JP2008174619A - ポリエステル樹脂組成物並びに可塑剤及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐ブリード性や耐揮発性に優れ、高い柔軟性を有するポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリエステルとポリトリメチレンエーテルグリコールとを含有する。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステルとポリトリメチレンエーテルグリコールとを含有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリエステル樹脂組成物と、ポリエステル等に用いられる可塑剤、並びにポリエステル樹脂組成物を用いた成形体に関する。
なお、本発明では特定の樹脂を主成分として含有する樹脂組成物を、その主成分となる樹脂の名前を冠して呼ぶ場合がある。ここで「主成分」とは、組成物の30重量%以上を占める成分を言うものとする。即ち、「ポリエステル樹脂組成物」とは、ポリエステルを主成分とする樹脂組成物を言う。
近年、自然保護の観点から、自然環境下で分解する脂肪族ポリエステル樹脂が開発されている。
例えば、ポリ乳酸及び乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステル及びそれらのユニットを含むコポリマー等が開発されている。
中でも、ポリ乳酸は、トウモロコシや芋などの植物を原料として利用できるため資源保護の観点からも注目されている。
また、一部の脂肪族ポリエステルにおいては、従来石油から製造されていた原料を植物由来の原料に置き換えるための検討が行なわれている。
ポリ乳酸は、耐熱性、剛性が高く、また透明性があるので、様々な成形品への展開が期待されているが、一方で柔軟性に劣り、硬くて脆いという課題がある。
また、ポリブチレンサクシネートに代表される脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とから誘導される脂肪族ポリエステルは、軟質であるためポリエチレンの代替として期待されているが、柔軟性や強度に劣る場合がある。そこで、ポリ乳酸やポリエステル等の樹脂に可塑性を付与するために、可塑剤の使用が検討されている。
一般的な可塑剤としては、例えばフタル酸エステル系の可塑剤が知られている(特許文献1参照)が、可塑化効果が不十分であり、また、ブリードアウトし易い、揮発し易い等の課題を有していた。
このような課題を解決する技術として、例えば、ポリ乳酸に対する可塑剤として、ポリエチレングリコールジベンゾエート(特許文献2参照)、ポリエチレングリコールジベンゾエートとポリプロピレングリコールジベンゾエート(特許文献3参照)、ポリエチレングリコールジアセテート(特許文献4参照)等が提案されている。
また、PETフィルムの可塑剤として、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリテトラメチレングリコールジベンゾエート等の使用が提案されている(特許文献5参照)。
しかしながら、これらのポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール系の可塑剤は、分子量が大きいためブリードアウトが生じ難いという利点はあるものの、可塑化効果が未だ不十分であった。
以上の背景から、ポリエステル等の樹脂に対し、耐ブリード性や耐揮発性に優れ、高い柔軟性を付与することが求められていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、耐ブリード性や耐揮発性に優れ、高い柔軟性を有するポリエステル樹脂組成物と、耐ブリード性や耐揮発性に優れ、ポリエステル等の樹脂に高い柔軟性を付与することが可能な可塑剤、並びに上述のポリエステル樹脂組成物を用いた成形体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ポリエステルとポリトリメチレンエーテルグリコールとを含有するポリエステル樹脂組成物が、耐ブリード性や耐揮発性に優れ、高い柔軟性を有すること、並びに、末端が封止されたポリトリメチレンエーテルグリコールを可塑剤として用いることにより、耐ブリード性や耐揮発性に優れ、ポリエステル等の樹脂に高い柔軟性を付与することが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、ポリエステルとポリトリメチレンエーテルグリコールとを含有することを特徴とする、ポリエステル樹脂組成物に存する(請求項1)。
ここで、ポリエステル100重量部に対するポリトリメチレンエーテルグリコールの含有率が、0.5重量部以上70重量部以下であることが好ましい(請求項2)。
また、ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が100以上4000以下であることが好ましい(請求項3)。
また、ポリトリメチレンエーテルグリコールの末端が封止されていることが好ましい(請求項4)。
また、ポリトリメチレンエーテルグリコールの末端を封止する基がアシル基であることが好ましい(請求項5)。
また、ポリトリメチレンエーテルグリコールの末端を封止する基がアリーロイル基であることが好ましい(請求項6)。
また、本発明の別の要旨は、末端が封止されたポリトリメチレンエーテルグリコールを少なくとも有することを特徴とする、可塑剤に存する(請求項7)。
