JP2008175948A - 原子層堆積膜の形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空排気装置を必要とすることなく、また、固体原料を液状化することなくそのまま使用できるようにした、きわめて簡易な構成からなる成膜装置としての、原子層堆積膜の形成装置を提供する。
【解決手段】原子層堆積法によって基体上に原子層堆積膜を形成する原子層堆積膜の形成装置200である。原料を昇華させる昇華器201と、昇華器201からキャリアガスにより同伴されて導入された原料ガスを、常圧にて基体上に接触させ、基体上に原子層堆積膜を形成する反応室202と、昇華器201内および反応室202内を加熱する加熱手段203と、を備えてなる。
【選択図】図1
【解決手段】原子層堆積法によって基体上に原子層堆積膜を形成する原子層堆積膜の形成装置200である。原料を昇華させる昇華器201と、昇華器201からキャリアガスにより同伴されて導入された原料ガスを、常圧にて基体上に接触させ、基体上に原子層堆積膜を形成する反応室202と、昇華器201内および反応室202内を加熱する加熱手段203と、を備えてなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、原子層堆積膜の形成装置に関する。
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置に搭載される光変調手段や、携帯電話等に搭載される直視型表示装置として用いられる液晶装置は、対向配置された一対の基板間に液晶層を挟持し、該液晶層に電圧を印加するための電極を具備したものである。また、液晶装置を構成する一対の基板の液晶層側には、各々、電圧無印加時における液晶分子の配列を制御する配向膜が形成されおり、これにより、電界無印加時において液晶分子の配向が、所望の状態に規制されるようになっている。
ところで、近年、例えば液晶プロジェクタの光変調手段として液晶装置を用いる場合、耐熱性及び耐光性を備えた無機材料、例えば酸化珪素(SiO2)からなる配向膜を用いることにより、光源からの強い光や熱による配向膜の劣化が防止されることが知られている。また、このような液晶装置の液晶層を構成する液晶としては、例えばフッ素系置換基を導入したものが用いられている。
ところが、光変調素子として用いられた液晶装置は、長時間光が照射され続けると、経時的に液晶層が変質し、フッ化水素(フッ素イオン)が生成する。このような変質した液晶(光分解物)から生成したフッ化水素は、前記配向膜を構成する酸化珪素と反応してこれを侵食し、液晶の配向不良を引き起こす。したがって、液晶装置の表示品位が低下することで、その信頼性も低下するといった問題があった。
そこで、このような信頼性低下を防止するための手法の一つとして、液晶が変質した際の配向膜の劣化を抑えることができる薄い保護膜(侵食防止膜)を、配向膜の表面に設けておくことが考えられる。
従来、このような保護膜を形成する装置として、例えば化学的気相成長法を用いた成膜装置が知られている。この成膜装置、すなわち化学的気相成長装置としては、原料を液体とするものが一般的であり、原料が固体の場合には、これを溶媒で一旦溶解し、得られた溶液を原料として用いるのが普通である(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−246976号公報
従来、このような保護膜を形成する装置として、例えば化学的気相成長法を用いた成膜装置が知られている。この成膜装置、すなわち化学的気相成長装置としては、原料を液体とするものが一般的であり、原料が固体の場合には、これを溶媒で一旦溶解し、得られた溶液を原料として用いるのが普通である(例えば、特許文献1参照)。
ところで、前記の化学的気相成長装置では、専用の真空排気装置を必要とし、反応器での反応時(成膜時)においても、例えば減圧雰囲気下で成膜を行うようになっている。しかしながら、このように真空排気装置を備えるのでは、装置構成が大型になるとともに高価になってしまう。また、前記の化学的気相成長装置では、特に固体を原料とする場合に、これを溶媒に溶解して液状化しなければならないといった煩わしさがある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、真空排気装置を必要とすることなく、また、固体原料を液状化することなくそのまま使用できるようにした、きわめて簡易な構成からなる成膜装置としての、原子層堆積膜の形成装置を提供することにある。
