JP2008169476A - コーティングを形成するためのマイクロ波方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コーティング材料の加熱が、コーティング材料の完全な溶融を引き起こし、コーティングが適用される基体への機械的な結合を可能にするけれども、基体の性質を著しく低下させることがないように基体を過度に過熱しないという、選択的であり十分な過熱であるように、基体の表面にコーティングを形成する方法を提供する。
【解決手段】十分に小さくマイクロ波輻射18に感受性の粉体粒子12を含むコーティング材料10を基体14の表面に適用し、マイクロ波輻射18に曝して、コーティング材料10中の粉体粒子12がマイクロ波輻射18によって結合し、十分に溶融して、基体14表面の上にコーティングを形成する。
【選択図】図1
【解決手段】十分に小さくマイクロ波輻射18に感受性の粉体粒子12を含むコーティング材料10を基体14の表面に適用し、マイクロ波輻射18に曝して、コーティング材料10中の粉体粒子12がマイクロ波輻射18によって結合し、十分に溶融して、基体14表面の上にコーティングを形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、一般的に構成要素の製造、修理およびビルドアップにおける使用のためのプロセスおよび材料を含むコーティング方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、基体へコーティング材料を適用すること、次いでコーティング材料をマイクロ波エネルギーへ曝して、基材およびこの性質に最小の影響しか与えずに基体へコーティング材料を溶融して結合させることによるコーティングの形成方法に関するものである。
ガスタービン環境で作動する構成要素は、稼動中の耐久性を改善するために、環境的、熱的および/または機械的な損傷に抵抗力があるコーティングをしばしば必要とする。また、このコーティングは、構成要素の表面を修理し、寸法的に修復し、またはビルドアップするためにガスタービン構成要素に適用される。ガスタービンの化学的、熱的に敵対する環境において耐久し、付着性を維持することができるコーティング材料を被着させるために様々なコーティング方法が開発されてきた。この例は、熱スプレー、ブレイズスプレーおよび蒸気相方法を含む。熱スプレー方法は、例えば急燃焼フレームスプレー、プラズマアークスプレー、ワイヤアークスプレー、爆発溶射および高速度酸素燃料(HVOF)を含む。これらの方法は、一般的にプラズマアーク、DCアークまたは燃焼ガスを用いて供給原料を加熱しながら、粗くなった基材表面上に粉末または線状の供給原料を推進することを含む。この供給原料は、3000℃を超える温度に達し、その間に供給原料は、少なくとも部分的に溶融し、前記表面に衝突し、次いで冷却され、粗くなった表面へ機械的に接合し、付着性のあるコーティングを形成する。コーティングプロセスの間、基体は、熱源からの加熱およびコーティングからの熱伝導による加熱に曝される。コーティングを形成するために使用されるブレイズ技術は、例えば金属合金粉末を含むか、またはこれから形成されるようなペースト、テープ、焼結プレフォームの使用を含む。これらのそれぞれの場合において、ブレイズ材料は、被覆される表面に適用され、次いで合金を溶融させるに十分な温度まで加熱されるが、その温度はブレイズされる基体の融点以下である。冷却時に前記合金は固化して基体と機械的な結合を形成する。
ブレイジング方法において使用され、熱スプレー方法において典型的に使用される金属合金は、1つまたは複数の融点、例えばホウ素および/または珪素などの融点降下剤を含む結果として修復される基体より低温で溶融する。さもなければ、合金は、コーティング被着プロセスの間に基体の温度がその溶融温度に密接に近づくことができるように、被覆されている基体のベース金属に類似した組成を有している。そのため、基体が、粒成長、初期溶融、再結晶または不都合な相形成の結果として、例えば硬度および疲労寿命などの機械的性質に悪影響を与え得る温度まで加熱され得る危険性が存在する。コーティング材料が、融点低下剤としてホウ素および/またはケイ素を含んでいる場合、これらが耐火金属との反応によって形成するホウ化物およびケイ化物の最小の展延性の結果として、コーティングの機械的および環境的性質が減少され得る。また、ホウ素およびケイ素は、基体中に拡散して、その機械的、環境的性質に悪影響を与える可能性がある。また、熱スプレー法は、かなりの時間、セットアップおよび費用を必要とする高い諸経費のプロセスであるという不利益を有している。
米国特許第6,004,505号公報
米国特許第6,063,333号公報
米国特許第6,183,689号公報
米国特許第6,512,216号公報
