JP2008179715A - 難燃性ポリエステル共重合体及び難燃性ポリエステル繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐溶融滴下性(耐ドリップ性)と自己消火性とに優れた難燃性ポリエステル共重合体及び該ポリエステル共重合体からなる難燃性ポリエステル繊維を提供する。
【解決手段】230℃以上の融点と70℃以上のガラス転移点とを有するポリエステル共重合体であって、特定のカルボキシホスフィン酸系有機リン化合物が該共重合体中のリン原子の含有量として0.3〜1.5重量%となる量共重合されており、かつ特定の芳香族ジカルボン酸化合物が該共重合体を構成する全酸成分に対して0.5〜5.0モル%となる量共重合されている難燃性ポリエステル共重合体は、耐溶融滴下性(耐ドリップ性)と自己消火性とに優れた難燃性の繊維、フィルム、シートなどにすることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は難燃性ポリエステル共重合体及び難燃性ポリエステル繊維に関するものである。さらに詳細には、耐ドリップ性(耐溶融滴下性)と自己消火性とに優れた新規な難燃性ポリエステル共重合体及び該ポリエステル共重合体からなる難燃性ポリエステル繊維に関するものである。
近年、各種有機高分子材料に対して難燃性の付与が要求され、種々の技術が開発されている。ポリエステルは多くの優れた特性を有するがゆえに繊維、フィルム、樹脂として広く用いられているが、燃焼性が「可燃性」に分類され、空気中で燃焼する。このため従来からポリエステルの難燃性を高める方法が種々開発されている。
例えばポリエチレンテレフタレートを主とするポリエステル繊維について説明すると、その難燃性を高める方法として(1)後加工法、(2)ブレンド法、(3)共重合法の3つの方法が知られている。
上記(1)の後加工法は、糸や織編物で処理する方法であり、ハロゲン系難燃剤を浴中法又はパディング法により繊維に吸尽もしくは付着させる方法(下記特許文献1参照)や、地球環境保全に対する意識の高まりから、より環境負荷の少ない難燃加工技術としてリン系難燃剤を浴中法又はパディング法により繊維に吸尽もしくは付着させる方法(下記特許文献2参照)が提案されている。上記(2)のブレンド法は、難燃剤をポリエステルの製造段階もしくは紡糸段階でポリマーに練り込む方法であるが、この方法は技術的に種々の困難性があり、実用化された例は少ない。上記(3)の共重合法としては、リンを含む共重合性のモノマー(難燃剤成分)をポリエステル製造段階で反応系に添加してポリエステルにランダムに共重合する方法が実用化されており、このようなモノマーとしては、カルボキシホスフィン酸系化合物(下記特許文献3参照)やホスファフェナンスレン系化合物など(下記特許文献4参照)が提案されている。
さらに、ポリエチレンテレフタレートプレポリマーとビスヒドロキシアルキルベンゾ
エートと難燃性付与量のカルボキシホスフィン酸とから得られる共重合体も提案されている(下記特許文献5参照)。
しかしながら、これらは、いずれも、リン化合物の特徴である自己消火性とリン化合物による溶融粘度低下に基づく溶融ドリップ促進効果により繊維が溶融滴下して火源から除かれる作用効果によるドリップ促進型の難燃性を付与するものであり、溶融を阻害する混紡繊維製品への適用が難しいことや、皮膚に付着すると火傷の危険性があり、しかもドリップによる二次延焼火災の危険性があるという問題があった。
このような背景から、接炎時の耐ドリップ性が改善されると共に自己消火性も兼ね備えた難燃性ポリエステル繊維が望まれていた。
特開昭62−57985号公報 特開2001−11775号公報 特公昭53−13479号公報 特公昭55−41610号公報 特表平9−510240号公報
本発明は、上記背景に鑑みなされたもので、その目的は、接炎時の耐ドリップ性が改善されると共に自己消火性も兼ね備えた難燃性ポリエステル繊維などを与えることのできる新規な難燃性ポリエステル共重合体ならびに該共重合体からなる難燃性ポリエステル繊維を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、カルボキシホスフィン酸系化合物を共重合した難燃性ポリエステルに着目して種々検討した結果、該カルボキシホスフィン酸系化合物の特定量を共重合すると共にナフタレンジカルボン酸の特定量を共重合したポリエステル共重合体において、融点及びガラス転移点が特定条件を満足した場合には、耐ドリップ性が著しく改善されると同時に優れた難燃性を付与できること見出した。そして、これらの
知見に基づきさらに検討を重ねた結果、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の難燃性ポリエステル共重合体ならびに該難燃性ポリエステル共重合体から製造される難燃性ポリエステル繊維に係るものである。
