以下、画像処理装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の画像処理装置1のブロック図である。
画像処理装置1は、画像格納部101、操作受付部102、輪郭抽出部103、および出力部104を備える。
画像格納部101には、断層画像が格納される。断層画像は、断層撮影により取得された画像である。断層画像は、人体や動物等の生体の断層画像である。断層画像は、例えば、医用の画像である。画像格納部101には、一の生体の異なる位置において撮影された断層画像が格納されてもよい。生体の異なる位置とは、例えば、生体の長手方向における異なる位置である。また、画像格納部101には、異なる生体の断層画像が格納されてもよい。ここでは、断層画像が、X線CT(Computed Tomography)により撮影されたX線CT画像である場合を例に挙げて説明する。また、断層画像が、生体の断層画像である場合を例に挙げて説明する。断層画像の解像度等は問わない。
断層画像は、画像処理装置1による処理対象の画像である。ここでの画像は、画像データと考えてもよい。断層画像は、例えば、複数の画素で構成される画像である。断層画像は、例えば、複数の画素が格子状に配列されて構成されるビットマップ画像である。ビットマップ画像は、ラスタ画像とも呼ばれる。X線CT画像である断層画像の各画素は、例えば、生体等の撮影対象の各画素に対応する位置において取得されたCT値と呼ばれる値と対応付けられている。例えば、断層画像が、出力部104等により表示される場合、各画素を、各画素に対応するCT値に対応した濃度で表した画像(例えば、グレースケール画像等の、単一色の濃淡や明暗で表された画像)で表示される。画素の濃度は、画素の輝度や、明度等と考えてもよい。断層画像の各画素は、例えば、対応するCT値の値が高い画素ほど、画素の濃度を示す色が白に近くなる画素であってもよく、対応するCT値の値が高い画素ほど、画素の濃度を示す色が白に近くなる画素であってもよい。ただし、断層画像を表示する際には、各画素を、各画素に対応するCT値に応じた異なる色に変換した複数色の画像で表示してもよい。画素に対応するCT値は、例えば、断層画像が有していてもよく、断層画像に対応付けられて、画像格納部101に格納されていてもよい。また、CT値が画素値であってもよい。断層画像のファイル形式やデータ構造等は問わない。断層画像や、断層画像を表示する技術等については、公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
なお、断層画像は、各画素に対応するCT値を、所定の階調数の各画素の濃度の値に変換した画像であってもよい。この場合、断層画像の各画素の濃度は、各画素に対応するCT値が変換された値となる。この場合、各画素の濃度を示す値を、各画素に対応するCT値として用いるようにしてもよい。画素の濃度を示す値は、画素の輝度値や明度値であってもよい。なお、各画素のCT値を各画素の濃度に変換する際には、階調数を低減させてもよい。また、断層画像は、各画素を、各画素に対応するCT値やCT値の範囲に応じた色相や彩度等を有する色に変換した画像であってもよい。
なお、画像格納部101には、一の生体の異なる位置で撮影された複数の断層画像が対応付けられて格納されていてもよい。例えば、画像格納部101には、一の生体の異なる位置で撮影された複数の断層画像が、同じフォルダ内に格納されていてもよい。また、例えば、一の生体の異なる位置で撮影された複数の断層画像を有するファイルが、画像格納部101に格納されていてもよい。また、画像格納部101には、一の生体の異なる位置で撮影された複数の断層画像のリスト等の管理情報が、断層画像に加えて格納されていてもよい。また、画像格納部101に格納されている一の生体の異なる位置で撮影された複数の断層画像には、ファイル名等に生体の識別子等が含まれているようにしてもよい。
画像格納部101は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。また、ここでの格納は、一時記憶も含む概念である。かかることは、以下の他の格納部についても同様である。
操作受付部102は、断層画像について特定操作を受け付ける。操作受付部102は、例えば、画像格納部101に格納された断層画像について特定操作を受け付ける。操作受付部102は、例えば、ユーザから特定操作を受け付ける。特定操作は、断層画像内に含まれる第一の組織を示す第一の画素のうちの、基準となる基準画素を特定する操作である。第一の組織は、断層画像の撮影対象である生体内の組織である。第一の組織は、例えば、断層画像において輪郭を検出したい部位(例えば、臓器等)を構成する組織である。ここでの臓器は、血管等であってもよい。第一の組織は、例えば、生体内の軟部組織である。軟部組織は、例えば、生体内の、骨格と脂肪組織とを除いた部分の組織である。軟部組織は、例えば、臓器や、筋肉、血管等の組織である。組織は、血液や軟骨等の、特殊結合組織であってもよい。なお、第一の組織は、複数の異なる組織で構成されていてもよい。第一の画素は、断層画像内の第一の組織に対応する画素である。基準画素は、例えば、輪郭を抽出する際の基準として用いられる画素である。基準画素は、通常、1つの第一の画素であるが、隣接する複数の第一の画素等であってもよい。この場合、複数の基準画素の中心位置を、基準画素の位置として考えるようにしてもよい。
操作受付部102は、例えば、出力部104がモニタ(図示せず)等に出力する(例えば、表示する)断層画像について、キーボードや、マウス、タッチパネル、スタイラスペン等の入力デバイス等を介して特定操作を受け付けてもよい。なお、モニタ等に出力された画像に対して、入力デバイス等を介して、領域や、画素を指定する操作を受け付ける処理や構成等は、GUI(Graphical User Interface)等の技術として公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
なお、操作受付部102は、更に、特定操作の対象となる断層画像を指定する操作を受け付けても良い。そして、この指定された断層画像について特定操作を受け付けても良い。また、操作受付部102は、特定操作の対象となる断層画像を表示する操作等を受け付けても良い。
操作受付部が受け付ける特定操作は、断層画像内の基準画素を結果的に特定可能な操作であれば、どのような操作であってもよい。例えば、後述するように、輪郭抽出部103が、操作受付部102が受け付けた操作によって一の断層画像について指定された領域から、この領域の中心に位置する画素等の、領域において特定される画素を、基準画素として特定する場合、特定操作は、例えば、一の断層画像において領域を指定する操作であってもよい。領域を指定する特定操作は、例えば、ポインタ等を断層画像の領域の輪郭となる部分に沿って移動させる操作や、指やスタイラスペン等により断層画像の領域の輪郭となる部分をなぞる操作である。なお、領域を指定する操作は、断層画像上に、所望の形状およびサイズを有する画像を配置する操作や、多角形の頂点となる位置を指やスタイラスペンでタップする操作等であってもよい。領域を指定する操作は、上記の操作に限定されるものではない。なお、操作によって指定する領域は、指定された領域の中心等の、指定された領域内の基準画素として特定される位置が、第一の画素となる領域とする必要がある。例えば、特定操作によって指定する領域は、中心近傍が、第一の画素であることが好ましい。
また、例えば、特定操作は、一の断層画像において、基準画素を指定する操作であってもよい。例えば、特定操作は、一の断層画像において、基準画素に指定する画素上にポインタ(図示せず)等を移動させた後予め指定されたマウスクリックを行う操作や、基準画素に指定する画素上を、指やスタイラスペン等によりタップする操作であってもよい。この場合、上記の操作により指定された画素が、基準画素に指定される。なお、特定操作は、基準画素に指定する画素を、座標等で指定する操作であってもよい。ここで基準画素として指定する画素は、第一の画素とする必要がある。
なお、以下においては、特定操作が、領域を指定する操作である場合を例に挙げて説明する。
なお、操作受付部102は、上記以外のユーザからの操作を受け付けてもよい。ここでの、操作の受け付けとは、キーボードやマウス、タッチパネル、スタイラスペンなどの入力デバイスから入力された操作の情報の受け付け、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信などを含む概念である。操作の入力手段は、キーボードやマウスやタッチパネルやメニュー画面によるもの等、何でも良い。操作受付部102は、マウスやタッチパネル等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
輪郭抽出部103は、断層画像について輪郭を抽出する。輪郭抽出部103は、操作受付部102が受け付けた特定操作により特定される基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出する。第一の画素に関連する輪郭は、例えば、第一の画素に対応する値に対して所定の関係を有する値の画素で構成される輪郭である。輪郭抽出部103は、例えば、操作受付部102が受け付けた特定操作により特定される基準画素に連続する第一の画素と、第一の組織とは異なる第二の組織を示す第二の画素との境界を有する輪郭を抽出する。輪郭抽出部103は、例えば、操作受付部102が受け付けた特定操作により特定される基準画素に連続する第一の画素と、第一の組織とは異なる第二の組織を示す第二の画素との境界を、特定操作の対象となる断層画像において検出する。そして、検出した境界を有する輪郭を抽出する。第二の組織は、生体内の組織である。第二の組織は、例えば、第一の組織と異なる点を除けば、第一の組織と同様の組織である。輪郭抽出部103が抽出する輪郭は、例えば、断層画像内の、第一の組織で構成される部位の輪郭である。一の領域の輪郭は、例えば、一の領域内の画素と、一の領域の画素に接する一の領域外の画素との間の境界の境界で構成されている。輪郭抽出部103が抽出する輪郭は、例えば、基準画素を含む領域の輪郭である。輪郭は、輪郭線と考えてもよい。輪郭抽出部103が抽出する輪郭は、例えば、基準画素に連続する第一の画素を有する領域の輪郭である。ただし、この輪郭が示す領域は、第一の画素以外の画素を結果的に含んでいてもよい。
ここでの輪郭を抽出する、ということは、例えば、輪郭を示す情報を取得することである。輪郭を示す情報は、例えば、通常の画像処理等に利用される輪郭を示す情報が利用可能である。例えば、輪郭を示す情報は、輪郭を示す画素群を構成する複数の画素の位置情報(例えば、座標群)や、輪郭を示す画素群を構成する各画素の識別子を取得することである。輪郭を示す画素群は、例えば、輪郭の内側、または外側に隣接する画素群である。例えば、輪郭の内側は、ここでは、輪郭に対して基準画素を含む側であり、輪郭の外側は、例えば、輪郭に対して基準画素とは反対となる側であると考えてもよい。また、輪郭の内側は、輪郭によって囲われた領域の内側と考えてもよい。ここでは、輪郭抽出部103が、輪郭の外側に隣接する画素群の位置情報を、輪郭を示す情報として検出する場合を例に挙げて説明する。なお、このような輪郭を示す画素群を、便宜上、輪郭と考えてもよい。例えば、一の領域の輪郭は、一の領域の外側に接する画素群や、一の領域内の最も外周側に位置する画素群と考えてもよい。
輪郭抽出部103は、例えば、断層画像を構成する画素が、第一の画素であるか、第二の画素であるかを、画素に対応する値により判断して、基準画素に連続する第一の画素と第二の画素との境界を検出する。輪郭抽出部103は、断層画像を構成する一の画素に対応する値が、第一の画素であることを示す値である場合、この一の画素を、第一の画素と判断し、断層画像を構成する一の画素に対応する値が、第二の画素であることを示す値である場合、この一の画素を第二の画素と判断する。画素に対応する値は、例えば、画素に対応するCT値である。第二の組織は、例えば、生体内の脂肪組織である。第一の組織が上述したような軟部組織である場合、断層画像であるX線CT画像における第一の画素に対応するCT値の範囲は、1~1499となり、第二の組織が脂肪組織である場合、第二の画素に対応するCT値の範囲は、-200~0となる。このため、輪郭抽出部103は、断層画像の画素に対応するCT値が、第一の画素に対応するCT値の範囲に入れば、この画素を、第一の画素と判断し、断層画像の画素に対応するCT値が、第二の画素に対応するCT値の範囲に入れば、この画素を、第二の画素と判断する。第一の画素と、第二の画素とは、それぞれの画素に対応する値により識別可能な画素であることが好ましく、より好ましくは、それぞれの画素に対応する値のみにより識別可能な画素であることが好ましい。なお、断層画像は、第一の画素と、第二の画素とがこのような画素である画像であることが好ましい。以下、本実施の形態においては、第一の組織が軟部組織であり、第二の組織が脂肪組織である場合を例に挙げて説明する。
輪郭抽出部103が、輪郭を抽出する処理について説明する。輪郭抽出部103は、まず、操作受付部102が受け付けた特定操作に応じて、基準画素を特定する。基準画素を特定することは、基準画素の位置を示す情報(例えば、座標)を取得することと考えてもよい。例えば、特定操作が、基準画素を指定する操作である場合、輪郭抽出部103は、この操作で指定される画素を基準画素に特定する。また、特定操作が領域を指定する操作である場合、輪郭抽出部103は、この操作により指定された領域の中心に位置する画素を基準画素として特定する。なお、中心近傍の画素を、基準画素としてもよい。ここでの領域の中心として、領域の重心を用いてもよい。領域の中心は、どのように取得しても良い。領域の中心を求める処理については、公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、領域の中心として、領域を含む最小矩形等の中心を用いるようにしてもよい。
輪郭抽出部103は、上記で特定した基準画素の全周方向において、基準画素と連続する第一の画素を検出し、基準画素と連続する第一の画素と、第二の画素との境界を検出する。例えば、輪郭抽出部103は、基準画素を基準点として、全ての方向において、基準画素と連続する第一の画素を検出し、基準画素と連続する第一の画素と、第二の画素との境界を検出する。輪郭抽出部103は、例えば、操作受付部102が受け付けた特定操作が示す所望の領域の内側および外側の両方において基準画素に連続する第一の画素と、第二の画素との境界を検出する。基準画素と連続する第一の画素とは、例えば、基準画素と隣接する、または基準画素と1以上の第一の画素を介して繋がっている第一の画素である。第一の画素と第二の画素との境界は、第一の画素と第二の画素とが隣接する境界である。境界は、境界線と考えてもよい。各画素に隣接する境界のそれぞれを、一の境界と考えてもよく、連続している境界を一の境界と考えてもよい。前者の場合、境界は、通常、複数検出される。輪郭抽出部103は、検出した第一の画素と、第二の画素との境界を示す情報を取得する。境界を示す情報としては、通常の画像処理等で利用される境界を示す情報が利用可能である。境界を示す情報は、例えば、境界を挟んで隣接する第一の画素および第二の画素の少なくとも一方の位置情報であってもよく、境界を外周の少なくとも一部として有する第一の画素および第二の画素の少なくとも一方の位置情報であっても良く、これらの画素の位置情報の代わりに、これらの画素の識別子であってもよい。ここでは、境界を示す情報として、境界に隣接する画素の位置情報を取得する場合を例に挙げて説明する。また、境界を示す情報が示す位置に配置されている画素を、以下、境界を示す画素と呼ぶ。境界の検出は、例えば、境界を示す画素の検出と考えてもよい。輪郭抽出部103が検出する基準画素と連続する第一の画素と、第二の画素との境界を示す画素は、通常、境界に隣接する第二の画素である。
なお、輪郭抽出部103は、第一の画素と、第二の画素以外の画素との境界は検出しないようにしてもよい。例えば、生体のX線CT画像においては、軟部組織に対応する第一の画素と、生体内の金属に対応する画素との境界は、検出しないようにすることが好ましい。生体内の金属は、例えば、ステントや、ボルト、ボーンプレート等である。例えば、X線CT画像において、空気のCT値は-201以下、金属のCT値は、1500以上となるため、第一の組織が、CT値が1以上、1499以下となる軟部組織であれば、第一の画素と、金属に対応する画素との境界、および第一の画素と空気に対応する画素との境界も検出することが可能である。しかしながら、生体に配置された金属の近傍においては、金属のアーチファクトの影響を受けるため、断層画像において、金属に対応する位置の近傍は、境界が不明瞭となる。このため、CT値が金属の範囲となる画素と、第一の画素との境界は、検出しないようにすることが好ましい。このような金属との境界を検出しないようにするために、例えば、上記のように境界を検出する際に、金属のCT値を示す画素を、第一の画素として扱うことが好ましい。また、特に、脂肪が無くても金属周囲には脂肪濃度の金属アーチファクトが出現するので、金属のCT値を示す画素の周囲の画素に関しては、CT値の判断を行わずに、第一の画素として扱うことが好ましい。このため、輪郭抽出部103は、上記のように境界を検出する際に、金属のCT値を示す画素と、その周囲の予め決められた距離内に位置する画素(例えば、10ピクセル以内の画素)とを、第一の画素と判断することがより好ましい。ここでの予め決められた距離(例えば、ピクセル数)は、例えば、断層画像の解像等に応じて適宜設定する。
輪郭抽出部103は、例えば、上記で検出した境界を有する輪郭を抽出する。輪郭抽出部103は、境界を有する輪郭として、上記で検出した境界を全て有する輪郭を抽出してもよく、検出した輪郭の一部を有する輪郭を有する輪郭を抽出してもよい。例えば、輪郭抽出部103は、境界を有する輪郭として、上記で検出した境界のうちの、後述する処理等によって、基準画素等との距離に応じて除外された境界を除いた境界の一部または全てを有する輪郭を抽出してもよい。境界を有する輪郭を示す情報は、例えば、境界を示す情報を、輪郭の少なくとも一部を示す情報として有する情報である。例えば、境界を有する輪郭を示す情報は、例えば、境界を示す1以上の画素の位置情報等を、輪郭を示す1または2以上の画素(例えば、画素群)の位置情報の少なくとも一部として有する情報である。輪郭を抽出することは、輪郭を示す1以上の画素の位置情報を取得することと考えてもよく、輪郭を示す1または2以上の画素は、この位置情報が示す1または2以上の画素と考えてもよい。輪郭を示す画素は、例えば、上記で検出した境界を示す画素を有する画素である。
輪郭抽出部103は、例えば、基準画素に連続する第一の画素と第二の画素との境界のうちの、基準画素との間の距離が予め決められた条件を満たす境界を除外した境界を有する輪郭を抽出してもよい。ここでの境界は、境界を示す画素と考えてもよい。境界までの距離とは、例えば、上述したような境界を示す画素と、基準画素との間の距離である。境界の除外とは、例えば、境界を示す情報の除外である。境界の除外は、境界を示す画素の除外と考えてもよい。
予め決められた条件は、例えば、基準画素までの距離が遠い境界と、近い境界との少なくとも一方を検出するための条件であり、例えば、一般的な臓器の形状等に応じて決定される。予め決められた条件を満たす境界は、例えば、基準画素までの距離が条件を満たすほど遠い境界と、基準画素までの距離が条件を満たすほど近い境界との少なくとも一方である。予め決められた条件を満たす境界は、例えば、基準画素までの距離が、予め決められた第一の閾値以上である境界および第二の閾値(第一閾値>第二の閾値)以下である境界であってもよく、このいずれか一方の境界であってもよい。例えば、この閾値は、断層画像内の、輪郭を検出しようとする部位のサイズの最大値や最小値等から予め設定するようにしてもよい。
また、予め決められた条件を満たす境界は、例えば、上記の処理により検出された複数の境界と基準画素までの距離を統計処理した結果、基準画素までの距離が、外れ値となる1または2以上の境界であってもよい。すなわち、輪郭抽出部103は、基準画素に連続する第一の画素と第二の画素との境界のそれぞれと、基準画素との間の距離について統計処理を行い、この統計処理によって、基準画素との間の距離が外れ値となる境界を除外して輪郭を抽出してもよい。例えば、このような外れ値となる境界を、予め決められた条件を満たす境界と考えてもよい。
ここでの統計処理は、どのような統計処理であってもよく、どのような値を外れ値としてもよい。例えば、境界と基準画素との距離の平均値よりも、閾値以上長い境界と基準画素との距離と、閾値以上短い境界と基準画素との距離を、外れ値としてもよい。また、外れ値は、例えば、通常の検定等に利用される処理によって検出してもよい。例えば、輪郭抽出部103は、境界と基準画素との距離についてスミルノフ=グラブス検定等を行って、外れ値を検出してもよい。
