪郭算出部20は、代表ピクセル抽出部18にて抽出した代表ピクセル36を用いて、心臓の輪郭を求める。代表ピクセル36は、各セグメントSegにおいて信号強度が最大の点であるので、心臓の外壁を示す領域にある。従って、代表ピクセル36をつなぐことによって心臓の大まかな輪郭を求めることができる。本実施の形態では、輪郭算出部20は、単に代表ピクセル36をつなぐだけでなく、精度良くかつ滑らかな輪郭を得るための処理を行う。以下に、輪郭算出部20が行う処理について説明する。
図5は、代表ピクセル抽出部18にて抽出した代表ピクセルのデータを示す図である。図5において、横軸は、代表ピクセルが得られたセグメントを示す。所定のセグメントをセグメントNo.1として、そのセグメントから時計回りにセグメントNo.2、セグメントNo.3、・・・セグメントNo.36とする。縦軸は、セグメントNo.1〜No.36の代表ピクセル36と分割中心点Oとの距離を示す。
輪郭算出部20は、ノイズ等によって誤検出した代表ピクセルを除外する処理を行う。輪郭算出部20は、代表ピクセルまでの距離の平均値および標準偏差を計算し、分割中心点Oからの距離が平均±標準偏差に入っていない代表ピクセル36(「外れ点」という)のデータを平均値に置き換える補正を行う。
図6は、外れ点を平均値で置き換えた後の代表ピクセル36のデータを示す図である。
また、輪郭算出部20は、代表ピクセル36のデータをスムージングし、分割中心点Oと代表ピクセル36との距離が隣接セグメントSeg間において滑らかに変化するように補正する。本実施の形態では、輪郭算出部20は、3点スムージング補正を行う。すなわち、補正対象点とその補正対象の点を挟む2点のデータを使って、補正対象点を補正する。例えば、セグメント2の代表ピクセルは、セグメント1,2,3の代表ピクセルの距離の平均によって補正する。
図7は、スムージング補正後の代表ピクセルのデータを示す図である。
なお、データのスムージング処理に用いる方法は、上述した3点スムージングに限定されない。特に、短軸断層像に基づくデータを処理する場合のように、閉じた図形を処理する場合においては、フーリエ級数近似に代表される公知の周期関数を用いた処理によって、スムージング処理を行うことが好ましい。
輪郭算出部20は、各セグメントについて求められた代表ピクセルの距離を用いて輪郭を算出する。
図8は、輪郭算出部20によって算出した輪郭38を示す図である。輪郭算出部20は、分割中心点Oから、代表ピクセルまでの距離に等しいセグメントSeg内のピクセルを選択し、輪郭とする。従って、図8に示す輪郭38は、セグメントSegごとに見ると、分割中心点Oからの距離が一定(分割中心点Oと代表ピクセルとの距離に等しい)の円周によって構成される。輪郭算出部20は、スムージング補正を行なっているので、隣接するセグメントSeg間において、輪郭は滑らかに接続する。
次に、輪郭表示部22について説明する。輪郭表示部22は、輪郭算出部20にて算出した輪郭を核医学画像に重畳して表示する。
図9は、輪郭表示部22によって表示された輪郭の例を示す図である。輪郭表示部22は、図8に示す輪郭38に対し、所定の幅をつけた輪郭40を表示する。輪郭表示部22は、心臓の外壁の厚みと同じ幅を持たせる。
図10は、画像処理装置10の動作を示すフローチャートである。図10を参照しながら、本実施の形態の画像処理装置10の動作について説明する。画像処理装置10は、心臓領域における核医学画像を入力する(S10)。画像処理装置10は、入力された核医学画像の分割中心点Oを求め(S12)、求めた分割中心点Oを中心とする放射状の境界によって画像をセグメントSegに分割する(S14)。
次に、画像処理装置10は、分割された各セグメントSegから、そのセグメントにおける最大の信号強度を持つピクセルを代表ピクセル36として抽出する(S16)。画像処理装置10は、分割中心点Oから各代表ピクセル36までの距離を求め、その距離に基づいて、エラー等に起因して誤検出された代表ピクセル(外れ点)を除外し、外れ点の距離を平均値に置き換える補正を行う(S18)。続いて、画像処理装置10は、補正されたデータを用い、各代表ピクセル36に対してスムージング処理を行う(S20)。
画像処理装置10は、スムージング処理後の代表ピクセル36を用いて心臓の輪郭38を算出し(S22)、算出された輪郭40を核医学画像に重畳して表示する(S24)。
