JP2008170643A - 定着制御装置 - Google Patents

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譲 南條
Kazuhisa Edahiro
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Abstract

【課題】ヒートローラの温度が急激に上昇し検知用サーミスタの周囲温度がこれに追いつかない場合でも、定着ヒータを適切に制御可能な定着制御装置の提供。
【解決手段】定着制御装置1は、検知用サーミスタ4、補償用サーミスタ5、定着ヒータ制御部91a及び補償部91cを含む。検知用サーミスタ4は、定着装置142の近傍に非接触に設けられ、定着装置142の温度を示す検知温度Tsを検知する。補償用サーミスタ5は、検知用サーミスタ4の近傍に設けられ、検知用サーミスタ4の周囲の温度を示す補償温度Tcを検知する。定着ヒータ制御部91aは、検知温度Tsが目標温度となるように定着ヒータ145を制御する。補償部91cは、補償用サーミスタ5が検知した補償温度Tcに基づいて目標温度を補償する。そして、定着ヒータ制御部91aは、検知温度Tsが補償後の目標温度となるように、定着ヒータ145を更に制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、定着制御装置、特に被記録体上のトナーを加熱して定着させる定着装置を制御する定着制御装置に関する。
プリンタや複合機等の画像形成装置としては、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙に転写する転写装置や、内蔵しているヒータを加熱させて転写後のトナー像を定着させるヒートローラ等の定着装置を含むものがある。
更に、このような画像形成装置は、定着装置における定着動作が安全に行われるように、ヒータの加熱度合いを検知し、その検知結果に基づいて定着装置の動作を制御するための定着制御装置を有している。このヒータの加熱度合いを検知する方法としては、周囲の温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタを、ヒータが内蔵されているヒートローラに直接接触させる方法が良く用いられる。しかし、サーミスタがヒートローラの表面に直接接触していると、ヒートローラが回転している場合にはサーミスタはヒートローラの接触部分を摺擦してしまうため、ヒートローラの表面は削れてしまったり傷が生じたりする。すると、ヒートローラの定着性能が低下し、定着装置が用紙にトナー像を定着させた際には縦筋や定着不良等の画像不良が生じてしまう。
そこで、ヒートローラの温度を非接触で検知する検知用サーミスタとこの検知用サーミスタの周囲の温度を検知する補償用サーミスタとからなる構成であって、検知用サーミスタが検知したその時々の温度を補償用サーミスタが検知した温度で随時補償するものが知られている(特許文献1)。また、定着装置の温度を制御する装置であって、非接触式の検知用サーミスタ及び補償用サーミスタを含むサーミスタ用ケーシングがヒートローラを含む定着装置本体ケーシング内部に接合されており、この接合部分、つまり各サーミスタに対しヒートローラの設置方向とは逆側であるサーミスタ用ケーシングの部分には、樹脂等の熱伝導率の低い部材が設けられているものが知られている(特許文献2)。
特開昭60−51872号公報 特開2003−257591号公報
しかし、特許文献1では、定着装置のウォームアップ時のように定着装置のヒータへの通電が開始されヒートローラの温度が低い状態から急激に上昇する際、検知用サーミスタはこれを検知できるが、検知用サーミスタの周囲の温度はこの温度上昇には追いつかず、ヒートローラの急激な温度上昇から遅れて上昇する。そのため、検知用サーミスタが検知したその時々の温度を補償用サーミスタが検知したその時々の温度で随時補償したものと、実際のヒートローラの温度とは異なってしまう。
また、特許文献2では、サーミスタ用ケーシングの接合部分の面積が大きい程、熱伝導率の低い部材の面積も大きくなる。そのため、サーミスタ用ケーシングの内部は、温度が上昇しなくなる等の影響を受けやすくなる。すると、各サーミスタが検知する温度の精度は損なわれてしまう。従って、検知用サーミスタが検知したその時々の温度を補償用サーミスタの検知したその時々の温度で補償しようとしても、補償後の温度と実際のヒートローラの温度との間にはずれが生じてしまう。
