JP2008173923A - 積層発泡シートとその製造方法及び青果用トレー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリスチレン系樹脂(a)、密度0.87〜0.92g/cm3のポリエチレン系樹脂(b)及びスチレンと共役ジエンとの共重合体またはその水素添加物(c)を含む樹脂組成物(i)の押出発泡層であって、スチレンと共役ジエンとの共重合体またはその水素添加物(c)が、デュロメータタイプA硬度の値HDAが90以下であり、押出発泡層の密度が0.03〜0.2g/cm3である第一発泡層と、ポリスチレン系樹脂発泡層とが積層されてなる積層発泡シートであって、積層発泡シートの加熱変形値が押出方向で90〜103、押出方向と垂直な方向で97〜117である積層発泡シート。
【選択図】 図1
Description
また、ポリスチレン系樹脂と、エチレン−スチレン共重合体と、ポリエチレン系樹脂との混合樹脂の発泡シートから成形された青果用トレーが提案されている(特許文献2参照。)。
更に、前記発泡シートの融着性の問題を改善したポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂及び特定の硬さのスチレンと共役ジエンとの共重合体またはその水素を含む樹脂組成物から得られた特定の硬さの押出発泡層が提案されている(特許文献3参照)。
特許文献1及び2に開示された青果用トレーは、柔軟性、緩衝性に優れるものの、エチレン−スチレン共重合体を含んでいるために耐熱性が低くなり、青果用トレー保管時に高温状態にさらされると、重ねてあったトレー同士が融着して剥離し難くなる問題がある。
特許文献3に開示された青果用トレーは、特許文献1及び2に開示された青果用トレーに比べ、トレーの融着に対して改善効果が見られるものの、スチレン樹脂に比べるとガラス転移温度の低い樹脂を含んでいるために、保管状態によっては青果用トレー同士が融着する場合があり、完全に課題を克服するには至らなかった。
さらに、特許文献1〜3に開示されたいずれの青果用トレーについても、表面の緩衝性に優れているものの、重い果実を収納するための青果用トレーとしては強度の面で不足していた。
本発明の積層発泡シート1における第一発泡層2は、ポリスチレン系樹脂(a)、密度0.87〜0.92g/cm3のポリエチレン系樹脂(b)及びスチレンと共役ジエンとの共重合体またはその水素添加物(c)を含む樹脂組成物(i)の押出発泡層であって、スチレンと共役ジエンとの共重合体またはその水素添加物(c)が、デュロメータタイプA硬度の値HDAが90以下であり、押出発泡層の密度が0.03〜0.2g/cm3であることを特徴としている。
本発明の積層発泡シート1を構成するPSP層3に用いられるポリスチレン系樹脂は、は、ポリスチレン樹脂またはポリスチレン樹脂を主成分とするポリスチレン系樹脂混合物が用いられ、特にポリスチレンホモポリマー単体であるか、あるいはポリスチレンホモポリマー50〜90質量%と耐衝撃性ポリスチレンまたはスチレン−アクリル酸エステル共重合体10〜50質量%とからなる樹脂であることが好ましい。
本発明の積層発泡シート1は、前記樹脂組成物(i)を発泡させた第一発泡層2と前記PSP層3とを積層してなり、該積層発泡シート1の加熱変形値(測定方法は後で詳述する。)が、MD方向で90〜103の範囲であり、TD方向で97〜117の範囲であることを特徴としている。この積層発泡シート1の加熱変形値を前記範囲としたことによって、性質の大きく異なる発泡層が積層されていることから熱成形が難しい積層発泡シートでありながら、熱成形に優れ、積層発泡シート1を成形して青果用トレー等の成形品にした場合に、表面に亀裂などがない外観の良好な高強度の成形品を得ることができる。
より好ましい加熱変形値の範囲は、MD方向で93〜100の範囲であり、TD方向で99〜111の範囲である。さらにそれぞれの方向の値が前記の値を満足しつつ、MD/TDの値が0.84〜0.95であることが好ましく、0.86〜0.92であることがより好ましい。
本発明の積層発泡シート1は、第一発泡層2とPSP層3となるそれぞれの発泡シートを、個別に押出して得られた発泡シートを熱接着させたり、接着剤を用いて接着して積層することもできるが、生産性に優れ、積層発泡シート1の加熱変形値の調整が行いやすいことから、共押出で製造することが好ましい。
本発明の製造方法で得られる積層発泡シート1は、公知の成形方法により熱成形し、トレーなどの成形品とすることができる。特に本発明による積層発泡シート1は、その柔軟性により緩衝特性が良いため、複数の収納用凹部を有する青果用トレーなどに好適に利用できる。
