JP2008163948A - 内燃機関に用いられる燃料圧送装置 - Google Patents

内燃機関に用いられる燃料圧送装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単に製造することができ、かつ圧送量の精密な調節を可能にするような燃料圧送装置を提供する。
【解決手段】作業室26と流入弁42とを備えたピストンポンプ22と、該流入弁42の、流体の流れで見て上流側に配置された調節可能な絞り装置40とが設けられており、該絞り装置40の流出部98が、流入弁42に対して直接に隣接して配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関、特に自動車の内燃機関に用いられる燃料圧送装置であって、作業室と流入弁とを備えたピストンポンプと、該流入弁の、流体の流れで見て上流側に配置された調節可能な絞り装置とが設けられている形式のものに関する。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10220281号明細書に基づき公知の内燃機関に用いられる燃料システムでは、燃料がプレフィードポンプから高圧ポンプへ圧送され、そして高圧ポンプから高圧燃料レールへ圧送される。内燃機関により機械的に駆動される高圧ポンプの圧送量は、流体的に前置された絞り装置、つまり上流側に配置された絞り装置により生ぜしめられる。この絞り装置は高圧ポンプのハウジングに装着されていて、この高圧ポンプと共に1つの燃料圧送装置を形成している。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10220281号明細書
本発明の課題は、簡単に製造することができ、かつ圧送量の精密な調節を可能にするような燃料圧送装置を提供することである。
この課題を解決するために本発明の構成では、絞り装置の流出部が、流入弁に対して直接に隣接して配置されているようにした。
本発明の有利な改良形は請求項2以下に記載されている。本発明にとって重要な特徴は、さらに以下の説明および図面に認められ、この場合、これらの特徴は、その都度明示することなしに、種々様々な組合せの形でも本発明にとって重要となり得る。
本発明によれば、運転時に多くの状況において絞り装置の下流側では、絞り装置の上流側に形成される前圧力よりも低い圧力が生ぜしめられることが認識された。これにより、特に、より高い温度では、絞り装置と流入弁との間に位置する範囲において蒸気泡形成が促進される。このことは、燃料圧送装置の制御特性に対して不都合な影響を与える危険がある。本発明による手段により、絞り装置と流入弁との間のハイドロリック的な容積は最小限に抑えられる。特にこの範囲における死容積もしくはデッドボリューム、つまり通流不在に基づいて蒸気泡形成を伴う温度増大が促進されてしまうような容積が減じられるか、または回避される。これにより、絞り装置を用いた燃料圧送装置の圧送量の調節時における著しく改善された制御ダイナミクスおよび制御精度が達成される。
本発明の第1の改良形では、絞り装置と流入弁とが、一体の、つまりワンピースの1つの共通のハウジング内に配置されている。これにより、特に絞り装置と流入弁との間の短い距離に基づいて、燃料圧送装置の製造が簡単化される。
この場合、絞り装置の流出部が、流入弁に直接に向かい合って位置する環状室に開口していると特に有利である。このことはデッドボリュームの一層の減少をもたらす。
本発明の別の改良形では、絞り装置のハウジングが、前記共通のハウジングに設けられた開口内に挿入されていて、第1のつばを介して該開口内にプレス嵌めの形でセンタリングされており、第2のつばを介して前記共通のハウジングに溶接されており、該第2のつばが、前記共通のハウジングに対して遊び嵌めを有していて、第1のつばに対して隣接している。これによって、溶接過程により絞り装置のハウジングの嵌り具合が変えられることが回避される。さらに、溶接過程自体も簡単にされる。