このように、補償後の温度と実際のヒートローラの温度との間にずれが生じると、定着ヒータを適切に制御することが困難になってしまう。
そこで、本発明は、例えばヒートローラの温度が急激に上昇した場合に検知用サーミスタの周囲温度がこれに追いつかない現象が生じても、定着ヒータを適切に制御可能な定着制御装置の提供を目的とする。
発明1に係る定着制御装置は、被記録体上のトナーを加熱して定着させる定着装置を制御する定着制御装置であって、第1温度検知素子と、第2温度検知素子と、制御手段と、補正手段とを備える。第1温度検知素子は、定着装置の近傍に非接触に設けられ、定着装置の温度を示す第1温度を検知する。第2温度検知素子は、第1温度検知素子の近傍に設けられ、第1温度検知素子の周囲の温度を示す第2温度を検知する。制御手段は、第1温度が目標温度となるように、定着装置を制御する。補償手段は、第2温度検知素子が検知した第2温度に基づいて、目標温度を補償する。そして、制御手段は、第1温度が補償手段により補償された目標温度となるように、定着装置を更に制御する。
定着装置には、例えば定着ヒータを内蔵した定着ローラ等が含まれる。この定着制御装置は、例えば定着装置が駆動を開始する時の目標温度をその時々の第2温度に基づいて補償し、第1温度がこの目標温度となるように定着装置を制御する。これにより、定着装置の温度は急激に上昇したが第1温度検知素子の周囲温度(即ち第2温度)がこの温度上昇に追いつかないために、第1温度検知素子の検知する第1温度と実際の定着装置の温度とにずれが生じてしまう場合であっても、定着制御装置は、この影響を受けることなく定着装置を適切に制御することができる。
発明2に係る定着制御装置は、発明1に係る定着制御装置であって、補償手段は、第2温度検知素子が検知した第2温度が低い程目標温度を補償する補償量を大きくする。
第2温度が低い場合としては、例えば、定着装置がオフしている状態からオンとなり、第1温度が急激に上昇し、第1温度と第2温度との差が大きくなる場合等が挙げられる。このような場合、設定されている目標温度は、定着装置の周りの温度に対して比較的高い温度である場合が生じてしまう。そこで、この定着制御装置は、第2温度が低い程目標温度を補償する量を大きくする。即ち、定着制御装置は、定着装置の周囲温度に応じて目標温度を設定しなおす。これにより、定着制御装置は、その時々の第1温度検出素子の周囲温度に応じて、目標温度を適切に補償することができる。
発明3に係る定着制御装置は、発明1または2に係る定着制御装置であって、目標温度は、定着装置の駆動を開始させるための駆動開始温度を含む。
これにより、定着装置の温度は急激に上昇したが第1温度検出素子の周囲温度がこれに追いつかない場合であっても、定着制御装置は、定着装置が駆動を開始する時の駆動開始温度をより適切に補償することができる。
発明4に係る定着制御装置は、発明3に係る定着制御装置であって、制御手段は、第1温度が補償後の駆動開始温度となった場合、定着装置が駆動を開始するように、定着装置を更に制御する。
例えば定着装置内に備えられた定着ヒータの発熱等により、定着装置が回転駆動しながら定着装置の温度が上昇すると、熱が定着装置周囲に発散されてしまうため、定着装置に圧接され定着装置の回転に伴い従動して回転する従動ローラ等には定着装置からの熱が伝わりにくくなってしまう。そこで、この定着制御装置は、定着装置が補償後の駆動開始温度に達すると、定着装置の回転駆動を開始させる。これにより、定着装置の熱が従動ローラに早く伝わりやすくなる。
発明5に係る定着制御装置は、発明1〜4のいずれかにおける定着制御装置であって、目標温度は、定着装置が定着動作を開始可能となる定着開始可能温度を更に含む。
これにより、定着装置の温度は急激に上昇したが第1温度検出素子の周囲温度(即ち第2温度)がこれに追いつかない場合であっても、定着制御装置は、定着動作が可能となる時の定着装置の定着開始可能温度をより適切に補償することができる。
発明6に係る定着制御装置は、発明1〜5のいずれかに係る定着制御装置であって、制御手段は、第2温度検知素子が第2温度の検知を開始してから所定時間が経過するまで定着装置の制御を行う。
