JP2008170710A - 波長変換装置 - Google Patents

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晋 吉本
Hideki Matsubara
秀樹 松原
Yoshihiro Akaha
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Abstract

【課題】特に高効率の波長変換装置を提供する。
【解決手段】波長変換装置(3c)は、ガリウム、アルミニウム、およびインジウムの少なくともいずれかと窒素とを含みかつ自発分極を有する化合物半導体膜を含み、その化合物半導体膜には自発分極が2次元格子状に周期的に反転させられた分極反転構造(+c、−c)が形成されていて、その分極反転構造は第1の波長の入射光に対して2次元的に擬似位相整合条件を満たしており、化合物半導体膜には2次元フォトニック結晶(h)も形成されていて、そのフォトニック結晶における一つのフォトニックバンド端が第1波長に対応させられていることを特徴としている。
【選択図】図3

Description

本発明は波長変換装置に関し、特にその変換効率の改善に関する。
近年では、位相の整合したコヒーレントな光であるレーザ光が種々の分野において利用されている。ここで、レーザ光は、その利用分野に適した波長を有することが望まれる。例えば、大気環境測定分野、医療分野、バイオ分野などにおいては中赤外波長域内において最適の特定波長を有するレーザ光が望まれている。
他方、緑色レーザ光は、低出力でも明るく感じられて目に安全なレーザ光が得られるので光検査や表示で活用され、またバイオ計測やライフサイエンスへの応用が期待されている。とくに魅力的なのは、緑色域の開拓によって光の3原色(赤、緑、青)の半導体レーザがすべてそろい、フルカラー産業分野が飛躍的に発展することである。21世紀は、スーパーハイビジョン時代となるであろう。高精細な躍動的なフルカラー映像がレーザプロジェクション型薄膜ディスプレイで得られれば、大画面のホームシアターが低コストで実現されよう。また、グラフィックアート分野の進展も促進される。これらの新しい光産業分野の構築には緑色半導体レーザが不可欠である。
しかし、例えばルビーレーザ、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、炭酸ガスレーザなどの光源は特定の波長の光のみを射出可能であって、またチタン・サファイアレーザなどの光源は可変波長であるが650nm〜1100nm付近の波長の光のみを射出可能であり、すべての波長域においてレーザ光を得ることはできない。したがって、レーザ光源から射出された特定波長の光を異なる波長の光に変換し得る波長変換装置が望まれる。
従来では、BBO(ホウ酸バリウム)、LBO(ホウ酸リチュウム)などのホウ酸系結晶を利用した波長変換装置が周知である。このような波長変換装置においては、結晶の複屈折性を利用した位相整合によって波長変換が行われる。しかし、結晶の複屈折性を利用した波長変換装置では、十分な波長変換効率を得ることが困難である。また、結晶の複屈折性はその結晶に固有の性質であって調整することができず、したがって複屈折性を利用した波長変換装置は波長選択性などの自由度が低い。
そこで、高い波長変換効率と高い設計の自由度を実現しようとして、近年では分極を周期的に反転させた分極反転デバイスによるQPM(擬似位相整合)を利用した波長変換装置の開発が進められている。このようなQPM波長変換装置では、適切な周期で自発分極を反転させた構造を作製することによって、従来の複屈折整合を利用する場合に比べて相互作用長が長く取れるので、より高効率な波長変換が可能となる。また、QPM波長変換装置では分極反転周期を任意に設定できるので、その設計の自由度が高い(非特許文献1:宮澤信太郎、栗村直監修、「分極反転デバイスの基礎と応用」、オプトロニクス社)。
近年ではさらに、周期的に屈折率(誘電率)を変化させたフォトニック結晶を波長変換装置に利用することが試みられている。例えば、波長変換装置中で発生したSHG(第2次高調波)のエネルギは、近似的にその群速度に反比例する。フォトニック結晶中では、フォトニックバンド構造におけるバンド端などで非常に小さな光の群速度が実現できるので、高効率の波長変換が可能となる。また、フォトニック結晶における屈折率変化の周期も任意に設定できるので、フォトニック結晶を利用した波長変換装置も設計の自由度が高い(非特許文献2:迫田和彰著、「フォトニック結晶入門」、森北出版)。
宮澤信太郎、栗村直監修、「分極反転デバイスの基礎と応用」、オプトロニクス社 迫田和彰著、「フォトニック結晶入門」、森北出版
QPM波長変換装置では、常に最小の光ビーム形状が維持される場合には、分極反転デバイスの長さの2乗に比例してSHG光の強度が増大する。しかし、実際には光ビームが発散して広がるのでそのエネルギ密度が下がり、1cm程度を超えるデバイス長部分はSHG光の強度増大に対して実質的な効果を有しない。すなわち、QPM波長変換装置の場合でも、波長変換効率の改善には限界がある。
