JP2008180256A - 作業車用変速機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のトラクタ等の作業車用の変速機構では、有段変速装置に二つのクラッチを設け、変速操作が行われている間に一方のクラッチの離間作動と他方のクラッチの接合作動とがオーバーラップする二重伝動状態を発生させ、連続的に走行変速を行う技術が知られているが、これによると変速によるショックを軽減できるものの、あくまで有段変速であるため、低車速域で行う作業走行時に適正車速に精度良くは設定できず、作業能率、伝達効率、及び燃費の向上を図ることができない、という問題があった。
【解決手段】有段変速装置5bに無段変速装置5aを並設し、該無段変速装置5aを用いて無段階で変速する無段変速モード、または前記有段変速装置5bのみを用いて所定の速度段に変速する有段変速モードのうちのいずれか一方の変速モードを選択可能とし、車速の増加に伴って前記無段変速モードから有段変速モードに切り替える構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンや電動モータ等の原動機から出力される動力を変速して車軸に伝達する有段変速装置を備えた作業車用変速機構に関する。
従来のトラクタ等の作業車に用いる変速機構においては、有段変速装置に二つのクラッチを設け、変速操作が行われている間に、一方のクラッチの離間作動と他方のクラッチの接合作動とがオーバーラップする二重伝動状態を発生させ、原動機から車軸への動力伝達を途切れさせることなく、連続的に走行変速を行う技術が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−314679号公報
一般に、低車速域で行う作業走行時には、作業内容やエンジン、電動モータ等の原動機の負荷状況によって適正な車速(以下、「適正車速」とする)は細かく変化するが、前記技術によって、変速によるショックは軽減できるものの、あくまで有段変速であるため、適正車速に精度良く設定することができず、作業能率、伝達効率、及び燃費の向上を図ることが難しい、という問題があった。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、原動機から出力される原動機動力を変速して車軸に伝達する有段変速装置を備えた作業車用変速機構において、前記有段変速装置に無段変速装置を並設し、該無段変速装置を用いて無段階で変速する無段変速モード、または前記有段変速装置のみを用いて所定の速度段に変速する有段変速モードのうちのいずれか一方の変速モードを選択可能とし、車速の増加に伴って前記無段変速モードから有段変速モードに切り替える変速制御構成としたものである。
請求項2においては、前記有段変速装置には、奇数段の変速駆動列への動力断接用の第一クラッチと、偶数段の変速駆動列への動力断接用の第二クラッチとを備え、奇数段と偶数段それぞれの変速駆動列が選択された状態で該第一クラッチ及び第二クラッチのうち、一方の離間作動と他方の接合作動とを時間的にオーバーラップさせるものである。
請求項3においては、前記変速制御構成には、変速モードにかかわらず、負荷に応じて車速を変化させる負荷制御モードを設けるものである。
請求項4においては、前記無段変速モードと有段変速モードの各速度域には、車速が同じオーバーラップ速度域を設けるものである。
請求項5においては、前記変速制御構成では、前記オーバーラップ速度域を無段変速モードの高速度域と有段変速モードの低速度域に設け、一定車速による走行状態を維持するクルーズ制御モードに設定すると、前記無段変速モードの高速度域から有段変速モードの低速度域に自動的に移行するものである。
請求項6においては、前記変速制御構成では、原動機の負荷変動が所定の設定値以上に増加すると、移行後の有段変速モードの低速度域から、移行前の無段変速モードの高速度域に自動的に復帰するものである。
請求項7においては、前記無段変速モードでは、前記有段変速装置を変速比最大の1速度段に設定し、該1速度段において、前記無段変速装置を用いて無段階で車速を変速するものである。
請求項8においては、前記無段変速装置には、油圧ポンプ/油圧モータとジェネレータ/電動モータのいずれかを備えるものである。
請求項9においては、前記無段変速装置として、金属ベルト式CVT、トロイダル式CVT等の機械式無段変速装置を配置するものである。
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1においては、原動機から出力される原動機動力を変速して車軸に伝達する有段変速装置を備えた作業車用変速機構において、前記有段変速装置に無段変速装置を並設し、該無段変速装置を用いて無段階で変速する無段変速モード、または前記有段変速装置のみを用いて所定の速度段に変速する有段変速モードのうちのいずれか一方の変速モードを選択可能とし、車速の増加に伴って前記無段変速モードから有段変速モードに切り替える変速制御構成としたので、低車速域から中車速域で作業を行う作業走行時には無段変速モードを選択し、細かく変速可能な油圧伝達等により、車速を作業内容や原動機の負荷状況に応じた適正車速に精度よく設定することができ、作業効率や伝達効率を大きく向上させ、更に、発進・変速・停止を極めて滑らかに行うことができ、良好な運転操作性や走行安定性を得ることができる。一方、中車速域から高車速域で作業場から格納庫までの移動等を行う高速走行時には、それほど細かな変速は不要なことから有段変速モードを選択し、伝達効率の高い機械伝達等により、所定の速度段で走行させることができ、高速走行時にも、作業走行時と同様、良好な伝達効率・燃費を得ることができる。また、全車速域を無段変速装置だけでカバーせずに済むため、無段変速装置の容量や個数を増やす必要がなく、無段変速装置だけによる変速機構の場合と比べ、変速機構のコンパクト化や、部品数減によるコスト削減・メンテナンス性向上を図ることができる。
請求項2においては、前記有段変速装置には、奇数段の変速駆動列への動力断接用の第一クラッチと、偶数段の変速駆動列への動力断接用の第二クラッチとを備え、奇数段と偶数段それぞれの変速駆動列が選択された状態で該第一クラッチ及び第二クラッチのうち、一方の離間作動と他方の接合作動とを時間的にオーバーラップさせるので、原動機から車軸への動力伝達を途切れさせることなく連続的に走行変速を行うことができ、通常の有段変速装置を使用する場合と比べ、更に良好な運転操作性や走行安定性を得ることができる。
請求項3においては、前記変速制御構成には、変速モードにかかわらず、負荷に応じて車速を変化させる負荷制御モードを設けるので、原動機が作業車の車輪や作業機系を通じて過負荷を受けた場合でも、この原動機の負荷状況に応じて車速を適正速度に即座に設定することができ、原動機の停止を防止すると共に、原動機の回転数を各種走行に適した回転数に維持することができ、高い走行安定性や作業効率を得ることができる。
請求項4においては、前記無段変速モードと有段変速モードの各速度域には、車速が同じオーバーラップ速度域を設けるので、前記オーバーラップ速度域内では、たとえ同一車速であっても、無段変速モードまたは有段変速モードのうちのいずれか一方を自由に選択することができ、作業内容や原動機の負荷状況に応じて適正な変速モードで走行させ、更なる作業能率や伝達効率・燃費の向上を図ることができる。
請求項5においては、前記変速制御構成では、前記オーバーラップ速度域を無段変速モードの高速度域と有段変速モードの低速度域に設け、一定車速による走行状態を維持するクルーズ制御モードに設定すると、前記無段変速モードの高速度域から有段変速モードの低速度域に自動的に移行するので、クルーズ走行の場合には、機械伝達等による有段変速モードで走行することができ、油圧伝達等による無段変速モードに比べ、伝達効率・燃費を大幅に向上させることができる。
請求項6においては、前記変速制御構成では、原動機の負荷変動が所定の設定値以上に増加すると、移行後の有段変速モードの低速度域から、移行前の無段変速モードの高速度域に自動的に復帰するので、原動機の負荷が大きく変動する場合、機械伝達等による有段変速モードでは、細かな変速ができないために却って伝達効率・燃費が悪化するが、油圧伝達等による無段変速モードでは、原動機の負荷状況に応じた適正車速に精度よく設定でき、良好な伝達効率・燃費を得ることができる。
請求項7においては、前記無段変速モードでは、前記有段変速装置を変速比最大の1速度段に設定し、該1速度段において、前記無段変速装置を用いて無段階で車速を変速するので、主に発進・停止に使用する1速度段を無段階で変速することができ、円滑な発進と正確な位置での停止を行うことができ、更に作業能率を向上させることができる。
請求項8においては、前記無段変速装置には、油圧ポンプ/油圧モータとジェネレータ/電動モータのいずれかを備えるので、良好な発進性能や耐久性を要する場合や、複雑で高速な変速制御を要する場合等、様々な条件に対応することができ、ユーザーニーズに応じた適正な変速制御が可能となる。
請求項9においては、前記無段変速装置として、金属ベルト式CVT、トロイダル式CVT等の機械式無段変速装置を配置するので、無段変速によって滑らかで静粛な変速が可能な上、機械伝達によって油圧式よりも優れた伝達効率を得ることができ、前記無段変速モードにおける燃費、運転操作性、及び走行安定性を更に向上させることができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施例1に係わる作業車の全体構成を示すスケルトン図、図2は実施例1の別形態の作業車の全体構成を示すスケルトン図、図3は実施例1の変速操作やクラッチ操作のためのブロック図、図4は実施例2に係わる作業車の全体構成を示すスケルトン図、図5は実施例2の別形態の作業車の変速機構を示すスケルトン図、図6は実施例2の変速操作やクラッチ操作のためのブロック図、図7は実施例2の各変速モードにおける車速変化を示す説明図、図8は実施例2でオーバーラップ速度域を設けた場合の変速切替スイッチを示すブロック図、図9は実施例2でオーバーラップ速度域を設けた場合の各変速モードにおける車速変化を示す説明図、図10は実施例3に係わる作業車の全体構成を示すスケルトン図、図11は実施例3の別形態の作業車のギア式有段変速装置を示すスケルトン図であって、図11(a)は変速用ギアの数を減らした場合のギア式有段変速装置を示すスケルトン図、図11(b)は筒状の有段変速出力軸を用いた場合のギア式有段変速装置を示すスケルトン図である。