本実施の形態においては、一例として、以下のような統計処理により、基準画素までの距離が外れ値となる境界を検出して、除外する場合について説明する。ただし、この外れ値となる境界を検出する処理は、以下の式を用いたものに限定されるものではない。
まず、輪郭抽出部103は、上記で検出した複数の境界について、それぞれ基準画素との距離を取得し、以下の式(1)について値Rmaxを算出する。ここでの複数の境界と基準画素との距離は、境界を示す複数の画素と基準画素との距離と考えて、この距離を用いてもよい。そして、基準画素までの距離が、この値Rmaxよりも長い距離となる境界を、基準画素までの距離が外れ値となる画素として検出し、検出した境界を、上記で検出した境界から除外する。また、輪郭抽出部103は、以下の式(2)について値Rminを算出する。そして、基準画素までの距離が、この値Rminよりも短い距離となる境界も、基準画素までの距離が外れ値となる境界として検出し、検出した境界を、上記で検出した境界から除外する。
Rmax=(R3/4t-R1/2t)*1.5+R1/2t ・・・式(1)
Rmin=R1/2t-(R1/2t-R1/4t)*1.5 ・・・式(2)
なお、式(1)および式(2)において、R3/4tは、上記で検出された複数の境界のそれぞれと基準画素との距離のうちの、長さが、短いものから数えて全体の3/4番目となる距離であり、R1/2tは、同様に、長さが、短いものから数えて全体の1/2番目の長さとなる距離であり、R1/4tは、同様に、長さが、短いものから数えて全体の1/4番目の長さとなる距離である。
生体内の第一の組織である軟部組織で構成される器官等の部位は、通常、断面形状が極端に突出した部位等を有さないものが多く、このため、基準画素との距離が、他よりも長い境界は、第一の組織で構成された異なる部位と第二の組織との境界である可能性が高い。このため、上記のように、基準画素との距離が予め決められた条件を満たさない境界を除外することで、異なる部位の輪郭を検出することを防いで、高品質な輪郭抽出を行うことが可能となる。
輪郭抽出部103は、例えば、上記のように基準画素に連続する第一の画素と第二の画素との境界から、基準画素との間の距離が予め決められた条件を満たす境界を除外した場合、これにより除外されずに残った境界を有する輪郭を抽出する。
輪郭抽出部103は、上記のように検出した境界において、不連続な部分を検出し、検出した部分について境界を補間して輪郭を抽出してもよい。輪郭抽出部103は、例えば、基準画素に連続している第一の画素と、第二の画素との境界において、不連続な部分を検出し、検出した部分について境界を補間して輪郭を抽出してもよい。また、輪郭抽出部103は、例えば、上記の基準画素との間の距離が予め決められた条件を満たす境界を除外して得られた境界を適宜補間して、境界間に新たな境界を生成し、上記で得られた境界と、補間により得られた境界とを有する輪郭を抽出するようにしてもよい。なお、以下の境界を補間する処理においては、境界に関する処理は、境界を示す画素についての処理と考えてもよく、以下の境界についての説明を、適宜、境界を示す画素と読み替えてもよい。
この境界の補間箇所の検出および境界の補間は、どのように行うようにしてもよい。境界の補間は、例えば、境界が繋がっていない部分が繋がるように行うことが好ましい。境界が繋がっていない部分は、例えば、境界が欠落している部分と考えてもよい。例えば、輪郭抽出部103は、断層画像において、境界同士が連続していない部分、すなわち不連続な部分を検出し、この不連続な部分については、この不連続な部分の両側に位置する境界間に、不連続な部分を繋ぐように、新たな境界を設定するようにしてもよい。
例えば、輪郭抽出部103は、境界間を線形補間するよう1以上の境界を設定してもよい。具体的には、境界間を結ぶ直線上に、1以上の境界を設定することで補間を行っても良い。新たな境界を設定することは、新たな境界に接する画素(例えば、第二の画素等)を、境界の画素に設定することと考えてもよい。
また、例えば、基準画素を中心とした一の方向に、境界が存在しない場合、基準となる方向に対してなす角度が、この一の方向が基準となる方向に対してなす角度と近接する1以上の境界を上記のように検出した境界から検出し、基準画素との距離が、検出した1以上の境界と基準画素との距離の平均値や中間値等の代表値となる境界を、一の方向において設定してもよい。あるいは、輪郭抽出部103は、一の方向に伸びる直線を挟んで、この直線に最も近い二つの境界を検出し、これを線形補間して、一の方向に境界を新たに設定してもよい。
また、上記においては、線形補間を用いて補間する例を示したが、線形補間以外の他の補間を用いてもよい。例えば、境界が欠落している部分が検出された場合、欠落している部分の両側において、欠落している部分に近接した複数の境界をそれぞれ検出し、これらの位置情報等を用いて、両側においてそれぞれ、検出した複数の境界を通る直線や、複数の境界を近似した線を取得し、この取得した線同士が交わる位置に境界を新たに設定してもよい。また、一の方向において、境界が欠落している部分が検出された場合に、この一の方向を示す直線に近接する3以上の境界を検出し、検出した境界を近似する線を取得し、この線と、一の方向を示す直線との交点に、あらたに境界を設定してもよい。
なお、境界を補間する処理としては、上記以外の通常の画像処理等に利用されているどのような処理を用いるようにしてもよい。
なお、境界を補間する必要がない場合や、基準画素との距離によって除外された境界がない場合には、補間を行わず、検出された境界を用いて輪郭を抽出してもよい。
また、輪郭抽出部103は、上記のように検出した境界において、基準画素を基点とした方向が同一方向である複数の境界を検出し、検出した複数の境界を1つの境界に削減してもよい。基準画素を基点とした方向が同一である境界とは、境界と基準画素とを結ぶ直線の、基準となる方向に対する角度が同一となる境界や、境界と基準画素とを結ぶ直線が重なる境界である。ただし、角度の差が予め決められた閾値以下である場合も、ここでは、角度が同一であると考えてもよい。また、直線同士がなす角度が閾値以下である場合も、ここでは、直線が重なると考えてもよい。ここでの閾値は、上述した境界を補間する際に、境界の有無を検出する方向間の角度よりも小さい角度であることが好ましい。なお、以下の境界を削減する処理においては、境界に関する処理は、境界を示す画素についての処理と考えてもよく、以下の境界についての説明を、適宜、境界を示す画素と読み替えてもよい。
通常、生体内の軟部組織で構成される器官等の輪郭は、複雑に入り込んだ形状でないことが多く、特に第一の画素として軟部組織に対応する画素を利用する場合、一の方向に重なった境界のいずれかは、本来検出したい輪郭以外の輪郭であると考えられることから、一の方向に重なった境界を1つに削減することで、適切な輪郭を抽出することが可能となる。
輪郭抽出部103は、基準画素を基点とした方向が同一方向である複数の境界が検出された場合、どのように複数の境界を一つの境界に削減してもよい。例えば、基準画素とを結ぶ仮想の直線が基準となる方向に対してなす角度が、この複数の境界が位置する仮想の直線が基準となる方向に対してなす角度と近接する2以上の境界、好ましくは、この複数の境界が位置する仮想の直線を挟んで位置する2つの境界を検出し、基準画素との距離が、検出した2以上の境界と基準画素との距離の平均値に最も近い境界を、基準画素に対する方向が同一方向である複数の境界の中から検出し、それ以外の境界を削除してもよい。また、例えば、複数の境界のうちの、最も基準画素に近い境界以外を削除してもよい。また、複数の境界の中間となる位置に、複数の境界の代わりに新たな境界を生成してもよい。
以下、輪郭抽出部103が行う境界を補間する処理および同一方向の境界を除外する処理の一例について説明する。
輪郭抽出部103は、上記のように検出された各境界について、基準画素までの距離と境界の角度とをそれぞれ算出する。ここでの各境界は、例えば、距離が予め決められた条件を満たす境界を除外した境界であることが好ましいが、除外していない境界であってもよい。この境界の角度は、例えば、基準画素と境界とを結ぶ直線と、予め決められた基準となる方向とがなす角度である。そして、各境界について算出した角度を用いて、輪郭抽出部103は、基準画素を中心として上記の基準となる方向に対して所定の角度ずつ回転させた方向について、それぞれ、境界が存在しているか否かを判断する。例えば、各境界について算出した角度のなかに、所定の角度ずつ回転を行って得られた一の方向と角度が一致するものが存在するか否かを判断し、一致するものが1つある場合、この一の方向に、境界が存在していると判断する。また、一致するものが複数存在する場合、この複数の境界が、この一の方向に位置する境界として検出する。また、一致するものがない場合、この一の方向に、境界が存在しないと判断する。所定の角度ずつ回転を行って得られた一の方向の角度は、例えば、この一の方向が、上記の基準となる方向に対してなす角度である。なお、所定の角度は、通常は、1°(degree)等の一定の角度であるが、この角度は一定でなくてもよい。所定の角度は、例えば、小さい方が細かく補間を行うことができるが処理時間が長くなる。所定の角度は、断層画像の解像度に応じて決められることが好ましい。例えば、所定の角度で境界を補間していった場合に、境界が全てつながり、輪郭が形成されるような角度であることが好ましい。なお、境界の角度と、所定の角度ずつ回転させた方向とがなす角度との、基準となる方向が異なる場合、基準となる方向が一致するよう少なくとも一方の角度を補正してもよい。また、所定の角度ずつ回転させた方向は、基準となる方向から所定の角度を回転させない方向、すなわち基準となる方向も含むと考えてよい。
輪郭抽出部103は、所定の角度ずつ回転を行った一の方向に、境界が存在しないと判断した場合、この一の方向の角度よりも角度が小さい境界のうちの、一の方向に近接する一の境界(例えば、最も角度が大きい境界)と、この一の方向の角度よりも角度が大きい境界のうちの、一の方向に近接する一の境界(例えば、最も角度が小さい境界)とを検出し、この境界間を線形補間して、一の方向に境界を設定する。例えば、境界間を結ぶ直線と、基準画素から一の方向に伸びる直線の交点に境界を設定する。この処理は、例えば、境界を示す画素を線形補間して、一の方向に新たな境界を示す画素を設定することであってもよい。なお、輪郭抽出部103は、一の方向に伸びる直線を挟んで、この直線に最も近い二つの境界を境界の位置情報等を用いて検出し、これを線形補間して、一の方向に境界を示す画素を新たに設定してもよい。また、ここでは線形補間を用いたが線形補間以外の他の補間を用いてもよい。
輪郭抽出部103は、所定の角度ずつ回転を行った一の方向に、2以上の境界が検出された場合、検出した境界以外の境界の中から、この一の方向の角度に近接した2以上の境界を検出する。例えば、基準となる方向に対する角度が、この一の方向の角度に近接した角度の2以上の境界を検出する。例えば、2以上の境界として、上記の一の方向の角度よりも角度が小さい境界のうちの、一の方向に近接する境界(例えば、最も角度が大きい境界)と、この一の方向の角度よりも角度が大きい境界のうちの、一の方向に近接する境界(例えば、最も角度が小さい境界)とを検出する。検出したそれぞれの境界と基準画素までの距離の平均値を算出し、検出された一の方向に位置する2以上の境界のうちの、基準画素までの距離が、算出した平均に近い(例えば平均値に最も近い)境界を検出し、検出した境界以外の境界を削除して、検出した境界を、この一の方向の境界として残すことで、この一の方向の境界を1つに削減する。
輪郭抽出部103は、一の方向に一つだけ境界が検出された場合、上記のような補間や削減の処理は行わない。
また、上記の基準画素を基点とした複数の方向に対して行われる境界を補間する処理や削減する処理の、処理を行う方向の順番は問わない。例えば、所望の角度を回転させた方向毎に補間等の処理を行うようにしても良い。また、予め所望の角度を回転させた複数の方向を設定しておくようにし、この複数の方向から、ランダムな順番や、予め決められた順番で方向を順次選択して、選択した方向について境界を補間する処理や削減する処理を行っても良い。
そして、輪郭抽出部103は、補間された境界と、削減されず残った境界とを有する輪郭を抽出する。好ましくは、補間された境界と、削減されず残った境界とを全て有する輪郭を抽出する。例えば、補間された境界と、削減されず残った境界を含む輪郭を示す情報を取得する。
なお、上記のように、距離に応じて境界を除外する処理を行い、この処理の後、この処理により残った境界について、上記のような補間および削減の処理を行って輪郭を抽出する場合、抽出した輪郭を、上記のような基準画素を特定するための領域を指定する情報として用いて、同じ断層画像について新たな基準画素を検出し、この基準画素を用いて、この抽出した輪郭を構成する境界について、距離に応じて境界を除外する処理を行い、この処理により残った境界について、上記のような補間および削減の処理を行った後、輪郭を取得する処理を、1回または2回以上繰り返し行うようにしてもよい。このような処理を1回以上行うことで、輪郭を検出する精度が向上する。ただし、処理を繰り返す回数が多いと時間がかかることから、通常は、一旦、輪郭を抽出した後、抽出した輪郭を用いて上記の処理を1回行うようにすればよい。
また、補間および削減等に利用する各境界と基準画素との距離は、距離に応じて境界を除外する際に、各境界について取得した距離を利用してもよい。また、距離に応じて境界を除外する際やその前に、各境界と基準画素との距離と、各境界の角度とを取得し、取得した距離を、境界の除外に利用し、取得した距離と角度とを、境界の補間や削減に利用するようにしてもよい。
また、画像格納部101に、同じ生体内の異なる位置において撮影した複数の断層画像が格納されている場合において、輪郭抽出部103が、一の断層画像について輪郭を抽出した後に、この一の断層画像を撮影した生体と同じ生体の異なる位置において撮影された異なる断層画像について、同様の位置において輪郭を抽出する時に、輪郭抽出部103は、一の断層画像において抽出した輪郭を、基準画素を特定するための領域を示す情報として用いて基準画素を特定し、上記と同様に、特定した基準画素に連続する第一の画素と、第一の組織とは異なる第二の組織を示す第二の画素との境界を、当該異なる断層画像において検出し、検出した境界を有する輪郭を抽出するようにしてもよい。この場合も、上記と同様に境界と基準画素との距離によって、境界を除外したり、境界を補間したり、削減したりする処理を上記と同様に行うようにしても良い。なお、一の断層画像において抽出した輪郭を、同じ生体の異なる位置で撮影された断層画像の輪郭の抽出に利用する場合、これらの断層画像は、同じ時期に撮影された断層画像であることが好ましい。
なお、一の断層画像について既に抽出した輪郭を、同じ生体の異なる位置について取得した断層画像からの輪郭抽出に利用する場合、出力部104は、例えば、輪郭抽出部103が抽出した輪郭を、断層画像の識別子や、断層画像の撮影対象となる生体の識別子と対応付けて、図示しない格納部等に蓄積することが好ましい。また、同じ生体内の異なる位置において撮影した複数の断層画像は、同じ生体であることが識別可能となるよう生体の識別子等を対応付けて画像格納部101に格納されていることが好ましい。このようにすることで、輪郭を抽出しようとする断層画像と同じ断層画像において抽出された輪郭を、それぞれに対応付けられた生体識別子等を用いて検出可能となる。
輪郭抽出部103は、例えば、一の断層画像について輪郭の抽出を開始する際に、この一の断層画像と同じ生体について撮影された異なる断層画像について抽出された輪郭を示す情報が、直前に取得されたか、あるいは、図示しない格納部等に蓄積されているか否かを判断し、蓄積されている場合、この輪郭を示す情報を格納部から読み出して、輪郭抽出を行うようにしても良い。なお、直前に輪郭が抽出された断層画像が、新たに輪郭抽出の対象となる断層画像(例えば、輪郭抽出の対象として指定された断層画像)と、同じ生体から撮影された断層画像であるか否かは、どのように判断してもよい。例えば、直前に輪郭が抽出された断層画像と、新たに輪郭対象となる断層画像とが、同じフォルダに格納されている場合や、ファイル名等に同じ生体の識別子を有する場合や、それぞれのファイル名等が同じリストに格納されている場合等に、同じ生体について取得された断層画像と判断してもよい。
なお、一の断層画像について既に抽出した輪郭を、同じ生体の異なる位置について取得した断層画像からの輪郭抽出に利用するか否かは、ユーザが指定するようにしてもよい。この場合、操作受付部102が、断層画像について輪郭を抽出する際に、この過去に取得した輪郭を利用することを指定する操作を受け付けた場合に、輪郭抽出部103は、この操作により指定された輪郭を示す情報を、図示しない格納部等から読み出して、この輪郭を示す情報を用いて断層画像において基準画素を特定してもよい。
出力部104は、輪郭抽出部103が抽出した輪郭に関する出力を行う。輪郭に関する出力とは、輪郭を示す情報を出力することであっても良く、輪郭を線等で描いた画像や、輪郭により囲まれた領域を示す画像等を、断層画像に合成して、合成した断層画像を出力することであってもよい。なお、輪郭に関する出力は、ここで述べたものに限定されるものではない。
なお、出力部104は、輪郭に関する出力以外の出力を適宜行ってもよい。出力部104は、上述したように、操作受付部102が特定操作を受け付けるために利用するための断層画像や、特定操作により指定された領域を、断層画像上に示した画像等を、モニタ(図示せず)等に表示してもよい。出力部104は、例えば、操作受付部102が受け付けた操作に応じて、適宜出力を行う。
ここでの出力とは、モニタへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタへの印刷、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。出力部104は、モニタ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部104は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
次に、画像処理装置1の動作の一例について図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)操作受付部102が、画像格納部101に格納されている断層画像を指定する操作を受け付けたか否かを判断する。この指定は、例えば、輪郭の取得対象となる断層画像の指定である。指定する操作を受け付けた場合、ステップ102に進み、受け付けていない場合、ステップS101に戻る。
(ステップS102)出力部102は、ステップS101で受け付けた操作が指定する断層画像を、画像格納部101から読み出して表示する。
(ステップS103)操作受付部102は、ステップS102で表示された断層画像について特定操作を受け付けたか否かを判断する。特定操作は、例えば、第一の画素を中央近傍に有する領域を指定する操作である。受け付けた場合、ステップS104に進み、受け付けていない場合、ステップS103に戻る。
(ステップS104)輪郭抽出部103は、ステップS103で受け付けた特定操作に応じて、基準画素を特定する。例えば、輪郭抽出部103は、特定操作である領域を指定する操作により指定された領域の中心の画素を基準画素に設定する。
(ステップS105)輪郭抽出部103は、カウンターmに1を代入する。
(ステップS106)輪郭抽出部103は、断層画像の画素に対応する値(例えば、CT値)を用いて、基準画素に連続する第一の画素と、第二の画素との境界を検出する。検出した輪郭の情報は、例えば、図示しない記憶媒体等に蓄積する。ここでの蓄積は一時記憶であってもよい。
(ステップS107)輪郭抽出部103は、ステップS106で検出した各境界について、基準画素との距離、および基準画素から各境界へ向かう方向の基準となる方向に対する角度をそれぞれ算出して取得する。
(ステップS108)輪郭抽出部103は、ステップS107で各境界について取得した距離を用いて統計処理を行い、距離が外れ値となる境界を除外する。
(ステップS109)輪郭抽出部103は、カウンターnに1を代入する。
(ステップS110)輪郭抽出部103は、基準画素を基点とした方向であって、予め決められた基準となる方向に対してn×θ(θは、0より大きい予め決められた角度を示す値)の角度をなす方向に、ステップS107において削除されずに残った境界があるか否かを判断する。ある場合、ステップS114に進み、ない場合、ステップS112に進む。
