以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書または図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書または図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書または図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
本発明の第1の側面は、ディスプレイより出射される光の透過量を制御するディスプレイ用光学シャッタ(例えば、図1の液体デバイス21)であって、前記光が透過する部分を周囲より隔離する隔壁(例えば、図2のリブ34-1およびリブ34-2)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分に配置された、光を透過し極性を有する極性液体(例えば、図2の極性液体36)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分に配置された、光を遮断し極性を有していない無極性液体(例えば、図2の無極性液体35)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分全体に配置された疎水性の絶縁体(例えば、図2の絶縁体33)と、互いに異なる第1の電極(例えば、図2の下部電極32)および第2の電極(例えば、図2の上部電極37)とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されていない状態において、前記無極性液体が前記絶縁体近傍に広がって安定することにより、前記光を遮断し(例えば、図4)、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加された状態において、前記絶縁体の前記極性液体に対する濡れ性の変化によって前記極性液体が前記絶縁体近傍に引き寄せられ、結果として前記無極性液体が前記光の透過する部分の一部分に前記電圧の大きさに応じて集まることにより、前記光の透過量を制御し(例えば、図5)、以下の条件を満足するディスプレイ用光学シャッタである。
100μm2≦A≦30000μm2
1μm≦H≦10μm
ただし、A:前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分の、光の進路方向に対して垂直な光の透過面の面積、H:前記隔壁の高さである。
前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分の、光の進路方向に対して垂直な光の透過面の面積および前記隔壁の高さは、好ましくは以下の条件を満足する。
400μm2≦A≦1600μm2
2μm≦H≦4μm
対向する2枚の基板(例えば、図2の下部基板31および上部基板38)をさらに備え、前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ、前記2枚の基板の対向し合う面に形成され、前記隔壁および前記絶縁体は、前記2枚の基板の対向しあう面の一方に形成され、前記極性液体および前記無極性液体は、前記2枚の基板の間の、前記隔壁に囲まれた部分に配置されるようにすることができる。
前記極性液体および前記無極性液体よりも光の透過側にカラーフィルタ(例えば、図23のカラーフィルタ301)が配置されていることができる。
前記無極性液体は、前記光を遮断するように着色されている(例えば、図2の無極性液体35)ようにすることができる。
前記ディスプレイ用光学シャッタの光の入射側に白色散乱手段(例えば、図26の白色散乱板421)が設けられているようにすることができる。
前記第1の電極および第2の電極のうち、光の入射側に配置されている電極が非透明である(例えば、図29の下部電極432)ようにすることができる。
本発明の第2の側面は、光源部(例えば、図1の発光光源部11)と、前記光源部より出射される光を透過する画像表示部(例えば、図1の画像表示部13)とを備える画像表示装置(例えば、図1の画像表示装置1)であって、前記画像表示部は前記光源部より出射される光の透過量を制御する光学シャッタ(例えば、図1の液体デバイス21)を備え、前記光学シャッタは、前記光が透過する部分を周囲より隔離する隔壁(例えば、図2のリブ34-1およびリブ34-2)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分に配置された、光を透過し極性を有する極性液体(例えば、図2の極性液体36)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分に配置された、光を遮断し極性を有していない無極性液体(例えば、図2の無極性液体35)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分全体に配置された疎水性の絶縁体(例えば、図2の絶縁体33)と、互いに異なる第1の電極(例えば、図2の下部電極32)および第2の電極(例えば、図2の上部電極37)とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されていない状態において、前記無極性液体が前記絶縁体近傍に広がって安定することにより、前記光を遮断し(例えば、図4)、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加された状態において、前記絶縁体の前記極性液体に対する濡れ性の変化によって前記極性液体が前記絶縁体近傍に引き寄せられ、結果として前記無極性液体が前記光の透過する部分の一部分に前記電圧の大きさに応じて集まることにより、前記光の透過量を制御し(例えば、図5)、以下の条件を満足する画像表示装置である。
100μm2≦A≦30000μm2
1μm≦H≦10μm
ただし、A:前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分の、光の進路方向に対して垂直な光の透過面の面積、H:前記隔壁の高さである。
前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分の、光の進路方向に対して垂直な光の透過面の面積および前記隔壁の高さは、好ましくは以下の条件を満足する。
400μm2≦A≦1600μm2
2μm≦H≦4μm
対向する2枚の基板(例えば、図2の下部基板31および上部基板38)をさらに備え、前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ、前記2枚の基板の対向し合う面に形成され、前記隔壁および前記絶縁体は、前記2枚の基板の対向しあう面の一方に形成され、前記極性液体および前記無極性液体は、前記2枚の基板の間の、前記隔壁に囲まれた部分に配置されるようにすることができる。
前記極性液体および前記無極性液体よりも光の透過側にカラーフィルタ(例えば、図23のカラーフィルタ301)が配置されているようにすることができる。
前記無極性液体は、前記光を遮断するように着色されている(例えば、図2の無極性液体35)ようにすることができる。
前記ディスプレイ用光学シャッタの前記光源部側に白色散乱手段(例えば、図26の白色散乱板421)が設けられているようにすることができる。
前記第1の電極および第2の電極のうち、前記光源部側に配置されている電極が非透明である(例えば、図29の下部電極432)ようにすることができる。
本発明の第3の側面は、ディスプレイより出射される光の透過量を制御するディスプレイ用光学シャッタ(例えば、図1の液体デバイス21)を製造するディスプレイ用光学シャッタ製造装置(例えば、図11の製造装置101)であって、透明な基板上に、前記光が透過する部分を周囲より隔離する隔壁を形成する隔壁形成手段(例えば、図11の隔壁形成部134)を備え、前記隔壁形成手段は、前記ディスプレイ用光学シャッタが以下の条件を満足するように前記隔壁を形成するディスプレイ用光学シャッタ製造装置である。
100μm2≦A≦30000μm2
1μm≦H≦10μm
ただし、A:前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分の、光の進路方向に対して垂直な光の透過面の面積、H:前記隔壁の高さである。
前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分の、光の進路方向に対して垂直な光の透過面の面積および前記隔壁の高さは、好ましくは以下の条件を満足する。
400μm2≦A≦1600μm2
2μm≦H≦4μm
前記隔壁形成手段は、前記隔壁の高さを、可能な範囲で低く形成する(例えば、図9)ようにすることができる。
前記隔壁形成手段により形成された前記隔壁の表面に、紫外線オゾン処理を施す表面処理手段(例えば、図11の表面処理部135)をさらに備え、前記表面処理手段は、前記紫外線オゾン処理の処理時間を制御することにより、前記隔壁に囲まれた部分に塗布される、光を遮断し極性を有していない無極性液体の量を制御するようにすることができる。
前記基板上に、黒色顔料若しくは色素を含有したブラックレジストによるブラックマトリクスを形成させるブラックマトリクス形成手段(例えば、図11のブラックマトリクス形成部133)をさらに備え、前記隔壁形成手段は、前記ブラックマトリクス形成手段により形成された前記ブラックマトリクス上に前記隔壁を形成するようにすることができる。
