以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.構成
図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機の外観構成を示す斜視図である。
本実施形態の遊技機は、いわゆるスロットマシンあるいは回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
本実施形態の遊技機は、収納箱BX、前面上扉UD、および前面下扉DDからなる箱形の筐体内に第1リールR1〜第3リールR3(複数のリール)からなるリールユニットが収められている。また筐体内のリールユニットの下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット(図示省略)が収められている。また本実施形態の遊技機の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、遊技機の動作を制御する制御基板も収められている。
図1に示す第1リールR1〜第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で21の領域(各領域を「コマ」と称する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また第1リールR1〜第3リールR3は、ステップモータ(リール駆動手段:図示省略)に軸支されており、それぞれステップモータの軸周りに回転駆動され、ステップモータの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによってコマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。すなわち本実施形態の遊技機では、ステップモータが制御基板から供給された駆動パルスに応じて第1リールR1〜第3リールR3を回転駆動し、制御基板から駆動パルスの供給が断たれると、ステップモータの回転が停止することに伴って第1リールR1〜第3リールR3が停止する。
前面上扉UDと前面下扉DDとは個別に開閉可能に設けられており、前面上扉UDには第1リールR1〜第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1〜第3リールR3の停止状態では、第1リールR1〜第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうちの3個分(3コマ分)の図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)を遊技機の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。そして遊技者の遊技結果は表示窓DW内の5本の有効ラインL1〜L5上に停止表示された図柄の組合せによって判断され、有効ライン上の図柄の組合せが予め定められた役に対応した組合せである場合には、その役が入賞したものとしてホッパーユニットからメダルの払い出し等が行われる。
なお5本の有効ラインL1〜L5は、メダルの投入枚数(ベット枚数)に応じて有効化されるラインが決定される。本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して1枚〜3枚の範囲でメダルを投入可能とされており、前面下扉DDに設けられたメダル投入口MIへ1枚のメダルを投入した場合、1本の有効ラインL1が有効化され、メダル投入口MIへ2枚のメダルを投入した場合、3本の有効ラインL1〜L3が有効化され、メダル投入口MIへ3枚のメダルを投入した場合、5本の有効ラインL1〜L5が全て有効化される。
また前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット枚数、1回の遊技におけるメダルの払出枚数あるいは獲得枚数、ボーナス遊技の残り回数等の各種遊技情報が表示される。
また前面上扉UDには、遊技演出を行うための液晶ディスプレイLCDが設けられている。この液晶ディスプレイLCDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(または画像)が表示される。また本実施形態の遊技機では、前面上扉UDや前面下扉DDに対して、遊技演出を行うためのスピーカ(図示省略)が複数設けられている。このスピーカからは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
また前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、貯留されたメダルを投入状態にする操作を行うためのベットボタンB0(投入操作手段の一例)、第1リールR1〜第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる操作を行うためのスタートレバーSL(遊技開始操作手段の一例)、ステップモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる操作を行うためのストップボタンB1〜B3(停止操作手段の一例)が設けられている。
本実施形態の遊技機では、遊技者がメダルをメダル投入口MIに投入するか、ベットボタンB0を押下する操作を行うことで、遊技を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLを押下すると、制御基板において乱数値を用いた内部抽選が行われるとともに、第1リールR1〜第3リールR3がステップモータの駆動により回転を開始し、第1リールR1〜第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇し、かつ所定の待機時間(ウェイトタイム)を経過したことを条件に、ストップボタンB1〜B3の押下操作が許可(有効化)される。
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1〜B3を押下していくと、ストップボタンB1〜B3のそれぞれに内蔵されているストップスイッチ(停止信号出力手段:例えば、フォトセンサ、導通センサ、圧力センサなど)がオン動作を行い、制御基板に入力されるリール停止信号をオフ状態からオン状態へ変化させる。
また遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1〜B3を開放すると、各ボタンのストップスイッチがオフ動作を行い、制御基板に入力されるリール停止信号をオン状態からオフ状態に変化させる。
そして制御基板は、ストップボタンB1〜B3の押下タイミング及び開放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のオフ状態からオン状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1〜第3リールR3を停止させる。
また前面下扉DDの下部には、メダル払い出し口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払い出し口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。