本発明の実施例1に係わる作業車1の全体構成について、図1により説明する。
該作業車1は、四輪駆動型の農業用トラクタであって、エンジンや電動モータ等の原動機2と、該原動機2からの回転動力(以下、「原動機動力」とする)を変速する変速機構20を備えている。そして、前記原動機2の回転軸13は出力軸16に接続され、該出力軸16には回転ダンパ14を介して入力軸17が接続されており、この回転ダンパ14によって、これら入出力軸間の回転振動を減衰させると共に、トルク変動の大きな原動機2から滑らかな原動機動力を取り出せるようにしている。
前記入力軸17は、途中部に、後で詳述する油圧式無段変速装置5aの油圧回路内への作動油補給等を行うためのポンプ15を設けた後、そのまま延出され、その延出端には、油圧多板式で摩擦式のPTOクラッチ18が備えられ、該PTOクラッチ18を挟んで更に後方には、PTO変速装置9が配設されている。
該PTO変速装置9においては、前記PTOクラッチ18を介して、前記入力軸17と同一軸心上にPTO変速軸19が接続され、該PTO変速軸19上には、前から順に作業1速駆動ギア21、作業2速駆動ギア22、作業3速駆動ギア23が固設されている。前記PTO変速軸19には平行にPTO軸12が設けられ、該PTO軸12上に、前から順に作業1速従動ギア24、作業2速従動ギア25、作業3速従動ギア26が相対回転可能に環設され、これら作業1速従動ギア24、作業2速従動ギア25、作業3速従動ギア26は、それぞれ、前記作業1速駆動ギア21、作業2速駆動ギア22、作業3速駆動ギア23に常時噛合されている。これにより、ギア列21・24より成る作業1速ギア列、ギア列22・25より成る作業2速ギア列、ギア列23・26より成る作業3速ギア列といった複数のPTO変速駆動列が形成されている。
更に、前記PTO軸12上には、前記作業1速従動ギア24と作業2速従動ギア25との間にスプラインハブ27が、前記作業2速従動ギア25と作業3速従動ギア26との間にスプラインハブ28が、それぞれ相対回転不能に係合され、このうちのスプラインハブ27にはシフタ27aが、スプラインハブ28にはシフタ28aが、それぞれ軸心方向摺動自在かつ相対回転不能に係合されている。そして、1速と2速の作業従動ギア24・25でスプラインハブ27側に向かう部分と、3速の作業従動ギア26でスプラインハブ28側に向かう部分には、それぞれクラッチ歯部が形成されている。
これにより、前記シフタ27a・28aをいずれかのクラッチ歯部に係合させることで、その該当する作業従動ギアをPTO軸12に相対回転不能に係合させることができ、原動機動力が、出力軸16、回転ダンパ14、入力軸17、PTOクラッチ18、PTO変速装置9等を介して断接可能に変速されて、PTO軸12に伝達されるようにしている。
また、前記入力軸17は、前後進切替装置3、主変速装置5、副変速装置6から成る変速機構20を介して、副変速出力軸29に接続されており、原動機動力が、その回転方向と速度が切り替えられた後、変速動力として副変速出力軸29に伝達される。該副変速出力軸29は、その後端にベベルギア30を形成し、該ベベルギア30と噛合するブルギア31と一体のデフケージ32内には、デフヨーク軸33・33に連結したサイドギア34と該両サイドギア34に噛合するベベルピニオン35とによって構成されるベベルギアクラッチ機構36を介して、左右両デフヨーク軸33・33が嵌入されており、これらよってデフギア装置7が形成されている。
更に、このデフヨーク軸33・33の外端には、それぞれ多板式のブレーキ装置37が形成されると共に、該ブレーキ装置37と前記デフギア装置7との間のデフヨーク軸33・33上には、それぞれ小径の減速ギア38が固設され、該減速ギア38は、後輪11を固定する後車軸40上の大径のギア39と噛合されて減速ギア列38・39が形成されている。これにより、前記副変速出力軸29からベベルギア30を介してブルギア31に入力された回転を、差動回転として後車軸40から左右の後輪11に制動可能に伝達するようにしている。
なお、デフギア装置7には、差動回転をロックするためのデフロック機構41が設けられており、該デフロック機構41においては、前記デフケージ32のボス部にスプライン嵌合されたデフロックスライダ42の摺動操作によって、該デフロックスライダ42の図示せぬデフロックピンを前記サイドギア34のピン孔に係合させてデフロックし、直進性やぬかるみでの走行性を向上させるようにしている。
一方、前記副変速出力軸29の前端は、駆動切替クラッチ43を介して前輪出力軸44に連結され、該前輪出力軸44は、ドライブシャフト45や自在継手等を介してフロントアクスル装置47の入力軸46と連動連結される。前記駆動切替クラッチ43は、車両座席に設けた図示せぬ駆動モード切換レバーに適宜のリンク機構等を介して連係させており、これにより、駆動モード切換レバーを傾動操作して駆動切替クラッチ43を断接し、後輪二輪駆動または四輪駆動の切替を行うことができる。
前記フロントアクスル装置47においては、前記後車軸40と同様にして、左右の前車軸48を差動的に連結するためのデフギア装置8が配設され、該デフギア装置8は、左右のデフヨーク軸49・49の内端側同士を連結すべく構成され、前記入力軸46に固設されたベベルギア50により駆動されるようにしている。前記デフヨーク軸49・49の差動回転は、ベベルギア51を介してキングピン軸52から前車軸48へと伝達され、左右の前輪10を駆動するようにしている。
以上のようにして、変速動力が後輪のみ、または前後輪に伝達されて走行しながら、前記PTO軸12に連結連動する図示せぬ作業機によって各種作業が行えるようにしている。
次に、前記変速機構20の構造について、図1により説明する。
前記入力軸17と副変速出力軸29に平行に、主変速入力軸53、第一伝達軸54、主変速出力軸55が機体前後方向に横架されている。このうちの入力軸17上で前記ポンプ15の後方に、前記前後進切替装置3が配設されている。該前後進切替装置3においては、摩擦多板式の前後進切替クラッチ56が配設され、該前後進切替クラッチ56は後から順に前進クラッチ部56aと後進クラッチ部56bとから成り、これら前進クラッチ部56aと後進クラッチ部56bとは、背中合わせに隣接して設け、しかも共通のクラッチ板部56c等を使用する構成としており、これにより、クラッチ配置のための空間を狭くして変速機構をコンパクト化すると共に、前後のクラッチ部の部品を共通化して部品コストの低減を図るようにしている。
そして、前記入力軸17上で前進クラッチ部56aの後方には、前進駆動ギア57が回転自在に設けられており、前記前進クラッチ部56aが入ると、この前進駆動ギア57は前進クラッチ部56aを介して入力軸17に相対回転不能に係合される。同様に、入力軸17上で後進クラッチ部56bの前方には、後進駆動ギア58が回転自在に設けられており、前記後進クラッチ部56bが入ると、この後進駆動ギア58も後進クラッチ部56bを介して入力軸17に相対回転不能に係合される。
前記主変速入力軸53上で前半分には、後から順に前進従動ギア61と後進従動ギア62が固設され、このうち前進従動ギア61は、前記前進駆動ギア57に常時噛合して前進ギア列を形成し、後進従動ギア62は、入力軸17と主変速入力軸53との間に設けられた中間軸60上のアイドルギア59と噛合し、該アイドルギア59は前記後進駆動ギア58と常時噛合して後進ギア列を形成している。これにより、前進クラッチ部56aと後進クラッチ部56bの入切操作を行うことで、その該当する駆動ギアを入力軸17に相対回転不能に係合させることができ、原動機動力は、出力軸16、回転ダンパ14、入力軸17から、前進動力または後進動力(以下、「前後進動力」とする)として主変速入力軸53に切替可能に伝達される。
また、前記主変速装置5は、油圧式無段変速装置(ハイドロスタティックトランスミッション、以下、略して「HST」とする)5aと、ギア式有段変速装置5bとから構成される。このうちのHST5aにおいては、油圧回路によって互いに流体接続された可変容積型の油圧ポンプ63と固定容積型の油圧モータ64が配設され、該油圧ポンプ63の可動斜板63bの斜板角度を変化させることによって、油圧ポンプ63から油圧モータ64への圧油の吐出量を変化させ、油圧ポンプ63に入力された動力を無段階に変速して油圧モータ64から出力することができる。ここで、前記主変速入力軸53上で後半分にはポンプ駆動ギア65が固設され、該ポンプ駆動ギア65は、前記油圧ポンプ63のポンプ軸63aに固設された入力ギア66に常時噛合されており、主変速入力軸53に入力された前記前後進動力が、油圧ポンプ63に常に入力されるようにしている。
前記ギア式有段変速装置5bにおいては、前記主変速入力軸53上でポンプ駆動ギア65の後方に摩擦多板式の主変速クラッチ4が配設され、該主変速クラッチ4は前から順に第一クラッチ部4aと第二クラッチ部4bを備えると共に、共通のクラッチ板部4cを使用するようにしている。このうちの第一クラッチ部4aの前方には第一クラッチ出力ギア67が回転自在に設けられており、第一クラッチ部4aが入ると、第一クラッチ出力ギア67は第一クラッチ部4aを介して主変速入力軸53に相対回転不能に係合され、同様に、第二クラッチ部4bの後方には第二クラッチ出力ギア68が回転自在に設けられており、第二クラッチ部4bが入ると、第二クラッチ出力ギア68は第二クラッチ部4bを介して主変速入力軸53に相対回転不能に係合される。なお、これら第一クラッチ部4aと第二クラッチ部4bとは、後述するようにして、切状態から入状態までの伝達トルクを徐々に連続的に変化できるようにしている。
更に、前記第一伝達軸54上には、前から順に3速駆動ギア73と前記第一主変速ギア69が固設され、これら3速駆動ギア73と第一主変速ギア69との間には1速駆動ギア71が相対回転可能に環設され、更に、第一主変速ギア69の更に後方には筒状の第二伝達軸75が相対回転可能に環設され、該第二伝達軸75上に、4速駆動ギア74、第二主変速ギア70、2速駆動ギア72が外嵌固定されている。そして、このうちの第一主変速ギア69は前記第一クラッチ出力ギア67に噛合され、第二主変速ギア70は前記第二クラッチ出力ギア68に噛合されており、このような構成において、前記第一クラッチ部4aと第二クラッチ部4bの入切操作を行うことで、その該当する伝達軸に、前記主変速入力軸53からの前後進動力を伝達できるようにしている。
