JP2008163806A - 燃料蓄圧装置及び燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の始動性の向上及び種々の運転条件に適応することのできる燃料噴射装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 燃料蓄圧装置(1)は、燃料ポンプ(2)から燃料が供給されるとともにインジェクタ(13)へ燃料を送出する第1蓄圧室(3)と、この第1蓄圧室(3)との間で燃料の授受が行われる第2蓄圧室(4)とを備えている。この第1蓄圧室(3)と第2蓄圧室(4)とは、第1通路(5)及び第2通路(6)とで接続されている。第1通路(5)には第1逆止弁(7)が設けられている。また、第2通路(6)には第2逆止弁(8)が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】 燃料蓄圧装置(1)は、燃料ポンプ(2)から燃料が供給されるとともにインジェクタ(13)へ燃料を送出する第1蓄圧室(3)と、この第1蓄圧室(3)との間で燃料の授受が行われる第2蓄圧室(4)とを備えている。この第1蓄圧室(3)と第2蓄圧室(4)とは、第1通路(5)及び第2通路(6)とで接続されている。第1通路(5)には第1逆止弁(7)が設けられている。また、第2通路(6)には第2逆止弁(8)が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関(エンジン)へ供給する燃料を高圧で蓄える燃料蓄圧装置及び燃料噴射装置に関する。
従来、ポンプから供給される蓄圧室として燃料噴射用の第1蓄圧室と、増圧手段作動用の第2蓄圧室とを備え、第1蓄圧室と第2蓄圧室との間に第1蓄圧室から第2蓄圧室への燃料の供給を遮断する遮断弁を備えた燃料噴射装置が提案されている(特許文献1)。このような燃料噴射装置は、内燃機関を始動する際に第1蓄圧室から第2蓄圧室への供給を遮断するため小容積である第1蓄圧室及び燃料溜まり内における燃料の圧力を速やかに上昇させることができる。これにより内燃機関の始動性を向上させることができる。
しかしながら、蓄圧室を第1蓄圧室と第2蓄圧室とに分割していることから、第1蓄圧室の容積は少量となる傾向にある。このため、要求される噴射量が多量となる等、噴射条件によっては第1蓄圧室内の燃料量が不足し、噴射後半に噴射圧力が低下し、理想の噴射を実現できないおそれがある。
そこで、本発明は、内燃機関の始動性の向上及び種々の運転条件に適応することのできる燃料噴射装置を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するための、本発明の燃料蓄圧装置は、燃料ポンプから燃料が供給されるとともにインジェクタへ燃料を送出する第1蓄圧室と、当該第1蓄圧室との間で燃料の授受が行われる第2蓄圧室と、前記第1蓄圧室から前記第2蓄圧室へ燃料流入を制御する第1の流入制御手段と、前記第2蓄圧室から前記第1蓄圧室への燃料流入を制御する第2の流入制御手段と、を備えたことを特徴とする(請求項1)。このような燃料噴射装置の第1蓄圧室には燃料ポンプからの燃料が流入すると内部の圧力が上昇し、燃料の噴射が行われると内部の圧力は低下する。ここで、第1蓄圧室は容積が小さくすることができるため、内燃機関の始動時等に早期の昇圧を実現することができる。その一方で、噴射によって第1蓄圧室内の燃料量が低下すると第2蓄圧室からの燃料の補充があるので第1蓄圧室内の燃料量の低下、圧力の低下を抑制することができる。
ここで、前記第2の流入制御手段は、前記第1蓄圧室内の圧力と前記第2蓄圧室の圧力との差によって開閉状態が切り替わる逆止弁とすることができる(請求項2)。燃料噴射により第1蓄圧室内の圧力が低下し、第2蓄圧室内の圧力とに差が生じる、すなわち、第1蓄圧室内の圧力が第2蓄圧室内の圧力よりも低い状態で開放される逆止弁を装着すれば、第1蓄圧室と第2蓄圧室との圧力差に応じて第1蓄圧室に燃料が補充される。
一方、前記第1の流入制御手段も、前記第1蓄圧室内の圧力と前記第2蓄圧室の圧力との差によって開閉状態が切り替わる逆止弁とすることができる(請求項3)。燃料ポンプより燃料が供給された第1蓄圧室内の圧力が上昇し、第2蓄圧室内の圧力とに差が生じる、すなわち、第1蓄圧室内の圧力が第2蓄圧室内の圧力よりも高い状態で開放される逆止弁を装着すれば、第1蓄圧室と第2蓄圧室との圧力差に応じて第2蓄圧室に燃料が補充される。
また、前記第1の流入制御手段は、前記第1蓄圧室内の圧力に抗して付勢される弁体を備えた開閉弁とすることもできる(請求項4)。このような構成では弁体を付勢する力を調整することにより第1蓄圧室内の圧力が所望の圧力に達したときに第1蓄圧室と第2蓄圧室とを連通させて第2蓄圧室へ燃料を供給することができる。