図2は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。
本実施形態の遊技機は、遊技制御手段100によって制御される。遊技制御手段100は、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニット320、表示装置330、スピーカ340等の出力手段の動作制御を行う。遊技制御手段100の機能は各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
そして遊技制御手段100は、乱数発生手段110、抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、演出制御手段180、記憶手段190を含む。
乱数発生手段110は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSL(停止操作手段の一例)を押下することで作動するスタートスイッチ230からの遊技スタート信号に基づいて役の当否を決定するための内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の抽選テーブル記憶手段191に格納されている複数の抽選テーブルのうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。本実施形態の遊技機では、通常状態、ボーナス状態、およびリプレイタイム状態という複数種類の遊技状態が設定可能とされており、記憶手段190には、各遊技状態における内部抽選のための抽選テーブルが記憶されている。そして各遊技状態用の抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対してリプレイ(再遊技:入賞に伴い次回の遊技に際してメダルの投入が不要となる役)、小役(入賞に伴い予め定められた枚数のメダルが払い出される役:ベル、プラム)、及びボーナス(ボーナス状態への移行契機となる役:ボーナス役の一例)などの各種の役もしくはハズレのいずれかが対応づけられている。
乱数判定処理では、スタートスイッチ230からの遊技スタート信号に基づいて遊技毎に乱数発生手段110から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について記憶手段190の抽選テーブル記憶手段191に記憶されている抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役のフラグを非内部当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から内部当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。フラグの設定情報は、記憶手段190のフラグ記憶手段192に格納される。また本実施形態では、入賞するまで次回以降の遊技に内部当選状態を持ち越し可能なフラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に内部当選状態を持ち越さずに非内部当選状態にリセットされるフラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、ボーナス(ボーナス役の一例)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ等)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。
リール制御手段130は、内部抽選の結果と、停止操作が行われた時点における当該停止操作に対応するリールの回転位置とに応じて当該リールの停止位置を決定する。詳細にはリール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSL(遊技開始操作手段の一例)を押下することにより作動するスタートスイッチ230からの遊技スタート信号に基づいて、第1リールR1〜第3リールR3をステップモータにより回転駆動する制御を行うとともに、ステップモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3をフラグの設定状態(役の当否)に応じて停止させる制御を行う。
そしてリール制御手段130は、ストップボタンB1〜B3(停止操作手段の一例)に対する押下操作(停止操作の一例)が有効化された状態(原則的には第1リールR1〜第3リールR3の回転速度が所定速度に達した状態、ウェイトタイムが設定されている場合には、ウェイトタイムを経過していることを有効化のための付加的な条件としてもよい)において遊技者がストップボタンB1〜B3を押下することによりストップスイッチ240が作動すると、ストップスイッチ240からのリール停止信号に基づいて、リールユニット310のステップモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リールR1〜第3リールR3の各リールを停止させる制御を行う。
すなわちリール制御手段130は、ストップボタンB1〜B3の各ボタンが押下される毎に、第1リールR1〜第3リールR3のうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段190の停止制御テーブル記憶手段193に記憶されている停止制御テーブルを参照してストップボタンB1〜B3の押下タイミング等(停止操作の態様)に応じた第1リールR1〜第3リールR3の停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リールR1〜第3リールR3を停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブル記憶手段193は、フラグ記憶手段192に格納される内部抽選の結果を示すフラグの設定状態毎に、ストップボタンB1〜B3への押下操作に対応する第1リールR1〜第3リールR3の停止位置を設定した停止制御テーブル群を記憶している。この停止制御テーブル群には、いずれの役に対応するフラグも内部当選状態に設定されていない遊技において参照される非当選時用テーブル1931と、各役に対応するフラグが内部当選状態に設定されている遊技において参照される当選時用テーブル1932とが含まれる。
そして本実施形態では、リール制御手段130が、各遊技状態における毎回の遊技において停止制御テーブル群の中からフラグ記憶手段192に格納されているフラグの設定状態に応じた停止制御テーブルを参照して第1リールR1〜第3リールR3の停止位置を決定する制御を行っている。
また各停止制御テーブル群を構成する当選時用テーブルでは、役毎に定められた優先順位に従って、ストップスイッチ240の作動時点における各リールの位置と、実際の各リールの停止位置との対応関係が設定されている。すなわち、リール制御手段130は、ボーナスのフラグと、リプレイ、ベル、およびプラムのいずれかのフラグとがともに内部当選状態に設定されている場合には、各役に対して設定された優先順位に従って、優先順位が低い役の入賞形態を示す図柄組合せに優先して優先順位の高い役の入賞形態を示す図柄組合せを有効ライン上に表示させるようにリールを停止させる制御を行う。
