JP2008169312A - プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

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徹 齋藤
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Abstract

【課題】無色透明または無色透明に近いレンズ基材を有するプラスチックレンズを得る。
【解決手段】下記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料を添加したものを重合硬化することによりレンズ基材を形成する工程を有する。レンズ基材を形成する工程では、重合性組成物に対する油溶染料の添加量Aが下記式(a)の条件を満たす。
0.2ppm≦A≦10ppm・・・(a)
【化13】
Figure 2008169312

【選択図】図1

Description

本発明は、矯正用レンズ、サングラスレンズ、ファッションレンズ、フォトクロミックレンズ、カメラ用レンズ、光学装置用レンズなどに用いられるプラスチックレンズの製造方法に関するものである。
無機ガラスからなるレンズ基材に代わるものとして、種々のプラスチックレンズ基材が研究されている。プラスチックレンズ基材は、軽量で耐衝撃性に優れ、かつ、染色性に優れるため、例えば、眼鏡レンズなどのレンズ基材として好適である。眼鏡レンズなどのレンズ基材には、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)が幅広く用いられている。しかしながら、レンズ基材を薄型化、軽量化する上で、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートよりも高屈折率の樹脂が求められている。例えば、特許文献1〜3には、屈折率(nd)が1.7を超える高屈折率の樹脂が提案されている。
特開2006−83313号公報 特開2006−169190号公報 特開2006−182908号公報
眼鏡レンズなどの分野においては、レンズ基材を形成するために、無色透明な樹脂が求められる。しかしながら、特許文献1〜3に記載されている樹脂は、いずれも、透明ではあるが、黄色みを持つ(黄色く着色している)。このため、特許文献1〜3に記載されている樹脂を用いてレンズ基材を形成すると、レンズ基材が黄色みをおびてしまう。
また、眼鏡レンズなどの分野においては、レンズに紫外線吸収機能を持たせることが主流となりつつある。レンズに紫外線吸収機能を持たせるための方法の1つとしては、樹脂の原料となる重合性組成物に紫外線吸収剤を含有させ、380〜400nmの光線透過率を低減させること(好ましくはほぼ0%にすること)が挙げられる。しかしながら、紫外線吸収剤自体が若干黄色に着色しているため、レンズに十分な紫外線吸収機能を持たせようとすると、レンズ基材の黄色みがさらに強くなる。
本発明の一態様は、下記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料を添加したものを重合硬化することによりレンズ基材を形成する工程を有し、レンズ基材を形成する工程では、重合性組成物に対する油溶染料の添加量Aが下記式(a)の条件を満たす、プラスチックレンズの製造方法である。
0.2ppm≦A≦10ppm・・・(a)
Figure 2008169312
ただし、式(1)中、Mは、Sn原子(スズ原子)、Si原子(ケイ素原子)、Zr原子(ジルコニウム原子)、Ti原子(チタン原子)およびGe原子(ゲルマニウム原子)のいずれかを表す。Yは、下記式(1−1)、(1−2)および(1−3)のいずれかを表
す。Rは、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。Xは、S(S原子、硫黄原子)またはO(O原子、酸素原子)を表す。nは、0〜4の整数を表す。
Figure 2008169312
Figure 2008169312
Figure 2008169312
このプラスチックレンズの製造方法によれば、上記一般式(1)で表される原料モノマー(高屈折率光学材料用の有機金属化合物モノマー)を含有する重合性組成物を重合硬化させてレンズ基材を形成するため、屈折率(nd)が1.7を超えるような高屈折率のレンズ基材を得ることができる。
本発明者らは、さらに、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に、少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料を上記式(a)の条件を満たすように添加し、その後、重合硬化を行うことにより、黄色化しやすい(黄色く着色しやすい)プラスチックレンズのレンズ基材(上記一般式(1)で表される原料モノマーを重合硬化させて得られるプラスチックレンズのレンズ基材)を、無色透明または無色透明に近づけることができることを見いだした。
すなわち、このプラスチックレンズの製造方法によれば、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に、少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料を上記式(a)の条件を満たすように添加しているため、形成されるレンズ基材の黄色みが改善され、無色透明または無色透明に近いレンズ基材を得ることができる。重合性組成物に対する油溶染料の添加量Aが0.2ppm未満であると、レンズ基材の黄色みの改善効果が得られ難い。また、重合性組成物に対する油溶染料の添加量Aが10ppmを超えると、油溶染料自身の着色が強くなり過ぎてしまい、レンズ基材が青色もしくは他の色調が強くなり、着色したレンズになってしまう。さらに、アントラキノン系油溶染料を上記式(a)の条件を満たすように添加して、下記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物を重合硬化させても、形成されるレンズ基材はほとんど濁らない。