(ステップS111)輪郭抽出部103は、ステップS110で示した方向に、境界を補間する。例えば、輪郭抽出部103は、基準画素を基点としてn×θの角度をなす方向に伸びる仮想の直線の両側において、直線に近接して位置する境界をそれぞれ検出し、検出した境界を線形補間して、基準画素を基点としたn×θの角度をなす方向に新たな境界を設定する。
(ステップS112)輪郭抽出部103は、カウンターnの値を1インクリメントする。
(ステップS113)輪郭抽出部103は、n×θが360°以上であるか否かを判断する。360°以上である場合、ステップS114に進み、360°未満である場合、ステップS110に進む。
(ステップS114)輪郭抽出部103は、ステップS110で検出された境界が2以上であるか否かを判断する。2以上である場合、ステップS115に進み、1つである場合、ステップS112に進む。
(ステップS115)輪郭抽出部103は、ステップS110で検出された境界を1つに削減する処理を行う。例えば、輪郭抽出部103は、基準画素を基点としてn×θの角度をなす方向に伸びる仮想の直線の両側において、直線に近接して位置する境界をそれぞれ検出し、検出した境界と基準画素との距離の平均値を算出し、ステップS110で検出された複数の境界から、基準画素までの距離が、算出した平均値に最も近い境界以外の境界を削除する。そして、ステップS112に戻る。
(ステップS116)輪郭抽出部103は、境界を有する輪郭を抽出する。例えば、輪郭抽出部103は、ステップS108で除外されずに残った境界であって、ステップS115で削除されずに残った境界と、ステップS111で補間した境界とを有する輪郭を抽出する。具体的には、輪郭を示す情報を取得する。
(ステップS117)輪郭抽出部103は、カウンターmの値がp(pは予め決められた1以上の整数)より大きいか否かを判断する。大きい場合、ステップS118に進み、大きくない場合、ステップS123に進む。
(ステップS118)出力部104は、ステップS116で抽出された輪郭を出力する。例えば、ステップS102で表示した断層画像に、輪郭を示す画像を重ねた断層画像をモニタ(図示せず)等に表示する。
(ステップS119)操作受付部102は、他の断層画像を指定する操作を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS120に進み、受け付けていない場合、ステップS119に戻る。
(ステップS120)出力部104は、ステップS119で受け付けた操作が指定する断層画像を、画像格納部101から読み出して表示する。
(ステップS121)輪郭抽出部103は、ステップS119で受け付けた操作が指定する断層画像が、直前に輪郭を抽出した断層画像と同じ生体の異なる位置で取得された断層画像であるか否かを判断する。例えば、輪郭抽出部103は、断層画像に対応付けられた生体の識別子や、輪郭の情報と対応付けて蓄積された生体の識別子等を利用して、同じ生体の断層画像であるか否かを判断する。同じ生体の断層画像である場合、ステップS122に進み、同じ生体でない場合、ステップS103に戻る。
(ステップS122)輪郭抽出部103は、同じ生体の断層画像について抽出した輪郭を示す情報(例えば、直前のステップS116で抽出した輪郭の情報)を、図示しない格納部等から読み出し、抽出した輪郭を用いて、ステップS120で読み出して表示した断層画像において基準画素を特定する。
(ステップS123)輪郭抽出部103は、カウンターmの値を1インクリメントする。
(ステップS124)輪郭抽出部103は、直前のステップS116で抽出した輪郭を用いて、ステップS101で受け付けた操作が指定する断層画像について基準画素を特定する。そして、ステップS106に戻る。なお、この後のステップS106以降の処理においては、この新たに特定された基準画素を用いて処理が行われる。
なお、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
以下、本実施の形態における画像処理装置1の具体的な動作について例を挙げて説明する。ここでは、断層画像が、人体の胴体において撮影されたX線CT画像であり、第一の画素が、第一の組織である軟部組織に対応する画素であり、第二の画素が第二の組織である脂肪組織に対応する画素である場合について説明する。
図3(a)~図3(d)は、輪郭抽出の対象となる断層画像を示す図である。この断層画像は、大動脈瘤破裂症例の被検者の腹腔部の断層画像であり、被検者の足側から見た図を示している。図3(a)~図3(d)は、いずれも同じ人体の断層画像であり、図3(a)~図3(c)は、頭尾方向の同じ位置で撮影された断層画像であり、図3(d)は、図3(a)~図3(c)とは異なる位置で撮影された断層画像である。なお、図3において、白色の部分35は、下行大動脈の中に配置された金属製のステントによる金属アーチフェクト(障害像)を示している。また、部分35よりも背側(図の下方)の、大動脈の壁に沿った白色の部分は、動脈壁の動脈硬化性変化の結果として石灰化した部分を示し、更にその背側の白色の部分は、背骨(腰椎の椎体及び椎弓)を示している。また、図3は、画素の濃度が薄いほど、対応するCT値が高くなる画像であり、図3においては、薄いグレーの領域37は軟部組織の領域であり、濃いグレーの領域38は脂肪組織の領域である。
図4(a)~図4(c)は、輪郭を抽出する処理を説明するための、断層画像の模式図であり、図4(d)および図4(e)は、輪郭を抽出する処理を説明するための、断層画像の一部を示す模式図である。なお、図4(a)~(c)においては、斜線で表された画素が第一の画素41であり、白色の画素が第二の画素42であるとする。また、図4(d)および図4(e)においては、斜線で示した画素60a~60fは、境界を示す画素であり、点線で囲まれた画素61は補間された画素であり、画素50は、基準画素であるとする。図4(d)および図4(e)においては、白色の画素は任意の画素であるとする。各画素には、CT値が対応付けられているものとする。なお、実際には、第一の画素や、第二の画素は、CT値に応じて異なる濃度を有しているが、ここでは説明のため、第一の画素と第二の画素とを二値で表している。また、図4の各画像は、説明のためのものであり、実際の断層画像ではなく、解像度等も、必ずしも実際のもの等とは一致しない。
まず、ユーザが、図4(a)に示すような断層画像を指定して表示させたあと、マウス等を用いて、点線40で示すような第一の画素41を中心近傍に含む領域を指定する操作を行ったとすると、操作受付部102は、この領域を指定する操作を受け付ける。この場合の領域指定は、基準画素を特定するための領域指定であるため、輪郭は抽出領域を正確に指定するものである必要はなく、大まかな指定であればよい。
輪郭抽出部103は、操作受付部102が受け付けた操作に応じて、図4(b)に示すように、この操作が示す点線40で示した領域の中心に位置する画素を基準画素50として特定する。ここでは、領域の中心に位置する画素として、領域の重心に位置する画素を検出する。そして、検出した重心の画素の位置情報を、基準画素50の位置情報として取得する。
輪郭抽出部103は、取得した基準画素50に連続している第一の画素41を、画素に対応付けられたCT値を用いて、基準画素50を中心として、全ての方向において検出し、図4(c)に示すように、基準画素50に連続している第一の画素41と、これに隣接する第二の画素42との境界43を全て検出する。境界43は、図4(c)においては点線で示されている。断層画像内の一の画素に対応するCT値が、1から1499までの間の値であれば、この一の画素を第一の画素41と判断し、一の画素に対応するCT値が、-200から0までの間の値であれば、この一の画素を第二の画素42と判断する。また、ここでは、第一の画素41と、金属に対応する画素との境界は検出しない。具体的には、金属のCT値を示す画素(すなわち、CT値が1500以上の画素)と、その周囲の予め決められた数ピクセル(例えば、10ピクセル)とを第一の画素として判断する。ここでは、検出した境界43を示す情報は、境界43の外側に隣接する画素の位置情報(例えば、座標)であるとする。ここでは、例えば、境界の外側に隣接する画素を、境界を示す画素とする。
次に、輪郭抽出部103は、検出した境界43を示す各画素について、基準画素50までの距離と、基準画素50と各画素とを結ぶ直線が基準画素50を基点として断層画像の上辺に向かって垂直に伸びる方向に対してなす角度とを算出する。
輪郭抽出部103は、境界43を示す各画素について算出した距離を用いて、上述した式(1)および式(2)から、外れ値となる距離の範囲を算出し、算出した距離が外れ値となる境界43の画素を除外する。例えば、図4(c)の画素44のような、他の境界を示す画素と比べて、基準画素50までの距離が大きくはなれた画素は、基準画素50までの距離が外れ値の範囲に入る可能性が高いため、外れ値となる画素を除外することで、他の境界を示す画素に対して、基準画素50に対する距離が急激に変化している境界を示す画素を、輪郭の対象となる境界を示す画素から除外して、急峻に突出した部分や、尖った部分等が少ない軟部組織で構成される部位の輪郭として、生体の臓器等の輪郭抽出に最適な精度のよい輪郭を取得することが可能となる。
次に、輪郭抽出部103は、基準画素50を基点として断層画像の上辺に向かって垂直に伸びる方向に対してなす角度を所定の角度ずつ増加させた方向のそれぞれに、上記の処理で外れ値を除外した境界を示す画素が位置しているか否かを判断する。例えば、輪郭抽出部103は、一の境界を示す画素について上記で算出した角度が、上記で所定の角度を増加させて得られた方向の角度と一致した場合、この一の境界を、所定の角度を増加させて得られた方向に存在する画素として検出する。これにより、所定の角度ずつ増加させた方向に境界を示す画素が位置しているかを判断する。所定の角度は、ここでは1°とする。この所定の角度は、例えば、輪郭の検出対象のサイズが小さくなるほど、大きくすることができる。例えば、基準画素50を基点として断層画像の上辺に向かって垂直に伸びる方向を0°とした場合、輪郭抽出部103は、まず、0°となる方向に、境界を示す画素が存在するか否かを判断し、1つだけ境界を示す画素が存在すれば、この方向については、境界を示す画素の補間や、削減は行なわず、2以上の境界を示す画素が存在すれば画素を1つだけになるよう削減し、境界を示す画素がなければ、境界を示す画素を補間により設定する。その後、1°となる方向や、2°となる方向のように、角度と1°ずつ増加させたそれぞれの方向について、同様の処理を行う。この処理は、角度が、360°となる直前まで行われる。
例えば、図4(d)に示すように、基準画素50から、90°回転させた方向、すなわち、図中矢印で示した左側方向において、輪郭抽出部103が、境界を示す画素60bと画素60cを検出されたとすると、輪郭抽出部103は、この方向に近接した方向に位置する輪郭を示す画素60aと画素60dとを、上記で輪郭を示す各画素について算出した角度等を用いて検出し、この画素60aおよび画素60dと基準画素50との距離の平均値を算出し、上記で検出された境界を示す画素60bと画素60cとのうちの、基準画素50との距離が、この平均値に近い画素60cを残して、残りの画素である画素60cを削除する。これにより、この方向に位置する境界が1つに削減される。
また、例えば、図4(e)に示すように、基準画素50から、90°回転させた方向、すなわち、図中矢印で示した左側方向において、輪郭抽出部103が、境界を示す画素が検出されなかったとすると、輪郭抽出部103は、この方向を挟んでこの方向に近接した方向に位置する輪郭を示す画素60eと画素60fとを、上記で輪郭を示す各画素について算出した角度等を用いて検出し、この画素60eと画素60fとを線形補間して、基準画素50から、90°回転させた方向に、点線で示された境界を示す画素61を設定する。これにより、この方向に境界が補間されることとなる。
輪郭抽出部103は、上記のように、境界を示す画素を補間する処理と削減する処理を行った後に得られた境界を示す画素を有する輪郭を抽出する。
更に、輪郭抽出部103は、抽出した輪郭が示す領域を、上記の特定操作により指定された点線40で示した領域の代わりに用いて、この領域の中心を基準画素に設定して、同じ断層画像に対して、上記の基準画素を設定した以降の処理と同様の処理を行って、輪郭を抽出する。輪郭抽出部103は、輪郭を示す情報を取得する。
そして、出力部104は、輪郭抽出部103が取得した輪郭を示す情報を用いて、輪郭を抽出した断層画像に、輪郭を線で描いた画像を重ねた断層画像を生成し、モニタ(図示せず)に表示する。また、出力部104は、抽出した輪郭を示す情報を、図示しない格納部等に蓄積する。
ここで、画像格納部101には、同じ生体の異なる位置について撮影された断層画像が同じフォルダに格納されているものとし、上記で輪郭を抽出した断層画像が格納されているフォルダと同じフォルダに、上記の断層画像と同じ生体について異なる位置で撮影された断層画像が格納されていたとする。そして、ユーザが、上記のように、一の断層画像から輪郭を抽出した後、この一の断層画像が格納されているフォルダと同じフォルダ内の新たに輪郭を抽出する断層画像を指定する操作を行ったとする。
操作受付部102が、この新たな断層画像を指定する操作を受け付けると、出力部104が、指定された断層画像をモニタ(図示せず)に表示するとともに、輪郭抽出部103はこの新たな断層画像が、直前に輪郭が抽出された断層画像と同じフォルダから読み出された断層画像であると判断して、図示しない格納部から直前に抽出した輪郭を示す情報を読み出し、読み出した輪郭を示す情報を用いて、新たな断層画像の、この輪郭が示す領域の中心の画素を基準画素に設定する。そして、上記と同様の処理を行って、新たな断層画像について輪郭を抽出し、出力部104がこの輪郭を線で描いた画像を、新たな断層画像に重ねてモニタ(図示せず)に表示する。また、この輪郭を示す情報を図示しない格納部に蓄積する。
ここで、上記のような輪郭を抽出する処理を、図3(a)に示した断層画像に対して行う場合について以下に説明する。
図3(a)からは、軟部組織37の周囲には、脂肪組織38が取り囲むように存在していることが観察される。図3(a)においては、破裂した大動脈から血液が漏出し、右腹腔内に血腫が形成されている。このような場合、断層画像における大動脈の輪郭は一部で不連続となっている。
この断層画像に対し、操作受付部102がユーザから受け付けた特定操作によって図3(b)の線31に示すような領域が指定されたとする。この領域は、大動脈の領域を大まかに指定した領域である。このような特定操作を受け付けると、輪郭抽出部103は、この断層画像について、上記のような輪郭を抽出する処理を行う。そして、輪郭抽出部103が抽出した輪郭を、出力部104が線32で描いて表示した断層画像は、図3(c)のようになる。
なお、図3(c)に示した輪郭を、基準画素を特定するための領域の情報として用いて、図3(a)に示した断層画像と同じ被検者の、頭尾方向において近接した位置において撮影した断層画像について輪郭を自動抽出した場合の、抽出した輪郭を線33で描いた断層画像は、図3(d)のようになる。
以上、本実施の形態によれば、基準画素に連続する第一の画素と、第二の画素との境界を検出して、境界を有する輪郭と抽出するようにしたことにより、断層画像から容易にかつ精度よく所望の領域の輪郭を抽出することができる。例えば、隣接する画素間の画素に対応する値の差(例えば、画素の濃度差等のコントラスト差)によって輪郭を抽出する場合とは異なり、所望の組織に対応する第一の画素で構成される領域を精度よく抽出することができる。また、例えば、ユーザは、例えば、基準となる画素を特定する特定操作を断層画像に対して行うだけで良いため、操作が容易である。また、例えば、基準画素から輪郭を抽出することによって、読影医等の主観によらない再現性の高い評価が可能になることが期待される。
なお、上記実施の形態においては、断層画像が、X線CT画像である場合について説明したが、断層画像は、X線CT画像に限定されるものではない。断層画像は、例えば、生体内の所望の組織や器官等に対応する画素を、CT値のような画素に対応する値で区別可能な画像であれば、例えば、MRI(magnetic resonance imaging)、PET(positron emission tomography)、SPECT(single photon emission computed tomography)等で取得された画像であってもよい。断層画像がX線CT画像以外の画像である場合、例えば、上記実施の形態のCT値に対応する説明は、適宜、断層画像を撮影する際に各画素に対応する位置について取得される磁場強度等の検出値や信号の値等についての説明に読み替えるようにすればよい。なお、このような断層画像を用いる場合においても、第一の画素と、第二の画素とは、それぞれの画素に対応する値により、具体的には、それぞれの画素に対応する値のみにより、識別可能な画素とすることが好ましい。また、断層画像は、第一の画素と、第二の画素とが識別可能な画像であることが好ましい。
(実施の形態2)
図7は、本実施の形態の画像処理装置2のブロック図である。
画像処理装置2は、画像格納部101、領域指定受付部211、取得部212、表示部213、除外指定受付部214、立体取得部215、操作受付部202、輪郭抽出部203、出力部204を備えている。
以下、本実施の形態においては、画像処理装置2が生体画像において抽出する領域が、生体内の血腫の領域であり、第一の画素が、第一の組織である血液に対応する画素であり、断層画像がX線CT画像である場合を例に挙げて説明する。血腫とは、例えば、出血によって生体内において血液が貯留されて腫瘤状となった状態や、その状態となった部分である。
画像格納部101については、上記実施の形態1の画像格納部101と同様であるため、ここでは説明を省略する。以下においては、断層画像が、生体のX線CT画像である場合を例に挙げて説明する。また、画像格納部101に格納される断層画像は、生体を仰臥位の状態で撮影した断層画像であり、この断層画像は、生体の下側となる部分(すなわち、背側)が下方に位置している断層画像であるとする。ただし、画像格納部101に格納される断層画像は、このような断層画像以外の断層画像であってもよい。
なお、本実施の形態においては、断層画像の上下が、撮影時の生体の上下と対応しているものとする。具体的には、断層画像の、撮影時に生体の上側であった部分が写っている側を、断層画像の上側と考え、撮影時に生体の下側であった部分が写っている側を、断層画像の下側と考える。例えば、仰臥位の生体を撮影した断層画像においては、腹側が写っている側を上側とし、背側が写っている側が下側とする。
領域指定受付部211は、画像格納部101に格納されている1以上の断層画像について、第一画素領域を指定する操作を受け付ける。第一画素領域は、断層画像内の、1または2以上の第一の画素で構成される領域である。第一画素領域は、好ましくは、複数の第一の画素で構成される領域である。第一画素領域は、複数の連続した第一画素のみで構成される領域であることが好ましい。第一画素領域は、大血管等の血管内の領域であることがより好ましい。領域指定受付部211は、例えば、後述する表示部213等が、モニタ(図示せず)等に表示する断層画像について、第一画素領域を指定する操作を受け付ける。領域指定受付部211が受け付ける第一画素領域を指定する操作としては、例えば、指定する領域が異なる点を除けば、操作受付部102が受け付ける領域を指定する特定操作等と同様の操作が利用可能である。ただし、第一画素領域を指定する操作は、これらの操作に限定されるものではない。例えば、1つの第一の画素で構成される第一画素領域を指定する操作は、例えば、1つの第一の画素を、マウスクリックやタップ等により指定する操作であってもよく、1つの第一の画素の座標等を入力する操作であってもよい。領域指定受付部211は、例えば、操作受付部102と同様の構成により実現可能である。
取得部212は、断層画像内の、領域指定受付部211が受け付けた第一画素領域を指定する操作で指定された領域内の一または複数の第一の画素にそれぞれ対応する値を用いて、第一の画素に対応する値の範囲を取得する。ここでの断層画像は、例えば、第一画素領域を指定する操作を受け付けた断層画像である。取得部212は、例えば、第一画素領域を指定する操作で指定された領域内の1または2以上の第一の画素にそれぞれ対応する値の代表値を取得し、取得した代表値を用いて、第一の画素に対応する値の範囲の下限値として取得する。取得部212は、好ましくは指定された領域内の3以上の第一の画素にそれぞれ対応する値の代表値を取得することが好ましい。
第一の画素に対応する値は、ここでは上述したように、第一の画素に対応するCT値である場合について説明する。第一の画素の値に対応する範囲とは、例えば、後述する表示部213が第一の画素を検出する際に利用する第一の画素に対応する値の範囲であり、具体的には、第一の画素に対応するCT値の範囲である。ただし、第一の画素に対応する値の範囲は、特に、生体内に漏出した血液等の、血管外の血液に対応するCT値の範囲であることが好ましい。
