JP2022132997A - キャスタブル耐火物およびキャスタブル耐火物の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャスタブル耐火物において、従来の手法よりもさらに養生収縮を抑制して収縮亀裂を抑制するとともに、養生強度を高める事で脱枠時の亀裂を低減し、耐火物組織を緻密にする事で耐火物の耐用性を向上させる。【解決手段】本発明に係るキャスタブル耐火物は、耐火原料と、セルロースナノファイバーと、結合材と、を含み、結合材は、オキシカルボン酸のアルミニウム塩およびコロイダルシリカの少なくとも一つを含有する。本発明に係る耐火物の施工方法は、耐火原料と、セルロースナノファイバーと、結合材原料と、を混練する混練工程を含み、結合材原料は、オキシカルボン酸のアルミニウム塩およびコロイダルシリカの少なくとも一つを含有する。【選択図】なし
Description
本発明はキャスタブル耐火物およびキャスタブル耐火物の施工方法に関する。
キャスタブル耐火物は、耐火原料を基材として、結合材や添加剤などが加えられてなる耐火物である。一般的に使用される結合材としてはアルミナセメントが典型的であるが、アルミナセメントに含まれるCaOと耐火原料との反応により生じる低融点物が耐火物の耐用性を低下させうるという課題がある。そこで、結合材としてアルミナセメントを使用しないキャスタブルが開発されている。
たとえば、特許文献1には、結合材としてコロイダルシリカを使用した不定形耐火物が開示されている。特許文献1の不定形耐火物では、養生収縮を低減して養生後に亀裂が発生することを防ぐため、炭酸マグネシウムが添加されている。
また、特許文献2は、結合材として乳酸アルミニウムを使用した、アルミナセメント無添加の流し込み不定形耐火物が開示されている。特許文献2の不定形耐火物では、養生後の収縮亀裂を抑制するため、有機繊維が添加されている。
特許文献1および特許文献2に開示された不定形耐火物は、いずれも、養生収縮を低減することを課題としている。しかし、特許文献1に開示された技術は、養生収縮の低減に一定の効果を有するものの、依然として養生強度が不足するために、脱枠時に亀裂が入る懸念があった。また、特許文献2の不定形耐火物には有機繊維が添加されているが、有機繊維が比較的かさ高いため、加熱後に有機繊維が消失して形成される気孔に起因して耐火物の耐用性が低下する場合があった。
したがって本発明が解決しようとする課題は、キャスタブル耐火物において、従来の手法よりもさらに養生収縮を抑制して収縮亀裂を抑制するとともに、養生強度を高める事で脱枠時の亀裂を低減し,耐火物組織を緻密にする事で耐火物の耐用性を向上させることにある。
本発明者は、キャスタブル耐火物にセルロースナノファイバーを添加すると、養生収縮が著しく低減し収縮亀裂が抑制できることを発見し、本発明を完成するに至った。
本発明に係るキャスタブル耐火物は、耐火原料と、セルロースナノファイバーと、結合材と、を含み、前記結合材は、オキシカルボン酸のアルミニウム塩およびコロイダルシリカの少なくとも一つを含有することを特徴とする。
また、本発明に係るキャスタブル耐火物の施工方法は、耐火原料と、セルロースナノファイバーと、結合材原料と、を混練する混練工程を含み、前記結合材原料は、オキシカルボン酸のアルミニウム塩およびコロイダルシリカの少なくとも一つを含有することを特徴とする。
これらの構成によれば、キャスタブル耐火物について、従来の手法よりもさらに養生収縮を抑制して収縮亀裂を抑制しうるとともに、養生強度を高める事で脱枠時の亀裂を低減し、耐火物組織を緻密にする事で耐火物の耐用性を向上させうる。
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
本発明に係るキャスタブル耐火物は、一態様として、前記セルロースナノファイバーの含有量は、前記耐火原料に対して外掛けで0.0005~0.030質量%であることが好ましい。
この構成によれば、キャスタブル耐火物の養生収縮が一層抑制されうる。