さらに、前記第1の流入制御手段は、オリフィスである構成とすることができる(請求項5)。オリフィスを設けることにより流量を調整しつつ第1蓄圧室から第2蓄圧室への燃料の供給を継続的に行うことができる。ここで、オリフィスはインジェクタが消費する燃料量を考慮してその流量を設定することができる。このとき、オリフィスの径を大きくし過ぎると第1蓄圧室の昇圧が緩慢となる恐れがあるので、この点も考慮して設定する。
さらに、前記第1の流入制御手段は、第1蓄圧室内の圧力に応じて開閉する逆止弁と、当該逆止弁と前記第2蓄圧室との間に配置され、前記逆止弁が開弁したときに前記第1蓄圧室内の圧力に抗して付勢される弁体を備えた開閉弁との組み合わせとすることもできる(請求項6)。このような構成では、仮に第1蓄圧室内の圧力が前記開閉弁を開弁させる圧力よりも高くなっていても、逆止弁と開閉弁との間に形成される空間の圧力と第1蓄圧室内の圧力との差圧が逆止弁を開弁させる圧力に達していないときは第1蓄圧室と第2蓄圧室との連通は遮断される。このような構成により、チューニングの幅を広げることができる。
また、前記第1の流入制御手段は、前記第1蓄圧室内の圧力に抗して付勢される弁体を備えた開閉弁と、当該開閉弁と前記第2蓄圧室との間に配置されたオリフィスとの組み合わせとすることができる(請求項7)。このような構成とすることにより、第1蓄圧室内の圧力が開閉弁を開弁する圧力に達した後にオリフィスを通じて第1蓄圧室から第2蓄圧室への燃料の流入が開始される。
なお、オリフィスは前記第1蓄圧室内の圧力に応じて流量が変化する可変オリフィスとすることができる(請求項8)。
このような燃料蓄圧装置では、前記第1蓄圧室から前記第2蓄圧室へ燃料が流入する際に前記第1蓄圧室へ圧送する燃料量を制御する燃料調量手段を備えた構成とすることができる(請求項9)。このような構成とすることにより第1蓄圧室及び第2蓄圧室内の燃料量の不足を回避することができる。
さらに、このような燃料蓄圧装置では、前記第2の流入制御手段を、前記第1蓄圧室内の圧力に応じて開弁圧が変化する可変逆止弁とすることができる(請求項10)。このようなこうせいとすることにより、第1蓄圧室内の圧力が高いときは第1蓄圧室と第2蓄圧室とを容易に連通させることができ、第1蓄圧室内と第2蓄圧室内の圧力差が大きくなることを回避することができる。
また、本発明の燃料噴射装置は、前記のような燃料蓄圧装置を備えており、前記第1蓄圧室と前記第2蓄圧室との連通が遮断されているときは小容積用の第1の噴射時間−噴射量マップに基づいた燃料噴射を行うともに、前記第1蓄圧室と前記第2蓄圧室との連通が許容されているときは大容積用の噴射時間−噴射量マップに基づいた燃料噴射を行う燃料噴射制御手段を備えた構成とすることができる(請求項11)。第1蓄圧室と第2蓄圧室との連通が遮断され、第1蓄圧室からのみ燃料噴射を行うときは小容積用のマップを用い、第1蓄圧室と第2蓄圧室とが連通して大容積となるときには大容積用のマップを用いて燃料噴射を行う構成である。
また、このような燃料噴射装置は、前記第2蓄圧室に減圧弁を備えるとともに、前記第1の流入制御手段により前記第1蓄圧室と前記第2蓄圧室との連通が遮断された状態で前記第2の流入制御手段による前記第1蓄圧室から前記第2蓄圧室との連通が許容される条件が満たされるときに前記減圧弁を開弁する制御を行う燃料噴射制御手段を備えた構成とすることもできる(請求項12)。第1蓄圧室内の圧力と第2蓄圧室内の圧力との関係から第1蓄圧室と第2蓄圧室とが連通するような関係となるときに第2蓄圧室の圧力を低減させ、第1蓄圧室と第2蓄圧室との連通を遮断する構成である。これにより、常時小容積用のマップを用いた噴射とすることができる。
本発明によれば、第1蓄圧室と第2蓄圧室との間に第1の流入制御手段と、第2の流入制御手段とを配置し、これらを運転状態に応じて作動させるようにしたので、始動時に小容積の第1蓄圧室を早期に昇圧させることができるのみならず、第1蓄圧室内の燃料量が不足して噴射後半の噴射圧力の低下を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
まず、図1に本発明の燃料蓄圧装置1の概略構成図を示す。燃料蓄圧装置1は、燃料ポンプ2から燃料が供給されるとともにインジェクタ13へ燃料を送出する第1蓄圧室3と、この第1蓄圧室3との間で燃料の授受が行われる第2蓄圧室4とを備えている。この第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とは、第1通路5及び第2通路6とで接続されている。第1通路5には第1逆止弁7が設けられている。この第1逆止弁7は、本発明における第1の流入制御手段に相当する。第2通路6には第2逆止弁8が設けられている。この第2逆止弁8は本発明における第2の流入制御手段に相当する。
