JP2008171583A - 密閉型電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 レーザ溶接により発生した熱が原因となるセパレータ溶融を防止し、レーザ出力を上げて溶接強度を高め、信頼性の高い密閉型電池を提供する。
【解決手段】 正極3、負極4、セパレータ5を巻回して作製した巻回体の巻止テープに耐熱性テープ16を使用し、その耐熱性テープが電極体上部のセパレータ5の露出部を覆うように貼り付けられる。蓋体と電池缶をレーザ溶接する際に耐熱性テープ16がセパレータ5への熱の伝導を防ぐことでレーザ溶接時の熱によるセパレータの溶融を防止する。これによりレーザの出力をより高めることが出来る。
【選択図】 図1
Description
本発明は、密閉型電池に関し、金属材料製の電池缶を使用した密閉型電池に関する。
携帯用の電子機器は、小型軽量化と共に機能の高度化が進んでいる。その結果、これらの電子機器に使用する電源用の電池には、小型、軽量で容積あたり容量の大きな電池が求められている。リチウムイオンをドープ、及び脱ドープする正極活物質と負極活物質を用いたリチウムイオン電池は、従来から用いられているニッケルカドミウム電池や鉛電池に比べて、容積あるいは質量当りのエネルギー密度が大きな二次電池として小型の電子機器用の電源として利用されている。
密閉型電池の一例であるリチウムイオン電池は、正極と負極をセパレータを介して巻回して製造した電極体、あるいは正極と負極を積層した電極体を金属製の電池缶に収納し、電池缶とは極性の異なる電極を絶縁性部材で絶縁した電極を備えた蓋体を取り付けて電池缶と蓋体との嵌合部を封止した後、電解液注液孔から所定の量の電解液を注液し製造している。
図5は従来の密閉型電池の電極体を説明する図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)は電極体中心の断面図である。図6は従来の密閉型電池の分解斜視図である。図5に示すように電極体8は、それぞれ正極タブ13と負極タブ14を導出した正極3と負極4をセパレータ5を介して巻回し、その巻回体の巻止のため、粘着テープからなる巻止テープ6により巻回体を固定して製造している。
図6に示すように上記の電極体8を電池缶9に挿入し、電極体8の上部より絶縁板12を挿入した後、蓋体10を電池缶9に嵌合させ、電池缶9と蓋体10の嵌合部をレーザ溶接により封止する。さらに蓋体10の注液用の小孔より電解液を注入し、封止ピン17を小孔に挿入後、レーザ溶接により封孔し、電池を製造している。
従来の密閉型電池においては、蓋体と電池缶の封止のためにレーザ溶接が実施される場合に、溶接により熱が発生し、その熱が電池缶を経由して電池缶内の電極体に伝導する。電池缶と蓋体の封止の際のレーザパワーが強い場合、電池缶と接触している電極体のセパレータに熱が伝導し、伝導する熱がセパレータの溶融温度より高くなると、電極体上部(タブ導出側を上部と称する)のセパレータの一部が溶融する場合がある。このようにセパレータの一部が溶融した状態で電池を充電した場合、溶融部から露出した正極または負極と、反対の極性を有する電池缶が接触すると電池の短絡を引き起こすことがある。
上記のような不具合を防ぐためにはレーザ出力を下げればよい。しかし、その場合、溶接が不十分となり溶接部にクラックが発生し、内部の電解液が漏出する恐れがある。また、クラックが発生しなくとも溶接強度が不十分の場合、落下などの衝撃により溶接部が開放し、内部の電解液が漏出する恐れがある。
そのため、レーザ出力はセパレータを溶融させない範囲を上限、かつ衝撃により溶接部が容易に開放しない範囲を下限として管理する必要がある。
耐熱性部材を電極体の下部に備える提案が特許文献1に記載されているが、電池缶と蓋体とのレーザ溶接時の熱によるセパレータの溶融を防ぐことに適したものではなかった。
本発明の課題は、レーザ溶接により発生した熱が原因となるセパレータ溶融を防止し、レーザ出力を上げて溶接強度を高め、信頼性の高い密閉型電池を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明の密閉型電池は、セパレータを介して正極と負極を積層し巻回した電極体の上部の前記セパレータを覆うように耐熱性テープを貼り付け、電池缶に収納し、開口部に蓋体を配し、レーザ溶接により封止したことを特徴とする。また、前記耐熱性テープの基材の溶融温度がセパレータの溶融温度より高温であることを特徴とする。また、前記耐熱性テープの基材がポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド及びポリエーテルスルホンからなる群から選択される1つ以上の材料であることを特徴とする。
本発明の密閉型電池では、巻回体の巻止テープに耐熱性テープを使用し、耐熱性テープが電極体上部のセパレータの上端より上方に延長させて貼り付け、セパレータを完全に覆う構造として、レーザ溶接時の熱をセパレータに伝えにくくする。このためレーザ出力を上げることが出来るため、レーザ封止部の溶接強度の高い電池を提供することができる。