前記主変速出力軸55の前半分には、前から順に、3速従動ギア83、1速従動ギア81、4速従動ギア84、2速従動ギア82が相対回転可能に環設され、それぞれ、前記3速駆動ギア73、1速駆動ギア71、4速駆動ギア74、2速駆動ギア72に噛合されており、これにより、ギア71・81より成る1速ギア列、ギア72・82より成る2速ギア列、ギア73・83より成る3速ギア列、ギア74・84より成る4速ギア列といった複数の主変速駆動列が形成されている。なお、このうちの1速駆動ギア71は、前記油圧モータ64のモータ軸64aに固設された出力ギア76と噛合されており、1速ギア列71・81については、前記油圧モータ64に連結連動される構成となっている。
更に、前記主変速出力軸55において、前記3速従動ギア83と1速従動ギア81との間にはスプラインハブ77を、前記4速従動ギア84と2速従動ギア82との間にはスプラインハブ78を、それぞれ相対回転不能に係合すると共に、スプラインハブ77にはシフタ77aが、スプラインハブ78にはシフタ78aが、それぞれ軸芯方向摺動自在かつ相対回転不能に係合されている。そして、1速と3速の従動ギア81・83でスプラインハブ77側に向かう部分と、2速と4速の従動ギア82・84でスプラインハブ78側に向かう部分には、それぞれクラッチ歯部が形成されている。
これにより、前記シフタ77a・78aをいずれかのクラッチ歯部に係合させることで、その該当する従動ギアを主変速出力軸55に相対回転不能に係合させることができ、2速度段乃至4速度段については、原動機動力は、前記前後進切替装置3からギア式有段変速装置5b中の主変速クラッチ4、第一伝達軸54または第二伝達軸75を介して断接可能に変速され、有段変速動力として主変速出力軸55に伝達される。1速度段については、原動機動力は、前後進切替装置3からHST5a内で無段階に変速された後、ギア式有段変速装置5b中の1速ギア列71・81を介して無段変速動力として主変速出力軸55に伝達される。
また、前記副変速装置6において、前記主変速出力軸55の後半分には、前から順に中径ギア86、大径ギア85、小径ギア87が固設されると共に、前記副変速出力軸29上にも、前から順に低速ギア89、高速ギア88、前記低速ギアよりも更に遅い微低速で使用するクリープギア90が、相対回転可能に環設され、これら低速ギア89、高速ギア88、クリープギア90は、それぞれ、前記中径ギア86、大径ギア85、小径ギア87に常時噛合されている。これにより、中径ギア86と低速ギア89から成る低速ギア列、大径ギア85と高速ギア88から成る高速ギア列、小径ギア87とクリープギア90から成るクリープギア列といった複数の副変速駆動列が形成される。
更に、前記副変速出力軸29上には、前記低速ギア89と高速ギア88との間にスプラインハブ79が、前記高速ギア88とクリープギア90との間にはスプラインハブ80が、それぞれ相対回転不能に係合され、このうちのスプラインハブ79にはシフタ79aが、スプラインハブ80にはシフタ80aが、それぞれ軸心方向摺動自在かつ相対回転不能に係合されている。そして、低速ギア89でスプラインハブ79側に向かう部分と、高速ギア88とクリープギア90でスプラインハブ80側に向かう部分には、それぞれクラッチ歯部が形成されている。
これにより、前記シフタ79a・80aをいずれかのクラッチ歯部に係合させることで、低速ギア89、高速ギア88、クリープギア90のうちの該当するギアを、副変速出力軸29に相対回転不能に係合させることができ、前記無段変速動力または有段変速動力は、前記副変速駆動列を介して副変速され、副変速動力として前記副変速出力軸29に伝達されることとなる。この副変速動力によって、前述のようにして、前輪10・10や後輪11・11が駆動されるのである。
次に、前記ギア式有段変速装置5bにおけるシフタ及びクラッチの作動と変速制御について、図1、図3により説明する。
前記シフタ77aを動かして1速と3速の従動ギア81・83のいずれかに係合させ、該従動ギア81を含む1速ギア列と従動ギア83を含む3速ギア列とから成る奇数段のギア列のうちから、一つのギア列を選択することができる。同様にして、シフタ78aを動かして2速と4速の従動ギア82・84のいずれかに係合させ、該従動ギア82を含む2速ギア列と従動ギア84を含む4速ギア列から成る偶数段のギア列のうちから、一つのギア列を選択することができる。更に、前記シフタ77a・78aは、それぞれシリンダ等のアクチュエータ91・93によって摺動され、該アクチュエータ91・93は、それぞれ電磁切替弁92・94を介してコントローラ95に接続されており、該コントローラ95から電磁切替弁92・94に変速指令信号が送られてシフタ77a・78aが摺動し、所定のギア列を選択できるようにしている。
また、前記第一クラッチ部4aと第二クラッチ部4bから成る主変速切替クラッチ4のアクチュエータ96も、電磁比例弁97を介してコントローラ95に接続されており、該コントローラ95からの信号によって、アクチュエータ96を介して各クラッチ部4a・4bを徐々に連続的に作動させることができようにしている。例えば、本実施例のような多板式の摩擦クラッチの場合には、アクチュエータ96によって摩擦板間の挟持力を連続的に変化させ、各クラッチ部の切状態から入状態までの伝達トルクを連続的に変化させることができる。
このようなシフタ及びクラッチによる変速制御について、現在の速度が前進高速2速で、次の速度段が前進高速3速の場合を例に説明する。このうちの前進高速2速とは、前後進切替装置3が前進段、ギア式有段変速装置5bが2速段、副変速装置6が高速段に設定された速度段であり、前進高速3速とは、前後進切替装置3と副変速装置6はそのままで、ギア式有段変速装置5bのみを2速段から3速段に変速した速度段である。なお、ここでは簡単に、前進高速2速は前進2速、前進高速3速は前進3速とする。
まず、作業車を停止した状態で、前後進切替装置3を前進段、副変速装置6を高速段に設定した後、ブレーキやアクセルペダル等を操作して作業車を発進させると、HST5aによって無段変速されながら徐々に車速が上がっていき、所定の車速(以下、「変速モード移行車速」とする)まで上がると、ギア式有段変速装置5bによる有段変速が行われるようになる。この有段変速において前進2速の速度段で走行中は、前記第二クラッチ部4bは入状態にあると共に、シフタ78aは2速従動ギア82に係合されており、前記主変速出力軸55が2速ギア列72・82等を介して主変速入力軸53と接続されている。これにより、前記前後進切替装置3からの前進動力は、主変速入力軸53、第二クラッチ部4b、第二クラッチ出力ギア68、第二主変速ギア70、第二伝達軸75の順に伝達された後、2速ギア列72・82で前進2速に変速され、この前進2速の動力が、主変速出力軸55から主変速動力として前記副変速装置6に伝達されている。この時、前記第一クラッチ部4aは切断されて切状態にある。
そして、更に車速を上げると、副変速出力軸29等に取り付けた車速センサ110からの車速信号に基づいて、前進2速から前進3速への変速指令信号がコントローラ95から送信される。すると、第二クラッチ部4bの入状態、該第二クラッチ部4bに接続された2速ギア列72・82と主変速出力軸55との係合状態、及び第一クラッチ部4aの切状態はそのままで変更されることなく、該第一クラッチ部4aに接続される3速ギア列73・83が主変速出力軸55と係合状態になる。つまり、電磁切替弁92が切り替え制御されて前記アクチュエータ91が作動し、シフタ77aが、摺動してクラッチ歯部を介して前記3速従動ギア83に係合されると、主変速出力軸55が、3速ギア列73・83を介して第一伝達軸54と接続される。ただし、該第一伝達軸54に接続される前記第一クラッチ部4a自体は依然切状態にあり、前記前後進切替装置3から第一伝達軸54への前進動力は切断されたままであるため、3速ギア列73・83と主変速出力軸55との係合に伴う、伝達系への過剰な負荷は発生しない。
変速指令信号が発せられてから若干時間が経過すると、第二クラッチ部4bは徐々に切断が進み、第一クラッチ4aは徐々に接続が進む内容のクラッチ断接指令信号がコントローラ95から発せられる。すると、該コントローラ95に接続された電磁比例弁97が比例減圧制御され、該電磁比例弁97に接続されたアクチュエータ96が作動し、第一クラッチ4aは、現在の切状態から入状態に接合作動が進み、これら離間作動と接合作動とが並行して行われる。
更に、クラッチ断接指令信号が継続して発せられ続けて所定の時点になると、前記第二クラッチ4bは完全に切状態、第一クラッチ4aは完全に入状態となる。つまり、このクラッチ断接指令信号が発せられている間は、2速ギア列72・82と3速ギア列73・83は主変速出力軸55と常時係合状態にあることから、第二クラッチ部4bに接続された第二伝達軸75から2速ギア列72・82への前進動力は徐々に減少していく一方、第一クラッチ4aに接続された第一伝達軸54から3速ギア列73・83への前進動力は徐々に増加していくこととなる。これにより、2速ギア列72・82と3速ギア列73・83から主変速出力軸55への動力は、徐々に前進2速から前進3速に切り替わっていき、最後には前進3速に変速され、この間は、前後進切替装置3からの前進動力は途切れることがない。
更に、若干時間が経過すると、変速完了信号がコントローラ95から発せられ、第一クラッチ部4aの入状態、該第一クラッチ部4aに接続された3速ギア列73・83と主変速出力軸55との係合状態、及び第二クラッチ部4bの切状態はそのままで変更されることなく、該第二クラッチ部4bに接続された2速ギア列72・82と主変速出力軸55とを非係合状態にする。つまり、前記電磁切替弁94が切り替え制御されて前記アクチュエータ93が作動し、シフタ78aが、摺動して2速従動ギア82のクラッチ歯部から離間されると、主変速出力軸55と第二伝達軸75との接続が遮断され、前進2速から前進3速への変速が完了する。ただし、該第二伝達軸75に接続される前記第二クラッチ部4b自体は依然切状態にあり、前記前後進切替装置3から第二伝達軸75への前進動力は切断されたままであるため、2速ギア列72・82と主変速出力軸55との非係合に伴う、伝達系への過剰な負荷は発生しない。