また、このプラスチックレンズの製造方法において、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に添加される、少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料としては、1種(単体)のアントラキノン系の油溶染料を用いてもよく、また、複数種(複数色)のアントラキノン系の油溶染料を含むものを用いてもよい。複数色のアントラキノン系の油溶染料を用いる場合、これらをあらかじめ混合しておいてもよく、また、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に個別に添加してもよい。
このプラスチックレンズの製造方法において、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に添加される少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料としては、いわゆるブルーイング剤として用いられているような青色染料よりも、赤紫染料、例えば、C.I.ソルベント バイオレット 14に相当するような赤紫染料を用いること
が好ましい。すなわち、少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料として、色みが青色のもの(単体で色みが青色のもの、もしくは、複数を混合した状態で色みが青色のもの)を用いた場合、レンズ基材が緑色に着色される場合がある。これに対し、少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料として、色みが赤紫色のもの(単体で色みが赤紫色のもの、もしくは、複数を混合した状態で色みが赤紫色のもの)を用いた場合、色みが青色のものを用いた場合と比べて、濃い黄色みに対しても、その黄色みを改善し、レンズ基材を無色透明に近づける効果が高い。
上記油溶染料として、1種類のアントラキノン系の油溶染料を用いる場合、その染料の色は赤紫色であることが好ましい。また、上記油溶染料として、複数種類のアントラキノン系の油溶染料を用いる場合も、その染料の色(複数のアントラキノン系の油溶染料を混ぜたものの色)は赤紫色であることが好ましい。複数種類のアントラキノン系の油溶染料を用いる場合、例えば、アントラキノン系の青色(ブルー)系の油溶染料と、アントラキノン系の赤色(レッド)系または橙色(オレンジ)系の油溶染料とを併用することにより、微妙な色調を調整し、無色透明または無色透明に近いレンズ基材を得ることができる。
ただし、上記油溶染料として、複数種類のアントラキノン系の油溶染料を用いる場合、1種(単体)のアントラキノン系の油溶染料を用いる場合と比べて、調合誤差によるばらつき(形成されたレンズの色調のばらつき)が増大することになる。したがって、上記油溶染料としては、1種(単体)のアントラキノン系の油溶染料を用いることがさらに好ましい。
このプラスチックレンズの製造方法によれば、上記油溶染料は、C.I.ソルベント バ
イオレット 14に相当する赤紫色の油溶染料を含むことが好ましい。さらに好ましくは
、上記油溶染料としては、C.I.ソルベント バイオレット 14に相当する1種(単体)の油溶染料を用いるとよい。このようにすることにより、高屈折率であって、無色透明または無色透明に非常に近いレンズ基材を有するプラスチックレンズを得ることができる。
また、このプラスチックレンズの製造方法によれば、重合性組成物は、紫外線吸収剤を含有し、紫外線吸収剤の含有率B重量%が下記式(b)の条件を満たすことが好ましい。0.1重量%≦B≦5重量%・・・(b)
重合性組成物に、上記式(a)の条件を満たすように、少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料を添加しているため、重合性組成物が上記式(b)の条件を満たすように比較的多量に紫外線吸収剤を含んでいても、重合性組成物を重合硬化してなる樹脂に起因する黄色み、および紫外線吸収剤に起因する黄色みを抑制し、無色透明または無色透明に近いレンズ基材を得ることができる。したがって、重合性組成物に、上記式(b)の条件を満たすように紫外線吸収剤を含有させることにより、無色透明または無色透明に近い高屈折率を有するレンズ基材であって、しかも、紫外線吸収機能が付加されたレンズ基材を有するプラスチックレンズを得ることができる。
さらに、このプラスチックレンズの製造方法によれば、上記式(1)中のMは、Sn原子を表すことが好ましい。上記式(1)中のMをSn原子とすることにより、上記式(1)中のMを他の金属原子とする場合と比べて、屈折率、比重、および色調のバランスが良好なレンズ基材を得ることができる。
また、このプラスチックレンズの製造方法によれば、上記式(1)中のYは、上記式(1−1)を表すことが好ましい。このようにすることにより、レンズ基材をさらに高屈折率化させ易い。
以下、本発明の一実施形態を説明する。本発明の一実施形態にかかるプラスチックレンズの製造方法は、眼鏡用プラスチックレンズの製造方法であり、その製造工程は、下記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料を添加したものを重合硬化することによりレンズ基材を形成する工程を有する。レンズ基材を形成する工程では、重合性組成物に対する油溶染料の添加量Aが下記式(a)の条件を満たす。
0.2ppm≦A≦10ppm・・・(a)
Figure 2008169312
ただし、式(1)中、Mは、Sn原子(スズ原子)、Si原子(ケイ素原子)、Zr原子(ジルコニウム原子)、Ti原子(チタン原子)およびGe原子(ゲルマニウム原子)のいずれかを表す。Yは、下記式(1−1)、(1−2)および(1−3)のいずれかを表す。Rは、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。Xは、S(S原子、硫黄原子)またはO(O原子、酸素原子)を表す。nは、0〜4の整数を表す。
Figure 2008169312
Figure 2008169312
Figure 2008169312
重合性組成物は、上記一般式(1)で表される少なくとも1種の原料モノマー(重合性化合物、高屈折率光学材料用の有機金属化合物モノマー)を含むものであればよい。重合性組成物に含まれるモノマーとしては、上記一般式(1)で表される原料モノマー1種単独(単体)で用いてもよく、また、上記一般式(1)で表される原料モノマーを複数種類含んだものを用いてもよい。さらに、重合性組成物に含まれるモノマーは、上記一般式(1)で表される少なくとも1種の原料モノマーに加え、上記一般式(1)で表されるモノマー以外の他のモノマーを含んでいてもよい。