以上、本実施の形態の画像処理装置10の構成および動作について説明した。
本実施の形態の画像処理装置10は、入力された核医学画像を放射状の境界によって仕切られたセグメントSegに分割し、各セグメントSegの代表ピクセル36を求めるので、簡単な計算で、全画像データの中から心臓の輪郭上の点を求めることができる。従って、ノイズ等に起因したエラーデータの影響を受けにくく、精度良く心臓の輪郭を求めることができる。
上記した実施の形態では、分割中心点決定部16は、信号強度の高い領域30のデータから分割中心点Oを決定する例について説明したが、長軸断層像においては、心臓が円に近い状態では映らないので、適切な分割中心点Oを求めるために複雑な計算をしなければならない場合がある。分割中心点決定部16が、短軸断層像における分割中心点Oの情報を用いて、長軸断層像の分割中心点Oを決定してもよい。
図11(a)は、短軸断層像と長軸垂直断層像の関係を示す図である。図11(b)に示すように、短軸断層像の分割中心点O1を座標(x1,z1)とした場合、図11(c)に示すように、長軸垂直断層像の分割中心点O2のz座標値をz1としてもよい。このとき、長軸垂直断層像の分割中心点O2は、次のように決定することができる。まず、長軸垂直断層像上に、z=z1で表される直線を作成し、この直線のうち、心臓領域に含まれる部分を抽出する。この抽出された直線を、例えば4等分に分割する点を求め、最も心尖部に近い点を、分割中心点O2とすることができる。これにより、長軸垂直断層像の分割中心点O2を容易に求めることができる。なお、この例では、図11(a)に示すように、短軸断層像のスライス位置が左心室の心尖部側に位置しているので、長軸垂直断層像において右側の心臓部位の輪郭を求めるための分割中心点O2を求めるのに適している。
また、上記した実施の形態では、分割中心点決定部16は、心臓領域に外接する長方形32の中心を心臓領域の略中心として求め、分割中心点Oとしているが、異なる方法によって分割中心点Oを決定してもよい。
図12は、上記と異なる方法にて、心臓領域の略中心を求める方法を示す図である。核医学画像において、心臓領域は、信号強度の高い領域30として表示される。分割中心点決定部16は、核医学画像を水平方向および垂直方向に走査し、各走査線の信号強度変化を求める。分割中心点決定部16は、核医学画像を水平方向に走査し、走査線H1,H2,H3の信号強度の情報を取得する。分割中心点決定部16は、走査線と信号強度の高い領域30との重なり部分の長さLhを求め、その重なり部分が最長となる走査線を選択する。図12に示す例では、走査線H2が選択される。分割中心点決定部16は、垂直方向についても同様に、走査線V1,V2,V3の信号強度の情報を取得し、信号強度の高い領域30との重なり部分Lvが最長となる走査線V2を検出する。そして、分割中心点決定部16は、検出された走査線H2、V2の交点Oを分割中心点として決定する。この方法は、略円形に近い形状の心臓領域が映った画像において、心臓領域の略中心を求めるのに有効である。
また、上記した実施の形態では、分割中心点決定部16が信号強度の高いピクセルによって形成された領域30のデータに基づいて心臓領域の略中心を求め、当該略中心を分割中心点Oとして決定する例を説明したが、分割中心点決定部16は、より簡易な方法で分割中心点Oを決定してもよい。核医学画像においては、個人差や撮影条件の差によって多少のずれはあっても、ほぼ決まった位置に心臓が映る。従って、スライス位置に応じてあらかじめ設定した分割中心点Oの位置を記憶しておき、分割中心点Oを決定する際に、スライス位置に応じた分割中心点Oのデータを読み出してもよい。
また、上記した実施の形態では、核医学画像から心臓の輪郭を求める例について説明したが、本発明は、MRI画像、CT画像等の他の医学画像に対しても同様に適用できる。
また、上記した実施の形態では、画像処理装置および画像処理方法を例について説明したが、本発明は、上記した画像処理装置の各構成を実現するモジュールを有するプログラム、上記した画像処理方法の各ステップを実行するモジュールを有するプログラムも本発明の範囲に含まれる。
以下、本発明の画像処理装置を用いて、核医学画像から心臓の輪郭を抽出した例について説明する。以下に説明する実施例は、本発明者が自作したコンピュータプログラムを用いて実行した結果である。
(処理対象画像の作成)
