JP2008174591A - 顔料分散剤および改質剤に好適なエチレン系重合体 - Google Patents

顔料分散剤および改質剤に好適なエチレン系重合体 Download PDF

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健司 岩政
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賢生 井上
Yoshiyuki Hirase
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Abstract

【課題】剛性と耐熱性とに優れ、かつ流動性に優れつつもマスターバッチ用の分散剤(担体樹脂)として用いるときも、金型汚れ等の不具合の発生しないエチレン系重合体を提供すること。
【解決手段】本発明のエチレン系重合体は、エチレン単独重合体もしくは、エチレンと炭素数4〜10のα-オレフィンとの共重合体であり、下記要件[1]〜[4]を同時に満たす。[1]190℃、2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が10〜3000g/10分の範囲にある。[2]密度(d)が875〜990kg/m3の範囲にある。[3]ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が2〜5の範囲にある。[4]前記MFRと密度との関係
が下記関係式(Eq-1)を満たす。
Figure 2008174591

(上記式Eq-1において、Yは密度(kg/m3)を示し、XはMFR(g/10分)を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、成形品の金型汚れを抑制し、成形性や顔料分散性等を改善できるとともに、高流動且つ、べたつき分が少ないエチレン系重合体に関する。
従来、熱可塑性樹脂の成形の際に使用する着色剤としては、成形材料を直接着色するドライカラーやカラードペレットがあり、また顔料を高濃度に含有し、着色成形時に必要濃度に希釈するマスターバッチが製造されている。
しかし、ドライカラーは、顔料の飛散・汚染性が大きく作業性に問題がある。また、カラードペレット法では着色コストや物流コストが高くなる等の欠点がある。これに対してマスターバッチは、分散性が良好で着色コストが低く、保存や計量が容易であると共に、汚染性が無い等の着色剤として優れた性質を有している。
このようなマスターバッチには、製造の際に担体樹脂(分散剤)中への顔料分散性が良好であること、着色成形の際に使用する希釈樹脂中へのマスターバッチの混練分散が容易であることが必要であり、いずれか一方の工程において混合状態が不十分であると、成形品に着色剤の分散不良を原因とする各種の不良現象や色むら等が生じ、成形品の品質が安定しない欠点がある。
このように着色成形の際に希釈樹脂中ヘマスターバッチをいかに良好に分散するかが重要な問題であり、このためには顔料の担体樹脂中への分散性も優れていることが必要である。この目的を達成するためにマスターバッチは、良好な流動性が必要である。このため着色成形に使用する希釈樹脂より溶融粘度が低く調整され、これにより着色成形の際に顔料分散の優れた成形品が得られる。そして一般に、マスターバッチと希釈樹脂の溶融粘度の差が大きくなるほど、顔料の分散性も向上している。
そこで例えばポリオレフィンの着色成形に使用するカラーマスターバッチの製造では、担体樹脂に高圧ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン等の比較的に高分子量のポリエチレン樹脂を用い、これに顔料が高濃度に配合できるように、ワックスと呼ばれる低分子量ポリエチレンが分散剤として配合されている。
しかしながら、比較的高分子量のポリエチレン樹脂と、ポリエチレン系ワックスのブレンドのように、分子量の大きく異なる樹脂の混合は生産効率が悪いことが予測される。また、ワックスのブレンドはマスターバッチからのブリードの原因となり、金型やダイスの汚れによる生産性の低下や、製品の性能低下の懸念があった。
このような問題を解決するための手段として、例えば特許文献1には、二重結合を有する低分子量ポリエチレン系ワックスとパーフルオロアルキルメタクリレート等から誘導されるフッ素変性ワックスを用いる方法が開示されている。この方法によって、着色剤分散性が向上し、耐摩耗性が改良されるとしている。
特開平5−331242号公報
しかしながら、フッ素変性ワックスは、使用後に廃棄する際の環境負荷が、従来のポリエチレン系ワックスに比して大きいことが予想され、また、希釈樹脂としてのポリエチレ
ン・ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン等との貧相溶性が原因となりブリードする可能性もある。
また、耐摩耗性・耐熱性・剛性は一般に共重合させるコモノマーの量に依存し、エチレンに共重合させたコモノマーの量を少なくすると密度・結晶化度が向上することにより、剛性・耐熱性・耐摩耗性が向上することが知られている。この概念を利用し、究極的に剛性が高められたマスターバッチを製造する手法として、コモノマーを用いないエチレンホモポリマーとする方法も考えられるが、従来法では密度を充分に高めることが出来ず、必要な剛性と耐熱性・耐摩耗性が得られていないという問題点があった。
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、剛性と耐熱性とに優れ、かつ流動性に優れるとともに、マスターバッチ用の分散剤(担体樹脂)や改質剤として用いるときも、金型汚れ等の不具合の発生しないエチレン系重合体を提供することを目的としている。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の要件を満たすエチレン系重合体により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、顔料マスターバッチの担体樹脂として好適に用いられる本発明のエチレン系重合体は、エチレン単独重合体もしくは、エチレンと炭素数4〜10のα-オレフィンとの共重合体であり、下記要件[1]〜[4]を同時に満たすことを特徴としている。