(1)下記一般式(I)で表わされるカルボキシホスフィン酸系有機リン化合物が該ポリエステル共重合体中のリン原子の含有量として0.3〜1.5重量%となる量共重合されており、かつ下記一般式(II)で表わされる芳香族ジカルボン酸化合物が該ポリエステル共重合体を構成する全酸成分に対して0.5〜5.0モル%となる量共重合されているポリエステル共重合体であって、230℃以上の融点と70℃以上のガラス転移点とを有することを特徴とする難燃性ポリエステル共重合体。
Figure 2008179715
Figure 2008179715
(2)窒素雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの600℃到達時点における加熱残分量が15重量%以上、かつ空気雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの減量開始温度が405℃以上であることを特徴とする上記(1)の難燃性ポリエステル共重合体。
(3)上記(1)又は(2)の難燃性ポリエステル共重合体から実質的になり、LOI値が27以上であることを特徴とする難燃性ポリエステル繊維。
本発明によれば、燃焼時にドリップを抑制する難燃性の高いポリエステル共重合体を得ることができ、繊維、フィルム、樹脂成型品などの成形体にしたときに耐ドリップ型の優れた難燃性の成形体を得ることができる。そして、本発明の難燃性ポリエステル共重合体を溶融紡糸して製造したポリエステル繊維は、従来のドリップ型難燃性ポリエステル繊維とは異なり、耐ドリップ型の難燃性を呈するため、着炎部分のドリップが抑制される。このため、着炎物や溶融物による火傷や延焼の危険性を防ぐことができるので、カーテン、インテリア、椅子張りなどのホーム・リビングテキスタイル用途、衣料用途、産業用途などで好適に用いることができる。
本発明でいうポリエステルとは、テレフタル酸を主たる二官能性カルボン酸成分とし、炭素数2〜4の低級アルキレングリコールを主たるグリコール成分とする、テレフタレート系ポリエステルを主たる対象とする。
かかるポリエステルは任意の方法によって合成される。ポリエチレンテレフタレートの例で説明すると、通常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造される。
本発明の難燃性ポリエステル共重合体においては、上記ポリエステルに、第1の必須共重合成分として下記一般式(I)で表わされるカルボキシホスフィン酸系の有機リン化合物が共重合されていることが必要である。
Figure 2008179715
上記一般式(I)式において、R及びRは、それぞれ、炭素原子数が1〜18のアルキル基、アリール基又は水素原子を示す。また、Rは炭素原子数が1〜6のアルキル基又はアリール基を表わし、Rは、飽和、開鎖状もしくは環状のアルキレン基又はアリーレン基を表わす。上記Rは炭素数2〜6のものが特に好ましい。なお、R及びRが水素原子のときには、カルボキシホスフィン酸が酸無水物となっていても差し支えない。
かかるカルボキシホスフィン酸系有機リン化合物の好ましい具体例としては、下記式(a)〜(e)で表わされる化合物があげられる。
Figure 2008179715
上記の例示化合物のうち(a)及び(b)はRがアルキル基であって、カルボキシホスフィン酸が環状無水物となったものであり、(c)、(d)及び(e)はRがアリール基のものである。
本発明の難燃性ポリエステル共重合体における第1必須共重合成分である上記一般式(I)式で表されるカルボキシホスフィン酸系有機リン化合物の共重合量は、該ポリエステル共重合体中のリン原子の含有量として0.3〜1.5重量%の範囲となる量とする必要があり、好ましくは0.5〜1.0重量%の範囲、より好ましくは0.6〜0.9重量%の範囲とする。この有機リン化合物の共重合量が上記範囲より少ないと得られるポリエステル共重合体の自己消火性が不充分なものになる。一方、有機リン化合物の共重合量が上記範囲を超えると耐ドリップ性が不足するようになる。
本発明の難燃性ポリエステル共重合体には上記カルボキシホスフィン酸系有機リン化合物のほかに、さらに下記一般式(II)で表わされる芳香族ジカルボン酸化合物が第2の必須共重合成分として共重合されている必要がある。
Figure 2008179715
上記一般式(II)において、Bはナフタレン基又はビフェニレン基を示し、R5及びR6は水素原子、低級アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基)又はフェニル基である。これらのR5及びR6は互いに同一の基でも相異なる基でもよい。なかでもR5及びR6は水素原子又はメチル基が特に好ましい。