本発明の第3の側面はまた、ディスプレイより出射される光の透過量を制御するディスプレイ用光学シャッタ(例えば、図1の液体デバイス21)を製造するディスプレイ用光学シャッタ製造装置(例えば、図11の製造装置101)のディスプレイ用光学シャッタ製造方法であって、透明な基板上に、前記光が透過する部分を周囲より隔離する隔壁を、以下の条件を満足するように形成する隔壁形成ステップを備えるディスプレイ用光学シャッタ製造方法である。
100μm2≦A≦30000μm2
1μm≦H≦10μm
ただし、A:前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分の、光の進路方向に対して垂直な光の透過面の面積、H:前記隔壁の高さである。
前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分の、光の進路方向に対して垂直な光の透過面の面積および前記隔壁の高さは、好ましくは以下の条件を満足する。
400μm2≦A≦1600μm2
2μm≦H≦4μm
本発明の第4の側面は、ディスプレイより出射される光の透過量を制御するディスプレイ用光学シャッタ(例えば、図1の液体デバイス21)であって、前記光が透過する部分を周囲より隔離する隔壁(例えば、図2のリブ34-1およびリブ34-2)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分に配置された、光を透過し極性を有する極性液体(例えば、図2の極性液体36)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分に配置された、光を遮断し極性を有していない無極性液体(例えば、図2の無極性液体35)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分全体に配置された疎水性の絶縁体(例えば、図2の絶縁体33)と、互いに異なる第1の電極(例えば、図2の下部電極32)および第2の電極(例えば、図2の上部電極37)とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されていない状態において、前記無極性液体が前記絶縁体近傍に広がって安定することにより、前記光を遮断し(例えば、図4)、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加された状態において、前記絶縁体の前記極性液体に対する濡れ性の変化によって前記極性液体が前記絶縁体近傍に引き寄せられ、結果として前記無極性液体が前記光の透過する部分の一部分に前記電圧の大きさに応じて集まることにより、前記光の透過量を制御する(例えば、図5)ディスプレイ用光学シャッタである。
本発明の第5の側面は、光源部(例えば、図1の発光光源部11)と、前記光源部より出射される光を透過する画像表示部(例えば、図1の画像表示部13)とを備える画像表示装置(例えば、図1の画像表示装置1)であって、前記画像表示部は前記光源部より出射される光の透過量を制御する光学シャッタ(例えば、図1の液体デバイス21)を備え、前記光学シャッタは、前記光が透過する部分を周囲より隔離する隔壁(例えば、図2のリブ34-1およびリブ34-2)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分に配置された、光を透過し極性を有する極性液体(例えば、図2の極性液体36)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分に配置された、少なくとも赤色、緑色、青色のいずれか一色に着色され、極性を有していない無極性液体(例えば、図2の無極性液体35)と、前記隔壁に囲まれた前記光が透過する部分全体に配置された疎水性の絶縁体(例えば、図2の絶縁体33)と、互いに異なる第1の電極(例えば、図2の下部電極32)および第2の電極(例えば、図2の上部電極37)とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されていない状態において、前記無極性液体が前記絶縁体近傍に広がって安定することにより、前記光を遮断し(例えば、図4)、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加された状態において、前記絶縁体の前記極性液体に対する濡れ性の変化によって前記極性液体が前記絶縁体近傍に引き寄せられ、結果として前記無極性液体が前記光の透過する部分の一部分に前記電圧の大きさに応じて集まることにより、前記光の透過量を制御する(例えば、図5)画像表示装置。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
図1において画像表示装置1は、画像を表示する装置であり、発光光源部11、画像表示部駆動部12、および画像表示部13を有している。画像表示装置1は、発光光源部11より出射された光が画面表示部13を透過してユーザに届く透過型のディスプレイである。
発光光源部11は、所謂バックライトと称される、画像表示のための光源であり、例えば、熱陰極管や冷陰極管等が用いられる。もちろん、それらと同様に画像表示の光源として機能するものであればどのようなものを用いてもよい。
画像表示部駆動部12は、外部より供給される画像情報(例えば映像信号等)に基づいて、画像表示部13(画像表示部13を形成する各液体デバイス21)の動作を制御する。
画像表示部13は、画像表示部駆動部12に制御されて発光光源部11より出射される光の透過を制御する液体デバイス21が平面状または曲面状に複数並べられた、画像の表示を行うデバイスである。
図1に示されるように、発光光源部11は、光が出射される平面状または曲面状の発光面を有し、画像表示部13の液体デバイス21は、その発光面に略対向するように並べられて配置される。液体デバイス21は、詳細については後述するが、発光光源部11の発光面より出射された光の透過量、すなわち、自分自身を透過する透過光の強度(透過光強度)を制御する光学シャッタとして動作する。各液体デバイス21が、画像表示部駆動部12の制御によって、画像情報に基づいて透過光強度を制御することにより、液体デバイス21群全体、すなわち、画像表示部13全体の、発光光源部11と反対側の表面に、画像情報に対応する画像が表示される。換言すると、画像情報に基づいて動作する液体デバイス21を透過した光が、画像表示部13を基準として発光光源部11と反対側に位置するユーザの目に届くことにより、そのユーザには、画像表示部13の表面(ユーザ側の面)に、画像情報に対応する画像が表示されているように見える。
すなわち、画像表示部13の発光光源部11と反対側の表面(液体デバイス21が並べられることにより形成される、発光光源部11と反対側の面)が画像表示面となる。なお、一般的に、液体デバイス21には、発光光源部11の発光周期よりも速い応答速度が求められる。
発光光源部11の発光面より出射される光は光源より出射された直接光でなくてもよく、例えば、反射板等に反射された間接光であってもよい。また、発光面より出射される光は、一般的には発光面全体において均一な白色光が望ましいが、必ずしも均一でなくても良いし、白色光でなくてもよい。
一般的には、発光光源部11の発光面の面積および形状が、画像表示部13の画像表示面の面積および形状と同一であり、さらに、その発光面と画像表示面が互いにはみ出さずに重なるように、発光光源部11と画像表示部13が所定の間隔で平行に配置されるのが望ましいが、必ずしも、発光面と画像表示面の面積および形状が互いに同一でなくてもよいし、発光面と画像表示面が互いにはみ出さずに重なっていなくてもよいし、発光光源部11と画像表示部13が所定の間隔で平行に配置されなくても良い。例えば、発光光源部11と画像表示部13が、一体として形成されてもよい。
また、画像表示部13において、液体デバイス21は、どのようなパターンで並べて配置するようにしてもよく、例えば、行列状やハニカム構造のように規則的なパターンで並べるようにしてもよいし、不規則なパターンで並べるようにしてもよい。
次に、画像表示部13の液体デバイス21について説明する。液体デバイス21は、上述したように、発光光源部11の発光面より出射された光に対して自分自身を透過する透過光の強度を制御する光学シャッタとして動作するデバイスである。図2は、液体デバイス21の構成例を説明するための、液体デバイス21の断面図である。
図2に示されるように、液体デバイス21は、下部基板31、下部電極32、絶縁体33、リブ34-1、リブ34-2、無極性液体35、極性液体36、上部電極37、および上部基板38よりなる多層構造となっている。
下部基板31および上部基板38は、ガラスまたはシリコン等の、光を透過する透明の部材により形成される。下部電極32および上部電極37は、後述するように極性液体36に対して電圧を印加するための電極であり、例えばITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)等の透明電極により形成される。もちろん、これらと同様の性質を有する他の素材を使用してもよい。