特に本実施形態では、「リプレイ>ボーナス>小役(ベル、プラム)」の順序で優先順位が定められている。例えば、リプレイおよびボーナスのフラグがともに内部当選状態である場合に参照されるリプレイ当選時テーブルでは、リプレイの入賞形態を示す図柄組合せがボーナスの入賞形態を示す図柄組合せに優先して有効ライン上に表示されるように各リールの停止位置が設定されている。また例えば、ボーナスおよび小役(ベル、プラム)のフラグがともに内部当選状態である場合に参照されるベル当選時テーブル、プラム当選時テーブルでは、ボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが小役(ベル、プラム)の入賞形態を示す図柄組合せに優先して有効ライン上に表示されるように各リールの停止位置が設定されている。
またリール制御手段130は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、フラグが内部当選状態に設定された役に対応する図柄が有効ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、フラグが非内部当選状態に設定された役に対応する図柄が有効ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、フラグの設定状態、ストップボタンB1〜B3の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(あるいは有効ラインL1〜L5上に停止している図柄の種類)に応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このようにリール制御手段130は、フラグが内部当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方でフラグが非内部当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リールR1〜第3リールR3を停止させる制御を行っている。
また本実施形態の遊技機では、リールユニット310がフォトセンサからなるリールインデックス(図示省略)を備えており、リール制御手段130は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転位置(回転角度、ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。
そして本実施形態の遊技機では、回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルにおいて、ストップボタンB1〜B3の押下時点から各リールR1〜R3が停止するまでに要するコマ数が5コマ(0コマ〜4コマ)を上限として設定されており、リール制御手段130は、第1リールR1〜第3リールR3に関する引き込み処理や蹴飛ばし処理において、ストップボタンB1〜B3の停止契機となる操作が行われた時点で表示窓DW内に位置するコマから最大4コマ先の図柄を引き込むことができるようにリールを停止させる制御を行っている。
このため本実施形態の遊技機では、第1リールR1〜第3リールR3については、図3に示すように、各リールの外周面に複数配列されているリプレイ図柄「RP」やプラム図柄「PLM」などに関して、その間隔が5コマ以内となるように配列しており、リプレイ当選時やベル当選時においては、ストップボタンB1〜B3の押下タイミング、押下順序等に関係なくリプレイ図柄「RP」やプラム図柄「PLM」を有効ライン上に引き込むことができる図柄配列を有している。
そして本実施形態の停止制御テーブルは、図4に示すように、第1リールR1の停止制御を行うためのテーブルTT1と、第2のリールR2の停止制御を行うためのテーブルTT2と、第3リールR3の停止制御を行うためのテーブルTT3とから構成されている。そして、テーブルTT1〜TT3では、ストップボタンB1〜B3の押下時点における0コマ〜20コマまでのリールの回転位置CP(以下単に回転位置CPと称する場合がある。)と、ストップボタンB1〜B3の押下時点からリールが停止するまでに要する0コマ〜4コマ以内のコマ数(すべりコマ数)SKとが対応付けられている。そして本実施形態では、かかる停止制御テーブルをフラグの設定状態に応じて複数種類有しており、ストップボタンB1〜B3の押下時点におけるリールの回転位置CPと、ストップボタンB1〜B3の押下時点からリールが停止するまでに要するコマ数(すべりコマ数)SKとは、フラグの設定状態に応じた停止制御テーブル毎に異なる態様で対応付けられている。これにより本実施形態の遊技機では、フラグの設定状態に応じて第1リールR1〜第3リールR3に関する引き込み処理や蹴飛ばし処理を行っている。
図4の例は、ボーナス図柄1(赤7)によって構成されるボーナス(赤7ボーナス)のフラグが内部当選状態に設定された場合に用いられる赤7ボーナス当選時用テーブルTTの例である。図4に示すように赤7ボーナス当選時用テーブルTTのうち、第1リールR1についてのテーブルTT1では、ボーナス図柄1(赤7)を0コマ〜4コマ以内で有効ライン上に引き込むようにするため、例えばストップボタンB1の押下時点の第1リールR1の回転位置CPが特殊図柄1(DUM1)に対応する「3」である場合には(図3参照)、すべりコマ数SKが「1」に設定されている。従って、ストップボタンB1の押下時点において中央の有効ラインL1(図1参照)上に位置する図柄が特殊図柄1(DUM1)であっても、ボーナス図柄1(赤7)が有効ラインL1上に停止するようにステップモータの回転が制御される。
そしてテーブルTT1に設定されている第1リールR1の第0コマ〜第20コマ(計21コマ)の各回転位置CPのデータには、それぞれに第2リールR2についてのテーブルTT2−0〜TT2−20(計21個)が対応付けられており、このテーブルTT2−0〜TT2−20によって、第1リールR1の停止位置即ち第1リールR1の停止図柄(出目)に応じたストップボタンB2の押下時点の第2のリールR2の回転位置CPとそのすべりコマ数SKとが規定されている。例えばテーブルTT1について押下時点の回転位置CP「3」が参照され、すべりコマ数SKが「1」と決定された場合には、第2のリールR2の停止制御については図4に示すテーブルTT2−3が用いられる。そしてこのテーブルTT2−3では、例えばストップボタンB2の押下時点の第2リールR2の回転位置CPがプラム図柄(PLM)に対応する「4」である場合には(図3参照)、すべりコマ数SKが「1」に設定されており、第1リールR1と同様にボーナス図柄1(赤7)が有効ラインL1上に停止するようにステップモータの回転が制御される。