[1]190℃、2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が10〜3000g/10分の範囲にある。
[2]密度(d)が875〜990kg/m3の範囲にある。
[3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(M
n)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が2〜5の範囲にある。
[4]前記MFRと密度との関係が下記関係式(Eq-1)を満たす。
Figure 2008174591
(上記式Eq-1において、Yは密度(kg/m3)を示し、XはMFR(g/10分)を示す。)
本発明のエチレン系重合体の更に好ましい態様は、前記要件[1]〜[4]に加えて、ビカット軟化点が118℃以上である。
本発明の射出成形品用ポリオレフィン樹脂は、前記したエチレン系重合体を含む。
また、本発明の顔料マスターバッチは、
(a)上記エチレン系重合体 95〜20重量%と、
(b)顔料 5〜80重量%と
からなる(但し(a)および(b)の合計量は100重量%である)。
また、本発明の顔料マスターバッチは、
(a)上記エチレン系重合体 5〜40重量%と、
(b)顔料 30〜60重量%と、
(c)高密度ポリエチレン 20〜60重量%と
からなる(但し(a)、(b)および(c)の合計量は100重量%である)。
前記した顔料マスターバッチにおいては、顔料(b)が、カーボンブラックであることが
特に好ましい態様である。
本発明のエチレン系重合体は剛性と耐熱性に優れ、さらには着色マスターバッチ等の分散剤として好適である。また、射出成形用の熱可塑性樹脂の流動性の改善の為の改質剤として用いても金型汚れを発生することのない優れた改質性能を発現する。
本発明のエチレン系重合体は、エチレン単独重合体もしくは、エチレンと炭素数4〜10
のα-オレフィンとの共重合体である。α‐オレフィンとして好ましくは炭素原子数3〜
10のα‐オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数3のプロピレン、炭素原子数4の1‐ブテン、炭素原子数5の1‐ペンテン、炭素原子数6の1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ペンテン、炭素原子数8の1‐オクテンである。
本発明のエチレン系重合体は、全構成単位中、エチレンから導かれる構成単位を90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは97モル%以上、特に好ましくは
100モル%(すなわちエチレン単独重合体)有することが好ましい。
エチレンから導かれる構成単位の含有量が上記範囲内にあると、顔料の分散性が向上する結果マスタ−バッチの高色再現性を実現しやすくなるとともに、顔料マスターバッチあるいは改質された樹脂の剛性や耐熱性・耐摩耗性を向上させることが可能となる。
改質剤や顔料マスターバッチの分散剤として好適に用いられる本発明のエチレン系重合体は下記要件[1]〜[4]を同時に満たすことを特徴としている。以下これらの要件について詳説する。
[要件[1]]
本発明のエチレン系重合体は、JIS K6922−2に従い測定した190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が10〜3000g/10分、好ましくは100〜2000g/10分の範囲である。
この範囲にあると、流動性と、添加した着色剤等の分散効果とに優れる。また、金型汚れ等、製品からのブリードアウト抑制の観点からも上記範囲が好ましい。
[要件[2]]
測定サンプルとしてMFR計より押し出されたストランド、あるいは JIS K6922−2に従い作成したプレスシートを用い、120℃、1時間 アニール処理した測定用サンプルを JIS K7112に従い密度勾配管にて測定した密度が875〜990kg/m3、好ましくは910〜990kg/m3、さらに好ましくはさらに好ましくは950〜990kg/m3の範囲にある。
この範囲に密度があると、耐熱性・剛性と、着色剤等マスターバッチ中の添加剤の分散効果とに優れる。
[要件[3]]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比が2〜5、好ましくは2〜4の範囲にある。
この範囲にあると流動性の改善効果、および製品からのブリードアウト抑制に伴う金型汚れ等の抑制の観点から好ましい。
[要件[4]]
本発明のエチレン系重合体の好ましい態様は上記要件[1]〜[3]に加えて、MFR (g/10分)と密度(kg/m3)との関係が下記式(Eq-1)を満たす。
Figure 2008174591
本発明のエチレン系重合体が式(Eq-1)の関係を満たすと、剛性および耐熱性に優れるとともに、一般的な高分子量のポリエチレン系樹脂とのブレンド時の改質効果に優れる。
[要件[5]]
さらに好ましい本発明のエチレン系重合体は前記した全要件に加えて、ビカット軟化点が118℃以上、好ましくは119℃、より好ましくは120℃であるという特徴を兼ね備える。ビカット軟化点が118℃以上であることによって、耐熱性が向上し、加工時の熱安定性が向上する。さらに、改質剤の性能として耐熱性が付与でき、高温時の耐磨耗性の向上も期待される。
本発明のエチレン系重合体は着色剤のマスターバッチに代表される分散剤などの改質剤として用いてもよい。本発明のエチレン系重合体は、具体的には、上記のような着色マスターバッチのみならず、フィラーや、酸化防止剤等の各種添加剤の分散性改良剤、ポリプロピレンや、ポリエチレン、などのポリオレフィン系樹脂あるいはポリアミドやポリカーボネート等の樹脂の改質剤として用いられる。この場合は、ポリオレフィン系樹脂あるいはポリアミドやポリカーボネート等の樹脂等とブレンドして用い、剛性や耐熱性・流動性・耐薬品性を高めることができる。したがって、本発明の射出成形用ポリオレフィン樹脂は、改質剤として上記エチレン系重合体を含む。また、本発明のエチレン系重合体は単体で使用してもよい。
