JP2008179541A - 神経因性疼痛治療薬 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 下記式(I)
Figure 2008179541

で表される化合物、その製薬学的に許容される塩、それらの溶媒和物を有効成分とする神経因性疼痛治療剤。
【効果】 経口投与が可能で、中枢作用などの副作用が少なくより安全性が高く、有効性に優れた神経因性疼痛治療剤である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脳内移行性が低く末梢組織特異的に作用するシグマ1受容体のリガンド、より詳細には、ピロリジン環あるいはアゼチジン環を有する特定の誘導体を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤、とりわけ糖尿病性疼痛治療剤、ヘルペス後神経痛治療剤に関する。
シグマ受容体結合リガンドの研究は、古く1970年代に始まり、受容体そのものが同定される以前からオピオイド受容体作動薬の開発過程において見出された化合物が知られていた(ザ ジャーナル オブ ファーマコロジー アンド エクスペリメンタル セラピューティクス(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)」、(米国)、1976年、第197巻、p.517−532)。したがって当時、シグマ受容体はオピオイド受容体のひとつとして認識されていたが、その後の研究により全てのオピオイド受容体を拮抗阻害するナロキソンでも結合が阻害されないことから、オピオイド受容体ではないことが示唆された(プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proceedings of the National Academy of Sciences)」、(米国)、1984年、第81巻、p.5618−5621)。その後、多くのシグマ受容体リガンドが合成されて、ベンゾモルファン類や(+)ペンタゾシンなどの多くの化合物が合成されて、鎮痛作用、神経保護作用、抗うつ作用、抗不安作用、鎮咳作用など、多種の作用が期待されて医薬品としての開発が進められてきた。しかしながら未だにシグマ受容体に結合することが主作用である化合物は上市されていない。
シグマ受容体は、リガンドの結合活性からシグマ1受容体およびシグマ2受容体の二つが存在していると考えられており、そのうち、シグマ1受容体は1996年に同定された(プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proceedings of the National Academy of Sciences)」、(米国)、1996年、第93巻、p.8072−8077)。報告されたシグマ1受容体は223個のアミノ酸からなる分子量約25KDaの膜タンパク質であったが、他の公知のタンパク質とは全く異なる構造であり、わずかに酵母のsterolイソメラーゼに相同性を示すのみであった。そして、多くの研究が精力的に続けられてきているが、いまだ情報は乏しく、GPCRなどのような細胞内情報伝達経路は未だ明らかにされておらず、シグマ1受容体リガンドの疼痛反応に対する作用も明確に証明されていない。
多くのシグマ1受容体リガンドは、脂溶性が高く脳内に移行して抗うつ作用、神経保護作用を示すことを目的に開発されたものであり、必然的に中枢組織への作用が懸念されて、末梢組織で誘発される疼痛反応の抑制のみを目的とする安全な鎮痛薬として開発することが困難であった。
「痛みは、組織の実質的あるいは潜在的な傷害に基づいて起こる不快な感覚的・情動的体験、また、このような表現を使って述べられる感覚・情動体験も含まれる」と、定義されている。痛みは、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、心因性疼痛に分類される。
侵害受容性疼痛は、機械刺激、温度刺激、化学的刺激によって引き起こされる生理的な痛みであり、危険から身を守るための不快な感覚体験に基づいた生体センサーとしての役割を果たしている。
神経因性疼痛は、末梢から中枢への神経伝達系のどこかの部分の一次的損傷によって惹起されるか、機能異常によって引き起こされる痛みである(図説最新麻酔科学シリーズ4
、痛みの臨床 第1章、檀健二郎、1998年、メジカルビュー社)。
神経因性疼痛を引き起こす原因となる神経の傷害は、代表的には、末梢神経、神経叢または神経周囲軟組織への外傷または傷害等であるが、中枢性の体性感覚経路(脊髄、脳幹、視床または皮質レベルでの上行体性感覚経路など)への傷害によっても起こる。例えば、神経変性疾患、骨変性疾患、代謝異常疾患、癌、感染、炎症、外科的手術後、外傷、放射線治療、抗癌剤による治療等いずれによっても発生し得る。しかし、その病態生理学、あるいは、特に発症の分子的メカニズムが完全に明らかにされているわけではない。
糖尿病性疼痛には高血糖を急速に是正したときに発症する急性疼痛と、脱髄、神経再生などの要因で発症する慢性疼痛に大きく分かれる。この糖尿病性疼痛のうち、慢性疼痛は糖尿病による血流の低下により後根神経節の炎症が生じ、引き続き生じる神経線維の再生により、神経の自然発火や易興奮性が起きる神経因性疼痛である。治療法としては非ステロイド性抗炎症薬、抗うつ剤、カプサイシンクリームなどが使用されているが単一薬剤で多種の糖尿病性疼痛を治癒できる満足のいく糖尿病性疼痛治療薬はない(参照文献:医薬のあゆみ 第211巻・第5号 2004年、特集「痛みシグナルの制御機構と最新治療エビデンス」)。
神経因性疼痛を特徴づける皮膚の反応異常として、例えばアロディニアが知られている。アロディニアとは正常なヒトでは痛みと感じない刺激で痛みを感じる状態である。アロディニアでは触刺激により痛みが引き起こされる、すなわち、感覚反応の質的な転換がある点、及び、その閾値自体が低下している点がアロディニアの基本的な特性と考えられている。神経因性疼痛の代表であるヘルペス後神経痛では、87%の患者にアロディニアが確認されている。そして、ヘルペス後神経痛の痛みの強さは、アロディニアの度合に比例しているとされている。患者の自由を著しく縛る症状としてアロディニアがヘルペス後神経痛の治療対象として注目されている。
ヘルペスは、一度感染したヘルペスウィルスが神経で再活性化して発症する疾患でヘルペス患者の70%が強い疼痛を感じる。この疼痛は疾患の治癒と共に消失するが、10%前後の患者は治癒後も痛みが長年にわたって残存していわゆるヘルペス後神経痛に悩まされている。発症機序は、ヘルペスの再増殖が神経節から起きており、この際に発生した神経傷害がシナプスの再編成を促して神経因性疼痛であるアロディニアを起こしていると言われている。臨床現場では高齢者ほどヘルペス後神経痛を発症しやすく、70%以上は60歳以上の症例である。治療薬として抗痙攣薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイドなどが使用されているが完全な治療法はない(参照文献:痛み -基礎・診断・治療- 花岡一雄[編集] 朝倉書店 2004年)。
神経因性疼痛において、慢性的な疼痛症状を訴え、疼痛そのものが日常生活に支障をきたしているような患者に対して鎮痛療法を行うことは、直接、生活(生命)の質(Quality of Life)を改善することにつながる。しかし、神経因性疼痛にはモルヒネを代表とする中枢性鎮痛薬、非ステロイド性消炎鎮痛薬やステロイドは無効であるとされており、実際の薬物療法では、アミトリプチリンなどの抗うつ薬の処方や、ガバペンチン、プレガバリン、カルバマゼピン、フェニトインなどの抗癲癇薬、メキシレチンなどの抗不整脈薬が転用、処方されている。ところが、これらの薬物には、副作用として、アミトリプチリンには口渇、眠気、鎮静、便秘、排尿困難などが、カルバマゼピン、フェニトインにはふらつき、発疹、消化器症状、心毒性などが、ガバペンチンには傾眠やめまいが、メキシレチンにはめまいや消化器症状などが知られている。特異的な神経因性疼痛治療薬ではないこれらの薬物は、薬効と副作用の乖離が悪く、治療の満足度は低い。従って、経口投与でより高い有効性を示し、副作用の少ない神経因性疼痛治療剤が求められている。
ピロリジン環あるいはアゼチジン環の3−位に、ヘテロ原子(とりわけ、窒素原子)を
有するアルキレン鎖が結合した構造の化合物としては、特許文献1に抗菌剤として極めて優れた新規なピリドンカルボン酸の中間体、あるいは特許文献2に5HT1like受容体アゴニストとして、偏頭痛等の治療に用いる化合物として開示されている。しかしながら、該へテロ原子にアリール基が直接結合した化合物の開示はない。また、特許文献3には、3−ヒドロキシ−ピロリジン誘導体、或いは3−ヒドロキシ−アゼチジン誘導体が開示されており、鎮咳薬に用いられることの記載はある。しかしながら、これらいずれの特許文献においても、シグマ受容体に対する作用や神経因性疼痛抑制作用については開示も示唆もない。
医薬品開発においては、目的とする薬理活性のみでなく、吸収、分布、代謝、排泄等の各種の面で厳しいクライテリアを満たすことが要求される。例えば、薬物相互作用、脱感受性ないし耐性、経口投与時の消化管吸収、小腸内への移行速度、吸収速度と初回通過効果、臓器バリアー、蛋白結合、薬物代謝酵素の誘導、排泄経路や体内クリアランス、適用方法(適用部位、方法、目的)等において種々の検討課題が要求され、これらを満たすものはなかなか見出されない。