また、本発明の別の要旨は、上述のポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とする、成形体に存する(請求項8)。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐ブリード性や耐揮発性に優れ、高い柔軟性を有する。
また、本発明の可塑剤は、耐ブリード性や耐揮発性に優れ、ポリエステル等の樹脂に高い柔軟性を付与することが可能である。
また、本発明の可塑剤は、耐ブリード性や耐揮発性に優れ、ポリエステル等の樹脂に高い柔軟性を付与することが可能である。
以下、本発明について実施の形態を挙げて詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨を超えない範囲において種々に変更して実施することができる。
なお、以下の記載では、ある単量体に由来する共重合体の部分構造単位を、その単量体の名称に「単位」という言葉を付して表わす。例えば、ポリトリメチレンエーテルグリコールに由来する部分構造単位は、「ポリトリメチレンエーテルグリコール単位」という名称で表わされる。
また、同一の部分構造単位を与える単量体を、その部分構造単位の名称の「単位」を「成分」に換えた名称で総称する。例えば、ポリエステルを重合する場合、直接重合法では芳香族ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸単位を形成し、エステル交換法では芳香族ジカルボン酸ジエステルが芳香族ジカルボン酸単位を形成する。よって、これらの芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸ジエステルを、「芳香族ジカルボン酸成分」という名で総称する。
[I.ポリエステル樹脂組成物]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステルと、ポリトリメチレンエーテルグリコールとを含有する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステルと、ポリトリメチレンエーテルグリコールとを含有する。
〔I−1.ポリエステル〕
本発明のポリエステル樹脂組成物が含有するポリエステル(以下「本発明に係るポリエステル」という。)は、制限されるものではないが、例としては脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステル等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物が含有するポリエステル(以下「本発明に係るポリエステル」という。)は、制限されるものではないが、例としては脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステル等が挙げられる。
中でも、後述するポリトリメチレンエーテルグリコールとの混合時の温度があまりに高いと、着色等を生じる原因となる場合があるため、脂肪族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステルが好ましい。
脂肪族ポリエステルとしては、限定されるものではないが、例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート等のジカルボン酸成分とジオール成分からなるポリエステル、ポリブチレンサクシネートと乳酸とのコポリマー、ポリブチレンサクシネートとカプロラクトンとのコポリマー、ジカルボン酸/ジオール/ヒドロキシカルボン酸からなる共重合ポリエステル等が挙げられる。
半芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
脂肪族芳香族ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート等が挙げられる。
特に、本発明に係るポリエステルは、柔軟性に課題を有する樹脂であることが好ましく、具体的には、ポリ乳酸、又は、ジカルボン酸成分とジオール成分とを主な成分とする脂肪族ポリエステルであることが好ましい。
本発明に係るポリエステルとして使用可能なポリ乳酸(以下「本発明に係るポリ乳酸」という場合がある。)の合成方法は制限されないが、通常は、乳酸を原料として環状2量体であるラクチドを合成し、又はラクチドを直接原料として開環重合を行なうラクチド法や、乳酸を原料として溶媒中で直接、脱水縮合を行なう直接重合法等により合成される。
本発明に係るポリ乳酸の原料となる乳酸やラクチドは、L体、D体、L体とD体との混合物(混合比率は特に限定しない)、ラセミ体の何れであってもよい。
但し、本発明に係るポリ乳酸は、耐熱性の点から、ポリ乳酸を構成する総乳酸単位のうち、L体が80モル%以上、特に90モル%以上であることが好ましい。
但し、本発明に係るポリ乳酸は、耐熱性の点から、ポリ乳酸を構成する総乳酸単位のうち、L体が80モル%以上、特に90モル%以上であることが好ましい。
また、本発明に係るポリ乳酸は、L−乳酸及びD−乳酸の他に、エステル形成能を有するその他の成分が共重合された共重合ポリ乳酸であってもよい。
共重合可能な成分としては、ジカルボン酸成分、ジオール成分、ヒドロキシカルボン酸成分、3官能以上の多官能成分等が挙げられる。これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
共重合可能な成分としては、ジカルボン酸成分、ジオール成分、ヒドロキシカルボン酸成分、3官能以上の多官能成分等が挙げられる。これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