まず、胸部SPECTの投影データ(99mTc−テトロホスミン740MBq投与健常者由来、マトリックス:128×128、ピクセルサイズ:3.2mm/ピクセル、)を取得し、OS−EM法による画像再構成を実行して体軸断層像を得た。
図13は、取得した体軸断層像のNo.10からNo.25までのスライスを示す図である。
次に、得られた体軸断層像上で心臓全体を含む範囲に処理領域を設定し、垂直及び水平角度方向にオブリーク処理(Oblique)処理を行い、38枚の心臓の短軸断層像を得た。
図14は、心臓の短軸断層像のスライスNo.11からスライスNo.26までのスライスを示す図である。図14に示す短軸断層像は、ピクセルサイズ:3.2mm/ピクセルである。また、得られた一連の短軸断層像を用いて、長軸垂直断層像を得た(ピクセルサイズ:3.2mm/ピクセル、スライス数:35枚)。
(セグメント分割における分割中心点の設定)
次に、得られた短軸断層像および長軸垂直断層像の中から、心臓の輪郭の算出に用いる断層像を選択した。ここでは、実質的に心臓の中心を含む3枚の短軸断層像と1枚の長軸垂直断層像を処理対象として選択した。
図15(a)〜図15(d)は、選択された断層像を示す図である。図15(a)〜図15(c)は、それぞれスライス14枚目、18枚目、22枚目の短軸断層像を示す。図15(d)は、スライス22枚目の長軸垂直断層像を示す。
また、分割中心点を検出するための短軸断層像を選択した。分割中心点の検出に適した短軸断層像は、心臓が大きく写った短軸断層像である。本実施例では、スライス21枚目の短軸断層像を選択した。
選択した分割中心点検出用の短軸断層像において、画素値の最大値を検出し、その値の50%を閾値としてデータのカットオフを行った。カットオフ後のデータによって形成される図形に外接する長方形の中心点の座標を検出した。この座標を、後述するセグメント分割処理における分割中心点として、処理対象とする各短軸断層像上に設定した。一方、長軸垂直断層像における分割中心点は、以下の要領にて設定した。以下、便宜のため、長軸垂直断層像上で心基部側から心尖部側へ向いた方向にy軸を、このy軸に直交する方向にz軸を仮定した。まず、上記にて設定した短軸断層像における分割中心点のz座標をz1とし、z=z1にて表される直線を、長軸垂直断層像上に作成した。この直線のうち、心臓領域に含まれる部分を抽出し、当該部分を4等分する点を求めた。この点のうち、もっとも心尖部に近いものを、分割中心点として設定した。
(短軸断層像における輪郭抽出処理)
処理用に選択した3枚の短軸断層像につき、設定した分割中心点を中心として9°ステップでセグメント分割を行った。次に、図16(a)〜図16(c)に示すように、各セグメントにつき、画素値が最大となるピクセルを検出し、分割中心点からそのピクセルまでの距離を求めた(距離Aとする)。また、各短軸断層像上で分割中心点を通る一つの基準線を設定した。図17(a)〜図17(c)は、当該基準線と各セグメントとのなす角を横軸、距離Aを縦軸として、各代表ピクセルの距離Aを示す図である。距離Aの平均及び標準偏差を計算し、距離Aの値が平均±標準偏差の範囲に入らないデータを当該平均値に置き換えた上で(図18(a)〜図18(c)参照)、3点スムージング処理を行った(図19(a)〜図19(c)参照)。ここで、スムージング処理によって得られた分割中心点からの距離を距離Bとする。
分割中心点から距離Bだけ離れた位置に対応するピクセルを全て選択し、図形を作成した。この際、元の画像の1ピクセルを縦4ピクセル×横4ピクセルに分割することによって解像度を16倍にした。そして、16倍された各ピクセルにおいて、距離Bに対応するピクセルを選択した。次に、得られた図形に、8mmの厚みを付し、輪郭画像とした(図20(a)〜図20(c)参照)。
なお、本実施例では、輪郭を求める際に、解像度を16倍としているが、解像度の倍率は、16倍に限られない。より概念的に述べると、分割中心点から代表ピクセルまでの距離に基づいて、当該代表ピクセルを含むセグメント内において輪郭を形成するピクセルを選択する際に、画像を構成するピクセルをn×m個に分割して(ピクセル数をn×m倍すると共に、ピクセル間隔を縦横のそれぞれについて1/n、1/mにして)、解像度をn×m倍した画像において、その距離に等しいピクセルを選択してもよく、本発明には、このような態様も含まれる。
(長軸垂直断層像における心尖部の輪郭抽出処理)