例えば、第1温度検知素子及び第2温度検知素子が1つの筐体内に設けられているとする。すると、この筐体の熱容量により、第1温度検知素子及び第2温度検知素子は、実際に上昇中の周囲温度をリアルタイムで検知できず、温度検知が遅れる場合がある。特に、定着装置の温度が急激に上昇し、その温度勾配が急峻な場合、これに伴って第1温度検知素子の周囲温度である第2温度も変化するが、第2温度検知素子の検知動作はこのような第2温度の変化についていけず、第2温度検知素子が検知したその時々の第2温度と実際の第1温度検知素子の周囲温度との間にずれが生じてしまう。そこで、定着制御装置の制御手段は、第2温度検知素子が第2温度の検知を開始してから所定時間が経過するまでの十分な時間の間、発明1〜5の制御を行う。ここで、所定時間としては、例えば定着装置による加熱動作が開始してから上昇し始める第2温度を第2温度検知素子が検知するまでの時間の2倍から3倍程度である。これにより、第1温度検知素子の周囲温度が急激に変化したため、第2温度検知素子が検知した第2温度と実際の第1温度検知温度の周囲温度との間にずれが生じたとしても、定着制御装置は、定着装置をより適切に制御することができる。
本発明によると、定着装置のウォームアップ時のように、ヒートローラを含む定着装置の温度は急激に上昇したがヒートローラの温度を検出する検知用サーミスタの周囲温度がこれに追いつかない現象が生じても、定着制御装置は、定着ヒータを適切に制御することができる。
<実施形態>
(1)画像形成装置の構成
図1は、本実施形態に係る定着制御装置が採用された画像形成装置101の外観図である。この画像形成装置101は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置及びスキャナ装置としての機能を併せ持つ複合機の機種である。図1の画像形成装置101は、原稿カバー103、本体部104、操作パネル105、給紙カセット106及び排出トレイ107を含む。
原稿カバー103は、原稿カバー103と対向する本体部104の部分に設けられた原稿載置台102に載置された原稿を押さえるためのものであって、原稿載置台102に対し開閉自在に本体部104に装着されている。
本体部104は、図1、図2及び図4に示すように、原稿載置台102に載置された原稿を読み取る原稿読み取り部(図示せず)や、画像データに基づいてトナー像を形成する画像形成部141、トナー像を用紙に転写する転写装置(図示せず)、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着装置142、定着装置142を駆動するための定着駆動部146、及び定着装置142を制御するための定着制御装置1等を含む。尚、定着制御装置1については後述する。
ここで、定着装置142について簡単に説明する。定着装置142は、図2に示すように、ヒートローラ143と加圧ローラ144とを含む。ヒートローラ143は、加熱源としての定着ヒータ145を内蔵しており、例えばモータ等からなる定着駆動部146により駆動を制御される。ヒートローラ143は、芯金が例えばアルミニウムよりも熱伝導率の低い鉄で形成され、表面はテフロン(登録商標)やPFA樹脂等で覆われている。加圧ローラ144は、例えばシリコンゴムで形成され、ヒートローラ143に圧接されており、ヒートローラ143に従動して回転する。
操作パネル105は、図1に示すように、本体部104において原稿載置台102の手前側部分に設けられ、操作キー及びタッチパネルを有している。操作キーには、印刷開始を指示するためのスタートキーや各種設定のための設定キーが含まれる。タッチパネルは、液晶ディスプレイで構成されており、ユーザは、このタッチパネルを介して各種設定を行うことができる。
給紙カセット106は、用紙を収納可能であって、本体部104の下部に3段設けられている。
排出トレイ107は、画像形成装置101の側面に側方に突出して設けられた板状部材であって、本体部104内の画像形成部141、転写装置及び定着装置142により画像が形成された用紙が積載される。
(2)定着制御装置の構成
次いで、定着制御装置1の構成について説明する。定着制御装置1は、図2に示すように、温度センサ2、温度検知回路7、A/D変換部8及び制御部9(制御手段及び補償手段に相当)を含む。