また、重合性組成物中に含まれるモノマーの総重量に占める、上記一般式(1)で表される少なくとも1種の原料モノマーの含有量は、特に限定されるものではないが、通常、10重量%以上であり、好ましくは、30重量%以上であり、より好ましくは、50重量%以上であり、さらに好ましくは、70重量%以上である。
上記一般式(1)で表される原料モノマーであって、式(1)中のYが上記式(1−1)で表される原料モノマーとしては、例えば、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)スズ、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ケイ素、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ジルコニウム、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)ゲルマニウム、テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)チタンなどが挙げられる。
上記一般式(1)で表される原料モノマーであって、式(1)中のYが上記式(1−1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物を重合硬化させる際には、重合反応の速度を調整する目的で、必要に応じて重合触媒(反応触媒)を添加してもよい。重合触媒は、特に限定されるものではないが、例えば、アミン化合物、ホスフィン化合物、ルイス酸化合物、ラジカル重合触媒、カチオン重合触媒、無機酸、有機酸およびその誘導体(塩、エステルまたは酸無水物など)、四級アンモニウム塩化合物、四級ホスホニウム塩化合物、三級スルホニウム塩化合物、二級ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物などを用いることができる。
上記一般式(1)で表される原料モノマーであって、式(1)中のYが上記式(1−2)で表される原料モノマーとしては、例えば、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)スズ、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)ジルコニウム、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)ケイ素、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)チタン、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)ゲルマニウム、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルオキシ)スズ、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルオキシ)ジルコニウム、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルオキシ)ケイ素、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルオキシ)チタン、テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルオキシ)ゲルマニウム、トリス(2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)メチルスズ、トリス(2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)ブチルスズ、トリス(2,3−エポキシ−1−プロピルオキシ)フェニルスズ、ビス(2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)ジメチルスズ、テトラキス(2−メチル−2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)スズ、テトラキス(2−メチル−2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)ジルコニウム、テトラキス(2−メチル−2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)ケイ素、テトラキス(2−メチル−2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)チタン、テトラキス(2−メチル−2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)ゲルマニウムなどが挙げられる。
上記一般式(1)で表される原料モノマーであって、式(1)中のYが上記式(1−2)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物を重合硬化させる際には、重合反応の速度を調整する目的で、必要に応じて重合触媒(反応触媒)を添加してもよい。重合触媒は、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ化合物を重合する際に使用される重合触媒を使用することができる。すなわち、重合触媒としては、例えば、フェノール化合物、酸無水物化合物、アミン化合物などを用いることができる。また、重合触媒としては、無機酸、有機酸およびその誘導体(塩、エステルまたは酸無水物など)、アミン化合物、ホスフィン化合物、四級アンモニウム塩化合物、四級ホスホニウム塩化合物、三級スルホニウム塩化合物、二級ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、ルイス酸化合物などを用いることもできる。さらに、重合触媒としては、ラジカル重合触媒やカチオン重合触媒などを用いてもよい。