本発明の原子層堆積膜の形成装置は、原子層堆積法によって基体上に原子層堆積膜を形成する原子層堆積膜の形成装置であって、原料を昇華させる昇華器と、前記昇華器からキャリアガスにより同伴されて導入された原料ガスを、常圧にて前記基体上に接触させ、該基体上に原子層堆積膜を形成する反応室と、前記昇華器内および前記反応室内を加熱する加熱手段と、を備えたことを特徴とする。
1原子層毎の成膜が可能な原子層堆積法による原子層堆積膜専用の成膜装置を考えた場合、その成膜反応室の雰囲気については、減圧(真空)雰囲気にすることなく、常圧(大気圧)でも十分に反応が進み、成膜が可能になる。したがって、本発明によれば、常圧で反応させ成膜する反応室を備えているので、真空排気装置が不要となり、簡易な構成となって安価なものとなる。また、原料を昇華させる昇華器を備えているので、固体の原料を常圧下にて適宜に加熱し昇華させ、生成した原料ガスをキャリアガスに同伴させて反応室に導入することにより、成膜が可能になる。その際、原子層堆積法による原子層堆積膜では、成膜に必要な原料ガスがわずかな量でよいことから、常圧下で固体原料から昇華した極く少量の原料ガスによっても、成膜が良好になされるようになる。
また、前記原子層堆積膜の形成装置においては、前記原料が、金属アルコキシドであってもよい。
金属アルコキシドとして、例えばアルミニウムプロポキシド(Al[OC3H7]3)、ランタンプロポキシド(La[OC3H7]3)、マグネシウムエトキシド(Mg[OC2H5]2)等は、常温、常圧で固体であり、常圧にて190℃以下程度で昇華が起こる。したがって、これらを原料として用い、昇華器で加熱し昇華させて反応に供することにより、AlOx、LaOx、MgOx等の金属酸化物からなる良好な原子層堆積膜が得られる。
金属アルコキシドとして、例えばアルミニウムプロポキシド(Al[OC3H7]3)、ランタンプロポキシド(La[OC3H7]3)、マグネシウムエトキシド(Mg[OC2H5]2)等は、常温、常圧で固体であり、常圧にて190℃以下程度で昇華が起こる。したがって、これらを原料として用い、昇華器で加熱し昇華させて反応に供することにより、AlOx、LaOx、MgOx等の金属酸化物からなる良好な原子層堆積膜が得られる。
また、前記原子層堆積膜の形成装置においては、前記キャリアガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン、酸素、乾燥空気から選択された少なくとも一種であるのが好ましい。
このようなキャリアガスを用いて昇華器で生成した原料ガスを同伴し、反応室に導入することにより、良好な原子層堆積膜が得られる。
このようなキャリアガスを用いて昇華器で生成した原料ガスを同伴し、反応室に導入することにより、良好な原子層堆積膜が得られる。
以下、本発明を実施形態によって詳しく説明する。
図1(a)、(b)は、本発明の原子層堆積膜の形成装置の一実施形態を示す図であり、図1(a)、(b)中符号200は原子層堆積膜の形成装置である。この形成装置200は、原子層堆積(Atomic Layer Deposition)法によって基体上に原子層堆積膜を形成する装置であって、昇華器201と、反応室202と、加熱手段203とを備えて構成されたものである。なお、原子層堆積法とは、1原子層毎の成膜を可能とするため、非常に薄い膜を形成する場合に適した方法であり、高精度の膜厚制御や組成制御を可能とする成膜方法である。したがって、この原子層堆積法で成膜された原子層堆積膜は、緻密性及び均一性に優れたものとなる。
図1(a)、(b)は、本発明の原子層堆積膜の形成装置の一実施形態を示す図であり、図1(a)、(b)中符号200は原子層堆積膜の形成装置である。この形成装置200は、原子層堆積(Atomic Layer Deposition)法によって基体上に原子層堆積膜を形成する装置であって、昇華器201と、反応室202と、加熱手段203とを備えて構成されたものである。なお、原子層堆積法とは、1原子層毎の成膜を可能とするため、非常に薄い膜を形成する場合に適した方法であり、高精度の膜厚制御や組成制御を可能とする成膜方法である。したがって、この原子層堆積法で成膜された原子層堆積膜は、緻密性及び均一性に優れたものとなる。