代表値は、例えば、複数、好ましくは3以上の第一の画素に対応する値の平均値や、中央値、中間値であることが好ましいが、最大値や最小値であってもよい。取得部212は、代表値の取得に用いる領域内の複数の第一の画素を、どのように決定するかは問わない。例えば、領域内からランダムに複数の画素を決定してもよく、領域内の中心に位置する複数の画素を代表値の取得に用いる画素に決定してもよい。また、例えば、中心の画素とこの画素から左右に所定の距離だけ離れた位置の画素との組、のように、予め決められたルール等に従って複数の画素を決定してもよい。なお、第一画素領域を指定する操作が、1つの第一の画素で構成される第一画素領域を指定する操作である場合、取得部212は、例えば、この操作で指定された1つの第一の画素に対応する値を上記のような代表値として取得してもよい。なお、以下においては、第一画素領域を指定する操作が、複数の第一の画素で構成される第一画素領域を指定する操作である場合を主として説明する。
例えば、取得部212は、取得した代表値を、そのまま、第一の画素に対応する値の範囲の下限値として用いてもよく、取得した代表値に、予め決められた値を乗算した値を、下限値として用いてもよい。例えば、第一画素領域を指定する操作が、断層画像内の大血管等の血管内の血液に対応する画素の領域を指定する操作である場合、取得した代表値に、予め決められた値を乗算した値を、血腫等の、血管外の血液を検出するために用いられる第一の画素に対応する値(例えば、CT値)の範囲の下限値として用いることが好ましい。これは、血液の密度が、血管からでると急速に高くなり、CT値が上昇するためである。画素に対応する値がCT値であって、第一の組織が血液であり(すなわち、第一の画素が血液に対応する画素であり)、第一画素領域を指定する操作が、血管内の血液に対応する画素の領域を指定する操作である場合、代表値に乗算される予め決められた値は、1以上の値であることが好ましく、1.2以上、1.6以下の値であることが好ましく、1.4であることがより好ましい。例えば、代表値である平均値に、1.4を乗算して得られる値を下限値として用いることが好ましい。なお、取得部212は、取得した代表値に、予め決められた値を加算した値を、下限値として用いてもよい。
なお、画素に対応する値がCT値であり、第一の組織が血液であり、代表値が平均値である場合において、取得部212が取得した代表値が38HU未満であるときには、代表値の代わりに、38HUを用いて、第一の画素に対応する値の範囲の下限値を設定することが好ましい。例えば、38HUをそのまま下限値としてもよく、38HUにあらかじめ決められた値を乗算した値を下限値としてもよい。38HUは、大血管を流れている血液のCT値の一般的な平均値である。下限値の設定に利用する値として代表値の代わりに38HUを用いる理由は、血液の平均のHUが38未満である場合、血液のCT値の平均値と、血腫のCT値とが乖離して予期しない結果が得られることを避けるためである。血液の平均のHUが38未満である場合とは、例えば、貧血が多いデータ等である。
第一の画素に対応する値の範囲の上限値は、下限値よりも十分に高い値であることが好ましく、通常の第一の画素に対応する値の上限値よりも十分に高い値であることがより好ましい。上限値は、予め決められた値であってもよく、下限値に応じて決定される値であってもよい。ただし、この上限値は、第一の組織以外の組織に対応する画素の値に対して、十分に低い値であることが好ましい。例えば、この上限値は、100HU以下であることが好ましく、90HU以下であることがより好ましい。なお、ここで説明した上限値は、一例であり、カメラや、管球圧等の断層画像の撮影に利用する機器の条件や、撮影する位置、撮影対象となる生体等に応じて適宜変更してもよい。また、上記の下限値である38HUについても同様に、断層画像の撮影に利用する機器の条件や、撮影する位置、撮影対象となる生体等に応じて適宜変更してもよい。
なお、取得部212は、後述する輪郭抽出部203が輪郭を抽出する際に利用する第一の画素に対応する値の範囲として、第一画素領域内の1以上の第一の画素にそれぞれ対応する値の代表値よりも大きい値を下限値として有する第一の画素に対応する値の範囲である第一の範囲と、第一画素領域内の1以上の第一の画素にそれぞれ対応する値の代表値以上の値であって、上記の第一の範囲の最小値よりも小さい値である値を下限値として有する第一の画素に対応する値の範囲である第二の範囲と、を取得するようにしてもよい。
表示部213は、取得部212が取得した第一の画素の値の範囲を用いて、断層画像内の第一の画素を他の画素に対して識別可能な態様で表示する。ここでの断層画像は、例えば、第一画素領域を指定する操作を受け付けた断層画像である。例えば、表示部213は、断層画像内において、画素に対応する値が、取得部212が取得した第一の画素に対応する値の範囲内である画素、すなわち、取得部212が取得した第一の画素に対応する値の下限値と上限値との間である画素、を第一の画素として検出し、検出した画素を、断層画像内の他の画素に対して識別可能な態様で表示する。表示部213は、例えば、取得部212が取得した第一画素領域内の1以上、好ましくは複数の第一の画素にそれぞれ対応する値の代表値よりも大きい値を下限値として有する第一の画素に対応する値の範囲を用いて、断層画像内の第一の画素を他の画素に対して識別可能な態様で表示することが好ましい。ここでの第一の画素に対応する値の範囲は、上述した第一の範囲であってもよい。断層画像内の第一の画素は、好ましくは、取得部212が取得した第一の画素の値の範囲を用いて全ての第一の画素であるが、一部を適宜除外するようにしても良い。識別可能な態様で表示するということは、検出した第一の画素を、他の画素に対して目視によって識別できるように加工した断層画像を表示することである。例えば、識別可能な態様で表示することは、例えば、断層画像において、検出した第一の画素に対して予め決められた色をオーバーレイ表示することであってもよく、検出した第一の画素を予め決められた色で着色して表示することであってもよく、検出した第一の画素で構成される1以上の領域の輪郭を、予め決められた色の線や、点線等で囲んで表示することであってもよい。
なお、表示部213は、断層画像内の第一の画素を他の画素に対して識別可能な態様で表示する断層画像と、識別可能な態様で表示しない断層画像とを切り替えて表示できるようにしてよく、並べて表示できるようにしてもよい。識別可能な態様で表示しない断層画像とは、例えば、画像格納部101に格納されている断層画像をそのまま表示することである。
なお、表示部213は、領域指定受付部211が第一画素領域を指定する操作を受け付ける前に、断層画像内において、対応するCT値が第一の組織の標準的な値の範囲内に収まる画素を検出し、検出した画素を他の画素と異なる態様で表示することによって、第一画素領域を指定する操作を受け付けるための視覚的な支援を行うようにしても良い。
表示部213は、例えば、モニタ(図示せず)を用いて、上記のような表示を行う。なお、表示部213が、モニタ等を有する外部のデバイスに、表示用の画像データを送信して、このデバイスに表示を行わせることも、ここでは、表示と考えてもよい。表示部213は、モニタ等の表示デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。表示部213は、断層画像内の第一の画素を他の画素に対して識別可能な態様で表示するための画像データを生成するためのMPUやGPU等のプロセッサやメモリ等を有していても良い。これらの処理手順は、通常、ソフトウェアで実現される。表示部213は、表示デバイスのドライバーソフトまたは、表示デバイスのドライバーソフトと表示デバイス等で実現される。
除外指定受付部214は、除外指定操作を受け付ける。除外指定操作は、除外領域の輪郭を指定する操作である。除外領域は、輪郭抽出部203が抽出する輪郭から除外される領域である。領域指定受付部211は、例えば、後述する表示部213等が、モニタ(図示せず)等に表示する断層画像について、除外指定操作を受け付ける。輪郭抽出部203が断層画像において輪郭を抽出する処理については後述する。除外領域は、例えば、断層画像内の、第一の組織以外の特定の1以上の組織に対応する画素で構成される領域や、特定の対象の領域である。例えば、第一の組織が、血液である場合、特定の1以上の組織は、肝臓等の、特定の1以上の臓器を構成する組織である。また、特定の対象は、例えば、血腫等の第一の組織で構成されるもの以外のものであり、例えば、肝臓や、すい臓等である。
除外指定操作は、除外領域の輪郭を指定可能な操作であれば、どのような操作であってもよく、例えば、指定する領域が異なる点を除けば、操作受付部102が受け付ける輪郭を指定する特定操作等と同様の操作が利用可能である。例えば、除外指定操作は、場外領域の輪郭をマウスや指等でなぞる操作であってもよい。また、通常、肝臓の大部分は、生体の長手方向に垂直な断層画像内における形状が略三角形となることから、断層画像内の肝臓に対応する画像の領域を除外領域とする場合、断層画像内においてこの肝臓に相当する画像の略三角形の3つの頂点をマウスクリックしたり、タッチパネルにおいてタップしたりことで指定する操作を、除外指定操作とすることが、操作を簡単にするうえで好ましい。なお、除外指定操作によって指定する除外領域の輪郭の頂点の数を3よりも増やすことで、より複雑な除外領域を指定したり、より正確に除外領域を指定したりすることができる。
なお、画像格納部101に、同じ生体内の異なる3以上の位置において撮影した複数の断層画像が格納されている場合、この複数の断層画像のうちの2以上の断層画像において、それぞれ、同じ除外対象に対応する除外領域を指定する除外指定操作を受け付けてもよい。この複数の断層画像において、除外領域を指定する操作においても、上記と同様の除外操作を、各断層画像について受け付けるようにしてもよい。例えば、この除外操作は、除外対象である肝臓に対応する除外領域を指定する操作であって、2以上の断層画像のそれぞれにおいて、略三角形形状である肝臓の3つの頂点をそれぞれ指定する操作であってもよい。
除外指定操作によって受け付けた除外指定領域を示す情報は、例えば、除外指定受付部214により、図示しない格納部に蓄積され、適宜読み出される。除外指定領域を示す情報は、例えば、除外指定操作を受け付けた断層画像と対応付けられて図示しない格納部に蓄積される。除外指定受付部214は、例えば、操作受付部102と同様の構成により実現可能である。
操作受付部202は、断層画像内に含まれる第一の組織を示す第一の画素のうちの、基準となる基準画素を特定する特定操作を受け付ける。そして、操作受付部202は、この特定操作で特定される基準画素を示す情報、例えば、基準画素の座標等の情報を取得する。操作受付部202が受け付ける特定操作は、例えば、表示部213が表示する断層画像内の第一の画素の一つを指定する操作である。第一の画素の一つを指定する操作は、例えば、断層画像内の第一の画素の一つを、マウスを用いてクリックするする操作や、スタイラスペン等を用いてクリックする操作や、タッチパネルを用いてタップする操作等である。また、第一の画素の一つを指定する操作は、例えば、断層画像内の第一の画素の一つの座標等を入力する操作であってもよい。表示部213が表示する断層画像とは、例えば、第一の画素を他の画素に対して識別可能な態様で表示した断層画像である。例えば、第一の画素の一つを指定する操作は、第一の画素を他の画素に対して識別可能な態様で表示した断層画像において、識別可能に表示された第一の画素の一つを指定する操作である。ここで指定する第一の画素は、例えば、輪郭を抽出したい第一の画素群の中の第一の画素であり、本実施の形態においては、血腫領域と考えられる領域内の画素の一つである。
なお、操作受付部202は、表示部213が表示する断層画像内の第一の画素の一つを指定する操作の代わりに、例えば、表示部213が表示する第一の画素を他の画素に対して識別可能な態様で表示した断層画像内において、上記実施の形態1の操作受付部102が受け付ける特定操作と同様の操作を受け付けてもよい。例えば、操作受付部202は、表示部213が表示する断層画像内において、複数の第一の画素で構成される領域を指定する操作を受け付けても良い。
操作受付部202の、上記以外の点については、操作受付部102と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
輪郭抽出部203は、操作受付部202が受け付けた特定操作により特定される基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出する。第一の画素に関連する輪郭は、例えば、第一の画素に対応する値に対して所定の関係を有する値の画素で構成される輪郭である。ここでは、主として、輪郭抽出部203が、操作受付部202が受け付けた特定操作により特定される基準画素に連続する第一の画素で構成される領域の輪郭と、この輪郭の周囲に設定される拡張領域であって、上方向への拡張量が、下方向への拡張量よりも大きく、横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って小さくなる拡張領域において検出した第一の画素で構成される領域の輪郭とを、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭として抽出する場合について説明する。また、ここでの基準画素に連続する第一の画素は、血腫領域内の血液等の血管外の血液を示す画素である場合について説明する。
まず、輪郭抽出部203は、操作受付部202が受け付けた特定操作に応じて、基準画素を特定する。例えば、特定操作が、一の画素を指定する操作である場合、この画素を基準画素に特定する。また、特定操作が、上記実施の形態1の特定操作と同様の操作である場合、例えば、上記実施の形態1と同様の処理を行って特定操作に応じた基準画素を特定する。
次に、輪郭抽出部203は、操作受付部202が受け付けた特定操作により特定される基準画素に連続する第一の画素で構成される領域の輪郭を抽出する。例えば、輪郭抽出部203は、基準画素に連続する第一の画素を検出し、検出した第一の画素で構成される領域の輪郭を取得する。輪郭を抽出することは、輪郭で囲まれた領域を抽出することと考えてもよい。輪郭抽出部203は、例えば、上述した取得部212が取得した第一の画素に対応する値の範囲を用いて、基準画素に連続する画素が第一の画素であるか判断する。例えば、基準画素に連続する画素に対応する値が、値の範囲内であれば、この画素が基準画素に連続する第一の画素であると判断し、値の範囲外であれば、基準画素に連続する第一の画素でないと判断する。第一の画素に対応する値の範囲は、血液に対応するCT値の範囲である。ここでの第一の画素に対応する値の範囲は、特に、生体内に血管から漏出した血液等の、血管外の血液に対応するCT値の範囲と考えてもよい。ここで輪郭抽出部203が基準画素に連続する画素が第一の画素であるか判断する際に用いる第一の画素に対応する値の範囲としては、上述したような第一の範囲であることが好ましい。また、この場合の第一の範囲は、複数の画素を有する第一画素領域内の2以上の第一の画素にそれぞれ対応する値の代表値よりも大きい値を下限値として有する値の範囲であることがより好ましい。この第一の範囲は、表示部213が断層画像内の第一の画素を他の画素に対して識別可能な態様で表示する際に利用する第一の画素の値の範囲と同じ値の範囲としてもよい。
本実施の形態の輪郭抽出部203は、さらに、断層画像内の、上記で抽出された基準画素に連続する第一の画素で構成される領域の輪郭(以下、基準輪郭と称す)の周囲に設定される拡張領域において、第一の組織を示す画素で構成される1以上の領域を検出する。そして、上記の基準輪郭と、拡張領域において検出した領域の輪郭とを有する輪郭を抽出する。例えば、上記の基準輪郭と、拡張領域において検出した領域の輪郭とを結合した輪郭を抽出する。拡張領域は、基準輪郭の周囲に設定される帯状の領域である。拡張領域は、例えば、基準輪郭が示す領域に連続していない第一の画素の領域の検出が行われる領域である。ここでの拡張領域は、基準輪郭で囲まれた領域を含まない領域である。拡張領域は、上方向への拡張量が、下方向への拡張量よりも大きく、横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って小さくなる領域である。
輪郭抽出部203が拡張領域で検出する輪郭は、例えば、第一の画素で構成される領域と、第一の画素以外の画素との境界で構成される輪郭である。拡張領域から第一の画素の領域を検出する際に用いられる第一の画素に対応する値の範囲は、取得部212が取得した上述した第二の範囲であることが好ましい。この場合の第二の範囲は、複数の画素を有する第一画素領域内の2以上の第一の画素にそれぞれ対応する値の代表値以上の値であって、上記の第一の範囲の最小値よりも小さい値を下限値として有する値の範囲であることがより好ましい。第二の範囲の下限値は、第一画素領域内の1以上の第一の画素にそれぞれ対応する値の代表値であることがより好ましい。なお、第一の範囲等の、第二の範囲以外の第一の画素に対応する値の範囲を、拡張領域から第一の画素の領域を検出する際に用いてもよい。輪郭抽出部203は、例えば、拡張領域を設定し、拡張領域において1または連続した2以上の第一の画素で構成される1以上の領域を検出し、検出された各領域のそれぞれの輪郭を検出する。
以下、拡張領域に関して説明する。本願発明者が鋭意研究を行った結果、生体内において血管等から漏出した血液は、血管内を流れる血液と比較して、速やかに密度が高くなり、生体内においては、血液中の密度が高くなった部分が、時間の経過とともに下方に沈下する傾向にある、という知見が得られた。
図8は、血液の密度の経時的な変化を調べるために行われた実験結果を示す図である。この実験では、血液を充填して栓をした試験管を、長手方向を水平とした状態で静置した。そして、予め決められた複数の時間がそれぞれ経過した後に、試験管に充填した血液を試験管の長手方向を水平にした状態で、長手方向に垂直となるようCTによる断層撮影を行った。図8は、各時間に撮影された断層画像をそれぞれ示しており、断層画像の上部には、血液を充填してから撮影までの経過時間を示している。
CT撮影により得られたCT値は、生体内の各部の密度に応じて変化する値であり、通常、密度が高くなるほどCT値が高くなる。また、CT撮影により得られた断層画像においては、CT値が高い部分が、CT値が低い部分よりも白く表示される。
図8の断層画像においては、時間の経過とともに色の白い部分が容器の下方に集中することから、時間の経過とともに血液中の密度が高い部分が下方に沈下することがわかる。
図9は、血液のCT値の経時的な変化を調べるために行われた実験結果を示す図である。この実験においては、容器内に充填した血液に対して、予め決められた複数の時間がそれぞれ経過した後にCT撮影を行い、CT撮影により得られたCT値の最大値を取得した。図9は、このようにして取得したCT値の最大値と、経過時間との関係を示すグラフである。
図9のグラフから、時間の経過とともに、CT値が速やかに増加することがわかる。
上記の知見から、血管内の血液は、血管外の血液よりも密度が高く、断層画像を撮影するために同じ姿勢で長時間経過すると、生体内の下側に、漏出した血液のうちの密度が高い血液が沈下することとなると考えられる。上記のようにCT撮影により得られたCT値は、生体内の各部の密度が高くなると大きくなることから、断層画像の下側の血液のCT値は、上側の血液のCT値よりも高くなる。例えば、仰臥位の姿勢で生体を撮影した断層画像においては、漏出した血液のうちの背側の血液のCT値は、腹側の血液のCT値よりも高くなり、密度の高い背側の血液は腹側の血液よりも白く表示される。