各液体デバイス21の下部電極32および上部電極37に対して、画像表示部駆動部12には、電源41とスイッチ部42が設けられている。スイッチ部42は、両側端子の間を電気的に接続するオン動作と、両側端子の間を電気的に切断するオフ動作の2つの状態を有する。電源41の電源電圧は、所定の範囲内で可変であり、その範囲内であれば任意に設定可能である。この電源電圧の範囲は任意であるが、例えば、最小値を0ボルトとし、最大値を、後述するように無極性液体35が十分に変形し、かつ、絶縁破壊等の不具合が生じない程度の電圧としてもよい。
画像表示部駆動部12は、スイッチ部42の動作と電源41の電源電圧の制御により、下部電極32および上部電極37の間に、可能な範囲内で任意の大きさの電圧を印加することができるようになされている。例えば、図2の例の場合、電源41の一方の電極は、スイッチ部42を介して上部電極37に接続され、電源41の他方の電極は、下部電極32に接続されている。スイッチ部42がオン動作、すなわち接続されると、電源41において設定された電圧が下部電極32および上部電極37に印加され、スイッチ部42がオフ動作、すなわち、切断されると、下部電極32および上部電極37間の電位差がゼロになる。この電源41は、どのような電源であってもよく、スイッチ部42も、電源41による下部電極32と上部電極37との間への電圧の印加を制御することができるものであればどのようなものであってもよい。
絶縁体33は、疎水性および誘電率が大きい物質が望ましく、例えば、フッ素系のポリマーであるPVdFやPTFE等により形成される。もちろん、これらと同様の性質を有する他の素材を使用してもよい。絶縁体33の図中上下方向の厚さ(膜厚)は、誘電率を大きくするためにはより薄い方が望ましいが、絶縁強度を強くするためには厚い方が望ましく、最適な値は両者のトレードオフにより決定するのが望ましい。例えば、アモルファスフッ素樹脂であるサイトップ(登録商標)のAP2(標準グレード、溶液濾過0.2μm)を膜厚240nmで形成した場合、下部電極32および上部電極37にITO電極を使用し、無極性液体35にドデカン数μm/を使用し、極性液体36に水40umを使用したとき、下部電極32と上部電極37の電位差が30Vに達するまでは絶縁破壊を示さなかった。
リブ34-1およびリブ34-2は、並べられた液体デバイス同士で光が透過する部分を区切る隔壁であり、その光が透過する部分に塗布される無極性液体35(および極性液体36の一部)の周囲を囲むように形成される。つまり、図2は断面図なので、2つに分離されているように示されているが、実際には、リブ34-1およびリブ34-2は繋がっており、1つの部材として形成される。なお、以下においてリブ34-1とリブ34-2を互いに区別して説明する必要の無い場合、リブ34と称する。また、このリブ34に囲まれた部分をリブピクセルと称する。このリブ34は、極性液体36と無極性液体35に溶解しない、反応しない事が望まれ、典型的には高分子の樹脂が用いられ、例えばエポキシ系やアクリル系の樹脂が用いられる。もちろん、これらの樹脂と同様の性質を有する他の素材を使用してもよい。
無極性液体35および極性液体36は、リブピクセルに形成される。これらの2液滴は、互いに混在せずに分離するので2つの層を形成する。無極性液体35には、例えば、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、若しくはウンデカン等の炭化水素系の材料、シリコンオイル等が使用される。なお、この無極性液体35は、黒色の色素を含む液体であるか、若しくは、染料を溶解させて黒色に着色される。この染料は無極性液体35に溶解し、極性液体36に溶解しないものが用いられる。また、無極性液体35に、無極性液体35にも溶解しない顔料を混ぜてもよい。極性液体36には、典型的には、水や塩化カリウムや塩化ナトリウム等の電解質を溶かした水溶液が使用される。
この2層の図中上下方向(光が透過する方向)にはそれぞれ上部電極37と下部電極32が形成されており、これらの電極間に電圧が印加されることにより2層に電界が生じるようになされている。つまり、上部電極37と下部電極32との間に任意の電圧が印加されることにより、極性液体36と絶縁体33の濡れ性(表面張力)がその電圧の大きさに応じて変化するので、その極性液体36の移動(変形)によって無極性液体35が移動(変形)させられる。この無極性液体35の移動(変形)量に応じて、液体デバイス21の光の透過率が変化する。つまり、液体デバイス21は、この光の透過率の変化を制御する光学シャッタとして動作する。
なお、無極性液体35は、極性液体36と混在せず、電圧印加により絶縁体33と極性液体36との濡れ性の変化によって、結果として移動(変形)するものであればどのような液体であってもよい。また、極性液体36は、無極性液体35と混在せず、下部電極32と上部電極37との間に印加された電圧により絶縁体33との濡れ性が変化するような、透明な液体であればどのようなものであってもよい。また、応答速度向上のために、無極性液体35および極性液体36は低粘度であることが望ましい。
この液体デバイス21は、通常、図3に示されるように、アレイ状に配置される。図3には、xy平面上に並べられた液体デバイス21の例を示している。図3の例においては、x方向に液体デバイス21-1、液体デバイス21-2、液体デバイス21-3、液体デバイス21-4、・・・、また、y方向に液体デバイス21-1、液体デバイス21-5、液体デバイス21-6、・・・のように、複数の液体デバイス21が行列状に隙間無く並べて配置されている。
換言すると、図3の場合、下部基板31と上部基板38に挟まれた空間がリブ34により行列状に簡略的に仕切られて複数のリブピクセルが形成されている。この複数のリブピクセルのそれぞれに無極性液体35と極性液体36が充填されており、各リブピクセルの構成が個々の液体デバイス21として動作するようになされている。
なお、図3においては説明の簡略化の為、隣り合う液体デバイス21において下部電極32および上部電極37が接触しているように示されているが、実際には、少なくとも互いに独立して動作させる液体デバイス21同士の下部電極32および上部電極37は、それぞれ互いに接触しないように配置される。一般的には、各液体デバイス21の下部電極32および上部電極37は、隣接する液体デバイス21の下部電極32および上部電極37と接触しないように配置され、他の液体デバイス21と独立して電圧を印加することができるように構成されている。つまり、画像表示部駆動部12は、各液体デバイス21を互いに独立して動作させることができる。
次に、このような構造の液体デバイス21の動作について説明する。図4は、スイッチ部42がオフ状態、すなわち、切断状態にされ、下部電極32および上部電極37に電圧が加えられていない状態の液体デバイス21の様子を示す図である。
図4に示されるように、スイッチ部42がオフ状態であり、下部電極32および上部電極37間の電位差がゼロである場合、若しくはゼロに近似するとみなされる場合、絶縁体33が疎水性であるので、表面張力の関係から無極性液体35が極性液体36よりも絶縁体33側に存在して状態が維持されている。つまり、下部電極32および上部電極37間に電圧が印加されていない場合、図4に示されるように、着色された無極性液体35が、リブピクセル全体、すなわち、光の透過部分全体に広がった状態で安定する。
従って、このとき、図4中において下側になる、液体デバイス21の背面側の発光光源部11から発せられた光(視覚情報)51は、液体デバイス21に到達するものの、無極性液体35が黒色の色素を有する素材により構成されていたり、黒色の染料により着色されていたり、黒色の顔料が混ぜこまれていたりするので、液体デバイス21を透過することができない。つまり、発光光源部11から発せられた光は、無極性液体35により遮断されてしまう。
図5は、スイッチ部42がオン状態、すなわち、接続状態にされ、電源41により、下部電極32および上部電極37の間に、電源41において設定可能な範囲で最大の電圧が印加された状態の液体デバイス21の様子を示す図である。
下部電極32および上部電極37間に電源41の電源電圧が印加されると、下部電極32近傍の絶縁体33において電界方向へ分極電荷が発生し、近傍の絶縁体33の表面に電荷が蓄積され、所謂電荷二重層状態になる。極性液体36は、極性を有するので、この電荷のクーロン力により下部電極32近傍の絶縁体33へ引き寄せられる。すなわち、絶縁体33の極性液体36に対する濡れ性が、下部電極32および上部電極37間への印加電圧の大きさに応じて変化する。これに対して無極性液体35は、無極性であるがゆえに、そのような力が発生しない。従って、黒色の無極性液体35は、絶縁体33近傍に移動してきた極性液体36によって押し出されて移動し、図5に示されるように、液体デバイス21のリブ34に囲まれた部分の一部に集まった状態で安定する。図5の例の場合、最大の電圧が印加されているので、黒色の無極性液体35は、絶縁体33近傍に集まるように変形した極性液体36によって最大限押し出されて変形し、図5に示されるように、液体デバイス21のリブ34に囲まれた部分の一部に最も集まった状態で安定する。
つまり、この状態のとき、黒色の無極性液体35は、リブピクセルの一部分、すなわち、図5において上下方向となる光の透過方向に対して垂直な光の透過面の一部分に最も集中し、リブピクセルのそれ以外の多くの部分は、無色透明な極性液体36の層のみとなる。すなわち、光の透過面において無極性液体35が存在しない部分が最も多くなる。従って、発光光源部11から発せられた光51、つまり視覚情報のほとんどは、液体デバイス21のリブピクセル内の、黒色の無極性液体35の層が存在しない、極性液体36の層のみの部分を透過し、遮断されずに透過光52として、図5中上側として示される液体デバイス21の前面である画像表示面より出射される。つまり、この液体デバイス21の透過光強度が最大になる。
