JP2008173861A - 耐火物用混練機および耐火物の混練方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 逆円錐台形の下部を備えた容器4と、容器4中心の鉛直軸で回転する内側攪拌子1と、これと同軸で容器4内壁に沿って回転する外側攪拌子2a、2b、2c、2dとを備えた混練機は、外側攪拌子2a、2bを支える支持部材3a、3bが内側攪拌子1と外側攪拌子2a、2b、2c、2dの間の混練物を移動させるための攪拌補助部材14a、14bを備えている。
【選択図】図1
Description
こうする事により、まとまり、流動性、可塑性、緻密性などの必要な性質を備えた、均質で施工性と最終的に耐火物として耐用性に優れた混練物を得ることができる。
さらに無機、有機、金属のファイバー、解膠剤や減水剤や分散剤(以下ではこれらを総称して減水剤と呼ぶ)、作業性調整剤、硬化調整剤、乾燥性調整剤などの添加物が含まれることもある。これらに加えて混練液、すなわち水あるいは有機溶媒、もしくはこれらに樹脂や無機物あるいは有機物を溶解あるいは分散させた物の一種あるいは二種以上を所定量添加して混練する。不定形耐火物とは塊、粒、粉やその他の副成分、添加物の混合物、混練した後の混練物のいずれをも指す。
不定形耐火物や耐火物坏土の混練に用いる装置(以下、混練機と呼ぶ)には多種多様なものがある。
たとえば非特許文献1には多くの種類の混練機が例示されている。不定形耐火物、中でも使用量の多いキャスタブル耐火物の混練に用いられることが多いのが、ウェイストミキサー、平型ミキサー、パンミキサーなどと呼ばれる型である。ボルテックスミキサー((株)北川鉄工所製)、ターボミキサー(大平洋機工(株)製)などが代表的な製品である。これらを総称して以下では平型混練機と呼ぶ。この混練機が多用されるのは、その機構が簡単であることと、粒径が10μm以下のいわゆる超微粉を含有しない、あるいは含有量3質量%未満のキャスタブル耐火物であれば、施工に支障がない程度の流動性のある混練物が得られるためである。
他方、コンクリートの混練に用いられる混練機として、特許文献2〜4に記載のような、下部が逆円錐台形で上に開いたホッパー形の材料保持容器と、容器中心の鉛直軸で回転するらせん形あるいはチョッパー形の内側攪拌子と、内側攪拌子と同軸で容器内壁に沿って回転する1本あるいは2本以上の外側攪拌子とを備えた混練機がある。
この混練機は混練時間、排出時間が短く、材料の滞留膠着がなく、材料の共回りを抑制でき、均質な混練物を得ることができる。また補強繊維を添加した場合でも良好に混練でき、高強度のコンクリート施工体が得られる。
その理由は、平型混練機では、攪拌子で材料の塊を押すあるいは切り返す(上下を逆転させる)という操作が主体で、濡れにくい材料塊の内部まで混練液を行き渡らせるのが容易ではないためと考えられる。
このため、洗浄に莫大な手間と時間を要することとなるため、複雑な構造は避けることが重要である。また、粒径10μm以下の超微粉を多用した不定形耐火物の混練物は粘性が高いため、整流板や補助旋回部材を設置すると、混練物が共回りしやすくなり、うまく混練ができず不都合である。
この様に、粒径10μm以下の超微粉は耐火物組織を緻密にするため耐用性向上に有効であるが、水やバインダーなどの混練液に濡れにくく、混練が難しいという問題は、解決されていない。
(1) 逆円錐台形の下部を備えた容器と、容器中心の鉛直軸で回転する内側攪拌子と、これと同軸で容器内壁に沿って回転する外側攪拌子とを備えた混練機において、前記外側攪拌子を支える支持部材は、前記内側攪拌子と前記外側攪拌子の間の混練物を移動させるために、該支持部材と一体的に形成され、又は、該支持部材に取り付けられる攪拌補助部材を備えていることを特徴とする耐火物用混練機。
(3) 前記攪拌補助部材は、板状部材の上部と下部を逆方向にねじった形状のねじれ部材であることを特徴とする(1)に記載の耐火物用混練機。
(4) 前記攪拌補助部材は、水平断面が円弧形状の曲がり部材であることを特徴とする(1)に記載の耐火物用混練機。
(6) 上記の(1)〜(5)のいずれかに記載の混練機を用いて、粒径10μm以下の超微粉を内掛けで3〜20質量%含有する不定形耐火物を混練することを特徴とする耐火物の混練方法。
この攪拌補助部材の形状としては、板状部材、ねじれ部材、曲がり部材等の種々の形状とすることが可能である。