一の断層画像内において、血管外の血液を示す第一の画素を検出する際に用いられるCT値の範囲の下限値を一定の値とした場合、上述した知見が示すように、断層画像の上側に位置している血液は密度が低くCT値が低いため、断層画像の上側の方が下側(例えば、背側)と比べて下限値の前後のCT値を有する血液の存在する比率が高いと考えられる。このため、断層画像の上側では、実際には血液を示す画素であっても、そのCT値が、血液を示す第一の画素に対応するCT値の範囲の下限値よりも低いために、血液を示す第一の画素と判断されないケースが多いと考えられる。一方で、生体の下側の血液のCT値は上側の血液よりも高く、CT値の範囲の下限値を下回る血液の存在する比率が低いと考えられるため、血液を示す第一の画素に対応するCT値の範囲で検出されない血液の画素は、少ないと考えられる。このため、血液が検出されにくい生体の撮影時に上側に位置していた部分においては、最初に検出された基準輪郭に対して第一の画素を検出する範囲を広く拡張し、下側においては、最初に検出された基準輪郭に対して第一の画素を検出する範囲を狭く(または範囲が0となるよう)拡張し、これらの拡張した領域において、基準輪郭内の領域に不連続であるか否かに関わらず、第一の画素を検出している。また、ここでは、下限値が基準輪郭を検出する際に利用した第一の範囲よりも小さい第二の範囲を用いて拡張した領域において第一の画素を検出していることで、第一の画素のCT値の範囲を拡張して、基準輪郭の検出時に検出できなかった第一の画素の検出も行なっている。陳旧性の血腫で水濃度になっている場合においても、以前は血腫だった部分と考えて血腫の領域として含めることが好ましいという観点から、拡張した領域の血腫を検出するCT値の下限は、第一の範囲の下限値よりも小さい値、好ましくは、第一画素領域内の第一の画素の代表値に近い値、より好ましくはこの代表値と同じ値としている。例えば、このような第二の範囲を用いることで、血腫が閉鎖した腔内で増加も減少もしていない場合において、時間が経過して血腫が水腫化することによって、水腫化した部分が血腫として検出されなくなって、検出された血腫の体積と、実際の血腫の体積との乖離してしまうことを防ぐことができる。従って、上記のように拡張領域から第一の画素を検出することで、血管外の血液のCT値の、断層画像の上下方向の違いによる血液の検出精度の違いを結果的に補って、精度よく血腫領域を検出することが可能となる。
上記の観点から、拡張領域は、例えば、上方向への拡張量が、下方向への拡張量よりも大きく、横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って小さくなる領域とすることが好ましい。例えば、拡張領域の、基準輪郭の上方に位置する部分の上下方向の幅が、基準輪郭の下方に位置する部分の上下方向の幅よりも長くなるよう設定される。また、基準輪郭の左右に位置する拡張領域の横方向の幅が、上から下に向かうに従って減少するよう設定される。ここでの上方向および下方向は、断層画像の上方向および下方向である。
なお、拡張量とは、例えば、基準輪郭から拡張領域の外側の輪郭までの距離である。この幅や長さの単位は、ミリメートル等の長さの単位で表されてもよく、画素数で表されてもよい。上方向への拡張量とは、例えば、基準輪郭から、拡張領域の外側の輪郭までの上方向の距離である。下方向への拡張量とは、例えば、基準輪郭から、拡張領域の外側の輪郭までの下方向の距離である。横方向への拡張量とは、例えば、基準輪郭から、拡張領域の外側の輪郭までの横方向(例えば、左右方向)の距離である。
横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って小さくなるということは、横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って連続的に減少することであっても、段階的に減少することであってもよい。横方向の拡張量が上方向から下方向に向かうに従って連続的に減少するよう拡張領域を設定する場合においては、拡張領域の高さ方向の位置と、横方向の拡張量(例えば、基準輪郭から拡張領域の外側の輪郭までの横方向の距離)との関係は正比例の関係であってもよく、正比例以外の関係であってもよい。また、下方向への拡張量よりも大きければ、上方向への拡張量は、基準輪郭の下方に向かうにつれて、連続的または段階的に減少してもよい。また、上方向への拡張量が、下方向への拡張量よりも大きければ、下方向への拡張量は、基準輪郭の下方に向かうにつれて、連続的または段階的に減少してもよい。
なお、このように拡張した領域から検出した非連続である血液に対応する画素で構成される領域の輪郭は、例えば、後述するようなモルフォロジー処理等によって、最初に検出された基準輪郭と結合されるようにすることが好ましい。
図10は、基準輪郭に対して上記のような処理により設定された拡張領域の一例を説明するための図である。ここでは、説明を簡単にするために、基準輪郭70の形状が矩形である場合について説明する。拡張領域71は、斜線で示した領域を示している。
輪郭抽出部203は、基準輪郭の上側の部分を、距離k(k>0)だけ断層画像の上方に移動させる。また、基準輪郭の下側の部分を距離l(k>l≧0)だけ断層画像の下方に移動させる。ここでの基準輪郭の上側の部分とは、基準輪郭のうちの、上方に基準輪郭の他の部分が存在しない部分である。また、基準輪郭の下側の部分とは、基準輪郭のうちの、下方に基準輪郭の他の部分が存在しない部分である。なお、上側と下側のいずれの輪郭を先に一時的に設定するかは問わない。
また、基準輪郭の左側の部分を、基準輪郭の最も下方に位置にする部分からの上方向への距離に比例して移動量が増加するよう、左側に移動させる。上方向への距離とは、上方向の距離を正と考えた距離である。ここでは、一例として、基準輪郭の最も下側の部分が左に、距離p(p≧0)だけ移動し、基準輪郭の最も上側の部分が左に距離q(q>p)だけ移動するように、基準輪郭の左側の各部を、基準輪郭の最も下方に位置にする部分からの上方向への距離と、左側への移動量との関係が、正比例の増加関数となるように移動させる。例えば、基準輪郭の高さが、r(r>0)であったとすると、基準輪郭の左側の部分のうちの、基準輪郭の最も下側の部分との上下方向の距離がt(t≧0)となる部分の左方向への移動量uは、u=t×(q-p)/rとなる。
同様に、基準輪郭の右側の部分を、基準輪郭の最も下方に位置にする部分からの上方向への距離に比例して移動量が増加するよう右側に移動させる。ここでは、一例として、上記と同様に、基準輪郭の最も下側の部分が右に、距離pだけ移動し、基準輪郭の最も上側の部分が右に距離qだけ移動するように、基準輪郭の右側の各部を、基準輪郭の最も下方に位置にする部分からの上方向への距離と、右側への移動量との関係を正比例の増加関数となるように移動させる。
ここでの基準輪郭の左側の部分とは、基準輪郭のうちの、右側に基準輪郭の他の部分が存在しない部分である。また、基準輪郭の右側の部分とは、基準輪郭のうちの、左側に基準輪郭の他の部分が存在しない部分である。なお、基準輪郭の上側の部分と、下側の部分と、左側の部分と、右側の部分とをそれぞれ移動させる順番は問わない。
そして、上記で移動させた基準輪郭の上側の部分と、移動前の基準輪郭の上側の部分とに挟まれた領域、上記で移動させた基準輪郭の下側の部分と、移動前の基準輪郭の下側の部分とに挟まれた領域、上記で移動させた基準輪郭の左側の部分と、移動前の基準輪郭の左側の部分とに挟まれた領域、および上記で移動させた基準輪郭の右側の部分と、移動前の基準輪郭の右側の部分とに挟まれた領域を、拡張領域に設定する。なお、これらの領域の重なり合う部分は結合する。
なお、上記の距離の単位は問わない。例えば、上記の距離は、mmやインチ等の国際単位系や国際ヤード法で表されてもよく、ピクセル等の画素数で表されてもよい。
上記の距離pの値としては、0以上、1mm以下の値であることが好ましく、0であることが最も好ましい。上記の距離qの値としては、3mm以上、7mm以下であることが好ましく、5mmであることが最も好ましい。また、距離kの値は、5mm以上7mm以下であることが好ましく、6mmであることが最も好ましい。また、距離lの値は、2mm以上4mm以下であることが好ましく、3mmであることが最も好ましい。例えば、kの値を6mm、lの値を3mm、pの値を0、qの値を5mmとすることが、最も好ましい例の一つである。なお、上記のp、q、k、およびl等の拡張する距離は、一例であり、断層画像の撮影に利用する機器の条件や、撮影する位置、撮影対象となる生体、血腫内部のCT値等に応じて適宜変更するようにしてもよい。また、基準輪郭のサイズ等に応じて、上記のp、q、k、およびl等の拡張する距離を適宜変動させるようにしてもよい。例えば、基準輪郭のサイズが大きくなるほど、上記のp、q、k、およびl等の拡張する距離を連続的または段階的に大きくしてもよい。
なお、基準輪郭に対して拡張領域を設定する処理は、上記で説明した処理に限定されるものではなく、上記以外の処理で拡張領域を設定してもよい。また、例えば、断層画像内の基準輪郭よりも下方や、その近傍等には、拡張領域を設けないようにしてもよい。
また、拡張領域を設定する際に、対応する値(例えば、対応するCT値)が、上述したような血液を示す第一の画素に対応する値とは明確に異なる画素で構成される領域は、拡張領域に含めないようにしてもよい。例えば、上記実施の形態1において説明したCT値が通常、100HUを超える骨を示す画素や、CT値が-200~-1HUの範囲の脂肪を示す画素等は、拡張領域から除外するようにしてもよい。
なお、ここでは、基準画素に連続する第一の画素や、拡張領域内の第一の画素の検出に用いられる第一の画素に対応する値の範囲として、取得部212が取得した第一の画素に対応する値の範囲である第一の範囲や第二の範囲等を用いるようにしたが、第一の画素に対応する値の範囲としては、予め決められた第一の画素に対応する値の範囲(例えば、生体内に漏出した血液等の、血管外の血液に対応するCT値の範囲)等を用いてもよい。例えば、領域指定受付部211や、取得部212等を省略する場合等においては、上記実施の形態1において第一の画素の検出に用いた第一の画素に対応する値の範囲と同様の値の範囲を用いるようにしてもよい。
同じ生体内の異なる位置において撮影した複数の断層画像が画像格納部101に格納されている場合に、輪郭抽出部203は、複数の断層画像のうちの一の断層画像について上述した処理により抽出した輪郭を用いて、同じ生体の異なる位置において撮影された複数の断層画像について、一の断層画像について抽出された輪郭に対応する輪郭を抽出するようにしてもよい。一の断層画像について抽出された輪郭に対応する輪郭とは、一の断層画像について抽出された輪郭が示す対象と同じ対象の輪郭である。ここでの対象は、例えば、輪郭抽出の対象である。ここでの対象は、例えば、血腫である。ただし、対象は、血腫以外であってもよく、例えば、臓器や腫瘍等であってもよい。一の断層画像について抽出された輪郭に対応する輪郭とは、例えば、一の断層画像について抽出された輪郭と少なくとも一部が重なる輪郭であって、連続した第一の画素に関連した領域である。連続した第一の画素に関連した領域とは、連続した第一の画素を有する領域であってもよく、この連続した第一の画素を有する領域を用いて、上述したような拡張領域等を利用して取得される第一の画素を有する領域であってもよい。
例えば、輪郭抽出部203は、一の断層画像において抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する領域の輪郭を用いて、この輪郭に対応する輪郭を、異なる断層画像において抽出してもよい。例えば、同一直線上の異なる複数の位置において、この直線に対して垂直となるようそれぞれ撮影された生体の複数の断層画像が画像格納部101に格納されている場合において、輪郭抽出部203は、一の断層画像について上述した処理により抽出した輪郭を用いて、生体の異なる2以上の位置でそれぞれ撮影された断層画像の1以上において、上記で抽出された輪郭に対応する輪郭を抽出する。
以下、一の断層画像において抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する領域の輪郭を用いて、同じ生体の、互いに異なる2以上の位置でそれぞれ撮影された断層画像のうちの1以上において、この輪郭に対応する輪郭を抽出する処理の一例について説明する。
図11(a)および(b)は、生体内の血腫領域を連続した異なる位置(以下、撮影位置と称す場合がある)において撮影した複数の断層画像を、断層画像に対して垂直に切断した模式図である。図において、各セルは断層画像の画素を示している。横方向の行は、各断層画像を示しており、縦方向の列は、異なる断層画像の同じ座標に位置する画素を示している。図において、上下方向は、頭尾方向を示しており、上側の断層画像の撮影位置が、下側の断層画像の撮影位置よりも配列順番の値が小さいものとする。また、斜線で示したセルは、第一の画素を示している。
図11(a)に示すように、断層画像1101aにおいて、図中に二重の枠線で示されている基準画素1102が指定されると、この基準画素に連続する第一の画素の領域と、この領域の拡張領域に含まれる第一の画素の領域との輪郭が断層画像1101aにおいて検出される。検出された輪郭が、輪郭1103であったとする。この断層画像1101aの一つ前の断層画像1101bにおいて、輪郭1103と同じ輪郭内のすべての第一の画素を検出し、全ての第一の画素にそれぞれ連続する第一の画素の領域と、この領域の拡張領域に含まれる第一の画素の領域との輪郭を断層画像1101bにおいて抽出する。ここでの同じ輪郭とは、例えば、輪郭の平面形状および断層画像内の位置が同じである輪郭である。同じ輪郭は、例えば、輪郭を示す複数の座標(例えば、輪郭の画素や、輪郭に隣り合う画素の座標)等が同じとなる輪郭と考えてもよい。かかることは以下においても同様である。また、ここでの拡張領域とは、上記の基準画素に連続する第一の画素の領域の輪郭に対して設定される拡張領域と同様の拡張領域であるとする。かかることは、以下の、基準画素に連続する第一の画素の輪郭以外の輪郭に設定される拡張領域等についても同様である。また、基準画素を有する断層画像とは異なる位置で撮影された断層画像において、拡張領域から第一の画素を検出する際に用いる第一の画素に対応する値の範囲としては、例えば、上記と同様の第二の範囲を用いることが好ましく、それ以外の第一の画素を検出する際には、例えば、上記と同様の第一の範囲を用いることが好ましい。かかることは、以下において説明する異なる位置で撮影された断層画像について第一の画素を検出する際においても同様である。
さらに、同様の処理を、断層画像1101bよりも前の撮影位置の断層画像について順次行なう。また、断層画像1101aの一つ後の断層画像1101cにおいて、輪郭1103と同じ輪郭内のすべての第一の画素を検出し、全ての第一の画素にそれぞれ連続する領域と、この領域の拡張領域に含まれる第一の画素の領域との輪郭を抽出し、同様の処理を、断層画像1101cよりも撮影位置が後の断層画像について順次行なう。このようにして抽出される輪郭が示す領域は、図11(b)の領域1104のようになり、血腫領域の一部の領域である領域1105および領域1106の輪郭が抽出できていないことがわかる。
これに対し、断層画像1101aの一つ前の断層画像1101bにおいて、輪郭1103と同じ輪郭内のすべての第一の画素を検出し、すべての第一の画素にそれぞれ連続する第一の画素の領域と、この領域の拡張領域に含まれる第一の画素の領域との輪郭を断層画像1101bにおいて抽出する。更に、この断層画像1101bにおいて検出した輪郭を用いて、この断層画像1101bよりも撮影位置が後ろの断層画像、つまり、断層画像1101aおよび断層画像1101cを含む断層画像1101b以降の断層画像において上記と同様の処理を順次行なうことにより、上記で検出できなかった血腫領域の一部の領域1105の輪郭が抽出可能となる。
同様に、断層画像1101aの一つ後ろの断層画像1101cにおいて、輪郭1103と同じ輪郭内のすべての第一の画素を検出し、すべての第一の画素にそれぞれ連続する第一の画素の領域と、この領域の拡張領域に含まれる第一の画素の領域との輪郭を断層画像1101cにおいて抽出する。更に、この断層画像1101cにおいて検出した輪郭を用いて、この断層画像1101cよりも撮影位置が前の断層画像、つまり断層画像1101aおよび断層画像1101bを含む断層画像1101c以前の断層画像において上記と同様の処理を順次行なうことにより、上記で検出できなかった血腫領域の一部の領域1106の輪郭が抽出可能となる。
従って、このような点を考慮して、輪郭抽出部203は、例えば、以下のように、一の断層画像において抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する領域の輪郭を用いて、複数の断層画像について輪郭の抽出を行なう。
画像格納部101に、同じ生体内の同一直線上の異なるM箇所(Mは3以上の整数)の位置において撮影した複数の断層画像が、例えば、撮影位置の配列順番と対応付けて格納されており、輪郭抽出部203が、複数の断層画像のうちの基準画素が特定された断層画像について、この基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を、上記のような処理を行なって抽出したとする。ここでは、この基準画素が特定された断層画像が、撮影位置がN番目の断層画像(Nは、2以上M未満の整数)であるとする。
輪郭抽出部203は、N番目の断層画像について抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を用いて、この輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN-1番目の断層画像内の画素から取得する。ここでの第一の画素に関連する輪郭とは、例えば、連続する第一の画素の輪郭、およびこの輪郭の周囲に設定される拡張領域において検出された第一の画素の領域の輪郭である。かかることは以下においても同様である。なお、この拡張領域は、例えば、上述した拡張領域と同様の、上方向への拡張量が、下方向への拡張量よりも大きく、横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って小さくなる拡張領域である。ここでは、N-1番目の断層画像内の、N番目の断層画像について抽出した輪郭と同じ輪郭内の全ての第一の画素にそれぞれ連続する第一の画素で構成される領域の輪郭と、この領域について設定した上記と同様の拡張領域から検出される第一の画素で構成される領域の輪郭とを抽出する。なお、N-1番目の断層画像内において検出される複数の領域のうちの重なり合う領域および隣り合う領域は、例えば、拡張領域を設定する前等に、適宜、一つの領域に結合して輪郭を抽出する。かかることは、以下においても同様である。
次に、N-1番目の断層画像について上記で抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN番目の断層画像について取得する。ここでは、N番目の断層画像内の、N-1番目の断層画像について抽出した輪郭と同じ輪郭内の全ての第一の画素にそれぞれ連続する第一の画素で構成される領域の輪郭と、この領域について設定した上記と同様の拡張領域から検出される第一の画素で構成される領域の輪郭とを、第一の画素に関連する輪郭として抽出する。なお、N番目の断層画像内において検出される複数の領域のうちの重なり合う領域および隣り合う領域は、例えば、拡張領域を設定する前等に、適宜、一つの領域に結合して輪郭を抽出する。
同様に、輪郭抽出部203は、N番目の断層画像について抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を用いて、この輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN+1番目の断層画像内の画素から取得する。ここでは、N+1番目の断層画像内の、N番目の断層画像について抽出した輪郭と同じ輪郭内の全ての第一の画素にそれぞれ連続する第一の画素で構成される領域の輪郭と、この領域について設定した上記と同様の拡張領域から検出される第一の画素で構成される領域の輪郭とを抽出する。
次に、N+1番目の断層画像について上記で抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN番目の断層画像について取得する。ここでは、N番目の断層画像内の、N+1番目の断層画像について抽出した輪郭と同じ輪郭内の全ての第一の画素にそれぞれ連続する第一の画素で構成される領域の輪郭と、この領域について設定した上記と同様の拡張領域から検出される第一の画素で構成される領域の輪郭とを抽出する。
そして、上記でN-1番目の断層画像を利用して抽出したN番目の断層画像の領域と、N+1番目の断層画像を利用して抽出したN番目の断層画像の領域とを結合した領域の輪郭を、新たに、N番目の断層画像の、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭として抽出する。
なお、上記において、N-1番目の断層画像とN+1番目の断層画像とを用いる順番が問わない。
そして、撮影位置がN番目より前である断層画像については、例えば、N-1番目の断層画像から順に、直後の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出し、撮影位置がN番目より後である断層画像について、N+1番目の断層画像から順に、直前の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出する。
なお、撮影位置がN番目より後である断層画像について輪郭と抽出する処理と、撮影位置が、N番目より前である断層画像について輪郭と抽出する処理とを行なう順番が問わない。
なお、輪郭抽出部203が、一の断層画像について抽出した輪郭を用いて、同じ生体の異なる位置において撮影された断層画像について、抽出した輪郭に対応する輪郭を抽出する処理は、上記の処理に限定されるものではない。