また、近年、医薬品による催不整脈作用、特に心電図におけるQT間隔延長作用が注目を集めている。
薬物によるQT延長は、それに続く致死的な副作用(心室頻拍や突然死など)を誘発する可能性があるため、その作用の有無を検出することは安全性の高い医薬品開発にとって非常に重要で、ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)でもその必要性が取り上げられている。動物心臓での心電図測定や心筋細胞の活動電位測定以外に、ヒトに対して安全な薬物の評価、すなわち、ヒトにおけるQT間隔延長作用を予測する評価方法として、hERG(human ether-a-go-go related gene)チャネルに対する作用を検討する方法が知られている。心臓への副作用において重要性が認識されているhERGチャネルに対する作用のない薬物を見出すことは、ヒトに対してより安全な医薬品を開発する点において重要な課題のひとつである。
神経因性疼痛治療剤についてもこれらの医薬品開発上の総合的課題は常にある。
そして、神経因性疼痛治療剤については、加えて、先述した現在神経因性疼痛の治療に転用されている従来の薬物より、前出のような副作用の少ない、且つ有用性の高い神経因性疼痛治療剤が求められているのである。
国際公開第93/13101号パンフレット 国際公開第97/42189号パンフレット 国際公開第2004/048326号パンフレット
かかる状況下において、経口投与が可能であり、中枢作用などの副作用が少なくより安全性が高く、有効性に優れた神経因性疼痛治療剤、とりわけ糖尿病性疼痛治療剤、ヘルペス後神経痛治療剤が求められている。特に、前述のような従来技術における問題点、より具体的に言えば、アミトリプチリンの副作用である口渇、眠気、鎮静、便秘、排尿困難など、カルバマゼピン、フェニトインの副作用である発疹、消化器症状、心毒性など、ガバペンチンの副作用である傾眠やめまいなど、メキシレチンの副作用であるめまいや消化器症状などにおいて、あるいはhERG電流の抑制作用がないなど、少なくとも1つ以上を克服したヒトを含む哺乳動物に対して経口投与可能な薬剤、とりわけ臨床上使い勝手のよい神経因性疼痛治療剤が切望されている。
脳内移行性が低く末梢組織特異的に作用するシグマ1受容体のリガンド、とりわけ式(I)で表される化合物、それらの製薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物、有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤、とりわけ、糖尿病性疼痛治療剤、ヘルペス後神
経痛治療剤の提供。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、副作用が少なくより安全性が高く、有効性に優れた神経因性疼痛抑制作用を有する化合物を得るべく、鋭意研究を重ねてきた結果、式(I)で表されるピロリジン環あるいはアゼチジン環を有する特定の誘導体またはそれらの製薬学的に許容される塩が、(1)シグマ1受容体を介して、優れた神経因性疼痛抑制作用を有すること、(2)脳内移行性が極めて少なく、中枢作用を示さないこと、且つ(3)hERGチャネル阻害作用がなく、安全性が高いこと等の特徴を有することを見出した。経口投与可能な神経因性疼痛治療剤、とりわけ、糖尿病性疼痛治療剤、ヘルペス後神経痛治療剤として期待される。
本発明は、以下の態様に示される式(I)で表される化合物または製薬学的に許容されるその塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする神経因性疼痛治療剤、とりわけ糖尿病性疼痛治療剤、ヘルペス後神経痛治療剤である。
以下本発明の各態様について説明する。
[本発明の態様]
[1]
本発明の第1の態様は、下記式(I)
Figure 2008179541
(式中、Aは基:L−W(Lは結合またはメチレンを表し、Wは酸素原子、基:SOn(nは0から2の整数を表す)または基:−NR7−(R7は水素原子もしくは低級アルキル基を表す)を表す)を表し、Gは(CH2)m(mは0または1)を表し、Yは低級アルキレンまたはR4で置換されていてもよいベンジリデン基を表し、Zは結合、または酸素原子を表し、またZが結合を表す時Yはベンゼン環上の炭素原子とともに5ないし6員環を形成していてもよく、R1は、ニトロ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキル基でモノ−もしくはジ−置換されていてもよいカルバモイル基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいN−ヒドロキシカルバモイル基、保護されていてもよい水酸基で置換された低級アルキル基、保護されていても良いカルボキシル基で置換された低級アルキル基またはテトラゾリル基を表し、R2,R3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基またはニトロ基を表し、R4、R5は、各々独立して水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基または低級アルキルスルホニル基を表し、R6は水素原子もしくは低級アルキル基を表す。)で表される化合物、その製薬学的に許容される塩、
またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤である。
以下に、上記式(I)中の各基について具体的に説明する。
本発明の各式中の基の定義において、
「低級」とは、特に断らない限り、炭素数1ないし4個のいずれかを有する直鎖、分枝状、または環状の炭素鎖を意味し、「C1−4」とも表記される。従って、「低級アルキル基」としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられる。
「低級アルコキシカルボニル基」とは、アルコキシ基の炭素数が1ないし4個のいずれかを有するC1−4アルコキシカルボニル基を意味し、メトシキカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、シクロプロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、シクロブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
「低級アルキル基でモノ−もしくはジ−置換されていてもよいカルバモイル基」とは、カルバモイル基の窒素原子上の一つ又は二つの水素原子が前記「低級アルキル基」で置換されていてもよいカルバモイル基を意味する。具体的には、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、イソプロピルカルバモイル基、シクロプロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、イソブチルカルバモイル基、sec−ブチルカルバモイル基、tert−ブチルカルバモイル基、シクロブチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジプロピルカルバモイル基、ジイソプロピルカルバモイル基、ジシクロプロピルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ジイソブチルカルバモイル基、ジsec−ブチルカルバモイル基、ジtert−ブチルカルバモイル基、ジシクロブチルカルバモイル基、エチルメチルカルバモイル基、メチルプロピルカルバモイル基、エチルプロピルカルバモイル基、ブチルメチルカルバモイル基、ブチルエチルカルバモイル基、ブチルプロピルカルバモイル基等が挙げられる。
「低級アルキレン基」とは炭素数が1ないし4のアルキレン基を意味し、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等があげられる。
「オキソアルキレン基」とは前述のアルキレン基の1個のメチレンがカルボニル基に変換されたものを意味する。
本明細書中の「保護されていてもよい水酸基」の保護基としては、メチル基・tert−ブチル基・ベンジル基・トリチル基・メトキシメチル基等のアルキル系保護基、トリメチルシリル基・tert−ブチルジメチルシリル基等のシリル系保護基、ホルミル基・アセチル基・ベンゾイル基等のアシル系保護基、メトキシカルボニル基・ベンジルオキシカルボニル基等のカルボネート系保護基が挙げられる。
本明細書中の「保護されていてもよいカルボキシル基」の保護基としては、メチル基・エチル基・tert−ブチル基・ベンジル基・ジフェニルメチル基・トリチル基等のアルキルエステル系保護基、トリメチルシリル基・tert−ブチルジメチルシリル基等のシリルエステル系保護基等が挙げられる。
「保護されていてもよいN−ヒドロキシカルバモイル基」の保護基としてはテトラヒドロピラニル基等があげられる。
「保護されていてもよい水酸基で置換された低級アルキル基」としては、前記低級アルキル基に水酸基が置換した場合を包含する。具体的には、「保護されていてもよい水酸基で置換されたC1−4アルキル基」として、例えばヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロ
キシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、1−ヒドロキシシクロプロピル基、1−ヒドロキシシクロプロピルメチル基等が挙げられる。
「Zが結合を表す時Yはベンゼン環上の炭素原子とともに5ないし6員環を形成していてもよく」とは、Zが結合であり、Yが低級アルキレン基である場合に、その1つの炭素原子とベンゼン環上の炭素原子が低級アルキレン基で結合した場合を意味し、例えば、Yがエチレン基であり、エチレン基の窒素原子と隣接する炭素原子とベンゼン環上の炭素原子とが、メチレン基もしくはエチレン基を介してつながった場合である。具体的には、2−インダニル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフチル基等が挙げられる。
「保護されていても良いカルボキシル基で置換された低級アルキル基」としては、前記低級アルキル基及びそのアルキル基にカルボキシル基が置換した場合を包含する。具体的には、「保護されていてもよいカルボキシル基で置換されたC1−4アルキル基」として、例えばカルボキシメチル基、1−カルボキシエチル基、2−カルボキシエチル基、1−カルボキシ1−メチルエチル基、1−カルボキシプロピル基、2−カルボキシプロピル基、3−カルボキシプロピル基、1−カルボキシ1−メチルプロピル基、1−カルボキシブチル基、2−カルボキシブチル基、3−カルボキシブチル基、4−カルボキシブチル基、1−カルボキシシクロプロピル基、1−カルボキシシクロプロピルメチル基等が挙げられる。
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「ハロゲン原子で置換されていても良い低級アルキル基」としては、前記低級アルキル基及びそのアルキル基にハロゲン原子が置換した場合を包含する。具体的には、「ハロゲン原子で置換されたC1−4アルキル基」として、例えば、フルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、1−フルオロ−1−メチルエチル基、1−フルオロプロピル基、2−フルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基、1−フルオロ−1−メチルプロピル基、1−フルオロブチル基、2−フルオロブチル基、3−フルオロブチル基、4−フルオロブチル基、1−フルオロシクロプロピル基、1−フルオロシクロプロピルメチル基、トリフルオロメチル基等;クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、1−クロロ−1−メチルエチル基、1−クロロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、1−クロロ−1−メチルプロピル基、1−クロロブチル基、2−クロロブチル基、3−クロロブチル基、4−クロロブチル基、1−クロロ−シクロプロピル基、1−クロロ−シクロプロピルメチル基、トリクロロメチル基等;ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、1−ブロモ1−メチルエチル基、1−ブロモプロピル基、2−ブロモプロピル基、3−ブロモプロピル基、1−ブロモ−1−メチルプロピル基、1−ブロモブチル基、2−ブロモブチル基、3−ブロモブチル基、4−ブロモブチル基、1−ブロモシクロプロピル基、1−ブロモシクロプロピルメチル基、トリブロモメチル基等が挙げられる。好ましくは、トリフルオロメチル基が挙げられる。
「低級アルコキシ基」としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロプロピルメチルオキシ基、等が挙げられる。
「ハロゲン原子で置換されていても良い低級アルコキシ基」としては、前記低級アルコキシ基及びそのアルコキシ基にハロゲン原子が置換した場合を包含する。具体的には、「ハロゲン原子で置換されたC1−4アルコキシ基」として、例えば、フルオロメトキシ基、1−フルオロエトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1−フルオロ−1−メチルエトキシ基、1−フルオロプロポキシ基、2−フルオロプロポキシ基、3−フルオロプロポキシ基、1−フルオロ−1−メチルプロポキシ基、1−フルオロブトキシ基、2−フルオロブ
トキシ基、3−フルオロブトキシ基、4−フルオロブトキシ基、1−フルオロシクロプロピルオキシ基、1−フルオロシクロプロピルメチルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等;クロロメトキシ基、1−クロロエトキシ基、2−クロロエトキシ基、1−クロロ−1−メチルエトキシ基、1−クロロプロポキシ基、2−クロロプロポキシ基、3−クロロプロポキシ基、1−クロロ−1−メチルプロポキシ基、1−クロロブトキシ基、2−クロロブトキシ基、3−クロロブトキシ基、4−クロロブトキシ基、1−クロロ−シクロプロポキシ基、1−クロロ−シクロプロピルメトキシ基、トリクロロメトキシ基等;ブロモメトキシ基、1−ブロモエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、1−ブロモ−1−メチルエトキシ基、1−ブロモプロポキシ基、2−ブロモプロポキシ基、3−ブロモプロポキシ基、1−ブロモ−1−メチルプロポキシ基、1−ブロモブトキシ基、2−ブロモブトキシ基、3−ブロモブトキシ基、4−ブロモブトキシ基、1−ブロモシクロプロポキシ基、1−ブロモシクロプロピルメトキシ基、トリブロモメトキシ基等が挙げられる。好ましくは、トリフルオロメトキシ基が挙げられる。
「低級アルキルチオ基」としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロプロピルメチルチオ基、等が挙げられる。
「低級アルキルスルフィニル基」としては、例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、シクロプロピルスルフィニル基、シクロブチルスルフィニル基、シクロプロピルメチルスルフィニル基等が挙げられる。
「低級アルキルスルホニル基」とは、基:−SO2−(C1−4アルキル基)であり、「C1−4アルキルスルホニル基」とも表す。例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基等が挙げられる。
「低級アルカノイル基」としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。
本発明に用いられる化合物中の置換基の定義において好ましいものの態様は以下の通りである。
[1−1]
式(I)で表される化合物において、R1は、ニトロ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキル基でモノ−もしくはジ−置換されていてもよいカルバモイル基、保護されていてもよいカルボキシル基、またはテトラゾリル基である。
[1−1−a]
好ましくは、R1は、ニトロ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、カルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、カルボキシル基、またはテトラゾリル基であり、より好ましくは、カルボキシル基である。
[1−1−b]
1の置換位置は、Aが結合している炭素原子に対してオルト位、メタ位、パラ位が挙げられ、パラ位(4位)であることが好ましい。
[1−1−c]
1は、Aのパラ位に結合したカルボキシル基であることがより好ましい。
[1−2]
式(I)で表される化合物において、R4は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキルチオ基または低級アルキルスルホニル基である。
[1−2−a]
好ましくは、R4は、フッ素原子、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シアノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、またはイソプロピルスルホニル基であり、より好ましくはシアノ基である。
[1−2−b]
4の置換位置は、Zが結合した炭素原子に対してオルト位、メタ位、パラ位が挙げられ、パラ位であることが好ましい。
[1−2−c]
4としては、パラ位に結合したシアノ基であることがより好ましい。
[1−3]
式(I)で表される化合物において、R5は、水素原子または低級アルコキシ基である。
[1−3−a]
好ましくは、R5は、水素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基であり、より好ましくは水素原子である。
[1−3−b]
4が低級アルコキシ基である場合には、R5としては、低級アルコキシ基である。
[1−4]
式(I)で表される化合物において、Wは、基:−NR7−である。
[1−5]
式(I)で表される化合物において、R7は、低級アルキル基である。
[1−5−a]
好ましくは、R7は、メチル基またはエチル基である。
[1−6]下記式(IIa)
Figure 2008179541