本発明のエチレン系重合体は、顔料マスターバッチ用分散剤(担体樹脂)として好適に用いられる。
以下に、本発明のエチレン系重合体を用いたマスターバッチについて説明する。本発明のポリエチレン系重合体は、前記要件を満たす限りは、その構成成分種や構成比、構成方法を特に限定するものではない。本発明のエチレン系重合体には、前記した要件[1]〜[4]、好ましくは要件[1]〜[5]を満たす範囲で、本発明のエチレン系重合体とは異なるオレフィン系樹脂をブレンドすることも任意である。このようなオレフィン系樹脂としては、具体的には、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体、4-メチル-1-ペン
テン系重合体、3-メチル-1-ブテン系重合体、ヘキセン系重合体などが挙げられる。
本発明の顔料マスターバッチの好ましい一態様は、
(a)前記したエチレン系重合体 95〜20重量%、好ましくは90〜60重量%と、
(b)顔料 5〜80重量%、好ましくは10〜40重量%と
からなる顔料マスターバッチである(但し(a)および(b)の合計量は100重量%である)。
本発明で用いられる顔料としては、従来から合成樹脂の着色に知られている全ての顔料を使用することができる。具体的には、アルミニウム、銀、金などの金属類;炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ZnO、TiO2などの酸化物;Al23・nH2O、Fe23・nH2Oなどの水酸化物;CaSO4、BaSO4などの硫酸塩;Bi(OH)2NO3などの硝酸塩;PbCl2などの塩化物;CaCrO4、BaCrO4などのクロム酸塩;CoCrO4などの亜クロム酸塩、マンガン酸塩および過マンガン酸塩;Cu(BO
2などの硼酸塩;Na227・6H2Oなどのウラン酸塩;K3Co(NO26・3H2
Oなどの亜硝酸塩;SiO2などの珪酸塩;CuAsO3・Cu(OH)2などのひ酸塩お
よび亜ひ酸塩;Cu(C2322・Cu(OH)2などの酢酸塩;(NH42MnO2(P272などの燐酸塩;アルミ酸塩、モリブデン酸塩、亜鉛酸塩、アンチモン酸塩、タ
ングステン酸塩セレン化物、チタン酸塩、シアン化鉄塩、フタル酸塩、CaS、ZnS、CdS、黒鉛、カーボンブラックなどの無機顔料、コチニール・レーキ、マダー・レーキなどの天然有機顔料、ナフトール・グリーンY、ナフトール・グリーンBなどのニトロソ顔料;ナフトールエローS、ピグメント・クロリン2Gなどのニトロ顔料;パーマネント・レッド4R;ハンザエロー、ブリリアント・カーミン68、スカーレット2Rなどのアゾ顔料;マラカイン・グリーン、ローダミンBなどの塩基性染料レーキ、アシツド、グリーンレーキ、エオシン・レーキなどの酸性染料レーキ、アリザリン・レーキ、プルプリン・レーキ、などの媒染染料レーキ、チオ・インジゴ・レッドB、インタンスレン・オレンジなどの建染染料顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン顔料などの有機顔料などが挙げられる。これらのなかでも顔料としてカーボンブラックを用いた場合に本発明のエチレン系重合体の効果を遺憾なく発揮するので好ましい。
本発明の顔料マスターバッチの好ましい他の態様は、
(a)前記したエチレン系重合体 50〜25重量%、好ましくは40〜25重量%と、
(b)顔料 5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%、
(c)高密度ポリエチレン 20〜70重量%、好ましくは35〜65重量%と
とからなる顔料マスターバッチである(但し(a)、(b)および(c)の合計量は100重量%
である)。
次に、本発明のエチレン系重合体の製造方法について説明する。
本発明のエチレン系重合体は、メタロセン系オレフィン重合触媒、たとえば
(A)シクロペンタジエニル基およびフルオレニル基が、第14族原子を含む共有結合
架橋によって結合されている遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機金属化合物、
(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3) 遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
(C)担体と
から形成されるオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンを単独重合させるか、またはエチレンと前記した炭素原子数6〜10のα-オレフィンとを共重合させて得ることができ
る。
以下、各成分(A)、(B)、(C)の好ましい態様について述べる。
(A)遷移金属化合物
遷移金属化合物(A)は、以下に記載する一般式[I]または[II]で表される化合物である
Figure 2008174591
Figure 2008174591
上記一般式[I]および[II]において、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およびR20は、それぞれ水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、またはケイ素含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R7〜R18
までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、Aは不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基であり、Yとともに環
構造を形成しており、AはYと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよ
く、Yは炭素またはケイ素であり、Mは周期律表第4族から選ばれた金属であり、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、jは1〜4の整数である。