更にテーブルTT2−3に設定されている第2のリールR2の第0コマ〜第20コマ(計21コマ)の各回転位置CPのデータには、それぞれに第3リールR3についてのテーブルTT3−0〜TT3−20(計21個)が対応付けられており、このテーブルTT3−0〜TT3−20によって、第1リールR1と第2のリールR2の停止位置(停止図柄、出目)の組合せに応じたストップボタンB3の押下時点の第3リールR3の回転位置CPとそのすべりコマ数SKとが規定されている。例えばテーブルTT2−3について押下時点の回転位置CP「4」が参照され、すべりコマ数SKが「1」と決定された場合には、第3リールR3の停止制御については図4に示すテーブルTT3−4が用いられる。そしてこのテーブルTT3−4では、例えばストップボタンB3の押下時点の第3リールR3の回転位置CPがボーナス図柄1(赤7)に対応する「4」である場合には(図3参照)、すべりコマ数SKが「0」に設定されており、いわゆるすべり制御は行わずにそのままボーナス図柄1(赤7)が有効ラインL1上に停止するように(ストップボタンB3の押下時点の第3リールR3の回転位置CPで停止するように)ステップモータの回転が制御される。
こうして本実施形態では、赤7ボーナス当選時用テーブルTTが用いられた場合には、ボーナス図柄1(赤7)を有効ライン上に引き込む制御を行い、ボーナス図柄1(赤7)を有効ライン上に停止させてボーナス図柄1(赤7)の役を入賞させる。また、その他の役のフラグが内部当選状態に設定された場合には、当選役に対応する当選時用テーブルを用いることにより、当該役に対応する図柄が有効ライン上に停止するように各リールを停止させて当選役を入賞させる。一方、非内部当選状態、即ちハズレの場合には、非当選時用テーブルを用いることにより、フラグが非内部当選状態に設定された役に対応する図柄が有効ライン上に停止しないように各リールを停止させて、いずれの役も入賞させないようにする。
入賞判定手段140は、第1リールR1〜第3リールR3の停止状態に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、第1リールR1〜第3リールR3の全てが停止した際に、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段196に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、各リールの停止状態によって有効ライン上に停止している図柄の組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
本実施形態では、図3に示すように、リールユニット310を構成する第1リールR1〜第3リールR3の外周面に対して、ボーナス図柄1「赤7」、ベル図柄「BEL」、リプレイ図柄「RP」、プラム図柄「PLM」などがそれぞれ配列されており、各リールが停止した状態において、「赤7・赤7・赤7」の図柄組合せが図1に示す有効ラインL1〜L5のいずれかに表示されるとボーナスが入賞したと判定され、「BEL・BEL・BEL」の図柄組合せが図1に示す有効ラインL1〜L5のいずれかに表示されるとベルが入賞したと判定され、「RP・RP・RP」の図柄組合せが図1に示す有効ラインL1〜L5のいずれかに表示されるとリプレイが入賞したと判定され、「PLM・PLM・PLM」の図柄組合せが図1に示す有効ラインL1〜L5のいずれかに表示されるとプラムが入賞したと判定される。
そして本実施形態の遊技機では、入賞判定手段140の判定結果に基づいて、メダルの払い出しをするための制御処理、リプレイ処理、遊技状態を移行させる制御処理などが実行される。例えば、小役(ベル、プラム)が入賞した場合には払出制御手段150によってメダルの払出制御処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160によってリプレイ処理が行われ、ボーナスが入賞した場合や、ボーナス状態あるいはリプレイタイム状態が終了した場合には遊技状態移行制御手段170によって遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、何らかの役に入賞した場合に、入賞役に対応するメダルの払出枚数をホッパーユニット320(払出装置)に対して指示する制御を行う。このときホッパーユニット320は、指示された払出枚数のメダルを払い出す動作を行う。なおメダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、払出制御手段150がメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に対して払出枚数を加算するクレジット加算処理を行う。また遊技の結果、リプレイあるいはボーナスが入賞した場合には、ホッパーユニット320からのメダルの払い出しは行われないが、形式的に0枚のメダルを払い出したとする処理(0枚処理)が行われる。
またリプレイ処理手段160は、リプレイ(再遊技)が入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち本実施形態の遊技機では、リプレイが入賞した場合には、自動的に前回の遊技と同じ枚数分のメダルが遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに投入状態に設定される自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインを有効化した状態で次回の遊技の開始操作(遊技者によるスタートレバーSLの押下操作)を待機する。
また遊技状態移行制御手段170は、所定の移行条件の成立に基づいて、通常状態、ボーナス状態、およびリプレイタイム状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
ボーナス状態は、内部抽選においてボーナスに当選した場合に、ボーナス図柄1「赤7」を入賞の形態「赤7・赤7・赤7」で有効ラインL1〜L5のいずれかに停止させることを開始条件とする遊技状態である。またボーナス状態は、ボーナス遊技において所定枚数(例えば、465枚以下の予め定められた枚数)を超えるメダルが払い出されたことを終了条件とし、その終了条件が満たされた場合には遊技状態をリプレイタイム状態へ移行させる制御が行われる。
またボーナス状態の遊技では、小役の種類や入賞確率が上昇するように制御される。すなわち、ボーナス状態は、通常状態よりも短期間で多くのメダルが獲得しやすくなっており、遊技者にとって有利な遊技状態(特別状態)となっている。
リプレイタイム状態は、ボーナス状態の終了を開始条件とする遊技状態である。リプレイタイム状態では、遊技回数が所定回数(1回、5回、10回、50回、100回等)に達した場合にリプレイタイム状態を終了させて他の遊技状態へ移行するように制御される。なお所定の図柄組合せが表示されたことをリプレイタイム状態の開始条件として設定してもよく、さらにリプレイタイム状態での遊技中にボーナスに当選してボーナスのフラグが内部当選状態となった場合にリプレイタイム状態を終了させるようにしてもよい。
また本実施形態の遊技機では、遊技状態移行制御手段170がリプレイタイム状態での遊技回数を監視している。リプレイタイム状態では、ボーナス状態からの移行時にRTゲーム数として所定の遊技回数に相当する値がセットされ、遊技状態移行制御手段170は、遊技が行われる毎にRTゲーム数を1回分ずつデクリメントする。このRTゲーム数が0になった場合には、リプレイタイム状態が終了して、遊技状態が他の遊技状態へ移行する。なお所定の遊技回数分のRTゲーム数を予めセットするのではなく、RT状態への移行時にRTゲーム数をリセット(0にする)する処理を行うようにして遊技が行われる毎に1回分だけ値をカウントアップしていくようにしてもよい。