(式中、R7は水素原子もしくは低級アルキル基を表し、R1’は、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキル基でモノ−もしくはジ−置換されていてもよいカルバモイル基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよい水酸基で置換された低級アルキル基、保護されていても良いカルボキシル基で置換された低級アルキル基またはテトラゾリル基を表し、R4’は、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基または低級アルキルスルホニル基を表し、R5’は、水素原子または低級アルコキシ基を表す。)で表される化合物、その製薬学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤である。
態様1−6の式(IIa)の化合物中の置換基の定義において好ましいものの態様は以下の通りである。
[1−6−a]
式(IIa)で表される化合物において、R1’は、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキル基でモノ−もしくはジ−置換されていてもよいカルバモイル基、水酸基またはカルボキシル基である。
[1−6−a−1]
好ましくは、R1’は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、カルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基またはカルボキシル基であり、より好ましくは、カルボキシル基である。
[1−6−a−2]
1’の置換位置は、−NR7−が結合している炭素原子に対してオルト位、メタ位、パラ位が挙げられ、パラ位(4位)であることが好ましい。
[1−6−a−3]
1’は、−NR7−が結合している炭素原子に対してパラ位に結合したカルボキシル基であることがより好ましい。
[1−6−b]
式(IIa)で表される化合物において、R4’は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキルチオ基または低級アルキルスルホニル基である。
[1−6−b−1]
好ましくは、R4’は、フッ素原子、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シアノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基またはブチルスルホニル基であり、より好ましくはシアノ基である。
[1−6−b−2]
4’の置換位置は、−CH2CH2−が結合した炭素原子に対してオルト位、メタ位、パラ位が挙げられ、パラ位であることが好ましい。
[1−6−b−3]
4’としては、パラ位に結合したシアノ基であることがより好ましい。
[1−6−c]
式(IIa)で表される化合物において、好ましくは、R5’は、水素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基であり、より好ましくは水素原子である。[1−6−c−1]
4’が低級アルコキシ基である場合には、R5’としては、低級アルコキシ基である。
[1−6−d]
式(IIa)で表される化合物において、R7は、低級アルキル基である。
[1−6−d−1]
好ましくは、R7は、メチル基またはエチル基である。
[1−7]下記式(IIb)
Figure 2008179541
(式中、R7は水素原子もしくは低級アルキル基を表し、R1’は、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキル基でモノ−もしくはジ−置換されていてもよいカルバモイル基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよい水酸基で置換された低級アルキル基、保護されていても良いカルボキシル基で置換された低級アルキル基またはテトラゾリル基を表し、R4’は、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基または低級アルキルスルホニル基を表し、R5’は、水素原子または低級アルコキシ基を表す。)で表される化合物、その製薬学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する神経因性疼痛治療剤である。
態様1−7の式(IIb)の化合物中の置換基の定義において好ましいものの態様は以下の通りである。
[1−7−a]
式(IIb)で表される化合物において、R1’は、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキル基でモノ−もしくはジ−置換されていてもよいカルバモイル基、水酸基またはカルボキシル基である。
[1−7−a−1]
好ましくは、R1’は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、カルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基またはカルボキシル基であり、より好ましくは、カルボキシル基である。
[1−7−a−2]
1’の置換位置は、−NR7−が結合している炭素原子に対してオルト位、メタ位、パラ位が挙げられ、パラ位(4位)であることが好ましい。
[1−7−a−3]
1’は、−NR7−が結合している炭素原子に対してパラ位に結合したカルボキシル基であることがより好ましい。
[1−7−b]
式(IIb)で表される化合物において、R4’は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキルチオ基または低級アルキルスルホニル基である。
[1−7−b−1]
好ましくは、R4’は、フッ素原子、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シアノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基またはブチルスルホニル基であり、より好ましくはシアノ基である。
[1−7−b−2]
4’の置換位置は、−CH2CH2−が結合した炭素原子に対してオルト位、メタ位、パラ位が挙げられ、パラ位であることが好ましい。
[1−7−b−3]
4’としては、パラ位に結合したシアノ基であることがより好ましい。
[1−7−c]
式(IIb)で表される化合物において、好ましくは、R5’は、水素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基であり、より好ましくは水素原子である。[1−7−c−1]
4’が低級アルコキシ基である場合には、R5’としては、低級アルコキシ基である。
[1−7−d]
式(IIb)で表される化合物において、R7は、低級アルキル基である。
[1−7−d−1]
好ましくは、R7は、メチル基またはエチル基である。
[1−8]好ましい化合物の例として、
4−({1−[2−(4−シアノフェニル)エチル]−3−ヒドロキシピロリジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸;
4−({1−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸メチル;
4−({1−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸;
4−({1−[2−(4−メチルチオフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸メチル;
4−({1−[2−(4−メチルチオフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸;
4−({1−[2−(4−メチルスルホニルフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸メチル;
4−({1−[2−(4−メチルスルホニルフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸;
4−({1−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸メチル;
4−({1−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸;
4−({1−[2−(4−シアノフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸
或いはそれらの製薬学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物が挙げられる。
[2]
本発明の第2の態様は、前記式(I)で表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、糖尿病性疼痛治療剤である。
[3]
本発明の第3の態様は、前記式(I)で表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、ヘルペス後神経痛治療剤である。
[4]
本発明の第4の態様は、前記式(IIa)で表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、糖尿病性疼痛治療剤である。
[5]