上記一般式[I]または[II]で表される遷移金属化合物(A)の中で、好んで用いられる
化合物は、R7〜R10が水素であり、Yが炭素であり、MがZrであり、jが2の化合物である。
上記一般式[I]で表される遷移金属化合物(A)の中で、R12、R13、R16、R17が総て炭
化水素基である化合物が好んで用いられる。
また、上記一般式[I]で表される遷移金属化合物(A)の中で、共有結合架橋部の架橋
原子Yは、相互に同一でも異なっていてもよいアリール基を有する(すなわち、R19とR20
が相互に同一でも異なっていてもよいアリール基である)ことが好ましい。アリール基と
しては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基および、これらの芳香族水素(sp2
型水素)の一つ以上が置換基で置換された基を例示することができる。なお置換基としては、総炭素数1から20の炭化水素基(f1)、総炭素数1から20のケイ素含有基(f2) 、ハロゲ
ン原子が挙げられる。総炭素数1から20の炭化水素基(f1)は、炭素および水素のみから構
成されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基以外に、これらの炭素に直結した水素原子の一部がハロゲン原子、酸素含有基、窒素含有基、ケイ素含有基で置換されたヘテロ原子含有炭化水素基や、隣接する任意の二つの水素原子が脂環族を形成しているものも含む。このような基(f1)としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、アリル(allyl)基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノ
ニル基、n-デカニル基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、t-ブチル基、アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-
プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチ
ル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基およびこれらの核アルキル置換体;ベンジル基、クミル基などのアリール基の置換した飽和炭化水素基; メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基N-メチルアミノ基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基などのヘテロ原子含有炭化水素基を挙げることができる。
ケイ素含有基(f2)とは、例えば、シクロペンタジエニル基の環炭素がケイ素原子と直接共有結合している基であり、具体的にはアルキルシリル基やアリールシリル基である。総炭素数1から20のケイ素含有基(f2)としては、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル
基等を例示することができる。
一般式[I]における共有結合架橋部の架橋原子Yに結合した、相互に同一でも異なっていてもよいアリール基として、具体的にはフェニル基、トリル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ビフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基を例示することができる。
後述する本出願実施例で使用した遷移金属化合物(A)は具体的には下記式[III]で表
される化合物あるが、本発明においてはこの遷移金属化合物に何ら限定されるものではない。
Figure 2008174591
なお、上記式[III]で表わされる遷移金属化合物は、270MHz1H-NMR(日本電子 GSH-270
)およびFD-質量分析(日本電子 SX-102A)を用いて構造決定した。
(B-1) 有機金属化合物
本発明で必要に応じて用いられる(B-1)有機金属化合物として、具体的には下記のよう
な周期律表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が挙げられる。
一般式 Ra mAl(ORb)nHpXq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ま
しくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、p
は0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物である。
後述する本願実施例において用いたアルミニウム化合物はトリイソブチルアルミニウム、またはトリエチルアルミニウムである。
(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で必要に応じて用いられる(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知の
アルミノキサンであってもよく、また特開平2-78687号公報に例示されているようなベン
ゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
後述する本願実施例において使用した有機アルミニウムオキシ化合物は市販されている日本アルキルアルミ株式会社製のMAO(=メチルアルモキサン)/トルエン溶液である。
(B-3) 遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物
本発明で用いられる架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3) (以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、US5321106号公報などに記載されたルイス酸、イオン