そしてリプレイタイム状態の遊技では、小役及びボーナスの当選確率は通常状態と同じ確率に維持されたまま、入賞により次回の遊技に際してメダルの投入が不要となるリプレイ(再遊技)の当選確率が通常状態より上昇する。すなわち、リプレイタイム状態は、通常状態よりもリプレイの当選頻度が高くなることにより、通常状態よりもメダルを消費しにくくなっており、遊技者にとって有利な遊技状態(特別状態)となっている。
演出制御手段180は、演出テーブル記憶手段197に記憶されている演出テーブルを参照して、演出テーブルを構成する演出データに基づいて演出装置(表示装置330、スピーカ340)に遊技演出を実行させる制御を行う。例えば、ランプ、LED、液晶ディスプレイ等の表示装置330を用いて行う表示演出やスピーカ340から出力される音による音演出に関する制御を行う。具体的には、遊技状態の変化、役の入賞、メダルの投入やベットボタンB0、スタートレバーSL、ストップボタンB1〜B3に対する操作などの遊技イベントの発生に応じてランプやLEDを点灯あるいは点滅させたり、液晶ディスプレイLCDの表示内容を変化させたり、スピーカ340から音を出力させたりすることにより、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出制御を行う。
特に本実施形態では演出制御手段180は、内部抽選の結果やフラグ設定状態などに基づいて定められる所与の遊技において、ストップボタンB1〜B3に対する停止操作を実行契機とする演出を設定する。そして、停止操作を実行契機とする演出が設定された遊技において、当該実行契機となる停止操作が行われた際に、当該停止操作に対応するリールの停止位置に応じて当該停止操作を実行契機とする演出の実行を禁止する。即ち演出制御手段180は、停止操作を実行契機とする演出が設定された遊技において、遊技者が予め定められた停止位置でリールを停止させることができれば演出を実行し、予め定められた停止位置でリールを停止させることができなければ演出を実行しないようにする。具体的には本実施形態では、ボーナスフラグが内部当選状態に設定されている場合に選択される停止制御テーブルによって停止表示が可能となる図柄の組合せ(いわゆるリーチ目、チャンス目)が構成されるように、遊技者がストップボタンB1〜B3を押下することができると、押下操作が行われる毎に効果音を出力させるとともに液晶ディスプレイLCDの表示内容を変化させる。
詳細には演出制御手段180は、演出が設定された遊技におけるストップボタンB1の押下(最初の停止操作)が行われた際に、当該ストップボタンB1の押下が行われた時点における第1リールR1の回転位置と停止位置との差、即ち第1リールR1のすべりコマ数に応じて、第1リールR1に停止表示される出目が第1リールR1においてリーチ目或いはチャンス目を構成する出目でない場合には、当該ストップボタンB1の押下を実行契機とする演出の実行を禁止する。そして、当該遊技におけるストップボタンB2の押下(挟み押しの場合はストップボタンB3の押下、最初の停止操作よりも後の停止操作)が行われた際には、ストップボタンB1に対応する第1リールR1の停止位置とストップボタンB2の押下に対応する第2のリールR2の停止位置(挟み押しの場合はストップボタンB1に対応する第1リールR1の停止位置とストップボタンB3の押下に対応する第3リールR3の停止位置)に応じて、ストップボタンB2の押下を実行契機とする演出(挟み押しの場合はストップボタンB3の押下を実行契機とする演出)の実行を禁止する。
具体的には本実施形態では演出テーブル記憶手段197に、停止制御テーブルにおいてリーチ目及びチャンス目を構成する図柄を停止させる停止制御データが用いられた場合に演出を実行し、リーチ目及びチャンス目を停止させない停止制御データが用いられた場合に演出の実行を禁止する演出制御情報が設定された演出可否制御テーブル1971を有している。そして演出制御手段180は、かかる演出可否制御テーブル1971を参照して、いわゆるリーチ目などの特定の出目を構成する図柄で遊技者が第1リールR1〜第3リールR3を停止させることができた場合に、ストップボタンB1〜B3に対する停止操作を実行契機とする演出を実行する。
なお本実施形態の機能ブロック構成は、コンピュータシステム(ゲームシステムを含む)に関しても適用することができる。これらのシステムでは、本実施形態の遊技制御手段100としてコンピュータを機能させるプログラムを、CD、DVD等の情報記憶媒体あるいはインターネット上のWebサーバからネットワークを介してダウンロードすることによって、その機能を実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240等は、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、あるいはコントローラなどの操作手段に対してそれらの機能を仮想的に割り当てることにより実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、リールユニット310やホッパーユニット320などは必須の構成要件ではなく、これらの装置ユニットは、ディスプレイ(表示装置330)に表示出力される画像の制御によってそれらの機能を仮想的に実現することができる。
2.本実施形態の制御手法
次に、本実施形態の演出制御手法の詳細について説明する。本実施形態では、内部抽選の結果に基づいて、所与の遊技において停止操作を実行契機とする演出を設定するが、当該実行契機となる停止操作に対応するリールの停止位置、即ち停止表示された図柄(出目)に応じて演出の実行を禁止することにより、停止操作を実行契機とする演出に遊技者の操作技量を反映させるとともに内部抽選の結果を反映させ、停止操作を行う際の遊技者の高揚感を効果的に高める手法を採用する。
2−1.リーチ目の停止制御
まず本実施形態では、内部抽選によってボーナスが当選したことを遊技者に告知するために、ボーナスフラグが内部当選状態に設定されている場合に選択される停止制御テーブルによってのみ停止表示される図柄の組合せであるいわゆるリーチ目を用意している。このリーチ目は、図3に示す図柄配列と当選したことを告知すべき役の種類とに応じて種々の態様とすることができる。例えばボーナス図柄1(赤7)の役が当選したことを告知する場合には、図5(A)に示すように、第1リールR1の上段と第2のリールR2の下段と第3リールR3の中段にボーナス図柄1(赤7)が停止した出目状態や、図5(B)に示すように、第1リールR1の中段にボーナス図柄1(赤7)が停止し、第2のリールR2と第3リールR3についてはいずれの出目も有効ライン上で役を構成しない図柄、即ちハズレである出目状態をリーチ目とすることができる。そして遊技者は、かかるリーチ目を目押し(リールの回転位置や回転タイミングを認識しながらストップボタンを押下する操作)することにより、即ちいかなるリーチ目が形成されるか否かを確認することにより、いかなる役が内部当選状態に設定されているか否かを判断する。従って、リーチ目が形成されていく過程においては、遊技者は役当選に対する期待感を高めながらストップボタンB1〜B3に対する操作を行う。