温度センサ2は、定着装置142のヒートローラ143近傍に配置された取り付け板6に取り付けられており、ヒートローラ143に非接触に設けられている。温度センサ2は、ヒートローラ143の温度を検知するためのものであって、赤外線吸収膜3、周囲の温度に応じて抵抗値が変化する検知用サーミスタ4(第1温度検知素子に相当)及び補償用サーミスタ5(第2温度検知素子に相当)を備えている。尚、赤外線吸収膜3、検知用サーミスタ4及び補償用サーミスタ5は、1つのケーシング2b内に配置されており、取り付け板6は、金属や断熱材等で形成されている。
赤外線吸収膜3は、ヒートローラ143の表面から放射される赤外線を吸収する。検知用サーミスタ4及び補償用サーミスタ5は、互いに所定距離離れており、共に赤外線吸収膜3に対しヒートローラ143の反対側に位置している。
検知用サーミスタ4は、ケーシング2bの一部に形成されている開口部2aを介して定着装置142のヒートローラ143と対向する箇所に位置しており、定着装置142のヒートローラ143の温度を示す検知温度Ts(第1温度に相当)を検知する。より具体的には、検知用サーミスタ4は、赤外線吸収膜3を経てヒートローラ143からの赤外線を受光すると、その受光量に対応する温度及び雰囲気の温度に応じて抵抗値が変化する。
補償用サーミスタ5は、検知用サーミスタ4の近傍に設けられ、検知用サーミスタ4の周囲の温度を示す補償温度Tc(第2温度に相当)を検知する。より具体的には、補償用サーミスタ5は、周囲の温度に応じて抵抗値が変化する。
温度検知回路7は、検知用サーミスタ4及び補償用サーミスタ5の抵抗値に応じて、定着装置142のヒートローラ143の温度に対応する検知電圧Vsを出力すると共に、補償用サーミスタ5の抵抗値に応じて、検知用サーミスタ4の周囲の温度に対応する補償電圧Vcを出力する。より具体的には、温度検知回路7は、図3に示すように、抵抗素子71,72、バッファ73a,73b、及び差動増幅器74を含み、所定の電圧が抵抗素子72及び補償用サーミスタ5により分圧された電圧を、バッファ73aを経て補償電圧VcとしてA/D変換部8に出力する。また、温度検知回路7は、この補償電圧Vcを差動増幅器74に入力させると共に、所定の電圧が抵抗素子71及び検知用サーミスタ4により分圧された電圧をバッファ73bの後段から差動増幅器74に入力させる。そして、温度検知回路7は、これらの入力された電圧の差を所定のゲインだけ増幅させると、検知電圧VsとしてA/D変換部8に出力する。
A/D変換部8は、図2に示すように、入力端子が温度検知回路7に接続され、出力端子が制御部9に接続されている。A/D変換部8は、温度検知回路7から出力された検知電圧Vs及び補償電圧Vcを取り込むと、これをA/D変換して制御部9に出力する。
制御部9は、図4に示すようにCPU91及びメモリ92からなるマイクロコンピュータであって、接続された各機能部の制御を行う。特に、本実施形態に係る制御部9は、補償電圧Vcに基づいて定着装置142を制御する際の目標温度を補償すると共に、検知温度Tsが補償後の目標温度となると定着装置142を制御する。ここで、目標温度には、ヒートローラ143を駆動開始させる時の駆動開始温度T1や、定着装置142が定着動作を開始可能となる定着開始可能温度T3が含まれる。更に、制御部9は、検知電圧Vsに対応するヒートローラ143の検知温度Tsが補償後の駆動開始温度T2となった場合はヒートローラ143の駆動を開始させ、検知温度Tsが補償後の定着開始可能温度T3となった場合は画像形成部141による画像形成動作及び定着装置142の定着動作を開始させる。このような動作を行うため、メモリ92は温度変換テーブル92a及び補償量決定テーブル92bを記憶しており、CPU91は定着ヒータ制御部91a、温度変換部91b、補償部91c及び駆動制御部91dとして機能する。
温度変換テーブル92aには、図5に示すように、補償電圧Vcと補償温度Tcとが対応づけて記憶されていると共に、検知電圧Vsと検知温度Tsとが対応づけて記憶されている。尚、図5では、検知温度Vsを具体的な数値の代わりに例えば“V0−40”のように記載している。尚、“V0−40”は、補償温度Tcが0度、検知温度Tsが40度である場合の検知電圧Vsを示す。
補償量決定テーブル92bは、図6に示すように、補償温度Tcの範囲とこのときの駆動開始温度T1及び/または定着開始可能温度T3を補償するための補償量Txとを、1レコードとして記憶している。尚、図6の補償量決定テーブル92bでは、補償温度Tcが低い程補償量Txの絶対値は大きくなっている。この理由を、以下に簡単に記載する。