また、ここでは、異なる断層画像において第一の画素に関連する輪郭を抽出する際に、拡張領域を用いたが、拡張領域を用いないようにしてもよい。
なお、上記でN-1番目の断層画像を利用して抽出したN番目の断層画像の領域と、N+1番目の断層画像を利用して抽出したN番目の断層画像の領域とを結合した領域の輪郭を、輪郭抽出部203が抽出する基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭として用いてもよい。
輪郭抽出部203は、除外指定受付部214が、基準画素が特定された断層画像について、除外指定操作を受け付けている場合、この断層画像について抽出した上記の輪郭から除外指定操作により指定された除外領域の輪郭を除外した輪郭を抽出してもよい。例えば、除外指定操作が、肝臓に対応する画像の3つの頂点を指定する操作であった場合、この操作で指定された三つの頂点を結ぶ三角形の輪郭を、輪郭抽出部203がこの断層画像について抽出した上記の輪郭から除外した輪郭を取得する。なお、除外指定操作によって指定する除外領域の輪郭の頂点の数を3よりも増やすことで、肝臓以外の臓器等のような、より複雑な除外領域を指定したり、より正確に除外領域を指定したりすることができる。また、例えば、除外指定操作が、除外対象に対応する画像の輪郭をなぞって指定する操作であった場合、この操作でなぞられた輪郭を、輪郭抽出部203がこの断層画像について抽出した上記の輪郭から除外した輪郭を取得する。
なお、上記のように、画像格納部101に、同じ生体内の異なる3以上の位置において撮影された断層画像が格納されており、輪郭抽出部203が、格納されている断層画像のうちの2以上の断層画像について第一の画素に関連する輪郭を、上記のように輪郭を抽出する場合において、除外指定受付部214が、画像格納部101に格納されている2以上の断層画像について、それぞれ、輪郭抽出部203が抽出する輪郭から除外する除外領域の輪郭を指定する除外指定操作を受け付けているときに、輪郭抽出部203は、除外指定操作により除外領域が指定された断層画像については、この指定された除外領域の輪郭を除外した輪郭を抽出し、除外領域が指定されていない断層画像については、2以上の断層画像についてそれぞれ受け付けた除外領域を補間した領域を除外した輪郭を抽出するようにしてもよい。ここでの補間は、線形補間であってもよく、それ以外の補間であってもよい。
例えば、除外指定受付部214が、二つの断層画像に対して、それぞれ、肝臓の領域を除外するための三つの頂点を指定する領域指定操作を受け付けており、除外領域を指定する情報として、除外領域の三つの頂点の座標と、除外領域が指定された断層画像を指定する情報(例えば、撮影位置等を指定する情報)との、二組の情報が、図示しない格納部等に格納されていた場合、輪郭抽出部203は、この二組の情報から、除外領域の三つの頂点の座標と、それぞれに対応する断層画像の撮影位置の情報を読み出す。そして、それぞれの頂点の座標に対応する断層画像の撮影位置の値を、それぞれの頂点の長手方向の座標として用いて、二組の三つの頂点間で、距離が近い頂点同士を結ぶ3つの直線の数式を算出する。そして、この除外指定操作を受け付けていない断層画像については、この断層画像の撮影位置を示す値を、3つの数式にそれぞれ代入することで、上記の2つの断層画像に設定された除外領域を補間した除外領域の3つの頂点の座標を取得することができる。この三つの頂点で表される除外領域は、上記の2つの断層画像に設定された除外領域を補間した除外領域である。そして、この3つの頂点を直線等で結んだ輪郭を、上記で輪郭抽出部203が抽出した輪郭から除外して、除外領域の輪郭を除外した輪郭を取得しても良い。2以上の領域を補間した領域を取得する技術については、公知技術であるため、ここでは詳細な説明を省略する
なお、上記においては、第一の組織が血液である場合において、輪郭抽出部203が、拡張領域を設定して、この拡張領域から輪郭を更に検出する場合について説明したが、拡張領域から輪郭を検出する代わりに、基準画素に連続する画素が、血液に対応する第一の画素であるか否かを判断する際に利用する値の範囲(例えば、CT値の範囲)を、判断対象となる画素の上下方向の位置に応じて変化させて、基準画素に連続する第一の画素で構成される領域を検出して、この領域の輪郭を抽出するようにしてもよい。このようにすることで、高さ方向の位置の違いによる血液の密度の違いを補正して、血管外の血液に対応する画素を精度よく検出することができ、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を精度よく抽出することができる。例えば、判断対象となる画素の、断層画像内の高さ方向の位置が高くなるに従って、この画素が血液に対応する第一の画素であるか否かを判断する際に利用する値の範囲(例えば、CT値の範囲)の下限値が低くなるように設定してもよい。断層画像の撮影時に上側に位置する血管外の血液は、密度が低いため、下限値を低くすることで、密度が低い血管外の血液を、検出漏れを低減させて精度よく検出できる。例えば、高さの変化に応じて連続的に下限値を低くなるようにしてもよく、段階的に下限値を低くなるようにしてもよい。例えば、高さが高くなるに比例して下限値を低くなるようにしてもよい。例えば、判断対象の画素の位置の断層画像内の高さ位置が高くなるに従って(例えば、高さ位置が高くなるに比例して)、第一画素領域を指定する操作で指定された領域内の複数の第一の画素にそれぞれ対応する値から取得される値から、第一の画素であるか否かを判断する際に利用する値の範囲の下限値を取得する際に乗算する値を小さくしてもよい。また、予め用意された判断対象の画素の高さ位置と対応付けられた値であって、高さ位置が高くなるに応じて連続的にまたは段階的に大きくなる値から、判断対象の画素の高さ位置に応じた値を取得し、この値を、取得部212が第一画素領域を指定する操作で指定された領域について上記のように取得した第一の画素であるか否かを判断する際に利用する値の範囲の下限値から減算することで、判断対象の画素の高さ位置に応じた下限値を取得しても良い。なお、ここでは、主として、判断対象の画素の高さ位置に応じて、下限値を変化させる例について説明したが、断対象の画素の高さ位置に応じて、第一の画素で有るか否かを判断する値の上限値も変化させるようにしてもよい。なお、このように高さによって変化する第一の画素であるか否かを判断する際に利用する値の範囲は、例えば、取得部212が取得するようにすればよい。
輪郭抽出部203は、特定操作を受け付けた断層画像について取得した、基準輪郭と、拡張領域から検出した輪郭とを有する輪郭に対して、一回以上のモルフォロジー変換を行うようにしてもよい。また、輪郭抽出部203は、特定操作を受け付けた断層画像以外の断層画像について上記のように取得した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭に対応する輪郭に対して、一回以上のモルフォロジー変換を行うようにしてもよい。そして、モルフォロジー変換後の輪郭を抽出してもよい。
モルフォロジー変換とは、画像内の領域を膨張させたり、収縮させたりする処理の一つである。例えば、輪郭抽出部203は、上記の輪郭で示される領域に対して、領域を膨張させるモルフォロジー変換および収縮させるモルフォロジー変換の少なくとも一方を1回以上行う。例えば、輪郭抽出部203は、上記の輪郭で示される領域について、1または2回以上、領域を膨張させる処理を行った後、1または2回以上領域を収縮させる処理を行う。1回以上の領域を膨張させるモルフォロジー変換と、1回以上の収縮させるモルフォロジー変換とを適宜組み合わせて行うことで、例えば、上記の輪郭で囲まれた領域内のノイズ(例えば、第一の画素以外の画素の領域)や、上記の輪郭で囲まれた領域外のノイズを除去したり、連続していない領域である基準輪郭内の領域と拡張領域から検出された1以上の輪郭内の領域とを、連続した領域となるよう連結したりすることができる。
輪郭抽出部203は、輪郭が抽出された一の断層画像について、領域を膨張させるモルフォロジー変換と、領域を収縮させるモルフォロジー変換とを行なう場合、領域を膨張させるモルフォロジー変換を行なう回数に対して、領域を収縮させるモルフォロジー変換を行なう回数を、同じ回数か、1回少なくすることが好ましい。例えば、領域を膨張させるモルフォロジー変換を、3回以上繰返し行なったあと、この回数と同数、またはこの回数よりも1回少ない回数の領域を収縮させるモルフォロジー変換を繰返し行なうことが好ましい。輪郭抽出する際に利用する第一の画素に対応する値の範囲の下限値として、第一画素領域から取得した複数の第一の画素の値の代表値に対して、予め決められた値を乗算した値を用いる場合において、この乗算する予め決められた値として、1.3より大きい値、例えば、1.4等を用いる場合、領域を収縮させるモルフォロジー変換を行なう回数を、膨張させるモルフォロジー変換の回数に対して1回少なくすることが好ましい。
本実施の形態においては、輪郭抽出部203が、上記の輪郭で示される領域について、3回以上、領域を膨張させるモルフォロジー変換を行った後、この回数よりも1回少ない回数の領域を収縮させるモルフォロジー変換を行う場合を例に挙げて説明する。
なお、輪郭抽出部203は、上記のように断層画像から抽出した輪郭から、除外指定受付部214が受け付けた除外指定操作により指定された除外領域の輪郭を除外して得られた輪郭について、上記のようなモルフォロジー変換を行うことが好ましいが、上記のようにして抽出した第一の画素に関連する輪郭から、上記のようなモルフォロジー変換を行なった後、除外指定操作により指定された除外領域の輪郭を除外するようにしてもよい。
立体取得部215は、輪郭抽出部203が、複数の断層画像において上記のようにそれぞれ抽出した互いに対応する輪郭(例えば、同じ対象について抽出した輪郭)を用いて、立体形状に関する情報を取得する。立体形状は、例えば、複数の断層画像において抽出された互いに対応する複数の輪郭で示される対象の立体形状である。対象は、血腫であってもよく、臓器であってもよく、脂肪や、骨等であってもよい。この立体形状に関する情報は、輪郭を用いて取得されることから、輪郭に関する情報と考えてもよい。立体形状に関する情報は、例えば、立体形状の3次元形状データや、立体形状の体積である。例えば、立体取得部215は、輪郭抽出部203が、複数の断層画像においてそれぞれ抽出した複数の輪郭の情報と、各輪郭が抽出された断層画像間の距離等を示す情報等を用いて、第一の画素に対応する第一の組織で構成される立体形状の3次元形状データや、この立体形状の体積等の情報を取得する。例えば、各輪郭が、血液に対応する第一の画素で構成される血腫領域の輪郭である場合、取得される立体形状は、輪郭が示す対象である血腫の立体形状であり、取得される体積は、血腫の体積である。複数の輪郭の情報として、等間隔で撮影された複数の断層画像においてそれぞれ抽出された輪郭の情報を用いる場合、断層画像間の距離として、断層画像が撮影された位置間の距離を利用してもよい。なお、複数の断層画像においてそれぞれ検出された一の対象についての複数の輪郭を用いて、一の対象の立体形状の3次元形状データや、体積等を取得する処理については、公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、輪郭抽出部203が、複数の断層画像において、複数の断層画像において第一の画素で構成される領域の輪郭を抽出しない場合や、立体形状に関する情報を取得しない場合、立体取得部215は省略してもよい。
出力部204は、輪郭抽出部203が抽出した輪郭に関する出力を行う。輪郭に関する出力は、例えば、輪郭抽出部203が抽出した輪郭の情報の出力や、輪郭を示す出力であってもよく、抽出した輪郭を用いて、輪郭抽出部203等が取得した情報等の出力であってもよい。輪郭抽出部203が抽出した輪郭は、例えば、基準輪郭と、拡張領域において検出した輪郭とを有する輪郭であってもよく、この輪郭について上述したモルフォロジー変換を行って取得した輪郭であってもよい。
出力部204が行う輪郭に関する出力は、例えば、上記実施の形態1の出力部104と同様の輪郭に関する出力である。例えば、出力部204は、上述した表示部213と同様に、抽出された輪郭を、他の領域に対して識別可能な態様で示す断層画像を出力してもよい。また、出力部204は、抽出された輪郭を、他の領域に対して識別可能な態様で示す断層画像と、抽出された輪郭を示さない同じ断層画像とを、並べて出力してもよく、切り替えて出力できるようにしてもよい。また、輪郭抽出部203が、複数の断層画像についてそれぞれ輪郭を抽出した場合、抽出された輪郭を他の領域に対して識別可能な態様で示す複数の断層画像を並べて出力してもよく、これらの複数の断層画像を切り替えて出力できるようにしてもよい。
また、出力部204は、輪郭抽出部203が複数の断層画像について抽出した輪郭を用いて、立体取得部215が取得した第一の組織で構成される立体形状に関する情報(例えば、立体形状の3次元形状データや、立体形状の体積等)を、輪郭抽出部203が抽出した輪郭に関する出力として出力しても良い。
出力部204としては、出力部104と同様のものが利用可能であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
なお、上記実施の形態1において、本実施の形態と同様の立体取得部215をさらに設けるようにし、出力部104が立体取得部215によって取得された立体形状に関する情報を、輪郭に関する情報として出力するようにしても良い。
次に、図12に示したフローチャートを用いて、本実施の形態の画像処理装置の動作の一例について説明する。ここでは、画像格納部101に、一の生体を、同一直線上に配列された複数の位置において、この配列方向に対して垂直に撮影した複数の断層画像が格納されている場合を例に挙げて説明する。この複数の断層画像は、例えば、CT画像であるとする。また、ここで検出する第一の画素は、例えば、血管外の血液に対応する画素であり、検出される輪郭は血腫の輪郭であるとする。なお、複数の断層画像内における各断層画像が撮影された位置の配列順番を、以下、各断層画像の配列順番等の順番と考える。
(ステップS201)表示部213は、画像格納部101に格納されているN(Nは1以上の整数)番目の断層画像を表示する操作を、図示しない受付部等を介して受け付けたか否かを判断する。N番目の断層画像は、例えば、ユーザが指定する任意の断層画像である。受け付けた場合、ステップS202に進み、受け付けていない場合、ステップS201に戻る。なお、例えば、画像格納部101に一の生体について撮影された一の断層画像だけが格納されている場合、このステップにおいては、この断層画像を表示する指示を受け付けたか否かを判断すればよい。
(ステップS202)表示部213は、ステップS201で受け付けた指示が示す断層画像をモニタ(図示せず)等に表示する。
(ステップS203)領域指定受付部211は、ステップS202で表示した断層画像について、第一画素領域を指定する操作を受け付けたか否かを判断する。ここでの第一画素領域を指定する操作は、例えば、血管内の血液に対応する複数の画素を有する領域の指定である。ここでの第一画素領域を指定する操作は、例えば、大血管等の血管内の領域の輪郭を指定する操作である。受け付けた場合、ステップS204に進み、受け付けていない場合、ステップS203に戻る。
(ステップS204)取得部212は、ステップS203で受け付けた領域に含まれる複数の画素について、対応する値の代表値を取得する。例えば、取得部212は、複数の画素に対応するCT値等の値の平均値を算出する。
(ステップS205)取得部212は、ステップS204において取得した代表値を用いて、第一の画素に対応する値の範囲を取得する。ここでの第一の画素に対応する値の範囲は、例えば、第一の画素を検出する際に用いられる第一の画素に対応する値(例えば、CT値)である。例えば、取得部212は、第一の画素に対応する値の範囲として、第一の範囲と、第二の範囲とを取得する。例えば、代表値が38HU以下である場合、第一の範囲の下限値を38HUにあらかじめ決められた値を乗算した値に設定する。また、38HU以下でない場合、この代表値に予め決められた値を乗算した値を第一の範囲の下限値に設定する。あらかじめ決められた値は、例えば、1.2~1.6の値、好ましくは1.4である。第二の範囲の下限値としては、例えば、代表値が38HU以下である場合には38HUを、また、代表値が38HU以下でない場合には代表値を用いる。また、第一の範囲および第二の範囲の上限値としては予め決められた値(例えば、100HU等)を用いる。なお、ここでは、第一の範囲と、第二の範囲との上限値を同じ値としたが、異なる値としてもよい。
(ステップS206)表示部213は、ステップS205において取得した値の範囲を用いて、N番目の断層画像において、第一の画素を検出し、検出した第一の画素を、他の画素に対して識別可能な態様で表示する。ここでは、第一の範囲を用いて第一の画素を検出する。表示部213は、例えば、N番目の断層画像において、画素に対応する値の範囲が、ステップS205において取得した値の範囲内の値である画素を検出し、検出した画素を識別可能な態様で示した断層画像を表示する。
(ステップS207)除外指定受付部211は、除外指定操作を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS208に進み、受け付けていない場合、ステップS209に進む。なお、ここでの除外指定操作の受付は複数の断層画像についての除外指定操作の受付であってもよい。この場合、例えば、現在表示している断層画像以外の断層画像について、上記のステップS201およびステップS202と同様の断層画像を表示する操作をさらに受け付け、表示された断層画像に対しても除外指定操作を受け付けるようにすればよい。
(ステップS208)除外指定受付部214は、ステップS207で受け付けた除外指定操作が示す除外領域の輪郭の情報を図示しない格納部に蓄積する。そして、ステップS209に進む。
(ステップS209)操作受付部202は、基準画素を指定する操作を受け付けたか否かを判断する。ここでの基準画素を指定する操作は、ステップS206において表示した断層画像において、基準画素に指定する第一の画素の一つをマウスクリックやタップ等によって指定する操作である。第一の画素は、ステップS206において他の画素に対して識別可能な態様で表示されている画素である。受け付けた場合、ステップS210に進み、受け付けていない場合、ステップS207に戻る。
(ステップS210)輪郭抽出部203は、ステップS209で受け付けた操作によって指定された基準画素に連続する第一の画素を検出して、連続した第一の画素で構成される領域の輪郭を抽出する。ここで抽出される輪郭は、上述した基準輪郭である。ここでは、第一の範囲を用いて第一の画素を検出する。
(ステップS211)輪郭抽出部203は、ステップ210で検出した基準輪郭の周囲に拡張領域を設定する。この拡張領域は、例えば、上方向への拡張量が、下方向への拡張量よりも大きく、横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って小さくなる拡張領域である。
(ステップS212)輪郭抽出部203は、ステップS211で設定した拡張領域において、第一の画素を検出して、第一の画素で構成される領域の輪郭を抽出する。ここでは、第二の範囲を用いて第一の画素を検出する。
(ステップS213)輪郭抽出部203は、ステップS210およびステップS212で抽出した輪郭に対応する輪郭を、複数の断層画像について抽出する処理を行う。この処理の詳細については後述する。
(ステップS214)輪郭抽出部203は、ステップS213において各断層画像についてそれぞれ抽出した輪郭から、ステップS208で蓄積した除外指定操作が示す輪郭を除外する。例えば、除外指定操作が行なわれた断層画像については、この操作で指定された除外領域を輪郭から除外する。また、除外指定操作が行なわれていない断層画像については、他の複数の断層画像に対して行なわれた除外指定操作により指定された複数の除外領域を補間した除外領域の輪郭を、上記の輪郭から除外する。なお、ステップS207において除外指定を受け付けていない場合、そのまま、ステップS215に進む。
(ステップS215)輪郭抽出部203は、ステップS214で取得した輪郭について、モルフォロジー処理を行う。例えば、各断層画像で複数回の領域の膨張させるモルフォロジー処理を連続して行ない、その後、この回数よりも一回少ない回数の領域を収縮させるモルフォロジー処理を連続して行う。そして、この処理により得られた輪郭の情報を、図示しない格納部等に蓄積する。例えば、輪廓の情報を、断層画像や、断層画像の配列順番等と対応付けて蓄積する。