図2に第1逆止弁7の構成を示すもので、図2(a)は、閉弁状態を示し、図2(b)は開弁状態を示している。第1逆止弁7は、第1蓄圧室内の圧力が所定値に達する開弁し、第1蓄圧室と第2蓄圧室とを連通するものである。第1逆止弁7は第1蓄圧室側通路8aと第二蓄圧室側通路8bと弁体収容室8cが設けられたハウジング8と、スプリング9によって付勢され第1蓄圧室側通路8aの開口部を閉塞する弁体10を備えている。このような構成とすることにより弁体10は第1蓄圧室3内の圧力による力がスプリングの力を上回ったときに第1蓄圧室側通路8aを開放する。ここで、スプリング9は、第1蓄圧室内の圧力が20MPaに達したときに弁体10を開放する強度のものがセットされている。また、図2(a)に示すように閉弁時の弁体10は、第2蓄圧室4の圧力をその側面で受けることになるので第2蓄圧室4の圧力は弁体10の移動には寄与しない。このため、第1逆止弁7は、第2蓄圧室4内の圧力にかかわらず、第1蓄圧室3内の圧力が20MPa以上となると開弁する。この20MPaという値は、エンジンを速やかに始動させることを目的として設定したものである。すなわち、エンジンはイグニションをオンにしてスタータを回転させても、レール圧が所定の値まで上昇しなければインジェクタからの噴射を行うことができず、始動しない。そこで、エンジン始動時に速やかに噴射可能な第1蓄圧室3内の圧力を上昇させるべく第1蓄圧室3内の圧力が20MPaに到達するまでは、第1蓄圧室3のみを利用して小容積とし、早期の昇圧を可能としている。なお、同様の構成を用いて、第1逆止弁7の開弁圧を種々変更することができる。例えば、市街地走行を重視した設定や、高速走行を重視した設定を行うことができる。例えば、開弁圧を60MPaに設定しておくこともできる。
一方、第2逆止弁8は、ボール8aをスプリング8bによって第2蓄圧室4側へ付勢する構成となっている。これにより、第1蓄圧室3内の圧力が第2蓄圧室4内の圧力よりも所定値分低下したときに第2逆止弁8が開弁状態となり第2蓄圧室4と第1蓄圧室3とが連通する。本実施例では、第1蓄圧室3内の圧力と第2蓄圧室4内の圧力の差が1MPaに達したときに開弁するようにスプリング強度がセットされている。第1蓄圧室3は、インジェクタ13へ燃料供給を行うことにより、内部の圧力が低下する。この内部圧力の低下に伴って差圧が1MPaに達すると第2逆止弁が開弁し、第2蓄圧室4から第1蓄圧室3へ燃料が流入する。
なお、第1通路5の経路の径は第2通路6の径と比較して小径となっている。これは、第1逆止弁7が開弁して第1蓄圧室3内の燃料が第2蓄圧室4へ一気に流入すると第1蓄圧室3内の圧力が急激に低下することになるので、これを抑制するための措置である。また、第2通路6は大径である方が第2蓄圧室4から第1蓄圧室3への燃料の流入が円滑に行われることを考慮した措置である。
以上のように構成される燃料蓄圧室装置1の第1蓄圧室3には前記のように燃料ポンプ2により燃料が供給されるが、燃料ポンプ2の下流側にはON/OFF弁11が装着されている。燃料蓄圧装置1は、このON/OFF弁11を駆動制御するECU(Electronic control unit)12及びインジェクタ13を含んだ状態で本発明の燃料噴射装置100を構成している。ON/OFF弁11はECU12により駆動制御されて第1蓄圧室3内へ供給される燃料量を調節している。
以上のように構成される燃料蓄圧装置1は、第1蓄圧室3内の圧力が低下して20MPa以下となっており、さらに、第1蓄圧室3内と第2蓄圧室4内の圧力差が1MPa以下であるときは第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが分離された状態となる。このような状態のときにエンジン始動時等を行うと燃料ポンプにより圧送された燃料は小容積の第1蓄圧室3内にのみ流入することとなるから第1蓄圧室3内の昇圧を即座に行うことができる。
その後、第1蓄圧室3内の燃料がインジェクタ13から噴射され第1蓄圧室3内の圧力が低下し、第2蓄圧室4内の圧力との差圧が1MPa以上となると第2逆止弁8が開弁し、第2蓄圧室4内の第1蓄圧室3内へ流入する。このため、第1蓄圧室3内の燃料が不足することがなく、噴射後半となっても所望の噴射圧を確保することができる。