例えば、長時間オフしていたために冷えている定着ヒータ145がオンし加熱をし始めると、ヒートローラ143の温度は急激に上昇する。ところが、ヒートローラ143の温度を検知する検知用サーミスタ4の周囲の温度、即ち補償温度Tcはこれに追いつかない。言い換えると、補償温度Tcが低いほど、検知用サーミスタ4の周囲の温度はヒートローラ143の急激な温度上昇に追いついていないことになり、検知温度Tsと補償温度Tcとの間の差異が大きくなる。そこで、本実施形態では、補償温度Tcが低い程補償量Txを大きくすることで、補償温度Tcと検知温度Tsとの差異を小さくする。
定着ヒータ制御部91aは、定着ヒータ145への電源(図示せず)からの電力の印加を制御する。
温度変換部91bは、A/D変換部8から出力されたA/D変換後の検知電圧Vs及び補償電圧Vcを図5の温度変換テーブル92aに当てはめ、検知温度Ts及び補償温度Tcを算出する。
補償部91cは、温度変換部91bにより算出された補償温度Tcを、図6の補償量決定テーブル92bに当てはめて補償量Txを決定し、駆動開始温度T1及び/または定着開始可能温度T3を補償する。例えば、駆動開始温度T1が126℃であって、補償温度Tcが80℃であるとする。この場合、補償部91cは、補償温度Tcが補償量決定テーブル92b中の補償温度Tcの範囲“50≦Tc<100”に該当するとして、補償量Txを“−5℃”と決定する。そして、補償部91cは、駆動開始温度T1の“126℃”に補償量Txの“−5℃”を加算し、駆動開始温度T2を“121℃”に変更する。
駆動制御部91dは、検知温度Tsに応じて定着駆動部146及び画像形成部141を制御する。具体的には、駆動制御部91dは、検知温度Tsが補償後の駆動開始温度T2となった場合、ヒートローラ143の駆動を開始させるように定着駆動部146を制御する。また、駆動制御部91dは、検知温度Tsが補償後の定着開始可能温度T4となると、画像形成処理が開始されるように画像形成部141を制御する。
尚、本実施形態では、制御部9の各機能部により行われる上述した動作は、補償用サーミスタ5が補償温度Tcの検知を開始してから所定時間が経過するまでの十分な時間の間行われるとする。以下に、この理由について説明する。
定着ヒータ145の加熱動作により、ヒートローラ143の温度や検知用サーミスタ4の周囲温度は上昇する。しかし、通常、温度センサ2のケーシング2bは所定の熱容量を有しているため、検知用サーミスタ4及び補償用サーミスタ5は、実際に上昇中であるその時々の温度をリアルタイムに検知することができず、検知した各温度Ts,Tcが実際の温度と異なる場合がある。より具体的には、ヒートローラ143の温度が急激に上昇した場合、これに伴って検知用サーミスタ4の周囲温度も変化するが、補償用サーミスタ5の検知動作はこのような検知用サーミスタ4の周囲温度の変化についていけず、補償用サーミスタ5が検知したその時々の補償温度Tcと実際の検知用サーミスタ4の周囲温度との間にずれが生じてしまう。そこで、駆動制御部91dは、補償用サーミスタ5が補償温度Tcの検知を開始してから所定時間が経過するまでの十分な時間の間、制御を行う。これにより、検知用サーミスタ4の周囲温度が急激に変化したため補償用サーミスタ5が検知した温度Tcと実際の周囲温度との間にずれが生じたとしても、定着制御装置1は、定着装置142をより適切に制御することができる。
ここで、所定時間について、図9を用いて説明する。図9は、定着ヒータ145が加熱動作を開始してから検知用サーミスタ4の周囲温度(即ち補償温度Tc)がほぼ一定速度で上昇する旨を示すグラフである。図9に示すように、定着ヒータ145が加熱動作を開始してから、上昇し始めた補償温度Tcを補償用サーミスタ5が検知し始めるまでの時間をΔTとする。この場合、所定時間は、時間ΔTの2倍(2ΔT)から3倍(3ΔT)程度であると表すことができる。
(3)定着制御装置の動作
次いで、定着制御装置1の動作を、図7及び図8を用いて説明する。ここで、以下では、定着制御装置1が駆動開始温度T1及び定着開始可能温度T3を補償する場合について記載する。また、図7において、“T1”は補償前の駆動開始温度、“T2”は補償後の駆動開始温度を示す。尚、以下の、制御部9の各機能部による行われる各動作は、既に説明したように、補償用サーミスタ5が補償温度Tcの検知を開始してから所定時間が経過するまでの十分な時間の間行われるとする。
