JP2008177886A - Fsk変調器 - Google Patents

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Abstract

【課題】外付け素子を無くすとともに、スイッチ回路素子数を減じて発振回路構成を簡単化し、かつ周波数切り替え時のSW回路の動作による過渡現象の影響を減少させたFSK変調器を提供する。
【解決手段】FSK変調器10は、圧電体基板上に、2個の振動状態を有し主IDTとゲイトIDTおよび副IDTのIDTと該IDTの両側に1対の反射器が配置され2モード且つ2ポート型のSAW共振子101と、増幅器100と、スイッチ回路102とが設けられており、2モード且つ2ポート型SAW共振子101の1次入力側端子対が発振器の増幅器100に接続されてSAW発振回路が構成され、かつ2モード且つ2ポート型SAW共振子101の2次出力側端子対間が1個のスイッチ回路102を介して接続されており、スイッチ回路102の開閉によって、第1の発振周波数fL、あるいは前記第1の発振周波数fLと若干異なる第2の発振周波数fHを発生させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水晶等の安定な周波数を発生できる圧電体SAW共振子を使用したFSK変調器に関する。
従来、圧電気を有する水晶STカット基板(圧電体基板の一例)を用いて構成するSAW共振子(以下、「SAW共振子」という。)は、その周波数温度特性が零温度係数を持つことにより精度が良く、且つ、所望の周波数を直接発振が可能である。さらに、SAW共振子は、ジッタが無く位相ノイズに優れた信号が高信頼性かつ低コストに容易に得ることが可能である。
これらの理由から近年、乗用車のドアの自動開閉にはSAW共振子を用いた微弱無線機(キーレスエントリー装置)が多数使用されるに至っている。この微弱無線機にはSAW共振子を具備し周波数可変できるSAW発振器が用いられたFSK変調器が使われている。
特開平1−252016号公報
しかしながら、前述の従来技術を使用したFSK変調器は、FSK変調するための2つの周波数の発生手段として、伸張コイルと切り換え電圧発生回路と可変容量ダイオード等の素子を付加して使用することが必要である(例えば、特許文献1参照)。このためこれら素子を用いることによりコストアップとなる、あるいは、周波数調整の際に各素子の特性のバラツキが重なって歩留りが低下するという不具合を生じることがあった。また、近年は、FSK変調器が搭載される装置の小形化要請が強まり、FSK変調器の小形化も必要になって来た。
本発明はかかる課題を解決するものでその目的とするところは、SAW共振子のみで振幅変動の少ない2周波数信号の発生を実現することにより、外付け素子である伸張コイル、可変容量ダイオード等を無くし、さらに、スイッチ回路素子数を減じて発振回路構成を簡単化し、かつ周波数切り替え時のSW回路の動作による過渡現象の影響を減少させた、低ジッタ、小形かつ低コストなFSK変調器を提供することにある。
本発明のFSK変調器は、圧電体基板上に形成された2個の振動状態を有する2ポート型SAW共振子と、増幅器と、スイッチ回路とが設けられたFSK変調器であって、前記2ポート型SAW共振子は、1個のIDTが3つに分割されて主IDTとゲイトIDTおよび副IDTが構成され、前記1個のIDTの両側に1対の反射器が配置された2ポート型のSAW共振子であり、前記2ポート型SAW共振子の1次入力側端子対が発振器の増幅器に接続されてSAW発振回路が構成され、かつ前記2ポート型SAW共振子の2次出力側端子対間が1個のスイッチ回路を介して接続されており、前記スイッチ回路の開閉により、前記2次側端子間が短絡状態または高インピーダンス状態の開放状態をなし、前記短絡状態においては前記2ポート型SAW共振子に第1の振動状態が励振されて第1の発振周波数fLを発生させ、前記開放状態では前記2ポート型SAW共振子に第2の振動状態が励振されて前記第1の発振周波数fLと若干異なる第2の発振周波数fHを発生させることを特徴とする。
この回路構成によれば、先出願技術は2個のSW回路を使用して2つのモードを発生していたものが、1個の2ポート型SAW共振子の2次側端子対間に接続した1個のSWの開閉により2周波数を発振可能とすることができ、FSK変調器の小形化および生産性面において有利となるという効果がある。さらにまた、2ポート型SAW共振子の2次側を短絡および開放状態にしても、発振回路ループにSW回路が組み込まれないため、SW回路の動作時の過渡的な電流変化が生じないことから、発振振幅の切り替え時に周波数が安定的となり、さらに振幅変動に伴う不要なスペクトルが発生しないという効果がある。