上記一般式(1)で表される原料モノマーであって、式(1)中のYが上記式(1−3)で表される原料モノマーとしては、例えば、テトラキス(3−オキセタニルチオ)スズ、テトラキス(3−オキセタニルチオ)ジルコニウム、テトラキス(3−オキセタニルチオ)ケイ素、テトラキス(3−オキセタニルチオ)チタン、テトラキス(3−オキセタニルチオ)ゲルマニウム、テトラキス(3−オキセタニルオキシ)スズ、テトラキス(3−オキセタニルオキシ)ジルコニウム、テトラキス(3−オキセタニルオキシ)ケイ素、テトラキス(3−オキセタニルオキシ)チタン、テトラキス(3−オキセタニルオキシ)ゲルマニウム、トリス(3−オキセタニルチオ)メチルスズ、トリス(3−オキセタニルチオ)ブチルスズ、トリス(3−オキセタニルチオ)フェニルスズ、ビス(3−オキセタニルチオ)ジメチルスズ、テトラキス(1−メチル−3−オキセタニルチオ)スズ、テトラ
キス(1−エチル−3−オキセタニルチオ)スズ、テトラキス(1−エチル−3−オキセタニルチオ)ジルコニウム、テトラキス(1−エチル−3−オキセタニルチオ)チタン、トリス(3−オキセタニルチオ)フェニルオキシスズ、トリス(3−オキセタニルチオ)フェニルチオスズ、トリス(3−オキセタニルチオ)フェニルオキシジルコニウム、トリス(2−オキセタニルチオ)フェニルチオジルコニウムなどが挙げられる。
上記一般式(1)で表される原料モノマーであって、式(1)中のYが上記式(1−3)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物を重合硬化させる際には、重合反応の速度を調整する目的で、必要に応じて重合触媒(反応触媒)を添加してもよい。重合触媒は、特に限定されるものではないが、例えば、オキセタン化合物をカチオン重合する際に用いる重合触媒を使用することができる。また、重合触媒としては、例えば、無機酸、有機酸およびその誘導体(塩、エステルまたは酸無水物など)、四級アンモニウム塩化合物、四級ホスホニウム塩化合物、三級スルホニウム塩化合物、二級ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、ルイス酸化合物、あるいは他のカチオン重合触媒などを用いることができる。また、重合触媒としては、ラジカル重合触媒、アミン化合物、ホスフィン化合物などを使用してもよい。
式(1)中のY(1−1)、(1−2)、(1−3)のいずれの場合についても、重合硬化する際の重合触媒の使用量は、重合性組成物の組成、重合条件などによって影響されるため、特に限定されるものではないが、通常は、重合性組成物中に含まれる全モノマー100重量部に対して、0.0001〜10重量部程度であり、好ましくは、0.001〜5重量部であり、より好ましくは、0.005〜3重量部である。重合触媒を複数種類併用しても差し支えない。
原料モノマーを含有する重合性組成物に少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料を添加したものを重合硬化する方法は、特に限定されるものではなく、公知の、プラスチックレンズ基材の製造に用いられている種々の重合方法を用いることができる。
上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に対する少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料の添加量Aは、下記式(a)の条件を満たす。なお、複数種(複数色)のアントラキノン系の油溶染料を用いる場合、添加量Aは、複数種のアントラキノン系の油溶染料のトータルの添加量である。
0.2ppm≦A≦10ppm・・・(a)
添加量Aが0.2ppm未満の場合、プラスチックレンズの黄色みを低減する効果が非常に小さく、油溶染料無添加のプラスチックレンズに対して、あまり優位な差が見られない。また、添加量Aが10ppmを超えると、添加した油溶染料の影響が大きくなりすぎ、プラスチックレンズが染色したカラーレンズのような色調になってしまう。
上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に添加される少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料は、アントラキノンバイオレット系油溶染料、アントラキノンブルー系油溶染料、またはアントラキノンレッド系油溶染料などを含む。アントラキノン系の油溶染料の具体例としては、C.I.ソルベント バイオレット 13、C.I.ソルベント バイオレット 14、C.I.ソルベント ブルー 94、C.I.ソルベント レッド 11、C.I.ソルベント レッド 111、C.I.ソルベント レッ
ド179、C.I.ソルベント オレンジ 60などが挙げられる。本発明における少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料は、上記具体例の中でも、C.I.ソルベント
バイオレット 14を含むことが特に好ましい。上記一般式(1)で表される原料モノマ
ーを含有する重合性組成物に少なくともC.I.ソルベント バイオレット 14に相当する染料を添加することにより、無色透明または無色透明に近いレンズ基材を有するプラス
チックレンズが得られる。
なお、C.I.とは、英国染料染色学会(Society of Dyers and Colourists)編集に
よる染料便覧、カラーインデックス(Colour Index)の略号である。
少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料として、アントラキノン系の油溶染料を1種単独で用いる場合には、C.I.ソルベント バイオレット 14に相当する染料や、C.I.ソルベント ブルー 94に相当する染料を用いることが好ましい。さらに好ましくは、C.I.ソルベント バイオレット 14に相当する染料である。これらを用いることにより、無色透明または無色透明に近いレンズ基材を有するプラスチックレンズが得られる。
ブルー、バイオレット系の油溶染料と同時に、赤、オレンジ系の油溶染料を併用することにより、プラスチックレンズの色調の微調整を行うこともできる。複数種のアントラキノン系の油溶染料の混合物を用いる場合には、例えば、C.I.ソルベント バイオレッ
ト 14に相当する染料とC.I.ソルベント レッド 11に相当する染料との混合物や
、C.I.ソルベント バイオレット 13に相当する染料とC.I.ソルベント レッド 11に相当する染料との混合物を好適に用いることができる。これらを用いることにより、無色透明または無色透明に近いレンズ基材を有するプラスチックレンズが得られる。