上記一般式(II)で表わされるジカルボン酸化合物の好ましい具体例としては、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸及びそれらのジメチルエステルをあげることができ、なかでも分子構造的に対称性を有する2,6−ナフタレンジカルボン酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルが特に好ましい。他の好ましい具体例としては、ジフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニル−2,5’−ジカルボン酸、ジフェニル−2,6’−ジカルボン酸、ジフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニル−3,5’−ジカルボン酸、ジフェニル−3,6’−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニル−4,5’−ジカルボン酸、ジフェニル−4,6’−ジカルボン酸及びそれらのジメチルエステルをあげることができ、これらのなかでもジフェニル−4,4’−ジカルボン酸又はジフェニル−4,4’−ジカルボン酸ジメチルが特に好ましい。かかるジカルボン酸化合物は1種のみを単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の難燃性ポリエステル共重合体における上記ジカルボン酸化合物の共重合量はポリエステル共重合体を構成する全酸成分に対して0.5〜5.0モル%の範囲となる量とすべきであり、なかでも1.0〜4.0モル%の範囲が好ましい。このジカルボン酸化合物の共重合量があまりに少ないと、得られるポリエステル共重合体の耐ドリップ性が不足するようになる。一方、このジカルボン酸化合物の共重合量が多すぎると得られるポリエステル共重合体の自己消火性が不充分なものになる。
上記の有機リン化合物及びジカルボン酸化合物をポリエステルに共重合するには、前述したポリエステルの合成が完了するまでの任意の段階、例えば第1段階の反応開始前、反応中、反応終了後、第2段階の反応中等の任意の段階でそれぞれを添加し、添加後重縮合反応を完結すればよい。
本発明の難燃性ポリエステル共重合体には必要に応じて任意の添加剤、たとえば着色防止剤、耐熱剤、艶消剤、着色剤、無機微粒子等が含まれていてもよい。
本発明では上記組成の難燃性ポリエテステル共重合体の融点が230℃以上であって、かつ、ガラス転移点が70℃以上であることが必要である。融点が230℃未満の場合もしくはガラス転移点が70℃未満の場合は、共重合体の組成が上記の範囲にあっても耐ドリップ型の難燃性が得られない。
なかでも、本発明における難燃性ポリエテステル共重合体の好ましい融点の範囲は230〜245℃であり、ガラス転移点の範囲は70〜76℃以上である。
本発明の難燃性ポリエステル共重合体の融点を230℃以上かつガラス転移点を70℃以上にするためには、共重合体の製造に際し、上記の有機リン化合物及びジカルボン酸化合物のそれぞれの共重合量(仕込み量)を、上述した特定の範囲内において適宜調整すること、及び難燃性ポリエステル共重合体の合成反応において反応条件や触媒条件を制御して副生するジエチレングリコールの量を調整すること、によって達成される。
本発明の難燃性ポリエステル共重合体は、後述するTGA熱重量測定装置を用いた分析において窒素雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの600℃到達時点における加熱残分量が15重量%以上、好ましくは16〜30重量%であって、かつ後述する昇温試験において、空気雰囲気下で室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの減量開始温度が405℃以上、好ましくは408〜420℃、であることが耐ドリップ型の難燃性を得る上で好ましいことである。
このようにして得られた難燃性ポリエステル共重合体を成形するには、格別の方法を採用する必要はなく、通常のポリエステルの溶融成形法が任意に採用される。例えば繊維を製造する場合、公知の溶融紡糸法で紡糸することができ、紡出する繊維の形態は中空部を有しない中実繊維であっても、中空部を有する中空繊維であってもよい。また、紡出する繊維の横断面における外形や中空部の形状は円形であっても異形であってもよい。製糸方法としては、500〜2500m/分の速度で紡糸し、延伸・熱処理する方法、1500〜5000m/分の速度で紡糸し、延伸・仮撚加工を同時に又は逐次的に行う方法、5000m/分以上の高速で紡糸し、用途によっては延伸工程を省略する方法等の製糸条件を任意に採用すればよい。