本発明に係るキャスタブル耐火物は、一態様として、前記結合材は、平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカを含有し、前記コロイダルシリカの含有量は、前記耐火原料に対して外掛けで4~15質量%であることが好ましい。
この構成によれば、キャスタブル耐火物の流動性がより向上するとともに、耐火組織がより緻密化し、耐用性が向上しうる。
本発明に係るキャスタブル耐火物の施工方法は、一態様として、前記結合材原料は、固形分濃度が10~50質量%のコロイダルシリカを含むことが好ましい。
この構成によれば、キャスタブル耐火物の結合強度が高くなりやすいため、脱枠時に亀裂が入り難くなり、耐用性が向上しうる。
本発明に係るキャスタブル耐火物の施工方法は、一態様として、前記混練工程は、前記セルロースナノファイバーが分散溶媒中に分散している混練溶液と前記耐火原料とを混練することを含むことが好ましい。
この構成によれば、製造されるキャスタブル耐火物においてセルロースナノファイバーが耐火原料中に均一に分散しやすくなり、これによってキャスタブル耐火物の養生収縮が一層抑制されうる。
本発明のさらなる特徴と利点は、以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
以下では、本発明に係るキャスタブル耐火物の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
〔キャスタブル耐火物の構成〕
本実施形態に係るキャスタブル耐火物は、耐火原料と、セルロースナノファイバーと、結合材と、を含む。
本実施形態に係るキャスタブル耐火物は、耐火原料と、セルロースナノファイバーと、結合材と、を含む。
〔耐火原料〕
耐火原料は、キャスタブル耐火物の基材である。耐火原料としては、たとえば、アルミナ原料、マグネシア原料、アルミン酸マグネシウムスピネル原料、シャモット原料、ムライト原料、シリマナイト系鉱物原料、炭化ケイ素原料などの種類が例示される。本実施形態に係るキャスタブル耐火物に含まれる耐火原料の種類は特に限定されず、従来のキャスタブル耐火物に使用しうる耐火原料と同様の耐火原料でありうる。
耐火原料は、キャスタブル耐火物の基材である。耐火原料としては、たとえば、アルミナ原料、マグネシア原料、アルミン酸マグネシウムスピネル原料、シャモット原料、ムライト原料、シリマナイト系鉱物原料、炭化ケイ素原料などの種類が例示される。本実施形態に係るキャスタブル耐火物に含まれる耐火原料の種類は特に限定されず、従来のキャスタブル耐火物に使用しうる耐火原料と同様の耐火原料でありうる。
耐火原料は、使用に先立って粒度分布が調整されたものであってもよい。粒度分布を調整する方法は、ふるい分けなどの公知の方法でありうる。
〔セルロースナノファイバー〕
本実施形態に係るキャスタブル耐火物に含まれるセルロースナノファイバーとしては、市販されているセルロースナノファイバーを用いうる。セルロースナノファイバーは、乾燥体や水分散液などの種々の態様で市販されており、いずれの態様のセルロースナノファイバーも使用できる。ただし、水分散液の態様のものを用いると、セルロースナノファイバーと他の材料(耐火原料など)とを均一に混ざりやすいため、好ましい。
本実施形態に係るキャスタブル耐火物に含まれるセルロースナノファイバーとしては、市販されているセルロースナノファイバーを用いうる。セルロースナノファイバーは、乾燥体や水分散液などの種々の態様で市販されており、いずれの態様のセルロースナノファイバーも使用できる。ただし、水分散液の態様のものを用いると、セルロースナノファイバーと他の材料(耐火原料など)とを均一に混ざりやすいため、好ましい。