配合A(三井住友ポリオレフィン社製VLDPE「エクセレンVL100」(密度0.90g/cm3)8質量%、旭化成ケミカルズ社製スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物「SS9000」18質量%、東洋スチレン社製GPPS「HRM12」74質量%)100質量部に対して、気泡核剤としてタルク0.6質量部をφ115mm−φ150mmのタンデム型押出機のφ115mmの第一押出機に供給し、溶融した後、押出機途中から発泡剤としてイソブタン/ノルマルブタン=65/35を5.8質量部圧入し、混練した後、φ150mmの第二押出機で139℃まで冷却し、165kg/hrの割合で合流金型に供給した。一方、配合B(ポリスチレン系樹脂(東洋スチレン社製「HRM12」)93質量%とゴム成分として「タフプレン125」(旭化成ケミカルズ社製、スチレン−ブタチレン共重合体、スチレン成分:ブタジエン成分=40:60)7質量%)100質量部に対して、気泡核剤としてタルク1.0質量部をφ115mmのシングル押出機に供給し、溶融した後、押出機途中から発泡剤としてイソブタン/ノルマルブタン=65/35を4.3質量部圧入し、混練した後、148℃まで冷却し、71kg/hrの割合で合流金型に供給した。合流金型に供給された前記2種類の樹脂を、合流金型内で合流、積層させたのち口径190mmの環状ダイに供給し、ダイのスリット(0.30mm)を通して、外側が配合Aからなる発泡層、内側が配合Bのポリスチレン系樹脂発泡層となるように円筒状に押出した直後に、その内側と外側にエアーをかけて冷却しつつ、直径が670mmのプラグ上に沿わせて冷却成形し、冷却された円筒状発泡体を切り開いて積層発泡シートを製造した。積層発泡シートの物性は表1,2に示す。
保管熟成させた前記積層発泡シートを加熱炉で加熱した後、雄型と雌型の間に挟みプレスすることによって、青果用トレーに熱成形した。
配合Bを配合C(ポリスチレン系樹脂(東洋スチレン社製「HRM12」)100質量%)と気泡核剤をタルク1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様に発泡シートを得た。積層発泡シートの物性は表1,2に示す。
保管熟成させた前記積層発泡シートを加熱炉で加熱した後、雄型と雌型の間に挟みプレスすることによって、青果用トレーに熱成形した。
ポリスチレン系樹脂として東洋スチレン社製GPPS「HRM26」を75質量%と、ポリエチレン系樹脂として「エクセレンVL100」を10質量%、スチレンと共役ジエンとの共重合体またはその水素添加物として、「SS9000」を15質量%配合した樹脂原料100質量部に対して、気泡核剤としてタルク0.6質量部添加した樹脂組成物材料をφ115mm−φ150mmのタンデム型押出機のφ115mmの第一押出機に供給し、溶融した後、押出機途中から発泡剤としてイソブタン/ノルマルブタン=65/35を5.8質量部圧入し、混練した後、φ150mmの第二押出機で139℃まで冷却し205kg/hrで口径175mmの環状ダイスに供給し、ダイのスリット(0.40mm)を通して、円筒状に押出させた直後に、その内側と外側にエアーをかけて冷却しつつ、直径が670mmのプラグ上に沿わせて冷却成形し、冷却された円筒状発泡体を切り開いて単層の発泡シートを製造した。この発泡シートの物性は表1,2に示す。
保管熟成させた前記発泡シートを加熱炉で加熱した後、雄型と雌型の間に挟みプレスすることによって、青果用トレーに熱成形した。
前記配合A100質量部に対して、気泡核剤としてタルク0.6部をφ115mm−φ150mmのタンデム型押出機のφ115mmの第一押出機に供給し、溶融した後、押出機途中から発泡剤としてイソブタン/ノルマルブタン=68/32を5.9質量部圧入し、混練した後、φ150mmの第二押出機で139℃まで冷却し、165kg/hrの割合で合流金型に供給した。一方、前記配合B100質量部に対して、気泡核剤としてタルク1.0部をφ115mmのシングル押出機に供給し、溶融した後、押出機途中から発泡剤としてイソブタン/ノルマルブタン=65/35を4.1質量部圧入し、混練した後、148℃まで冷却し、71kg/hrの割合で合流金型に供給した。合流金型に供給された前記2種類の樹脂を、合流金型内で合流、積層させたのち口径175mmの環状ダイに供給し、ダイのスリット(0.40mm)を通して、外側が配合Aからなる発泡層、内側が配合Bのポリスチレン系樹脂発泡層となるように円筒状に押出させた直後に、その内側と外側にエアーをかけて冷却した。
そして、冷却後の円筒を切り開いて積層発泡シートを製造した。積層発泡シートの物性は表1,2に示す。本例で製造した積層発泡シートは、加熱変形値が本発明の規定範囲から外れていた。