他方、フォトニック結晶では周期的な局所的屈折率差を利用するので、一般には半導体と空気との屈折率差を利用する。この場合、極性としては、半導体の極性と空気の無極性とが利用される。フォトニック結晶による波長変換装置は、フォトニック結晶中の光の低群速度を利用しており、群速度0を実現することができればSHG光の強度が発散する(無限大になる)。しかし、これはエネルギ保存則から実際には実現されず、SHG光の強度は一定の値で飽和する。
以上のような先行技術の状況に鑑み、本発明は、特に高効率の波長変換装置を簡便に提供することを目的としている。
本発明による波長変換装置は、ガリウム、アルミニウム、およびインジウムの少なくともいずれかと窒素とを含みかつ自発分極を有する化合物半導体膜を含み、その化合物半導体膜には自発分極が2次元格子状に周期的に反転させられた分極反転構造が形成されていて、その分極反転構造は第1の波長の入射光に対して2次元的に擬似位相整合条件を満たしており、化合物半導体膜には2次元フォトニック結晶も形成されていて、そのフォトニック結晶における一つのフォトニックバンド端が第1波長に対応させられていることを特徴としている。
なお、分極反転構造の2次元周期方向と2次元フォトニック結晶の2次元周期方向とが一致させられていることが好ましい。また、分極反転構造の2次元周期と2次元フォトニック結晶の2次元周期との各々が正方格子を形成していることが好ましい。
フォトニック結晶は、前述のように周期的な屈折率分布を有する構造を意味し、光の分散関係を変化させることができる。すなわち、フォトニック結晶の構造設計によって、光に対して種々の作用を及ぼすことが可能である。第1波長の入射光がフォトニックバンド端に結合した場合、その群速度が0になり、波長変換効率を顕著に高めることができる(非特許文献2の第134頁参照)。
また、フォトニック結晶に起因して第1波長の入射光から発生した第2の波長の変換光と分極反転構造に起因して第1波長の入射光から発生した第2波長の変換光とは、化合物半導体膜内を同じ方向に進行させることができる。
さらに、フォトニック結晶に起因して第1波長の入射光から発生した第2の波長の変換光と分極反転構造に起因して第1波長の入射光から発生した第2波長の変換光とは、もう一つのフォトニックバンド端に結合させて、2次元フォトニック結晶の面に交差する方向に放出させることも可能である(非特許文献2参照)。その場合、化合物半導体膜の面から放出される変換光は面状であって、その全面に渡ってコヒーレントであり得る。
以上のような波長変換装置に対して第1波長の入射光を射出するレーザ光源を組合せることによって、波長変換レーザ装置を提供することができる。
また、以上のような波長変換装置を製造するための方法として、基板上において窒素原子と酸素原子の少なくとも一方および珪素原子を含む珪素化合物膜を形成し、その珪素化合物膜を加工することによって、分極反転構造の2次元格子に対応して複数の珪素化合物膜領域を形成し、それらの基板および複数の珪素化合物膜領域を覆うように化合物半導体膜を結晶成長させ、それによって、分極反転構造を簡便に作製することができる。
以上のような本発明によれば、分極反転構造の波長変換効果とフォトニック結晶の群速度低減効果・波長変換効果との重畳によって、従来では得られなかった高効率の波長変換装置を簡便に提供することができる。
前述のように、擬似位相整合は、物質中において入射光から発生した例えば第2次高調波を取り出す方法として利用され得る。一般に、物質に光が入射したとき、その物質内には分極が発生する。この場合の分極は入射光の周波数の整数倍の周波数を有しており、それらの周波数を有する光が再放出される。光が入射した物質が均一等方性である場合、その物質中の各点で発生した高調波は、それらの位相がランダムであって互いに打消しあうので、外部に取り出すことができない。
しかし、物質の分極方向を空間的に制御することによって、その物質中の各点で発生した高調波の位相を擬似的に揃えることができ、その物質から外部へ高調波を取り出すことが可能となる。例えば、そのような分極方向の空間的制御として分極反転を周期的に設けることによって、擬似位相整合による高調波を発生させることができる。ただし、この場合、光の位相は完全には整合せず、互いに打消しあう光成分が残存する。
他方、フォトニック結晶は、前述のように周期的な屈折率分布を有する構造を意味し、光の分散関係を変化させることができる。すなわち、フォトニック結晶の構造設計によって、光に対して種々の作用を及ぼすことが可能である。例えば、ある特定の波長の光に対して、その群速度を0にして定在波を立たせることができる。2次元的な屈折率分布を有する2次元フォトニック結晶の構造設計によって、そのような定在波が立った状態において、その定在波のモードに依存して2次元フォトニック結晶面に平行な方向または交差する方向に光が放出され得る(非特許文献2参照)。2次元フォトニック結晶面に交差する方向に光が放出される場合には面状発光を生じさせることができ、その面状光はその全面において位相の整合したコヒーレント光であり得る。