セルロースナノファイバーは、本実施形態に係るキャスタブル耐火物において、収縮を抑制する効果を発現する。セルロースナノファイバーの含有量がごくわずかである場合であっても収縮を抑制する効果が発現するので、セルロースナノファイバーの含有量は0より大きい限りにおいて限定されない。ただし、セルロースナノファイバーの含有量は、耐火原料に対して外掛けで、0.0005質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましい。また、セルロースナノファイバーの含有量は、耐火原料に対して外掛けで、0.030質量%以下であることが好ましく、0.020質量%以下であることがより好ましく、0.015質量%以下であることがさらに好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が上記の好ましい範囲にあると、キャスタブル耐火物の養生収縮が一層抑制されうる。
〔結合材〕
本実施形態に係るキャスタブル耐火物は結合材を含み、当該結合材は、オキシカルボン酸のアルミニウム塩およびコロイダルシリカの少なくとも一つを含有する。なお、結合材は、結合材として機能しうる他の物質および添加剤を含有しうる。結合材として機能しうる他の物質としては、アルミナセメント、珪酸塩、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルミナゾルなどが例示される。ただし、結合材は、アルミナセメントを含有しないことが好ましい。
本実施形態に係るキャスタブル耐火物は結合材を含み、当該結合材は、オキシカルボン酸のアルミニウム塩およびコロイダルシリカの少なくとも一つを含有する。なお、結合材は、結合材として機能しうる他の物質および添加剤を含有しうる。結合材として機能しうる他の物質としては、アルミナセメント、珪酸塩、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルミナゾルなどが例示される。ただし、結合材は、アルミナセメントを含有しないことが好ましい。
添加剤としては、マグネシア原料が例示される。結合材にマグネシア原料を添加すると、結合材の凝結が促進されるため好ましい。このとき、マグネシア原料の粒子径は特に限定されないが、粒子径が小さいマグネシア原料を用いる方が凝結を促進する観点で一層有利である。マグネシア原料の平均粒子径は、150μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、45μm以下であることがさらに好ましい。また、マグネシア原料の含有量は、結合材中に占める割合が1質量%以下であることが好ましい。ただし、添加剤がマグネシア原料を含むことが好適であるのは、耐火原料がマグネシア原料を含まない場合である。耐火原料がマグネシア原料を含む場合は、耐火原料中のマグネシア原料が結合剤の凝結を過度に促進するおそれがあるので、添加剤として公知の凝結抑制剤を使用するとよい。
本実施形態に係る結合材が含有しうるオキシカルボン酸のアルミニウム塩としては、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、およびグリコール酸アルミニウムが例示されるが、これらに限定されない。オキシカルボン酸のアルミニウム塩は、市販品を用いることができる。
オキシカルボン酸のアルミニウム塩の含有量は、耐火原料に対して外掛けで、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、オキシカルボン酸のアルミニウム塩の含有量は、耐火原料に対して外掛けで、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましい。オキシカルボン酸のアルミニウム塩の含有量が上記の範囲であると、脱枠に必要な強度が向上し、収縮を一層抑制しうる。
コロイダルシリカの含有量は、耐火原料に対して外掛けで、4質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましい。また、コロイダルシリカの含有量は、耐火原料に対して外掛けで、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましい。コロイダルシリカの含有量が上記の範囲であると、キャスタブル耐火物の流動性がより向上するとともに、耐火組織がより緻密化し、耐用性が向上しうる。
〔その他の原料〕