昇華器201は、開閉可能に形成された箱状のもので、その内部に後述する固体状の原料が出し入れ可能に収容されるようになっている。この昇華器201には、一方の側に配管204を介してキャリアガス源205が接続されており、他方の側に配管206を介して前記反応室202が接続されている。キャリアガス源205は、キャリアガスとして、窒素、ヘリウム、アルゴン、酸素、乾燥空気から選択された少なくとも一種を、所望の流量で前記昇華器201に供給するよう構成されたものである。
反応室202は、チャンバー等の一般的なもので、原子層堆積膜を形成する被成膜体となる基板(基体)を、出し入れ可能に収容するよう構成されたものである。ただし、この反応室202は、その内部が常圧(大気圧)のままで成膜処理されるよう構成されたもので、したがって真空装置等の負圧源を備えない簡易な構成のものとなっている。なお、この反応室202は、後述するようにその内部において、基板に前記原料ガスを接触させることで成膜を行うものであり、したがって、内部に原料ガスを流動させ、あるいは成膜後に反応後のガス(キャリアガス)を排気するための排気管207が接続されている。
ここで、この排気管207には開閉弁(図示せず)が設けられており、また、前記配管204または配管206にも開閉弁(図示せず)が設けられている。このような構成のもとに反応室202内は、必要に応じて閉空間となるようになっている。
加熱手段203は、ヒーター等の公知の熱源によって構成されたもので、キャリアガス源205、配管204、昇華器201、配管206、反応室202、排気管207の全ての系内について、その内部を所望の温度に加熱するものである。また、この加熱手段203には公知の温度制御機構が設けられている。これによって前記の系内は、加熱手段203によって系内全てが均一に加熱され、あるいは昇華器201側と反応室202側とがそれぞれ別の温度に加熱され、その温度状態に保持されるようになっている。
また、この加熱手段203は、特に反応器202に対しては、図1(a)に示すようにその底部側のみを加熱するコールドウォール型であってもよく、また、図1(b)に示すように底部、側部、上部の全てを加熱するホットウォール型であってもよい。
なお、このような加熱手段203は、例えば常温から300℃程度にまで加熱できればよく、300℃を越えてより高い温度にまで加熱できる必要はない。したがって、この加熱手段203についても、比較的安価なものとなる。
なお、このような加熱手段203は、例えば常温から300℃程度にまで加熱できればよく、300℃を越えてより高い温度にまで加熱できる必要はない。したがって、この加熱手段203についても、比較的安価なものとなる。
このような形成装置202を用いて基板(被成膜体)に原子層堆積膜を形成するには、まず、反応室202内に基板を入れ、加熱手段203によって反応室202内および基板を所望の温度に加熱する。また、昇華器20内に原料となる固体(固形物)を収容する。ここで、原料となる固体としては、常圧下において常温で固体であり、例えば90℃以上に加熱することにより、昇華を起こすものが用いられる。
この原料として具体的には、例えば形成する原子層堆積膜がAlOx、LaOx、MgOx等の金属酸化物からなる膜である場合、これら金属のアルコキシドが好適に用いられる。すなわち、アルミニウムプロポキシド(Al[OC3H7]3)、ランタンプロポキシド(La[OC3H7]3)、マグネシウムエトキシド(Mg[OC2H5]2)といった金属のアルコキシドが、常温、常圧で固体であり、常圧にて190℃以下程度で昇華が起こるため、好適に用いられる。
このような固体原料を昇華器201内に収容したら、加熱手段203によってこの昇華器201内、すなわち固体原料そのものを所望温度に加熱する。
その後、キャリアガス源205からキャリアガスを流し、昇華器201に供給する。すると、昇華器201に供給されたキャリアガスは、昇華器201内において前記固体原料から昇華した原料ガス(原料蒸気)を同伴し、配管206を通って常圧の反応室202内に流入する。そして、流入した原料ガスが基板の被成膜部に接触することにより、所望の原子層堆積膜が基板上に形成される。
また、反応後の同伴ガス(原料ガスを同伴したキャリアガス)は、排気管207を通って反応室202の外に排出される。