図6は、図5(A)に示すリーチ目が形成される場合に参照される停止制御テーブルの一例である。図6の例は、図4と同じボーナス図柄1(赤7)のフラグが内部当選状態に設定された場合に用いられる赤7ボーナス当選時用テーブルTTの例である。図6に示すように赤7ボーナス当選時用テーブルTTのうち、第1リールR1についてのテーブルTT1では、ボーナス図柄1(赤7)を0コマ〜4コマ以内で有効ライン上に引き込むようにするため、ストップボタンB1の押下時点の第1リールR1の回転位置CPがリプレイ図柄(RP)に対応する「7」である場合には(図3参照)、すべりコマ数SKが「4」に設定されている。従って、ストップボタンB1の押下時点において中央の有効ラインL1(図1参照)上に位置する図柄がリプレイ図柄(RP)であっても、図5(A)に示すように第1リールR1についてはボーナス図柄1(赤7)が上段の有効ラインL2上に停止するように第1リールR1のステップモータの回転が制御される。
しかしこの場合には、図5(A)に示すようにリプレイ図柄(RP)が下段の有効ラインL3上に停止するので、遊技者にとっては、リプレイ当選時用の停止制御テーブルが参照されている可能性も考えられるし、又は非当選時用の停止制御テーブルが参照されている可能性も考えられる。即ち第1リールR1の停止図柄(出目)が図5(A)の第1リールR1に示す態様であっても、内部抽選によってボーナスが当選していない場合がある。従って、遊技者は第1リールR1の停止図柄(出目)だけではいずれの役が当選しているか否か判別することができない。
そして、テーブルTT1について押下時点の回転位置CP「7」が参照され、すべりコマ数SKが「4」と決定された場合には、第2のリールR2の停止制御については図6に示すテーブルTT2−7が用いられる。このテーブルTT2−7では、例えばストップボタンB2の押下時点の第2リールR2の回転位置CPが赤チェリー図柄(CH1)に対応する「2」である場合には(図3参照)、ボーナス図柄1(赤7)を4コマ以内で有効ライン上に引き込むことはできないものの、すべりコマ数SKが「0」に設定されており、図5(A)に示すように第2のリールR2についてはボーナス図柄1(赤7)が下段の有効ラインL3上に停止するようにステップモータの回転が制御される。
するとこの場合には、図5(A)に示すように第1リールR1及び第2のリールR2において、いずれの有効ライン上においても役が入賞しないことが確定する。しかし本実施形態の遊技機では、非当選時用の停止制御テーブルが参照されている場合には第1リールR1の上段にボーナス図柄1(赤7)が停止している場合には第2のリールR2の下段にボーナス図柄1(赤7)が停止することが殆どないように停止制御テーブルが設定されているため、第1リールR1及び第2のリールR2が図5(A)に示す態様で停止した段階で、その遊技についてボーナス当選時用のテーブルが参照されている、即ち内部抽選によってボーナスが当選していることに対する期待感を遊技者に与えることができる。
そしてテーブルTT2−7について押下時点の回転位置CP「2」が参照され、すべりコマ数SKが「0」と決定された場合には、第3リールR3の停止制御については図6に示すテーブルTT3−2が用いられる。そしてこのテーブルTT3−2では、例えばストップボタンB3の押下時点の第3リールR3の回転位置CPがプラム図柄(PLM)に対応する「7」である場合には(図3参照)、すべりコマ数SKが「3」に設定されており、図5(A)に示すようにボーナス図柄1(赤7)が中段の有効ラインL3上に停止するようにステップモータの回転が制御される。
すると本実施形態の遊技機では、ボーナス当選時用の停止制御テーブルが参照されている場合にのみ第1リールR1の上段と第2のリールR2の下段と第3リールR3の中段にボーナス図柄1(赤7)が停止するように停止制御テーブルが設定されているため、第1リールR1〜第3リールR3が図5(A)に示す態様で停止すると、その遊技についてボーナス当選時用のテーブルが参照されている、即ち内部抽選によってボーナスが当選していることを遊技者に告知することができる。
2−2.停止操作を実行契機とする演出制御
そして本実施形態では、かかるボーナス当選時用の停止制御テーブルが参照されている場合であって、かつその遊技において停止操作を実行契機とする演出を行うことを決定した場合には、図5(A)に示すリーチ目が構成されるように第1リールR1〜第3リールR3が停止されると、ストップボタンB1〜ストップボタンB3に対する押下操作が行われる毎に効果音を出力させるとともに液晶ディスプレイLCDの表示内容を変化させる演出制御を行う。一方、その遊技において停止操作を実行契機とする演出を行うことを決定していても、図5(A)に示すリーチ目が構成されるように第1リールR1〜第3リールR3が停止されない場合には、停止操作を実行契機とする演出の実行を禁止する。
これにより本実施形態の遊技機では、遊技者の期待感が高まるリーチ目が形成されていく過程において、停止操作を行う際の遊技者の高揚感を効果的に高めることができる。そのため本実施形態では、停止制御テーブルにおいて、リーチ目を構成する図柄を停止させる停止制御データが用いられた場合に停止操作を実行契機とする演出を実行し、リーチ目を構成しない図柄を停止させる停止制御データが用いられた場合に停止操作を実行契機とする演出の実行を禁止するように演出制御情報が設定された演出可否制御テーブルを有している。
具体的には本実施形態では、図7に示すように、メイン制御基板MBに停止制御テーブルTTが設けられ、サブ制御基板SBに演出可否制御テーブルETが設けられている。そして演出可否制御テーブルETは、フラグの設定状態に応じた停止制御テーブルTTに対応させて複数種類設けられており、フラグの設定状態に応じて停止制御テーブルTTが切り替えられると、演出可否制御テーブルETも停止制御テーブルTTに対応して切り替えられる。そしてストップボタンB1〜B3が押下されると、ストップボタンB1〜B3を押下した時点における第1リールR1〜第3リールR3の回転位置CPが、フォトセンサからメイン制御基板MBに送出される。するとメイン制御基板MBは、フラグ設定状態に応じた停止制御テーブルTTを参照し、図6で示したように回転位置CPに対応するすべりコマ数SKに基づいて、第1リールR1〜第3リールR3の停止位置を決定する。これと同時にメイン制御基板MBは、フォトセンサから受信した回転位置CPをサブ制御基板SBに送出する。するとサブ制御基板SBは、メイン制御基板MBにおいて参照された停止制御テーブルTTに対応する演出可否テーブルETを参照し、回転位置CPに対応する演出制御情報に基づいて、ストップボタンB1の押下を実行契機とする演出の実行可否を決定する。
図8は、かかる演出可否制御テーブルETの一例を示す図である。図8の例は、図6に示した赤7ボーナス当選時用テーブルTTに対応する演出可否制御テーブルETの例である。図8に示すように演出可否制御テーブルETは、ストップボタンB1の押下を実行契機とする演出可否の制御を行うためのテーブルET1と、ストップボタンB2の押下を実行契機とする演出可否の制御を行うためのテーブルET2と、ストップボタンB3の押下を実行契機とする演出可否の制御を行うためのテーブルET3とから構成されている。そして、テーブルET1〜ET3では、ストップボタンB1〜B3の押下時点におけるリールの回転位置CP(0コマ〜20コマ)と、ストップボタンB1〜B3の押下を実行契機とする演出可否を示すフラグ(演出の実行を禁止する0か演出の実行を許可する1のいずれか)とが対応付けられている。