また、前記2ポート型SAW共振子が有する2つの振動状態が縦の対称モードS0および縦の斜対称モードA0を有し、かつ発振状態において、前記第2の発振周波数fHが概ね前記縦の対称モードS0と前記縦の斜対称モードA0との中間モードAS0であり、前記第1の発振周波数fLが前記縦の斜対称モードA0であることとしてもよい。
このようにすれば、2つの発生周波数差が100ppm程度に接近したFSK変調器を実現できる他、IDTの電極指交叉幅に制約が無いため2つの振動状態でのSAW共振子の等価回路定数をほぼ等しく設定することが可能であり、周波数の切り替え時において、発振回路系の負性抵抗マージンがほぼ同一に確保できる。その結果、FSK変調器の出力信号の振幅の変化が軽減でき、AMジッタの発生を抑制できるという効果がある。
以下、図面を用いて本発明に係るFSK変調器の実施形態について説明する。図1は、FSK変調器の回路の実施例を説明するブロック図である。図2は、本発明に係るFSK変調器に用いられる2つの振動状態が実現できる2ポート型SAW共振子としての2モード且つ2ポート型のSAW共振子の電極パターンの一例の概略説明図。図3は、本発明に係るFSK変調器の動作状態を示す状態図。図4は、2モード型SAW共振子が示す第1の発振状態が示すアドミタンス特性図。図5は、2モード型SAW共振子が示す第2の発振状態が示すアドミタンス特性図。
図1は、本発明に係るFSK変調器の一実施例について、その構成をブロック図にて図示したものである。図1に示すようにFSK変調器10は、増幅器100、2ポート型SAW共振子の一例としての2モード且つ2ポート型のSAW共振子101、バイポーラあるいはMOSトランジスタからなるスイッチ回路(以下、「SW回路」という。)102、FSK変調器10へのFSK変調データ入力端子103、FSK変調器10のRF信号出力端子104が備えられている。2モード且つ2ポート型のSAW共振子101には、表面波が伝搬する1つのトラックが形成されており、領域1012は、主IDTが形成された部分(1次側)であり、領域1011は、周波数切り替え制御側の副IDTが形成された部分(2次側)である。領域1012の1次側端子は増幅器100に接続されてSAW発振回路を構成する。また2モード型且つ2ポート型のSAW共振子101の領域1011に設けられた2次側端子対間にはSW回路102が接続されており、スイッチ(以下、「SW」という。)の開閉はFSK変調データ入力端子103に入力するFSK変調データのHighとLowの電位状態に対応して実行される。
つぎに、図1に示す2モード且つ2ポート型のSAW共振子101について、図2を用いて説明する。図2では、同図左側に2モード且つ2ポート型のSAW共振子101の電極パターンの一例を平面図で示し、同図右側に2モード且つ2ポート型のSAW共振子101の縦方向(すなわち、弾性表面波の位相伝搬方向)に関して、電極指の周期長P(x)を示している。
2モード且つ2ポート型のSAW共振子101に使用する圧電体基板としての水晶版を説明する。圧電体基板は、例えば、面内回転STカット水晶板でありレイリー型表面波で動作するもので、水晶結晶の基本軸である電気軸Xと光軸Zの2軸が作る面を主面とするY板を電気軸Xの回りに反時計方向にθ度(特に零温度係数が得られるθ=31度から42度)回転した基板である。なお、圧電体基板は、SH型表面波で動作する水晶基板であってもよい。
この水晶板200の表面は鏡面研磨されている。
水晶板200の表面には、レイリー型あるいはSH型等の弾性表面波の位相伝搬方向軸に対して直交する、多数の平行導体の電極指を周期的に配置した少なくとも1個のIDT(すだれ状電極とも呼ぶ)が形成されている。さらに、その両側に1対の反射器201,205を形成して1個のSAW共振子が構成される。IDTは、水晶板200中央部に設けられたゲイトIDT203とゲイトIDT203の両側に設けられた主IDT202と副IDT204が設けられている。これらのIDTおよび反射器は、例えば、金属アルミニウムで形成されている。さらに、主IDT202の正負極性の端子206(1次側)、副IDT204への入力端子207(2次側)が形成されている。また、図2において、それぞれのIDT領域中の斜線で示された部位は、それぞれのIDTの正負極性からなる電極指群への給電導体211であり、いずれも前述のアルミニウム電極等の金属で形成されている。以上説明したように、反射器201,205、主IDT202、ゲイトIDT203、および副IDT204の全体で1個の2モード且つ2ポート型のSAW共振子101を構成している。