このような動作をする燃料蓄圧装置1を含む燃料噴射装置100は、第1蓄圧室3への燃料供給量をON/OFF弁の制御によって行っている。ここで、燃料供給量はエンジンの運転状況に応じて決定される。例えば、第1蓄圧室3内の目標圧が第1逆止弁7の開弁圧である20MPaよりも高く、第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通状態となる場合は第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との合計容積に基づいてポンプの圧送量Qpmpを決定する。
すなわち、ポンプの圧送量Qpmpは、
Qpmp=Qinj+Qils+Qild+Qlp+Qpcrup
の式によって算出される。
ここで、Qinjは噴射量、Qilsはインジェクタからの静的リーク量、Qildはインジェクタからの動的リーク量、Qlpはポンプリーク量、Qpcrupは蓄圧室圧力を上昇させるために必要となる燃料量を示している。インジェクタにより燃料の噴射を行えば、その分、蓄圧室から燃料が抜けて蓄圧室内の圧力は低下する。また、インジェクタやポンプかのリークもあり、これらも蓄圧室内の圧力の低下に繋がる。蓄圧室内の圧力を上昇させるためには、これらの噴射量分、リーク分を補い、さらに圧力を上昇させるために必要となる分を圧送することとなる。この圧力を上昇させるために必要となる燃料量はQpcrup、
Qpcrup=(ΔPcr/E)×V
の式によって算出される。
ここで、ΔPcrは、目標となる蓄圧室内の圧力の上昇分であり、Eは燃料の体積弾性係数である。また、Vは蓄圧室の容積である。第1逆止弁7が開弁した状態では第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通しているので第1蓄圧室3の容積と第2蓄圧室4との合計値がVの値となる。
すなわち、ポンプの圧送量Qpmpは、
Qpmp=Qinj+Qils+Qild+Qlp+Qpcrup
の式によって算出される。
ここで、Qinjは噴射量、Qilsはインジェクタからの静的リーク量、Qildはインジェクタからの動的リーク量、Qlpはポンプリーク量、Qpcrupは蓄圧室圧力を上昇させるために必要となる燃料量を示している。インジェクタにより燃料の噴射を行えば、その分、蓄圧室から燃料が抜けて蓄圧室内の圧力は低下する。また、インジェクタやポンプかのリークもあり、これらも蓄圧室内の圧力の低下に繋がる。蓄圧室内の圧力を上昇させるためには、これらの噴射量分、リーク分を補い、さらに圧力を上昇させるために必要となる分を圧送することとなる。この圧力を上昇させるために必要となる燃料量はQpcrup、
Qpcrup=(ΔPcr/E)×V
の式によって算出される。
ここで、ΔPcrは、目標となる蓄圧室内の圧力の上昇分であり、Eは燃料の体積弾性係数である。また、Vは蓄圧室の容積である。第1逆止弁7が開弁した状態では第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通しているので第1蓄圧室3の容積と第2蓄圧室4との合計値がVの値となる。
次に、本発明の実施例2について図3を参照しつつ説明する。実施例2の燃料蓄圧装置20と実施例1の燃料蓄圧装置1とは、第1逆止弁の形式が異なっている。すなわち、実施例1における第1逆止弁7は、第1蓄圧室3内の圧力が絶対値として20MPaを上回ったときに開弁状態となる構成であるのに対し、この実施例2における第1逆止弁21は、第1蓄圧室3内の圧力と第2蓄圧室4内の圧力との差によって開閉状態が切り替わる逆止弁としている。
このような第1逆止弁21はボール21aをスプリング21bによって第1蓄圧室3側へ付勢する構成となっている。これにより、第2蓄圧室4内の圧力が第1蓄圧室3内の圧力よりも所定値分低下したときに第1逆止弁21が開弁状態となり第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通する。本実施例では、第1蓄圧室3内の圧力と第2蓄圧室4内の圧力の差が20MPaに達したときに開弁するようにスプリング強度がセットされている。すなわち、第1逆止弁21は、第1蓄圧室3内の圧力にかかわらず、第2蓄圧室4内の圧力との相対的な関係となる差圧に応じて開閉されることとなる。このため、実施例1の燃料蓄圧装置1と異なり、第1蓄圧室3内の圧力が20MPa以上となる条件下であっても、第1逆止弁21が閉弁している状態を創出することができる。
このような構成とすることにより、小容積である第1蓄圧室3内にのみ燃料が供給される状態を維持することができるので、第1蓄圧室3内がある程度の圧力に保たれている状態からさらに昇圧させたいときにその昇圧を早期に完了することができる。既にエンジンが稼働している状態で車輛の急加速を行う際等に即座に第1蓄圧室3内の圧力を上昇させることができる。