その後、キャリアガス源205からキャリアガスを流し、昇華器201に供給する。すると、昇華器201に供給されたキャリアガスは、昇華器201内において前記固体原料から昇華した原料ガス(原料蒸気)を同伴し、配管206を通って常圧の反応室202内に流入する。そして、流入した原料ガスが基板の被成膜部に接触することにより、所望の原子層堆積膜が基板上に形成される。
また、反応後の同伴ガス(原料ガスを同伴したキャリアガス)は、排気管207を通って反応室202の外に排出される。
なお、固体原料からの昇華によって生じる原料ガスについては、基板に形成する原子層堆積膜の厚さが例えば1原子分の厚さとなりきわめて薄いため、その生成量(昇華量)も少なくてよい。
また、キャリアガス源205からのキャリアガスについては、含有する水分がきわめて少ない、十分に乾燥されたガスであるのが望ましい。具体的には、反応室202内の反応雰囲気を形成する同伴ガス(原料ガスを同伴したキャリアガス)の露点が、−50℃以下となるように、キャリアガスの含有水分量が調整されているのが好ましい。このように調整しておくことにより、得られる原子層堆積膜がむらなくより均一な膜となる。なお、反応室202内の反応雰囲気を前記したような露点に調整するためには、予め、反応室202内を含む系内全体を、キャリアガスでパージしておくのが好ましい。
また、キャリアガス源205からのキャリアガスについては、含有する水分がきわめて少ない、十分に乾燥されたガスであるのが望ましい。具体的には、反応室202内の反応雰囲気を形成する同伴ガス(原料ガスを同伴したキャリアガス)の露点が、−50℃以下となるように、キャリアガスの含有水分量が調整されているのが好ましい。このように調整しておくことにより、得られる原子層堆積膜がむらなくより均一な膜となる。なお、反応室202内の反応雰囲気を前記したような露点に調整するためには、予め、反応室202内を含む系内全体を、キャリアガスでパージしておくのが好ましい。
このような構成の形成装置200にあっては、常圧で反応させ成膜する反応室202を備えているので、真空排気装置が不要となり、さらにプラズマ源のようなイオン、ラジカルを発生させる設備も不要となる。したがって、きわめて簡易な構成となることから、装置全体が比較的コンパクトとなり、また、コストについても十分に安価なものとなる。
また、原料を昇華させる昇華器201を備えているので、固体の原料を常圧下にて適宜に加熱し昇華させ、生成した原料ガスをキャリアガスに同伴させて反応室202に導入することにより、成膜を行うことができる。また、昇華器201は単に加熱状態においてキャリアガスを接触させ、該キャリアガスを流動させるだけの構成となっているため、例えば原料液中にキャリアガスをバブリングさせるといった構成に比べても簡易となり、原料の取り扱いやメンテナンスについての煩わしさがなくなる。したがって、メンテナンスが容易になることなどから、装置の稼働率を向上させることができ、これにより生産性の向上を図ることができる。
次に、このような形成装置200によって形成する原子層堆積膜の具体例として、液晶装置における無機配向膜の表面の、侵食防止膜の製造方法について説明する。
まず、原子層堆積膜からなる侵食防止膜を備えた液晶装置100の概略構成について説明する。図2は、本発明の形成装置200を用いてその一部が製造された液晶装置を示す図であり、(a)は液晶装置の平面図、(b)は(a)のH−H’線に沿う断面図である。
まず、原子層堆積膜からなる侵食防止膜を備えた液晶装置100の概略構成について説明する。図2は、本発明の形成装置200を用いてその一部が製造された液晶装置を示す図であり、(a)は液晶装置の平面図、(b)は(a)のH−H’線に沿う断面図である。
この液晶装置100は、TFTアレイ基板10と、対向基板20とが平面視略矩形枠状のシール材52を介して貼り合わされ、このシール材52に囲まれた領域内に液晶層50を封入してなる構成を備えている。シール材52内周側に沿って平面視矩形枠状の周辺見切り53が形成され、この周辺見切りの内側の領域が画像表示領域10aとなっている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101及び外部回路実装端子102がTFTアレイ基板10の1辺(図示下辺)に沿って形成されており、この1辺に隣接する2辺に沿ってそれぞれ走査線駆動回路104,104が形成されて周辺回路を構成している。
