JP2008174304A - 着色プラスチック容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料および紫外線吸収剤を含む着色層1と、着色層1の一方側表面に直接にまたは中間層(例えば、環状オレフィン重合体層2)を挟んで積層される内層(例えば、ポリオレフィン層3)と、を備える熱可塑性多層プラスチックで、着色プラスチック容器を形成する。また、着色層1の厚さTを50〜1000μmとし、着色層1中の顔料の含有割合P(重量%)と、着色層1の厚さT(μm)との積PTが下記式(1)を満たし、かつ、着色層1中の紫外線吸収剤の含有割合U(重量%)と、着色層1の厚さT(μm)との積UTが、上記PTが20を上回るときに下記式(2)を満たし、PTが20以下であるときに下記式(3)を満たすように設定する。
1≦PT≦150 …(1)
5≦UT≦160 …(2)
20<UT≦160 …(3)
【選択図】図1
Description
また、このようなプラスチック製容器においては、紫外線により分解、劣化しやすい薬剤を収容するために、容器を形成するプラスチック材料に遮光性を付与することが検討されており、例えば、プラスチック材料に顔料を配合することや、紫外線吸収剤を配合することが提案されている。
また、特許文献2には、油性食品用容器の光線による接着劣化の防止や内容物の保存性の向上を目的として、紫外線吸収剤を含有するエチレンビニルアルコール共重合体層を、ポリオレフィンを主体とする内外層に対して、接着剤樹脂層を介して中間層として設けた積層体で形成することが提案されている。
また、プラスチック材料に紫外線吸収剤を配合して、紫外領域の波長を十分に遮蔽させる場合は、紫外線吸収剤を多量に配合することで、コストアップの問題が顕著となりやすく、しかも、プラスチック材料中への紫外線吸収剤の分散性の低下や、プラスチック材料からの紫外線吸収剤の滲出(ブリード)といった不具合を生じるおそれもある。
本発明の目的は、紫外線により分解、劣化しやすい薬剤を安定して収容でき、かつ、容器内部を視認しやすい着色プラスチック容器を提供することにある。
5≦UT≦160 …(2)
20<UT≦160 …(3)
本発明の着色プラスチック容器によれば、容器の内部に対する適度な視認性を維持しつつ、紫外領域の波長を効率よく遮蔽することができる。それゆえ、本発明によれば、紫外線により分解、劣化しやすい薬剤を安定して収容することができる。
また、この場合においては、前記着色層中の紫外線吸収剤の含有割合U(重量%)を、前記着色層の厚さT(μm)で除したときの商U/Tが、下記式(4)を満たしていることがより好ましい。
着色層を熱可塑性多層プラスチックの外側表面に配置することで、すなわち、着色層を熱可塑性多層プラスチックの最外層にすることで、紫外線吸収剤による紫外線吸収効果を効率よく発揮させることができる。また、この場合に、着色層中の紫外線吸収剤の含有割合を上記範囲に設定することで、熱可塑性多層プラスチックの表面からの紫外線吸収剤の滲出(ブリード)を防止することができる。
また、本発明の着色プラスチック容器において、前記熱可塑性多層プラスチックの透過率は、波長200〜380nmの光線に対し、5%以下であり、かつ、波長600nmの光線に対し、40%以上であることが好適である。
本発明の着色プラスチック容器は、有底筒状に形成された薬液を収容するための薬液収容部と、薬液収容部の開口端と連通し、一方側に向かって延びる薬液排出筒部と、薬液排出筒部の一方側端部を閉鎖する頂部と、を備える着色プラスチックアンプルであり、かつ、前記薬液収容部での熱可塑性多層プラスチックの厚みが、300〜1500μmであることが好適である。
図1は、着色プラスチック容器を形成する熱可塑性多層プラスチックの層構成の一例を示す断面図であり、図2および図3は、それぞれ、上記熱可塑性多層プラスチックの層構成の他の例を示す断面図である。なお、以下の説明において、複数の層構成例を通じて、同一または同種の部分には、同一の符号を示す。
図2に示す熱可塑性多層プラスチックは、顔料および紫外線吸収剤を含む着色層1と、着色層1の一方側表面に積層された3層構造の中間層4と、中間層4の着色層1と反対側の表面に積層されたポリオレフィン層3とを備えている。また、中間層4は、環状オレフィン重合体層2と、環状オレフィン重合体層2の一方側表面および他方側表面にそれぞれ1層ずつ積層される、計2層のポリオレフィン層5,6とを備えている。この熱可塑性多層プラスチックにおいて、着色層1は、着色プラスチック容器の外層を形成する層であり、ポリオレフィン層3は、着色プラスチック容器の内層を形成する層である。