本発明は一般に、コーティング材料の加熱が、コーティング材料の完全な溶融を引き起こし、コーティングが適用される基体への機械的な結合を可能にするけれども、基体の性質を著しく低下させることがないように基体を過度に過熱しないという、選択的であり十分な過熱であるように、コーティングプロセスの加熱源がマイクロ波輻射である、基体の表面にコーティングを形成する方法を提供するものである。
本方法は、一般にマイクロ波放射に非常に敏感であるために、十分に小さい粉体粒子を含んでいるコーティング材料を形成することを必要とする。次いでコーティング材料は、基体の表面に適用され、マイクロ波輻射に曝して、コーティング材料内の粉体粒子をマイクロ波照射で結合させ、十分に溶融させて基体の表面にコーティングを形成させる。次いで、マイクロ波照射を中断し、コーティングを冷却、固化させ、基体に機械的に結合させる。
本発明によれば、前記粉体粒子は、主としてマイクロ波を反射し、コーティングされる基体よりもマイクロ波エネルギーの吸収にかなり敏感であるため、十分に小さい。その結果、少なくとも粒子の部分的な溶融が達成され、基体の溶融がほとんどない、または全くなく、基体の表面に機械的に結合するコーティングを形成することができる。たとえ前記粒子が基体と同じ、またはさらに高い融点を有していても、このような結果を得ることができる。最終的にこれらの組成物が、融点降下剤、例えばホウ素および珪素など、基体中に存在するこれらの元素の量を超えて含有していない場合でさえ、少なくとも粒子の部分的溶融を達成することができる。
前記のことから、本発明のプロセスが、基体表面を修理、またはビルドアップし、寸法的に回復したコーティングを形成するか、基体を保護するために役立つ環境的、熱的および/または機械的な耐性のあるコーティングを形成するために使用されるコーティング方法に応用できると評価することができる。加熱がマイクロ波輻射によるものであるため、粉体粒子の加熱速度および溶融は、加熱源に対する位置の代わりにマイクロ波輻射の結合によって影響を受ける。本発明のこの側面は、コーティング材料によって接触される基体表面の加熱以前に粉体粒子が溶融することを可能にする。その結果、これらの非常に異なる環境的および機械的な性質を低下させ得る、コーティングと基体材料の間の相互混合および相互拡散が最小量しか起こらない。
本発明の他の目的および利益は、次の詳細な説明から、さらに良く認識されるはずである。
本発明は、ガスタービンエンジンのための構成要素の加工処理、およびこのような構成要素のコーティングを特に参照しながら説明する。しかしながら、本発明は、議論されたもの以外のさまざまな構成要素および材料への応用を有し、このようなバリエーションは、本発明の範囲内にある。
図1は、基体14の表面に適用され、これに接触している粉体粒子12を含む予備成形されたシート状材料10を図式的に表している。予備成形されたシート状材料10は、テープの形状で示され、この場合において粒子12は、例えばブレイジング技術において使用されるブレイズテープなどの知られた慣例に従って、粒子12を溶融するに必要な温度未満で燃え尽きるバインダー16中に含まれる。代わりにシート状材料10は、一緒に溶融される(塊にされる)粒子12の結果として、一緒に保持されたバインダーなしの予備焼結された形態であってもよい。別の選択肢は、互いに結合されていない(loose)粉体粒子12を使用することであり、この場合においてもバインダー16は再び省略される。基体14は、シート状材料10から形成されたコーティングによって、保護され、修理され、および/またはビルドアップされた構成要素の表面部分を表している。基材14は、様々な材料から形成することができ、これらの著名な例は、ガスタービン構成要素に通常使用される、ニッケル、コバルトおよび鉄ベースの超合金およびチタン合金を含む。
本発明によれば、シート状材料10の粒子12は、以下にさらに詳細に論じられるようにマイクロ波輻射18に曝される結果として、溶融され、コーティングを形成する。粉体粒子12は、さまざまな原料から形成することができ、次の要件、つまり、マイクロ波放射18によって加熱されることが可能である組成を有すること、所望の性質を有する所望のコーティングを形成すること、およびコーティングプロセスの間および基体14の稼働環境の中で被る温度で基体14の材料と相容性があること、によってのみ限定される。マイクロ波輻射を曝された時に加熱可能な材料は、好適な条件の下で絶縁体および導電体を含む。マイクロ波輻射は、変化し得る電界および磁場を有しているので、直接的な電気加熱は、ある種の非金属材料において重要であり得る。しかしながら、金属基体14との相容性のために、本発明によって使用される粒子12は、好ましくは金属であり、主として電気磁気的効果によって加熱される。粒子12が基体14とまったく同じ組成を有しているなら、相容性は保証されるが、粒子12および基体14が所望の機械的または環境的な性質の損失をもたらすだろう高温において、有害な相互拡散を起こしやすい組成を有していない場合も好適な相容性が達成され得る。