なお、電源41の電源電圧の大きさに応じて、下部電極32および上部電極37間への印加電圧の大きさが変化するので、結果として無極性液体35の変形量も変化する。従って、画像表示部駆動部12は、電源41の電源電圧の大きさを制御することにより、無極性液体35の形状を、図4の例と図5の例の間の状態において安定させることもできる。つまり、画像表示部駆動部12は、対応する液体デバイス21の透過光強度、すなわち、光学シャッタの開き具合を任意に制御することができる。
以上のように、液体デバイス21は、発光光源部11の出射光の、自分自身を透過する光量を制御する。すなわち、液体デバイス21は、発光光源部11からの射出光強度を任意に変化させる光学シャッタとして動作する。
なお、図5においては、下部電極32および上部電極37間に電源41の電源電圧が印加された際に無極性液体35がリブ34-2近傍に集まるように示されているが、この無極性液体35が移動する位置は任意である。無極性液体35は、下部電極32および上部電極37間に電源41の電源電圧が印加されていない状態において、リブピクセル内の底面(絶縁体33側の面)全体に広がり、下部電極32および上部電極37間に電源41の電源電圧が印加された状態において、リブピクセル内の光の透過面に対して一部分に集まるようになされていればよい。
また、下部電極32および上部電極37間への電圧の印加によって実際に無極性液体35が膨張または収縮するとは限らないが、以下においては、無極性液体35が、図4に示されるように、リブピクセル内の光の透過面全体に広がることを膨張と称し、図5に示されるように、リブピクセル内の光の透過面の一部分に集まることを収縮と称する。つまり、下部電極32および上部電極37間に印加される電圧が小さくなる、若しくは、ゼロになると無極性液体35は膨張し、逆に、下部電極32および上部電極37間に印加される電圧が大きくなると無極性液体35は収縮する。
さらに、この無極性液体35の量は、後述するようにリブ34の高さによって制御可能であるが、液体デバイス21のリブピクセル内の光の透過面の面積に対して適量であることが望ましく、多すぎても少なすぎても好ましくない。例えば図6に示されるように、無極性液体35の量が少なすぎると、下部電極32および上部電極37間に電源41の電源電圧が印加されていない状態においても無極性液体35が十分に膨張せず、リブピクセル内の光の透過面全体に広がらないので、光の進路に対して無極性液体35の層が存在しない部分が生じてしまう恐れがある。すなわち、光学シャッタを閉じた状態であるにも関わらず、シャッタに隙間が生じ、光が透過してしまう恐れがある。
逆に、例えば図7に示されるように、無極性液体35の量が多すぎると、下部電極32および上部電極37間に電源41により可能な範囲で最大の電圧が印加された状態においても無極性液体35が十分に収縮せず、リブピクセル内の光の透過面の一部に集まらないので、光の進路に対して無極性液体35の層が存在しない部分が全く生じなかったり、光の透過面全体に対して少なすぎたりする恐れがある。すなわち、光学シャッタを開いた状態であるにも関わらず、シャッタが十分に開かずに、光が十分に透過しない恐れがある。
従って、無極性液体35の量は、下部電極32および上部電極37間に電圧が印加されていない状態において、十分に膨張して光の透過率を十分に抑制し、下部電極32および上部電極37間に可能な範囲で最大の電圧が印加された状態において、十分に収縮して光の透過率を十分に高くすることができるような量にすること、すなわち、これらの2状態において、光の透過率の変化量が十分に大きくなるような、例えば図8に示されるような適度な量することが望ましい。
なお、液体デバイス21の応答速度は速い程望ましく、上述した2状態の遷移の速さ(無極性液体35の膨張速度と収縮速度)が速い程望ましい。すなわち、無極性液体35は、上述した2状態において、光の透過率の変化量が十分に大きくなるような範囲内で、低粘度、かつ、その量が少ないほど望ましい。
このような無極性液体35の必要量は、光の透過面の面積、すなわち、リブピクセルの水平面の広さ(以下、ピクセルサイズと称する)に影響し、その他の条件が同一の場合、基本的には、このピクセルサイズが大きいほど、無極性液体35は、より広く膨張する必要があり、多くの量が必要になる。換言すれば、ピクセルサイズが小さい程、無極性液体35の膨張度は少なくて済み、その必要量も少なくなるので、液体デバイス21の応答速度は速くなる。
図9は、ピクセルサイズと応答限界周波数の関係を示すグラフであり、横軸がピクセルサイズ(μm)を示し、縦軸が応答限界周波数(Hz)を示している。なお、応答限界周波数とは、無極性液体35が膨張する際にリブピクセルの底面全体に広がることができうる限界の最大周波数のことである。また、図9においては、下部電極32と上部電極37の間に印加される電圧が20(V)(白四角)の場合と、30(V)(黒三角)の場合とが示されている。
いずれの電圧の場合においても、ピクセルサイズが35(μm)×35(μm)のときよりも、20(μm)×20(μm)のときの方が、応答限界周波数が高くなっている。すなわち、ピクセルサイズが小さいほど、液体デバイス21の応答速度は速くなっている。これは、ピクセルサイズが小さいほど、無極性液体35の膨張時の面積が小さい(すなわち、必要な膨張度が少ない)とともに、無極性液体35の必要な液量も少ないことに起因する。
具体的には、例えば、隔壁に囲まれた光が透過する部分の、光の進路方向に対して垂直な光の透過面の面積(A)と、隔壁の高さ(H)が、以下の条件を満足するようにするのが望ましい。
100μm2≦A≦30000μm2
1μm≦H≦10μm
さらに、以下の条件を満足する方がより好ましい。
400μm2≦A≦1600μm2
2μm≦H≦4μm
このように、ピクセルサイズを小さく形成することにより、液体デバイス21の応答速度を向上させることができる。つまり、液体デバイス21は、十分に小さなピクセルサイズのリブピクセルを有することにより、要求される速度を十分に満たす応答速度を得ることができる。
現状、LCD(Liquid Crystal Display)などTFT(Thin Film Transistor)を用いたデバイスにおいて、1つのピクセルサイズをより小さくさせることは技術的に困難であり、ピクセルサイズが35μm程度まで小さくさせうるとは限らない。そこで、従来の1つのピクセルを分割させ、サブピクセルとして所望のサイズまで小さくさせても同様の効果を期待することができる。
なお、液体デバイス21は、従来の光学シャッタと比較して、偏光フィルタ等が不要なため、光の取り出し効率を格段に向上させることができる。すなわち、液体デバイス21は、より高速に動作し、かつ、光の取り出し効率をより向上させることができる。また、液体デバイス21は、図9に示されるように30V以下の駆動電圧でも動作可能であり、従来の光学シャッタと比較して低電圧で動作することができる。
ところで、この無極性液体35の量は、リブ34の高さ、リブ34の表面に施される紫外線オゾン処理の処理時間、および各部材の素材等により制御される。液体デバイス21の製造方法の詳細については後述するが、リブ34の表面張力を制御するために、リブ34の表面には、無極性液体35が塗布される前に紫外線オゾン処理が施される。この紫外線オゾン処理の処理時間によってリブ34の表面張力が変化するので、無極性液体35の量も制御される。
上述したように、無極性液体35の必要な液量の上限および下限は、ピクセルサイズによって異なり、ピクセルサイズが小さいほど、その上限および下限の値も小さくなる。つまり、ピクセルサイズが小さいほど、リブ34の高さを低くすることができ、さらに、紫外線オゾン処理の処理時間を短くすることができる。すなわち、製造技術(製造装置)や素材が同一の場合、ピクセルサイズが小さいほど、液体デバイス21の製造コストや製造時間を低減させ、容易に製造することができる。
図10は、リブ34の高さやピクセルサイズと、紫外線オゾン処理の推奨される処理時間との関係を示す表である。図10においては、リブ34を超圧膜化学増幅ネガ型レジストであるSU-8、無極性液体35をドデカン、極性液体36を水、絶縁体33をサイトップのAP2を用いて形成した場合の例を示している。
図10に示されるように、例えば、ピクセルサイズが115(μm)×115(μm)の場合、リブの高さは8(μm)以上必要であり、ピクセルサイズが75(μm)×75(μm)の場合、リブの高さは3(μm)以上必要であり、ピクセルサイズが35(μm)×35(μm)の場合、および、ピクセルサイズが21(μm)×21(μm)の場合、リブの高さは2(μm)でも可能になる。また、紫外線オゾン処理の処理時間は、リブ34の高さが高くなるほど長時間行う必要がある。
なお、図示は省略するが、例えば、ピクセルサイズが115(μm)×115(μm)の場合の、リブの高さの上限は20(μm)程度であり、その場合に必要な紫外線オゾン処理の処理時間は、10分程度である。また、ピクセルサイズが75(μm)×75(μm)の場合、および35(μm)×35(μm)の場合の、リブの高さの上限は10(μm)程度であり、その場合に必要な紫外線オゾン処理の処理時間は、7分乃至8分程度である。さらに、例えば、ピクセルサイズが21(μm)×21(μm)の場合の、リブの高さの上限は8(μm)程度である。