ジカルボン酸成分の具体例としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。中でも、コハク酸、アジピン酸が好ましい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
ジオール成分の具体例としては、
エチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、
1,6−へキサンジオール、
1,7−ヘプタンジオール、
1,8−オクタンジオール、
1,9−ノナンジオール、
1,10−デカンジオール、
1,4−シクロヘキサンジオール
等が挙げられる。中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
エチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、
1,6−へキサンジオール、
1,7−ヘプタンジオール、
1,8−オクタンジオール、
1,9−ノナンジオール、
1,10−デカンジオール、
1,4−シクロヘキサンジオール
等が挙げられる。中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
ヒドロキシカルボン酸成分の具体例としては、
グリコール酸、
2-ヒドロキシ−n−酪酸、
2-ヒドロキシカプロン酸、
2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、
2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、
2−ヒドロキシイソカプロン酸、
β−プロピオラクトン、
γ−ブチロラクトン、
δ−バレロラクトン、
ε−カプロラクトン、
4−メチルカプロラクトン、
3,5,5−トリメチルカプロラクトン、
3,3,5−トリメチルカプロラクトン
等が挙げられる。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
グリコール酸、
2-ヒドロキシ−n−酪酸、
2-ヒドロキシカプロン酸、
2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、
2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、
2−ヒドロキシイソカプロン酸、
β−プロピオラクトン、
γ−ブチロラクトン、
δ−バレロラクトン、
ε−カプロラクトン、
4−メチルカプロラクトン、
3,5,5−トリメチルカプロラクトン、
3,3,5−トリメチルカプロラクトン
等が挙げられる。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
3官能以上の多官能成分の具体例としては、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、りんご酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
これらはいずれか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。
本発明に係るポリ乳酸の合成時にこれらの共重合成分を使用する場合、これらの共重合成分の使用量は、ポリ乳酸の全重合成分を100モル%とした場合に、通常50モル%未満、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下であることが望ましい。共重合成分が上記範囲を越えると、ポリ乳酸の耐熱性が低下する場合がある。
本発明に係るポリエステルとして使用可能なポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステル(以下「本発明に係る脂肪族ポリエステル」という場合がある。)としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分を主な成分とするポリエステルが挙げられる。
ジカルボン酸成分の具体例及び好ましい例としては、本発明に係るポリ乳酸の合成時に使用可能なジカルボン酸成分の具体例として上述した化合物が挙げられる。
また、ジオール成分の具体例及び好ましい例としては、本発明に係るポリ乳酸の合成時に使用可能なジオール成分の具体例として上述した化合物が挙げられる。
また、ジオール成分の具体例及び好ましい例としては、本発明に係るポリ乳酸の合成時に使用可能なジオール成分の具体例として上述した化合物が挙げられる。
本発明に係る脂肪族ポリエステルの合成時における、ジカルボン酸成分とジオール成分との使用量は、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比で、通常0.8以上、好ましくは1.0以上、また、通常3.0以下、好ましくは2.0以下であることが望ましい。ジオール成分の比率が多過ぎても少な過ぎても、十分な分子量のポリエステルが得られない場合がある。
また、本発明に係る脂肪族ポリエステルは、上記ジカルボン酸成分及び上記ジオール成分に加えて、共重合成分としてヒドロキシカルボン酸成分を少量含有していてもよい。
ヒドロキシカルボン酸成分の具体例及び好ましい例としては、乳酸成分又は本発明に係るポリ乳酸の合成時に使用可能なヒドロキシカルボン酸成分の具体例として上述した化合物が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸成分の具体例及び好ましい例としては、乳酸成分又は本発明に係るポリ乳酸の合成時に使用可能なヒドロキシカルボン酸成分の具体例として上述した化合物が挙げられる。