ステップS1:画像形成装置101がオンされると、定着ヒータ制御部91aは定着ヒータ145への電力の印加を開始させる。これにより、ヒートローラ143の周囲温度は、図8に示すように急激に上昇する。すると、温度センサ2の検知用サーミスタ4はヒートローラ143の温度に応じて、また補償用サーミスタ5は検知用サーミスタ4の周囲の温度に応じて、抵抗値がそれぞれ変化する。検知用サーミスタ4及び補償用サーミスタ5の抵抗値に応じて温度検知回路7から出力された検知電圧Vs及び補償電圧Vcは、A/D変換部8でA/D変換され、制御部9の温度変換部91bに入力される。温度変換部91bは、この検知電圧Vs及び補償電圧Vcを温度変換テーブル92aに当てはめて検知温度Ts及び補償温度Tcを算出する。以後、温度変換部91bは、常にA/D変換部8から検知電圧Vsおよび補償電圧Vcを取り込み、検知温度Ts及び補償温度Tcを算出する。
ステップS2〜3:補償部91cは、補償温度Tcを補償量決定テーブル92bに当てはめて補償量Txを求める。補償温度Tcが50℃未満の場合、補償部91cは、補償量Txを“−10”と決定し、駆動開始温度T1にこれを足して補償後の駆動開始温度T2を求める。
ステップS4〜5:補償温度Tcが50℃以上100℃未満の場合、補償部91cは、補償量Txを“−5”と決定し、駆動開始温度T1にこれを足して補償後の駆動開始温度T2を求める。
ステップS6:補償温度TcがステップS2及びS4に該当しない場合、即ち補償温度Tcが100℃以上の場合、補償部91cは、補償量Txを“0”と決定する。そして、補償部91cは、駆動開始温度T1をそのまま補償後の駆動開始温度T2とする。
ステップS7〜8:駆動制御部91dは、図8にも示すように検知温度Tsが補償後の駆動開始温度T2となると、ヒートローラ143が駆動し始めるように定着駆動部146を制御する。尚、検知温度Tsが補償後の駆動開始温度T2となるまでは、ステップS2以降の動作が繰り返される。
ステップS9〜13:補償部91cは、定着開始可能温度T3を、ステップS2〜7と同様の手順で補償を行い、補償後の定着開始可能温度T4を決定する。
ステップS14〜16:駆動制御部91dは、図8にも示すように検知温度Tsが定着開始可能温度T4となり、かつ画像形成指示がなされた場合、画像形成処理が開始されるように、画像形成部141を制御する。これにより、画像形成部141は画像形成を開始し、定着装置142は定着動作を開始する。
(4)効果
定着制御装置1は、ヒートローラ143が駆動を開始する時のヒートローラ143の駆動開始温度T1及び/または定着動作が可能となる定着開始可能温度T3を、補償用サーミスタ5が検知したその時々の補償温度Tcに基づいて補償する。そして、定着制御装置1は、検知温度Tsが補償後の駆動開始温度T1及び/または定着開始可能温度T3となった場合、ヒートローラ143の駆動を開始したり定着動作を開始したりする。これにより、ヒートローラ143の温度は急激に上昇したが検知用サーミスタ4の周囲温度がこの温度上昇に追いつかないために、検知用サーミスタ4の検知する温度と実際のヒートローラ143の温度とにずれが生じてしまう場合であっても、定着制御装置1は、この影響を受けることなくその時々の検知用サーミスタの周囲温度に応じてヒートローラ143を適切に制御することができる。
また、ヒートローラ143を回転駆動させながら定着ヒータ145の温度を上げると、熱が定着装置周囲に発散されてしまうため、加圧ローラ144にヒートローラ143からの熱が伝わりにくくなってしまう。そこで、この定着制御装置1は、ヒートローラ143が補償後の駆動開始温度T2に達するとヒートローラ143の回転駆動を開始させる。これにより、ヒートローラ143の熱が加圧ローラ144に早く伝わりやすくなる。
また、定着制御装置1は、補償用サーミスタ5が補償温度Tcの検知を開始してから所定時間が経過するまでの十分な時間の間、各制御を行う。これにより、検知用サーミスタ4の周囲温度が急激に変化したため補償用サーミスタ5が検知した温度Tcと実際の周囲温度との間にずれが生じたとしても、定着制御装置1は、定着装置142をより適切に制御することができる。
<その他の実施形態>