また、重合性組成物は、紫外線吸収剤を含有し、紫外線吸収剤の含有量Bが下記式(b)の条件を満たすことが好ましい。
0.1重量%≦B≦5重量%・・・(b)
紫外線吸収剤の含有量Bが0.1重量%未満であると、380〜400nmの光線透過率が高く、紫外線吸収剤を入れないものに対して、あまり優位な差が見られない。また、紫外線吸収剤の含有量Bが5重量%を超えると、製造されたプラスチックレンズ(レンズ基材)の黄色みが強くなりすぎてしまい、油溶染料を添加しても色調を無色透明に近づけることが難しくなる。
紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などの紫外線吸収剤が使用できる。中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、紫外線吸収能力が高く、かつ紫外線吸収剤の中では黄色みが小さいことから好ましい。
また、本発明の一実施形態にかかるプラスチックレンズの製造方法では、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料を添加した重合硬化前の組成物に、必要に応じて、光安定剤または酸化防止剤を混合(添加)し、その後、重合硬化を行って、プラスチックレンズを製造してもよい。このようにすることにより、プラスチックレンズの耐候性を向上させることができる。光安定剤または酸化防止剤の具体例としては、ヒンダートアミン系光安定剤、ヒンダートフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。
さらに、本発明の実施形態にかかるプラスチックレンズの製造方法は、レンズ基材を提供するものに限られない。プラスチックレンズの製造方法は、レンズ表面の傷つき易さを改善するため、レンズ基材の表面にハードコート層を形成する工程を含んでいても良い。ハードコート層を形成することは、レンズ表面に傷がつくことを防止すると共に、後述する反射防止層とレンズ基材との密着性を高めるメリットもある。ハードコート層の好ましい例としては、下記(3)および(4)を主成分とするコーティング組成物を塗布し硬化
させたものが挙げられる。
(3)少なくとも1種の反応基を有する少なくとも1種のシラン化合物
(4)酸化ケイ素、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化アルミニウムなどの金属微粒子、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニア、酸化ケイ素、酸化鉄のうちの少なくともいずれか2種を用いた複合金属微粒子、および酸化スズと酸化タングステンの複合金属微粒子で酸化スズ微粒子を被覆した複合金属微粒子から選ばれる少なくともいずれか1種
(4)の成分は、ハードコート層の屈折率を調整し、かつ、硬度を高めるのに有効な成分であり、単独または混合して用いることができる。しかし、(4)の成分だけでは成膜性があまり好ましくない。(3)の成分を併用することにより、透明で強靭なハードコート層が得られる。(3)の成分は、そのまま使用することも可能であるが、加水分解して使用する方がハードコート層の耐水性や硬度を向上させることができるため、好ましい。ハードコート層の厚さは、通常0.2μm〜10μm程度が好ましく、より好ましくは、1μm〜3μm程度である。
本発明の実施形態にかかるプラスチックレンズの製造方法に、さらに含めることができる工程の1つは、プライマー層を形成することである。レンズ基材とハードコート層との間に、プライマー層を設けてもよい。プライマー層は、レンズ基材とハードコート層との密着性をより向上させたり、形成されたプラスチックレンズの耐衝撃性を向上させる効果がある。
さらに、本発明の実施形態にかかるプラスチックレンズの製造方法は、プラスチックレンズの用途、例えば、矯正用レンズ、ファッションレンズにより、光線透過率を高めたり、表面反射によるちらつきを防止するなど、光学性能をさらに向上させるための工程を含んでいても良い。そのような工程の1つは、レンズ基材の形成後、このレンズ基材に、直に、またはハードコート層等から選ばれる少なくとも1つの層を挟んで、反射防止機能を有する機能層(反射防止層)を形成することである。反射防止層は、反射率を低減させるための層であり、無機物からなる層あるいは無機物を主成分とする層、または、有機物からなる層あるいは有機物を主成分とする層を含み、単層構造または多層構造を含む。
形成されるプラスチックレンズの表面の硬度をさらに高めたり、干渉縞の防止を重視するためには、無機物からなる単層または多層の反射防止層を設けるとよい。無機物からなる単層の反射防止層としては、例えば、レンズ基材、またはハードコート層等よりも低屈折率の無機層が挙げられる。無機物からなる多層を有する反射防止層としては、例えば、屈折率の異なる複数の無機層を積層させたものが挙げられる。使用できる無機物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、フッ化マグネシウムなどの酸化物あるいはフッ化物が挙げられる。無機物からなる単層または多層の反射防止層は、イオンプレーティング、真空蒸着、スパッタリングなどのいわゆるPVD法によって施すことができる。
有機物からなる、あるいは、有機物を主成分とする単層の反射防止層としては、例えば、レンズ基材、またはハードコート層等よりも低屈折率の有機層が挙げられる。有機物を主成分とする単層の反射防止層の具体例としては、例えば、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物からなる成分と、シリカ系微粒子とを含有する、レンズ基材、またはハードコート層等よりも低屈折率の有機層が挙げられる。
1 p2 qSiX1 4-q-p・・・(2)
ただし、上記の一般式(2)中、R1は重合可能な反応基を有する有機基、R2は炭素数1〜6の炭化水素基、X1は加水分解性基であり、pおよびqは、少なくとも一方は1であ
り、他方は0または1である。
以下では、本発明の詳細について、実施例および比較例に基づき説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例および比較例で使用する物質の略称は以下の通りである。