本発明のさらに別の改良形では、絞り装置が弁スプールを有しており、該弁スプールが、絞り装置のハウジング内に案内されていて、該絞り装置の流入部とは反対の側のデッドボリュームを仕切っており、該デッドボリュームが、絞り装置の流入部に流体的に接続されている。これにより基本的に、絞り装置の内側範囲全体が、絞り装置の流入部に生ぜしめられる前圧にハイドロリック的に接続されている。したがって、この内側範囲には前圧が形成されるので、この場合にも蒸気泡形成が十分に回避される。さらに、このような改良形には次のような利点がある。すなわち、摩擦ペアリング、たとえば絞り装置の弁スプールとハウジングまたはマグネットニードルと所属の軸受けが、流体で満たされた範囲内に存在するので、これにより摩擦が最小限に抑えられ、ひいては摩耗が最小限に抑えられる。このことは、電磁式に駆動される絞り装置の場合には、とりわけその場合に存在するマグネットコイルの範囲にも云える。なぜならば、このようなマグネットコイルの損失出力が局所的に温度増大を招く恐れがあるからである。
さらに、デッドボリュームが、全体的に弁スプールの長手方向に延びる少なくとも1つの接続開口を通じて流入部に流体的に接続されており、該接続開口が、減衰絞りを有していることが提案される。これにより、絞り装置が、たとえば内燃機関によって生ぜしめられる振動負荷によって負荷され得るという事実が考慮される。問題となるのは、特に絞り装置の固有周波数の範囲における振動負荷である。このような振動負荷は、運動させられる質量体(たとえば弁スプール、マグネットニードル、マグネットアーマチュア等)と、弁スプールに作用するばねエレメントのばね剛性とから生ぜしめられる。最も不都合な場合には、弁スプールの浮き上がり(Aufschwingen)が生じる恐れがあり、このことは制御精度や摩耗に対して不都合な影響を与える。本発明による手段により、運動させられる質量体のこのような機械的な固有振動がハイドロリック的に減衰される。電磁式に操作される絞り装置の場合には、たとえばマグネットアーマチュアにも、このような減衰絞りが設けられていてよい。
絞り装置の弁スプールが、少なくとも1つの支承部もしくは軸受けによって少なくとも間接的に絞り装置のハウジング内に案内されていてよい。この場合、前記軸受けが、絞り装置の流入部に流体的に接続されていることが提案される。これによっても、摩擦ならびに摩耗は最小限に抑えられる。なぜならば、軸受けが燃料によって潤滑されるからである。
本発明による燃料圧送装置のさらに別の有利な構成では、絞り装置の弁スプールが、ばねによって負荷されており、該ばねが、ばね受けに支持されており、該ばね受けが、絞り装置のハウジングに保持されており、前記ばね受けの両側が、流体的にかつ少なくともほぼ絞りなしに互いに接続されている。言い換えれば、ばね受けは圧力補償されているので、このばね受けは、ばねの反動力を受け止めるだけでよく、相応して小さく設計され得るようになる。別の利点は、たとえばばね受けがプレス嵌めによって絞り装置のハウジングに保持されている場合に、プレスが比較的小さく保持され得るので、ハウジングの相応する変形が最小限に抑えられ、ひいては弁スプールの案内に対する影響も少なく保持され得ることにある。このことは、絞り装置の閉じられた状態における該絞り装置の漏れに好都合であり、このことは「ゼロ圧送」という見出し語で知られている。
同じ方向を意図している本発明のさらに別の改良形では、絞り装置のハウジング内に前記ばね受けと、弁スプールのための案内区分との間で、環状の分離溝(Entkopplungsnut)が設けられている。これによっても、ハウジング内での弁スプールの案内に対する、絞り装置のハウジング内でのばね受けのプレス嵌めの作用が減じられる。つまり、これによって、(閉鎖された)絞り装置のシール性に与える製作・組立てプロセスの不都合な影響が減じられる。
前で述べた好都合な効果は、絞り装置のハウジングが、弁スプールのための少なくとも1つの案内区分を有しており、該案内区分が、少なくともほぼシール範囲の外部に位置しており、該シール範囲によって絞り装置のハウジングが、前記共通のハウジングに対してシールされていることにより再度増幅され得る。
絞り装置のハウジングに制御開口の範囲で鏡面加工部(Anspiegelung)が設けられていると、つまりこの場所で絞り装置のハウジングが局所的に弱められると、制御開口は、ハウジングの剛性に不都合な影響が与えられることなしに精密に寸法決めされ得る。すなわち、通常では、弁スプールと絞り装置のハウジングとの良好な嵌合を達成するためには、ハウジングの案内範囲がホーニング加工される。ホーニング加工圧に基づき、ホーニング加工プロセスの間、ハウジングの弾性的な拡開が生じる。このような拡開が均一となるようにするために、剛性ジャンプ(剛性の飛躍的変化)はできるだけ回避されなければならない。このことは前記鏡面加工部により達成される。