TFTアレイ基板10の残る1辺(図示上辺)には、画像表示領域10aの両側の走査線駆動回路104,104間を接続する複数の配線105が設けられている。また、対向基板20の各角部においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間の電気的導通をとるための基板間導通材106が配設されている。なお、この液晶装置100は、透過型の液晶装置として構成され、TFTアレイ基板10側に配置された光源(図示略)からの光を変調し、対向基板20側から表示光として射出するようになっている。
図2(b)に示すように、TFTアレイ基板10の内面側(液晶層側)に、複数の画素電極9が配列形成されており、これら画素電極9を覆うように無機配向膜40が形成されている。対向基板20の内面側には、周辺見切り53及び遮光膜23が形成され、表示領域となる画素領域の全面に、共通電極となる対向電極21が形成されている。そして、対向電極21を覆うように無機配向膜60が形成されている。
前記TFTアレイ基板10及び対向基板20の内面側にそれぞれ設けられた無機配向膜40,60は、SiO2を主とする珪素酸化物が、従来公知の斜方蒸着法で蒸着されたことにより、形成されたものである。なお、前記無機配向膜40,60の製造には、イオンビームスパッタ法やマグネトロンスパッタ法等のスパッタ法を採用することも可能である。
また、前記無機配向膜40(無機配向膜60も同様)は、図3(a)、(b)に示すように無数の柱状構造物40aから構成され、柱状構造物40aの一部は隣接する柱状構造物との間に空隙を有して形成されている。また、これらの柱状構造物40aは斜方蒸着法で形成されているため、柱状構造物40aのそれぞれは、基板本体10Aの面に対し所定の傾斜角度θで配列されている。これにより、無機配向膜40上に配置される液晶の配向制御を行うことができるようになっている。
なお、図2(b)に示した液晶層50を構成する液晶材料としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶など配向し得るものであればいかなる液晶材料を用いても構わないが、TN型液晶パネルの場合、ネマチック液晶を形成させるものが好ましい。ネマチック液晶としては、例えば、フェニルシクロヘキサン誘導体液晶、ビフェニル誘導体液晶、ビフェニルシクロヘキサン誘導体液晶、テルフェニル誘導体液晶、フェニルエーテル誘導体液晶、フェニルエステル誘導体液晶、ビシクロヘキサン誘導体液晶、アゾメチン誘導体液晶、アゾキシ誘導体液晶、ピリミジン誘導体液晶、ジオキサン誘導体液晶、キュバン誘導体液晶等が挙げられ、これらネマチック液晶の分子にモノフルオロ基、ジフルオロ基、トリフルオロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基などのフッ素系置換基を導入した液晶分子も含まれる。このように、液晶材料がフッ素系置換基を導入した液晶分子を含む場合、アクティブマトリクスに適切な高い電圧保持特性と、低駆動電圧を実現する高い誘電率異方性が得られるため好ましい。
ところで、従来、特にフッ素系置換基を導入した液晶分子を含んだ液晶層を含む液晶装置を液晶プロジェクタの光変調素子として用いた場合、液晶装置に長時間光が照射され続けることにより、前記液晶層が変質してしまう。具体的には、液晶装置に可視光領域の波長の光(赤色;700nm、緑色;546.1nm、青色;435.8nm)が長時間照射され続けることにより、液晶層の液晶分子から光分解物が生じ、該光分解物からフッ化水素(フッ素イオン)が生成する。すると、フッ化水素がSiO2からなる無機配向膜と反応することでこれを侵食し、これにより無機配向膜の配向状態を変化させて配向不良を生じさせ、表示品位を低下させてしまう。
そこで、この液晶装置100では、図3(b)に示すように前記無機配向膜40上に、該無機配向膜40の表面形状に倣うようにして、侵食防止膜41が成膜されている。この侵食防止膜41は、前記形成装置200を用いた原子層堆積法によって成膜された、Al2O3等のAlOx膜(酸化アルミニウム膜)、La2O3等のLaOx膜(酸化ランタン膜)、MgO等のMgOx膜(酸化マグネシウム膜)から選択された金属酸化膜よりなるものである。