本実施形態に係るキャスタブル耐火物は、上記に説明した耐火原料、セルロースナノファイバー、および結合材の他に、従来のキャスタブル耐火物に含まれうる任意の原料を含みうる。たとえば、本実施形態に係るキャスタブル耐火物は、カーボンブラックやコールタールピッチなどの炭素質原料を含んでいてもよい。また、炭素質原料などの原料が粉体である場合、使用に先立って粒度分布が調整されたものであってもよい。粒度分布を調整する方法は、ふるい分けなどの公知の方法でありうる。また、本実施形態に係るキャスタブル耐火物は、金属(Si、Al合金など)、B4C、Si3N4、SUSワイヤーなどを含んでいてもよい。
本実施形態に係るキャスタブル耐火物は、上記に説明した耐火原料、セルロースナノファイバー、および結合材の他に、従来のキャスタブル耐火物に含まれうる任意の原料を含みうる。たとえば、本実施形態に係るキャスタブル耐火物は、カーボンブラックやコールタールピッチなどの炭素質原料を含んでいてもよい。また、炭素質原料などの原料が粉体である場合、使用に先立って粒度分布が調整されたものであってもよい。粒度分布を調整する方法は、ふるい分けなどの公知の方法でありうる。また、本実施形態に係るキャスタブル耐火物は、金属(Si、Al合金など)、B4C、Si3N4、SUSワイヤーなどを含んでいてもよい。
〔キャスタブル耐火物の施工方法〕
本実施形態に係るキャスタブル耐火物は、耐火原料と、セルロースナノファイバーと、結合材を含む結合材原料と、を混練する混練工程と、混練工程において混練された原料を施工箇所に流し込む鋳込み工程と、施工箇所において原料を養生して硬化させる養生硬化工程と、硬化した原料から枠を取り外す脱枠工程と、脱枠後の原料を加熱乾燥する加熱乾燥工程と、を含む方法によって製造されうる。鋳込み工程、養生効果工程、脱枠工程、および加熱乾燥工程については、公知の方法を適用できるので、ここでは説明しない。
本実施形態に係るキャスタブル耐火物は、耐火原料と、セルロースナノファイバーと、結合材を含む結合材原料と、を混練する混練工程と、混練工程において混練された原料を施工箇所に流し込む鋳込み工程と、施工箇所において原料を養生して硬化させる養生硬化工程と、硬化した原料から枠を取り外す脱枠工程と、脱枠後の原料を加熱乾燥する加熱乾燥工程と、を含む方法によって製造されうる。鋳込み工程、養生効果工程、脱枠工程、および加熱乾燥工程については、公知の方法を適用できるので、ここでは説明しない。
本実施形態に係るキャスタブル耐火物の施工方法では、混練工程において、製造したいキャスタブル耐火物が含むべき結合材を含む結合材原料を用いる。すなわち、オキシカルボン酸のアルミニウム塩を含有する結合材を含むキャスタブル耐火物を得ようとする場合は、オキシカルボン酸のアルミニウム塩を含む結合材原料を使用し、コロイダルシリカを含有する結合材を含むキャスタブル耐火物を得ようとする場合は、コロイダルシリカを含む結合材原料を使用する。なお、結合材に含有されうる他の物質および添加剤についても、結合材原料として混練工程に供されうる。また、市販品由来の結合材原料を、水などの溶媒を用いて希釈して用いてもよい。
オキシカルボン酸のアルミニウム塩を含有する態様のキャスタブル耐火物を製造する場合、混練工程に供される結合材原料は、オキシカルボン酸のアルミニウム塩の粉末や溶液などでありうる。結合材原料としてオキシカルボン酸のアルミニウム塩の溶液を用いる場合、その濃度は特に限定されないが、たとえば30質量%以下でありうる。また、溶媒についても特に限定されないが、水であることが好ましい。
コロイダルシリカを含有する態様のキャスタブル耐火物を製造する場合、混練工程に供される結合材原料は、コロイダルシリカでありうる。コロイダルシリカの固形分濃度は特に限定されないが、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、コロイダルシリカの固形分濃度は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることがさらに好ましい。また、コロイダルシリカにおけるシリカ粒子の平均粒子径は、100nm以下であることが好ましい。コロイダルシリカにおけるシリカ粒子の平均粒子径の下限は特に限定されないが、当該平均粒子径はたとえば10nm以上でありうる。なお、コロイダルシリカにおけるシリカ粒子の平均粒子径は、たとえば動的光散乱法により測定されうる。