1速度段と2速度段との間の変速制御を除き、各速度段間の変速制御は、上記と同様なプロセス(以下、「変速プロセス」とする)で行われる。すなわち、前記有段変速装置であるギア式有段変速装置5bには、奇数段の変速駆動列である3速ギア列73・83への動力断接用の第一クラッチである第一クラッチ部4aと、偶数段の変速駆動列である2速ギア列72・82と4速ギア列74・84への動力断接用の第二クラッチである第二クラッチ部4bとを備え、奇数段と偶数段それぞれの変速駆動列が選択された状態で該第一クラッチ部4a及び第二クラッチ部4bのうち、一方の離間作動と他方の接合作動とを時間的にオーバーラップさせるので、原動機2から車軸である前後車軸40・48への動力伝達を途切れさせることなく連続的に走行変速を行うことができ、通常の有段変速装置を使用する場合と比べ、更に良好な運転操作性や走行安定性を得ることができる。
ただし、1速度段と2速度段との間の変速制御では、第一クラッチ部4aの代わりに、油圧ポンプ63の可動斜板63bの斜板角度の大小によって、1速ギア列71・81への動力の断接を行う。つまり、可動斜板63bの斜板角度をゼロして中立位置とし、1速ギア列71・81への動力を切断した状態で、シフタ77aを1速従動ギア81と係脱するようにして、1速ギア列71・81と主変速出力軸55との係合に伴う、伝達系への過剰な負荷の発生を防ぎ、前述と同じく、連続的な走行変速ができるようにしている。
次に、以上のような構成から成る変速機構20による変速制御構成について、図1、図3により説明する。
まず、前記前後進切替装置3においては、前後進切替クラッチ56はアクチュエータ100、電磁比例弁101を介してコントローラ95に接続されており、該コントローラ95に接続された前後進切替スイッチ102の前後進レバー102aを操作することで、前後進切替クラッチ56を構成する前進クラッチ部56aを入状態、後進クラッチ部56bを切状態にし、主変速入力軸53に前進動力を伝達する前進段(位置103)と、前進クラッチ部56a、後進クラッチ部56bのいずれも切状態にして主変速入力軸53に動力を伝達しない中立段(位置104)と、前進クラッチ部56aを切状態、後進クラッチ部56bを入状態にして、主変速入力軸53に後進動力を伝達する後進段(位置105)のうちの一つを選択できるようにしている。
前記主変速装置5のHST5aにおいては、油圧ポンプ63の可動斜板63bがアクチュエータ106、電磁比例弁107を介してコントローラ95に接続されており、アクセルペダル等によって車速を上げると、車速センサ110からの車速信号に基づいて、可動斜板63aの斜板角度が変化して、ポンプ軸63aの回転数に対するモータ軸64aの回転数の比、いわゆる速度比が増加し、前記変速モード移行車速までは、車速に適した速度比で自動的に無段階で変速されるようにしている。
一方、前記主変速装置5のギア式有段変速装置5bにおいては、前述の如く、シフタ77aと78aがコントローラ95に接続されており、車速センサ110からの車速信号に基づいて、前記変速モード移行車速以下では、1速度段に設定維持される。更に、車速が上がって変速モード移行車速を超えると、1速度段から2速度段に変速され、その後は、車速に適した2速度段乃至4速度段の間の速度段で、車速が、前述の如く、自動的に滑らかに変速されるようにしている。
前記副変速装置6においては、シフタ79aはアクチュエータ111、電磁切替弁112を介して、シフタ80aはアクチュエータ113、電磁切替弁114を介して、いずれもコントローラ95に接続されており、該コントローラ95に接続された副変速スイッチ115の副変速レバー115aを操作することで、シフタ79aが低速ギア89のクラッチ歯部に係合し、主変速出力軸55から低速ギア列86・89を介して副変速出力軸29に主変速動力を減速して伝達する低速段(位置186)と、シフタ80aが高速ギア88のクラッチ歯部に係合し、主変速出力軸55から高速ギア列85・88を介して副変速出力軸29に主変速動力を加速して伝達する高速段(位置185)と、シフタ80aがクリープギア90のクラッチ歯部に係合し、主変速出力軸55からクリープギア列87・90を介して副変速出力軸29に主変速動力を大きく減速して伝達するクリープ段(位置187)のうちの一つを選択できるようにしている。
このような構成において、前記前後進レバー102aを前進段または後進段に設定し、副変速レバー115aを低速段に設定した上で、発進操作をすると、シフタ77aが1速従動ギア81のクラッチ歯部と係合して、1速ギア列71・81が主変速出力軸55と係合状態となり、ギア式有段変速装置5bが1速度段に設定される。前述の如く、この1速ギア列71・81は油圧モータ64のモータ軸64aに連動連結されているため、1速度段の状態で主変速出力軸55に無段変速動力が伝達され、車速に適した速度比で車速ゼロの停止状態から自動的に無段階で変速される。これは、前述の如く、変速モード移行車速を超えるまで行われる。つまり、車速がゼロの停止状態から変速モード移行車速までは、ギア式有段変速装置5bを1速度段に設定した上で、HST5aによって無段階に変速できるようにしている(以下、「無段変速モード」とする)。
更に、車速が上がって変速モード移行車速を超えると、ギア式有段変速装置5bにおけるシフタ77aは1速従動ギア81のクラッチ歯部から離間して1速ギア列71・81が主変速出力軸55と非係合状態となった上で、前述の如く、車速に適した速度比で2速度段、3速度段、4速度段と順に自動的に滑らかに変速される。前記前後進レバー102aを前進段または後進段に設定し、副変速レバー115aを高速段に設定した場合も、同様に、2速度段、3速度段、4速度段と順に自動的に滑らかに変速されるのである。つまり、車速が変速モード移行車速を超えると、ギア式有段変速装置5bのみによって適正な速度段に自動的に変速できるようにしている(以下、「有段変速モード」とする)。なお、この実施例1や後述する別形態のいずれにおいても、同期機構を持たないカラーシフト構造から成る副変速装置6の上流側には、動力を断接するためのクラッチ機構が備えられていないため、停止状態で副変速するようにしているが、副変速装置6そのものに摩擦多板式の油圧クラッチ等を適用することによって、走行中の副変速を可能とし、後述する実施例2・3のように、車速を低速度域から高速度域まで連続的に自動変速可能な構成としてもよい。
すなわち、原動機2から出力される原動機動力を変速して車軸40・48に伝達する有段変速装置であるギア式有段変速装置5bを備えた作業車用変速機構20において、前記ギア式有段変速装置5bに無段変速装置であるHST5aを並設し、該油圧式無段変速装置5aを用いて無段階で変速する無段変速モード、または前記有段変速装置のみを用いて所定の速度段に変速する有段変速モードのうちのいずれか一方の変速モードを選択可能とし、車速の増加に伴って前記無段変速モードから有段変速モードに切り替える変速制御構成としたので、低車速域から中車速域で作業を行う作業走行時には無段変速モードを選択し、細かく変速可能な油圧伝達等により、車速を作業内容や原動機2の負荷状況に応じた適正車速に精度よく設定することができ、作業効率や伝達効率を大きく向上させ、更に、発進・変速・停止を極めて滑らかに行うことができ、良好な運転操作性や走行安定性を得ることができる。一方、中車速域から高車速域で作業場から格納庫までの移動等を行う高速走行時には、それほど細かな変速は不要なことから有段変速モードを選択し、伝達効率の高い機械伝達等により、所定の速度段で走行させることができ、高速走行時にも、作業走行時と同様、良好な伝達効率・燃費を得ることができる。また、全車速域を無段変速装置だけでカバーせずに済むため、無段変速装置の容量や個数を増やす必要がなく、無段変速装置だけによる変速機構の場合と比べ、変速機構のコンパクト化や、部品数減によるコスト削減・メンテナンス性向上を図ることができる。
更に、前記無段変速モードでは、前記有段変速装置であるギア式有段変速装置5bを変速比最大の1速度段に設定し、該1速度段において、前記無段変速装置であるHST5aを用いて無段階で車速を変速するので、主に発進・停止に使用する1速度段を無段階で変速することができ、円滑な発進と正確な位置での停止を行うことができ、更に作業能率を向上させることができるのである。
なお、本実施例では、クリープ段は、無段変速モードにおける低速段内でも非常に低い速度域に設定されており、これにより、畦塗り機や野菜作業用深耕ロータリを備えたトラクタ等の作業車で行う、時速0.5〜0.8km程度の非常に低速なクリープ走行を、極めて滑らかに行うことができ、良好な運転操作性や走行安定性を得ることができる。
また、原動機2の出力軸16等には原動機2にかかる負荷を検出するための負荷トルク検出センサ116を設け、該負荷トルク検出センサ116は前記コントローラ95に接続されており、原動機2の負荷に応じて車速を増減させる構成としている(以下、「負荷制御モード」とする)。
すなわち、前記変速制御構成には、変速モードにかかわらず、負荷に応じて車速を変化させる負荷制御モードを設けるので、原動機2が作業車1の車輪や作業機系を通じて過負荷を受けた場合でも、この原動機2の負荷状況に応じて車速を適正速度に即座に設定することができ、原動機2の停止を防止すると共に、原動機2の回転数を各種走行に適した回転数に維持することができ、高い走行安定性や作業効率を得ることができる。
次に、実施例1の別形態について、図2により説明する。
本形態の主変速装置119の油圧式無段変速装置であるHST119aは、前記油圧ポンプ63のポンプ軸63aに動力を伝達するためのポンプ駆動ギア65を、主変速入力軸53上ではなく第一伝達軸54上に設けたものである。
ここで、このうちの主変速入力軸53は前後進切替クラッチ56が中立段にない限り常に回転駆動されているため、前記実施例1では、油圧ポンプ63は長時間駆動されており、HST5aは広い速度域で作動状態にある。これに対し、第一伝達軸54は、3速ギア列73・83への動力を断接する第一クラッチ部4aに接続され、2速ギア列72・82や4速ギア列74・84への動力を断接する第二クラッチ部4bには接続されていないため、本形態の場合、無段変速モードでは3速度段やその前後の変速時においてのみ油圧ポンプ63が駆動されることとなり、原動機動力の浪費を防止することができる。