本発明の第5の態様は、前記式(IIa)で表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、ヘルペス後神経痛治療剤である。
[6]
本発明の第6の態様は、前記式(IIb)で表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、糖尿病性疼痛治療剤である。
[7]
本発明の第7の態様は、前記式(IIb)で表される化合物、または製薬学的に許容されるその塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、ヘルペス後神経痛治療剤である。
第2ないし第7の態様において、前記式(I)で表される化合物において、好ましい置換基、またはそれらの組み合わせは、第1の態様に記載されている。
[8]
本発明の第8の態様は、前記態様[1−8]に記載の化合物、または製薬学的に許容されるその塩またはそれらの溶媒和物の少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とする、糖尿病性疼痛治療剤である。
[9]
本発明の第9の態様は、前記態様[1−8]に記載の化合物、または製薬学的に許容されるその塩またはそれらの溶媒和物の少なくとも1つを有効成分として含有することを特徴とする、ヘルペス後神経痛治療剤である。
上記本発明の[1]〜[9]のそれぞれに記載の各態様において、
(1)シグマ1受容体結合活性(例えば、後述する実験例1)であれば、Ki値で
10nM〜10μM、
(2)脳内移行性(例えば、後述する実験例4)であれば、血漿中濃度に対する脳内濃度
の比率が5%以下、好ましくは3%以下、
(3)hERGチャネル阻害活性(例えば、後述する実験例6)であれば、10μMで
50%以下の阻害活性、好ましくは30μMで50%以下の阻害活性、より好まし
くは100μMで50%以下の阻害活性、
の少なくとも1つを満たす化合物を用いることが好ましい。
以上の全ての態様において、「化合物」の文言を用いるとき、「その製薬学的に許容される塩」についても言及するものとする。また、本発明化合物は不斉炭素を有する場合があり、本発明化合物には、幾何異性体、互変異性体、光学異性体などの各種の立体異性体の混合物や単離されたものが含まれる。かかる立体異性体の単離、精製は、優先晶出やカラムクロマトグラフィーを用いた光学分割あるいは不斉合成を通じて当業者が通常の技術により為し得ることができる。
本発明の式(I)の化合物は、酸付加塩を形成する場合がある。また、置換基の種類によっては塩基との塩を形成する場合もある。かかる塩としては、製薬学的に許容しうる塩であれば特に限定されないが、具体的には、塩酸、臭化水素酸、よう化水素酸、硫酸、硝酸、りん酸等の鉱酸類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、エナント酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、乳酸、ソルビン酸、マンデル酸等の脂肪族モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族モノカルボン酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、フマル酸、マレイン酸、りんご酸、酒石酸等の脂肪族ジカルボン酸、くえん酸等の脂肪族トリカルボン酸などの有機カルボン酸類;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸などの有機スルホン酸類;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸類等との酸付加塩、及びナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属等の金属との塩、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、ピリジン、リシン、アルギニン、オルニチン等の有機塩基との塩や、アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの塩は常法,例えば、当量の本発明化合物と所望の酸あるいは塩基等を含む溶液を混合し、所望の塩をろ取するか溶媒を留去して集めることにより得ることができる。また、本発明化合物またはその塩は、水、エタノール、グリセロールなどの溶媒と溶媒和物を形成しうる。
また、本発明化合物の塩には、モノ塩およびジ塩が含まれる。或いは本発明化合物は側鎖の置換基によっては、酸付加塩と塩基の塩の両方を同時に形成しうる。
更に本発明は、式(I)、式(IIa)、式(IIb)で表される化合物の水和物、製薬学的に許容可能な各種溶媒和物や結晶多形のもの等も含まれる。尚、当然ながら本発明は、後述実施例に記載された化合物に限定されるものではなく、式(I)、式(IIa)、(IIb)で示される化合物または製薬学的に許容される塩の全てを包含するものである。
[本発明化合物の製造方法]
以下に、本発明に用いられる式(I)、式(IIa)、式(IIb)の化合物の製造方法について説明する。
本発明の式(I)、式(IIa)、式(IIb)の化合物、製薬学的に許容されるその塩およびそれらの溶媒和物は、国際公開第2004/048326号パンフレット、29−43頁に記載の製造方法あるいはこれに順ずる方法で製造することができる。該公報の18頁の反応式1の式(VII)で表される化合物、例えば、4−[(3−ヒドロキシピロリジン−3−イルメチル)メチルアミノ]安息香酸tert−ブチル(該公報の実施例8の工程4)、あるいは4−[(3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル)メチルアミノ]安息香酸メチル(該公報の実施例10の工程5)等を原料として、式(VIII)で表される化合物と反応させることで製造できる。
[薬理実験例]
以下に実験例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
<実験例1>
[膜画分を用いたヒトシグマ1受容体のラジオリガンド結合アッセイ]
Ganapathyらの方法(「ザ ジャーナル オブ ファーマコロジー アンド エクスペリメンタル セラピューティクス(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics )」、(米国)、1999年、第289巻、p.251−260)をもとに行った。すなわち、ヒトシグマ1受容体を発現したJurkat細胞より調製した膜画分を含む50mM Tris・HCl緩衝液(pH7.5)に、終濃度6.0nMのトリチウム標識(+)−pentazocineおよび被験化合物を含む緩衝液を加え、室温で120分間インキュベートした。ついで0.5%ポリエチレンイミンで前処理したMultiScreen−FCプレート(ミリポア社)を通過させて濾過した後、氷冷洗浄液で3回洗浄し、シンチレーションカウンターにてフィルターに結合した放射能を測定した。また、非特異的結合は、10μMのhaloperidolを添加することにより算出した。そして、シグマ1受容体への標識体結合に対する被験化合物の阻害率を求めた。その結果、実施例12の化合物のヒトシグマ1受容体に対する結合活性は、Ki値で0.7μMであった。
本発明の化合物は、上記の方法によりシグマ1受容体結合活性を測定すると、Ki値で10nM〜10μMの強度を示す。
<実験例2>
[ラット脊髄神経結紮モデル(チャンモデル)における有効性]
キム(Kim)らの方法(「ペイン(Pain)」、(米国)、1992年、第 50巻,p.355−363)に従って脊髄神経結紮モデルを作製した。即ち、ラットをペントバルビタールナトリウム50mg/kg腹腔内投与で麻酔して、背側正中線上を皮膚切開後、脊椎棘突起に沿って切開し、最終的に第5および第6腰髄神経を剥離した。そして、第5および第6腰髄神経を6−0絹糸で結紮した後、手術部位を縫合して飼育ケージに戻して飼育した。なお、偽手術群は、脊髄神経を剥離するまでの同様の処置を行った。
疼痛反応は、セルツァー(Seltzer)らの方法(「ペイン(Pain)」、(米国)、1990年、第43巻、p.205−218)に準じて行った。すなわち、手術後、2週間以上経過したラットをステンレスメッシュ状の床に載せ、プラスチック製の被いをかぶせ、十分に慣れさせた後に試験を行った。実施例12の化合物を経口投与した1、2、3、4時間後に、ラットの足底に種々の強度のvon Frey filaments(Stoelting)を弱い方から順に1秒に2回の頻度で3秒間押し当てることにより触刺激を加えた。そして、ラットが素早く後肢を引いたときの加圧値を反応閾値とした。なお、カットオフ値は28.84gの設定とした。
統計解析は下記の方法で行った、すなわち、反応閾値およびその最大反応閾値を求めた。統計解析は、Yukms StatLight(Yukms社)を用いて、最大反応閾値の平均値の差をノンパラメトリックなDunnettの多重比較法により行った。結果を図1に示したが、実施例12の化合物は用量依存的に神経傷害肢の閾値を上昇させた。それに対して正常肢の閾値は変化しなかった。
尚、本実験で示された実施例12の化合物の鎮痛作用は、シグマ1アンタゴニスト投与により消失した。
<実験例3>
[ラットSTZ誘発糖尿病性疼痛モデルにおける有効性]