着色層を形成するプラスチックとしては、熱可塑性を有するプラスチックであること以外は特に限定されず、具体的には、例えば、ポリオレフィンが挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高圧法(分岐状)低密度ポリエチレン(HP−LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などのホモポリマーや、ポリエチレン系コポリマーが挙げられる。ポリエチレン系コポリマーにおけるエチレン以外のコモノマーとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1などのα−オレフィン類が挙げられる。また、このポリエチレン系コポリマーにおいて、エチレン以外のコモノマーの含有割合は、好ましくは、20モル%以下であり、より好ましくは、3〜20モル%である。
また、着色層は、例えば、ポリプロピレンと、ポリプロピレンエラストマーと、造核剤との混合物から形成されていてもよい。この場合、着色層の透明性を向上させることができる。
顔料は、着色プラスチック容器の光線透過性を低下させ、着色プラスチック容器に収容される内容物(例えば、薬剤など。)の光線(特に、紫外線)による変質を抑制するために配合される成分である。また、顔料は、上記目的のほか、例えば、着色プラスチック容器に意匠性を付与する目的で配合されていてもよい。
具体的に、着色プラスチック容器に収容される内容物が、主として、紫外領域の光線を遮蔽すべきものである場合には、顔料として、例えば、アゾ縮合系顔料(例えば、下記式で示されるC.I.ピグメントイエロー95、下記式で示されるC.I.ピグメントイエロー93、下記式で示されるC.I.ピグメントイエロー94、下記式で示されるC.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド242など)、イソインドリノン系顔料(例えば、下記式で示されるC.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー173、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ68など)、モノアゾ系顔料(例えば、C.I.ピグメントイエロー181など)、ジスアゾ系顔料(例えば、C.I.ピグメントイエロー180など)、アンスラキノン系顔料(例えば、C.I.ピグメントイエロー147など)、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料などの有機顔料や、例えば、酸化鉄、C.I.ピグメントブルー28(コバルトブルー;アルミン酸コバルト)、C.I.ピグメントイエロー53(チタンイエロー;ニッケルイエロー)などの無機顔料が挙げられる。
着色層に含有される紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系などが挙げられる。なかでも、紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系が好適である。
着色層には、さらに必要に応じて、顔料および紫外線吸収剤以外の各種の添加剤を配合することができる。
金属酸化物微粒子の金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤と、金属酸化物微粒子との組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、好ましくは、前出の商品名「チヌビン(登録商標)326」と、酸化亜鉛微粒子との組み合わせが挙げられる。
ポリオレフィン層を形成するポリオレフィンとしては、着色層を形成するプラスチックと同様のものが挙げられる。
環状オレフィン重合体層を形成する環状オレフィン重合体としては、例えば、環状オレフィンとオレフィンとの共重合体、環状オレフィンの開環重合体、これらの水素添加物などが挙げられる。具体的には、例えば、エチレンとジシクロペンタジエン類との共重合体、エチレンとノルボルネン系化合物との共重合体、シクロペンタジエン誘導体の開環重合体、2種以上のシクロペンタジエン誘導体の開環共重合体、これらの水素添加物が挙げられる。なかでも、好ましくは、エチレンとノルボルネン系化合物との共重合体の水素添加物、1種または2種以上のシクロペンタジエン誘導体の開環(共)重合体の水素添加物が挙げられる。
環状オレフィン重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、例えば、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載の入力補償示差走査熱量測定(入力補償DSC)により測定された中間点ガラス転移温度(Tmg)として、好ましくは、60〜80℃、より好ましくは、65〜80℃である。