また、本実施形態に係る混練工程において、セルロースナノファイバーが分散溶媒中に分散している混練溶液と耐火原料とを混練することが好ましい。セルロースナノファイバーを直接に耐火原料と混合するのではなく、セルロースナノファイバーを混練溶液中に分散させる工程と、当該混練溶液と耐火原料とを混練する工程と、の段階を経ることによって、セルロースナノファイバーが耐火原料中に均一に分散しやすくなる。
混練工程の非限定的な第一の例では、まず、セルロースナノファイバーと分散溶媒(典型的には水である。)とを混合して混練溶液を調製する。次に、当該混練溶液、耐火原料、および粉体状の結合材原料を混練する。たとえば、結合材原料としてオキシカルボン酸のアルミニウム塩の粉末を使用する場合が、この第一の例に該当する。
混練工程の非限定的な第二の例では、まず、セルロースナノファイバーと液体状の結合材原料とを混合して混練溶液を調製する。次に、当該混練溶液と耐火原料とを混練する。たとえば、結合材原料としてオキシカルボン酸のアルミニウム塩の溶液を使用する場合、および、結合材原料としてコロイダルシリカを使用する場合が、この第二の例に該当する。第一の例と異なり、液体状の結合材原料が分散溶媒として機能するので、分散溶媒を別途加えなくてもよい。ただし、第二の例においても、液体状の結合材原料と別に分散溶媒をさらに加えてもよい。
また、混練溶液と耐火原料とを混練する前に、固体状の原料を予備混合する予備混合工程を設けてもよい。ここでいう固体状の原料には、上記の第一の例では耐火原料および粉体状の結合材原料が該当し、上記の第二の例では耐火原料が該当する。また、複数種類の耐火原料を混合して用いる場合も、各耐火原料がここでいう固体状の原料に該当する。なお、予備混合工程を設けない場合は、固体状の各原料と混練溶液とを同時に混合(混練)する。
なお、耐火原料、セルロースナノファイバー、および結合材原料の他の原料(炭素質原料など)を使用する場合、他の原料を混合する工程は、使用する他の原料の性質に応じて適宜選択されうる。たとえば、粉体状の炭素質原料を用いる場合は、予備混合工程を設けて予備混合工程において混合されることが好ましい。また、液体状(分散液状)の炭素質原料を用いる場合は、耐火原料と混練溶液とを混練する際に系中に導入されることが好ましい。
上記の各原料を混合する方法としては、従来のキャスタブル耐火物を製造する際に原料を混合する方法と同様の方法を用いることができる。たとえば、混練溶液を調製する工程では、ホモジナイザー、ハンドミキサー、パワーミキサーなどの装置を使用できる。上記の予備混合工程では、オムニミキサー、ナウターミキサー、アイリッヒ(登録商標)ミキサーなどの装置を使用できる。そして、混練溶液と耐火原料とを混練する工程では、万能ミキサー、モルタルミキサー、ボルテックスミキサーなどの装置を使用できる。なお、上記のいずれの装置も例示であって、上記の各原料を混合する方法は上記に例示した各装置を用いる方法に限定されない。
〔その他の実施形態〕
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
以下に実施例を示し、本発明の効果を詳細に説明する。
〔使用原料〕
耐火原料として、アルミナ(Al2O3 98質量%)を76質量%、炭化ケイ素(SiC 95質量%)を20質量%、および、炭素質原料(C 99質量%)を4質量%含む耐火原料を用いた。
耐火原料として、アルミナ(Al2O3 98質量%)を76質量%、炭化ケイ素(SiC 95質量%)を20質量%、および、炭素質原料(C 99質量%)を4質量%含む耐火原料を用いた。
セルロースナノファイバー原料は、セルロースナノファイバーを2質量%含む水分散液の態様のものを使用した。後掲する各表において、各例におけるセルロースナノファイバーの含有量として、キャスタブル耐火物における耐火原料に対する外掛けの含有量の値を示しており、水分散液の添加量ではないことに留意されたい。