本発明に係る脂肪族ポリエステルの合成時における、これらのヒドロキシカルボン酸成分の使用量は、脂肪族ポリエステルの全重合成分を100モル%とした場合に、通常0モル%以上、また、通常25モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは15モル%以下であることが望ましい。ヒドロキシカルボン酸成分が上記範囲を超えると、脂肪族ポリエステルの耐熱性が低下する場合がある。
また、本発明に係る脂肪族ポリエステルの合成時には、3官能以上の多官能成分を加えることもできる。
3官能以上の多官能成分の具体例及び好ましい例としては、本発明に係るポリ乳酸の合成時に使用可能な3官能以上の多官能成分の具体例として上述した化合物が挙げられる。
3官能以上の多官能成分の具体例及び好ましい例としては、本発明に係るポリ乳酸の合成時に使用可能な3官能以上の多官能成分の具体例として上述した化合物が挙げられる。
本発明に係る脂肪族ポリエステルの合成時における、これらの3官能以上の多官能成分の使用量は、脂肪族ポリエステルの全重合成分を100モル%とした場合に、通常0モル%以上、また、通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下であることが望ましい。多官能成分が上記範囲を超えると、ポリエステルの粘度が上がり過ぎて成形加工が困難になったり、成形物の異物の原因となったりする場合がある。
なお、本発明に係るポリエステルとしては、何れか一種のポリエステルを単独で使用してもよく、二種以上のポリエステルを任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に係るポリエステルの数平均分子量は、ポリエステルの種類によっても異なるが、例えば脂肪族ポリエステルやポリ乳酸の場合、通常1万以上、好ましくは2万以上、より好ましくは3万以上、また、通常50万以下、好ましくは40以下、より好ましくは20万以下であることが望ましい。数平均分子量が低過ぎると粘度が低すぎて成形が困難となる場合があり、高過ぎると粘度が高過ぎて成形が困難となる場合がある。なお、ポリ乳酸の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等により求めることが出来る。
〔I−2.ポリトリメチレンエーテルグリコール〕
本発明のポリエステル樹脂組成物が含有するポリトリメチレンエーテルグリコール(以下「PO3G」と略称する場合がある。)は、下記式(1)で表わされる構造を有する。
本発明のポリエステル樹脂組成物が含有するポリトリメチレンエーテルグリコール(以下「PO3G」と略称する場合がある。)は、下記式(1)で表わされる構造を有する。
なお、上記式(1)において、nは、R3の繰り返し数を表わす整数である。
また、上記式(1)において、R1は、アルキレンエーテル基を表わす。但し、その通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上が、下記式(2)で表わされるトリメチレンエーテルグリコール単位である。
また、上記式(1)において、R2は、各々独立に、水素原子、又は、後述する封止基を表わす。中でも、少なくとも一方のR2が後述する封止基であることが好ましく、両方のR2が後述する封止基であることが好ましい。このように、R2の一方又は両方が封止基であるPO3Gについては、後出の[II.可塑剤]の欄で詳述する。
上記式(1)において、R1がトリメチレンエーテルグリコール単位(上記式(2)で表わされる繰返し単位)のみからなるPO3Gは、1,3−プロパンジオールを脱水縮合反応させて得ることができる。
上記式(1)において、R1としてトリメチレンエーテルグリコール単位(上記式(2)で表わされる繰返し単位)以外の繰り返し単位を併有するPO3Gは、例えば、1,3−プロパンジオールに加えてその他のグリコールを併用し、重縮合反応により共重合させることにより、合成することが可能である。
この場合、1,3−プロパンジオールと併用可能な他のグリコールの例としては、アルキレングリコール、3官能以上のグリコール等のグリコールが挙げられる。
アルキレングリコールの具体例としては、
エチレングリコール、
2−メチル−1,3−プロパンジオール、
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、
1,6−へキサンジオール、
1,7−ヘプタンジオール、
1,8−オクタンジオール、
1,9−ノナンジオール、
1,10−デカンジオール、
1,4−シクロヘキサンジオール
等が挙げられる。
エチレングリコール、
2−メチル−1,3−プロパンジオール、
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、
1,6−へキサンジオール、
1,7−ヘプタンジオール、
1,8−オクタンジオール、
1,9−ノナンジオール、
1,10−デカンジオール、
1,4−シクロヘキサンジオール
等が挙げられる。
また、3官能以上のグリコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
また、上に例示した各種グリコールのオリゴマーを、1,3−プロパンジオールと併用することも出来る。
中でも、1,3−プロパンジオールと併用するグリコールとしては、2−メチル−1,3−プロパンジオール、又は2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。