このようにして難燃性ポリエステル共重合体から溶融紡糸法によって製造された好ましい難燃性ポリエステル繊維は、LOI値(限界酸素指数)が27以上、好ましくは27〜34であり、優れた難燃性を示す。
本発明の難燃性ポリエステル共重合体は繊維のほか、フィルムやシート等の成形物にすることもでき、その際任意の成形条件を採用することができる。例えば、製膜後一方向のみに張力をかけて異方性を持たせる方法、同時に又は任意の順序で二方向に延伸する方法、二段以上の多段延伸する方法等、任意の条件が採用される。
以上の如き本発明によれば、燃焼時にドリップを抑制する難燃性の高いポリエステル共重合体を得ることができ、繊維、フィルム、樹脂成型品などの成形体を製造したときに耐ドリップ型の優れた難燃性の成形体を得ることができる。特に、本発明のポリエステル共重合体を溶融紡糸して製造したポリエステル繊維は、従来のドリップ型難燃性ポリエステル繊維とは異なり、耐ドリップ型の難燃性を呈するため、着炎部分のドリップが抑制される。このため、着炎物や溶融物による火傷や延焼の危険性を防ぐことができるので、カーテン、インテリア、椅子張りなどのホーム・リビングテキスタイル用途、衣料用途、産業用途などで好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例をあげて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の部及び%は、特に断らない限り、それぞれ重量部及び重量%を示す。また、本発明における各測定値は以下の方法で測定される値である。
(1)ポリエステル共重合体の固有粘度
ポリエステル共重合体の固有粘度は35℃のオルソクロロフェノール溶液で測定した値から求めた。
(2)ポリエステル共重合体の融点及びガラス転移点
示差走査熱量計(TA Instruments社製DSC2200 Differential Scanning Calorimeter)を用いて、20℃/分の昇温速度で280℃まで昇温した試料を0℃に冷却した試験管中で急冷し、非晶状態にした試料をさらに20℃/分の昇温速度で昇温し、JIS K7121に準じて融解ピーク温度及びガラス転移温度を測定して、それぞれ融点及びガラス転移点とした。
(3)600℃到達時点における加熱残分量
TGA熱重量測定装置(メトラートレド社製 熱重量測定装置 TGA851e)を用いた分析において、試料を窒素雰囲気下で室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの600℃到達時点における加熱残分量を、室温における測定開始時の試料重量に対する値で表示した。
(4)減量開始温度
TGA熱重量測定装置(メトラートレド社製 熱重量測定装置 TGA851e)を用い、乾燥ポリマー試料を空気雰囲気下で室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの試料の熱重量曲線を測定し、JIS K−7120に従って減量開始温度を求めた。
(5)ポリマー試験小片の燃焼試験:
幅5mm、厚さ2mm、長さ5cmのポリマー試験小片を垂直に把持し、着火器具(岩谷産業製ガスマッチプロII)の炎を長さ30mmに調節して、試験小片の下端の中央部分に10秒間接炎し、試験小片に着火した。消炎すれば更に10秒間接炎して試験小片の燃焼状況を観察した。燃焼状況は下記の表1に示す耐ドリップ性及び難燃性の評価基準に基づいて判定した。耐ドリップ性及び難燃性とも、評点が高いほど優れていることを示す。
Figure 2008179715
(6)糸強度:
オリエンテック社製テンシロン RTC-1210A型 を用いた引張試験を行い、その強伸度曲線から求めた(糸長20cm、引張速度20cm/分)。
(7)繊維布帛のLOI値(限界酸素指数):
JIS L 1091 E−3号(ガラス繊維ミシン縫い)に従って測定した。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル3.77分(テレフタル酸ジメチルに対して3.0モル%)、エチレングリコール63部、酢酸マンガン4水塩0.039部(全酸成分に対して0.03モル%)及び整色剤として酢酸コバルト4水塩0.004部(全酸成分に対して0.003モル%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、安定剤としてリン酸トリメチル0.027部(全酸成分に対して0.036モル%)を加えた。次いで10分後に三酸化アンチモン0.042部(全酸成分に対して0.027モル%)を添加し、同時に過剰のエチレングリコールを追出しながら240℃まで昇温した後重合缶に移した。