結合材原料として、乳酸アルミニウム(オキシカルボン酸のアルミニウム塩の例)の粉末またはコロイダルシリカ用いた。コロイダルシリカを用いた例については、コロイダルシリカの平均粒子径は10nmであり、使用したコロイダルシリカの固形分濃度は各表に記載されている通りである。いずれの例においても、乳酸アルミニウムまたはコロイダルシリカを単独で結合材として用いた。なお、後掲する各表において、各例における結合材(乳酸アルミニウムまたはコロイダルシリカ)の含有量として、キャスタブル耐火物における耐火原料に対する外掛けの含有量の値を示しており、結合材原料(乳酸アルミニウム水溶液またはコロイダルシリカ)の添加量ではないことに留意されたい。
〔試料の製造〕
実施例および比較例の各例についてのキャスタブル耐火物の施工方法は以下の通りである。混練溶液の調製では、ホモジナイザーを用いて各原料の混合を行った。乳酸アルミニウムを用いた例(実施例1~9および比較例1)では、セルロースナノファイバーと水とを混合して混練溶液を得た。コロイダルシリカを用いた例(実施例10~18および比較例2)では、コロイダルシリカとセルロースナノファイバーとを混合して混練溶液を得た。耐火原料(アルミナ、炭化ケイ素、および炭素質材料)の混合では、オムニミキサーを用いた。混練溶液と耐火原料との混練では、万能ミキサーを用いた。各例における原料の混合比率は、後掲する各表に記載している。
実施例および比較例の各例についてのキャスタブル耐火物の施工方法は以下の通りである。混練溶液の調製では、ホモジナイザーを用いて各原料の混合を行った。乳酸アルミニウムを用いた例(実施例1~9および比較例1)では、セルロースナノファイバーと水とを混合して混練溶液を得た。コロイダルシリカを用いた例(実施例10~18および比較例2)では、コロイダルシリカとセルロースナノファイバーとを混合して混練溶液を得た。耐火原料(アルミナ、炭化ケイ素、および炭素質材料)の混合では、オムニミキサーを用いた。混練溶液と耐火原料との混練では、万能ミキサーを用いた。各例における原料の混合比率は、後掲する各表に記載している。
〔養生線変化率の測定〕
実施例および比較例の各例のキャスタブル耐火物を、幅40mm、深さ40mm、長さ160mmの金枠に鋳込んだのちに、30℃で24時間養生した。養生後の施工体の長さLを測定し、養生線変化率P(百分率)を以下の式(1)に従って算出した。
P=(L-160)/160×100 (1)
実施例および比較例の各例のキャスタブル耐火物を、幅40mm、深さ40mm、長さ160mmの金枠に鋳込んだのちに、30℃で24時間養生した。養生後の施工体の長さLを測定し、養生線変化率P(百分率)を以下の式(1)に従って算出した。
P=(L-160)/160×100 (1)
養生後に施工体が収縮している場合、養生線変化率Pは負の値となる。養生線変化率Pの絶対値が小さいほど、施工体の収縮が小さく、施工体に亀裂が発生しにくい。
〔養生後の曲げ強度の測定〕
実施例および比較例の各例のキャスタブル耐火物について、JIS R2553-1992に基づいて養生後の曲げ強度を測定した。養生条件は、30℃、24時間とした。養生後の曲げ強度が高いほど、施工体を脱枠するときに亀裂が発生しにくくなるので、良好な施工体が得られやすくなる。
実施例および比較例の各例のキャスタブル耐火物について、JIS R2553-1992に基づいて養生後の曲げ強度を測定した。養生条件は、30℃、24時間とした。養生後の曲げ強度が高いほど、施工体を脱枠するときに亀裂が発生しにくくなるので、良好な施工体が得られやすくなる。
〔収縮亀裂の評価〕
実施例および比較例の各例のキャスタブル耐火物を、両端にアンカーの付いた幅50mm、深さ50mm、長さ400mmの金枠に鋳込んだのちに、30℃で24時間養生した。養生後の施工体における亀裂の有無を目視で確認するとともに、亀裂が発生した施工体については隙間ゲージ用いて亀裂の幅を測定した。亀裂の有無および幅に基づいて、各例の収縮亀裂をA~Dの四段階で評価した。なお、複数の亀裂が発生した場合は、全ての亀裂の幅を合計した数値に基づいて評価した。