1,3−プロパンジオールに加えてその他のグリコールを併用する場合、他のグリコールは、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。但し、グリコールの総量に対する1,3−プロパンジオールの割合を、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上の割合とすることが好ましい。このように他のグリコールを併用した場合、ポリエステル樹脂との相溶性が向上する場合がある。
PO3Gの数平均分子量は、通常100以上、好ましくは150以上、より好ましくは200以上、また、通常4000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下であることが望ましい。PO3Gの数平均分子量が上記範囲を外れると、柔軟性が不足したり、耐揮発性や耐ブリード性が悪化したりする場合がある。
なお、PO3Gの数平均分子量は、ポリトリメチレンエーテルグリコールの末端水酸基を無水フタル酸でエステル化させ、未反応の無水フタル酸をフタル酸に分解後、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリで逆滴定(末端基滴定法)することにより水酸基価を求め、その値から算出することができる。
〔I−3.その他〕
本発明のポリエステル樹脂組成物は、通常は上述のポリエステルとPO3Gとを混合することにより、製造することが可能である。混合方法は、限定されるものではないが、通常は溶融押出法、ロール法、溶媒キャスト法等の公知の混練技術が適用できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、通常は上述のポリエステルとPO3Gとを混合することにより、製造することが可能である。混合方法は、限定されるものではないが、通常は溶融押出法、ロール法、溶媒キャスト法等の公知の混練技術が適用できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物における、ポリエステルとPO3Gとの比率は、制限されるものではないが、ポリエステル100重量部に対するPO3Gの比率の値で、通常0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、また、通常70重量部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下が望ましい。PO3Gの比率が上記範囲を外れると、柔軟性が不足したり、耐揮発性や耐ブリード性が悪化する場合がある。二種以上のポリエステル及び/又は二種以上のPO3Gを併用する場合には、それらの総量が上記範囲を満たすことが好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、上述のポリエステル及びPO3Gに加えて、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分の種類は、制限されるものではないが、例としては、結晶核剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、離型剤、滑剤、着色剤、難燃剤、架橋剤、導電性付与剤、発泡剤、抗菌剤等が挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。但し、本発明のポリエステル樹脂組成物がポリエステル及びPO3G以外の成分を含有する場合でも、その成分の含有率は、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下であることが望ましい。
[II.可塑剤]
本発明の可塑剤は、少なくとも一方の末端、好ましくは両方の末端が封止されたPO3Gを少なくとも有する。
ここで、PO3Gの「末端が封止された」とは、上記式(1)において、両末端のR2のうち少なくとも一方、好ましくは両方のR2が、以下に説明する官能基(封止基)であることをいう。
本発明の可塑剤は、少なくとも一方の末端、好ましくは両方の末端が封止されたPO3Gを少なくとも有する。
ここで、PO3Gの「末端が封止された」とは、上記式(1)において、両末端のR2のうち少なくとも一方、好ましくは両方のR2が、以下に説明する官能基(封止基)であることをいう。
末端が封止されたPO3Gは、ポリエステル等の樹脂に混合することにより、上述した柔軟性の付与効果、耐揮発性や耐ブリード性に優れた可塑剤として使用できる上に、樹脂との反応性が低く、樹脂の分解等を極力抑えることができるので好ましい。
PO3Gの末端を封止する手法としては、制限されるものではないが、例えば、カルボン酸を用いてエステル化する手法が挙げられる。この場合、封止基であるR2は、使用したカルボン酸に対応するアシル基となる。
カルボン酸としては、モノカルボン酸でも、ジカルボン酸でも、三以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸でもよいが、モノカルボン酸を用いることが好ましい。
また、カルボン酸は、芳香族カルボン酸でも脂肪族カルボン酸でもよい。
芳香族カルボン酸の例としては、安息香酸、メチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、ナフタレンモノカルボン酸等が挙げられる。なお、芳香族カルボン酸を用いた場合、封止基であるR2は、使用した芳香族カルボン酸に対応する芳香族アシル基(アリーロイル基)となる。
脂肪族カルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ステアリン酸等が挙げられる。なお、脂肪族カルボン酸を用いた場合、封止基であるR2は、使用した脂肪族カルボン酸に対応する脂肪族アシル基(アルキロイル基)となる。