本発明による燃料圧送装置のさらに別の有利な構成では、絞り装置が、制御縁を備えた弁スプールと、少なくとも1つの制御開口とを有しており、該弁スプールの端面が、制御縁の範囲に、湾曲させられた流れ案内区分を有している。このことは、弁スプールに対する流入は軸方向で行われるが、流出は通常半径方向で、円筒状のハウジングに設けられた制御開口を通じて外方へ向かって行われるという認識に基づいている。これにより、弁スプールには、スプ―ルの許容され得ない位置ずれを生ぜしめる恐れのある流れ力が生じる。本発明による手段により、この流れ力は最小限に抑えられる。なぜならば、これによって、変向により生ぜしめられる流れ損失が低減されるからである。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
図1には、燃料システム全体が符号10で示されている。この燃料システム10に所属する内燃機関は符号12で示されている。
燃料システム10は燃料タンク14を有している。この燃料タンク14からは、プレフィードポンプ16によって燃料が燃料圧送装置18へ圧送される。この燃料圧送装置18は内燃機関12のカムシャフト20によって機械的に駆動される高圧ピストンポンプ22を有している。この高圧ピストンポンプ22はポンプピストン24を備えており、このポンプピストン24は作業室26を仕切っていて、燃料圧送装置18のハウジング28内にスライド式に案内されている。ハウジング28とポンプピストン24との間には、ガイドギャップ30が存在する。
燃料圧送装置18の流入部32からは、流入通路34が延びている。この流入通路34はフィルタ36と、圧力振動減衰器38と、「調量ユニット」とも呼ばれる絞り装置40と、流入弁42とを介して作業室26に通じている。圧力振動減衰器38は、流入通路34に発生し得る高圧ピストンポンプ22の脈動を減衰することが望ましい。さらに、圧力振動減衰器38は高い回転数および高いカム数においても高圧ピストンポンプ22の高い体積効率を保証することが望ましい。作業室26からは流出通路44が延びている。この流出通路44は流出弁46を介して燃料圧送装置18の流出部48に通じている。この流出部48には、高圧管路50が接続されており、この高圧管路50はコモンレール52に接続されている。このコモンレール52には複数のインジェクタ54が接続されており、これらのインジェクタ54は、内燃機関12に設けられた、当該インジェクタ54にそれぞれ対応する燃焼室55内に直接に燃料を噴射する。
コモンレール52内の最大圧力を制限するために、流出通路44と作業室26との間には圧力制限弁56が配置されている。標準運転時では、この圧力制限弁56は閉じられたままとなる。エラー発生時にのみ、たとえば過多の燃料が燃料圧送装置18からコモンレール52内に圧送される場合にのみ、圧力制限弁56がコモンレール52内の圧力を規定の最大値に制限する。さらに、絞り装置40と高圧ピストンポンプ22とに対して並列にバイパス弁58が配置されている。このバイパス弁58は開かれた状態において流出通路44を、フィルタ36と圧力振動減衰器38との間で流入通路34に接続する。内燃機関12の標準運転時では、バイパス弁58はコモンレール52内および流出通路44内の高い圧力に基づいて閉じられている。しかし、エラー発生時に絞り装置40が、閉じられた位置に位置したままとなって、燃料自体が燃料圧送装置18からもはや圧送されなくなってしまう場合には、燃料はバイパス弁58を介してコモンレール52に流入することができる。これによって、ある程度の非常運転が可能となる。すなわち、プレフィードポンプ16により提供される前圧力を用いた運転が可能となる。