上記で処理用画像として選択した長軸垂直断層像に対し、上記で設定した分割中心点を通り、心臓の長軸(心基部と心尖部とを結ぶ軸)に平行な基準線を設定した。分割中心点を中心として当該基準線から±60°の方向に線を引き、この線によって区分された心尖部側の領域(すなわち、心尖部の側へ分割中心点を中心とする120°の領域)を処理領域とした。このように処理領域を限定することにより、輪郭を求めるための処理負担を軽減した。
当該処理領域につき、分割中心点を中心として10°ステップでセグメント分割を行った。次に、図16(d)に示すように、各セグメントにつき、画素値が最大となるピクセルを検出し、分割中心点からそのピクセルまでの距離を求めた(距離Cとする)。この計算結果を元に、基準線と各セグメントとのなす角を横軸に、距離Cを縦軸にとったプロットを作成し(図17(d)参照)、距離Aの平均及び標準偏差を計算し、距離Aの値が平均±標準偏差の範囲に入らないデータを当該平均値に置き換えた上で、得られた図形につき、3点スムージング処理を行った(図19(d)参照、スムージング処理によって得られた分割中心点からの距離値を、距離Dとする)。元画像の各ピクセルを16分割した上で、各セグメント内で、分割中心点から距離D離れた位置に対応するピクセルを全て選択し、図形を作成した。得られた図形につき、8mmの厚みを付し、輪郭画像とした(図20(d)参照)。
以上説明したように、本発明は、簡単な計算で、全画像データの中から心臓の輪郭を求めることができ、心臓の核医学画像、MRI画像、CT画像等の画像処理装置等として有用である。
本実施の形態の画像処理装置の構成を示す図である。 心臓領域における核医学画像から分割中心点を求める例を示す図である。 核医学画像を分割した例を示す図である。 各セグメントの代表ピクセルを求めた例を示す図である。 代表ピクセルのデータを示す図である。 外れ点を平均値に置き換えた代表ピクセルのデータを示す図である。 スムージング補正後の代表ピクセルのデータを示す図である。 代表ピクセルに基づいて輪郭を求めた例を示す図である。 核医学画像に重ねて輪郭を表示した例を示す図である。 本実施の形態の画像処理装置の動作を示す図である。 (a)短軸断層像と長軸垂直断層像の関係を示す図である。(b)短軸断層像における分割中心点を示す図である。(c)長軸垂直断層像における分割中心点を示す図である。 心臓領域における核医学画像から分割中心点を求める例を示す図である。 実施例において取得した体軸断層像を示す図である。 実施例において取得した短軸断層像を示す図である。 (a)スライス14枚目の短軸断層像を示す図である。(b)スライス18枚目の短軸断層像を示す図である。(c)スライス22枚目の短軸断層像を示す図である。(d)スライス22枚目の長軸垂直断層像を示す図である。 (a)スライス14枚目の短軸断層像における代表ピクセルのデータを示す図である。(b)スライス18枚目の短軸断層像における代表ピクセルのデータを示す図である。(c)スライス22枚目の短軸断層像における代表ピクセルのデータを示す図である。(d)スライス22枚目の長軸垂直断層像における代表ピクセルのデータを示す図である。 (a)スライス14枚目の短軸断層像における代表ピクセルの距離データを示す図である。(b)スライス18枚目の短軸断層像における代表ピクセルの距離データを示す図である。(c)スライス22枚目の短軸断層像における代表ピクセルの距離データを示す図である。(d)スライス22枚目の長軸垂直断層像における代表ピクセルの距離データを示す図である。 (a)スライス14枚目の短軸断層像における代表ピクセル(補正後)のデータを示す図である。(b)スライス18枚目の短軸断層像における代表ピクセル(補正後)のデータを示す図である。(c)スライス22枚目の短軸断層像における代表ピクセル(補正後)のデータを示す図である。 (a)スライス14枚目の短軸断層像における代表ピクセル(スムージング後)のデータを示す図である。(b)スライス18枚目の短軸断層像における代表ピクセル(スムージング後)のデータを示す図である。(c)スライス22枚目の短軸断層像における代表ピクセル(スムージング後)のデータを示す図である。(d)スライス22枚目の長軸垂直断層像における代表ピクセル(スムージング後)のデータを示す図である。 (a)スライス14枚目の短軸断層像に輪郭を重ねて表示した図である。(b)スライス18枚目の短軸断層像に輪郭を重ねて表示した図である。(c)スライス22枚目の短軸断層像に輪郭を重ねて表示した図である。(d)スライス22枚目の長軸垂直断層像に輪郭を重ねて表示した図である。