中でも、カルボン酸としては、芳香族カルボン酸が好ましい。即ち、封止基であるR2は、アリーロイル基であることが好ましい。
また、カルボン酸の中でも、具体的には安息香酸、酢酸、ステアリン酸が好ましく、安息香酸、酢酸がより好ましく、安息香酸が特に好ましい。
また、カルボン酸の中でも、具体的には安息香酸、酢酸、ステアリン酸が好ましく、安息香酸、酢酸がより好ましく、安息香酸が特に好ましい。
PO3Gの末端を封止する手順は制限されないが、例えば、カルボン酸を用いる場合、PO3Gとカルボン酸とを接触させて反応させることにより行なう。
カルボン酸の使用量は、制限されるものではないが、PO3Gの水酸基に対するカルボン酸のカルボキシル基の当量比が、通常0.5以上、好ましくは0.8以上、また、通常2以下、好ましくは1.5以下であることが望ましい。カルボン酸の使用量が少な過ぎると水酸基のエステル化が不十分となる場合があり、多過ぎると反応後の精製が困難となる場合がある。
PO3Gとカルボン酸との反応は、生成する水を系外に除きながら行うが、必要応じて溶媒中で行なわれる。溶媒は、PO3G及びカルボン酸を溶解させることができ、且つ、好ましからぬ反応を生じるものでなければ、その種類は制限されないが、例としては、キシレン、トルエン等の芳香族系溶媒;へキサン等の脂肪族系溶媒;等が挙げられる。これらは何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶媒の使用量は、制限されるものではないが、100重量部のPO3Gに対し、通常1重量部以上、好ましくは2重量部以上、また、通常200重量部以下、好ましくは100重量部以下の溶媒を使用することが望ましい。溶媒の使用量が少な過ぎると反応不十分となる場合があり、多過ぎると反応後の精製が困難となる場合がある。
PO3Gとカルボン酸との接触時には、触媒を共存させることが好ましい。触媒としては、通常は酸触媒が用いられる。酸触媒としては、パラトルエンスルホン酸、テトラブチルチタネート等のルイス酸触媒が挙げられる。これらは何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒の使用量は、制限されるものではないが、例えば、チタン系触媒の場合、反応原料に対し、通常1ppm以上、好ましくは5ppm以上、また、通常500ppm以下、好ましくは200ppm以下の触媒を使用することが望ましい。触媒の使用量が少な過ぎると反応が不十分となる場合があり、多過ぎると着色の原因となる場合がある。
PO3Gとカルボン酸との接触による反応は、通常は上述の溶媒中に、PO3Gとカルボン酸、並びに触媒を溶解させることにより行なう。この反応時には適宜、反応系に攪拌を加えてもよい。
反応時の温度は、制限されるものではないが、通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常270℃以下、好ましくは250℃以下の範囲が望ましい。反応時温度が低過ぎると反応が不十分となる場合があり、高過ぎると着色の原因となる場合がある。
反応時の圧力は、通常は常圧付近で行なわれるが、原料の昇華性や沸点等の性質による必要性を考慮して、例えば0.05MPa以上、0.5MPa以下の加圧条件下、或いは、例えば0.5kPa以上、80kPa以下の減圧条件下で行なってもよい。
反応時の雰囲気は、制限されるものではないが、通常は空気、真空、或いは窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気である。
反応時間は、混合時の温度、圧力、雰囲気等の条件によっても異なるが、通常1時間以上、好ましくは3時間以上、また、通常20時間以下、好ましくは15時間以下の範囲が望ましい。反応時間が短過ぎると反応が不十分となる場合があり、長過ぎると着色の原因となる場合がある。
反応生成物として、末端が封止されたPO3Gが得られる。得られた反応生成物をそのまま本発明の可塑剤として用いてもよいが、精製等の後処理を加えてから本発明の可塑剤として用いてもよい。
なお、本発明の可塑剤は、一方の末端のみが封止されたPO3G(片末端封止PO3G)のみを有していてもよく、両方の末端が封止されたPO3G(両末端封止PO3G)のみを有していてもよく、両者を任意の比率で含有していてもよい。
また、本発明の可塑剤は、片末端封止PO3G及び/又は両末端封止PO3Gの他に、その可塑性を著しく悪化させない範囲において、末端が封止されていないPO3G(末端未封止PO3G)を含有していてもよい。
また、本発明の可塑剤は、その可塑性を著しく悪化させない範囲において、他の一種又は二種以上の成分を含有していてもよい。
また、本発明の可塑剤は、その可塑性を著しく悪化させない範囲において、他の一種又は二種以上の成分を含有していてもよい。
本発明の可塑剤は、上述したポリエステル等の樹脂に混合することにより使用される。混合方法は、限定されるものではなくが、通常は溶融押出法、ロール法、溶媒キャスト法等の公知の混練技術が適用できる。
本発明の可塑剤を使用する場合、混合対象の樹脂100重量部に対し、通常0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、また、通常70重量部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下の量を使用することが望ましい。本発明の可塑剤の比率が上記範囲を外れると、柔軟性が不足したり、耐揮発性や耐ブリード性が悪化する場合がある。