標準運転時では、プレフィードポンプ16が燃料を、ある程度の圧力を持って絞り装置40へ圧送する。どれ程の量の燃料がインジェクタ54により噴射されるのかに応じて、絞り装置40は、より大きな量またはより小さな量の燃料を、流入弁42を介して作業室26内にまで流入させる。こうして、燃料圧送装置18は種々異なる量の燃料を圧送することができる。このためには、絞り装置40が開ル―プ制御および閉ループ制御のための制御装置60により制御される。この制御装置60は電気的なメモリ62を有しており、このメモリ62には、絞り装置40を制御するために働くコンピュータプログラムが記憶されている。このためには、制御装置60が、種々のセンサの信号、たとえば内燃機関12のクランクシャフトの回転数を検出する回転数センサ64の信号、コモンレール52内に生ぜしめられる圧力を検出する圧力センサ66の信号および内燃機関12の温度を検出する温度センサ68の信号を受け取る。
次に、図2〜図4につき、燃料圧送装置18の詳細な構成、特に絞り装置40ならびに流入弁42の詳細な構成について詳しく説明する(ただし図2では、図面を見易くするという理由から全ての符号を書き込んでいない)。
絞り装置40は円筒状のハウジング70を有している。このハウジング70は制御スリーブ72と取付け部材74とを有している。この取付け部材74を介して絞り装置40は燃料圧送装置18のハウジング28に取り付けられている(あとで詳しく説明する)。取付け部材74自体には、電磁式の操作ユニット76が取り付けられている。
制御スリーブ72はハウジング28に設けられた盲孔78内に位置している。制御スリーブ72の内部は、制御スリーブ72の長手方向に所定の範囲にわたって延びるホーニング加工された案内区分80を有している。この案内区分80内には、ピストン状の弁スプール82が案内されている。図2および図3で見て制御スリーブ72の左側の端部には、ばね受け84が配置されている。このばね受け84は制御スリーブ72とプレス締結されている。ばね受け84には、ばね86が支持されており、このばね86の他方の端部はピストン状の弁スプール82に作用している。ばね受け84には、中心に位置する同心的な開口87が設けられており、この開口87はばね受け84の両側を流体的にかつ少なくともほぼ絞りなしに互いに接続している。弁スプール82の底部88は、中心外に偏心的に配置された接続開口90によって貫通される。この接続開口90は同時に、ハイドロリック的な減衰絞りとしても形成されている。
絞り装置40のハウジング70の制御スリーブ72の外面には、軸方向でばね受け84と案内区分80との間で、環状の分離溝92が設けられている。この分離溝92により、ばね受け84のプレス締結時に制御スリーブ72に生じる変形が案内区分80から遠ざけられる。分離溝92のすぐ隣には、制御スリーブ72の外周面に設けられた第1のリングパッキン96のための第1の収容溝94が設けられている。図面で見て軸方向で第1の収容溝94のさらに右側では、制御スリーブ72が、流出部を形成する制御開口98を有している。この場合、この制御開口98の範囲では、制御スリーブ72の外周面が鏡面加工部(Anspiegelung)100によって平坦化されている。制御開口98は制御縁101と協働する。この制御縁101は図2および図3で見て弁スプール82の右側の端部に形成されている。制御開口98のさらに右側では、制御スリーブ72の外周面に第2のリングパッキン104のための第2の収容溝102が設けられている。そして、この第2の収容溝102の右側では、制御スリーブ72が、全周にわたって分配されて配置された複数の流入開口106を有している。
円筒状のハウジング70の取付け部材74は、図面で見て制御スリーブ72の右側の端部に固く結合されており、この場合、結合は、たとえばプレス嵌め結合または縁曲げにより行われる。相応する結合範囲は符号108で示されている。この結合範囲108は、弁スプール82が案内されている案内区分80から、取付け部材74と制御スリーブ72との間の結合の形成時に案内区分80の変形が十分に回避される程度の間隔を置いて配置されている。