そして、ストップボタンB1についてのテーブルET1の回転位置CPの「7」には、図6に示した赤7ボーナス当選時用テーブルTTのテーブルTT1の回転位置CPの「7」がリーチ目を構成する出目を停止させるすべりコマ数SKの「4」に対応付けられていることから、ストップボタンB1の押下を実行契機とする演出の実行を許可する「1」のフラグが対応付けられている。従って、赤7ボーナス当選時用テーブルTTのテーブルTT1において押下時点の回転位置CPについて「7」が参照され、すべりコマ数SKが「4」と決定されて、図5(A)に示した第1リールR1についてリーチ目を構成する出目を停止させた場合には、演出可否制御テーブルETにおいても、押下時点の回転位置CPの「7」が参照され、演出の実行を許可する「1」のフラグが出力されて、ストップボタンB1の押下を実行契機とする演出の実行を許可する。
更に、ストップボタンB2についてのテーブルET2−7の回転位置CPの「2」には、図6に示した赤7ボーナス当選時用テーブルTTのテーブルTT2−7の回転位置CPの「2」がリーチ目を構成する出目を停止させるすべりコマ数SKの「0」に対応付けられていることから、ストップボタンB2の押下を実行契機とする演出の実行を許可する「1」のフラグが対応付けられている。従って、テーブルTT2−7において押下時点の回転位置CPについて「2」が参照され、すべりコマ数SKが「0」と決定されて、図5(A)に示した第2のリールR2についてリーチ目を構成する出目を停止させた場合には、テーブルET2−7においても押下時点の回転位置CPの「2」が参照され、演出の実行を許可する「1」のフラグが出力されて、ストップボタンB2の押下を実行契機とする演出の実行を許可する。
同様に、ストップボタンB3についてのテーブルET3−2の回転位置CPの「7」には、図6に示した赤7ボーナス当選時用テーブルTTのテーブルTT3−2の回転位置CPの「7」がリーチ目を構成する出目を停止させるすべりコマ数SKの「3」に対応付けられていることから、ストップボタンB3の押下を実行契機とする演出の実行を許可する「1」のフラグが対応付けられている。従って、テーブルTT3−2において押下時点の回転位置CPについて「7」が参照され、すべりコマ数SKが「3」と決定されて、図5(A)に示した第3リールR3についてリーチ目を構成する出目を停止させた場合には、テーブルET3−2においても押下時点の回転位置CPの「7」が参照され、演出の実行を許可する「1」のフラグが出力されて、ストップボタンB3の押下を実行契機とする演出の実行を許可する。
図9(A)〜(C)は本実施形態の遊技機で行われる停止操作を実行契機とする演出の一例を説明するための図である。本実施形態では図9(A)に示すように、ストップボタンB1を押下した時点における第1リールR1の回転位置が、第1リールR1においてリーチ目を構成する出目RD1を停止させる位置であった場合には、第1リールR1の停止制御(ストップボタンB1の押下操作)とほぼ同時に、特殊停止音を出力するとともに、液晶ディスプレイLCDの表示画面の明るさを暗くする。そして図9(B)に示すように、ストップボタンB2を押下した時点における第2のリールR2の回転位置が、第2のリールR2においてリーチ目を構成する出目RD2を停止させる位置であった場合には、第2のリールR2の停止制御(ストップボタンB2の押下操作)とほぼ同時に、特殊停止音を出力するとともに、液晶ディスプレイLCDの表示画面の明るさを更に暗くする。更に図9(C)に示すように、ストップボタンB3を押下した時点における第3リールR3の回転位置が、第3リールR3においてリーチ目を構成する出目RD3を停止させる位置であった場合には、第3リールR3の停止制御(ストップボタンB3の押下操作)とほぼ同時に、特殊停止音を大きく出力するとともに、液晶ディスプレイLCDの表示画面の明るさを更に暗くする。
一方、図8に示す演出可否制御テーブルETにおいて、ストップボタンB1についてのテーブルET1の「6」の回転位置CPには、図6に示した赤7ボーナス当選時用テーブルTTのテーブルTT1の「6」の回転位置CPにリーチ目を構成する出目を停止させるすべりコマ数SKが対応付けられていないことから、ストップボタンB1の押下を実行契機とする演出の実行を禁止する「0」のフラグが対応付けられている。従って、赤7ボーナス当選時用テーブルTTのテーブルTT1において押下時点の回転位置CPについて「6」の回転位置CPが参照され、図5(A)に示した第1リールR1についてリーチ目を構成する出目を停止させなかった場合には、テーブルET1においても「6」の回転位置CPが参照され、演出の実行を禁止する「0」のフラグが出力されて、ストップボタンB1の押下を実行契機とする演出の実行を禁止する。
すると、ストップボタンB2についてはストップボタンB1の押下時点の回転位置CPに応じたテーブルETが用いられ、ストップボタンB2の押下時点の回転位置CPに応じた演出可否フラグが出力される。またストップボタンB3についてはストップボタンB2の押下時点の回転位置CPに応じたテーブルETが用いられ、ストップボタンB3の押下時点の回転位置CPに応じた演出可否フラグが出力される。
このように本実施形態では、リール停止制御の結果である各リールの停止位置(出目)だけでなく、当該リール停止制御におけるリールのすべりコマ数に応じて演出の実行可否を判定する。従って本実施形態によれば、各停止操作に対応する各リールの停止位置が、各リールにおけるリーチ目やチャンス目など予め定められた出目を構成する停止位置(出目)であっても、特定のすべりコマ数に基づくリール回転制御によってリールが予め定められた停止位置で停止していない場合には、当該停止操作を実行契機とする演出が実行されないようにすることができる。特に第1リールR1についてはその停止位置が特定されても、当該第1リールR1の停止位置がリーチ目やチャンス目など予め定められた出目を構成する出目であるか否かは判定できないことが多いが、本実施形態によれば第1リールR1についても、予め定められた出目を構成する出目であるか否かを確実に判定することができる。
なお、ストップボタンB2又はストップボタンB3の停止操作については、ストップボタンB2又はストップボタンB3の停止操作に対応する第2のリールR2又は第3リールR3の停止位置だけでなく、ストップボタンB2又はストップボタンB3の停止操作を含む2以上の停止操作に対応するリールの停止位置の組合せを特定することができるので、かかる2以上の停止操作に対応するリールの停止位置の組合せに基づいて、ストップボタンB2又はストップボタンB3の停止操作に対応する出目が、予め定められた出目を構成する出目であるか否かを判定することができる場合がある。従ってストップボタンB2又はストップボタンB3の停止操作については、リール停止制御におけるリールのすべりコマ数に応じて演出の実行可否を判定するのではなく、ストップボタンB2又はストップボタンB3の停止操作を含む2以上の停止操作に対応するリールの停止位置の組合せに応じて演出の実行可否を判定するようにしてもよい。
2−3.遊技機の制御処理