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の密閉型電池の電極体の第一の実施の形態を説明する図であり、図1(a)は、斜視図、図1(b)は電極体中心の断面図である。図2は本発明の密閉型電池の電極体の第一の実施の形態を説明する分解斜視図である。
図1、図2に示すように電極体8は、それぞれ正極タブ13と負極タブ14を導出した正極3と負極4をセパレータ5を介して巻回し、その巻回体の巻止のためとセパレータを熱から保護するため、電極体上部のセパレータの上端を覆うように耐熱性テープ16を貼り付けて固定し、電極体の下部に下部保護テープ7を取り付けて形成された後、電池缶に挿入される。負極4の幅は正極3の幅より広く、負極4の幅よりセパレータ5の幅が広いためセパレータの上端を覆うことにより電極体上端を覆うことになる。ここで耐熱性テープ16がセパレータの上端より延長する長さは0mmを超え、0.5mm以下が望ましい。0.5mmを越える場合には粘着部の露出が大きくなるため組立性に影響が出る。
耐熱性テープの基材には、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド及びポリエーテルスルホンなどが挙げられる。なかでも、ポリイミドは、耐熱性に優れるため、好適である。セパレータに用いられるPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)の溶融温度は120から180℃程度であるため、耐熱性テープの溶融温度はそれ以上である必要がある。
耐熱性テープに用いられる接着剤は電解液に溶解せず、巻回体を固定するのに十分な粘着力があれば特に問わないが、ポリイミド系、シリコーン系、シリコーン/ポリイミド系およびエポキシ系からなる群から選択される耐熱性接着剤であることが望ましい。
図3は、本発明の密閉型電池の電極体の第二の実施の形態を説明する斜視図である。電極体8は、第一の実施の形態と同様に正極タブ13と負極タブ14を導出した正極と負極をセパレータを介して巻回した後、セパレータの上端のみならず下端をも覆うように耐熱性テープ16を貼り付けて固定し、電極体8の下部に下部保護テープ7を取り付けて形成している。
図4は、本発明の密閉型電池の電極体の第三の実施の形態を説明する斜視図である。電極体8は、第一の実施の形態と同様に正極タブ13と負極タブ14を導出した正極と負極をセパレータを介して巻回した後、セパレータの上部を覆うように耐熱性テープ16を貼り付けて固定し、中央部には巻止テープ6を貼り付けて固定し、電極体8の下部に下部保護テープ7を取り付けて形成している。セパレータ上部のみに耐熱性テープ16を貼付け、巻止テープ6として耐熱性でない粘着テープを使用する構造としている。第三の実施の形態においてはより高価な耐熱性テープの使用を削減できるという利点がある。
次に、本発明について実施例を図面を用いて具体的に説明する。本実施例においては角型のリチウムイオン電池の例を示すがこれに限定されるものではない。
実施例については本発明の第一の実施の形態を示した図1、図2を参照して説明する。正極3はコバルト酸リチウム粉末94重量%に対し、導電材の炭素粉末3重量%と結着材のポリフッ化ビニリデン樹脂(PVdF樹脂)3重量%を混合し、これらを脱水NMPに分散させてスラリーを作製し、アルミ箔からなる正極集電体上に塗布し、乾燥後圧延し、幅43mmに切断した。切断後、所定の位置に正極タブ13を超音波溶接した。
負極4は負極活物質として人造黒鉛粉末を用い、これの95重量%に対して、結着材のPVdF樹脂を5重量%混合し、これらを脱水NMPに分散させてスラリーを作製し、銅箔からなる負極集電体に塗布し、乾燥後、圧延し幅44mmに切断して作製した。切断後、所定の位置に負極タブ14を超音波溶接した。
セパレータ5は、厚さ20μm、幅46mmのポリエチレン製のセパレータを用いた。
これらの正極3、負極4、セパレータ5を巻回することにより巻回体を得た。電極体の巻止用の耐熱性テープ16として基材に厚さ100μm、幅43mmのポリイミド、粘着材にポリイミド系の材料を用いたテープを作製し、テープ端が電極体上部のセパレータ露出部より0.1mm上方になるよう貼り付け、さらにポリプロピレン製の下部保護テープ7を貼り付けて電極体8を得た。
得られた電極体8を電池缶に挿入し、電池缶内に絶縁板を挿入後、電池缶と蓋体を嵌合させた組立体を作製した。
組立体の封止用のレーザにはYAGレーザを用いた。レーザの出射条件として、パルス波を1秒間に50回出射し、溶接速度を10mm/sと設定し溶接を行った。レーザ出力を200Wから300Wまで10W刻みで溶接した電池を20個作製し、作製した電池を分解して電極体のセパレータの溶融の有無について確認した。その結果を表1に示す。表1中分母は試験サンプル数、分子はセパレータの溶融が確認された数を示す。
(比較例1)
実施例と同様に正極、負極、セパレータを巻回することにより巻回体を得た後、巻回体の中央部に厚さ100μm、幅30mmの基材にポリエチレン、粘着材にアクリル系材料を用いた巻止テープを用い、ポリプロピレン製の下部保護テープを貼り付けて電極体を得た以外は実施例と同様に電池缶と蓋体を嵌合させた組立体を作製しレーザ溶接を行った結果を表1に示す。