重合缶に上記式(a)で示される有機リン化合物の50%エチレングリコール溶液6部(テレフタル酸ジメチルに対してリン原子として0.69%、ポリエステル共重合体中のリン原子として0.65%)を添加した後、1時間かけて760Torrから1Torrまで減圧し、同時に1時間30分かけて240℃から280℃まで昇温した。1Torr以下の減圧下、重合温度280℃で更に2時間重合を行った。得られたポリマーを常法に従ってチップ化した。
このチップをDSC融点・ガラス転移点測定、TGA熱重量測定及び燃焼試験に供した。結果は表2に示す通りであった。
また、このチップを常法に従って乾燥後、孔径0.3mmの円形紡糸孔を24個穿設した紡糸口金を使用して285℃で溶融紡糸した。次いで、得られた未延伸糸を、最終的に得られる延伸糸の伸度が30%になるような延伸倍率にて84℃の加熱ローラーと180℃のプレートヒーターを使って延伸熱処理して繊度84デシテックス/24フィラメント、強度4.3cN/dtexの延伸糸を得た。得られた延伸糸を用いて常法に従って筒編地を製編し、精練、プリセットを施した後LOI値を測定した。結果は表2に示す通りであった。
[実施例2〜5及び比較例1〜3]
実施例1において使用した2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルの使用量を表2記載の量とする以外は実施例1と同様に実験を行った。結果は表2に示す通りであった。
[実施例6〜7及び比較例4〜6]
実施例1において使用した上記式(a)で示される有機リン化合物及び2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルの使用量をそれぞれ表2記載の量とする以外は実施例1と同様に実験を行った。結果は表2に示す通りであった。
[実施例8]
実施例1において使用した上記式(a)で示される有機リン化合物に代えて上記式(b)で示される有機リン化合物を使用する以外は実施例1と実験を同様に行った。結果は表2に示す通りであった。
[実施例9]
実施例1において使用した上記式(a)で示される有機リン化合物に代えて上記式(c)で示される有機リン化合物を使用する以外は実施例1と同様に実験を行った。結果は表2に示す通りであった。
[実施例10〜12]
実施例1において使用した2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルに代えてジフェニル−4,4’−ジカルボン酸ジメチルを表2記載の量使用する以外は実施例1と同様に実験を行った。結果は表2に示す通りであった。
Figure 2008179715
本発明によれば、燃焼時にドリップを抑制する難燃性の高いポリエステル共重合体を得ることができ、繊維、フィルム、樹脂などの成形物にしたときに耐ドリップ型の優れた難燃性の成形物とすることができる。特に、本発明のポリエステル共重合体を溶融紡糸して製造したポリエステル繊維は、従来のドリップ型難燃性ポリエステル繊維とは異なり耐ドリップ型の難燃性を呈するため、着炎部分のドリップが抑制される。このため、着炎物や溶融物による火傷や延焼の危険性を防ぐことができるので、カーテン、インテリア、椅子張りなどのホーム・リビングテキスタイル用途、衣料用途、産業用途などで好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表わされるカルボキシホスフィン酸系有機リン化合物が該ポリエステル共重合体中のリン原子の含有量として0.3〜1.5重量%となる量共重合されており、かつ下記一般式(II)で表わされる芳香族ジカルボン酸化合物が該ポリエステル共重合体を構成する全酸成分に対して0.5〜5.0モル%となる量共重合されているポリエステル共重合体であって、230℃以上の融点と70℃以上のガラス転移点とを有することを特徴とする難燃性ポリエステル共重合体。
    Figure 2008179715
    Figure 2008179715
  2. 窒素雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの600℃到達時点における加熱残分量が15重量%以上、かつ空気雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの減量開始温度が405℃以上であることを特徴とする請求項1記載の難燃性ポリエステル共重合体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の難燃性ポリエステル共重合体から実質的になり、LOI値が27以上であることを特徴とする難燃性ポリエステル繊維。
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