環状オレフィン重合体の分子量は、特に限定されないが、数平均分子量<Mn>が、好ましくは、1万〜10万であり、より好ましくは、2万〜5万である。なお、平均分子量は、例えば、シクロヘキサンを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析によって、標準ポリスチレン換算値として求められる。
(i) 環状オレフィン重合体層、
(ii) 環状オレフィン重合体層と、その環状オレフィン重合体層の一方側表面および他方側表面にそれぞれ1層ずつ積層される計2層のポリオレフィン層と、を備える3層構造の積層体、
(iii) 着色層、
などが挙げられる。
上記(i)および(ii)に示すように、環状オレフィン重合体層を中間層とする場合であっても、環状オレフィン重合体層を内層とする場合と同様の作用効果が得られる。すなわち、着色層中の顔料および紫外線吸収剤が着色プラスチック容器の内部へ移行することを防止する効果や、着色プラスチック容器の強度を向上させる効果が得られ、さらに、水分およびガスの透過防止能を向上させる効果が得られる。
中間層としての環状オレフィン重合体層に配合するポリエチレンとしては、熱可塑性多層プラスチックの透明性を維持する観点より、比較的高密度のものが好ましい。具体的には、例えば、密度が0.935〜0.970g/cm3のポリエチレンが好適である。また、ポリエチレンの含有割合は、環状オレフィン重合体層の総量100重量部に対し、5〜20重量部であることが好ましい。
上記熱可塑性多層プラスチックには、必要に応じて、例えば、接着層、ガスバリア層、酸素吸収層、シーラント層などの層を積層することもできる。
着色層の厚さTが50μmを下回ると、本発明の作用効果を発揮させるのに十分な量の顔料や紫外線吸収剤を、着色層中に配合させることが困難になる。逆に、着色層の厚さTが1000μmを上回ると、熱可塑性多層プラスチック全体の厚みが大きくなりすぎて、着色プラスチック容器の成形性や取扱い性が低下する。
本発明の着色プラスチック容器において、着色層中の顔料の含有割合P(重量%)と、着色層の厚さT(μm)との積PTは、下記式(1)を満たすように設定される。
積PTの値を上記式(1)の範囲に設定しつつ、後述する着色層中の紫外線吸収剤の含有割合U(重量%)と、前記着色層の厚さT(μm)との積UTを下記の範囲に設定することで、容器の内部に対する適度な視認性を維持しつつ、紫外領域の波長を効率よく遮蔽することができる。これに対し、積PTの値が上記範囲を下回ると、紫外領域の波長の遮蔽効果が不十分になる。逆に、PTの値が上記範囲を上回ると、着色プラスチック容器の内部の様子が確認しづらくなる。
着色層中での着色剤の配合量は、着色層の厚みTとの関係において、上記式(1)の範囲を満たすように設定されること以外は、特に限定されないが、着色層中での分散性などの観点より、例えば、着色層中での含有割合が、0.01〜0.4重量%であることが好ましい。
5≦UT≦160 …(2)
20<UT≦160 …(3)
積UTの値を上記式(2)または(3)の範囲に設定しつつ、上述の積PTの値を上記式(1)の範囲に設定することで、容器の内部に対する適度な視認性を維持しつつ、紫外領域の波長を効率よく遮蔽することができる。
積PTが20を上回る場合において、積UTの値は、上記範囲の中でも特に、好ましくは、5〜120であり、より好ましくは、10〜100である。
着色層中での紫外線吸収剤の配合量は、着色層の厚みTとの関係において、上記式(2)の範囲を満たすように設定されること以外は、特に限定されないが、着色層中での分散性などの観点より、例えば、着色層中での含有割合が、0.01〜0.4重量%であることが好ましい。
U/T≦0.004 …(4)
商U/Tが上記範囲を上回ると、着色層から着色プラスチック容器の外部へと、紫外線吸収剤が滲出(ブリード)するおそれがある。
本発明の着色プラスチック容器において、着色層以外の各層の厚みは、いずれも、熱可塑性多層プラスチックから形成される層全体に対し、好ましくは、10〜50%の範囲で設定される。なお、各層の厚みの割合は、多層プラスチック容器に収容される内容物の種類、収容量などに合わせて、適宜設定することができる。
本発明の着色プラスチック容器に収容される薬剤としては、特に限定されないが、例えば、好ましくは、オザグレルナトリウム水溶液が挙げられる。
図4は、着色プラスチック容器の一実施形態としての着色プラスチックアンプルの一例を示す正面図であり、図5は、その側面図であり、図6は、平面図であり、図7は、底面図であり、図8は、側断面図である。