すなわち、無段変速装置であるHST119aへの動力を、有段変速装置であるギア式有段変速装置119bの変速駆動列への動力断接用のクラッチである主変速クラッチ5から前記変速駆動列までの動力伝達経路にある第一伝達軸54から取り出すので、所定の変速駆動列からのみ無段変速装置への動力を取り出すことができ、無段変速装置を無駄に駆動させることによるエネルギー損失を抑えて、燃費の向上を図ることができるのである。なお、本形態においては、ポンプ駆動ギア65の固定位置以外の部分の構成は、実施例1と同一なため、残りの構成の説明は省略する。
実施例2に係わる作業車121の全体構成について、図4により簡単に説明する。
該作業車121は、変速機構122内の主変速装置123のみが前記実施例1と異なっており、それ以外の、原動機2、回転ダンパ14、前後進切替装置3、PTO変速装置9、副変速装置6、及び前後のデフギア装置7・8等は、前記実施例1と同じ構成から成るものである。なお、以下の説明では、実施例1と同等な構成のものは同じ符号で表記する。
作業車121は、原動機2と、原動機動力を変速する変速機構122を備えると共に、原動機2の回転軸13には、出力軸16、回転ダンパ14を介して入力軸17が接続され、該入力軸17は、前記ポンプ15、前後進切替装置3を介してそのまま延出され、その延出端にPTO変速装置9が配設されている。これにより、原動機動力を断接可能に変速してPTO軸12に伝達するようにしている。
更に、前記入力軸17は、前記変速機構122介して副変速出力軸29に接続されており、原動機動力が、その回転方向と速度が切り替えられた後、変速動力として副変速出力軸29に伝達される。該副変速出力軸29は、前記デフロック機構41付きのデフギア装置7、ブレーキ装置37、減速ギア列38・39を介して後車軸40に接続されており、前記変速動力を差動回転として後車軸40から左右の後輪11に制動可能に伝達するようにしている。
一方、前記副変速出力軸29の前端は、前記駆動切替クラッチ43、前輪出力軸44、ドライブシャフト45、自在継手等を介して入力軸46に連動連結され、該入力軸46は、フロントアクスル装置47のデフギア装置8、キングピン軸52等を介して前車軸48に接続されており、前記変速動力を作動回転として前車軸48から左右の前輪11に断接可能に伝達するようにしている。
以上のようにして、実施例1と同様に、変速動力が後輪のみ、または前後輪に伝達されて走行しながら、前記PTO軸12に連結連動する図示せぬ作業機によって各種作業が行えるようにしている。
次に、前記主変速装置123について、図4、図6により説明する。
主変速装置123は、HSTに比べて高い動力伝達効率を有する油圧・機械式無段変速装置(ハイドロメカニカルトランスミッション、以下、略して「HMT」とする)123aと、該HMT123aとは変速出力が全く別系統となっているギア式有段変速装置123bと、これらHMT123aとギア式有段変速装置123bのうちのいずれか一方を選択して前記主変速出力軸55に連動連結する変速モード切替装置123cとから構成される。なお、主変速出力軸55は、副変速装置6を介して前記副変速出力軸29に接続されている。
このうちのHMT123aは、差動装置である遊星ギア機構125とHST124とを組み合わせて入力動力を無段変速するように構成されている。該HST124では、前記HST5aと同じく、油圧回路によって互いに流体接続された可変容積型の油圧ポンプ126と固定容積型の油圧モータ127が配設されており、該油圧ポンプ126の可動斜板126aの斜板角度を変化させることで、油圧ポンプ126から油圧モータ127への圧油の吐出量を変化させ、油圧ポンプ126に入力された動力を無段階に変速して油圧モータ127のモータ軸127aから出力するように構成されている。
前記遊星ギア機構125は、中心のサンギア129と、該サンギア129の外周に配置・噛合されると共に遊星キャリア131によって支持される複数のプラネタリギア130と、該プラネタリギア130の外周に噛合されたリング状のインターナルギア132とによって構成される。このうちの遊星キャリア131は前記モータ軸127a上に相対回転可能に環設されると共に、遊星キャリア131の外周にはギア131aが形成され、該ギア131aは、前記主変速入力軸53上に固設されたギア128と噛合されており、プラネタリギア130に前後進動力がそのまま入力されるようにしている。一方、前記油圧モータ127のモータ軸127a先端に前記サンギア129が固設され、該サンギア129に油圧モータ127の回転動力が入力されるようにしている。そして、これらプラネタリギア130とサンギア129から入力された動力は合成され、無段変速動力として、前記インターナルギア132に固設された無段変速出力軸133から出力される。
以上のようなHMT123aの構成は、一般に、入力動力をHST124の出力側で分割する出力分割型HMTと言われ、前進低速時に高効率・高トルクを達成できるとされている。本実施例では、このHMT123aの上流側には、実施例1と同じギア式の前記前後進切替装置3を設けており、これにより、前後進を機械的に切り替え可能とした上で、HMT123aを効率の良い又はトルクアップの大きな一方向側の回転で使用する制御構成とし、後進時の効率向上や速域の拡大を図り、前後進ともに同様な動力性能が発揮できるようにしている。
また、ギア式有段変速装置123bにおいては、前記主変速入力軸53に平行に、第一走行変速軸135、第二走行変速軸136、有段変速出力軸147が機体前後方向に配置され、このうちの第一走行変速軸135・第二走行変速軸136の前部には、それぞれ摩擦多板式の第一クラッチ137と第二クラッチ138が配設されている。
そして、第一走行変速軸135上で第一クラッチ137前方には、第一クラッチ入力ギア139が回転自在に設けられており、第一クラッチ137が入ると、第一クラッチ入力ギア139は、この第一クラッチ137を介して第一走行変速軸135に相対回転不能に係合され、同様に、第二走行変速軸136上で第二クラッチ138前方には、第二クラッチ入力ギア140が回転自在に設けられており、第二クラッチ138が入ると、第二クラッチ入力ギア140は、この第二クラッチ138を介して第二走行変速軸136に相対回転不能に係合される。これら第一クラッチ137、第二クラッチ138も、前記第一クラッチ部4aと第二クラッチ部4bと同様にして、切状態から入状態までの伝達トルクを徐々に連続的に変化させることができるようにしている。
更に、前記第一クラッチ入力ギア139と第二クラッチ入力ギア140は、いずれも、前記主変速入力軸53後端に固設された分岐ギア134と常時噛合されている。これにより、第一クラッチ137と第二クラッチ138の入切操作を行うことで、該入切操作によって選択した走行変速軸135・136のいずれか一方に、前記主変速入力軸53からの前後進動力を伝達できるようにしている。
そして、前記第一走行変速軸135上には、前から順に1速駆動ギア141と3速駆動ギア143が相対回転可能に環設されると共に、第二走行変速軸136上には、前から順に4速駆動ギア144と2速駆動ギア142が相対回転可能に環設されており、これら1速駆動ギア141、2速駆動ギア142、3速駆動ギア143、4速駆動ギア144は、それぞれ、前記有段変速出力軸147上の1速従動ギア151、2速従動ギア152、3速従動ギア153、4速従動ギア154に噛合されている。これにより、ギア141・151より成る1速ギア列、ギア142・152より成る2速ギア列、ギア143・153より成る3速ギア列、ギア144・154より成る4速ギア列といった複数の有段変速駆動列が形成されている。
更に、前記第一走行変速軸135上で1速駆動ギア141と3速駆動ギア143との間にはスプラインハブ145を、前記第二走行変速軸136上で4速駆動ギア144と2速駆動ギア142との間にはスプラインハブ146を、それぞれ相対回転不能に係合すると共に、スプラインハブ145にはシフタ145aが、スプラインハブ146にはシフタ146aが、それぞれ軸芯方向摺動自在かつ相対回転不能に係合されている。そして、1速と3速の駆動ギア141・143でスプラインハブ145側に向かう部分と、2速と4速の駆動ギア142・144でスプラインハブ146側に向かう部分には、それぞれクラッチ歯部が形成されている。
これにより、前記シフタ145a・146aをいずれかのクラッチ歯部に係合させることで、その該当する駆動ギアを走行変速軸135・136のいずれかに相対回転不能に係合させることができ、1速度段乃至4速度段について、原動機動力は、前記前後進切替装置3からギア式有段変速装置123b中の第一クラッチ137、第一走行変速軸135を介して、または第二クラッチ138、第二走行変速軸136を介して、断接可能に変速され、有段変速動力として有段変速出力軸147から出力されるようにしている。
ここで、このようなギア式有段変速装置123bにおけるシフタ及びクラッチの作動と変速制御について説明する。
実施例1と同様に、シフタ145aを動かして1速ギア列141・151と3速ギア列143・153とから成る奇数段のギア列のうちから一つのギア列を選択し、シフタ146aを動かして2速ギア列142・152と4速ギア列144・154とから成る偶数段のギア列のうちから一つのギア列を選択することができ、更に、前記シフタ145aはアクチュエータ159と電磁切替弁160を介して、シフタ146aはアクチュエータ161と電磁切替弁162とを介して、いずれもコントローラ163に接続されており、該コントローラ163からの変速指令信号によって所定のギア列を選択できるようにしている。加えて、前記第一クラッチ部4aに相当する第一クラッチ137は、アクチュエータ164と電磁比例弁165を介して、第二クラッチ部4bに相当する第二クラッチ138は、アクチュエータ166と電磁比例弁167を介して、いずれもコントローラ163に接続されており、該コントローラ163からの信号によって各クラッチ137・138を徐々に作動させ、クラッチの切状態から入状態までの伝達トルクを連続的に変化させるようにしている。