(原料モノマー)
略称 :物質名
Sn−1:テトラキス(2,3−エピチオプロピルチオ)スズ
(上記一般式(1)中のYが上記式(1−1)で表される原料モノマーの一例である。)
Sn−2:テトラキス(2,3−エポキシ−1−プロピルチオ)スズ
(上記一般式(1)中のYが上記式(1−2)で表される原料モノマーの一例である。)
Sn−3:テトラキス(3−オキセタニルチオ)スズ
(上記一般式(1)中のYが上記式(1−3)で表される原料モノマーの一例である。)
(油溶染料)
略称 :製品名
V−1:OPLAS VIOLET 732
(オリエント化学工業株式会社製 C.I.ソルベント バイオレット 14 相当 ア
ントラキノン系油溶染料)
V−2:OPLAS VIOLET 730
(オリエント化学工業株式会社製 C.I.ソルベント バイオレット 13 相当 ア
ントラキノン系油溶染料)
B−1:Diaresin Blue N
(三菱化学株式会社製 C.I.ソルベント ブルー 94 相当 アントラキノン系油
溶染料)
R−1:OPLAS RED 330
(オリエント化学工業株式会社製 C.I.ソルベント レッド 11 相当 アントラ
キノン系油溶染料)
B−11:OIL BLUE 613
(オリエント化学工業株式会社製 C.I.ソルベント ブルー 5 相当 トリアリルメタン系油溶染料)
なお、V−1(OPLAS VIOLET 732(C.I.ソルベント バイオレット 14 相当))は、赤紫色の染料である。また、V−2(OPLAS VIOLET 73
0(C.I.ソルベント バイオレット 13 相当))は、V−1(OPLAS VIOLET 732(C.I.ソルベント バイオレット 14 相当))よりも青色の強い、青紫色の染料である。
(実施例1)
原料モノマーとしてSn−1を30g、紫外線吸収剤としてSEESORB701(シプロ化成株式会社製)を0.3g含む重合性組成物Cn−1を用意した(重合性組成物Cn−1中の紫外線吸収剤の含有量Bは、約0.99重量%)。この重合性組成物Cn−1に、油溶染料として、V−1(アントラキノン系油溶染料)を3.0ppm添加し、十分に攪拌して、これらを混合した。
この混合物に、重合触媒としてN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン0.1gを加えて混合した後、1.5kPa以下に減圧して攪拌しながら15分間脱気を行った。この原料を、2枚の鏡面仕上げのガラスモールドを粘着テープで保持した鋳型(レンズ型)中に注入した。原料をレンズ型に入れた状態で、30℃から120℃まで20時間かけて昇温し、重合硬化させた。その後、レンズ型よりレンズを離型してプラスチックレンズを得た
。本例において、レンズ型を構成するために用いたガラスモールドは、度数が約−3Dのレンズを製造するためのものである。このように形成されたプラスチックレンズ(レンズ基材)を用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値(イエローインデックス)の測定を行った。
同じ原料を、2枚の鏡面仕上げのガラスフラット板を粘着テープで保持した鋳型(プレート型)に注入し、上記と同じ温度および時間の条件で、2mm厚のプラスチック板を作成した。このプラスチック板をダイヤモンドカッターで切り出してから屈折率の測定を行った。屈折率の測定は、アッベ屈折率計により、20℃で589.3nmのD線を用いた。屈折率は、nd=1.794であった。
(実施例2)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてV−1(アントラキノン系油溶染料)を0.2ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例3)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてV−1(アントラキノン系油溶染料)を0.5ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例4)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてV−1(アントラキノン系油溶染料)を1.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例5)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてV−1(アントラキノン系油溶染料)を2.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例6)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてV−1(アントラキノン系油溶染料)を5.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例7)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてV−1(アントラキノン系油溶染料)を8.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例8)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてV−1(アントラキノン系