以上のように、リブ34の高さの上限及び下限はピクセルサイズが小さいほど低くなるが、その低さにも製造技術上の限界がある。すなわち、液体デバイス21を製造する製造装置が形成し得るリブ34の高さに下限があるので、ピクセルサイズを小さくすることにより、事実上、リブ34の高さの下限を考慮する必要がなくなる。例えば、図10に示される表の場合において、液体デバイス21の製造装置が2(μm)以上の高さのリブ34しか形成することができないとすると、ピクセルサイズが115(μm)×115(μm)の場合やピクセルサイズが75(μm)×75(μm)の場合は、液体デバイス21の設計の際に、リブ34の高さの下限を求め、そのときの推奨されるオゾン処理の処理時間等を求める必要があるが、ピクセルサイズが35(μm)×35(μm)の場合やピクセルサイズが21(μm)×21(μm)の場合は、リブ34の高さの下限は製造装置によって2(μm)に制限されるので、そのような計算が必要なく、容易に液体デバイス21の設計を行うことができる。
すなわち、製造技術(製造装置)や素材が同一の場合、ピクセルサイズを所定の値より小さくすることにより、液体デバイス21の設計を容易に行うことができる。
次にその液体デバイス21の製造について説明する。
図11は、画像表示部13の製造装置の主な構成例を示すブロック図である。
図11において、画像表示部13を製造する製造装置101は、制御部111、製造部112、およびドライブ113を有している。制御部111は、実際に画像表示部13の製造を行う製造部112の動作を制御する処理部であり、製造部112が行う画像表示部13の製造の各工程の動作を制御する、透明電極付き基板作成部131、撥水性薄膜形成部132、ブラックマトリクス形成部133、隔壁形成部134、表面処理部135、着色オイル溶液塗布部136、純水注入部137、余剰オイル除去部138、および封止部139を有する。
また、ドライブ113は、必要に応じて装着された、所定のリムーバブルメディア121に記憶されている、例えば製造部112の制御に関する情報等のような、各種情報を読み出して制御部111に供給する。制御部111は、その情報を用いて製造部112の制御を行うことができる。すなわち、制御部111は、情報を記憶する記憶媒体を有しており、このドライブ113に装着されたリムーバブルメディア121を利用して最新の情報を取得して記憶し、その最新の情報に基づいて製造部112を制御することができる。
図12のフローチャートを参照して、制御部111の各処理部により実行される製造処理の流れの例を説明する。必要に応じて図13乃至図21を参照して説明する。
製造処理が開始されると、制御部111の透明電極付き基板作成部131は、ステップS1において、製造部112を制御し、ガラスやシリコン等の透明の部材を下部基板31とし、その下部基板31にITO膜等の透明電極を下部電極32として形成し、図13に示されるように、透明な、所定のサイズの透明電極付き基板201を作成する。なお、上部基板38および上部電極37も同様に生成されるので、それらの説明については省略する。
透明電極付き基板201が生成されると、撥水性薄膜形成部132は、ステップS2において、製造部112を制御し、図14に示されるように、透明電極付き基板201に、撥水性を有する薄膜202を成膜する。この薄膜202の形成方法は、湿式と乾式の2つに大別される。湿式法としては、例えば、撥水性材料が溶解している溶液を用いる、スピンコート法、ディップコート法、若しくはスクリーン印刷法等があり、乾式法としては、例えば蒸着法がある。このとき、撥水膜の膜厚は100〜1000nm程度が必要となる。駆動特性としては、より薄膜の方が低電圧で動作できるが、実際には電圧印加により、絶縁破壊が発生しやすくなるために、ある程度(例えば、150(nm)程度)の厚みが必要になる。
また、撥水性薄膜形成部132は、必要に応じて、撥水膜表面を改質したり、汎用レジスト剤に界面活性剤を付与し、撥水面へ塗布したりするようにしてもよい。乾式法としては、例えば、紫外線オゾン処理法や酸素プラズマアッシング法等がある。なお、これらの表面処理は、処理しすぎると絶対必要な撥水性まで欠如してしまうため、必要最小量行うのが望ましい。
透明電極付き基板201に、撥水性を有する薄膜202が形成されると、ブラックマトリクス形成部133は、ステップS3において、製造部112を制御して、フォトリソ法を用いて、余分な光が入射しないよいうに、各リブピクセル同士を光学的に区切るブラックマトリクスを形成する。具体的には、ブラックマトリクス形成部133は、製造部112を制御して、スピンコートによるレジスト塗布、露光、現像等を行い、例えば、図15に示されるように、薄膜202上に、黒色顔料若しくは色素を含有したブラックレジストによる隔壁203-1乃至隔壁203-4を、ブラックマトリクスとして形成させる。
図15においては、隔壁203-1乃至隔壁203-4のように4つの隔壁として示されているが、実際には、網目状に形成される。従って、隔壁203-1乃至隔壁203-4は、実際には、互いに繋がり1つの部材として形成される。なお、以下において、これらの隔壁203-1乃至隔壁203-4を互いに区別して説明する必要の無い場合、隔壁203と称する。
一般的にこのブラックマトリクスの材料の膜厚は、1(μm)乃至2(μm)程度が上限となる。そこで隔壁形成部134は、ステップS4において、製造部112を制御し、スピンコートによるレジスト塗布、露光、現像等を行い、例えば図16に示されるように、隔壁203-1乃至隔壁203-4のそれぞれの上に、例えばSU-8のような高アスペクト比で隔壁を形成できるレジスト材料による隔壁204-1乃至隔壁204-4を形成させる。
つまり、この隔壁204-1乃至隔壁204-4も、実際には網目状に形成され、互いに繋がり1つの部材として形成される。以下において、これらの隔壁204-1乃至隔壁204-4を互いに区別して説明する必要の無い場合、隔壁204と称する。
以上のように、ブラックマトリクスである隔壁203の上に、例えばSU-8による隔壁204が形成されることにより、隔壁204の高さが調整される(所望の高さの隔壁が形成される)。なお、隔壁204は、例えば、エポキシ樹脂のレジストを用い、公知のフォトリソグラフィー技術等により作製することもできる。ところで、絶縁体33としてフッ化化合物系素材を用いた場合、レジストは濡れ性の関係によりフッ化化合物膜上からはじかれてしまうが、作製工程を工夫する事でこの問題を回避できる。
なお、隔壁204の高さは、レジストの濃度の設定により制御可能できる。例えば、隔壁204がSU-8を用いて形成される場合、その隔壁204の所望の厚みに応じて、主溶剤であるシクロペンタノンを用いて、予め濃度調整される。
以上のようにして隔壁204が形成されると、表面処理部135は、ステップS5において、例えば、紫外線オゾン処理法や酸素プラズマアッシング法等の乾式の方法を用いて、形成された隔壁203および隔壁204の表面処理を行う。表面処理部135は、例えば図17に示されるように、隔壁203-1乃至隔壁203-4、並びに、隔壁204-1乃至隔壁204-4のそれぞれに対して、表面処理205-1乃至表面処理205-4を施す。なお、表面処理205-1乃至表面処理205-4を互いに区別して説明する必要の無い場合、表面処理205と称する。
以下においては、この表面処理205-1が施された隔壁203-1および隔壁204-1をまとめてリブ206-1と称し、同様に、表面処理205-2が施された隔壁203-2および隔壁204-2をまとめてリブ206-2と称し、表面処理205-3が施された隔壁203-3および隔壁204-3をまとめてリブ206-3と称し、表面処理205-4が施された隔壁203-4および隔壁204-4をまとめてリブ206-4と称する。また、リブ206-1乃至リブ206-4を互いに区別して説明する必要の無い場合、リブ206と称する。
このような表面処理205により、リブ206の極性液体36に対する濡れ性が制御される。
リブの表面処理が終了すると、下部電極32と上部電極37との電極間距離を予め定められた所定の値に保つようにするために、間隙形成材を、透明電極付き基板201の外周部分、すなわち、下部基板31の、下部電極32が配置されている部分の周辺部に散布する。この間隔形成材の素材には、例えば、接着剤にシリカ球を混ぜたものやシール接着剤タイプ等が用いられる。図示は省略するが、この間隔形成材は、通常、リブ206より高くなるように散布される。
リブ206が形成されると、着色オイル溶液塗布部136は、ステップS6において、製造部112を制御して、例えば図18に示されるように、黒色に着色されたオイル溶液(例えば、色素もしくは顔料を含む着色したインク溶液(水と混合しないもの))207を、無極性液体35として、そのオイル溶液207が各リブピクセル内に充填されるように、透明電極付き基板201上に全体的に塗布する。
オイル溶液207が塗布されると、純水注入部137は、ステップS7において、製造部112を制御して、例えば図19に示されるように、着色されたオイル溶液207が被覆された面へ純水208を極性液体36として流し入れる。なお、この純水を注入する際、ディスペンサなどを用いて、純水が透明電極付き基板201の表面方向に対して、広がる速度を一定にする。また、予め純水が満たされた水槽へオイルが被覆された基板を一定速度、一定角度で、入れ込む手法を用いるようにしてもよい。