実施例と同様に正極、負極、セパレータを巻回することにより巻回体を得た後、巻回体の中央部に厚さ100μm、幅30mmの基材にポリエチレン、粘着材にアクリル系材料を用いた巻止テープを用い、ポリプロピレン製の下部保護テープを貼り付けて電極体を得た以外は実施例と同様に電池缶と蓋体を嵌合させた組立体を作製しレーザ溶接を行った結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例と同様に正極、負極、セパレータを巻回することにより巻回体を得た後、電極体の巻止テープとして厚さ100μm、幅43mmの基材にポリエチレン、粘着材にアクリル系材料を用いた巻止テープを用いテープ端が電極体上部のセパレータ露出部より0.1mm上方になるよう貼り付け、ポリプロピレン製の下部保護テープを貼り付けて電極体を得た以外は実施例と同様に電池缶と蓋体を嵌合させた組立体を作製しレーザ溶接を行った結果(セパレータ溶融数/試験サンプル数)を表1に示す。
実施例と同様に正極、負極、セパレータを巻回することにより巻回体を得た後、電極体の巻止テープとして厚さ100μm、幅43mmの基材にポリエチレン、粘着材にアクリル系材料を用いた巻止テープを用いテープ端が電極体上部のセパレータ露出部より0.1mm上方になるよう貼り付け、ポリプロピレン製の下部保護テープを貼り付けて電極体を得た以外は実施例と同様に電池缶と蓋体を嵌合させた組立体を作製しレーザ溶接を行った結果(セパレータ溶融数/試験サンプル数)を表1に示す。
表1の結果より、実施例においてはセパレータの溶融が確認されたのは290W以上であった。よって、レーザ出力の管理範囲最大値を280Wと設定できることがわかった。一方、比較例1では260W以上でセパレータが溶融するため、レーザ出力の管理範囲最大値が250W、比較例2では270Wでセパレータが溶融するため、レーザ出力の管理範囲最大値が260Wとなることがわかった。実施例においてセパレータ溶融するレーザパワーが高くなったのは、耐熱性のポリイミドが電極体のセパレータ露出部を覆っているため溶接による熱から断熱する役目を果たしているためである。比較例1においてセパレータ溶融するレーザパワーが高くなったのは、セパレータ露出部が直接電池缶に接触しているため、溶接時の熱が直接伝わるためである。比較例2においては電池缶とセパレータが直接接触していないが、被覆しているテープ材がセパレータと同じポリエチレンのためテープとともにセパレータが溶融したためである。
次に実施例、比較例1、2のそれぞれの管理範囲最大値でレーザ溶接した組立体について、注液用の小孔より電解液を注入し、封止ピンを小孔に挿入後、レーザで封止した。電解液にはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の体積比1:1:1の混合溶媒にLiPF4を1モル/リットル溶解したものを使用した。作製した角型のリチウムイオン電池は厚さ5mm、幅34mm、高さ50mmである。また設計容量は1000mAhである。
実施例、比較例1、2のそれぞれについて、漏液防止のため安全弁をエポキシ樹脂で固めた後、保護回路とともに成形樹脂からなるケースで外装した電池パックを得た。得られた電池パック3個について、携帯電話を想定したモノキャストナイロン製の重さ80gの治具に装着し、電池蓋体を下部方向に制御して高さ1mから合板上への落下試験を行った。落下回数の上限は1000回とした。実施例、比較例1、2の落下衝撃により、溶接部が開放したときの落下回数の結果を表2にまとめた。
表2の結果より、本発明の密閉型電池においてはレーザ出力管理範囲の最大値を高めることにより溶接部の強度を高めることが出来ることを確認した。これは、レーザ出力を上げることで電池缶および蓋体の溶け込み量が多くなったことに起因する。
3 正極
4 負極
5 セパレータ
6 巻止テープ
7 下部保護テープ
8 電極体
9 電池缶
10 蓋体
12 絶縁板
13 正極タブ
14 負極タブ
16 耐熱性テープ
17 封止ピン
4 負極
5 セパレータ
6 巻止テープ
7 下部保護テープ
8 電極体
9 電池缶
10 蓋体
12 絶縁板
13 正極タブ
14 負極タブ
16 耐熱性テープ
17 封止ピン
Claims (3)
- セパレータを介して正極と負極を積層し巻回した電極体の上部の前記セパレータを覆うように耐熱性テープを貼り付け、電池缶に収納し、開口部に蓋体を配し、レーザ溶接により封止したことを特徴とする密閉型電池。
- 前記耐熱性テープの基材の溶融温度がセパレータの溶融温度より高温であることを特徴とする請求項1に記載の密閉型電池。
- 前記耐熱性テープの基材がポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド及びポリエーテルスルホンからなる群から選択される1つ以上の材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の密閉型電池。
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JP2007001215A JP2008171583A (ja) | 2007-01-09 | 2007-01-09 | 密閉型電池 |
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