油溶染料)を10.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例9)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてB−1(アントラキノン系油溶染料)を1.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例10)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてB−1(アントラキノン系油溶染料)を3.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例11)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてB−1(アントラキノン系油溶染料)を5.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例12)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料として、V−1(アントラキノン系油溶染料)を3.0ppmと、R−1(アントラキノン系油溶染料)を0.5ppmとを添加した(トータルで3.5ppm)。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例13)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料として、V−2(アントラキノン系油溶染料)を2.0ppmと、R−1(アントラキノン系油溶染料)を0.5ppmとを添加した(トータルで2.5ppm)。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例14)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料として、V−2(アントラキノン系油溶染料)を3.0ppmと、R−1(アントラキノン系油溶染料)を0.8ppmとを添加した(トータルで3.8ppm)。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(実施例15)
原料モノマーとしてSn−2を30g、紫外線吸収剤としてSEESORB701(シプロ化成株式会社製)を0.3g含む重合性組成物Cn−2を用意した(重合性組成物Cn−2中の紫外線吸収剤の含有量Bは、約0.99重量%)。この重合性組成物Cn−2に、油溶染料としてV−1(アントラキノン系油溶染料)を3.0ppm添加し、十分に攪拌して、これらを混合した。
この混合物に、重合触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸0.015gを加えて混
合した後、1.5kPa以下に減圧して攪拌しながら15分間脱気を行った。この原料を、実施例1と同様のレンズ型を用いて、同じ条件で重合硬化させ、プラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
同じ原料を、実施例1と同じプレート型に注入し、同じ条件で2mm厚のプラスチック板を作成した。このプラスチック板を用い、同じ条件で屈折率を測定した。屈折率は、nd=1.758であった。
(実施例16)
原料モノマーとしてSn−3を30g、紫外線吸収剤としてSEESORB701(シプロ化成株式会社製)を0.3g含む重合性組成物Cn−3を用意した(重合性組成物Cn−3中の紫外線吸収剤の含有量Bは、約0.99重量%)。この重合性組成物Cn−3に、油溶染料としてV−1(アントラキノン系油溶染料)を3.0ppm添加し、十分に攪拌して、これらを混合した。
この混合物に、重合触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸0.015gを加えて混合した後、1.5kPa以下に減圧して攪拌しながら15分間脱気を行った。この原料を、実施例1と同様のレンズ型を用いて、同じ条件で重合硬化させ、プラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
同じ原料を、実施例1と同じプレート型に注入し、同じ条件で2mm厚のプラスチック板を作成した。このプラスチック板を用い、同じ条件で屈折率を測定した。屈折率は、nd=1.754であった。
(比較例1)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、原料には、油溶染料を添加しなかった。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(比較例2)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてV−1(アントラキノン系油溶染料)を0.1ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(比較例3)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてV−1(アントラキノン系油溶染料)を12.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(比較例4)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてB−1(アントラキノン系油溶染料)を0.1ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(比較例5)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてB−1(アントラキノン系油溶染料)を12.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(比較例6)
実施例1で説明した重合性組成物Cn−1を用い、実施例1と同様の方法でプラスチックレンズ(レンズ基材)を製造した。ただし、油溶染料としてB−11(トリアリルメタン系油溶染料)を3.0ppm添加した。このプラスチックレンズを用いて、以下に説明する外観および色調の評価と、YI値の測定を行った。
(評価)
上記の実施例1〜16および比較例1〜6において得られたそれぞれのプラスチックレンズについて、外観および色調に関する評価と、YI値の測定を行った。
外観および色調は、蛍光灯(東芝ライテック株式会社製 FLR20S EX-N/M 三波長形蛍光ランプ メロウ5N 色温度5200K、平均演色評価数Ra=88、昼白色)下において、目視により確認した。外観は、次のような段階に分けて評価した。
「◎」:無色透明、および無色透明に非常に近いもの
「○」:無色透明に近いもの
「△」:薄い色は見えるものの、ブルーイングの効果(アントラキノン系油溶染料を添加した効果)が十分に発揮できているもの
「×」:黄色または他の色が強く見える、あるいは透明度の低下により、レンズとして問題のあるもの
さらに、黄色さの指標として、分光測定器を用いて、D−65光源におけるレンズのYI値を測定した。
(評価結果)