粒子12は従来のコーティング合金であってもよく、例えばホウ素またはケイ素などの1つまたは複数の融点低下剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。さらに、粒子12はタービン用途に使用されるタイプなどの超合金で形成することができるか、またはベース組成が基体14の組成に類似しているが、基材14と異なる合金成分を含むか、基材14と異なるレベルで含むように変性された合金から形成することができる。粒子12の全てが同じ組成を有する必要はないが、本発明はこのような均一性を許容する。
本発明の好ましい態様によれば、粉体粒子12の少なくともいくらかが、好ましくは全てがマイクロ波輻射18に非常に敏感であり、その結果、マイクロ波輻射18によって優先的に結合し(基体14と比較して)、マイクロ波照射18による粒子12の選択的な加熱および溶融を著しく促進するために十分に小さくなければならない。マイクロ波照射18による結合は、一般に、マイクロ波照射18の磁場によって引き起こされる渦電流を発生させるために金属粒子12が十分に導電性である結果である。非常に細かい粉体サイズの材料について、敏感性の磁気損失要素が、マイクロ波出力および周波数などの因子に依存することは知られている。逆に、与えられたマイクロ波出力および周波数について、マイクロ波と個々の金属または合金との間の相互作用は、通常、従来のマイクロ波条件(約2.45GHzおよび約1から約10kWまでの出力)について、数十マイクロメートルのオーダーの明確な粒子サイズで最適になる。特定の材料についての最適サイズを超える粒子サイズ、または最適サイズに達しない粒子サイズは、マイクロ波輻射で同様に結合しない。その結果、粒子12についての適切で、好ましい最大サイズは、関係している特定の用途、温度および材料に依存する。一般的に、より小さい、およびより大きい粒子サイズも可能であるが、最大の粒子サイズは約150マイクロメートルのオーダーであると考えられる。
粒子12とは対照的に、例えば基体14などのバルク金属はマイクロ波照射を反射する傾向がある。前に注記したように、本発明のこの側面は、基体14と非常に同じ組成を有する合金、ならびに基体14と同じか、より高い融点を有する材料を用いる基体14のコーティングを可能にする。例えば、ニッケルベースの超合金成分は、同じニッケルベースの超合金または別のニッケルベースの合金(換言すれば、ベース金属が基体14のベース金属と同じである合金)を有する材料でコーティングされ得る。この方法において、コーティング材料との相互拡散から生じる基体14の性質の低下は、完全ではないにしても実質的に避けることができる。基体14の融点を越える融点を有する材料から形成された粒子12を溶融する能力という点で、本発明のコーティング方法が、コーティングされる基体の融点より低い融点温度を有するコーティング材料の、従来の使用に限定されないことは、評価されるべきである。
一般に本発明の実施において、規制では典型的に利用可能な周波数(例えば2.45GHzおよび915MHz。前者が好ましいと思われている)を奨励または制限しているが、広範囲のマイクロ波振動数を本発明で使用することができる。しかしながら、他の周波数が技術的に使用可能であることは、理解されるべきである。
図2は、本発明の方法の特別な応用を示すガスタービンエンジンコンプレッサーブレードおよびスプールアセンブリの断面図を示す。当業界でよく知られているように、コンプレッサーブレード20は、ブレード20のダブテイル24が、スプール22のダブテイルスロット26中に受け入れられて、コンプレッサースプール22に組み込まれて示されている。ブレード20およびスプール22のための共通の材料は、チタンおよびこの合金(この特定の例は、Ti−6AI−4Vである)を含む。ダブテイル24およびダブテイルスロット26は、フレッティング疲労損傷が起こり得る範囲まで、エンジン稼動中に摩擦接触している相互の傾斜側壁を有している。この理由のために、ダブテイル24および/またはスロット26の接触面は、一般に摩擦減少合金のコーティング28によって保護されている。チタン合金と共に使用するために、著名な摩擦減少合金は、銅合金、特に重量により、銅約56.3%から約59.8%まで、ニッケル約35.5%から約37.5%まで、インジウム約4.7%から約5.2%まで、および不純物約1%までの組成を有するCuNiIn合金を含む。前述の範囲内で名目の組成を有するCuNiIn合金の溶融温度は、約1150℃である。このタイプのコーティングは、以前はプラズマスプレーによって適用されてきており、これはコーティング28の直ぐ下のダブテイル24またはスロット26の基体領域の著しい加熱をもたらすことがある。しかしながら、コーティング作業の間に、Ti−6AI−4Vの合金は、好ましくはこれらのβ−相変態温度(これは、典型的に約900℃から約1040℃までの範囲内である)未満に保持される。さらに、Ti−6AI−4Vは、例えば銅およびニッケルを含む他の金属と共に脆い金属間化合物を形成し得る。本発明に関しては、CuNiInコーティング28の被着のときの基体14(Ti−6AI−4Vから形成されている)の過剰加熱のこのような可能性ある有害な影響を、前記および図1に表されたコーティング方法を使用することによって避けることができる。