支持部材3a、3b、3c、3dは、アーム13a、13b、13c、13dを介して回転軸9と接続され、支持部材3a、3bは、混練物を動かす板状部材(攪拌板)14a、14bを備え、この板状部材14a、14bを介して外側攪拌子2a、2bと接続されている。
また、動力伝達と減速の方法は図1に示した方法、すなわちベルトあるいはチェーン7、10を介したスプロケットホイールあるいは歯車あるいはプーリー6で行う方法に限定するものではない。これ以外の伝達および減速方法、たとえば歯車やシャフトによるもので、ベルトやチェーンを介さない方法などを適宜取ることができる。
すなわち、内側攪拌子1は、材料すなわち不定形耐火物、あるいは定形耐火物の坏土を掻き揚げるようにピッチ(以下、「角度」と記載することがある。)と回転方向を設定する。
外側攪拌子2a、2b、2c、2dは材料を掻き取る、あるいは掻き落とす、あるいは下に押し込むようにピッチと回転方向を設定する。
内側攪拌子1と外側攪拌子2a、2b、2c、2dの回転方向は逆にすることが好ましい。内側攪拌子1の回転数(角速度)は外側攪拌子2a、2b、2c、2dよりも速く設定することが好ましい。
内側攪拌子1の回転数は、その周速が最低1m/s以上とすることが望ましい。これ未満では十分に混練することができず、混練物の流動性低下や施工体品質低下を招く。さらに望ましくは3m/s以上である。
一方、最高回転数は装置の機械的強度やモーター出力などによって決まるが、実用上は10m/s程度が限界である。
以上のように設定して逆円錐型混練機を運転すると、材料は内側攪拌子1によって掻き揚げられ、さらに遠心力によって器壁方向に投射される。投射された材料は自重で落下するか、あるいは器壁に付着する。器壁に付着した材料は外側攪拌子2a、2b、2c、2dによって掻き取られ自重で落下するか、掻き落とされるか、下に押し込まれる。容器4下部に達した材料は再び内側攪拌子1によって掻き揚げられ、同じ動きを繰り返す。
特に、混練液を添加する場合は、材料に大きなせん断応力や動圧が掛かり、材料塊が引きちぎられ細分化すると同時に、混練液が強い力で押し込まれるためと考えられる。このため混練液は粒界に均一に分散し、かつ気泡は効果的に押し出されるものと考えられる。
その結果、混練物は高い流動性を示し、施工体は優れた特性を示すなど、平型混練機と比較すると、逆円錐型混練機に特有の優れた混練特性が発現すると考えられる。
図2に示すように、攪拌板14a、14bは支持部材3a、3bに取り付けられている。これらは外側攪拌子2a、2b、2c、2dと内側攪拌子1の間の空間に位置し、この部分に滞留しがちな混練物を効果的に動かすことができる。
攪拌板14a、14bの支持部材への取り付け位置は、外側攪拌子2a、2b、2c、2dと内側攪拌子1の間の空間の位置で、かつ、内側攪拌子1や容器4に接触しない範囲であればどこでも良く、適宜、設定または調節すれば良い。
攪拌板14a、14bのピッチは、特に規定するものではない。但し、攪拌板14a、14bの幅が大きくなるにつれて、混練性能に影響が出やすくなるため、混練機の鉛直軸を中心として攪拌板14a、14bが回転して形成される円の軌跡の攪拌板14a、14bの位置における接線方向に対して、攪拌板14a、14bが10〜80°の角度をなすことが好ましい。
また、混練物が内側攪拌子1の方向に掻き寄せられるようにしても良く、あるいはこれとは逆の方向に掻き寄せられるようにしても良い。
この掻き寄せられる方向については、攪拌板14a、14bの進行接線方向に対して、内側に10〜80°傾けるか、あるいは外側に10〜80°傾けるかを選択して、調整することが好ましい。さらに、攪拌板14a、14bは鉛直に取り付けられている必要は必ずしもない。
攪拌板は外側攪拌子と接触あるいは連続していても良い。すなわち攪拌板と外側攪拌子は独立したものではなく、両者は接触して配置されていても良く、また両者は溶接やボルトナット止め、ねじ止め、リベット止め、嵌合、クランプで固定されていても良く、さらには一体となっていても良い。
従って、粒径10μm以下の超微粉をほとんど含まない不定形耐火物を混練する場合はもちろんのこと、粒径10μm以下の超微粉を多用した高粘性の不定形耐火物を混練する場合でも、混練機の洗浄や保守が容易である上に、不定形耐火物が共回りすることも防止できる。