取付け部材74の、制御スリーブ72寄りの端部は、半径方向に突出した、全周にわたって延びる環状区分(符号なし)を有している。この環状区分は軸方向の相互間隔を置いて配置された、全周にわたって延びる2つの環状つば110,112を備えている。取付け部材74はこの環状区分によって、ハウジング28に設けられた盲孔78の外側の範囲114内に挿入されている。図3で見て左側の環状つば110は盲孔78の外側の範囲114に対してプレス嵌めを有している。それに対して、図3で見て右側の第2の環状つば112は盲孔78の外側の範囲114に対して遊び嵌めを有している。第2の環状つば112は溶接シーム116によってハウジング28に結合されている。組付け時では、プレス嵌めされた第1の環状つば110を介して、一方ではセンタリングが達成され、他方では溶接シーム116の取付けのための位置固定が達成される。溶接シーム116は作動力を吸収して、外部に対するシール性を保証する。
取付け部材74は貫通孔118によって貫通される。この貫通孔118を貫いてマグネットニードル120が貫通案内されている。このマグネットニードル120の、制御スリーブ72の範囲に位置する端部は弁スプール82に結合されており、電磁式の操作ユニット76の範囲に位置する他方の端部はマグネットアーマチュア122に結合されている。マグネットニードル120はマグネットアーマチュア122の両側で、軸受けを成す支承個所124,126によって案内されている。支承個所124は取付け部材74内に設けられており、支承個所126は端部材128内に設けられている。この端部材128と取付け部材74とはスリーブ130を介して互いに固く結合されている。マグネットアーマチュア122の前側のストッパとしては、残留エアギャップディスク132が働く。
磁力はマグネットコイル134により発生させられる。このマグネットコイル134には、電気的な接続部136を介して電圧が供給される。マグネットコイル134は、取付け部材74にプレス嵌めにより被せ嵌められたハウジング周壁138内に設けられている。磁気帰路のためには、端部材128に閉鎖金属薄板140が装着される。端部材128にはギザ歯付きリング142がプレス嵌めにより被せ嵌められて、閉鎖金属薄板140を保持する。絞り装置40は「無電流で閉じられている」。すなわち、マグネットコイル134の通電されていない状態において弁スプール82は、ばね86の力に基づき、制御縁101が制御開口98に重なる位置、つまり制御開口98が閉鎖される位置をとる。このことは図2および図3に示されている。
上で説明した配置形式に基づき、流入開口106の範囲には流入環状室144が提供される。この流入環状室144は半径方向ではハウジング28と制御スリーブ72の壁とにより仕切られ、軸方向ではとりわけ第2のリングパッキン104と取付け部材74とにより仕切られる。制御スリーブ72の内部には、流入開口106の範囲で制御室146が形成される。この制御室146は半径方向では制御スリーブ72の壁により仕切られ、軸方向では弁スプール82の端面148と支承個所124とにより仕切られる。制御開口98の外部では、制御スリーブ72の壁とハウジング28と両リングパッキン96,104との間に流出環状室150が形成される。ばね受け84と弁スプール82と制御スリーブ72の壁との間に取り囲まれた空間はデッドボリューム(死容積)152に所属している。このデッドボリューム152はばね受け84に設けられた開口87を介してさらに分離溝92もしくは第1のリングパッキン96にまで延びている。デッドボリューム152は接続開口90を介して制御室146に接続されている。
運転時では、燃料が圧力振動減衰器38から流入通路34を介して流入環状室144に流入し、さらに流入開口106を介して制御室146に流入する。弁スプール82の位置と制御縁101の位置とに応じて燃料は引き続き制御開口98を介して流出環状室150に流入し、そしてこの流出環状室150から、直接に隣接して配置された流入弁42に流入する。この場合、絞り装置40と流入弁42との間の容積が最小であることが判る。なぜならば、この容積は主として流出環状室150から成っているからである。さらに、デッドボリューム(死容積)152においても、プレフィードポンプ16によって形成された前圧力が生ぜしめられていることが判る。なぜならば、このデッドボリューム152が接続開口90と制御室146と流入環状室144とを介して流入通路34に接続されているからである。全体的には、弁スプール82の両側にほぼ等しい圧力、つまりプレフィードポンプ16の前圧力が生ぜしめられるので、弁スプール82はハイドロリック的に圧力補償されている。さらに、接続開口90が減衰絞りとして形成されていることにより、たとえば燃料圧送装置18の振動に基づいて弁スプール82に付与される弁スプール82の振動が低減される。