図6および図7に示すように、薬液収容部11の断面形状は、平面視または底面視において、円形状に形成されているが、薬液収容部11の上記断面形状は、これに限定されず、例えば、楕円状に形成されていてもよい。
薬液収容部11、薬液排出筒部12および頂部13は、互いに連続し、一体となっており、薬液を収容、密封するための閉じられた領域を形成している。
これにより、薬液収容部11と、薬液排出筒部12の頂部13側とを把持し、これらを互いに捩じり、または、折り曲げることで、脆弱部14を、容易に捩じ切りまたは折り裂き、開裂させることができる。また、これにより、着色プラスチックアンプル10を開封することができる。
図4および図5に示すように、薬液排出筒部12の外周面26には、薬液排出筒部12の脆弱部14より頂部13側から連続して、薬液排出筒部12の外側に突出し、かつ、頂部13の外表面27から連続して、頂部13の外側に突出する摘み片28を備えている。
また、図4および図5に示すように、肩部17における薬液収容部11の外周面23と、脆弱部14より薬液収容部11側における薬液排出筒部12の外周面26と、には、それぞれ薬液排出筒部12および薬液収容部11の外側に突出し、かつ、互いに連結されている補強片31を備えている。
これにより、例えば、着色プラスチックアンプル10の輸送中や取り扱い中において、薬液収容部11から突出している薬液排出筒部12が破損しにくくなる。
補強片31は、フラット部32と、フラット部32の周囲に形成される面取り部33とを有しており、摘み片28の内部は、中空状の肉厚部分を形成している。これにより、補強片31自体の剛性が保たれ、補強効果がより一層向上し、着色プラスチックアンプル10を開封するため、補強片31を把持した場合に、補強片31の変形を抑制できる。しかも、摘み片28を捩じる際に、補強片31への指当たりが良好となる。
着色プラスチックアンプル10は、例えば、いわゆる、ブロー・フィル・シール(BFS)法と、多層ブロー成形法とを組み合わせた成形方法によって製造することができる。
すなわち、顔料および紫外線吸収剤を含む着色層と、前記着色層の一方側表面に直接にまたは中間層を挟んで積層される内層と、を備え、前記着色層の厚さTが、50〜1000μmの範囲に設定され、前記着色層中の顔料の含有割合P(重量%)と、前記着色層の厚さT(μm)との積PTが、下記式(1)を満たし、前記着色層中の紫外線吸収剤の含有割合U(重量%)と、前記着色層の厚さT(μm)との積UTが、上記積PTが20を上回るときに下記式(2)を満たし、かつ、上記積PTが20以下であるときに下記式(3)を満たす熱可塑性多層プラスチックを、押出し成形し、各層が互いに融着して積層された多層構造のパリソンを作製する。
5≦UT≦160 …(2)
20<UT≦160 …(3)
次いで、得られた多層パリソンを割り型で挟み、薬液収容部11と、薬液排出筒部12と、補強片31との各部を形成し(ブロー工程)、次に、薬液収容部11の内部に薬液を充填し(充填工程)、さらに、割り型で挟んで、頂部13および摘み片28を形成し、薬液収容部11と、薬液排出筒部12と、頂部13とからなる閉じられた領域を形成する(シール工程)。こうして、薬液が充填密閉された着色プラスチックアンプル(着色プラスチック容器)10が得られる。
また、多層構造のパリソンを用いたブロー・フィル・シール(BFS)法によるプラスチックアンプルの製造は、パリソンの層構造が異なること(パリソンを形成する押出機の数やダイの構造が異なること)以外は、単層構造のパリソンを用いたBFS法によるプラスチックアンプルの製造と、同様にして行うことができる。なお、多層フィルムの各層は、上記したように、互いに融着して積層させてもよく、各層の間に、上記した接着性樹脂からなる層を介在させて、互いに接着させてもよい。
着色プラスチックアンプル(着色プラスチック容器)10は、各種の方法で成形することができる。なかでも、好ましくは、ブロー・フィル・シール法が挙げられる。
下記の実施例および比較例に使用した樹脂材料、顔料および紫外線吸収剤は、下記のとおりである。
・PE1:高圧法低密度ポリエチレン、密度0.928g/cm3、商品名「B128H」、宇部丸善ポリエチレン(株)製
・PE2:高密度ポリエチレン、密度0.940g/cm3、商品名「ウルトゼックス(登録商標)Uz4020B」、プライムポリマー(株)製
・PE3:接着性低密度ポリエチレン、密度0.903g/cm3、商品名「エボリュー(登録商標)SP0510B」、プライムポリマー(株)製
・PE4:高密度ポリエチレン、密度0.965g/cm3、商品名「ネオゼックス(登録商標)Nz65150B」、プライムポリマー(株)製
・PP1:ポリプロピレン、商品名「B205」、プライムポリマー(株)製