A:亀裂が発生しなかった。
B:幅0.1mm以上0.2mm未満の亀裂が発生した。
C:幅0.2mm以上0.5mm未満の亀裂が発生した。
D:幅0.5mm以上の亀裂が発生した。
実施例および比較例の各例のキャスタブル耐火物を、両端にアンカーの付いた幅50mm、深さ50mm、長さ400mmの金枠に鋳込んだのちに、30℃で24時間養生した。養生後の施工体における亀裂の有無を目視で確認するとともに、亀裂が発生した施工体については隙間ゲージ用いて亀裂の幅を測定した。亀裂の有無および幅に基づいて、各例の収縮亀裂をA~Dの四段階で評価した。なお、複数の亀裂が発生した場合は、全ての亀裂の幅を合計した数値に基づいて評価した。
A:亀裂が発生しなかった。
B:幅0.1mm以上0.2mm未満の亀裂が発生した。
C:幅0.2mm以上0.5mm未満の亀裂が発生した。
D:幅0.5mm以上の亀裂が発生した。
〔作業性の評価〕
実施例および比較例の各例のキャスタブル耐火物について、JIS R2521-1995のフロー試験に従ってフロー値を測定した。測定されたフロー値に基づいて、各例の作業性をA~Dの四段階で評価した。
A:フロー値が150以上であった。
B:フロー値が135以上150未満であった。
C:フロー値が120以上135未満であった。
D:フロー値が120未満であった。
実施例および比較例の各例のキャスタブル耐火物について、JIS R2521-1995のフロー試験に従ってフロー値を測定した。測定されたフロー値に基づいて、各例の作業性をA~Dの四段階で評価した。
A:フロー値が150以上であった。
B:フロー値が135以上150未満であった。
C:フロー値が120以上135未満であった。
D:フロー値が120未満であった。
〔耐スラグ性の評価〕
実施例および比較例の各例のキャスタブル耐火物を、金型中で、30℃で24時間養生した後に、110℃で24時間乾燥して、上底面の幅80mm、下底面の幅45mm、長さ200mm、高さ60mmの四角錐台状の試験片を得た。得られた試験片の厚さを測定し、試験前の厚さとした。試験片およびスラグを回転ドラムに封入し、試験片とスラグと接触させたのちに、再び試験片の厚さを測定した。なお、スラグと接触させたのちの厚さ測定では、試験片の長さ方向に等間隔に設けた10点の測定点についての厚さを測定し、その平均値を試験後の厚さとした。各試験片の侵食深さを、試験前の厚さと試験後の厚さとの差として決定した。その後、各試験片の侵食指数を評価した。侵食指数は、各試験片の侵食深さを、比較例の侵食深さを100として指数化したものである。試験温度は1600℃とし、試験時間は5時間とした。スラグは、C/S=1.2のものを用い、1時間ごとにスラグを新しいものに入れ替えた。各実施例の耐スラグ性は、セルロースナノファイバーを含まない試験片(比較例1または2)の侵食指数を100とする相対値で表し、各例の侵食指数に基づいてA~Cの三段階で評価した。
A:侵食指数が110未満であった。
B:侵食指数が110以上120未満であった。
C:侵食指数が120以上であった。
実施例および比較例の各例のキャスタブル耐火物を、金型中で、30℃で24時間養生した後に、110℃で24時間乾燥して、上底面の幅80mm、下底面の幅45mm、長さ200mm、高さ60mmの四角錐台状の試験片を得た。得られた試験片の厚さを測定し、試験前の厚さとした。試験片およびスラグを回転ドラムに封入し、試験片とスラグと接触させたのちに、再び試験片の厚さを測定した。なお、スラグと接触させたのちの厚さ測定では、試験片の長さ方向に等間隔に設けた10点の測定点についての厚さを測定し、その平均値を試験後の厚さとした。各試験片の侵食深さを、試験前の厚さと試験後の厚さとの差として決定した。その後、各試験片の侵食指数を評価した。侵食指数は、各試験片の侵食深さを、比較例の侵食深さを100として指数化したものである。試験温度は1600℃とし、試験時間は5時間とした。スラグは、C/S=1.2のものを用い、1時間ごとにスラグを新しいものに入れ替えた。各実施例の耐スラグ性は、セルロースナノファイバーを含まない試験片(比較例1または2)の侵食指数を100とする相対値で表し、各例の侵食指数に基づいてA~Cの三段階で評価した。