符号の説明
10 画像処理装置
12 画像入力部
14 画像分割部
16 分割中心点決定部
18 代表ピクセル抽出部
20 輪郭算出部
22 輪郭表示部
30 信号強度の強い領域(心臓領域)
32 心臓領域に外接する長方形
34 セグメント分割のための境界線
36 代表ピクセル
38 輪郭
40 核医学画像と重畳した輪郭
Seg セグメント

Claims (11)

  1. 心臓領域を撮像した核医学画像を入力する画像入力部と、
    前記核医学画像を、所定の分割中心点を中心とする放射状の境界によって仕切られた複数のセグメントに分割する画像分割部と、
    前記各セグメントから、当該セグメントにおいて最も信号強度の大きいピクセルを代表ピクセルとして抽出する代表ピクセル抽出部と、
    前記各セグメントの代表ピクセルの位置に基づいて心臓の輪郭を求める輪郭算出部と、
    を備える画像処理装置。
  2. 前記核医学画像中で所定の閾値より高い信号強度を有するピクセルによって形成される領域内の所定の点を前記分割中心点として決定する分割中心点決定部を備える請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記分割中心点決定部は、前記核医学画像中で所定の閾値より高い信号強度を有するピクセルによって形成される略円形領域の略中心を、前記分割中心点として決定する請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記分割中心点決定部は、前記核医学画像が長軸断層像である場合には、短軸断層像における分割中心点の位置情報を利用して、長軸断層像の分割中心点を決定する請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記画像分割部は、前記核医学画像が長軸垂直断層像の場合には、長軸垂直断層像を心尖部側の領域と心基部側の領域に分割し、心基部側の領域をセグメント分割の範囲から除外する請求項1に記載の画像処理装置。
  6. 前記輪郭算出部は、前記分割中心点と前記各代表ピクセルとの距離が、隣接するセグメント間において滑らかに変化するように、前記代表ピクセルの位置を補正し、補正されたピクセル位置を用いて輪郭を求める請求項1に記載の画像処理装置。
  7. 前記輪郭算出部は、前記分割中心点からの距離が補正された代表ピクセルと等しい当該セグメント内のピクセルを、輪郭を構成するピクセルとして決定する請求項6に記載の画像処理装置。
  8. 前記輪郭算出部にて算出した輪郭に幅を持たせて表示する輪郭表示部を備える請求項1〜7のいずれかに記載の画像処理装置。
  9. 心臓領域を撮像した画像を入力する画像入力部と、
    前記画像を、放射状の境界によって仕切られた複数のセグメントに分割する画像分割部と、
    前記各セグメントから、当該セグメントにおいて最も信号強度の大きいピクセルを代表ピクセルとして抽出する代表ピクセル抽出部と、
    前記各セグメントの代表ピクセルの位置に基づいて心臓の輪郭を求める輪郭算出部と、
    を備える画像処理装置。
  10. 心臓領域を撮像した核医学画像を入力するステップと、
    前記核医学画像を、放射状の境界によって仕切られた複数のセグメントに分割するステップと、
    前記各セグメントから、当該セグメントにおいて最も信号強度の大きいピクセルを代表ピクセルとして抽出するステップと、
    前記各セグメントの代表ピクセルの位置に基づいて心臓の輪郭を求めるステップと、
    を備える画像処理方法。
  11. 心臓領域を撮像した核医学画像から心臓の輪郭を抽出するためのプログラムであって、コンピュータに、
    前記核医学画像を入力するステップと、
    前記核医学画像を、放射状の境界によって仕切られた複数のセグメントに分割するステップと、
    前記各セグメントから、当該セグメントにおいて最も信号強度の大きいピクセルを代表ピクセルとして抽出するステップと、
    前記各セグメントの代表ピクセルの位置に基づいて心臓の輪郭を求めるステップと、
    を実行させるプログラム。
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