例えばディスペンサを用いて純水208が注入されると、余剰となった着色オイルの一部が浮遊してしまうので、それを除去する必要がある。余剰オイル除去部138は、ステップS8において、製造部112を制御し、純水208の表面に浮遊する余剰なオイル溶液207を取り除く。
図20は、余剰オイルを除去した後の様子を示す図である。図20に示されるように、純水208が注入され、余剰オイルが除去されると、リブ206-1とリブ206-2の間のリブピクセルには適量のオイル溶液207-1が層を形成し、リブ206-2とリブ206-3の間のリブピクセルには適量のオイル溶液207-2が層を形成し、リブ206-3とリブ206-4の間のリブピクセルには適量のオイル溶液207-3が層を形成する。このように、各リブピクセルには、オイル溶液207の層と純水208の層が形成される。なお、この時、濡れ性の関係から極性液体36と無極性液体35の比重に関わらず、無極性液体35は下側に、極性液体36は上側に層を形成し安定する。
余剰オイルが除去されると、封止部139は、ステップS9において、製造部112を制御して、例えば図21に示されるように、極性液体36の上側から、透明電極付き基板201に対向するように、透明電極付き基板209を、間隙形成材を介して貼り合わせ、貼り合わされたパネル周縁を封止樹脂で封止する。封止樹脂は、例えば、アイオノマー、接着性ポリエチレンなどを用いることができる。
封止が終了すると、製造処理は終了される。
以上のようにして製造装置101は、画面表示部13を製造することができる。
以上に説明した図1の画像表示装置1は、各液体デバイス21における光学シャッタの開閉により、発光光源部11からの光を画像表示面全体に対して部分的に遮断したり、透過させたりし、各液体デバイス21の透過光の有無によって2色のみで表現される所謂2値画像を画像表示面に表示させることができる。例えば、発光光源部11が白色光を出射する場合、画像表示面には、光学シャッタが開かれた状態の液体デバイス21の部分が白色として表現され、光学シャッタが閉じられた状態の液体デバイス21の部分が黒色として表現される2値画像が表示される。
また、画像表示装置1は、各液体デバイス21における光学シャッタの開閉の程度を任意または多段階に制御したり、光学シャッタを開いた状態の長さを任意または多段階に制御したりすることにより、各液体デバイス21の光の透過率を任意または多段階に制御して、各液体デバイス21の透過光の明暗の度合いによって表現される所謂グレースケール画像を画像表示面に表示させることができる。例えば、発光光源部11が白色光を出射する場合、画像表示面には、白色および黒色の他に白色と黒色の中間色である灰色も含むグレースケール画像が表示される。
さらに、画像表示装置1が、例えば赤色、青色、および緑色を用いて表現される所謂カラー画像を画像表示面に表示させることができるようにしてもよい。例えば、図22に示されるように、画像表示部13の各液体デバイス21の無極性液体35の色を赤色、青色、または緑色にすることにより、カラー画像を画像表示面に表示させることができる。
図22は、本発明を適用した液体デバイスを、カラー画像を表示する画像表示装置に適用する場合の、液体デバイスの配置例を示す図であり、図3に対応する図である。つまり、図22の場合、液体デバイス21の並び方は図3と同様であるが、各液体デバイス21の無極性液体35が黒色でなく、赤色、青色、または緑色になされている。例えば、右上左下の斜線模様で示される、液体デバイス21-1の無極性液体35-1、および、液体デバイス21-4の無極性液体35-4は赤色であり、縦線模様で示される液体デバイス21-2の無極性液体35-2は緑色であり、右下左上の斜線模様で示される液体デバイス21-3の無極性液体35-3は青色である。
また、図22において、液体デバイス21-5や液体デバイス21-6のように、上面に「R」の文字で示した液体デバイス21の無極性液体35はいずれも赤色であり、上面に「G」の文字で示した液体デバイス21の無極性液体35はいずれも緑色であり、上面に「B」の文字で示した液体デバイス21の無極性液体35はいずれも青色である。つまり、図22の例の場合、無極性液体35の色が、y方向には互いに同色となり、x方向には「赤」、「緑」、「青」の順で繰り返すように液体デバイス21が並べられている。なお、このようなアレイ状に並べられた液体デバイス21群における各液体デバイス21の無極性液体35の色の並びは、任意であり、例えば、ベイヤ配列のように、図22に示される以外の並び方であってもよい。また、無極性液体35の色数は、2色であってもよいし4色以上であってもよい。
なお、図22の「R」、「G」、および「B」の表記は、説明の便宜上付したものであり、実際の液体デバイス21に印刷される文字ではない。
図22の例に示されるように、液体デバイス21の無極性液体35の色が黒色でなく、赤色、緑色、若しくは青色である場合、つまり、無極性液体35に赤色、緑色、若しくは青色の素材を用いた場合、無極性液体35に赤色、緑色、若しくは青色の染料を溶解させた場合、または、無極性液体35に赤色、緑色、若しくは青色の顔料を混ぜた場合、液体デバイス21は、その無極性液体35の膨張時においても、発光光源部11からの光を透過する。
すなわち、この場合、無極性液体35は透明であり、発光光源部11からの光の内、所定の波長の光、つまり無極性液体35の色と同色の光を透過させることができる。この場合、近隣の液体デバイス21より出射される透過光同士が重なることにより、ユーザには、表示画像が、赤、緑、および青以外の色も含むように見える。
ただし、この場合、液体デバイス21は、発光光源部11からの光の色を変化させるのみであり、遮断することはない。従って、部品点数は、図3の場合と同様であり少ないので製造コストが低減される。
これに対して、図23に示されるようにカラーフィルタを用いて色を再現するようにしてもよい。図23は、その場合の液体デバイス21の構成例を示す図であり、図2に対応する図である。図23の例の場合、液体デイバス21には、上部電極37および上部基板38の間に、赤色、緑色、または青色の光のみを透過させる透明のカラーフィルタ301が設けられている。すなわち、液体デバイス21の透過光は、必ずカラーフィルタ301を透過することになる。
このときの無極性液体35の色は黒色であり、膨張時には光を遮断する。つまり、無極性液体が収縮し、光学シャッタが開いた状態となったとき、発光光源部11より出射された光は、液体デバイス21のリブピクセル内の、無極性液体35の層が存在せず、極性液体36の層のみが存在する部分を透過し、カラーフィルタ301を透過し、液体デバイス21より出射される。従って、液体デバイス21は、無極性液体35が収縮し、光学シャッタが開いた状態のとき、カラーフィルタ301の色の透過光を出射し、無極性液体35が膨張し、光学シャッタが閉じた状態のとき、透過光を遮断する。このような構成とすることにより、色再現性は大幅に向上する。
このような液体デバイス21の配置例を図24に示す。図24に示されるように、この場合も、図22に示される場合と同様に、カラーフィルタ301の色が、y方向には互いに同色となり、x方向には赤色、緑色、青色の順で繰り返すように液体デバイス21が並べられている。
例えば、右上左下の斜線模様で示される、液体デバイス21-1のカラーフィルタ301-1、および、液体デバイス21-4のカラーフィルタ301-4の色は赤色であり、縦線模様で示される液体デバイス21-2のカラーフィルタ301-2の色は緑色であり、右下左上の斜線模様で示される液体デバイス21-3のカラーフィルタ301-3の色は青色である。また、液体デバイス21-5や液体デバイス21-6のように、上面に「R」の文字で示した液体デバイス21のカラーフィルタ301の色はいずれも赤色であり、上面に「G」の文字で示した液体デバイス21のカラーフィルタ301の色はいずれも緑色であり、上面に「B」の文字で示した液体デバイス21のカラーフィルタ301の色はいずれも青色である。また、図24の場合、全ての液体デバイス21の無極性液体35の色は黒色である。
図22の場合と同様に、各液体デバイス21のカラーフィルタ301の色の並びは、任意であり、例えば、ベイヤ配列のように、図24に示される以外の並び方であってもよい。また、カラーフィルタ301の色数は、2色であってもよいし4色以上であってもよい。さらに、図24の「R」、「G」、および「B」の表記は、説明の便宜上付したものであり、実際の液体デバイス21に印刷される文字ではない。
また、図2の場合と同様に、各液体デバイス21の無極性液体35の色は任意であり、無極性液体35が光を透過しないようになされていればよい。
以上においては、画像表示装置が、画像表示部13の背面に発光光源部11を有する透過型のディスプレイであるように説明したが、これ以外にも、例えば反射型のディスプレイであっても良い。
図25は、本発明を適用した反射型の画像表示装置の構成例を示すブロック図である。図25は、図1に対応する図であり、図25に示される画像表示装置401は、図1の画像表示装置1と同様に画像表示部駆動部12および画像表示部13を有しているものの、発光光源部11の代わりに光反射板411を有する。
光反射板411は、反射率の高い金属板等により構成され、液体デバイス21の透過光を反射して、液体デバイス21に返す。なお、光反射板411は、酸化チタン等よりなる、反射した光が空間に対して均一に散乱するように光を反射する白色散乱板により構成されるようにしてもよい。