性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。このようなイオン化イオン性化合物(B-3)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
なお、後述する本願実施例において使用した(B)成分としては、今回上記に示した(B-1)および(B-2)の2つを用いている。
(C)微粒子状担体
本発明で必要に応じて用いられる(C)微粒子状担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が1〜300μm、好ましくは3〜200μmであって、比表面積が50〜1000(m2/g)、好ましくは100〜800(m2/g)の範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0(cm3/g)の範囲に
あることが望ましい。このような担体は、必要に応じて80〜1000℃、好ましくは100〜800℃で焼成して使用される。
本発明に用いるオレフィン重合用触媒は、本発明の架橋メタロセン化合物(A)と、(B-1) 有機金属化合物、(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3) イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、必要に応じて用いられる微粒子状担体(C)と共に、必要に応じて後述するような特定の有機化合物成分(D)を含むこともできる。
(D)有機化合物成分
本発明において、(D)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられる。
本発明のエチレン系重合体は、上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、既述のようにエチレンを単独重合させるかまたはエチレンと炭素原子数6〜10のα-オレフィンとを共重合させることにより得られる。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法、(P1)〜(P10)が例示される。
(P1) 成分(A)と、(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物およ
び(B-3) イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の成分(B)(以下単に「成分(B)」という。)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
(P2) 成分(A)と成分(B)とを予め接触させた触媒を重合器に添加する方法。
(P3) 成分(A)と成分(B)とを予め接触させた触媒成分、および成分(B)を任意
の順序で重合器に添加する方法。この場合各々の成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(P4) 成分(A)を微粒子状担体(C)に担持した触媒成分、および成分(B)を任意
の順序で重合器に添加する方法。
(P5) 成分(A)と成分(B)とを微粒子状担体(C)に担持した触媒成分を、重合器
に添加する方法。
(P6) 成分(A)と成分(B)とを微粒子状担体(C)に担持した触媒成分、および成
分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合各々の成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(P7) 成分(B)を微粒子状担体(C)に担持した触媒成分、および成分(A)を任意
の順序で重合器に添加する方法。
(P8) 成分(B)を微粒子状担体(C)に担持した触媒成分、成分(A)、および成分
(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合各々の成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(P9) 成分(A)と成分(B)とを微粒子状担体(C)に担持した触媒成分と、成分(
B)とを予め接触させた触媒成分を、重合器に添加する方法。この場合各々の成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(P10) 成分(A)と成分(B)とを微粒子状担体(C)に担持した触媒成分と、成分(B)とを予め接触させた触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合各々の成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
上記の(P1)〜(P10)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも二つ以上は予め
接触されていてもよい。
上記の微粒子状担体(C)に、成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分はオレフィンが予備重合されていてもよい。この予備重合された固体触媒成分は、通常固体触媒成分1g当たり、ポリオレフィンが0.1〜1000g、好ましくは0.3〜500g、特に好ま
しくは1〜200gの割合で予備重合されて構成されている。
また、重合を円滑に進行させる目的で、帯電防止剤やアンチファウリング剤などを併用したり、担体上に担持しても良い。
重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できるが、生産性の視点から懸濁重合および気相重合法が好んで採用される。
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、又オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、(共)重合を行うに際して、成分(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになる
ような量で用いられる。