続いて図10および図11のフローチャートを参照しながら本実施形態の手法を実現する遊技機の制御処理の例を説明する。図10は、本実施形態の遊技機において行われる処理の概要の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、まず遊技者がスタートレバーSLを押下してスタートスイッチが作動すると(ステップS10でY)、内部抽選が行われる(ステップS11)。このとき内部抽選において当選した役(当選役)のフラグがオン(内部当選状態)に設定される。
続いて第1リールR1〜第3リールR3を駆動するステップモータへ駆動パルスの供給が開始されて各リールが回転駆動される(ステップS12)。そして各リールの回転速度が所定速度に達すると、ストップボタンB1〜B3の操作が許可され、遊技者がストップボタンB1〜B3を押下すると、各ボタンに対応したストップスイッチが作動することによってステップモータへの駆動パルスの供給を停止させることによりリールを停止させるリール停止制御処理が行われる(ステップ13でY、ステップS14)。
そして第1リールR1〜第3リールR3の全てが停止すると(ステップS15でY)、各リールの停止状態に基づいて入賞判定処理が行われる(ステップS16)。入賞判定の結果、何らかの役が入賞した場合には(ステップS16でY)、入賞時処理が行われる(ステップS17)。例えば、小役が入賞した場合には、小役に対応する枚数のメダルが払い出される。ただし、クレジットメダルとして貯留記憶されているクレジット数がクレジット上限枚数(例えば、50枚)に達していなければ、上限数に達するまでは、払出枚数の一部又は全部をクレジットメダルとして加算する処理を行う。また例えば、リプレイが入賞した場合には、0枚処理を行った上で、次回の遊技を開始するに際して、前回の遊技と同じ枚数のメダルを遊技者の手持ちのメダルを要さずに投入する自動投入処理が行われる。また例えば、ボーナス(BB)が入賞した場合には、0枚処理を行った上で、遊技状態をボーナス状態(BB状態)へ移行させる処理を行う。
一方、入賞判定の結果、役が入賞しなかった場合には(ステップS16でN)、入賞時処理を行わずにそのまま処理を終了する。
図11は、本実施形態に特徴的な停止操作を実行契機とする演出制御処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、内部抽選の結果に基づいて停止操作を実行契機とする演出が当選すると、図11に示すように、その遊技において停止操作を実行契機とする演出状態を設定する(ステップS30)。そしてストップボタンB1が押下されると(ステップS32のY)、ストップボタンB1の押下時点における第1リールR1の回転位置情報をフォトセンサから取得し(ステップS34)、取得した回転位置情報に基づいて演出可否制御テーブルを参照する(ステップS36)。
ここで取得した回転位置情報に対応する演出実行可否フラグが「1」である場合には(ステップS38のY)、演出の実行を許可し、第1リールR1の停止制御(ストップボタンB1の押下操作)とほぼ同時に、特殊停止音を出力するとともに、液晶ディスプレイLCDの表示画面の明るさを暗くする演出を実行する(ステップS40)。一方、取得した回転位置情報に対応する演出実行可否フラグが「0」である場合には(ステップS38のN)、演出の実行を禁止し上記演出を実行しない。
そしてストップボタンB1〜B3の全てが押下されておらず、未だ第1リールR1〜第3リールR3の全リールが停止していない場合には(ステップS42のN)、ストップボタンB2に対する押下操作と、ストップボタンB3に対する押下操作について、ステップS32〜ステップS42までの処理を行う。そしてストップボタンB1〜B3の全てが押下されて第1リールR1〜第3リールR3の全リールが停止した場合には(ステップS42のY)、ストップボタンB3に対する押下操作についてステップS40の演出が実行されたか否か判定する。即ちその遊技において第1リールR1〜第3リールR3に停止した図柄が、リーチ目又はチャンス目を構成する図柄であるか否か判定する。
そして、ストップボタンB3に対する押下操作についてステップS40の演出が実行された場合、即ちその遊技においてリーチ目又はチャンス目を構成させた場合には(ステップS44のY)、停止操作を実行契機とする演出状態から、ボーナス当選を報知するための特別演出状態を設定する(ステップS46)。一方、ストップボタンB3に対する押下操作についてステップS40の演出が実行されなかった場合、即ちその遊技においてリーチ目又はチャンス目を構成させられなかった場合には(ステップS44のN)、停止操作を実行契機とする演出状態を設定した(ステップS30)遊技から7回の遊技(7ゲーム)が行われたか否か判定する。ここで7回の遊技が行われていない場合には(ステップS48のN)、ステップS32に戻り、ステップS44においてストップボタンB3に対する押下操作についてステップS40の演出が実行されたと判断されるか(ステップSの44Y)、ステップS48において7回の遊技が行われたと判断されるまで(ステップS48のY)、ステップS32〜ステップS48の処理を繰り返す。
そしてステップS40の演出が実行されないまま(ステップS44のN)、7回の遊技が行われると、即ち7回の遊技においてリーチ目又はチャンス目を構成させられなかった場合には(ステップS48のY)、内部抽選の結果がボーナスに当選しているか否か判断する(ステップS50)。ここでボーナスに当選している場合には(ステップS50のY)、ボーナス当選を報知するための特別演出状態を設定する(ステップS46)。一方、ボーナスに当選していない場合には(ステップS50のN)、そのまま処理を終了する。
なお、本発明は、上記の実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。
例えば、上記実施形態では、リーチ目を構成する出目が停止された場合について主に説明したが、チャンス目やその他の予め定められた出目を構成する出目が停止された場合にも本実施形態の手法を適用することができる。ここでリーチ目とは、ボーナスフラグが内部当選状態に設定されている場合にのみ停止される出目とすることができ、チャンス目とは、ボーナスフラグが内部当選状態に設定されている場合、及びボーナスフラグが非内部当選状態に設定されている場合のいずれにおいても停止される可能性がある出目とすることができる。
またリーチ目やチャンス目の態様は、図5(A)、(B)に示した例の他、種々の態様のものとすることができ、リーチ目やチャンス目の数は任意とすることができる。またリーチ目やチャンス目の態様を予め遊技者にアナウンスしておき、遊技者がリーチ目やチャンス目を狙って目押しできるようにしてもよい。
また停止操作を実行契機とする演出は、遊技者がストップボタンB1、ストップボタンB2、ストップボタンB3の順に押下することにより第1リールR1、第2のリールR2、第3リールR3の順に停止させるいわゆる「順押し」を行った場合のみならず、ストップボタンB1、ストップボタンB3、ストップボタンB2の順に押下することにより第1リールR1、第3リールR3、第2のリールR2の順に停止させるいわゆる「挟み押し」など、他の態様の押し順による停止操作を行った場合にも実行可否が判定されるようにしてもよい。
また、上記実施形態で説明した手法は、一例を示したに過ぎず、上記実施形態の手法と同様の効果を奏する均等な手法を採用した場合においても本発明の範囲に含めることができる。