・PP2:ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、商品名「ノティオ(登録商標)PN−3050」、三井化学(株)製
・PP3:ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、商品名「タフマー(登録商標)XM7070」、三井化学(株)製
・COC1:環状オレフィン重合体(エチレン・テトラシクロドデセン系共重合体)、商品名「アペル(登録商標)8008T」、Tg70℃、三井化学(株)製
・COP1:環状オレフィン重合体(ノルボルネン系開環重合体水素添加物)、商品名「ゼオノア(登録商標)750R」、Tg70℃、日本ゼオン(株)製
・顔料:黄色顔料、C.I.ピグメントイエロー95
・紫外線吸収剤:商品名「チヌビン(登録商標)326」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
<実施例1〜8および比較例1〜4>
1.アンプルの製造
図1に示す形状のアンプル(内容積2.5mL用)を、表1または表2に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
また、表1、表2および以下に示す表において、「P」および「PT」は、それぞれ、該当する着色層での顔料の含有割合P(重量%)、および、顔料の含有割合P(重量%)と厚みT(μm)との積を示している。「U」、「UT」および「U/T」は、それぞれ、該当する着色層での紫外線吸収剤の含有割合U(重量%)、紫外線吸収剤の含有割合U(重量%)と厚みT(μm)との積、および、紫外線吸収剤の含有割合U(重量%)を厚みT(μm)で除した商を示している。
表1および表2に示す実施例1〜8および比較例1〜4のアンプルについて、室温放置14日後のアンプル外観の確認をおこなった(ブリードの確認)。
その結果を下記の表3に示す。なお、比較例2のアンプルは、容器本体から紫外線吸収剤がブリードしてきて、容器表面に白色の微粉末が観察された。
上記実施例および比較例(紫外線吸収剤のブリードが生じた比較例2を除く。)のアンプルについて、照度2000lx(D65ランプ)の光源下に25日間放置後、内容液中での、オザグレルナトリウムの類縁物質であるシス体の含有割合を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。
測定波長:220nm
カラム:YMC−Pack ODS−A、A−302 150×4.6mmI.D.、S−5μm
カラム温度:約25℃
移動相:0.3%酢酸アンモニウム液/メタノール混液(4:1)
流量:1.0mL/分
測定時間:20分
測定結果を下記の表3に示す。なお、上記分析の結果、シス体の含有割合が0.3%を超えるものを不良と判定した。
上記実施例および比較例(紫外線吸収剤のブリードが生じた比較例2を除く。)のアンプルにおける薬液収容部から、光線透過率測定用のサンプルを切り取り、このサンプルを用いて、波長が200〜380nmの光線の透過率と、波長が600nmの光線の透過率を分光光度計で測定した。
測定結果を、下記の表3に示す。
一方、比較例3のアンプルは、600nmの光線の透過率が低いので、内容液の目視観察が困難であった。
実施例1と同様にして、図1に示す形状の2.5mL収容用アンプルを、表4に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
この実施例9〜16について、上記2.と同様にして、アンプルの外観変化を観察した結果、いずれも、容器本体からの紫外線吸収剤のブリードは観察されなかった。
<実施例17および18>
実施例1と同様にして、図1に示す形状の2.5mL収容用アンプルを、表5に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
<実施例19〜24および比較例5〜10>
実施例1と同様にして、図1に示す形状の2.5mL収容用アンプルを、表7または表8に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
<実施例25〜30>
実施例1と同様にして、図1に示す形状の2.5mL収容用アンプルを、表10に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
この実施例25〜30について、上記2.と同様にして、アンプルの外観変化を観察した結果、いずれも、容器本体からの紫外線吸収剤のブリードは観察されなかった。
<実施例31〜33および比較例11〜13>