[III.成形体]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、繊維、フィルム、シート、その他の種々の形状に成形することにより、成形体(本発明の成形体)として使用することが出来る。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、繊維、フィルム、シート、その他の種々の形状に成形することにより、成形体(本発明の成形体)として使用することが出来る。
本発明の成形体の用途は、制限されるものではないが、例えば、等速ジョイントブーツ、サスペンジョンブーツ、ラック&ピニオンブーツ、ステアリングロッドカバー、ケーブルインナーライナ、ケーブルアウタージャケット、ATスライドカバー、シートベルト部品、ドアラッチストライカー、リバンドストッパ、安全ベルトのラチェット、リーフスプリングブッシュ等の自動車部品、油圧用ホースや空圧用ホース等の各種ホース、各種シール・パッキン、フレキシブルカップリング、コンベアベルト、タイミングベルト、圧縮バネ等の工業用部品、ギヤ等の精密機械部品、携帯電話ハウジング、制震材、防震材、キーボードパット、導電性パット、OAロール、電話機カールコード、光ファイバ被覆等の電気・電子部品、ヘアーブラシ、ホットカーラー、スキー靴底、靴インナーソール等の生活用品、衣料用繊維、不織布や各種フィルター等の繊維製品、二軸延伸フィルムや導電性フィルム等のフィルム製品等として好適に使用できる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載中「部」という記載は全て「重量部」を表わす。
[製造例(ポリトリメチレンエーテルグリコールの製造)]
蒸留精製した1,3−プロパンジオール50gを、蒸留管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた100ml四つ口フラスコに、窒素を100Nml/分で供給しながら仕込んだ。これに0.0348gの炭酸ナトリウムを仕込んだ後、攪拌しつつゆっくりと0.678gの濃硫酸(95%)を加えた。このフラスコをオイルバス中に浸し、162℃に加熱した。液温を162℃±2℃に調節して、任意の時間保持して反応させた後、フラスコをオイルバスから取り出し、室温まで放置して冷却した。反応の間に生成した水は窒素に同伴させて留去した。室温まで冷却された反応液を、50gのテトラヒドロフランを用いて洗い流すことにより、300mlのナス型フラスコに移し、これに50gの脱塩水を加えて1時間緩やかに還流させ、硫酸エステルの加水分解を行なった。室温まで放冷して冷却した後、2層に分離した下層(水層)を除去した。上層(油層)に0.5gの水酸化カルシウムを加え、室温で1時間攪拌した後、50gのトルエンを加えて60℃に加熱し、減圧下にテトラヒドロフラン、水及びトルエンを留去した。得られた油層を100gのトルエンに溶解し、目開き0.45μmのフィルターで濾過して不溶物を除去した。濾液を60℃に加熱して6時間真空乾燥した。得られたポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量を測定したところ、1100であった。
蒸留精製した1,3−プロパンジオール50gを、蒸留管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた100ml四つ口フラスコに、窒素を100Nml/分で供給しながら仕込んだ。これに0.0348gの炭酸ナトリウムを仕込んだ後、攪拌しつつゆっくりと0.678gの濃硫酸(95%)を加えた。このフラスコをオイルバス中に浸し、162℃に加熱した。液温を162℃±2℃に調節して、任意の時間保持して反応させた後、フラスコをオイルバスから取り出し、室温まで放置して冷却した。反応の間に生成した水は窒素に同伴させて留去した。室温まで冷却された反応液を、50gのテトラヒドロフランを用いて洗い流すことにより、300mlのナス型フラスコに移し、これに50gの脱塩水を加えて1時間緩やかに還流させ、硫酸エステルの加水分解を行なった。室温まで放冷して冷却した後、2層に分離した下層(水層)を除去した。上層(油層)に0.5gの水酸化カルシウムを加え、室温で1時間攪拌した後、50gのトルエンを加えて60℃に加熱し、減圧下にテトラヒドロフラン、水及びトルエンを留去した。得られた油層を100gのトルエンに溶解し、目開き0.45μmのフィルターで濾過して不溶物を除去した。濾液を60℃に加熱して6時間真空乾燥した。得られたポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量を測定したところ、1100であった。
[合成例]
攪拌機、温度計、水分離器付還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた1Lフラスコに、製造例で合成したポリトリメチレンエーテルグリコール(Mn=1100)581.5g、安息香酸128.2g、キシレン20mlを入れ、窒素ガスを流し、攪拌しながら昇温した。内温が130℃になったところで、テトラブチルチタネート0.1426g及びキシレン10mlの混合物を加えた。更に昇温を続け、内温が203℃になったところで水の留出が開始した。そのまま200〜210℃の温度に保ち、8時間反応を続けた。次に内温を70℃以下に下げ、水酸化ナトリウム水溶液(8.4g/200ml水)を入れて中和した。その後、分液漏斗に移し、生成物を取り出した。得られた生成物を1Lフラスコに入れ、温度120℃、0.6kPaの減圧下、4.5時間かけて脱水、脱キシレンを行なった。得られた反応生成物を可塑剤Aとする。