必要に応じて用いられる成分(B-1)は、成分(B-1)と、成分(A)中の遷移金属原子(M
)とのモル比[(B-1)/M]が、通常0.01〜100,000、好ましくは0.05〜50,000となるような量で用いられる。
必要に応じて用いられる成分(B-2)は、成分(B-2)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(B-2)/M]が、通常10〜500,000、好ましくは20〜100,000となるような量で用いられる。
必要に応じて用いられる成分(B-3)は、成分(B-3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M
)とのモル比[(B-3)/M]が、通常1〜100、好ましくは2〜80となるような量で用いられる。
必要に応じて用いられる成分(D)は、成分(B)が成分(B-1)の場合には、モル比[(D)/(B-1)]が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(B)が成
分(B-2)の場合には、モル比[(D)/(B-2)]が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1と
なるような量で、成分(B)が成分(B-3)の場合には、モル比[(D)/(B-3)]が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
重合温度は、通常-50〜+250℃、好ましくは0〜200℃、特に好ましくは60〜170℃の範
囲である。重合圧力は、通常常圧〜100(kg/cm2) 、好ましくは常圧〜50(kg/cm2)の条件下であり、重合反応は、回分式(バッチ式)、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。重合は、通常気相または重合粒子が溶媒中に析出しているスラリー相で行う。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行う。このうち、バッチ式で行うことが好ましい。また、スラリー重合または気相重合の場合、重合温度は好ましくは60〜90℃、より好ましくは65〜85℃である。この温度範囲で重合することで、より組成分布が狭いエチレン系重合体が得られる。得られた重合体は数十〜数千μmφ程度の粒子状で
ある。重合器が二つ以上からなる連続式で重合した場合には、良溶媒に溶解後に貧溶媒に析出させる、特定の混練機で十分に溶融混練するなどの操作が必要となる。
得られるエチレン系重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(B)の違いにより調節することもできる。
重合反応により得られた重合体粒子は、以下の方法によりペレット化してもよい。
[1] エチレン系重合体粒子および所望により添加される他の成分を、押出機、ニー
ダー等を用いて機械的にブレンドして、所定の大きさにカットする方法。
[2] エチレン系重合体および所望により添加される他の成分を適当な良溶媒(たと
えば;ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の炭化水素溶媒)に溶解し、次いで溶媒を除去、しかる後に押出機、ニーダー等を用いて機械的にブレンドして、所定の大きさにカットする方法。
本発明のエチレン系重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤などの添加剤やカーボンブラック、酸化チタン、チタンエロー、フタロシアニン、イソインドリノン、キナクリドン化合物、縮合アゾ化合物、群青、コバルトブルー等の顔料が必要に応じて配合されていてもよい。
本発明に係るエチレン系重合体は、パイプや異形などの押出成形体、射出成形体などに単体もしくは改質剤としてブレンドして用いることができる。これらの成形体には、エチレン系樹脂からなる部分と、他の樹脂からなる部分とを含む成形体(積層体等)が含まれる。
[着色剤マスターバッチ]
本発明のエチレン系重合体を顔料マスターバッチの分散剤として用いた着色剤マスターバッチは、該エチレン系重合体を着色剤と、必要に応じて通常のポリエチレン系樹脂等とをブレンドする事により形成される。
本発明のエチレン系重合体と、添加剤、一般のポリエチレン系重合体とをブレンドする方法としては、種々公知の方法を採用することができ、例えばヘンシェルミキサー、V-
ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練して、造粒あるいは粉砕する方法により調製することができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
本願実施例で採用した樹脂測定法並びに成形体評価方法は以下のとおりである。
〈MFR〉
JIS K6922-2に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定した。
〈密度〉
測定サンプルとしてMFR計より押し出されたストランドを用い、120℃で1時間アニール処理した測定用サンプルをJIS K7112に従い、密度勾配管にて測定した。
〈極限粘度([η])〉
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。すなわちエチレン系重合体約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〈ビカット軟化点〉
JIS K7151に従って、成形温度 177℃、冷却速度 15K/minで作成した
2mm厚みプレスシートを2枚重ねて、JIS K7206に従い測定した。
〈融点〉
JIS K7121に従い、DSCを用いて測定した。すなわち、ペレットを、窒素気流下にて180℃、10分間保持して溶融状態とし、このサンプルを10℃/minにて
30℃まで冷却して再度固化し、10分間保持の後、10℃/minにて昇温することにより融点を算出した。
〈GPC測定〉
ウオーターズ社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。