フィールド(Field)らの方法(「ペイン(Pain)」、(米国)、1999年、第 80巻,p.391−398)に従ってSTZ誘発糖尿病性疼痛モデルを作製した。即ち、ラットにストレプトゾシン(STZ)を50mg/kgの用量で腹腔内投与して、2週間後に血糖値を測定して200mg/dL以上の発症ラットを選択した。そして実験例2と同じ方法でフォンフライフィラメント(von Frey filament)を用いて機械的刺激に対する反応閾値を測定した。糖尿病発症ラットに実施例12の化合物を経口投与して1、2、3、4時間後に、剛性強度の低い順にフィラメントを足底(中央部)に押し当て、挙上反応を示した強度を反応閾値とした。カットオフ値は、28.84gとした。実施例12の化合物は用量依存的にSTZ誘発糖尿病ラットの後肢の疼痛閾値を上昇させて、3、10、30mg/kgの経口投与により傷害肢の最大反応閾値1.90gをそれぞれ3.70g、4.17g、5.03gに上昇させた。
なお、対照物質として用いたプレガバリンは、10mg/kgの経口投与で傷害肢の最大反応閾値2.21gを4.54gに上昇させた。
<実験例4>
[脳内移行性試験]
実施例12の化合物の脳内への移行性を測定するために下記の試験を実施した。すなわち実施例12の化合物を絶食下のSDラット(日本SLC、オス、6週令)に300mg/kgの用量で経口投与し、投与後30分、1時間、2時間におけるラット血漿中濃度および脳内濃度を測定した。血漿中濃度の測定は以下の通り実施した。すなわち各時点において腹大動脈から採血し、遠心分離により血漿を得、内部標準物質を含むリン酸バッファーで希釈後、酢酸エチルにて化合物を抽出し、LC/MS/MS を用いて内部標準法で測定した。また脳内濃度は以下の通り実施した。すなわち各時点において上記採血後、へパリンを含む生理食塩水で全身灌流し、脳を摘出して海馬を分離した。これらの海馬を採取し、それぞれに内部標準物質を含むメタノールを添加して、ヒスコトロン(日音医理科器械製作所)にてホモジナイズし、遠心上清を LC/MS/MS を用いて内部標準法で測定した。その結果、各採取時間における実施例12の化合物の血漿中濃度に対する脳内濃度の比率はいずれも1〜2%であった。同時に、一般症状に何ら異常が認められなかったことから本発明化合物の低い毒性が示された。
本発明の化合物は、上記の方法により脳内移行性を測定すると、血漿中濃度に対する脳内濃度の比率は、5%以下、より詳細には3%以下を示す。
<実験例5>
[Rota Rod試験]
Ugo−Basile社製rota−rod装置(7750,ラット用,加速装置付き)を用いた。ラットを装置の棒上に乗せて、加速モードにて滞留時間を計測した。上限値を600秒に設定した。試験当日の午前中に2回ずつ試行を行い、滞留時間の平均値を元に群分けした。薬物を経口投与してから3時間後にそれぞれ2回ずつ試行を行い、滞留時間の平均値をデータとした。
統計解析は、下記の方法で実施した。それぞれ群ごとにrota−rod滞留時間の平均および標準誤差値を求めた。統計解析はYukms StatLightを用いて、平均値の差の検定はDunnettの多重比較法で行った。その結果、実施例12の化合物は300mg/kgの用量まで経口投与したが、何れの時点においても滞留時間への影響は認められなかった。それに対してプレガバリンは10、30mg/kgの用量で滞留時間の短縮が認められた。
<実験例6>
[hERG阻害活性測定]
(1)Rb efflux による hERG阻害試験
hERG(human ether-a-go-go)発現HEK細胞を96穴プレートに播種し、約24時間インキュベーションした。洗浄用緩衝液にて洗浄して培地を除去後、被験物質(本発明化合物)を含むK+ channel open緩衝液を添加して37℃で3時間インキュベーションした。次に、被験物質を含むRb+ Load 緩衝液に置換してさらに37℃で3時間インキュベーションし、細胞内にRb+を取り込ませた。次に、被験物質を含む洗浄用緩衝液にて洗浄後、被験物質を含むK+ channel open緩衝液を添加して37℃で5分間インキュベーションし、細胞内のRb+を細胞外に放出させた。別のプレートに上清を回収後,細胞を溶解させ、細胞溶解液を別のプレートに回収した。上清および細胞溶解液中に含まれるRb+の含量を測定し、hERG阻害率を算出した。被験物質(100μM)での阻害率(%)を表1に示した。本試験の結果において、本発明化合物は100μMで50%以下の阻害率であった。
Figure 2008179541
(2)ホールセルパッチクランプ法によるhERG阻害試験
hERG(human ether−a−go−go related gene)チャネルに対する作用をホールセルパッチクランプ法により測定した。細胞のhERG IKr電流を確認するため、膜電位を−80mVに保持して定期的に脱分極パルスを加えた。発生した電流が安定した後、灌流液に被験物質を添加した。被験物質のhERGチャネルに対する作用は、+20mV、4.8秒間の脱分極パルスに続く−50mV、5秒間の再分極パルスによって誘導されるtail電流の変化によって確認した。刺激は15秒に1回の頻度で行った。測定中は室温で行った。hERGチャネル阻害活性比較においては、被験物質適用前のtail電流に対する適用後(10−15分後)のtail電流の減少率(抑制率)を指標とした。その結果、実施例12の化合物の阻害活性は100μMの用量でも50%以下であった。
<実験例7>
[毒性試験]
Wistarラットの雄に実施例2、4、6、8、12の化合物を10mg/Kg経口投与したところ、一般症状に異常は認められず、死亡例も認められなかった。
以上の結果より、本発明の化合物は、ラット脊髄神経結紮モデル(チャンモデル)、ラットSTZ誘発糖尿病性疼痛モデルにおいて鎮痛効果が認められたことから、本発明の化合物は、神経因性疼痛治療剤として有効であることが示された。
また本発明の化合物は、in vitroでシグマ1受容体結合活性を示し、in vivoの神経因性疼痛モデルでの鎮痛作用がシグマ1受容体のアンタゴニストで消失することから、シグマ1受容体を介して鎮痛効果を示す。
更に、本発明の化合物は従来のシグマ1受容体リガンドと異なり、脳内移行性が極めて低く、且つ中枢作用を示さないことが明らかとなった。この結果から本発明の化合物は、従来の中枢移行性のシグマ1受容体リガンドと異なり、末梢組織に作用するシグマ1受容体リガンドであることが示された。
更に加えると、本発明の化合物は、hERG阻害活性を100μMの用量でも阻害しないことから、薬物によるQT延長とそれに続く致死的な副作用(心室頻拍や突然死など)を誘発する可能性が極めて低いことが示された。また、毒性試験において何ら異常が認められなかったことから、本発明化合物の極めて低い毒性が示された。
従って、本発明の化合物は、脳内移行性が低く、末梢組織に作用するシグマ1リガンドであり、神経因性疼痛の動物モデルで優れた鎮痛効果を有すること、中枢作用を示さず、心臓への副作用を誘発する可能性が低く、安全性が高いことから、優れた神経因性疼痛治療剤として期待できる。
本発明化合物は、以下の特定の疼痛疾患、末梢性のニューロパシー(例えば、反射性交感神経性ジストロフィー症(RSD))、急性期帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、三叉神経痛、術後痛、癌性疼痛、腰痛関連ニューロパシー、脊髄損傷後疼痛、下肢痛、カウザルギー、反射性交感神経性萎縮症、歯痛、肩関節周囲炎、変形性関節症、関節炎、リウマチに伴う疼痛などに使用できるが、それらに限定されない。また、これらの慢性疼痛疾患における時間経過に伴う徴候の悪化を防止または阻害する目的にも使用できる。
また、本発明化合物は、痛覚過敏(有害刺激に対して過度に反応する現象)、アロディニア(軽く触られただけでも痛みとして感じる状態)、自発痛(何もしないのに痛い)などの症状を示す疼痛疾患にも有効である。
更に、本発明化合物は、疼痛疾患のみならず、かゆみを伴う疾患、過敏性腸症候群などにも使用されうる。また、本発明化合物は血液脳関門を通過しないことから、中枢における副作用の恐れはないが、脳梗塞急性期、脳出血、一過性脳虚血、くも膜下出血、頭部外傷、脳手術後遺症、脳動脈硬化後遺症等の脳血管障害が生じている場合は、血液脳関門の透過性がその患部のみで亢進しているため、本発明化合物が他の脳組織に影響せずに、一過性に患部に到達しうるので、これらの疾患にも使用されうる。
本発明化合物は、他の薬物と併用することも可能である。例えば、ガバペンチンの他、プレガバリン、或いはアミトリプチリンなどの抗うつ薬;カルバマゼピン、フェニトインなどの抗癲癇薬;メキシレチンなどの抗不整脈薬等、神経因性疼痛に転用し、処方されているものが挙げられる。好ましくは、ガバペンチンまたはプレガバリンである。
本発明化合物と併用される薬物とを組み合わせて使用する場合は、別々の製剤であっても、合剤であっても良い。また、別々の製剤においては、両者を同時に服用することも、時間をずらして投与することも可能である。
本発明の医薬は、医薬組成物の形態で投与される。
本発明の医薬組成物は、本発明の式(I)、式(IIa)または式(IIb)で表される化合物の少なくとも一つ以上を含んでいればよく、医薬上許容される添加剤と組み合わせてつくられる。より詳細には、賦形剤(例;乳糖、白糖、マンニット、結晶セルロース、ケイ酸、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、結合剤(例;セルロース類(ヒド
ロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、結晶セルロース、糖類(乳糖、マンニット、白糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール)、デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、α化デンプン、デキストリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、マクロゴール、ポリビニルアルコール(PVA))、滑沢剤(例;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルボキシメチルセルロース)、崩壊剤(例;デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン)、被膜剤(例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、メタクリル酸コポリマーLD)、可塑剤(例;クエン酸トリエチル、マクロゴール)、隠蔽剤(例;酸化チタン)、着色剤、香味剤、防腐剤(例;塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル)、等張化剤(例;グリセリン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、マンニトール、ブドウ糖)、pH調節剤(例;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、塩酸、硫酸、リン酸緩衝液などの緩衝液)、安定化剤(例;糖、糖アルコール、キサンタンガム)、分散剤、酸化防止剤(例;アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、dl−α−トコフェロール)、緩衝剤、保存剤(例;パラベン、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム)、芳香剤(例;バニリン、l−メントール、ローズ油)、溶解補助剤(例;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール、リン脂質コレステロール、トリエタノールアミン)、吸収促進剤(例;グリコール酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、アシルカルニチン類、リモネン)、ゲル化剤、懸濁化剤、または乳化剤、一般的に用いられる適当な添加剤または溶媒の類を、本発明の化合物と適宜組み合わせて種々の剤形とすることが出来る。
種々の剤形とは、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、エアゾール剤、吸入剤、軟膏剤、貼付剤、坐剤、注射剤、トローチ剤、液剤、酒精剤、懸濁剤、エキス剤、エリキシル剤等があげられる。また、経口、皮下投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、経皮投与、静脈内投与、動脈内投与、神経周囲投与、硬膜外投与、硬膜下腔内投与、脳室内投与、直腸内投与、吸入等により患者に投与し得る。
本発明化合物の投与量は、通常成人1日当たり0.005mg〜3.0g、好ましくは0.05mg〜2.5g、より好ましくは0.1mg〜1.5gであるが、症状あるいは投与経路に応じて適宜増減できる。
全量を1回あるいは2−6回に分割して経口または非経口投与することや、点滴静注等、連続投与することも可能である。
[製剤例]
以下に、本発明の医薬組成物の例を挙げる。

製剤例1 錠剤
実施例2の化合物 100g
乳糖 137g
結晶セルロース 30g
ヒドロキシプロピルセルロース 15g
カルボキシメチルスターチナトリウム 15g
ステアリン酸マグネシウム 3g
上記成分を秤量した後,均一に混合する。この混合物を打錠して重量150mgの錠剤とする。
製剤例2 フィルムコーティング
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 9g
マクロゴール6000 1g
酸化チタン 2g
上記成分を秤量した後,ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール6000を水に溶解、酸化チタンを分散させる。この液を、製剤例1の錠剤300gにフィルムコーティングし、フィルムコート錠を得る。
製剤例3 カプセル剤
実施例4の化合物 50g
乳糖 435g
ステアリン酸マグネシウム 15g
上記成分を秤量した後、均一に混合する。混合物をカプセル封入器にて適当なハードカプセルに重量300mgずつ充填し、カプセル剤とする。
製剤例4 カプセル剤
実施例2の化合物 100g
乳糖 63g
トウモロコシデンプン 25g
ヒドロキシプロピルセルロース 10g
タルク 2g
上記成分を秤量した後、実施例2の化合物、乳糖、トウモロコシデンプンを均一に混合し、ヒドロキシプロピルセルロースの水溶液を加え、湿式造粒法により顆粒を製造する。この顆粒にタルクを均一に混合し,適当なハードカプセルに重量200mgずつ充填し,カプセル剤とする。
製剤例5 散剤
実施例10の化合物 200g
乳糖 790g
ステアリン酸マグネシウム 10g
上記成分をそれぞれ秤量した後、均一に混合し、20%散剤とする。
製剤例6 顆粒剤、細粒剤
実施例8の化合物 100g
乳糖 200g
結晶セルロース 100g
部分α化デンプン 50g
ヒドロキシプロピルセルロース 50g
上記成分を秤量した後、実施例8の化合物、乳糖、結晶セルロース,部分α化デンプンを加えて均一に混合し、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の水溶液を加え、湿式造粒法により顆粒又は細粒を製造する。この顆粒又は細粒を乾燥し、顆粒剤又は細粒剤とする。
つぎに、本発明をさらに詳細に説明するために実施例をあげるが、本発明はこれに限定されるものではない。
核磁気共鳴スペクトル(NMR)はジェオルJNM−EX270(JEOLJNM−EX270)FT−NMR(日本電子(株)製)またはジェオルJNM−LA300(JEOLJNM−LA300)FT−NMR(日本電子(株)製)を、赤外吸収スペクトル(IR)はホリバ(HORIBA)FT−720((株)堀場製作所製)を、融点はメトラ
ー(Mettler)FP900サーモシステム(メトラー・トレド(株)製)をそれぞれ用いて測定した。
(実施例1)
4−({1−[2−(4−シアノフェニル)エチル]−3−ヒドロキシピロリジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸の合成
国際公開第2004/048326号パンフレットの実施例14に記載の方法で標記化合物を得た。物性値は同号パンフレット記載の値と一致した。
(実施例2)
4−({1−[2−(4−シアノフェニル)エチル]−3−ヒドロキシピロリジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸 一塩酸塩の合成
国際公開第2004/048326号パンフレットの実施例29と同様の方法で、実施例1に記載の化合物を用いて、標記の化合物を得た。物性値は同号パンフレット記載の値と一致した。
(実施例3)
4−({1−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸メチルの合成
4−[(3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル)メチルアミノ]安息香酸メチル
一塩酸塩(550mg)および4−フルオロフェニルアセトアルデヒド(358mg)にジクロロメタン(15mL)を加え、氷水冷下でトリアセトキシ水素化ほう素ナトリウム(732mg)を加えた後、窒素雰囲気下2時間攪拌した。水(20mL)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えpH8以上に調整して分液した。水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に溶媒を留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル/メタノール)にて精製して標記化合物(421mg)を無色結晶として得た。
NMR(CDCl3、δ(ppm)):7.89(2H、d、J=9Hz)、7.2−6.9(4H、m)、6.82(2H、d、J=9Hz)、3.86(3H、s)、3.71(2H、s)、3.5−2.6(8H、m)、3.10(3H、s)
(実施例4)
4−({1−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸 一塩酸塩の合成
実施例3で得られた化合物(380mg)のメタノール(19mL)溶液に2N水酸化ナトリウム(2.0mL)を加えて8時間加熱還流した。減圧下に溶媒を留去して、残渣にエーテル、水を加えて分液した。水層をエーテルで洗浄した後、減圧濃縮し、残った水層(約4mL)を3N塩酸でpHを5〜7に調整した。析出した沈殿を濾取して水で洗浄後、乾燥して白色粉末(346mg)を得た。得られた粉末(330mg)を0.2N塩酸およびTHF(15mL)に溶解した後、減圧濃縮し、残渣をエーテルを用いて粉末化、濾取した。減圧下に乾燥して標記化合物(368mg)を得た。