すなわち、高粘性材料の混練に当たっては、材料に接触する回転部材、すなわち内側攪拌子1、外側攪拌子2a、2b、2c、2d、攪拌板14a、14b、整流板、補助旋回部材などの総本数が少ないことが重要であり、本発明では、整流板と補助旋回部材を配設していないことが、共回りの防止と、効果的な混練、洗浄や保守の容易さに結びついている。
ここで、超微粉を粒径10μm以下としたのは、10μm以下の超微粉が特に不定形耐火物の特性向上への寄与が大きいと共に、混練を困難にするためである。また、粒径10μm以下の超微粉とは、最大粒径が10μm以下の微粉である。10μmの篩目による篩下の微粉を意味する。なおこのような微細粉末を篩い取るのは容易ではないが、レーザー散乱法や他の粒子カウンターによって計測すると、より正確に計測できる。
なお、上記の超微粉量が3質量%未満の場合、本発明によって大きな効果が得られにくいため、3質量%以上とする。また、上記の超微粉量が20質量%を超えると、不定形耐火物の混練が困難であるため、20質量%以下とする。
通常、内側攪拌子1及び外側攪拌子2a、2b、2c、2dは、これらを支持駆動する部分が容器4に固定された状態で取り外すことができるようになっている。また、容器4及び材料排出ゲート12から、その他すべての部分をまとめて取り外せるようにしてもよい。
取り外した部分については、別に準備した架台等に載せて、点検作業中は退避させておくことができる。このようにすれば、作業者はスペースの制限なく、効率的かつ楽に作業が可能となる。
架設部材15と容器4との当接部分は、接合するのではなく、嵌合構造とすることが挙げられる。この嵌合構造は、攪拌等の振動でもずれることがなく、さらには外れることがないように固定することが重要である。
また、図3(C)、(D)に示されるように、ガイド19a、19bを容器4に設置しておくと、架設部材15の固定の際に正確かつ簡単に位置合わせすることができるため、好ましい。
但し、混練物を有効に動かすためには、混練機内の鉛直軸を中心として、ねじれ部材21bが回転して形成される円の軌跡のねじれ部材21bの位置における接線方向に対して、ねじれ部材21b表面と水平面との交線がなす角度が、10〜80°の範囲内とすることが好ましい。この角度の範囲が好ましいのは、板状部材を用いた場合と同様の理由によるものである。また、ねじれ部材21bも、ねじれの軸が鉛直になるように取り付けられている必要は必ずしもなく、斜めに取り付けても良い。
但し、混練物を有効に動かすためには、混練機内の鉛直軸を中心として、曲がり部材22bが回転して形成される円の軌跡の曲がり部材22bの位置における接線方向に対して、曲がり部材22bの円弧の両端を結ぶ直線がなす角度が、10〜80°の範囲内であることが好ましい。この角度の範囲が好ましいのは、板状部材を用いた場合と同様の理由によるものである。また、曲がり部材22bも、鉛直に取り付けられている必要は必ずしもない。
ちなみに、本発明の攪拌補助部材は、普通鋼、ステンレス、耐磨耗合金、超硬合金あるいはこれらを組み合わせたもの等の材料で構成されているものが例示できる。
前述のように不定形耐火物は様々な原料の混合体であるため、混練を施工現場近くで行う場合、不定形耐火物は粉粒体としてバッグやコンテナに入れられて搬入され、そこで混練される。この混合物は様々な比重の塊、粒、粉からなるため、搬送中に分離しやすい。
また、減水剤、硬化調整剤などは添加量が微量であるため、うまく行き渡っていない可能性もある。
空混合時間は30秒以上が望ましく、1分以上がさらに望ましい。なお、長時間空混合すると、塊や粒が割れや摩滅を被り、粒度配合バランスが崩れる恐れがあるので、空混合時間は5分程度以下とすることが推奨される。
また、材料の投入順序は適宜変更してもよい。たとえば、まず微粉を空混練してから混練液を添加し、一定時間混練した後に粗粒を添加する、あるいは、これを逆にすることもできる。
本発明が対象とする耐火物の材質は特に限定するものではなく、通常の材質には全て適用可能である。たとえば、シリカ質、粘土質、シャモット質、ハイアルミナ質、アルミナ質、アルミナ−スピネル質、アルミナ−炭化珪素質、アルミナ−炭化珪素−カーボン質、ジルコン質、セミジルコン質、スピネル質、マグネシア質、マグネシア−スピネル質、マグネシア−ドロマイト質、ドロマイト質、マグネシア−カーボン質、黒鉛−炭化けい素質、炭化珪素質、カーボン質等々である。結合形態、たとえば粘土結合、セメント結合、凝集結合、燐酸結合、樹脂結合などは問わず適用できる。