さらに図面から判るように、マグネットコイル134の範囲も制御室146を介して流入通路34に接続されている。なぜならば、支承個所124,126ならびに残留エアギャップディスク132は流体シールを生ぜしめないからである。すなわち、マグネットアーマチュア122とマグネットニードル120とは流体中で走行する。このことは摩擦および摩耗を最小限に抑える。さらに図面から判るように、リングパッキン96,104ならびに制御スリーブ72とはばね受け84との結合範囲および制御スリーブ72と取付け部材74との結合範囲は制御スリーブ72に設けられた案内区分80から、組付け時における案内区分80の変形が最小限に抑えられるか、またはそれどころか完全に阻止されるようにするために十分な間隔を置いて配置されている。
これによって、弁スプール82と案内区分80との間の嵌合を極めて狭く形成し、ひいては弁スプール82と制御スリーブ72との間の高いシール性を形成することができる。
図5には、絞り装置の、軽度に変えられた構成が図示されている。ただし、既に説明したエレメントおよび範囲と同等の機能を有するエレメントおよび範囲は同じ符号で示されており、これらのエレメントおよび範囲については説明を省略する。
図5に示した絞り装置40は、とりわけ弁スプール82の端面148の構成の点で図2〜図4に示した実施例とは異なっている。すなわち、図5に示した実施例では、弁スプール82の端面148が、湾曲させられた流れ案内区分として形成されている。この流れ案内区分は、少なくとも部分的に開かれた絞り装置40において、制御室146から制御開口98もしくは流出環状室150へ向かって流れを比較的損失少なく変向させる。これにより、流れによって弁スプール82に加えられる力を減少させることができる。
内燃機関ならびに燃料圧送装置を備えた燃料システムを示す概略図である。 図1に示した燃料圧送装置を部分的に断面して示す図である。 図2に示した燃料圧送装置の一部を拡大して示す図である。 図1に示した燃料圧送装置の絞り装置の斜視図である。 変化実施例を、図4に示した絞り装置の範囲で断面して示す図である。
符号の説明
10 燃料システム
12 内燃機関
14 燃料タンク
16 プレフィードポンプ
18 燃料圧送装置
20 カムシャフト
22 高圧ピストンポンプ
24 ポンプピストン
26 作業室
28 ハウジング
30 ガイドギャップ
32 流入部
34 流入通路
36 フィルタ
38 圧力振動減衰器
40 絞り装置
42 流入弁
44 流出通路
46 流出弁
48 流出部
50 高圧管路
52 コモンレール
54 インジェクタ
55 燃焼室
56 圧力制限弁
58 バイパス弁
60 制御装置
62 メモリ
64 回転数センサ
66 圧力センサ
68 温度センサ
70 ハウジング
72 制御スリーブ
74 取付け部材
76 操作ユニット
78 盲孔
80 案内区分
82 弁スプール
84 ばね受け
86 ばね
87 開口
88 底部
90 接続開口
92 分離溝
94 第1の収容溝
96 第1のリングパッキン
98 制御開口
100 鏡面加工部
101 制御縁
102 第2の収容溝
104 第2のリングパッキン
106 流入開口
108 結合範囲
110,112 環状つば
114 外側の範囲
116 溶接シーム
118 貫通孔
120 マグネットニードル
122 マグネットアーマチュア
124,126 支承個所
128 端部材
130 スリーブ
132 残留エアギャップディスク
134 マグネットコイル
136 電気的な接続部
138 ハウジング周壁
140 閉鎖金属薄板
142 ギザ歯付きリング
144 流入環状室
146 制御室
148 端面
150 流出環状室
152 デッドボリューム

Claims (12)

  1. 内燃機関(12)に用いられる燃料圧送装置(18)であって、作業室(26)と流入弁(42)とを備えたピストンポンプ(22)と、該流入弁(42)の、流体の流れで見て上流側に配置された調節可能な絞り装置(40)とが設けられている形式のものにおいて、絞り装置(40)の流出部(98)が、流入弁(42)に対して直接に隣接して配置されていることを特徴とする、内燃機関に用いられる燃料圧送装置。