NMR(CD3OD、δ(ppm)):8.0−6.9(8H、m)、4.4−2.7(8H,m)、3.68(2H、s)、3.14(3H、s)
(実施例5)
4−({1−[2−(4−メチルチオフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸メチルの合成
4−[(3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル)メチルアミノ]安息香酸メチル
一塩酸塩(500mg)および4−メチルチオフェニルアセトアルデヒド(392mg)を用いて、実施例3と同様にして標記化合物(474mg)を無色結晶として得た。
NMR(CDCl3、δ(ppm)):7.89(2H、d、J=9Hz)、7.19(2H、d、J=8Hz)、7.10(2H、d、J=8Hz)、6.82(2H、d、J=9Hz)、3.86(3H、s)、3.71(2H、s)、3.5−2.6(8H、m)、3.10(3H、s)、2.47(3H、s)
(実施例6)
4−({1−[2−(4−メチルチオフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸 一塩酸塩の合成
実施例5で得た化合物(440mg)を用いて、実施例4と同様にして標記化合物(362mg)を結晶として得た。
NMR(CD3OD、δ(ppm)):7.89(2H、d、J=9Hz)、7.3−6.8(6H、m)、4.3−2.8(8H、m)、4.0−3.9(2H,m)、3.67(2H、s)、3.13(3H、s)、2.44(3H、s)
(実施例7)
4−({1−[2−(4−メチルスルホニルフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸メチルの合成
4−[(3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル)メチルアミノ]安息香酸メチル
一塩酸塩(800mg)、4−メチルスルホニルフェニル酢酸(627mg)およびトリエチルアミン(389μL)にジクロロメタン(16mL)溶液に、WSC・HCl(561mg)を加え、窒素雰囲気下室温で6時間攪拌した。反応液を氷水に注ぎ、分液した。水層をジクロロメタンにて抽出した後、有機層を合わせて水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得た残渣をメタノールにて結晶化、濾取して、706mgの粉末を得た。
得られた粉末(690mg)のテトラヒドロフラン(7mL)懸濁液に窒素雰囲気下、氷水冷下にボラン−硫化メチル錯塩(10M:619μL)を滴下した。反応液を室温で18時間撹拌した後、3時間加熱還流した。氷水冷下に反応液にメタノールを少しずつ加えた後、塩化水素−メタノール溶液を加えてpHを2以下に調整して、1.5時間加熱還流した。溶媒を減圧下に留去して、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)を加え、ジクロロメタンにて抽出した。有機層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロマトレックスNHTM;ChromatorexNHTM](溶出液;ジクロロメタン:メタノール)にて精製して、標記化合物(228mg)を結晶として得た。
NMR(CDCl3、δ(ppm)):7.9−7.8(4H、m)、7.39(2H、d、J=8Hz)、6.81(2H、d、J=9Hz)、3.87(3H、s)、3.71(2H、s)、3.5−2.7(8H、m)、3.10(3H、s)、3.06(3H、s)
(実施例8)
4−({1−[2−(4−メチルスルホニルフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸 一塩酸塩
実施例7で得た化合物(198mg)を用いて、実施例4と同様にして標記化合物(178mg)を得た。
NMR(CD3OD、δ(ppm)):8.0−7.8(4H、m)、7.53(2H、d、J=8Hz)、6.86(2H、d、J=9Hz)、4.3−2.9(8H、m)、3.70(2H、s)、3.14(3H、s)、3.10(3H、s)
(実施例9)
4−({1−[2−(3、4−ジメトキシフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸メチルの合成
メタンスルホン酸2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル(313mg)のアセトニトリル(5mL)溶液に4−[(3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル)メチルアミノ]安息香酸メチル 一塩酸塩(400mg)およびジイソプロピルエチルアミン(0.95mL)を加え、2時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、残渣にジクロロメタンおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロマトレックスNHTM;ChromatorexNHTM](溶出液;ヘキサン:酢酸エチル)にて精製して標記化合物(178mg)を得た。
NMR(CDCl3、δ(ppm)):7.90(2H、d、J=9Hz)、6.9−6.7(5H、m)、3.86(9H、s)、3.71(2H、s)、3.5−2.6(8H、m)、3.10(3H、s)
(実施例10)
4−({1−[2−(3、4−ジメトキシフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸 一塩酸塩の合成
実施例9で得た化合物(150mg)を用いて、実施例4と同様にして標記化合物(35mg)を得た。
NMR(CD3OD、δ(ppm)):7.88(2H、d、J=9Hz)、6.9−6.7(5H、m)、4.2−2.8(8H、m)、3.79(3H、s)、3.78(3H、s)、3.65(2H、s)、3.12(3H、s)
(実施例11)
4−({1−[2−(4−シアノフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸の合成
国際公開第2004/048326号パンフレットの実施例17に記載の方法で標記化合物を得た。物性値は同号パンフレット記載の値と一致した。
(実施例12)
4−({1−[2−(4−シアノフェニル)エチル]−3−ヒドロキシアゼチジン−3−イルメチル}メチルアミノ)安息香酸 一塩酸塩の合成
国際公開第2004/048326号パンフレットの実施例34と同様の方法で、実施例11に記載の化合物を用いて、標記の化合物を得た。物性値は同号パンフレット記載の値と一致した。
実施例1〜12で得られた化合物の構造式を以下に示す。式中、Meはメチル基を示す。
Figure 2008179541
ラット脊髄神経結紮モデルにおける鎮痛作用を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 下記式(I)
    Figure 2008179541
    (式中、Aは基:L−W(Lは結合またはメチレンを表し、Wは基:−NR7−(R7は水素原子もしくは低級アルキル基を表す)を表す)を表し、Gは(CH2)m(mは0または1)を表し、Yは低級アルキレンまたはR4で置換されていてもよいベンジリデン基を表し、Zは結合、または酸素原子を表し、またZが結合を表す時Yはベンゼン環上の炭素原子とともに5ないし6員環を形成していてもよく、R1はニトロ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキル基でモノ−もしくはジ−置換されていてもよいカルバモイル基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいカルボキシル基、保護されていてもよいN−ヒドロキシカルバモイル基、保護されていてもよい水酸基で置換された低級アルキル基、保護されていても良いカルボキシル基で置換された低級アルキル基またはテトラゾリル基を表し、R2,R3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基またはニトロ基を表し、R4、R5は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基または低級アルキルスルホニル基を表し、R6は水素原子もしくは低級アルキル基を表す)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、神経因性疼痛治療剤。
  2. 請求項1に記載の式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、糖尿病性疼痛治療剤。
  3. 請求項1に記載の式(I)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、ヘルペス後神経痛治療剤。

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