以上、キャスタブル耐火物の混練を例にして説明してきたが、本発明は、これ以外の不定形耐火物、たとえば吹き付け材、焼付け耐火物、プラスチック耐火物などにも適用可能である。また定形耐火物を製造する際の中間原料である坏土の混練にも使用できる。さらに、混練液を加えない乾式混合にももちろん適用できる。
本発明の実施例として使用した逆円錐型混練機は、図1に示すものを用い、容器4の上部内径が約1800mm、下部内径が約600mm、高さ約1000mm、らせん状の内側攪拌子1の直径約500mm、外側攪拌子2a、2b、2c、2dは4本で、容器の深い部分から浅い部分までをそれぞれ担っていた。
回転数は、内側攪拌子1を150rpm(周速約4m/s)、外側攪拌子2a、2b、2c、2dを25rpm(周速約2.3m/s)とした。ピッチと回転方向は、内側攪拌子1は混練物を掻き揚げ、外側攪拌子2a、2b、2c、2dは掻き落とす方向とし、回転方向は双方逆にした。
また、アルミナ−スピネル質キャスタブルの場合、平均粒径(50%粒径)3μmの仮焼アルミナと呼ばれる超微粉を内掛けで15質量%配合したものに、粒径10〜20mm(目の開きが20mmの篩は通過し10mmの篩は通過しない)のアルミナ粗粒を外掛けで20質量%添加した。
ここで、1バッチ当たりの不定形耐火物の混練量は500kgとして、添加水分量は、いずれも外掛けで、アルミナ−マグネシア質キャスタブルの場合は4.6質量%、アルミナ−スピネル質キャスタブルの場合は4.2質量%とした。
また、比較例として、同じ材料を用いて、前述の条件で、攪拌板を取り付けない混練機を用いて混練した。
実施例および比較例で得られた混練物について、以下の通り、測定等を行った。
次に、混練物の品質評価については、嵩比重、見掛気孔率、曲げ強度を測定した。これらの物性等の評価用試料は、次のようにして作成した。すなわち、40×40×160mmもしくは長さ114mmで断面が台形(上底41mm、下底67mm、高さ48mm)の型枠に流し込み、0.015m/s2(1.5G)で1分間加振した後に、24時間常温で養生し、脱枠後に110℃で24時間乾燥してから品質評価試験に供した。なお品質評価はJIS−R2205−1992の真空法に準拠して、嵩比重、見掛気孔率、曲げ強度の測定を行った。
また、同様に、嵩比重の増加、見掛気孔率の低下、曲げ強度の増加が見られ、施工体の品質が向上していることが確認できた。
さらに、溶損指数が低下しており、耐食性の改善も図ることができた。
また、攪拌板の取り付けによって洗浄の手間に目立った悪化はなかった。すなわち攪拌板なしの従来機と、同容量の本発明の混練機ともに洗浄に必要な時間は約15分だった。また機構的、保守面での問題も特に発生しなかったすなわち前述の従来機、本発明の混練機ともに材料の共回りはなく、機構的なトラブルもなかった。
Claims (6)
- 逆円錐台形の下部を備えた容器と、容器中心の鉛直軸で回転する内側攪拌子と、これと同軸で容器内壁に沿って回転する外側攪拌子とを備えた耐火物用混練機において、
前記外側攪拌子を支える支持部材は、前記内側攪拌子と前記外側攪拌子の間の混練物を移動させるために、該支持部材と一体的に形成され、又は、該支持部材に取り付けられる攪拌補助部材を備えていることを特徴とする耐火物用混練機。 - 前記攪拌補助部材は、板状部材であることを特徴とする請求項1に記載の耐火物用混練機。
- 前記攪拌補助部材は、板状部材の上部と下部を逆方向にねじった形状のねじれ部材であることを特徴とする請求項1に記載の耐火物用混練機。
- 前記攪拌補助部材は、水平断面が円弧形状の曲がり部材であることを特徴とする請求項1に記載の耐火物用混練機。
- 前記内側攪拌子及び前記外側攪拌子の少なくともいずれかを、前記容器から取り外す取り外し装置を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐火物混練機。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の耐火物用混練機を用いて、粒径10μm以下の超微粉を内掛けで3〜20質量%含有する不定形耐火物を混練することを特徴とする耐火物の混練方法。
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