図1に示したように、実施例1〜16により製造されたプラスチックレンズ(レンズ基材)は、外観および色調について、いずれも実用上問題がないことが認められた。これらの実施例1〜16においては、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に対する少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料の添加量Aが下記式(a)の条件を満たしている。
0.2ppm≦A≦10ppm・・・(a)
これに対して、比較例1〜6により製造されたプラスチックレンズ(レンズ基材)は、外観および色調について、実用上問題が生じると考えられる。比較例1〜5においては、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に対する少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料の添加量Aが上記式(a)の条件を満たしていないためであると考えられる。また、比較例6は、油溶染料として、トリアリルメタン系油溶染料を用いたためであると考えられる。
すなわち、比較例1は、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物にアントラキノン系の油溶染料を添加しなかったため、製造されたプラスチックレンズ(レンズ基材)は、透明ではあるが濃い黄色を呈してしまった(上記重合性組成物を重合硬化してなる樹脂の色が残ってしまった)と考えられる。
比較例2は、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物にアン
トラキノン系の油溶染料(V−1)を、0.2ppmを下回る0.1ppmしか添加しなかったため、プラスチックレンズの黄色みを低減する効果が非常に小さく、製造されたプラスチックレンズ(レンズ基材)は、透明ではあるが、濃い黄色を呈してしまった(上記重合性組成物を重合硬化してなる樹脂の色が残ってしまった)と考えられる。
比較例3は、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物にアントラキノン系の油溶染料(V−1)を、10.0ppmを超えて12.0ppmも添加したため、製造されたプラスチックレンズ(レンズ基材)に、アントラキノン系の油溶染料(V−1)の色みが残り、透明ではあるが、濃い紫色に着色してしまったと考えられる。
比較例4は、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物にアントラキノン系の油溶染料(B−1)を、0.2ppmを下回る0.1ppmしか添加しなかったため、プラスチックレンズの黄色みを低減する効果が非常に小さく、プラスチックレンズ(レンズ基材)は、透明ではあるが、濃い黄色を呈してしまった(上記重合性組成物を重合硬化してなる樹脂の色が残ってしまった)と考えられる。
比較例5は、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物にアントラキノン系の油溶染料(B−1)を、10.0ppmを超えて12.0ppmも添加したため、製造されたプラスチックレンズ(レンズ基材)に、アントラキノン系の油溶染料(B−1)の色みが残り、透明ではあるが、濃い青色に着色してしまったと考えられる。
比較例6は、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に、アントラキノン系油溶染料ではなく、トリアリルメタン系油溶染料を添加したため、濁った色に着色されてしまったと考えられる。
以上のように、上記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に対して、少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料を、上記式(a)の条件を満たすように添加して、重合硬化させることにより、屈折率(nd)が1.7を超えるような高屈折率のレンズ基材であって、しかも、無色透明または無色透明に近いレンズ基材を有する、プラスチックレンズが得られることがわかった。
実施例および比較例で用いた原料モノマーおよび油溶染料と、実施例および比較例の評価結果とを示す図。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される原料モノマーを含有する重合性組成物に少なくとも1種のアントラキノン系の油溶染料を添加したものを重合硬化することによりレンズ基材を形成する工程を有し、
    前記レンズ基材を形成する工程では、前記重合性組成物に対する前記油溶染料の添加量Aが下記式(a)の条件を満たす、プラスチックレンズの製造方法。
    0.2ppm≦A≦10ppm・・・(a)
    Figure 2008169312
    ただし、式(1)中、Mは、Sn原子、Si原子、Zr原子、Ti原子およびGe原子のいずれかを表す。Yは、下記式(1−1)、(1−2)および(1−3)のいずれかを表す。Rは、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。Xは、S原子またはO原子を表す。nは、0〜4の整数を表す。
    Figure 2008169312
    Figure 2008169312
    Figure 2008169312
  2. 請求項1において、前記油溶染料は、C.I.ソルベント バイオレット 14に相当する赤紫色の油溶染料を含む、プラスチックレンズの製造方法。
  3. 請求項1または2において、前記重合性組成物は、紫外線吸収剤を含有し、前記紫外線吸収剤の含有率B重量%が下記式(b)の条件を満たす、プラスチックレンズの製造方法。
    0.1重量%≦B≦5重量%・・・(b)
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記式(1)中のMはSn原子を表す、プラスチックレンズの製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記式(1)中のYは前記式(1−1)を表す、プラスチックレンズの製造方法。
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