本発明による波長変換装置においては、(1)入射した光に対して擬似位相整合条件を満たす周期で分極が反転させられている分極反転構造と、(2)入射した光に対して定在波を立たせ得るフォトニック結晶構造とを併有する波長変換構造が作製される。このとき、分極反転構造の周期方向とフォトニック結晶構造の周期方向とは、光波の進行方向において一致するように作製される。
このような波長変換構造によれば、発生した高調波の進行方向に対して分極反転構造が擬似位相整合を満たすとともに、フォトニック結晶内で定在波が立ち得るので(群速度が0になるので)、波長変換効率を顕著に高めることができる。
本発明による他の波長変換装置においては、(1)入射した光に対して擬似位相整合条件を満たす周期で分極が反転させられている分極反転構造と、(2)入射した光に対して擬似位相整合条件を満たすのみならず定在波を立たせ得るフォトニック結晶構造とを併有する波長変換構造が作製される。このとき、分極反転構造の周期方向とフォトニック結晶構造の周期方向とは、光波の進行方向において一致するように作製される。
このような波長変換構造によれば、発生した高調波の進行方向に対して分極反転構造とフォトニック結晶とのいずれもが擬似位相整合を満たすので、その発生した高調波の強度が高められるとともに、そのフォトニック結晶内で定在波が立ち得るので(群速度が0になるので)、波長変換効率を顕著に高めることができる。
図1は、擬似位相整合条件を満たすように周期的に分極反転させられた分極反転構造の一例を模式的平面図で示している。なお、本願の各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表している。ただし、図面の明瞭化と簡略化のために、各図における長さ、幅、厚さなどは適宜に変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。
図1の分極反転構造3aにおいては、互いに分極が反転された微小領域が市松模様状に配列されている。例えば、影付けされた領域+cにおいて図面の奥の方向が正極になるように分極しているとすれば、白抜き領域−cにおいては図面の手前の方向が正極になるように分極している。
図2は、2次元フォトニック結晶の一例を模式的な平面図で示している。この2次元フォトニック結晶3bは、正方格子状に配列された微小孔hを含んでいる。これらの微小孔hの径や配置のピッチは、制御すべき光の波長に応じて設定される。
図3は、前述のような本発明による波長変換構造を模式的な平面図で示している。すなわち、図3の波長変換構造3cにおいては、図1に示されているような分極反転構造3aと図2に示されているような2次元フォトニック結晶3bとが組合されている。
図1に示されているような分極反転構造は、例えば窒化物半導体層を利用して作製することができる。図4から図6までの模式的断面図は、そのような分極反転構造を作製する方法の一例を図解している。
まず、図4では、例えば基板1の上側主面上において図1の市松模様に対応したマスクパターン2が形成される。基板1の例としては、上側主面として結晶学的な(0001)面である+C面を有するGaN基板を利用することができる。また。マスクパターン2の材料としては、酸化珪素、窒化珪素、または酸窒化珪素のように、酸素または窒素の少なくともいずれかを含む珪素化合物を利用することができる。
図5においは、基板1の上面およびマスクパターン2を覆うように、例えばMOCVD(有機金属化学気相堆積)によって例えばGaN層3が結晶成長させられる。このとき、マスクパターン2の開口部2aで露出されているGaN基板1上には、結晶学的な[0001]方向である+c軸方向ヘGaN層の厚さが増大するように+c領域がエピタキシャルに結晶成長する。
他方、酸素または窒素の少なくともいずれかを含む珪素化合物からなるマスクパターン2上では、結晶学的な[000−1]方向である−c軸方向ヘGaN層3の厚さが増大するように−c領域がエピタキシャルに結晶成長する。このようなGaN層3の結晶成長は、例えば特開2003−183100号公報に開示されており、特にその段落[0359]を参照されたい。
以上のようなGaN層3の厚さ方向への結晶成長において、−c軸方向への成長速度は+c軸方向ヘの成長速度に比べて遅くなる。したがって、図5の断面図において示されているように、結晶成長完了後のGaN層3において、−c領域は+c領域に比べて小さな厚さを有している。