本発明につながる一連の実験において、CuNiInコーティングは、粒子が、重量により、銅約58%、ニッケル約37%およびインジウム約5%の名目の組成を有する、互いに結合していない粉末を使用してTi−6AI−4Vの基体の上に形成された。粒子は、&200/%325%メッシュ(約45から約75マイクロメートルまで)についての粒子サイズを有していた。この粉末を適用する前に、Ti−6AI−4Vの基体表面は、約120のマイクロインチRaの表面粗度を得るために、60メッシュの酸化アルミニウムを使用するグリットブラスティング(grid blasting)によって粗化された。次いで、粗化された表面を水平に向け、粉末を適用し、マイクロ波輻射に曝し、約1900°F、1950°Fおよび2000°F(それぞれ1040℃、1065℃および1090℃)の最高温度を達成し、10分間維持した。図3から8は、結果として得られた、コーティングされた試験片横断面の走査型電子顕微鏡画像であり、コーティングを形成するために溶融されたCuNiIn粒子が、基体表面の最小の溶融で、粗化された基体表面に機械的に結合したことを示す。
本発明は、特定の実施例について説明されたが、他の形態が当業者によって採用され得ることは明白である。したがって本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
Claims (10)
- マイクロ波照射(18)に対し高感受性であるよう十分に小さい粉体粒子(12)を含むコーティング材料(10)を形成することと、
コーティング材料(10)を基体(14、24)の表面へ適用することと、
コーティング材料(10)をマイクロ波照射(18)に曝し、コーティング材料(10)中の粉体粒子(12)をマイクロ波照射(18)で結合させ、十分に溶融させて基体(14、24)の表面上にコーティング(28)を形成することと、
マイクロ波照射(18)を中断し、コーティング(28)を冷却させ、固化させ、基体(14、24)に機械的に結合することと
を含む基体(14、24)の表面上にコーティング(28)を形成する方法。 - コーティング材料(10)が、実質的に粉体粒子(12)からなる互いに結合していない粉体材料(10)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- コーティング材料(10)が、粉体粒子(12)およびバインダーを含む予備成形されたシート状材料(10)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- コーティング材料(10)が、粉体粒子(12)を一緒に焼結した予備成形された焼結体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 粉体粒子(12)が、金属材料から形成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
- 粉体粒子(12)が、CuNiIn合金から形成され、基体(14、24)がチタニウム合金から形成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
- チタニウム合金がTi−6AI−4V合金から形成されていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
- 粉体粒子(12)が、約150マイクロメーターの最大粒子サイズを有することを特徴とする請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
- 基体(14、24)が、ガスタービンエンジン構成要素(20、22)の一部であることを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
- 構成要素(20、22)が、コンプレッサーブレード(20)およびコンプレッサースプール(22)からなる群から選択され、コーティング(28)がエンジン稼動中の摩擦接触を受けるように構成要素(20、22)を取り付ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
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