このような、奇数段と偶数段のギア列のシフタによる選択操作とクラッチの入切操作とを組み合わせた変速プロセスによって、動力伝達が途切れることのない連続的な走行変速を可能としているが、実施例1とは異なり、無段変速装置であるHMT123aと有段変速装置であるギア式有段変速装置123bとは変速出力が全く別系統に構成されているため、1速度段と2速度段との間の変速制御にも、前記変速プロセスを適用することができる。
また、以上のようなHMT123a・ギア式有段変速装置123bと前記副変速装置6との間には、前記変速モード切替装置123cが介設されている。該変速モード切替装置123cにおいては、前記主変速出力軸55の前半部に、前後に摩擦多板式の無段変速切替クラッチ155と有段変速切替クラッチ156が配設されている。そして、主変速出力軸55上で無段変速切替クラッチ155の前方には、ギア157が回転自在に設けられており、無段変速切替クラッチ155が入ると、ギア157は、この無段変速切替クラッチ155を介して主変速出力軸55に相対回転不能に係合され、同様に、主変速出力軸55上で有段変速切替クラッチ156の後方には、ギア158が回転自在に設けられており、有段変速切替クラッチ156が入ると、ギア158は、この有段変速切替クラッチ156を介して主変速出力軸55に相対回転不能に係合される。
更に、無段変速切替クラッチ155のギア157は、前記無段変速出力軸133後端に固設されたギア149に噛合されると共に、有段変速切替クラッチ156のギア158は、前記有段変速出力軸147後部に固設されたギア148と中間ギア150を介して接続されている。これにより、無段変速切替クラッチ155と有段変速切替クラッチ156の入切操作を行うことで、該入切操作によって選択した変速装置123a・123bのいずれか一方からの変速動力を主変速出力軸55に伝達できるようにしている。該主変速出力軸55からの主変速動力は、実施例1と同様にして、副変速装置6によって副変速され、該副変速動力によって前輪10・10や後輪11・11が駆動される。
次に、以上のような構成から成る変速機構122による変速制御構成について、図4、図6乃至図9により説明する。
図4、図6、図7に示すように、前後進切替装置3については、実施例1と同様、前後進レバー102aを操作することで前進段、中立段、後進段のうちの一つを選択できるが、副変速装置6については、副変速レバー115aを操作することで低速段、高速段、クリープ段のうちの一つを選択できることに加え、後述する自動モード(位置227)も選択できるようにしている。
前記主変速装置123のHMT123aにおいては、HST124の油圧ポンプ126の可動斜板126aがアクチュエータ168、電磁比例弁169を介してコントローラ163に接続されており、アクセルペダル等によって車速を上げると、車速センサ110からの車速信号に基づいて、可動斜板126aの斜板角度が変化して速度比が増加し、油圧モータ127からサンギア129に入力される回転動力も変化する。すると、遊星ギア機構125で合成される無段変速動力も変化し、車速に適した速度比で、しかもHSTよりも高い動力伝達効率をもって、車速がゼロの停止状態から変速モード移行車速V12の間で、HMT123aにより自動的に無段階で変速されるようにしている。
一方、前記主変速装置123のギア式有段変速装置123bにおいては、シフタ145aと146aがコントローラ163に接続されており、車速センサ110からの車速信号に基づいて、車速が前記変速モード移行車速V12を超えると、該変速モード移行車速V12から車速V20の間を、車速に適した1速度段乃至4速度段の間の速度段で、自動的に滑らかに変速されるようにしている。ただし、前記実施例1とは異なり、副変速装置6の上流側に摩擦多板式の変速モード切替装置123cを設けており、該変速モード切替装置123c内の各クラッチ155・156によって、副変速装置6への動力の断接を滑らかに行うことができ、走行中の副変速を可能としている。
更に、前記主変速装置123の変速モード切替装置123cにおいては、無段変速切替クラッチ155はアクチュエータ170と電磁比例弁171を介して、有段変速切替クラッチ156はアクチュエータ172と電磁比例弁173を介して、いずれもコントローラ163に接続されており、該コントローラ163からの信号によってアクチュエータ170・172が一方のクラッチを入状態、他方のクラッチを切状態にして、HMT123aからの無段変速動力とギア式有段変速装置123bからの有段変速動力のいずれか一方を選択し、前記無段変速モードと有段変速モードを切り替えるようにしている。
このような構成において、車速が変速モード移行車速V12以下の無段変速モードでは、前記前後進レバー102aを前進段または後進段に設定し、副変速レバー115aを低速段に設定した上で、発進操作をすると、前記無段変速切替クラッチ155が入状態、有段変速切替クラッチ156が切状態となり、HMT123aからの無段変速動力が無段変速出力軸133からギア149・157、無段変速切替クラッチ155を介して主変速出力軸55に伝達され、自動的に無段階で変速される。この無段変速モードで走行中に副変速レバー115aを高速段に設定すると、無段変速切替クラッチ155が徐々に切断されて切状態となり、該切状態において、低速ギア89のクラッチ歯部からのシフタ79aの離間と、高速ギア88のクラッチ歯部へのシフタ80aの係合とが進み、該離間と係合を終えた後は、前記無段変速切替クラッチ155が徐々に接続されて入状態となり、低速段から高速段への変速が、伝達系への過剰な負荷を伴うことなく完了する。高速段から低速段への変速も、無段変速切替クラッチ155の断接によって同様に行うことができる。これにより、車速がゼロの停止状態から車速V11までに適した低速段と、車速V11から車速V12までに適した高速段とに、走行中でも副変速段を自在に変更することができる。
更に、車速が上がって変速モード移行車速V12を超えると、前記無段変速切替クラッチ155が切状態、有段変速切替クラッチ156が入状態となり、ギア式有段変速装置123bからの有段変速動力が有段変速出力軸147からギア148・150・158、有段変速切替クラッチ156を介して主変速出力軸55に伝達され、有段変速モードに移行する。該有段変速モードでも、前記副変速レバー115aを操作することで、無段変速モードでの場合と同様、車速が車速V13から車速V16までに適した低速段と、車速が車速V17から車速V20までに適した高速段とに、走行中でも副変速段を自在に変更することができる。この際、低速段では、車速V13で低速1速、車速V14で低速2速、車速V15で低速3速、車速V15で低速4速に自動的に変速され、高速段では、車速V17で高速1速、車速V18で高速2速、車速V19で高速3速、車速V20で高速4速に自動的に変速される。
ただし、副変速レバー115aを操作して自動モードに設定すると、無段変速モードでは車速11を境にして低速段と高速段とが自動的に切り替わり、有段変速モードでは車速V16を境にして低速段と高速段とが自動的に切り替わるようになり、主変速・副変速ともに何ら変速操作を行うことなく自動変速が可能となり、運転操作性や走行安定性を更に向上させることができる。なお、本実施例でも、実施例1と同様に、クリープ段を無段変速モード域174内の低速段の車速域175に設定して、非常に低速で行うクリープ走行を極めて円滑に行えるようにしている。
また、図8、図9に示すように、無段変速モードの速度域と有段変速モードの速度域とが、車速V21から車速V22までの間の速度域(以下、「オーバーラップ速度域」とする)176で部分的に重なるような変速制御構成とすることができる。ここでは、無段変速モードの高速段における速度域177が、有段変速モードの低速段における低速1速178・低速2速179・低速3速180によって代替可能な制御構成としている。
更に、前記コントローラ163には、このようなオーバーラップ速度域176での変速をどのように行うのかを選択可能な、図8に示す変速切替スイッチ182が接続されており、該変速切替スイッチ182の変速切替レバー182aを操作することで、通常モード(位置183)とクルーズ制御モード(位置184)のいずれかを選択できるようにしている。
このうちの通常モードの場合、車速がゼロの停止状態から変速モード移行車速V22の間では無段変速モードで変速され、更に車速を上げて変速モード移行車速V22を超えると、自動的に低速1速178・低速2速179・低速3速180はスキップして低速4速181に移り有段変速モードに移行するようにしており、移行後は、車速V21から車速V20の間を有段変速モードで変速する。その後、減速して車速V21を下回ると、再び無段変速モードに復帰する。つまり、通常モードでは、オーバーラップ速度域176での変速を移行後の変速モードで行うことができ、オーバーラップ速度域176の変速モードが自由に選択できるようにしている。
一方、クルーズ制御モードの場合は、車速が無段変速モードの速度域177まで上がると、自動的に低速1速178・低速2速179・低速3速180のいずれかに移り、有段変速モードで走行するようにしている。つまり、クルーズ制御モードでは、オーバーラップ速度域176になると、一定車速によるクルーズ走行に適した高伝達効率を有する有段変速装置の各速度段での走行に、自動的に移行するようにしている。
更に、このクルーズ制御モードでは、前記コントローラ163に接続された負荷トルク検出センサ116からの信号に基づいて、原動機2の負荷変動が設定値以上に達したと判断すると、前記無段変速切替クラッチ155が入状態、有段変速切替クラッチ156が切状態となって、自動的に、有段変速モードの低速1速178・低速2速179・低速3速180から、無段変速モードの速度域177に移る制御構成としている。これにより、原動機2の負荷変動への細かな対応が可能な無段変速モードによる走行に自動的に移行させることができる。
すなわち、前記無段変速モードと有段変速モードの各速度域には、車速が同じオーバーラップ速度域176を設けるので、前記オーバーラップ速度域176内では、たとえ同一車速であっても、無段変速モードまたは有段変速モードのうちのいずれか一方を自由に選択することができ、作業内容や原動機2の負荷状況に応じて適正な変速モードで走行させ、更なる作業能率や伝達効率・燃費の向上を図ることができる。