攪拌機、温度計、水分離器付還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた1Lフラスコに、製造例で合成したポリトリメチレンエーテルグリコール(Mn=1100)581.5g、安息香酸128.2g、キシレン20mlを入れ、窒素ガスを流し、攪拌しながら昇温した。内温が130℃になったところで、テトラブチルチタネート0.1426g及びキシレン10mlの混合物を加えた。更に昇温を続け、内温が203℃になったところで水の留出が開始した。そのまま200〜210℃の温度に保ち、8時間反応を続けた。次に内温を70℃以下に下げ、水酸化ナトリウム水溶液(8.4g/200ml水)を入れて中和した。その後、分液漏斗に移し、生成物を取り出した。得られた生成物を1Lフラスコに入れ、温度120℃、0.6kPaの減圧下、4.5時間かけて脱水、脱キシレンを行なった。得られた反応生成物を可塑剤Aとする。
[比較合成例]
製造例で合成したポリトリメチレンエーテルグリコールの代わりに、数平均分子量300のポリエチレンエーテルグリコール(和光純薬製)303.2gを使用し、また、安息香酸の使用量を256.4gに変更した他は、上述の合成例と同様の条件で反応を行なった。得られた反応生成物を可塑剤Bとする。
製造例で合成したポリトリメチレンエーテルグリコールの代わりに、数平均分子量300のポリエチレンエーテルグリコール(和光純薬製)303.2gを使用し、また、安息香酸の使用量を256.4gに変更した他は、上述の合成例と同様の条件で反応を行なった。得られた反応生成物を可塑剤Bとする。
[実施例1]
ポリ乳酸(三井化学製H−400)100重量部に対して、合成例で作製した可塑剤Aを10重量部になるように混合し、(株)東洋精機製ラボプラストミルを用いて200℃にて混練し、ポリ乳酸組成物(ポリエステル組成物)を得た。
ポリ乳酸(三井化学製H−400)100重量部に対して、合成例で作製した可塑剤Aを10重量部になるように混合し、(株)東洋精機製ラボプラストミルを用いて200℃にて混練し、ポリ乳酸組成物(ポリエステル組成物)を得た。
得られたポリ乳酸組成物に対して、上島製38トンプレスを用いて、200℃で熱プレスを行ない、約0.15mmの厚みのプレスフィルムを得た。これをダンベル型に打ち抜き、(株)オリエンテック製卓上型材料試験機STA−1225を用いて引張試験を行ない、破断伸び及び破断強度を求めた。なお、試験速度は50mm/minとした。結果を表1に示す。
[比較例1]
合成例で作製した可塑剤Aの代わりに、比較合成例で作製した可塑剤Bを用いた他は、実施例1と同様の手順でポリ乳酸組成物(ポリエステル組成物)を得た。得られたポリ乳酸組成物に対して、実施例1と同様の手順及び条件で成形し、引張試験に供した。結果を表1に示す。
合成例で作製した可塑剤Aの代わりに、比較合成例で作製した可塑剤Bを用いた他は、実施例1と同様の手順でポリ乳酸組成物(ポリエステル組成物)を得た。得られたポリ乳酸組成物に対して、実施例1と同様の手順及び条件で成形し、引張試験に供した。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で使用したポリ乳酸を、可塑剤と混合することなく、実施例1と同様の手順及び条件で成形し、引張試験に供した。結果を表1に示す。
実施例1で使用したポリ乳酸を、可塑剤と混合することなく、実施例1と同様の手順及び条件で成形し、引張試験に供した。結果を表1に示す。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、例えば繊維、フィルム、シート、その他の種々の形状に成形することにより、成形体として各種用途に供することが可能である。
Claims (8)
- ポリエステルとポリトリメチレンエーテルグリコールとを含有する
ことを特徴とする、ポリエステル樹脂組成物。 - ポリエステル100重量部に対するポリトリメチレンエーテルグリコールの含有率が、0.5重量部以上70重量部以下である
ことを特徴とする、ポリエステル樹脂組成物。 - ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が100以上4000以下である
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のポリエステル樹脂組成物。 - ポリトリメチレンエーテルグリコールの末端が封止されている
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のポリエステル樹脂組成物。 - ポリトリメチレンエーテルグリコールの末端を封止する基がアシル基である
ことを特徴とする、請求項4記載のポリエステル樹脂組成物。 - ポリトリメチレンエーテルグリコールの末端を封止する基がアリーロイル基である
ことを特徴とする、請求項5記載のポリエステル樹脂組成物。 - 末端が封止されたポリトリメチレンエーテルグリコールを少なくとも有する
ことを特徴とする、可塑剤。 - 請求項1〜6の何れか一項に記載のポリエステル樹脂組成物からなる
ことを特徴とする、成形体。
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JP2007008348A JP2008174619A (ja) | 2007-01-17 | 2007-01-17 | ポリエステル樹脂組成物並びに可塑剤及び成形体 |
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-
2007
- 2007-01-17 JP JP2007008348A patent/JP2008174619A/ja active Pending
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