ここで、原子層堆積法によって得られる原子層堆積膜は、緻密性及び均一性に優れたものとなる。したがって、前記侵食防止膜41は、原子層堆積法で形成されたことにより、前記無機配向膜40の表面における凹凸形状の隙間(空隙)を埋め込むことなく、前記表面形状に倣った状態となっている。よって、無機配向膜40は、その表面の凹凸形状が保持されていることから、侵食防止膜41によって配向特性が損なわれることはない。また、原子層堆積法で成膜された侵食防止膜41は、緻密性が高いものとなっているので、前記無機配向膜40が上述したフッ化水素(フッ素イオン)に曝されるのを確実に防止するようになっている。
なお、対向基板20の液晶層50側最表面にも無機配向膜60が形成されており、この無機配向膜60の表面にも、該無機配向膜60の表面形状に倣うようにして、原子層堆積法で成膜された侵食防止膜(図示せず)が形成されている。これにより、前記TFTアレイ基板10側と同様に、液晶層50の変質によって生成されたフッ化水素(フッ素イオン)に無機配向膜60が曝されるのが防止されている。
このような構成からなる液晶装置100を製造するに際し、特に浸食防止膜41を原子層堆積法で形成するには、まず、無機配向膜40を形成した基板本体10Aを、図1に示した前記形成装置200の反応室202に収容する。また、浸食防止膜41の原料として、例えば前記の金属アルコキシドを前記昇華器201内に収容する。そして、加熱手段203で反応室202内、昇華器201内等を加熱し、所望の温度に調整したら、キャリアガス源205から昇華器201内にキャリアガスを供給し、これによって原料ガス(昇華ガス)を同伴したキャリアガスを反応室202内に流入させる。
このように、原料ガスを被成膜体(無機配向膜40)の表面上に流してこれに接触させると、無機配向膜40を構成しているSiO2の表面におけるOH基と原料ガスとが反応し、原子層堆積膜からなる前駆体層が形成される。この前駆体層は、前記アルコキシド中の金属の一つの結合手(価)が、前記SiO2の表面のOH基に結合したことにより、該金属を含む分子層によって形成されたものである。したがって、この前駆体層には、該前駆体層の形成条件によっても異なるものの、通常はこれを構成する金属に、原料に由来する有機基(アルコキシ基)が化学的に結合した状態で残っている。
また、このように金属に化学的に結合した状態で残っている有機基とは別に、原料に由来した有機基が、一部、前駆体層に物理的に吸着して残ってしまっている。
そこで、この浸食防止膜41の形成においては、前駆体層を形成した後、100℃以上の温度でアニール処理を行う。このアニール処理により、前記の物理的に吸着した原料由来の有機基を前駆体層から除去することができる。なお、このアニール処理については、前記形成装置200の反応室202内で行ってもよく、基板本体10Aを別のチャンバーに移して行ってもよい。
そこで、この浸食防止膜41の形成においては、前駆体層を形成した後、100℃以上の温度でアニール処理を行う。このアニール処理により、前記の物理的に吸着した原料由来の有機基を前駆体層から除去することができる。なお、このアニール処理については、前記形成装置200の反応室202内で行ってもよく、基板本体10Aを別のチャンバーに移して行ってもよい。
その後、水蒸気酸化処理を10℃以上200℃以下の温度範囲で行うことにより、無機配向膜40の液晶層50側における表面に、1原子層のAlOx(酸化アルミニウム)、酸化ランタン(LaOx)、酸化マグネシウム(MgOx)のうちの少なくとも一種からなる侵食防止膜41を形成する。すなわち、水蒸気酸化処理を行うことにより、前記前駆体層から原料由来のアルコキシ基が除去され、さらに該前駆体層中の金属間が酸素を介して結合するようになり、これによって酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化マグネシウムといった安定した金属酸化物からなる侵食防止膜41が得られる。
なお、この水蒸気酸化処理についても、前記形成装置200の反応室202内で行ってもよく、基板本体10Aを別のチャンバーに移して行ってもよい。ただし、形成装置200の反応室202内で行う場合には、前記キャリアガス源とは別に、水蒸気を供給する配管系を別に設けておく必要がある。