このような動作をする燃料蓄圧装置20を含む燃料噴射装置100は、第1蓄圧室3への燃料供給量をON/OFF弁の制御によって行っている。ここで、第1蓄圧室3と第2蓄圧室4はそれぞれ圧力センサ3a、4aを備えており、それぞれの圧力センサ3a、4aはECU12と接続されている。この圧力センサ4aの値と目標圧との差が第1逆止弁21の開弁圧、すなわち20MPaよりも大きく第1逆止弁21が開弁することが想定されるときは第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との合計容積でポンプの圧送量Qpmpを決定する。
このポンプの圧送量Qpmpは、実施例1で説明した式と同一の式、すなわち、
Qpmp=Qinj+Qils+Qild+Qlp+Qpcrup
の式によって算出される。
ここで、蓄圧室内の圧力を上昇させるために必要となる燃料量Qpcrupが、
Qpcrup=(ΔPcr/E)×V
このポンプの圧送量Qpmpは、実施例1で説明した式と同一の式、すなわち、
Qpmp=Qinj+Qils+Qild+Qlp+Qpcrup
の式によって算出される。
ここで、蓄圧室内の圧力を上昇させるために必要となる燃料量Qpcrupが、
Qpcrup=(ΔPcr/E)×V
なお、他の構成要素は実施例1と同様であるので共通する構成要素については図面中同一の参照番号を付してその詳細な説明は省略する。
次に本発明の実施例3について図4を参照しつつ説明する。実施例3の燃料蓄圧装置30と実施例1の燃料蓄圧装置1とは、実施例1における第1逆止弁7がオリフィス31に変更されている点が異なっている。
オリフィス31を備えた構成とすることにより、第1蓄圧室3から第2蓄圧室4への燃料の流通は可能な状態となっている。すなわち、実施例1や実施例2では、第1逆止弁5、21が開弁するためには第1蓄圧室3内の圧力が所定値以上となっていることが必要となるが、本実施例では常に第1蓄圧室3から第2蓄圧室4への燃料の流通は可能である。但し、オリフィス31により、第1蓄圧室3内の圧力と第2蓄圧室4内の圧力とは異なる値とすることができる。すなわち、燃料ポンプ2から第1蓄圧室32供給された燃料は、オリフィス31により第2蓄圧室4への流入が制限され、これに起因して第1蓄圧室3内の圧力は上昇する。特に、冷間始動時の燃料は、温度が低く動粘度が高い状態であるので、このようなオリフィス31における燃料の流通が制約を受け、第1蓄圧室圧3内の圧力速度はさらに高まる。
ここで、オリフィス31の径は、オリフィス流量がエンジンの燃焼サイクルの1行程、すなわち一回噴射した後、次回の噴射までの行程において、燃料噴射量と燃料リーク量との合計を噴射間隔(1サイクル)で割ることによって平均した燃料量となる径に設定されている。このとき、燃料噴射量と燃料リーク量との合計は想定される最大量に設定されている。
次に本発明の実施例4について説明する。図5に示した実施例4の燃料蓄圧装置40は、図1に示した実施例1の構成に、さらに第3逆止弁41を備えた構成となっている。この第3逆止弁41は、第1通路5上の第1逆止弁7と第1蓄圧室3との間に配置されている。すなわち、第1逆止弁7と第3逆止弁41とは直列に配置されている。このように第3逆止弁を配置することにより第1逆止弁7と第3逆止弁との間には連通路42が形成されている。この第3逆止弁41は、ボール41aをスプリング41bによって第1蓄圧室3側へ付勢する構成となっている。これにより、第1蓄圧室3内の圧力が連通路42内の圧力よりも所定値分上昇したときに第3逆止弁41が開弁状態となり第1蓄圧室3と連通路42とが連通する。本実施例では、第1蓄圧室3内の圧力と連通路42内の圧力の差が5MPaに達したときに開弁するようにスプリング強度がセットされている。すなわち、第1蓄圧室3内の圧力が連通路42内の圧力よりも5MPa以上高い状態のときに開弁状態となる。
以上のように構成される燃料蓄圧装置40は、第1蓄圧室3内と連通路42内の圧力差が5MPa以下となっており、さらに、第1蓄圧室3内と第2蓄圧室4内の圧力差が1MPa以下であるときは第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが分離された状態となる。このような状態のときにエンジン始動等を行うと燃料ポンプにより圧送された燃料は小容積の第1蓄圧室3内にのみ流入することとなるから第1蓄圧室3内の昇圧を即座に行うことができる。