2モード且つ2ポート型のSAW共振子101は、表面波にて動作して2つの定常振動を形つくるが、両者は1個のSAW共振子内において相互に弾性的に結合するように設計することが必要である。この状態を効果的に形成するために、ゲイトIDT203が必要である。STカットの場合においては、このゲイトIDT203の電極周期長P(X)を、左右両側の主IDT202と副IDT204が有する電極周期長PT0のいずれに対しても、大きく設定することにより振動の変位状態を制御して、縦の対称モードS0と縦の斜対称モードA0を効果的に発生させることができる。ちなみに、図2には記載しないが前記の電極周期長とは各IDTを構成する電極指の電極幅(ライン)と電極指導体間の距離(スペース)と通常定義されるものである。
また、縦の対称モードS0とは、主電極領域の振動振幅の包絡線変位が副IDT204の領域の振動振幅の包絡線変位と同位相の状態であり、縦の斜対称モードA0とは、主電極領域の振動振幅の包絡線変位が副IDT204の領域の振動振幅の包絡線変位と逆位相の状態のことである。この場合の電極周期長比P(X)/PT0が1.02以上から1.04程以下程度に設定すれば十分な効果が期待できる。図2中の階段状線208は2モード且つ2ポート型のSAW共振子101の縦方向(すなわち、弾性表面波の位相伝搬方向)に関して、電極指の周期長P(x)を図示したものである。端子206に接続する主IDT202は常にFSK変調器10の増幅回路100に接続されて発振回路を構成し、その発振状態において、縦の対称モードS0あるいは縦の斜対称モードA0とこれらの結合モードである中間モードAS0いずれかの振動変位の片側領域を励振する。
一方、副IDT204は、縦の対称モードS0あるいは縦の斜対称モードA0のいずれかと中間モードAS0を選択して励振できるように、副IDT204に加える回路的終端条件を設定するように制御する。第1の発振状態である縦の斜対称モードA0を選択する場合には、副IDT204の入力端子207間を電気的に短絡することで実現する。また、第2の発振状態である中間モードAS0を選択する場合には、副IDT204の入力端子207間を電気的に開放して高インピーダンスとすることで実現する。
主IDT202、副IDT204、ゲイトIDT203は、1個のIDTを3つに分割して形成することができる。この分割は、給電導体211を3つ区間に分離して、例えば、主IDT202の給電導体211aが形成される。図2に示す2モード且つ2ポート型のSAW共振子101の構成条件の1例を示すと前述の水晶STカットあるいは回転STカットにおいて、アルミ電極の膜厚みhと利用する弾性表面波の波長λとの比h/λが0.02から0.03であり、IDTの総対数M=180対、主IDTが80対、副IDTが80対、ゲイトIDTは20対で電極周期比が1.02から1.04,IDTの交叉幅が40波長、反射器は90本である。
つぎにFSK変調器10の回路の動作状態の説明を図3を用いて行う。同図において、横軸Tは、時間軸である。図3(a)に示す波形301はFSK変調データ入力端子103の電位である。図3(b)に示す波形302はRF信号出力端子の信号電圧である。図3(c)に示す波形303は前記RF信号が有する発振周波数fの変化である。図3(a)に示された状態では、入力信号データのH(+1)に対応して中間モードAS0(fH)が、0に対応して縦の斜対称モードA0(fL)が動作する。中間モードSA0とは、縦の対称モードS0と縦の斜対称モードA0の平均周波数を有するモードである。詳細は図4および図5に示す。
本実施例のFSK変調器にあっては、データに応じてSW回路を2個使用して2モード且つ2ポート型のSAW共振子の電極極性を切り替えて周波数を変化させるタイプのFSK変調器に対して、周波数を切り替える際に発生する発振振幅(波形302)の急峻な変化を著しく軽減できる。すなわち、図3(b)に示す波形304、および図3(c)に示す波形305のような乱れた波形形状を改善し本来の波形形状に近似させることが可能となる。