分離カラムは、東ソー(株)製 TSK GMH 6HT 2本、およびTSK GMH 6HTL 2本の合計4本であり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製)を使用した。酸化防止剤としてBHT(3,5−ジ−tブチルヒドロキシトルエン)(武田薬品工業(株)製)を0.025重量%となるように用いた。試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、試料を1.0ml/分で移動させ、検出器として示差屈折計を用いた。東ソー製の標準ポリスチレン製を用いて標準法によりカラム校正を行い、ポリエチレンに換算した値を求めた。
以下に示す実施例1〜2、比較例1〜2は、本発明のエチレン系重合体に関わるものである。
[実施例1]
[固体触媒成分の調製]
200℃で3時間乾燥したシリカ8.5kgを33リットルのトルエンで懸濁状にした後、メチルアルミノキサン溶液(Al=1.42モル/リットル)82.7リットルを30分で滴下した。次いで1.5時間かけて115℃まで昇温し、その温度で4時間反応さ
せた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーション法によって除去した。得られた固体触媒成分をトルエンで3回洗浄した後、トルエンで再懸濁化して固体触媒成分(α)を得た(全容積150リットル)。
[担持触媒の調製]
充分に窒素置換した反応器中に、トルエンに懸濁させた固体触媒成分(α)をアルミニウム換算で19.60molを入れ、その懸濁液を攪拌しながら、室温下(20〜25℃)でジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジ
ルコニウムジクロライド37.38mmol/リットル溶液を2リットル(74.76mmol)加えた後、60分攪拌した。攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-ヘキサン40リットルを用いて洗浄を2回行い、得られた担持触媒をn-ヘキサンに再懸濁し、25リットルの触媒懸濁液として、固体触媒成分(β)を得た。
[固体触媒成分(β)の予備重合]
攪拌機つき反応器に窒素雰囲気下、精製n-ヘキサン15.8リットル、および上記固
体触媒成分(β)を投入した後、トリイソブチルアルミニウム5molを加え、攪拌しながら、固体成分1g当たり4時間で3gのポリエチレンを生成できる相当量のエチレンで予備重合を行った。重合温度は20〜25℃に保った。重合終了後、攪拌を停止後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、n-ヘキサン35リットルを用いて洗浄を4回行い
、得られた担持触媒をn-ヘキサン20リットルにて触媒懸濁液として、固体触媒成分(
γ)を得た。
[重合]
第1重合槽に、ヘキサンを45リットル/hr、合成例1で得た固体触媒成分(γ)をZr換算原子に換算して0.11mmol/hr、トリエチルアルミニウムを20mmol/hr、エチレンを5.0kg/hr、水素を連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を連続的に抜出しながら、重合温度85℃、反応圧8.5kg/cm2G、平均滞留時間2.5hrという条件で重合を行った。該内容物中の
ヘキサン及び未反応モノマーを溶媒分離装置で除去、乾燥しエチレン系重合体(E-1)
を得た。得られた重合体(E-1)のMFRは120g/10min、密度976kg/
3であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
重合体のMFRが270g/10min、密度978kg/m3になるよう水素供給量
を変更した以外は実施例1と同様の方法にて重合を行いエチレン系重合体(E-2)。結
果を表1に示す。
〔比較例1〕
[チタン系触媒成分の調整]
30℃のヘキサン 500ml中で無水塩化マグネシウム25gを攪拌・懸濁し、エタノール 92mlを1時間かけて滴下させ、さらに1時間反応させた。続いてジエチルアルミニウムモノクロリド 93mlを1時間かけて滴下し、さらに1時間反応させた。反応終了後、四塩化チタン90mlを滴下し、80℃にて1時間反応させた。反応終了後、上澄み液をデカンテーションで取り除き、遊離のチタンが検出されなくなるまで、ヘキサンで洗浄する事で固体触媒成分を得た。
[重合]
ステンレス製オートクレーブにヘキサン930mlおよび1‐ブテン 70mlを加え、水素を2.0MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで反応容器中の温度を170℃まで昇温し、トリエチルアルミニウム 0.1mmol、エチルアルミニウムセスキクロリド 0.4mmol、および上記で得られたチタン触媒成分を原子換算で0.08mmolを、エチレンを用いて圧入した。エチレンのみを連続的に供給する事で全圧を3.9MPa(ゲージ圧)に保ち、170℃ 40分間 重合を行った。少量のエタノールを添加して反応を停止し、未反応のエチレンと1‐ブテンをパージし、乾燥することによってエチレン系重合体(C-1)を得た。重合体(C-1)の密度は916kg/m3、[η]は0.21dl/gであった。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
1‐ブテンを用いずエチレン単独にて重合した以外は、比較例1と同様の方法でMFR
280g/10minのエチレン系重合体ポリエチレン系ワックス(C-2)を得た。結
果を表1に示す。
Figure 2008174591
[実施例3]
改質剤として、上記実施例2で得られたエチレン系重合体(E-2)と、市販の高密度
ポリエチレンである(株)プライムポリマー製ポリエチレンHi-zex 2200J〔MFR 5.5g/10min、密度968kg/m3〕の各々を重量比100:20でブレンドし
た後、射出成形機として東芝IS100Gを用いて射出成形した。(設定温度条件:NH/H3/H2/H1=200/200/200/190℃、射出圧力100MPa、射出速度25%にて金型厚み2m