更に、前記変速制御構成では、前記オーバーラップ速度域176を無段変速モードの高速度域と有段変速モードの低速度域に設け、一定車速による走行状態を維持するクルーズ制御モードに設定すると、前記無段変速モードの高速度域にある速度域177から有段変速モードの低速度域にある低速1速178・低速2速179・低速3速180のいずれかに自動的に移行するので、クルーズ走行の場合には、機械伝達等による有段変速モードで走行することができ、油圧伝達等による無段変速モードに比べ、伝達効率・燃費を大幅に向上させることができる。
加えて、前記変速制御構成では、原動機2の負荷変動が所定の設定値以上に増加すると、移行後の有段変速モードの低速度域にある低速1速178・低速2速179・低速3速180から、移行前の無段変速モードの高速度域にある速度域177に自動的に復帰するので、原動機2の負荷が大きく変動する場合、機械伝達等による有段変速モードでは、細かな変速ができないために却って伝達効率・燃費が悪化するが、油圧伝達等による無段変速モードでは、原動機2の負荷状況に応じた適正車速に精度よく設定でき、良好な伝達効率・燃費を得ることができるのである。
次に、実施例2の別形態について、図5により説明する。
本形態の主変速装置188において、HMT188aと変速モード切替装置188cは、実施例2と同一であるが、ギア式有段変速装置188bは、実施例2と異なり、奇数段と偶数段のギア列のシフタによる選択操作とクラッチの入切操作とを組み合わせるのではなく、伝達トルクを連続的に変化可能な摩擦多板式のようなクラッチの入切操作だけで前記変速プロセスを行うようにしたものである。
具体的には、前クラッチ195、後クラッチ196が、前記有段変速出力軸147上に前後に配設され、前クラッチ195については、前から順に4速クラッチ部195aと1速クラッチ部195bを備えると共に、共通のクラッチ板部195cを使用するようにしている。このうちの4速クラッチ部195aの前方には4速従動ギア204が回転自在に設けられており、4速クラッチ部195aが入ると、4速従動ギア204は4速クラッチ部195aを介して有段変速出力軸147に相対回転不能に係合され、同様に、1速クラッチ部195bの後方には1速従動ギア201が回転自在に設けられており、1速クラッチ部195bが入ると、1速従動ギア201は1速クラッチ部195bを介して有段変速出力軸147に相対回転不能に係合される。
後クラッチ196についても、前から順に2速クラッチ部196aと3速クラッチ部196bを備えると共に、共通のクラッチ板部196cを使用するようにしている。このうちの2速クラッチ部196aの前方には2速従動ギア202が回転自在に設けられており、2速クラッチ部196aが入ると、2速従動ギア202は2速クラッチ部196aを介して有段変速出力軸147に相対回転不能に係合され、同様に、3速クラッチ部196bの後方には3速従動ギア203が回転自在に設けられており、3速クラッチ部196bが入ると、3速従動ギア203は3速クラッチ部196bを介して有段変速出力軸147に相対回転不能に係合される。
更に、前記主変速入力軸53の後部には、前から順に4速駆動ギア194、1速駆動ギア191、2速駆動ギア192、3速駆動ギア193が固設され、これら駆動ギア191・192・193・194は、それぞれ前記従動ギア201・202・203・204に噛合されて、1速ギア列191・201、2速ギア列192・202、3速ギア列193・203、4速ギア列194・204といった複数の主変速駆動列が形成されており、このような構成により、前記クラッチ部195a・195b・196a・196bの入切操作を行うことで、いずれかのギア列を介して有段変速出力軸147に主変速動力を伝達できるようにしている。なお、各クラッチ部195a・195b・196a・196bは、図示せぬアクチュエータを介して徐々に作動させ、クラッチの切状態から入状態までの伝達トルクを連続的に変化させるようにしている。
これにより、奇数段と偶数段のギア列をシフタによって選択操作するためのスプラインハブやクラッチ歯部等の複雑な構造を省くことができ、更に、同種の機構を用いることで変速構造を同軸上にまとめて形成して変速に必要な伝達軸も少なくすることができる。すなわち、有段変速装置であるギア式有段変速装置188bは、伝達トルクの連続的変化が可能なクラッチである摩擦多板式の前後クラッチ195・196を備え、各クラッチの入切状態を徐々に変化可能な変速制御構成とするので、変速機構を簡素化し、変速に必要な伝達軸も減少させることができ、部品コストの低減、メンテナンス性の向上、変速装置のコンパクト化を図ることができる。なお、本形態においては、ギア式有段変速装置188b以外の部分の構成は、前記実施例2と同一なため、残りの構成の説明は省略する。
実施例3に係わる作業車205について、図10により説明する。
該作業車205は、変速機構207内の主変速装置208のみが前記実施例2と異なり、それ以外の、原動機2、回転ダンパ14、前後進切替装置3、PTO変速装置9、副変速装置6、及び前後のデフギア装置7等は、前記実施例2と同じ構成から成るものである。
前記主変速装置208はHMT208a、ギア式有段変速装置208b、変速モード切替装置208cから構成されるが、このうちHMT208aと変速モード切替装置208cが実施例2と異なる構成となっている。特に、HMT208aは、実施例2が出力分割型HMTであったのに対し、本実施例では、入力動力をHST209の入力側で分割する入力分割型HMTであって、高速時に高効率・高トルクを達成することができる構成となっている。
該HMT208aは、遊星ギア機構210とHST209とから構成され、該HST209は油圧回路によって互いに流体接続された油圧ポンプ215と油圧モータ216とから成るが、前記実施例1・2とは異なり、いずれも可変容積型であって、それぞれの可動斜板215b・216bの斜板角度を変化させることで、油圧ポンプ215から油圧モータ216への圧油の吐出量を変化させ、油圧ポンプ215に入力された動力を無段階に変速してモータ軸216aから出力するように構成されている。
前記遊星ギア機構210において、遊星キャリア213は、主変速入力軸53の後端に固設されて複数のプラネタリギア212を支持し、該プラネタリギア212は、サンギア211とインターナルギア214との間に介設して噛合されている。該インターナルギア214は前記主変速入力軸53上に相対回転可能に環設されると共に、インターナルギア214の前部にはギア214aが形成され、該ギア214aは、前記油圧ポンプ215のポンプ軸215aに固設されたギア217に噛合されている。そして、前記サンギア211を先端に設けた無段変速出力軸219上にはギア220が固設され、該ギア220は、前記モータ軸216a上に固設されたギア218に噛合されている。
このような構成において、まず、前後進切替装置3からの前後進動力が主変速入力軸53を介して、一旦遊星ギア機構210に伝達される。該遊星ギア機構210においては、動力は、遊星キャリア213からプラネタリギア212を介してサンギア211に伝達されると共に、プラネタリギア212からインターナルギア214を介してギア列214a・217へと分割されて伝達される。そして、油圧回路を介してHST209の油圧モータ216から出力された動力は、ギア218と噛合するギア220に伝達され、無段変速出力軸219において、前記サンギア211に伝達された動力と合成され、無段変速動力として出力される。
なお、HMTは、遊星ギア機構の各構成要素(サンギア129・211、プラネタリギア130・212、インターナルギア132・214)に対する入力軸(主変速入力軸53)およびHST(124・209)の結合パターンによって、種々のタイプに構成することができ、実施例2・3に示したタイプに特に限定されるものではない。
前記主変速入力軸53上で遊星ギア機構210の前方にはギア220が固設され、該ギア220はギア式有段変速装置208bへの入力軸222上に固設されたギア221に噛合されており、これにより、前後進切替装置3からの前後進動力は、主変速入力軸53を介してギア式有段変速装置208bにも入力され、実施例2と同様にして各速度段に変速された後、有段変速動力として有段変速出力軸147に出力されるようにしている。
以上のようにして出力される無段変速動力と有段変速動力のうちのいずれか一方が、前記変速モード切替装置208cによって選択される。変速モード切替装置208cは、変速モード切替クラッチ223と、主変速出力軸55に回転自在に設けられ前記無段変速出力軸219のギア224と噛合する無段変速動力入力ギア225と、同じく主変速出力軸55に回転自在に設けられ前記有段変速出力軸147のギア148に噛合された有段変速動力入力ギア226とから成り、このうちの変速モード切替クラッチ223は、前から順に無段変速切替クラッチ部223aと有段変速切替クラッチ部223bを備えると共に、共通のクラッチ板部223cを使用するようにしている。そして、無段変速切替クラッチ部223aが入ると、前記無段変速動力入力ギア225は無段変速切替クラッチ部223aを介して主変速出力軸55に相対回転不能に係合され、同様に、有段変速切替クラッチ部223bが入ると、前記有段変速動力入力ギア226は有段変速切替クラッチ部223bを介して主変速出力軸55に相対回転不能に係合される。
これにより、無段変速切替クラッチ部223aと有段変速切替クラッチ部223bの入切操作を行うことで、該入切操作によって選択した変速装置208a・208bのいずれか一方からの変速動力を主変速出力軸55に伝達できるようにしている。該主変速出力軸55からの主変速動力は、実施例1・2と同様にして、副変速装置6によって副変速され、該副変速動力によって前輪10・10や後輪11・11が駆動されるのである。
このような構成から成る変速機構207においても、実施例2と同様に、発進してから所定速度までは、車速が自動的に無段階で変速される無段変速モードで変速が行われ、更に車速を上げると、車速が自動的に適した速度段に変速される有段変速モードに移行させることができ、低車速域から中車速域で作業を行う作業走行時には良好な運転操作性や走行安定性を得ると共に、中車速域から高車速域で作業場から格納庫までの移動等を行う高速走行時には良好な伝達効率・燃費を得ることができる。