より具体的に説明すると、第1逆止弁7は20MPaで開弁するが、第3逆止弁41は第1蓄圧室3内の圧力と連通路42内の圧力との差が5MPa以上とならない限り開弁しない。このため、第1蓄圧室3内の圧力が20MPa以上であっても第1蓄圧室3内の圧力と連通路42内の圧力との差が5MPa以下であれば第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との分離状態は維持される。
第3逆止弁41を備えていない場合、第1逆止弁7が開弁した後は第1蓄圧室3と第2蓄圧室4を合わせた容積に対して圧力が上昇することになるので圧力上昇の速度が鈍い。これに対し、第3逆止弁41を備えている場合は、第1蓄圧室3内の圧力が第1逆止弁7を開弁させる圧力よりも高くても、第3逆止弁41が閉弁していれば、第1蓄圧室3のみの小さい容積に対して圧力上昇するため圧力上昇の速度が向上する。
より具体的に説明すると、第1逆止弁7は20MPaで開弁するが、第3逆止弁41は第1蓄圧室3内の圧力と連通路42内の圧力との差が5MPa以上とならない限り開弁しない。このため、第1蓄圧室3内の圧力が20MPa以上であっても第1蓄圧室3内の圧力と連通路42内の圧力との差が5MPa以下であれば第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との分離状態は維持される。
第3逆止弁41を備えていない場合、第1逆止弁7が開弁した後は第1蓄圧室3と第2蓄圧室4を合わせた容積に対して圧力が上昇することになるので圧力上昇の速度が鈍い。これに対し、第3逆止弁41を備えている場合は、第1蓄圧室3内の圧力が第1逆止弁7を開弁させる圧力よりも高くても、第3逆止弁41が閉弁していれば、第1蓄圧室3のみの小さい容積に対して圧力上昇するため圧力上昇の速度が向上する。
以上説明したように、このような構成では、急加速時等に第1蓄圧室3内の圧力がより高い状態から第2蓄圧室4との連通が可能となる。
次に本発明の実施例5について図6を参照しつつ説明する。実施例5の燃料蓄圧装置50は、実施例1の構成に第1逆止弁7と並列に設置したオリフィス31を備えた構成となっている。
このような構成とすることにより、第1蓄圧室3から第2蓄圧室4への常に燃料が流入している。そして、第1蓄圧室3内の圧力が第1逆止弁7の開弁圧である20MPaに達すると第1通路5を通じても第1蓄圧室3と第2蓄圧室とが連通する。このとき、第2蓄圧室4内にはすでにオリフィス31を通じてわずかずつながら燃料が流入し、第2蓄圧室4内の圧力は上昇していることから、第1蓄圧室3内の圧力が急激に低下することを抑制することができる。
このような構成とすることにより、第1蓄圧室3から第2蓄圧室4への常に燃料が流入している。そして、第1蓄圧室3内の圧力が第1逆止弁7の開弁圧である20MPaに達すると第1通路5を通じても第1蓄圧室3と第2蓄圧室とが連通する。このとき、第2蓄圧室4内にはすでにオリフィス31を通じてわずかずつながら燃料が流入し、第2蓄圧室4内の圧力は上昇していることから、第1蓄圧室3内の圧力が急激に低下することを抑制することができる。
すなわち、第1蓄圧室3内の圧力が低い状態では、第1逆止弁7は閉弁しており、また第2蓄圧室4との連通はオリフィス31を介してのみであることから第1蓄圧室3内の圧力の昇圧は可能である。また、第2蓄圧室4内の圧力も徐々に上昇する。このため、第1逆止弁7が開弁したときの第1蓄圧室3内の圧力の急激な低下を抑制することができる。
また、第1蓄圧室3内の圧力が上昇し、第1逆止弁7が開弁状態となれば第1蓄圧室3と第2蓄圧室4の容積を合わせた容積を利用することができる。
次に本発明の実施例6について図7を参照しつつ説明する。実施例6の燃料蓄圧装置60は、実施例2の構成に第1逆止弁21と並列に設置したオリフィス31を備えた構成となっている。
この実施例6においても、第1蓄圧室3内の圧力が低い状態では、第1逆止弁21は閉弁しており、また第2蓄圧室4との連通はオリフィス31を介してのみであることから第1蓄圧室3内の圧力の昇圧は可能である。また、同時に第2蓄圧室4内の圧力も上昇する。さらに、第1蓄圧室3内の圧力の上昇が速く、第1蓄圧室3内の圧力と第2蓄圧室4内の圧力との差が大きくなり、第1逆止弁21が開弁状態となれば第1蓄圧室3と第2蓄圧室4の容積を合わせた容積を利用することができる。