画像表示装置401の場合、画像表示部13の前面側より入射された入射光が、画像表示部13を透過し、光反射板411に反射され、再度画像表示部13を透過してユーザの目に届く。これにより、ユーザには、画像表示面に画像が表示されるように見える。
つまり、図示は省略するが、画像表示部13を基準として、光反射板411と反対側となる、ユーザが存在する側に光源が設置され、その光源より画像表示部13に向かって光が出射される。なお、この光は、照明光のように人工的なものであっても、太陽光であっても、それらの両方であってもよい。
この場合の液体デバイス21の構造は、図2を参照して説明した場合と基本的に同様である。ただし、この場合、液体デバイス21には、一旦、上部基板38側より光が入射する。画像表示部13に入射された入射光のうち、光学シャッタが開いた状態の液体デバイス21に入射されたものが、液体デバイス21を透過し、光反射板411において反射される。その反射光に対する液体デバイス21の作用は、図1の画像表示装置1の液体デバイス21の場合と同様である。
ただし、この場合、光学シャッタが閉じた状態においては、液体デバイス21の上部基板38側より入射された光は膨張した無極性液体35において遮断されるが、そのときに、無極性液体35による反射光の発生を抑制するようにするのが望ましい。つまり、光学シャッタが閉じた状態の液体デバイス21の位置において画像が黒色表現されるようにするのが望ましく、例えば、無極性液体35の色を黒色のような多くの波長の光を吸収する色にするのが望ましい。
なお、図25に示される画像表示装置401の場合、画像表示部13と光反射板411を一体化して構成し、液体デバイス21を図26や図27に示されるように構成してもよい。
図26に示される例の場合、下部基板31の下側、つまり画像表示部13の背面側に、さらに、白色散乱板421の層が形成されている。この白色散乱板421は、上述したように、反射光が空間に均一に散乱するように光を反射する層であり、酸化チタン等より構成される。つまり、この場合、図26において上側より入射される入射光は、この白色散乱板421によって反射され、再度、図26の上側に向かって出射される。
図27に示される例の場合、透明な下部電極32の代わりに金属等よりなる非透明な下部電極432を用いている。この場合、図27において上側より入射される入射光は、この下部電極432によって反射され、再度、図27の上側に向かって出射される。
図26の例の場合、反射光が綺麗な白色光となるので、図27の場合と比較して、表示される画像の画質が向上するが、逆に、構成が複雑になり製造コストが高いという特徴がある。
なお、このような反射型の画像表示装置401の場合も、液体デバイス21の無極性液体35を非透明の黒色とすることにより、図1を参照して説明した透過型の画像表示装置1の場合と同様に、2値画像やグレースケール画像を表示することができる。
また、図22を参照して説明したように、無極性液体35の色が赤色、緑色、または青色である液体デバイス21を所定のパターンで配置し、画像表示部13がカラー画像を表示することができるようにしてもよい。このとき、無極性液体35を半透明としてもよいし、非透明としても良い。無極性液体35が非透明の場合、液体デバイス21に前面より入射された入射光は、この無極性液体35により反射され、所定の色の光として前面より出射される。つまり、この場合、光を反射させるための、光反射板411や白色散乱板421等の構成を省略することができる。その場合、光学シャッタを閉じるほど、反射光は強くなり、光学シャッタを開くほど、反射光は弱くなる。つまり、画像表示部駆動部12の制御方法が上述した他の例の場合とは逆になる。
また、反射型の画像表示装置401の場合も、透過型の画像表示装置1の場合と同様に、液体デバイス21が、図28および図29に示されるようにカラーフィルタ301を有するようにしてもよい。図28は、カラーフィルタ301と白色散乱板421を有する場合の液体デバイス21の構成例を示しており、図29は、カラーフィルタ301と非透明な下部電極432を有する場合の液体デバイス21の構成例を示している。つまり、図28は、図26に対応し、図26に示される構成にカラーフィルタ301を追加した構成の例を示す図であり、図29は、図27に対応し、図27に示される構成にカラーフィルタ301を追加した構成の例を示す図である。
図28および図29の場合、白色散乱板421または下部電極432において反射された反射光は、カラーフィルタ301を透過して液体デバイス21を透過する。つまり、黒色の無極性液体35が収縮し、光学シャッタが開いた状態の液体デバイス21においては、透過型の画像表示装置1の場合と同様に、カラーフィルタ301の色の光が前面より出射され、黒色の無極性液体35が膨張し、光学シャッタが閉じた状態の液体デバイス21において、透過型の画像表示装置1の場合と同様に、透過光が遮断される。つまり、この場合も、光学シャッタが閉じた状態の液体デバイス21の位置において画像が黒色表現されるようにするのが望ましく、例えば、無極性液体35の色を黒色のような多くの波長の光を吸収する色にするのが望ましい。
以上のように、反射型の画像表示装置は、透過型の画像表示装置の場合と基本的に同様に実現することができ、2値画像、グレースケール画像、またはカラー画像のいずれも表示することができる。
なお、単色の光を発光する発光光源の代わりに、複数色の光を発光するカラー発光光源を用いるようにしてもよい。図30は、その場合の本発明を適用した画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
図30において、画像表示装置501は、図1の画像表示装置1と同様に、画像表示部駆動部12および画像表示部13を有するが、画像表示装置1の発光光源部11の代わりに、発光光源部駆動部510およびカラー発光光源部511を有する。
カラー発光光源部511は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を光源とし、各LEDが発光することにより、画像表示部13に対向する発光面より、赤色、緑色、および青色の光を時分割で順次繰り返し発光する。カラー発光光源部511の発光面全体に渡って、赤色に発光する赤色LED、緑色に発光する緑色LED、および青色に発光する青色LEDがアレイ状に配置されており、各LEDは、発光光源部駆動部510の制御に従って発光する。
発光光源部駆動部510は、入力される画像情報に同期して、カラー発光光源部511の各LEDの発光を制御し、発光面より各色の光を、所定のパターンで順次繰り返し出射させる。
つまり、発光光源部駆動部510の制御に基づいて、カラー発光光源部511の発光面全体より、赤色の光、緑色の光、および青色の光が、所定の時分割パターンで出射される。従って、ある時刻においては発光面全体より赤色の光が出射され、他のある時刻においては発光面全体より緑色の光が出射され、さらに他の時刻においては発光面全体より青色の光が出射される。
カラー発光光源部511の発光面に配置される各LEDは、どのようなものを用いても良く、その大きさ、形状、発光量、および色数等は任意であり、互いに異なるようにしてもよい。また、各色のLEDの配置パターンが互いに異なるようにしても良いし、3色のLEDがベイヤ型配列のように所定の規則的なパターンで配置されても良いし、不規則なパターンで配置されてもよい。つまり、発光面において、LEDの配置位置は任意であるが、例えば、発光量が互いに同一の赤色LED、緑色LED、および青色LEDをそれぞれ、発光面全体に均一に分散して複数配置する等して、結果として、各色の光が発光面全体より均一の光量出射される、すなわち、部分的な光量の偏りが無く、かつ、各色間でも光量の差が無いようにするのが望ましい。
なお、ここでは光源の例としてLEDを用いて説明するが、LEDの代わりに他の光源を用いるようにしてもよい。
3色の時分割パターンおよびその時分割周期の長さは任意であるが、例えば人間の目ではその発光色の変化を確認することができず、各色が混色されて見える程、十分に短いのが望ましい。
つまり、画像表示部13の全液体デバイス21を光学シャッタが開いた状態で固定したときに、画像表示面を見たユーザに、3色の光がともに最大量で均一に混色し、画面全体において均一であり、かつ、時間的変化も無い白色の画像のように見えるのが望ましい。
画像表示部13は、このような3色の光をバックライトとし、画像表示部駆動部12による画像情報に基づいた制御に従って各液体デバイス21で各色の光の透過を制御することにより、3色の混色具合を制御し、カラー画像を画像表示面に表示させる。
この場合、透過光が赤色、緑色、または青色であるので、この場合の液体デバイス21の構成は、図2に示される構成と同様である。つまり、無極性液体35は、黒色の色素を含む液体であるか、黒色の染料が溶解されているか、若しくは、黒色の顔料が混ぜ込まれており、非透明の黒色の液体として構成される。また、カラーフィルタや白色散乱板等も設けられておらず、かつ、下部電極32も透明電極が用いられる。
液体デバイス21は、各色の光の透過を制御することにより3色の混色具合を制御する。つまり、液体デバイス21は、その液体デバイス21より出射される光の色、すなわちユーザに見える色を、時分割で出射される3色のバックライトの各色を混色させることにより作るように駆動する。つまり、1つの液体デバイス21において任意の色を作ることが可能である。なお、この場合の「混色」は、結果として画像を見るユーザに見える色を作ることであり、実際に各色の光を混在させることではない。つまり、詳細については後述するが、各色の光は時間的に分離されている。