保管熟成させた前記積層発泡シートを加熱炉で加熱した後、雄型と雌型の間に挟みプレスすることによって、青果用トレーに熱成形した。
環状ダイの口径を200mm、ダイのスリットを0.34mmに変更した以外は、実施例1と同様に発泡シートを得た。
積層発泡シートの物性は表1,2に示す。本例で製造した積層発泡シートは、加熱変形値が本発明の規定範囲から外れていた。
保管熟成させた前記積層発泡シートを加熱炉で加熱した後、雄型と雌型の間に挟みプレスすることによって、青果用トレーに熱成形した。
加熱変形値は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、試料(積層)発泡シートから一辺が10cmの平面正方形上の試験片を5個、各辺が発泡シートのMD方向又はTD方向に平行な状態となるように切り出す。
しかる後、各試験片の表裏面上に、互いに対向する辺の中央部同士を結ぶ直線を二本、十字状に描く。次に、各試験辺を125℃の雰囲気下に90秒間に亘って放置加熱した後、試験片を常温にて5分に亘って放置冷却する。
次に、試験片の表裏面に描いた直線の長さを測定し、それぞれの方向の表と裏の平均値をその試験片のMD方向とTD方向の加熱変形値とする。5個の試験片の相加平均値を、(積層)発泡シートの加熱変形値とする。
加熱変形値=加熱後の長さ/加熱前の長さ×100
まず、試料発泡シートを10cm×10cmに切り抜き5枚程度重ね、さらに厚さ1mm程度の同じ大きさのアルミ板で挟んだ状態で、その上から5kgの分銅をのせ、70℃に設定したオーブン中に水平に静置させる。その状態で12時間加熱し、その後一旦温度を下げて常温で1時間放置した後、さらに70℃で12時間加熱した。その後、オーブンより取り出し、常温で1時間放置後、発泡シート同士の剥離性を調べた。重ねあわせた発泡シートを1枚ずつ剥がしていき、4枚剥がした際の剥がれ具合で◎、○、×、××の五段階で評価した。これを3セット行った。
◎:4枚ともほとんど音がせず力もかからない。
○:1枚以上でパリパリ程度の音はするが、力はそれほどかからない。
△:4枚ともでパリパリ程度の音はするが、力はそれほどかからない。
×:1〜2枚でパリパリ音がし力をかけなければ剥がれない。
××:4枚ともパリパリ音がし力をかけなければ剥がれない。
単発熱成形機において、加熱炉内温度180℃に設定して、開口部100mm、深さ40mmのホールを16個持つ金型を用いて、得られた発泡シートを成形し、成形品表面の状態を観察した。裂けやクラックが発生した物しか得られないものには×、これらの不具合が認められなかったものを○とした。
一方、第一発泡層を単層とした比較例1は剥離性が悪かった。
比較例2及び比較例3は、加熱変形値が本発明の規定範囲から外れており、成形性が悪かった。
Claims (5)
- ポリスチレン系樹脂(a)、密度0.87〜0.92g/cm3のポリエチレン系樹脂(b)及びスチレンと共役ジエンとの共重合体またはその水素添加物(c)を含む樹脂組成物(i)の押出発泡層であって、スチレンと共役ジエンとの共重合体またはその水素添加物(c)が、デュロメータタイプA硬度の値HDAが90以下であり、押出発泡層の密度が0.03〜0.2g/cm3である第一発泡層と、ポリスチレン系樹脂発泡層とが積層されてなる積層発泡シートであって、積層発泡シートの加熱変形値が押出方向で90〜103、押出方向と垂直な方向で97〜117であることを特徴とする積層発泡シート。
- 樹脂組成物(i)が、ポリスチレン系樹脂(a)50〜90質量%、ポリエチレン系樹脂(b)3〜20質量%、スチレンと共役ジエンとの共重合体またはその水素添加物(c)3〜47質量%(ただし、ポリエチレン系樹脂(b)+スチレンと共役ジエンとの共重合体またはその水素添加物(c)=10〜50質量%の範囲である)の組成を有することを特徴とする請求項1に記載の積層発泡シート。
- 積層シートの厚みが1.0mm〜5.0mmの範囲であり、坪量が80〜400g/m2の範囲であり、且つ前記第一発泡層とポリスチレン系樹脂発泡層との厚み比率が10:1〜1:2の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層発泡シート。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の積層発泡シートを熱成形して得られた青果用トレー。
- 前記第一発泡層と前記ポリスチレン系樹脂発泡層とを共押出により製造して請求項1〜3のいずれかに記載の積層発泡シートを得ることを特徴とする積層発泡シートの製造方法。
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