次に本発明の実施例7について図8、図9を参照しつつ説明する。実施例7の燃料蓄圧装置70は、実施例5の燃料蓄圧装置50の第1逆止弁7を開弁圧が50MPaである第1逆止弁71に変更するとともに、開弁圧を35MPaとした第3逆止弁72を装着した構成となっている。この第3逆止弁72は第1逆止弁71と同様の構造を有している。すなわち、第3逆止弁72は第1蓄圧室3内の圧力に抗して付勢される弁体72aを備えた開閉弁である。本実施例の燃料蓄圧装置70では、この第3逆止弁72と第2蓄圧室4との間にオリフィス31が配置されている。本実施例における第1の流通制御手段は、第1逆止弁71、さらに第3逆止弁72とオリフィス31との組み合わせが相当する。
このような構成の燃料蓄圧装置70における第1蓄圧室3と第2蓄圧室4の圧力の変化を実施例1の燃料蓄圧装置1、実施例5の燃料蓄圧装置50と比較しつつ説明する。図9(a)は、実施例1の燃料蓄圧装置1における第1蓄圧室3と第2蓄圧室4の圧力の変化の様子を示したものであり、図9(b)は、実施例5の燃料蓄圧装置50における第1蓄圧室3と第2蓄圧室4の圧力の変化の様子を示したものである。また、図9(c)は本実施例の燃料蓄圧装置70における第1蓄圧室3と第2蓄圧室4の圧力の変化の様子を示したものである。なお、本実施例における第1逆止弁71の開弁圧は他の実施例における第1逆止弁7の開弁圧とは異なる。このため、図9では、それぞれの開弁圧に達することによる圧力の変化の様子を比較することとする。
まず、実施例1では、第1逆止弁7が開弁するまでは、第1蓄圧室3内の圧力のみが上昇し、第2蓄圧室4内の圧力は上昇しない。このとき、第1蓄圧室3に流入する燃料は第1蓄圧室3内の圧力のみを上昇させることから、早期の昇圧が可能となる。第1蓄圧室3内の圧力が第1逆止弁7の開弁圧に達し、第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通すると、第1蓄圧室3内の圧力は一時的に低下し、再び上昇する。一方、第2蓄圧室4内の圧力は第1逆止弁7の開弁とともに上昇する。第1蓄圧室3内の圧力と同一の圧力に達した後は第1蓄圧室3内の圧力とともに上昇する。
これに対し、実施例5では、オリフィス31により常に第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通した状態となっているので、第1逆止弁7が開弁する以前であっても第2蓄圧室4内の圧力はわずかずつではあるが上昇する。このように第1逆止弁7が開弁する以前から第2蓄圧室4内の圧力が上昇していることから第1逆止弁7が開弁した際の第1蓄圧室3内の急激な圧力の低下が抑制される。ただし、第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とがオリフィスを通じて連通していることから、第1逆止弁7が開弁する以前の第1蓄圧室3内の圧力の上昇が実施例1の場合と比較して緩慢となる。
これに対し、本実施例では第3逆止弁72が開弁するまでは第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とは遮断されており、第1蓄圧室3内の圧力の早期昇圧が可能となっている。その後、第1蓄圧室3内の圧力が第3逆止弁の開弁圧である35MPaに達するとオリフィス31を通じて第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通することから第2蓄圧室4内の圧力も徐々に上昇する。ただし、その一方、第1蓄圧室3内の昇圧速度は僅かに低下する。その後、第1蓄圧室3内の圧力が第1逆止弁71の開弁圧である50MPaに到達し、第1通路5を通じて第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通すると第2蓄圧室4内の圧力の上昇速度が増す。このとき、第1蓄圧室3内の圧力は一時的に低下するが、第2蓄圧室4内の圧力も上昇していることから第1蓄圧室3内の圧力の急激な低下は抑制される。
このように、本実施例の燃料蓄圧装置70は、第1蓄圧室3の早期昇圧を実現するとともに、第1逆止弁71が開弁したときの第1蓄圧室3内の圧力の急激な低下を抑制することができる。
次に本発明の実施例8について図10〜図12を参照しつつ説明する。実施例8の燃料蓄圧装置80は、実施例7におけるオリフィス31を可変オリフィス81に置き換えた構成となっている。この可変オリフィス81は、図11に拡大して示すように、第1蓄圧室3へ通じる連通路81aと複数の通路からなるオリフィス部81b、さらに連通室81cが形成されたケース81d内にスプリング81fで付勢された可動弁81eを内挿して構成されている。第1蓄圧室3から連通室81c内に燃料が流入するとこの連通質81cb内の圧力が上昇し、可動弁81eをスプリング81fの付勢力に抗して移動させる。可動弁81eが図11(a)に示す位置から図11(b)に示す位置に移動するとオリフィス部81bの流路面積が拡大する。すなわち、この可変オリフィス81を用いることによって、第1蓄圧室3内の圧力に応じて第2蓄圧室4への燃料の流入量を調整することができる。