つぎに、本発明のFSK変調器に発生する縦の対称モードS0と中間モードAS0の振動モードについて図4および図5を用いてさらに詳しく説明する。図4は前述の図2の構成にて実現する2モード且つ2ポート型のSAW共振子101の1次側入力アドミタンス特性Y(f)を示しており、同図縦軸は20log10(Y(f))(dB)かつ単位はシーメンスにて表示し、横軸は周波数変化率df/fであり、単位として10-6のppmにより表示したものである。同図において、曲線401が前記2モード且つ2ポート型のSAW共振子101の独立な振動状態である縦の対称モードS0、曲線402が縦の斜対称モードA0である。図2による縦型の場合には縦の斜対称モードA0の周波数は縦の対称モードS0より下側に配置される。また両者の発振周波数fL、fHの差(fH−fL)/fLは100ppm〜200ppmと近接させることが可能である。また、図中の曲線403は前記2モード且つ2ポート型のSAW共振子101の2次側端子間を短絡した場合における、1次側入力アドミタンス特性Y(f)であり、2個のピークを有するものである。両ピークは各々縦の対称モードS0と縦の斜対称モードA0の共振モードに対応するものである。この状態において曲線403の縦の斜対称モードA0は矢印404で示す周波数が低い側の共振ピークである。この際に1次側入力アドミタンス特性Y(f)のピークの大きさをY(f=A0)>Y(f=S0)となるように設計しており、この結果、縦の斜対称モードA0周波数が選択されて発振して第1の発振周波数fLを発生する。
図5はSW回路102(図1参照)の端子が1から2に倒れてOFF状態を取り、2モード且つ2ポート型のSAW共振子101の2次側端子間を高インピーダンス状態となした状態の1次側入力アドミタンス特性Y(f)である。この状態において、図中の曲線503で示される中間モードAS0が実現する。中間モードAS0は単峰な特性を示す。また図中の曲線501が縦の対称モードS0であり、曲線502は縦の斜対称モードA0である。中間モードAS0は、縦の対称モードS0と縦の斜対称モードA0のほぼ平均周波数を有して発振して第2の発振周波数fHを発生する。
以上説明したように、本例のFSK変調器はSAWデバイス技術とIC技術を融合して部品点数を減らすことが可能であり、FSK変調器を利用したセンサーシステム分野におおいに貢献できる。
本発明に係るFSK変調器の回路構成の一実施例を示すブロック図。 本発明に係るFSK変調の構成要素である2モード且つ2ポート型のSAW共振子の電極パターンの一実施例の概略説明図。 本発明に係るFSK変調器の動作状態を示す状態図。 本発明に係る2モード且つ2ポート型のSAW共振子の第1の発振状態を示すアドミタンス特性図。 本発明に係る2モード且つ2ポート型のSAW共振子の第2の発振状態を示すアドミタンス特性図。
符号の説明
10…FSK変調器、100…増幅器、101…2モード且つ2ポート型のSAW共振子、102…スイッチ回路、103…FSK変調データ入力端子、104…RF信号出力端子、200…水晶板、201,205…反射器、202…主IDT、203…ゲイトIDT、204…副IDT、206…端子、207…入力端子、208…階段状線、211,211a…給電導体、1011,1012…領域。

Claims (2)

  1. 圧電体基板上に形成された2個の振動状態を有する2ポート型SAW共振子と、増幅器と、スイッチ回路とが設けられたFSK変調器であって、
    前記2ポート型SAW共振子は、1個のIDTが3つに分割されて主IDTとゲイトIDTおよび副IDTが構成され、前記1個のIDTの両側に1対の反射器が配置された2ポート型のSAW共振子であり、前記2ポート型SAW共振子の1次入力側端子対が発振器の増幅器に接続されてSAW発振回路が構成され、かつ前記2ポート型SAW共振子の2次出力側端子対間が1個のスイッチ回路を介して接続されており、前記スイッチ回路の開閉により、前記2次側端子間が短絡状態または高インピーダンス状態の開放状態をなし、前記短絡状態においては前記2ポート型SAW共振子に第1の振動状態が励振されて第1の発振周波数fLを発生させ、前記開放状態では前記2ポート型SAW共振子に第2の振動状態が励振されて前記第1の発振周波数fLと若干異なる第2の発振周波数fHを発生させることを特徴とするFSK変調器。
  2. 前記2ポート型SAW共振子が有する2つの振動状態が縦の対称モードS0および縦の斜対称モードA0を有し、かつ発振状態において、前記第2の発振周波数fHが概ね前記縦の対称モードS0と前記縦の斜対称モードA0との中間モードAS0であり、前記第1の発振周波数fLが前記縦の斜対称モードA0であることを特徴とする請求項1に記載のFSK変調器。
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