mのスパイラルフロー型を使用)
射出成形時のスパイラルフロー長さは流動長をcm単位で測定することにより評価し、また金型汚れはスパイラルフロー型を目視にて観察することによって判断した。エチレン系重合体(E-2)の改質効果を示す結果を表2に示す。
〔比較例3〕
エチレン系重合体(E-2)の代わりに、比較例1で得られたエチレン系重合体(C‐
1)を用いたこと以外は実施例3と全く同様な評価を行った。エチレン系重合体(C-1
)の改質効果を示す結果を表2に示す。
〔比較例4〕
エチレン系重合体(E-2)の代わりに、比較例2で得られたエチレン系重合体(C‐
2)を用いたこと以外は実施例3と全く同様な評価を行った。エチレン系重合体(C-2
)の改質効果を示す結果を表2に示す。
〔参考例1〕
(株)プライムポリマー製ポリエチレンHi-zex 2200Jのみを用いて、実施例3と
同様に射出成形した。評価結果を表2に示す。
Figure 2008174591
[実施例4]
実施例1で得られたエチレン系重合体(E‐1)80重量部、および顔料としてカーボンブラック(CABOT社 VULCAN 9A32)20重量部を用いて、プラコー社製40φ 単軸押出機(スクリュー フルフライト L/D=24、圧縮比 4.0、設定温度 180℃)にて成形し、ペレット状にカッティングする事によりマスターバッチを得た。得られたカーボンブラック含有マスターバッチを、市販の高密度ポリエチレンである(株)プライムポリマー製ポリエチレンHi-zex 2200J〔MFR 5.5g/10min、密度968kg/m3〕100重量部に対して1重量部ブレンドし、射出成形を行
った。射出成形品表面の色むらと、200ショット成形後の金型の汚れを目視にて評価した。射出成形機としては、東芝 IS100Gを用い、設定温度NH/H3/H2/H1=200/200/200/190℃、射出圧力100MPa、射出速度25%で行った。成形品形状としては金型厚
み2mm、縦12cm、横11cmの角板を用いた。結果を表3に示す。(なお表3においては、「マスターバッチ」をMBと略称している。)
[実施例5]
エチレン系重合体(E‐1)の代わりに、実施例2で得られたエチレン系重合体(E‐
2)を用いた以外は実施例4と同様の成形法によって射出成形を行った。結果を表3に示す。
[実施例6]
実施例1で得られたエチレン系重合体(E‐1)33重量部、顔料としてカーボンブラック(CABOT社 VULCAN 9A32)20重量部、および(株)プライムポリマー製ポリエチレンHi-zex 2200J47重量部をブレンドして、カーボンブラック含
有マスターバッチを調製した以外は実施例4と同様の成形法によって射出成形を行った。結果を表3に示す。
[実施例7]
実施例2に記載の方法にて得られたエチレン系重合体(E‐2)28重量部、顔料としてカーボンブラック(CABOT社 VULCAN 9A32)20重量部、および(株)プライムポリマー製ポリエチレンHi-zex 2200J52重量部をブレンドして、カー
ボンブラック含有マスターバッチを調製した以外は実施例4と同様の成形法によって射出成形を行った。結果を表3に示す。
〔比較例5〕
比較例1で得られたエチレン系重合体(C‐1)20重量部、顔料としてカーボンブラック(CABOT社 VULCAN 9A32)20重量部、および(株)プライムポリマー製ポリエチレンHi-zex 2200J60重量部をブレンドしてカーボンブラック含有
マスターバッチを調製した以外は実施例4と同様の成形法によって射出成形を行った。結果を表3に示す。
〔比較例6〕
比較例2で得られたエチレン系重合体(C‐2)20重量部、および顔料としてカーボンブラック(CABOT社 VULCAN 9A32)80重量部をブレンドしてカーボンブラック含有マスターバッチを調製した以外は実施例4と同様の成形法によって射出成形を行った。結果を表3に示す。
Figure 2008174591

Claims (6)

  1. エチレン単独重合体もしくは、エチレンと炭素数4〜10のα-オレフィンとの共重合体であり、下記要件[1]〜[4]を同時に満たすエチレン系重合体。
    [1]190℃、2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が10〜3000g/10分の範囲にある。
    [2]密度(d)が875〜990kg/m3の範囲にある。
    [3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(
    Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2〜5の範囲にある。
    [4]前記MFRと密度との関係が下記関係式(Eq-1)を満たす。
    Figure 2008174591
    (上記式Eq-1において、Yは密度(kg/m3)を示し、XはMFR(g/10分)を示す。)
  2. ビカット軟化点が118℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン系重合体。
  3. 請求項1または2に記載のエチレン系重合体を含む射出成形品用ポリオレフィン樹脂。
  4. (a)請求項1または2に記載のエチレン系重合体 95〜20重量%と、
    (b)顔料 5〜80重量%と
    からなる顔料マスターバッチ(但し(a)および(b)の合計量は100重量%である)。
  5. (a)請求項1〜3のいずれかに記載のエチレン系重合体 5〜40重量%と、
    (b)顔料 30〜60重量%と、
    (c)高密度ポリエチレン 20〜60重量%と
    からなる顔料マスターバッチ(但し(a)、(b)および(c)の合計量は100重量%である)
  6. 顔料(b)が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項4または5に記載の顔料
    マスターバッチ。
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