そこで、図6の模式的な断面図に示されているように、結晶成長完了後のGaN層3の表面がラッピング研磨などによって平坦化されて、分極反転構造3aが作製される。この場合、GaN層3aにおいては、c軸方向に沿ってN原子面とGa原子面とが交互に現れる。そして、+c領域では最上表面がGa原子面となって現れる+C面となっており、逆に−c領域では最上表面がN原子面となって現れる−C面となっている。ここで、Ga原子とN原子とはそれらの電気陰性度が大きく異なるのでc軸方向において分極し、+c領域と−c領域とでは互いに逆方向に分極することになる。そして、これによって、図1に示されているような分極反転構造3aが形成され得る。
なお、+c領域と−c領域とは、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で表面エッチングすることによって簡便に識別することができる。すなわち、N原子面が表面に現れている−c領域ではアルカリ水溶液によってその表面がエッチングされるが、Ga原子面が表面に現れている+c領域ではアルカリ水溶液によってその表面がほとんどエッチングされない。
図7と図8は、図6で得られた分極反転構造3a上において図2に示されているような2次元フォトニック結晶構造を形成し、それによって図3に示されているような波長変換構造を作製する方法の一例を図解している。
図7において、分極反転構造3a上にレジスト層4がコートされる。このレジスト層は例えば電子ビームフォトリソグラフィなどによってパターニングされ、複数の開口4aが形成される。このレジストパターン4における開口4aの位置は、図2に示された微小孔hの位置に対応している。
図8においては、レジストパターン4をマスクとして、例えばドライエッチングによって開口4aに対応した複数の微小孔hが形成される。その後、レジストパターン4が除去される。こうして、図3に示されているような本発明による波長変換構造3cが作製され得る。
なお、以上の説明ではGaN層を利用した波長変換構造が説明されたが、GaN層中のGa原子の一部がIn原子またはAl原子で置換されてもよい。窒化ガリウム層の気相成長のための原料としては、例えばトリメチルガリウムおよびアンモニアを利用することができる。また、窒化ガリウム層中にInおよびAlを含めるためには、それぞれ例えばトリメチルインジュウムおよびトリメチルアルミニウムを利用することができる。
窒化ガリウム系化合物半導体は高調波発生の大きさを表す非線形光学定数が一般的に大きく、また上述のように分極反転構造とフォトニック結晶構造の作製の容易さに鑑みれば、窒化ガリウム系半導体層を利用して高い変換効率の波長変換装置を簡便に得ることが可能である。
なお、図3の実施形態では市松模様状の分極反転パターンと正方格子状の2次元フォトニック結晶が例示されたが、正三角形を最密に敷き詰めた分極反転パターンと三角格子状の2次元フォトニック結晶などのように他の幾何学的配置であってもよいことは言うまでもない。
本発明の実施例として、図3の模式的平面図および図8の模式的断面図に相当する波長変換構造が作製された。
まず、図4に示されているように、窒化ガリウム基板1上において、プラズマ化学気相成長法(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)とマスクを用いて、5.8μm四辺の市松模様状の2次元分極反転構造パターンに対応してSiO2膜パターン2が形成された。
SiO2膜パターン2を有するGaN基板1は、MOVPE(有機金属気相成長)装置内に導入されて、H2とNH3を含む雰囲気中で温度1100℃にて熱クリーニングされた。その後、図5に示されているように、基板温度1150℃にてGaN層3が1μmの厚さに結晶成長させられた。
そして、図5に示されているように−c領域と+c領域とに対応した凹凸表面を含むGaN層3は、ダイアラッピング研磨によってその表面が平坦化された。なお、このラッピング研磨では、粒径10μmから0.5μmまで段階的に細粒化されたダイヤ砥粒を用いて、数段階の研磨が行われた。これらの研磨後に得られた表面粗さのRMS(2乗平均粗さ)は、10nm未満であった。こうして、図6に示されているように表面が平坦化された分極反転構造3aが作製された。
次に、図6に示されているような分極反転構造3a上に、スピンコータを用いて、電子ビーム露光用レジスト層が一様に塗布された。そして、電子ビーム露光装置内において直径92nmの微小円領域がピッチ218nmの正方格子状に配列されたパターンでレジスト層が露光され、その露光されたレジスト層が現像された。こうして、図7に示されているように、微小円領域の開口4aを含むレジストパターン4が形成された。
その後、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP−RIE:Inductive Coupled Plasma−Reactive Ion Ecthing)装置内においてHIを導入して、レジストパターン4をエッチングマスクとして、深さ100nmの円柱状微小孔hが形成された。それらの微小孔hの形成後にレジストパターン4を除去することによって、図8に示されているような波長変換構造3cが得られた。すなわち、図8における複数の微小孔hは2次元フォトニック結晶を構成している。