(ステップS216)立体取得部215は、ステップS215で複数の断層画像についてそれぞれ取得した輪郭を用いて立体形状に関する情報を取得する。
(ステップS217)出力部204は、ステップS215およびステップS216で取得した輪郭に関する情報を出力する。ここでの輪郭に関する情報は、ステップS216において取得した立体形状に関する情報であってもよい。なお、出力部204は、図示しない受付部等が受け付けた指示に応じた輪郭に関する情報を出力してもよく、受け付けた指示に応じて、出力する輪郭に関する情報を適宜変更してもよい。
(ステップS218)出力部204は、輪郭に関する情報の出力を終了するか否かを判断する。例えば、図示しない受付部等が出力を終了する指示を受け付けた場合に、輪郭に関する出力を終了すると判断する。輪郭に関する情報の出力を終了する場合、出力を終了して、ステップS201に戻り、終了しない場合、ステップS218に戻る。
なお、図12のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
次に、画像処理装置2が、基準画素が特定された断層画像において抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭に対応する輪郭を、複数の断層画像について抽出する処理について説明する。この処理は、図12のステップS213の処理に相当する処理である。ここでは、基準画素が特定された断層画像が3以上の断層画像のうちの撮影位置がN番目の断層画像である場合を例に挙げて説明する。
(ステップS301)輪郭抽出部203は、撮影位置がN-1番目の断層画像が、画像格納部101に格納されているか否かを判断する。格納されている場合、ステップ302に進み、格納されていない場合、ステップS304に進む。
(ステップS302)輪郭抽出部203は、撮影位置がN-1番目の断層画像を読み出し、この断層画像について、N番目の断層画像について抽出した輪郭を用いて、第一の画素に関連する輪郭を抽出する。具体的には、N-1番目の断層画像内の、N番目の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一画素で構成される領域の輪郭と、この輪郭に設定される拡張領域内の第一の画素で構成される領域の輪郭とを抽出する。ここでは、図12のステップS211と同様に、前者の輪郭の周囲に、上方向への拡張量が、下方向への拡張量よりも大きく、横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って小さくなる拡張領域を設定し、この拡張領域において、1または連続した2以上の第一の画素で構成される1または2以上の領域の輪郭を抽出する。このステップにおいて、拡張領域からの第一の画素の検出には、例えば、ステップS205で取得した第二の範囲を利用し、それ以外の第一の画素の検出には、例えば、ステップS205で取得した第一の範囲を利用する。かかることは、ステップS303以降のステップにおける第一の画素の検出においても同様である。
(ステップS303)輪郭抽出部203は、撮影位置がN番目の断層画像について、ステップS302で抽出したN-1番目の断層画像について抽出した輪郭を用いて、第一の画素に関連する輪郭を抽出する。具体的には、N番目の断層画像内の、N-1番目の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一画素で構成される領域の輪郭と、この輪郭に設定される拡張領域内の第一の画素で構成される領域の輪郭とを抽出する。ここでは、図12のステップS211と同様に、前者の輪郭の周囲に、上方向への拡張量が、下方向への拡張量よりも大きく、横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って小さくなる拡張領域を設定し、この拡張領域において、1または連続した2以上の第一の画素で構成される1または2以上の領域の輪郭を抽出する。
(ステップS304)輪郭抽出部203は、撮影位置がN+1番目の断層画像が、画像格納部101に格納されているか否かを判断する。格納されている場合、ステップ305に進み、格納されていない場合、ステップS307に進む。
(ステップS305)輪郭抽出部203は、撮影位置がN+1番目の断層画像を読み出し、この断層画像について、N番目の断層画像について抽出した輪郭を用いて、第一の画素に関連する輪郭を抽出する。この処理は、ステップS302の処理において、N-1番目の断層画像を、N+1番目の断層画像に読み替えた処理と同様の処理である。
(ステップS306)輪郭抽出部203は、撮影位置がN番目の断層画像について、ステップS305で抽出したN+1番目の断層画像について抽出した輪郭を用いて、第一の画素に関連する輪郭を抽出する。この処理は、ステップS303の処理において、N-1番目の断層画像を、N+1番目の断層画像に読み替えた処理と同様の処理である。
(ステップS307)輪郭抽出部203は、ステップS303でN番目の断層画像について抽出した輪郭と、ステップS306でN番目の断層画像について抽出した輪郭とをマージ、すなわち結合する。例えば、一部が重なりあう2以上の領域について、連続した領域に結合して、その輪郭を抽出する。この輪郭は、新たに抽出されたN番目の断層画像の基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭である。抽出した輪郭の情報は、N番目の断層画像と対応付けて、図示しない格納部等に蓄積する。なお、ステップS303またはステップS306のいずれかでしか輪郭を抽出していない場合、上記のマージの処理は省略し、取得した輪郭の情報を、N番目の断層画像と対応付けて、図示しない格納部に蓄積する。
(ステップS308)輪郭抽出部203は、カウンターmの値に1を代入する。
(ステップS309)輪郭抽出部203は、画像格納部101にN+m番目の断層画像が格納されているか否かを判断する。格納されている場合、ステップS310に進み、格納されていない場合、ステップS313に進む。
(ステップS310)輪郭抽出部203は、N+m番目の断層画像を読み出し、読み出した断層画像について、N+m-1番目の断層画像において取得した輪郭を利用して、この輪郭に対応する第一の画素の輪郭を抽出する処理を行なう。具体的には、N+m番目の断層画像内の、N+m-1番目の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一画素で構成される領域の輪郭を抽出する。また、抽出した輪郭の周囲に、図12のステップS211と同様の、上方向への拡張量が、下方向への拡張量よりも大きく、横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って小さくなる拡張領域を設定し、拡張領域において、1または連続した2以上の第一の画素で構成される1または2以上の領域の輪郭を抽出する。抽出した輪郭の情報は、N+m番目の断層画像と対応付けて図示しない格納部等に蓄積する。そして、ステップS311に進む。輪郭が抽出できなかった場合も、そのままステップS311に進む。なお、N番目の断層画像の輪郭を用いる際には、例えば、ステップS307で蓄積したN番目の断層画像の輪郭を用いる。かかることは、ステップS315においても同様である。
(ステップS311)輪郭抽出部203は、ステップS278において、輪郭が抽出できたか判断する。できた場合、ステップS312に進み、できなかった場合、ステップS313に進む。
(ステップS312)輪郭抽出部203は、カウンターmの値を1インクリメントする。そして、ステップS309に戻る。
(ステップS313)輪郭抽出部203は、カウンターmの値に1を代入する。
(ステップS314)輪郭抽出部203は、画像格納部101にN-m番目の断層画像が格納されているか否かを判断する。格納されている場合、ステップS315に進み、格納されていない場合、上位の処理に戻る。
(ステップS315)輪郭抽出部203は、N-m番目の断層画像を読み出し、読み出した断層画像について、N-m+1番目の断層画像において取得した輪郭を利用して、この輪郭に対応する第一の画素の輪郭を抽出する処理を行なう。この処理は、ステップS310の処理において、N+m番目の断層画像をN-m番目の断層画像と読み替え、N+m-1番目の断層画像をN-m+1番目の断層画像と読み替えた処理と同様の処理である。そして、ステップS316に進む。輪郭が抽出できなかった場合も、そのままステップS316に進む。
(ステップS316)輪郭抽出部203は、ステップS315において輪郭が抽出できたか判断する。できた場合、ステップS317に進み、できなかった場合、上位の処理に戻る。
(ステップS317)輪郭抽出部203は、カウンターmの値を1インクリメントする。そして、ステップS314に戻る。
なお、図13のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
次に、本実施の形態の画像処理装置2の動作の具体例について説明する。ここでは、断層画像が、人体の胴体において撮影された、身長方向に垂直なX線CT断面画像であり、第一の画素が、第一の組織である漏出した血液に対応する画素である場合について説明する。また、画像格納部101には同じ被験者の身長方向の異なる位置において等間隔で撮影された複数の断層画像が格納されているものとする。
図14は、画像処理装置2の動作を説明するための断層画像であり、図3と同様の、大動脈瘤破裂症例の被験者の腹腔部の断層画像であり、被験者側の足側から見た図を示している。図14(a)~図14(d)は、いずれも同じ断層画像を示している。ただし、図示している断層画像の部分や拡大率等は異なっている。
まず、ユーザが、画像格納部101に格納されている一の断層画像を表示する操作を図示しない受付部等に対して行なうと、この操作に応じて、表示部213が、この断層画像を画像格納部101から読み出して、モニタに表示する。表示部213が表示する断層画像は、図14(a)に示したような断層画像であるとする。
ユーザが図14(a)に示した断層画像において、大動脈を目視で判断し、図示しないマウス等を操作してカーソルを移動させ、この大動脈内の任意の円形の領域を円1301で囲む第一画素領域を指定する操作を行なったとすると、領域指定受付部211は、この操作を受け付ける。この円1301は、大動脈内に指定されていることから、この円1301内の画素は、血管内の血液の画素である。
取得部212は、第一画素領域を指定する操作で指定された円1301内の領域から、三つの画素をランダムに選択し、それぞれの画素に対応する値であるCT値を取得して、その平均値を算出する。なお、ここでは三つの画素を選択したが、画素の数は、三つに限定されるものではない。
取得部212は、取得した平均値が38HU以下であるか否かを判断し、38HU以下であれば、下限値が38HUに1.4を乗算した値であり、上限値が予め決められた100HUである値の範囲を、漏出した血液に対応したCT値の第一の範囲を示す値として取得する。また38HU以下でない場合、代表値に1.4を乗算した値が下限値であり、上限値が、予め決められた100HUである値の範囲を、漏出した血液に対応したCT値の第一の範囲を示す値として取得する。また、取得した平均値が38HU以下である場合、下限値が38HUであり、上限値が予め決められた100HUである値の範囲を、漏出した血液に対応したCT値の第二の範囲を示す値として取得する。また38HU以下でない場合、代表値が下限値であり、上限値が、予め決められた100HUである値の範囲を、漏出した血液に対応したCT値の第二の範囲を示す値として取得する。ここでは、例えば、代表値が、38HUよりも大きく、取得部212は、漏出した血液に対応したCT値の第一の範囲を示す値として、代表値の1.4倍の値から、100HUまでの範囲の値を、また、第二の範囲を示す値として、代表値から100HUまでの範囲の値を、それぞれ取得したとする。
表示部213は、図14(a)に示した断層画像において、画素に対応する値であるCT値が、上記で取得部212が取得した第一の範囲に含まれる画素を第一の画素として検出し、検出した画素に対して、予め決められた色をオーバーレイすることで、第一の画素を識別可能な態様とした断層画像を構成してモニタ(図示せず)に表示する。図14(b)は、第一の画素がオーバーレイで示された断層画像の表示例を示す図である。図において、斜線で示された領域1302が、オーバーレイで示された第一の画素が配置されている領域である。
なお、ここでは、ユーザが、2つの断層画像において、除外領域を指定する除外指定操作を行なったとする。除外領域を示す情報は、それぞれ、断層画像の撮影位置を示す情報と対応付けて、図示しない格納部に格納される。
次に、ユーザが、図14(b)に示した断層画像において、オーバーレイで示された漏出した血液に対応する第一の画素の配置を目視により参照して、血腫と考えられる部分の一点1303を、マウスを操作してクリックしたとする。
操作受付部202は、この操作に応じてクリックされた一点1303に位置する画素を、基準画素として特定する特定操作を受け付ける。
輪郭抽出部203は、特定操作により特定された基準画素に連続する第一の画素を検出する。具体的には、基準画素に連続する画素であって、画素に対応する値が、上記で取得部212が取得した漏出した血液に対応したCT値の範囲である第一の範囲に収まる画素を検出する。そして検出した連続した画素の輪郭を抽出する。ここで抽出した輪郭は、上述した基準輪郭である。
さらに、輪郭抽出部203は、ここで抽出した基準輪郭の周囲に、上記において図10を用いて説明した処理と同様の処理を行なって拡張領域を設定する。なお、ここでは、拡張領域を設定する際に用いる上述したKの値を6mm、Lの値を3mm、Pの値を0、Qの値を5mmとする。また、拡張領域の横方向の幅が、上から下に向かって正比例して減少するようにして拡張領域を設定する。
そして、輪郭抽出部203は、このように設定した拡張領域内においても、上記で取得部212が取得した漏出した血液に対応したCT値の範囲である第二の範囲に収まる画素を検出して、基準輪郭に連続していない1以上の第一の画素で構成される1以上の領域の輪郭を抽出する。このようにして抽出された輪郭は、図14(c)に示すような輪郭1304となる。なお、ここでは、輪郭1304内を斜線で示している。
この後、輪郭抽出部203は、図14(a)に示した断層画像の1以上の前後の断層画像を用いて、これらの断層画像について、上記で検出された輪郭1305に対応する第一の画素に関連する輪郭を順次検出する。これらの前後の断層画像において検出される輪郭は、輪郭1305が示す血腫の、生体の身長方向において連続している部分の、異なる位置による断面と考えられる。1以上の前後の断層画像とは、例えば、図14(a)に示した断層画像よりも、頭側で撮影された断層画像や、足側で撮影された断層画像である。
図15は、図14(a)に示した断層画像の前後の撮影位置において撮影された断層画像を示す模式図であり、複数の断層画像を撮影順に並べて配列した斜視図である。ただし、図15は説明のために用意されたものであり、図14等に対して正確に対応した断層画像ではない。以下、図15を用いて、輪郭1305に対応する第一の画素に関連する輪郭を順次検出する処理について具体的に説明する。
輪郭抽出部203は、N番目の断層画像について抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を用いて、この輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN-1番目の断層画像内において抽出する。ここでは、N-1番目の断層画像内の、N番目の断層画像について抽出した輪郭1305と同じ輪郭内の全ての第一の画素にそれぞれ連続する第一の画素で構成される領域の輪郭と、この領域について設定した上記と同様の拡張領域から検出される第一の画素で構成される領域の輪郭とを、輪郭として抽出する。なお、N-1番目の断層画像内において検出される複数の領域のうちの重なり合う領域および隣り合う領域は、例えば、拡張領域を設定する前等に、適宜、一つの領域に結合して輪郭を抽出する。ここで抽出される輪郭は、輪郭1501であったとする。なお、このN-1番目の断層画像内の拡張領域において、第一の画素を検出する際に利用する第一の画素に対応するCT値の範囲としては、上記と同様の第二の範囲を利用し、これ以外の第一の画素の検出には、上記と同様の第一の範囲を利用する。かかることは、これ以降の断層画像において第一の画素を検出する処理等においても同様である。
次に、N-1番目の断層画像について上記で抽出した輪郭1501と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN番目の断層画像について取得する。ここでは、上記と同様に、N番目の断層画像内の、N-1番目の断層画像について抽出した輪郭1501と同じ輪郭内の全ての第一の画素にそれぞれ連続する第一の画素で構成される領域の輪郭と、この領域について設定した上記と同様の拡張領域から検出される第一の画素で構成される領域の輪郭とを抽出する。かかることは以下においても同様である。ここで抽出される輪郭は、輪郭1305および輪郭1502であったとする。
同様に、輪郭抽出部203は、N番目の断層画像について抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭1305を用いて、この輪郭1305と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN+1番目の断層画像内の画素から取得する。ここで抽出された輪郭は、輪郭1503であったとする。
次に、N+1番目の断層画像について上記で抽出した輪郭1503と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN番目の断層画像について取得する。ここで抽出される輪郭は、輪郭1305および輪郭1504であったとする。
そして、上記でN-1番目の断層画像を利用して抽出したN番目の断層画像の輪郭1305および輪郭1502と、N+1番目の断層画像を利用して抽出したN番目の断層画像の輪郭1305および輪郭1504とを結合した領域の輪郭を、新たに、N番目の断層画像の、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭として抽出する。
次に、輪郭抽出部203は、撮影位置がN番目より前である断層画像について、N-1番目の断層画像から順に、直後の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出する。
具体的には、輪郭抽出部203は、N番目の断層画像について上記で新たに抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭1305、輪郭1502、および輪郭1504を用いて、上記と同様に、これらの輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN-1番目の断層画像内から抽出する。ここでは、輪郭1501と輪郭1505とが抽出されたとする。
また、N-2番目の断層画像については、N-1番目の断層画像について抽出した輪郭1501および輪郭1505を用いて、この輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN-2番目の断層画像内から取得する。ここでは、輪郭1506および輪郭1507が抽出されたとする。
N-3番目およびこれよりも前の断層画像についても、同様にして、直後の断層画像について抽出した輪郭(例えば、輪郭1501および輪郭1505)を用いて、この輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出する。この処理は、例えば、第一の画素に関連する輪郭が抽出されなくなるか、抽出対象の断層画像が無くなるまで行なわれる。ただし、どのような場合に輪郭抽出を終了するかは問わない。例えば、予め決められた数の断層画像について輪郭を抽出した時点で、それよりも前の断層画像についての輪郭抽出を終了してもよい。
次に、輪郭抽出部203は、撮影位置がN番目より後である断層画像について、N+1番目の断層画像から順に、直前の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出する。
具体的には、輪郭抽出部203は、N番目の断層画像について上記で抽出した輪郭1305、輪郭1502、および輪郭1504を用いて、これらの輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN+1番目の断層画像内において抽出する。ここでは、輪郭1503および輪郭1508が抽出されたとする。