また、前記の水蒸気酸化処理を含む一連の侵食防止膜41形成工程に関しては、200℃以下で行うのが、基板10(20)に対するダメージを抑制するうえで好ましい。したがって、この侵食防止膜41の成膜工程に用いられる原料としては、前記したような190℃以下程度の温度で昇華するアルミニウムプロポキシド(Al[OC3H7]3)、ランタンプロポキシド(La[OC3H7]3)、マグネシウムエトキシド(Mg[OC2H5]2)等の金属アルミアルコキシドが、好適に用いられる。
以上の工程により、侵食防止膜41が画素電極9を覆った状態に基板本体10Aの前面に形成される。なお、前記各ステップを繰り返すことで複数層が積層された侵食防止膜41を形成してもよい。
以上の工程により、侵食防止膜41が画素電極9を覆った状態に基板本体10Aの前面に形成される。なお、前記各ステップを繰り返すことで複数層が積層された侵食防止膜41を形成してもよい。
このようにして侵食防止膜41を形成することにより、液晶層50と無機配向膜40との間に侵食防止膜41を介在させることができる。したがって、液晶装置100に長時間可視光が照射されることで液晶層50の液晶分子から光分解物が生じ、該光分解物からフッ化水素(フッ素イオン)が生成しても、侵食防止膜41によってフッ化水素による無機配向膜40の浸食を防止することができ、これにより無機配向膜の配向状態が変化することによる液晶の配向不良を防止し、表示品位の低下を防止することができる。
また、原子層堆積法により形成された侵食防止膜41は緻密性が高いものとなるので、前記無機配向膜40が前記フッ化水素に曝されるのを防止することができる。
また、原子層堆積法により形成された侵食防止膜41は緻密性が高いものとなるので、前記無機配向膜40が前記フッ化水素に曝されるのを防止することができる。
なお、本発明の原子層堆積膜の形成装置は、前記の侵食防止膜の形成以外にも、種々の薄膜の形成に使用可能である。具体的には、表面のみを改質したい場合の表面処理(最表面を炭化水素で終端させる処理を含む)や、不動態化処理などに好適に使用することができる。
40、60…無機配向膜、41…侵食防止膜、200…原子層堆積膜、201…昇華器、202…反応室、203…加熱手段、205…キャリアガス源
Claims (3)
- 原子層堆積法によって基体上に原子層堆積膜を形成する原子層堆積膜の形成装置であって、
原料を昇華させる昇華器と、
前記昇華器からキャリアガスにより同伴されて導入された原料ガスを、常圧にて前記基体上に接触させ、該基体上に原子層堆積膜を形成する反応室と、
前記昇華器内および前記反応室内を加熱する加熱手段と、
を備えたことを特徴とする原子層堆積膜の形成装置。 - 前記原料が、金属アルコキシドであることを特徴とする請求項1記載の原子層堆積膜の形成装置。
- 前記キャリアガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン、酸素、乾燥空気から選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の原子層堆積膜の形成装置。
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---|---|---|---|
JP2007007891A JP2008175948A (ja) | 2007-01-17 | 2007-01-17 | 原子層堆積膜の形成装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015512471A (ja) * | 2012-03-23 | 2015-04-27 | ピコサン オーワイPicosun Oy | 原子層堆積方法および装置 |
WO2018150910A1 (ja) * | 2017-02-14 | 2018-08-23 | セイコーエプソン株式会社 | 液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器 |
-
2007
- 2007-01-17 JP JP2007007891A patent/JP2008175948A/ja not_active Withdrawn
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