このようにして作製しされた図8に示されているような波長変換構造3c中の2次元フォトニック結晶の2次元面に平行にYAG:Ndレーザ光(波長1064nm)を入射させたところ、+c領域と−c領域とによる分極反転構造の作用ともあいまって、波長変換構造3cの上面の全領域から波長532nmの面状レーザ光が十分な強度で放射されることを確認することができた。
なお、上述の実施例では窒化物系半導体層がMOVPEで成長させられる例が説明されたが、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシ)、昇華法などによって成長させることもできる。また、珪素化合物からなるマスク層の堆積にはPECVDを利用した例が説明されたが、電子ビーム蒸着法、抵抗加熱蒸着法、高周波加熱蒸着法などを利用することもできる。
以上のように、本発明によれば、分極反転構造とフォトニック結晶とのそれぞれの波長変換効果の重畳によって、従来では得られなかった高効率の波長変換装置を提供することができる。
分極反転構造の一例を示す模式的平面図である。 2次元フォトニック結晶構造の一例を示す模式的平面図である。 本発明による波長変換構造の一例を示す模式的平面図である。 図1に示されているような分極反転構造の作製方法の一例を図解する模式的断面図である。 図4に続く工程を図解する模式的断面図である。 図5に続く工程を図解する模式的断面図である。 図6に示された分極反転構造上に2次元フォトニック結晶構造を作製する方法の一例を図解する模式的断面図である。 図7に続く工程を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 GaN基板、2 酸化珪素膜、2a 開口部、3 エピタキシャルGaN層、3a 分極反転構造、3b 2次元フォトニック結晶構造、3c 本発明による波長変換構造、+c [0001]軸方向結晶成長領域、−c [000−1]軸方向結晶成長領域、h フォトニック結晶構造を構成する孔、4 エッチングマスク、4a 開口部。

Claims (8)

  1. ガリウム、アルミニウム、およびインジウムの少なくともいずれかと窒素とを含みかつ自発分極を有する化合物半導体膜を含み、
    前記化合物半導体膜にはその自発分極が2次元格子状に周期的に反転させられた分極反転構造が形成されていて、その分極反転構造は第1の波長の入射光に対して2次元的に擬似位相整合条件を満たし、
    前記化合物半導体膜には2次元フォトニック結晶も形成されていて、そのフォトニック結晶における一つのフォトニックバンド端が前記第1波長に対応させられていることを特徴とする波長変換装置。
  2. 前記分極反転構造の2次元周期方向と前記2次元フォトニック結晶の2次元周期方向とが一致させられていることを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
  3. 前記分極反転構造の2次元周期と前記2次元フォトニック結晶の2次元周期との各々が正方格子を形成していることを特徴とする請求項2に記載の波長変換装置。
  4. 前記フォトニック結晶に起因して前記第1波長の入射光から発生した第2の波長の変換光と前記分極反転構造に起因して前記第1波長の入射光から発生した前記第2波長の変換光とが、前記化合物半導体膜内を同じ方向に進行することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の波長変換装置。
  5. 前記フォトニック結晶に起因して前記第1波長の入射光から発生した第2の波長の変換光と前記分極反転構造に起因して前記第1波長の入射光から発生した第2波長の変換光とが、もう一つの前記フォトニックバンド端に結合して、前記2次元フォトニック結晶の面に交差する方向に放出されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の波長変換装置。
  6. 前記化合物半導体膜の面から放出される前記変換光が面状であってその全面に渡ってコヒーレントであることを特徴とする請求項5に記載の波長変換装置。
  7. 請求項1から6のいずれかの波長変換装置を含む波長変換レーザ装置であって、前記波長変換装置に対して前記第1波長の入射光を射出するレーザ光源を含むことを特徴とする波長変換レーザ装置。
  8. 請求項1から6のいずれかの波長変換装置を製造するための方法であって、
    基板上において窒素原子と酸素原子の少なくとも一方および珪素原子を含む珪素化合物膜を形成し、
    前記珪素化合物膜を加工することによって、前記分極反転構造の前記2次元格子に対応して複数の珪素化合物膜領域を形成し、
    前記基板および前記複数の珪素化合物膜領域を覆うように前記化合物半導体膜を結晶成長させ、
    それによって、前記分極反転構造が形成されることを特徴とする波長変換装置の製造方法。
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