実施例1と同様にして、図1に示す形状の2.5mL収容用アンプルを、表11に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
<実施例34〜36>
実施例1と同様にして、図1に示す形状の2.5mL収容用アンプルを、表13に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
この実施例34〜36について、上記2.と同様にして、アンプルの外観変化を観察した結果、いずれも、容器本体からの紫外線吸収剤のブリードは観察されなかった。
<実施例37〜42および比較例14〜19>
実施例1と同様にして、図1に示す形状の2.5mL収容用アンプルを、表14または表15に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
<実施例43〜48>
実施例1と同様にして、図1に示す形状の2.5mL収容用アンプルを、表17に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
この実施例43〜48について、上記2.と同様にして、アンプルの外観変化を観察した結果、いずれも、容器本体からの紫外線吸収剤のブリードは観察されなかった。
<実施例49〜51>
実施例1と同様にして、図1に示す形状の2.5mL収容用アンプルを、表18に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
<実施例52〜54>
実施例1と同様にして、図1に示す形状の2.5mL収容用アンプルを、表20に記載の層構成からなる熱可塑性多層プラスチックで、ブロー・フィル・シール法により製造した。アンプル内には、0.8%(w/v)オザグレルナトリウム水溶液を2.5mL充填した。
この実施例52〜54について、上記2.と同様にして、アンプルの外観変化を観察した結果、いずれも、容器本体からの紫外線吸収剤のブリードは観察されなかった。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (8)
- 顔料および紫外線吸収剤を含む着色層と、前記着色層の一方側表面に直接にまたは中間層を挟んで積層される内層と、を備える熱可塑性多層プラスチックで形成され、
前記着色層の厚さTが、50〜1000μmであり、
前記着色層中の顔料の含有割合P(重量%)と、前記着色層の厚さT(μm)との積PTが、下記式(1)を満たし、
前記着色層中の紫外線吸収剤の含有割合U(重量%)と、前記着色層の厚さT(μm)との積UTが、上記積PTが20を上回るときに下記式(2)を満たし、かつ、上記積PTが20以下であるときに下記式(3)を満たすことを特徴とする、着色プラスチック容器。
1≦PT≦150 …(1)
5≦UT≦160 …(2)
20<UT≦160 …(3) - 前記着色層の他方側表面が、前記熱可塑性多層プラスチックの外側表面であることを特徴とする、請求項1に記載の着色プラスチック容器。
- 前記着色層中の紫外線吸収剤の含有割合U(重量%)を、前記着色層の厚さT(μm)で除したときの商U/Tが、下記式(4)を満たすことを特徴とする、請求項2に記載の着色プラスチック容器。
U/T≦0.004 …(4) - 前記顔料がアゾ縮合系顔料であり、かつ、前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の着色プラスチック容器。
- 前記熱可塑性多層プラスチックの透過率が、波長200〜380nmの光線に対し、5%以下であり、かつ、波長600nmの光線に対し、40%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の着色プラスチック容器。
- 前記着色層と、前記内層との間に、環状オレフィン重合体層を備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の着色プラスチック容器。
- 有底筒状に形成された薬液を収容するための薬液収容部と、薬液収容部の開口端と連通し、一方側に向かって延びる薬液排出筒部と、薬液排出筒部の一方側端部を閉鎖する頂部と、を備える着色プラスチックアンプルであり、かつ、前記薬液収容部での熱可塑性多層プラスチックの厚みが、300〜1500μmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の着色プラスチック容器。
- ブロー・フィル・シール法により形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の着色プラスチック容器。
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