また、N+2番目の断層画像については、N+1番目の断層画像について抽出した輪郭1503および輪郭1508を用いて、この輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭をN+2番目の断層画像内において抽出する。ここでは、輪郭1509および輪郭1510が抽出されたとする。
N+3番目およびこれより後の断層画像についても、同様にして、直前の断層画像について抽出した輪郭(例えば、輪郭1509および輪郭1510)を用いて、この輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出する。この処理は、例えば、第一の画素に関連する輪郭が抽出されなくなるか、抽出対象の断層画像が無くなるまで行なわれる。ただし、どのような場合に輪郭抽出を終了するかは問わない。例えば、予め決められた数の断層画像について輪郭を抽出した時点で、それよりも後の断層画像についての輪郭抽出を終了してもよい。
また、ここで、図15のN番目の断層画像に、除外指定操作により、三角形の除外領域1511を指定するための三つの頂点の情報が除外領域を示す情報として対応付けられており、同様に、N+2番目の断層画像にも除外指定操作により、三角形の除外領域1512を指定するための三つの頂点の情報が、除外領域を示す情報として対応付けられていたとする。
輪郭抽出部203は、N番目の断層画像について抽出された輪郭については、除外領域1511の輪郭と重なる部分があれば、重なる部分を除外した輪郭を取得する。同様に、N+1番目の断層画像について抽出された輪郭については、除外領域1512の輪郭と重なる部分があれば、重なる部分を除外した輪郭を取得する。
また、例えば、N+1番目の断層画像については、除外領域1511と除外領域1512とを補間した除外領域1513を生成し、抽出された輪郭と、生成した除外領域とに重なる部分があれば、重なる部分を除外した輪郭を取得する。
また、例えば、N-1番目の断層画像については、除外領域1511と除外領域1512とを補間した除外領域1514を生成し、抽出された輪郭と、生成した除外領域とに重なる部分があれば、重なる部分を除外した輪郭を取得する。かかる除外領域を除外する処理は、他の輪郭が抽出された断層画像においても同様に行なわれる。
さらに、輪郭抽出部203は、上記で各断層画像において抽出された輪郭について、モルフォロジー変換を行なう。ここでは、一例として、各断層画像において、輪郭を膨張させるモルフォロジー変換を、5回続けて行ない、その後に、輪郭を収縮させるモルフォロジー変換を4回行なう。そして、輪郭抽出部203は、モルフォロジー変換によって得られた輪郭を、各断層画像についての輪郭として抽出する。例えば、N番目の断層画像において、図14(c)に示したような輪郭1305が抽出されていたとすると、上記のようなモルフォロジー変換を行なうことで、図14(d)に示すような輪郭1305に変換される。なお、ここでは、輪郭1305内を斜線で示している。例えば、図14(c)と図14(d)とを比較すると、図14(c)において、輪郭1304の内側に存在していた第一の画素と判断されなかった画素で構成される領域が、図14(d)においては、第一の画素の領域となっている。
立体取得部215は、上記のようにして複数の断層画像においてそれぞれ抽出された輪郭を用いて、血腫の立体形状の3次元形状データを取得する。そして、この3次元形状データを用いて、立体形状の体積、すなわち血腫領域の体積を算出する。
図16は、出力部204による輪郭に関する出力例(ここでは、表示例)を示す図である。
出力部204は、輪郭抽出部203が抽出した輪郭に関する出力を行う。例えば、出力部204は、図14(d)に示したような、上述した特定操作を受け付けた断層画像の、輪郭抽出部203が抽出された輪郭1305内の領域に対して、予め決められた色をオーバーレイした断層画像2042をモニタ2041に表示する。また、特定操作を受け付けた断層画像の前後の撮影位置で撮影された断層画像の、輪郭抽出部203が抽出された輪郭内の領域に対して、予め決められた色をオーバーレイした断層画像を、出力部204が有するモニタ2041に表示してもよい。また、オーバーレイを行わない断層画像を並べて同時に表示してもよく、オーバーレイを行わない断層画像をオーバーレイした画像と切り替えて表示するようにしても良い。
また、出力部204は、特定操作を受け付けた断層画像と、その前後の断層画像について取得した特定操作に対応する複数の輪郭を用いて、この輪郭に対応する血腫の立体形状の3次元形状データを取得し、この3次元形状データを用いてレンダリング等を行なって取得した輪郭に対応する血腫の立体形状の画像(ここでは、立体形状のワイヤフレーム画像)2043をモニタに表示する。
また、出力部204は、輪郭に対応する血腫の立体形状の3次元データを用いて、この立体形状の体積を算出し、算出した体積を、血腫の体積2044としてモニタ2041に表示する。
なお、図16に示した断層画像上にオーバーレイで示した血腫の領域や、血腫の立体形状や体積等は、説明のための模式的なものであり、必ずしも、上記のような処理を実際に行なって取得したものではない。
なお、出力部204は、図示しない受付部がユーザから受け付けた操作に応じて、上記のような表示等の出力を行なっても良く、出力する断層画像等を変更してもよい。
以上、本実施の形態によれば、第一画素領域を指定する操作で指定された領域に含まれる1または複数の第一の画素に対応する値の代表値を用いて取得した第一の画素に対応する値の範囲を用いて、第一の画素の輪郭を抽出することにより、基準画素に対応する第一の画素に関する輪郭を精度よく抽出することができる。
また、本実施の形態によれば、基準画素に連続する第一の画素で構成される領域の輪郭と、この輪郭の周囲に設定される拡張領域であって、上方向への拡張量が、下方向への拡張量よりも大きく、横方向の拡張量が、上方向から下方向に向かうに従って小さくなる拡張領域において検出した第一の画素で構成される領域の輪郭とを、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭として抽出するようにしたことにより、密度が異なる血液の体内における分布を考慮して、精度よく断層画像から血液の画素を検出して、精度よく血腫領域等を抽出することができる。
また、拡張領域において第一の画素を検出する際に利用する第一の画素に対応する値の範囲である第二の範囲の下限値を、基準輪郭を検出する際に利用する第一の画素に対応する値の範囲である第一の範囲の下限値よりも小さい値としたことにより、基準輪郭の検出時に検出されなかった第一の画素を、拡張領域において検出することができ、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を精度よく抽出することができる。これにより、例えば、水腫化した部分等の、血腫の経時的に濃度が低下した部分も検出することができ、血腫を精度よく検出することができる。
なお、上記実施の形態2においては、断層画像が、X線CT画像である場合について説明したが、断層画像は、X線CT画像に限定されるものではない。断層画像は、例えば、CT値のように、画素に対応する値が、組織の密度等に応じて異なる値となる画像であれば、例えば、MRI、PET、SPECT等で取得された画像であってもよい。断層画像がX線CT画像以外の画像である場合、例えば、上記実施の形態のCT値に対応する説明は、適宜、断層画像を撮影する際に各画素に対応する位置について取得される磁場強度等の検出値や信号の値等についての説明に読み替えるようにすればよい。
また、上記実施の形態においては、第一の画素が、第一の組織である血液であり、断層画像がX線CT画像である場合を例に挙げて説明したが、本発明においては、第一の画素に対応する第一の組織が血液に限定されるものではない。また、本発明においては、抽出される輪郭が、血腫領域の輪郭に限定されるものではない。
特に、拡張領域を用いて輪郭を抽出する構成以外の構成については、X線CT画像やMRI画像等の断層画像の種類、第一の画素に対応する第一の組織、および抽出される輪郭が示す対象等は、上記に限定されるものではない。
なお、上記実施の形態において、操作受付部202は、上記実施の形態1と同様に、出力部204等が表示する第一の画像において、上記実施の形態1と同様の特定操作を受け付けても良い。
また、操作受付部202は、上記実施の形態1と同様に、出力部204等が表示する第一の画像において特定操作を受け付けても良い。
なお、上記実施の形態において、第一画素領域を指定する操作によって指定された第一画素領域を用いて取得した第一の画素に対応する値の範囲を用いて、断層画像の第一の画素を他の画素に対して異なる態様で表示しない場合、領域指定受付部211、取得部212、および表示部213は省略してもよい。
また、操作受付部202は、上記実施の形態1と同様の特定操作、例えば、第一の画素で構成される領域を指定することで基準画素を特定する操作等、を受け付けても良い。
また、上記実施の形態において説明した、取得部212が、領域指定受付部211が受け付けた第一画素領域を指定する操作に応じて代表値を取得して、第一の画素に対応する値の範囲を取得し、取得した第一の画素に対応する値の範囲を用いて、表示部が断層画像内の第一の画素を他の画素に対して識別可能な態様で表示する構成を、上記実施の形態1において利用するようにしてもよい。この場合、第一の画素に対応する第一の組織は、血液に限定されるものではない。
また、上記実施の形態においては、輪郭抽出部203は、基準画素が特定されたN番目の断層画像において抽出された輪郭を用いて、N-1番目の断層画像において、第一の画像に関連する輪郭を抽出し、この輪郭を用いて、N番目およびそれより後の撮影位置で撮影された断層画像において、第一の画素に関連する輪郭を抽出する場合について説明したが、輪郭抽出部203は、例えば、N番目の断層画像において抽出した輪郭を用いて、N-1番目よりも撮影位置が前となる断層画像まで順番に第一の画素に対応する輪郭を抽出し、この輪郭を用いて、この輪郭を抽出した断層画像より撮影位置が後の断層画像において、第一の画素に関連する輪郭を抽出するようにしてもよい。
例えば、画像格納部101に、同じ生体内の異なるM箇所(Mは3以上の整数)の位置において撮影された複数の断層画像が格納される場合において、輪郭抽出部203は、複数の断層画像のうちの基準画素が特定された断層画像である撮影位置がN番目の断層画像(Nは、2以上、M未満の整数)について抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を用いて、撮影位置がN番目より1以上前であるK番目(K<N、Kは整数)の断層画像まで、N-1番目の断層画像から順に、直後の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出した後、このK番目の断層画像よりも1以上後ろであるL番目(L>K、Lは整数)の断層画像まで、K+1番目の断層画像から順に、直前の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出して、K番目からL番目までの1以上の断層画像について、N番目の断層画像について抽出した輪郭に対応する輪郭を検出するようにしてもよい。なお、N番目の断層画像について抽出した輪郭に対応する輪郭とは、例えば、同じ血腫等の、同じ抽出対象について抽出した輪郭である。かかることは以下においても同様である。
また、上記実施の形態においては、輪郭抽出部203は、基準画素が特定されたN番目の断層画像において抽出した輪郭を用いて、N+1番目の断層画像において、第一の画像に関連する輪郭を抽出し、この輪郭を用いて、N番目およびそれより前の撮影位置で撮影された断層画像において、第一の画素に関連する輪郭を抽出する場合について説明したが、輪郭抽出部203は、例えば、N番目の断層画像において抽出した輪郭を用いて、N+1番目よりも撮影位置が後となる断層画像まで順番に第一の画素に対応する輪郭を抽出し、この輪郭を用いて、この輪郭を抽出した断層画像より撮影位置が前となる断層画像において、N番目の断層画像について抽出した輪郭に対応する輪郭を抽出するようにしてもよい。
例えば、画像格納部101に、同じ生体内の異なるM箇所(Mは3以上の整数)の位置において撮影された複数の断層画像が格納される場合において、輪郭抽出部203は、複数の断層画像のうちの基準画素が特定された断層画像である撮影位置がN番目の断層画像(Nは、2以上M未満の整数)について抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を用いて、撮影位置がN番目より1以上後であるP番目(P>N、Pは整数)の断層画像まで、N+1番目の断層画像から順に、直前の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出した後、このP番目の断層画像よりも1以上前であるQ番目(P>Q、Qは整数)の断層画像まで、P-1番目の断層画像から順に、直後の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出して、Q番目からP番目までの1以上の断層画像において、N番目の断層画像について抽出した輪郭に対応する輪郭を検出するようにしてもよい。
また、画像格納部101に、同じ生体内の異なるM箇所(Mは3以上の整数)の位置において撮影された複数の断層画像が格納される場合において、輪郭抽出部203は、複数の断層画像のうちの基準画素が特定された断層画像である撮影位置がN番目の断層画像(Nは、2以上M未満の整数)について抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を用いて、撮影位置がN番目より1以上前であるK番目(K<N、Kは整数)の断層画像まで、N-1番目の断層画像から順に、直後の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出した後、N番目の断層画像まで、K+1番目の断層画像から順に、直前の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出し、複数の断層画像のうちの基準画素が特定された断層画像である撮影位置がN番目の断層画像について抽出した基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を用いて、撮影位置がN番目より1以上後であるP番目(P>N、Pは整数)の断層画像まで、N+1番目の断層画像から順に、直前の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出した後、N番目の断層画像まで、P-1番目の断層画像から順に、直後の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出し、N番目の断層画像について取得した領域を結合した領域を、基準画素が特定されたN番目の断層画像の、当該基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭として抽出するようにしてもよい。
なお、画像格納部101に、同じ生体内の異なる位置において撮影した複数の断層画像が格納されている場合において、輪郭抽出部203は、上記で説明した処理以外の処理を行なうことにより複数の断層画像のうちの一の断層画像について抽出した輪郭を用いて、この輪郭に対応する輪郭を、同じ生体の異なる位置において撮影された異なる断層画像において抽出してもよい。
例えば、輪郭抽出部203は、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出した断層画像よりも撮影位置が前である1以上の断層画像について、この輪郭を抽出した断層画像よりも撮影位置が一つ前の断層画像から順に、その直後の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出していくもよい。また、輪郭抽出部203は、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出した断層画像よりも撮影位置が後ろである1以上の断層画像について、この輪郭を抽出した断層画像よりも撮影位置が一つ後ろの断層画像から順に、その直前の断層画像において抽出した輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出してもよい。
また、上記実施の形態においては、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭として、基準画素に連続する第一の画素の輪郭と、この輪郭の周囲に設定された拡張領域において取得された第一の画素の領域の輪郭を、輪郭抽出部203が抽出する場合について説明したが、輪郭抽出部203は、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭として、上記実施の形態1において説明したような、基準画素に連続する第一の画素と、第一の組織とは異なる第二の組織を示す第二の画素との境界を有する輪郭を抽出するようにしてもよい。この場合、第二の画素に対応する第二の組織として、例えば、骨や、脂肪等の血液以外の組織を用いることが考えられる。
また、輪郭抽出部203は、例えば、基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭として、基準画素に連続する第一の画素の輪郭を用いるようにしてもよい。また、同様に、輪郭抽出部203は、基準画素を有する断層画像以外の断層画像等から抽出する第一の画素に対応する輪郭の代わりに、第一の画素と第二の画素との境界を有する輪郭や、連続する第一の画素の輪郭を抽出するようにしてもよい。
例えば、上記のように、同じ生体の複数の異なる断層画像を用いて輪郭を抽出する場合において、一の断層画像について、直前または直後の断層画像において抽出された輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素の輪郭と、この輪郭の周囲の拡張領域内の第一の画素の輪郭とを取得する処理の代わりに、直前または直後の断層画像において抽出された輪郭と同じ輪郭内の第一の画素に連続する第一の画素の輪郭だけを用いるようにしてもよい。
なお、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記各実施の形態では、画像処理装置がスタンドアロンである場合について説明したが、画像処理装置は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、通信回線を介して入力を受け付けたり、画面を出力したりすることになる。
また、上記各実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、格納部(例えば、ハードディスクやメモリ等の記録媒体)にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。
なお、上記各実施の形態における画像処理装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、断層画像が格納される画像格納部にアクセス可能なコンピュータを、断層画像内に含まれる第一の組織を示す第一の画素のうちの、基準となる基準画素を特定する特定操作を受け付ける操作受付部と、特定操作により特定される基準画素に連続する第一の画素に関連する輪郭を抽出する輪郭抽出部と、輪郭抽出部が抽出した輪郭に関する出力を行う出力部として機能させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
図5は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による画像処理装置を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
図5において、コンピュータシステム900は、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
図6は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図6において、コンピュータ901は、CD-ROMドライブ905に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による画像処理装置等の機能を実行させるプログラムは、CD-ROM921に記憶されて、CD-ROMドライブ905に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD-ROM921、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による画像処理装置の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。