各液体デバイス21は、互いに独立して駆動するようにしてもよいし、複数の液体デバイス21をグループ化し、グループ単位で駆動するようにしてもよい。
図31乃至図33を参照して、この混色のための、カラー発光光源部511の点灯パターンと液体デバイス21の駆動パターンの例を説明する。図31乃至図33において、横軸は時系列を示し、縦軸は、輝度を示す。
図31の例の場合、カラー発光光源部511は、標準で周波数30Hzのフレームの1周期、または、周波数60Hzフィールドの1周期をR帯域、G帯域、B帯域、およびその他に4分割し、R帯域において赤色LEDを一定輝度で点灯させ、G帯域において緑色LEDを一定輝度で点灯させ、B帯域において青色LEDを一定輝度で点灯させる。このとき、各色のLEDの点灯時の輝度は互いに等しい。また、少なくともR帯域、G帯域、およびB帯域の長さは互いに等しい。つまり、カラー発光光源部511の発光面からは、R帯域において赤色の光が出射され、G帯域において緑色の光が出射され、B帯域において青色の光が出射されるが、各色の光の光量は互いに等しい。
これに対して、液体デバイス21は、光学シャッタの開き具合をアナログ的に変化させ、透過光の光量、すなわち光の透過量をアナログ的に制御する。画像表示部駆動部12は、電源41の電圧をアナログ的に調整することにより、各液体デバイス21の下部電極32および上部電極37に任意の電圧を印加し、無極性液体35の変化量、つまり収縮または膨張の程度を任意に制御する。これにより、液体デバイス21は、リブピクセル内を透過する光の量をアナログ的に制御することができる。従って、液体デバイス21は、図31に示されるように各色の光の透過量をそれぞれ任意に制御することにより、混色させる各色の光量を任意に制御することができ、任意の色を作ることができる。
なお、その他の帯域において、カラー発光光源部511は、どの色のLEDも発光させない。つまり、バックライトの色は黒色となる。また、その他の帯域において全LEDを点灯させバックライトの色を白色にするようにしてもよい。さらに、一部のLEDのみ点灯させるようにしてもよい。このその他の帯域におけるバックライトの色は、赤色、緑色、青色以外であれば何色でもよい。
なお、このようなその他の帯域を設けずに、フレームまたはフィールドの1周期をR帯域、G帯域、およびB帯域の3帯域に分割するようにしてもよい。ただし、一般的に、このような時分割に発光された各色を混色するフィールドシーケンシャルカラー方式を用いる場合、ユーザが表示画面の右上から左下に視線を動かしたときに、本来の色と変わって見えてしまう色割れが発生し易い。フレームまたはフィールドの1周期を3分割でなく、上述したように4分割することにより、この色割れの発生を低減させることができる。
図31の例においては、液体デバイス21は、光学シャッタの開き具合により、透過光の光量を制御するように説明したが、これ以外にも、光学シャッタの開いている時間を制御することにより、透過光の光量を制御するようにしてもよい。
図32の例の場合、カラー発光光源部511の各色のLEDは、図31の例と同様のパターンで、一定輝度で一定時間ずつ点灯するが、画像表示部13の各液体デバイス21は、図31の例と異なるパターンで動作する。図32の例の場合、液体デバイス21は、光学シャッタを開けている時間をアナログ的に制御する。
つまり、画像表示部駆動部12は、スイッチ部42のオンおよびオフの時間をアナログ的に調整することにより、各液体デバイス21の下部電極32および上部電極37に電圧を印加する時間を任意に制御し、無極性液体35が収縮して安定している状態の時間、若しくは膨張して安定している状態の時間を任意に制御する。つまり、この場合、液体デバイス21は、光学シャッタを開いている状態と閉じている状態の2つの状態でしか安定せず、この安定する2つの状態の時間の長さによって、リブピクセル内の光が透過する時間を制御し、その透過光の光量を制御する。このようにして、液体デバイス21は、図32に示されるように各色の光の透過量をそれぞれ任意に制御することにより、混色させる各色の光量を任意に制御することができ、任意の色を作ることができる。
なお、図31の例と図32の例を組み合わせ、各液体デバイス21が、光学シャッタの開き具合と、その開く時間の両方を制御することにより、各色の透過光の光量を制御して任意の色を作るようにしてももちろんよい。
また、図33に示されるように、カラー発光光源部511の各LEDの点灯時の輝度を変化させるようにしてもよい。
図33の例の場合、R帯域、G帯域、およびB帯域をそれぞれさらに5分割した小帯域を設け、各LEDが、各小帯域において、互いに異なる輝度で点灯するようになされている。図33の例の場合、LEDは、最初の小帯域において最大輝度で点灯し、それ以降の各小帯域において、1つ前の小帯域のときより輝度を小さくして点灯する。つまり、カラー発光光源部511は、R帯域全体において、立ち上がり時に最も明るく徐々に暗くなるように赤色光を発光し、G帯域全体において、立ち上がり時に最も明るく徐々に暗くなるように緑色光を発光し、B帯域全体において、立ち上がり時に最も明るく徐々に暗くなるように青色光を発光し、その他の帯域において全LEDを消灯する。
このようなパターンで発光するカラー発光光源部511に対して、画像表示部13の各液体デバイス21は、小帯域毎に光学シャッタの開閉を制御する。つまり、画像表示部駆動部12は、画像情報に基づいて、スイッチ部42のオンオフを、小帯域毎に制御する。これにより、液体デバイス21は、カラー発光光源部511の発光面より出射された光の透過または遮断を、小帯域毎に制御することができる。上述したように、各小帯域における、カラー発光光源部511の発光面より出射された光の輝度が異なるので、液体デバイス21は、各小帯域の光を選択的に透過させることにより、その色の光量を多段階に制御することができる。
例えば、図33の例の場合、液体デバイスは、R帯域において、1番目の小帯域と4番目の小帯域の光を透過し、G帯域において、2番目の小帯域、4番目の小帯域、および5番目の小帯域の光を透過し、B帯域において、全ての小帯域の光を透過している。R帯域、G帯域、およびB帯域の各色の帯域において透過させた各小帯域の光の量の合計が、その色の光量になるので、液体デバイス21は、光を透過させる小帯域の組み合わせによって、各色の光量を多段階に制御することができる。従って、液体デバイス21は、混色させる各色の光量を多段階に制御することができ、実質的に任意の色を作ることができる。
なお、各色の帯域を分割する小帯域の数は任意である。また、各色の帯域において、輝度が線形的に変化するようにしてもよい。さらに、図31の例のように、液体デバイス21の光学シャッタの開き具合も同時に制御するようにしてもよいし、図32の例のように、液体デバイス21の光学シャッタの開いている時間を任意に制御するようにしてもよい。
以上のように、本発明を適用した液体デバイス21は、多様な方式の画像表示装置に適用することができる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフウェアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、例えば、図11に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア121により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROMや、記憶部に含まれるハードディスクなどで構成される。これらの構成は例えば制御部111に内蔵される。
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数のデバイス(装置)により構成される装置全体を表すものである。
なお、以上において、1つの装置として説明した構成を分割し、複数の装置として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置として説明した構成をまとめて1つの装置として構成されるようにしてもよい。また、各装置の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置の構成の一部を他の装置の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
1 画像表示装置, 11 発光光源部, 12 画像表示部駆動部, 13 画像表示部, 21 液体デバイス, 31 下部基板, 32 下部電極, 33 絶縁体, 34 リブ, 35 無極性液体, 36 極性液体, 37 上部電極, 38 上部基板, 41 電源, 42 スイッチ部, 101 製造装置, 111 制御部, 112 製造部, 113 ドライブ, 121 リムーバブルメディア, 131 透明電極付き基板作成部, 132 撥水性薄膜形成部, 133 ブラックマトリクス形成部, 134 隔壁形成部, 135 表面処理部, 136 着色オイル溶液塗布部, 137 純水注入部, 138 余剰オイル除去部, 139 封止部, 301 カラーフィルタ, 401 画像表示装置, 411 光反射板, 421 白色散乱板, 432 下部電極, 501 画像表示装置, 510 発光光源部駆動部, 511 カラー発光光源部