更に、本実施例においても、実施例2と同様に、オーバーラップ速度域を設けることができ、たとえ同一車速であっても、無段変速モードまたは有段変速モードのうちのいずれか一方を自由に選択することができ、作業内容や原動機2の負荷状況に応じて適正な変速モードで走行させ、更なる作業能率や伝達効率・燃費の向上を図ることができる。
なお、以上述べた各変速機構中の無段変速装置としては、前記実施例1のHST5a・119a、実施例2・3のHMT123a・188a・208a以外に、HMTにおける油圧ポンプ/油圧モータのかわりにジェネレータ/電動モータを用いて機械的動力の一部を電気動力に変換して伝達する電気・機械式無段変速装置、いわゆるEMTを用いてもよく、特に実施例に限定されるものではない。ここで、油圧ポンプ/油圧モータはその発進性能や耐久性に優れるが、ジェネレータ/電動モータは電気回路によって一層高速かつ複雑な変速制御が可能となる。更に無段変速装置として、入力用と出力用の2個の可変径プーリと該可変径プーリ間に巻回される金属ベルトとから構成される金属ベルト式CVTや、入力軸と出力軸に繋がる2枚のディスクと該ディスク間に介設されるコマ状のパワーローラとから構成されるトロイダル式CVT等の機械式無段変速装置を用いてもよく、いずれの機械式無段変速装置においても、滑らかで静粛な上、油圧式に比べて高い伝達効率が得られる。そして、かかる場合には、トルクコンバータを併用するのが好ましい。
すなわち、前記無段変速装置には、油圧ポンプ/油圧モータとジェネレータ/電動モータのいずれかを備えるので、良好な発進性能や耐久性を要する場合や、複雑で高速な変速制御を要する場合等、様々な条件に対応することができ、ユーザーニーズに応じた適正な変速制御が可能となる。
更に、前記無段変速装置として、金属ベルト式CVT、トロイダル式CVT等の機械式無段変速装置を配置するので、無段変速によって滑らかで静粛な変速が可能な上、機械伝達によって油圧式よりも優れた伝達効率を得ることができ、前記無段変速モードにおける燃費、運転操作性、及び走行安定性を更に向上させることができる。
また、各変速機構中のギア式有段変速装置としては、実施例2の別形態に摩擦多板式のクラッチが用いられ、それ以外の実施例には同期機構を持たないカラーシフト構造に摩擦多板式のクラッチを組み合わせたものが用いられているが、同期構造を有するシンクロメッシュのような変速要素も使用することができ、所定の速度段に確実に変速できるものであればよく、特に実施例に限定されるものではない。
次に、実施例3の別形態について、図11により説明する。
図11(a)に示すギア式有段変速装置228は、前記ギア式有段変速装置208bにおける有段変速出力軸147上の従動ギア数の低減を図ったものであり、具体的には、前記1速従動ギア151と2速従動ギア152をまとめて単一の第一従動ギア241とし、前記3速従動ギア153と4速従動ギア154をまとめて単一の第二従動ギア242としている。
詳しくは、このうちの第一従動ギア241には、前記第一走行変速軸135上の1速駆動ギア231と、第二走行変速軸136上の2速駆動ギア232とが同時に噛合され、前記第二従動ギア242には、前記第一走行変速軸135上の3速駆動ギア233と、第二走行変速軸136上の4速駆動ギア234とが同時に噛合されて、1速ギア列231・241、2速ギア列232・241、3速ギア列233・242、4速ギア列234・242が形成されている。そして、前記第一走行変速軸135上で1速駆動ギア231と3速駆動ギア233との間には、前記スプラインハブ145を、前記第二走行変速軸136上で2速駆動ギア232と4速駆動ギア234との間にはスプラインハブ146を、それぞれ相対回転不能に係合すると共に、スプラインハブ145にはシフタ145aが、スプラインハブ146にはシフタ146aが、それぞれ軸芯方向摺動自在かつ相対回転不能に係合されている。
これにより、実施例3と同様に、前記シフタ145a・146aをいずれかのクラッチ歯部に係合させることで、その該当する駆動ギアを走行変速軸135・136のいずれかに相対回転不能に係合させ、原動機動力が、前記前後進切替装置3から第一クラッチ137、第一走行変速軸135を介して、または第二クラッチ138、第二走行変速軸136を介して、断接可能に変速され、有段変速動力として有段変速出力軸147から出力されるようにしている。ただし、実施例3とは異なり、有段変速出力軸147上の2枚の従動ギア241・242だけで4段変速を可能としている。
すなわち、有段変速装置である前記ギア式有段変速装置228における、偶数段の変速駆動列、例えば2速ギア列232・241と、奇数段の変速駆動列、例えば1速ギア列231・241に、共通の伝達部材、例えば第一従動ギア241を設けるので、部品数を減らして、部品コストの低減、メンテナンス性の向上、変速装置のコンパクト化を図ることができる。
図11(b)に示すギア式有段変速装置229は、図11(a)のギア式有段変速装置228において、従動ギア241・242用の軸受け支持部の省略を図ったものであり、具体的には、前記入力軸222を更に後方に延出した入力軸235を設け、該入力軸235の後半部に前記従動ギア241・242を支持している。詳しくは、この入力軸235の後半部に、外周に前記従動ギア241・242とギア148を前から順に形成した筒状の有段変速出力軸236が、相対回転可能に環設支持され、この有段変速出力軸236に、各変速駆動列からの動力が伝達されるようにしている。
すなわち、有段変速装置である前記ギア式有段変速装置229への入力軸235によって、ギア式有段変速装置229からの出力軸である有段変速出力軸236を回転支持する支持構成とするので、該有段変速出力軸236の支持に必要な部材やその取付空間を別途準備する必要がなく、更なる部品コストの低減、メンテナンス性の向上、及び変速装置のコンパクト化等を図ることができる。
本発明は、エンジンや電動モータ等の原動機から出力される原動機動力を変速して車軸に伝達する有段変速装置を備える全ての作業車用変速機構に適用することができる。
本発明の実施例1に係わる作業車の全体構成を示すスケルトン図である。 実施例1の別形態の作業車の全体構成を示すスケルトン図である。 実施例1の変速操作やクラッチ操作のためのブロック図である。 実施例2に係わる作業車の全体構成を示すスケルトン図である。 実施例2の別形態の作業車の変速機構を示すスケルトン図である。 実施例2の変速操作やクラッチ操作のためのブロック図である。 実施例2の各変速モードにおける車速変化を示す説明図である。 実施例2でオーバーラップ速度域を設けた場合の変速切替スイッチを示すブロック図である。 実施例2でオーバーラップ速度域を設けた場合の各変速モードにおける車速変化を示す説明図である。 実施例3に係わる作業車の全体構成を示すスケルトン図である。 実施例3の別形態の作業車のギア式有段変速装置を示すスケルトン図であって、図11(a)は変速用ギアの数を減らした場合のギア式有段変速装置を示すスケルトン図、図11(b)は筒状の有段変速出力軸を用いた場合のギア式有段変速装置を示すスケルトン図である。
符号の説明
2 原動機
4a・137 第一クラッチ
4b・138 第二クラッチ
5a・119a・123a・188a・208a 無段変速装置
5b・119b・123b・188b・208b・228・229 有段変速装置
20・122・207 作業車用変速機構
40・48 車軸
176 オーバーラップ速度域

Claims (9)

  1. 原動機から出力される原動機動力を変速して車軸に伝達する有段変速装置を備えた作業車用変速機構において、前記有段変速装置に無段変速装置を並設し、該無段変速装置を用いて無段階で変速する無段変速モード、または前記有段変速装置のみを用いて所定の速度段に変速する有段変速モードのうちのいずれか一方の変速モードを選択可能とし、車速の増加に伴って前記無段変速モードから有段変速モードに切り替える変速制御構成としたことを特徴とする作業車用変速機構。
  2. 前記有段変速装置には、奇数段の変速駆動列への動力断接用の第一クラッチと、偶数段の変速駆動列への動力断接用の第二クラッチとを備え、奇数段と偶数段それぞれの変速駆動列が選択された状態で該第一クラッチ及び第二クラッチのうち、一方の離間作動と他方の接合作動とを時間的にオーバーラップさせることを特徴とする請求項1記載の作業車用変速機構。
  3. 前記変速制御構成には、変速モードにかかわらず、負荷に応じて車速を変化させる負荷制御モードを設けることを特徴とする請求項1または請求項2記載の作業車用変速機構。
  4. 前記無段変速モードと有段変速モードの各速度域には、車速が同じオーバーラップ速度域を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一項に記載の作業車用変速機構。
  5. 前記変速制御構成では、前記オーバーラップ速度域を無段変速モードの高速度域と有段変速モードの低速度域に設け、一定車速による走行状態を維持するクルーズ制御モードに設定すると、前記無段変速モードの高速度域から有段変速モードの低速度域に自動的に移行することを特徴とする請求項4記載の作業車用変速機構。
  6. 前記変速制御構成では、原動機の負荷変動が所定の設定値以上に増加すると、移行後の有段変速モードの低速度域から、移行前の無段変速モードの高速度域に自動的に復帰することを特徴とする請求項5記載の作業車用変速機構。
  7. 前記無段変速モードでは、前記有段変速装置を変速比最大の1速度段に設定し、該1速度段において、前記無段変速装置を用いて無段階で車速を変速することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一項に記載の作業車用変速機構。
  8. 前記無段変速装置には、油圧ポンプ/油圧モータとジェネレータ/電動モータのいずれかを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちのいずれか一項に記載の作業車用変速機構。
  9. 前記無段変速装置として、金属ベルト式CVT、トロイダル式CVT等の機械式無段変速装置を配置することを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちのいずれか一項に記載の作業車用変速機構。
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