(A)上記実施形態では、駆動開始温度T1及び定着開始可能温度T3の両方を補償する場合について記載したが、定着制御装置は、駆動開始温度T1または定着開始可能温度T3のいずれか1つを補償してもよい。例えば、画像形成装置101がウォームアップタイムを十分にとれない仕様である場合には、定着制御装置1は、駆動開始温度T1のみか、または駆動開始温度T1と定着開始可能温度T3との両方を補償する。また、画像形成装置101がコピー開始までの時間、いわゆるファーストコピーの時間が十分にとれない仕様である場合には、定着制御装置1は、定着開始可能温度T3のみを補償する。尚、定着開始可能温度T3は、通紙する用紙の種類によっても異なり、例えば用紙が厚手である程高い温度に設定されるとよい。
(B)上記実施形態では、補償量Txがテーブルを用いて決定される場合について記載したが、補償量Txはテーブル以外の方法を用いて決定されてもよい。他の方法としては、例えば演算式を用いた方法が挙げられる。
(C)上記実施形態では、検知温度Ts及び補償温度Tcを検知する方法として、検知用及び補償用のサーミスタ4,5を用いた場合について記載したが、検知温度Ts及び補償温度Tcをそれぞれ検知できるものであれば、サーミスタ以外の素子を用いてもよい。
(D)また、取り付け板6が例えば断熱材で形成されている場合、定着制御装置は、断熱材の各サーミスタへの影響を考慮し、例えば補償量Txを通常より大きくなるように補正を行っても良い。
本発明の定着制御装置は、例えば複写機、プリンタ及びファクシミリ装置の各機種や、これらの機能に更にスキャナ機能を併せ持つ複合機等の画像形成装置が有する定着装置を制御する装置として適用できる。
本実施形態に係る定着制御装置が採用された画像形成装置の外観図。 定着制御装置の構成を模式的に示すと共に、定着制御装置の周囲機器との接続を示した図。 温度検知回路の内部構成を示すと共に、温度検知回路の周囲機器との接続を示した図。 制御部の内部と制御部に接続された周辺機器とを模式的に示すブロック図。 メモリが記憶している温度変換テーブルの概念図。 メモリが記憶している補償量決定テーブルの概念図。 定着制御装置の動作を説明するためのフローチャート。 時間的に変化する定着ヒータの温度を表したグラフ。 時間的に変化する補償温度を表したグラフ。
符号の説明
1 定着制御装置
4 検知用サーミスタ
5 補償用サーミスタ
7 温度検知回路
9 制御部
91a 定着ヒータ制御部
91b 温度変換部
91c 補償部
91d 駆動制御部
92 メモリ
101 画像形成装置
141 画像形成部
142 定着装置
143 ヒートローラ
145 定着ヒータ
146 定着駆動部

Claims (6)

  1. 被記録体上のトナーを加熱して定着させる定着装置を制御する定着制御装置であって、
    前記定着装置の近傍に非接触に設けられ、前記定着装置の温度を示す第1温度を検知する第1温度検知素子と、
    前記第1温度検知素子の近傍に設けられ、前記第1温度検知素子の周囲の温度を示す第2温度を検知する第2温度検知素子と、
    前記第1温度が目標温度となるように、前記定着装置を制御する制御手段と、
    前記第2温度検知素子が検知した前記第2温度に基づいて、前記目標温度を補償する補償手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記第1温度が前記補償手段により補償された前記目標温度となるように、前記定着装置を更に制御する、定着制御装置。
  2. 前記補償手段は、前記第2温度検知素子が検知した前記第2温度が低い程前記目標温度を補償する補償量を大きくする、請求項1に記載の定着制御装置。
  3. 前記目標温度は、前記定着装置の駆動を開始させるための駆動開始温度を含む、請求項1または2に記載の定着制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記第1温度が補償後の駆動開始温度となった場合、前記定着装置が駆動を開始するように、前記定着装置を更に制御する、請求項3に記載の定着制御装置。
  5. 前記目標温度は、前記定着装置が定着動作を開始可能となる定着開始可能温度を更に含む、請求項1〜4のいずれかに記載の定着制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記第2温度検知素子が前記第2温度の検知を開始してから所定時間が経過するまで前記定着装置の制御を行う、請求項1〜5のいずれかに記載の定着制御装置。
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