  2. 絞り装置(40)と流入弁(42)とが、ワンピースの1つの共通のハウジング(28)内に配置されている、請求項1記載の燃料圧送装置。
  3. 絞り装置(40)の流出部(98)が、流入弁(42)に直接に向かい合って位置する環状室(150)に開口している、請求項2記載の燃料圧送装置。
  4. 絞り装置(40)のハウジング(70)が、前記共通のハウジング(28)に設けられた開口(78)内に挿入されていて、第1のつば(110)を介して該開口(78)内にプレス嵌めの形でセンタリングされており、第2のつば(112)を介して前記共通のハウジング(28)に溶接されており、該第2のつば(112)が、前記共通のハウジング(28)に対して遊び嵌めを有していて、第1のつば(110)に対して隣接している、請求項2または3記載の燃料圧送装置。
  5. 絞り装置(40)が弁スプール(82)を有しており、該弁スプール(82)が、絞り装置(40)のハウジング(70)内に案内されていて、該絞り装置(40)の流入部(106)とは反対の側のデッドボリューム(152)を仕切っており、該デッドボリューム(152)が、絞り装置(40)の流入部(106)に流体的に接続されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料圧送装置。
  6. デッドボリューム(152)が、全体的に弁スプール(82)の長手方向に延びる少なくとも1つの接続開口(90)を通じて流入部(106)に流体的に接続されており、該接続開口(90)が、減衰絞りを有している、請求項5記載の燃料圧送装置。
  7. 絞り装置(40)の弁スプール(82)が、少なくとも1つの軸受け(124,126)によって少なくとも間接的に絞り装置(40)のハウジング(70)内に案内されており、前記軸受け(124,126)が、絞り装置(40)の流入部(106)に流体的に接続されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料圧送装置。
  8. 絞り装置(40)の弁スプール(82)が、ばね(86)によって負荷されており、該ばね(86)が、ばね受け(84)に支持されており、該ばね受け(84)が、絞り装置(40)のハウジング(70)に保持されており、前記ばね受け(84)の両側が、流体的にかつ少なくともほぼ絞りなしに互いに接続されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料圧送装置。
  9. 絞り装置(40)の弁スプール(82)が、ばね(86)によって負荷されており、該ばね(86)が、ばね受け(84)に支持されており、該ばね受け(84)が、絞り装置(40)の円筒状のハウジング(70)内にプレス嵌めの形で保持されており、絞り装置(40)のハウジング(70)内に前記ばね受け(84)と、弁スプール(82)のための案内区分(80)との間で、環状の分離溝(92)が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の燃料圧送装置。
  10. 絞り装置(40)のハウジング(70)が、弁スプール(82)のための少なくとも1つの案内区分(80)を有しており、該案内区分(80)が、少なくともほぼシール範囲(94,96,102)の外部に位置しており、該シール範囲によって絞り装置(40)のハウジング(70)が、前記共通のハウジング(28)に対してシールされている、請求項1から9までのいずれか1項記載の燃料圧送装置。
  11. 絞り装置(40)のハウジング(70)に制御開口(98)の範囲で鏡面加工部(100)が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の燃料圧送装置。
  12. 絞り装置(40)が、制御縁(101)を備えた弁スプール(82)と、少なくとも1つの制御開口(98)とを有しており、該弁スプール(82)の端面(148)が、制御縁(101)の範囲に、湾曲させられた流れ案内区分を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の燃料圧送装置。
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