A:侵食指数が110未満であった。
B:侵食指数が110以上120未満であった。
C:侵食指数が120以上であった。
〔結果〕
結合材原料として乳酸アルミニウムの粉末を用いた例についての試験結果を表1および表2に示した。表1に示すように、セルロースナノファイバーを含有する実施例1~5は、これを含有しない比較例1に比べて、養生線変化率の絶対値が小さく、かつ、収縮亀裂について良好な評価であった。また、表2に示すように、乳酸アルミニウムの含有量が0.3~1.8質量%(外掛け)の範囲内において、養生収縮が抑制されることが示された。
結合材原料として乳酸アルミニウムの粉末を用いた例についての試験結果を表1および表2に示した。表1に示すように、セルロースナノファイバーを含有する実施例1~5は、これを含有しない比較例1に比べて、養生線変化率の絶対値が小さく、かつ、収縮亀裂について良好な評価であった。また、表2に示すように、乳酸アルミニウムの含有量が0.3~1.8質量%(外掛け)の範囲内において、養生収縮が抑制されることが示された。
結合材原料としてコロイダルシリカを用いた例についての試験結果を表3および表4に示した。表1に示すように、セルロースナノファイバーを含有する実施例10~14は、これを含有しない比較例2に比べて、養生線変化率の絶対値が小さく、かつ、収縮亀裂について良好な評価であった。また、表4に示すように、コロイダルシリカの固形分濃度が15~45質量%の範囲において、養生収縮が抑制されることが示された。
本発明は、たとえばキャスタブル耐火物に利用することができる。
Claims (6)
- 耐火原料と、セルロースナノファイバーと、結合材と、を含み、
前記結合材は、オキシカルボン酸のアルミニウム塩およびコロイダルシリカの少なくとも一つを含有するキャスタブル耐火物。 - 前記セルロースナノファイバーの含有量は、前記耐火原料に対して外掛けで0.0005~0.030質量%である請求項1に記載のキャスタブル耐火物。
- 前記結合材は、平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカを含有し、
前記コロイダルシリカの含有量は、前記耐火原料に対して外掛けで4~15質量%である請求項1または2に記載のキャスタブル耐火物。 - 耐火原料と、セルロースナノファイバーと、結合材原料と、を混練する混練工程を含み、
前記結合材原料は、オキシカルボン酸のアルミニウム塩およびコロイダルシリカの少なくとも一つを含有するキャスタブル耐火物の施工方法。 - 前記結合材原料は、固形分濃度が10~50質量%のコロイダルシリカを含む請求項4に記載のキャスタブル耐火物の施工方法。
- 前記混練工程は、前記セルロースナノファイバーが分散溶媒中に分散している混練溶液と前記耐火原料とを混練することを含む請求項4または5に記載のキャスタブル耐火物の施工方法。
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JP2021031777A JP2022132997A (ja) | 2021-03-01 | 2021-03-01 | キャスタブル耐火物およびキャスタブル耐火物の施工方法 |
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JP7383103B1 (ja) | 2022-10-28 | 2023-11-17 | 株式会社ヨータイ | キャスタブル乾式吹付材及びその施工方法 |
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2021
- 2021-03-01 JP JP2021031777A patent/JP2022132997A/ja active Pending
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