このような構成の燃料蓄圧装置80における第1蓄圧室3と第2蓄圧室4の圧力の変化を実施例7の燃料蓄圧装置70と比較しつつ説明する。図12(a)は、実施例7の燃料蓄圧装置70における第1蓄圧室3と第2蓄圧室4の圧力の変化の様子を示したものであり、図12(b)は、本実施例の燃料蓄圧装置80における第1蓄圧室3と第2蓄圧室4の圧力の変化の様子を示したものである。
両者を比較すると、第3逆止弁72が開弁してからの第1蓄圧室3内の圧力の上昇速度が異なっている。すなわち、本実施例の燃料蓄圧装置80では実施例7の燃料蓄圧装置7と比較して速度の落ち込みが緩やかである。このため、早期の昇圧が可能であり、第1逆止弁71の開弁圧に到達するまでの時間も短時間である。また、本実施例では第1蓄圧室3内の圧力の上昇に伴って第2蓄圧室4内へ流入する燃料量も増加し、第2蓄圧室4内の圧力も上昇していることから第1逆止弁71が開弁した際の第1蓄圧室3内の圧力の低下を抑制することができる。
なお、可変オリフィスの形式は、図11に示した形式のものに限定されることはなく、他の形式のものを採用することもできる。例えば、図13に示すような可変オリフィス82を採用することもできる。図13に示した可変オリフィス82は、第1室82aと第2室82bが形成されたハウジング82cを備えており、第1室82aと第2室82bとはオリフィス部82dによって連通している。第1室82aには第1蓄圧室3からの接続管82eが設けらされ、また、オリフィス部82dには第2蓄圧室4への接続管82fが設けられている。このような構成の可変オリフィス82では、第1室82a内、第2室82b内、オリフィス部82dに第1蓄圧室3から燃料が流入し、内部の圧力が上昇すると、ハウジング82cが矢示83で示すように膨張し、オリフィス部82dの径も拡張される。これにより、第2蓄圧室4内へ流入する燃料量が増加する。すなわち、可変オリフィス82は、第1蓄圧室3内の圧力に応じて流量が変化する。冷間始動時の燃料は、温度が低く動粘度が高い状態であるので、このような可変オリフィス82における燃料の流通が制約を受け、第1蓄圧室圧3内の圧力速度はさらに高まる。
実施例9では、特定の条件下における燃料噴射制御の一例について説明する。
本発明の燃料蓄圧装置の基本的な構成は第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とを第1通路5と第2通路6とで接続し、この第1通路5に第1逆止弁やオリフィスを配置し、第2通路6に第2逆止弁を配置した構成となっている。このような構成の燃料蓄圧装置を備えたエンジンが、第1蓄圧室3内の圧力が第1逆止弁の開弁圧よりも低い条件で運転される条件下では、小容積となる第1蓄圧室3のみを用いた噴射となることを考慮した噴射指令が行われる。ところが、例えばいわゆるレーシングと呼ばれるアクセル操作を行った場合等、図14に示すように急激に第1蓄圧室3内の圧力が低下し、再び圧力が上昇するような運転がされると、その後の噴射指令に反する噴射が行われるおそれがある。すなわち、第1蓄圧室3内の圧力が低下して第2逆止弁が開弁すると第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通し、第1蓄圧室3内の圧力と第2蓄圧室4内の圧力とがほぼ同一となる。このため、噴射指令と実際の噴射とがことなる事態が生じ得る。
このような現象は実施例7や実施例8のように第3逆止弁を備えた構成の場合にも生じ得る。
本発明の燃料蓄圧装置の基本的な構成は第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とを第1通路5と第2通路6とで接続し、この第1通路5に第1逆止弁やオリフィスを配置し、第2通路6に第2逆止弁を配置した構成となっている。このような構成の燃料蓄圧装置を備えたエンジンが、第1蓄圧室3内の圧力が第1逆止弁の開弁圧よりも低い条件で運転される条件下では、小容積となる第1蓄圧室3のみを用いた噴射となることを考慮した噴射指令が行われる。ところが、例えばいわゆるレーシングと呼ばれるアクセル操作を行った場合等、図14に示すように急激に第1蓄圧室3内の圧力が低下し、再び圧力が上昇するような運転がされると、その後の噴射指令に反する噴射が行われるおそれがある。すなわち、第1蓄圧室3内の圧力が低下して第2逆止弁が開弁すると第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通し、第1蓄圧室3内の圧力と第2蓄圧室4内の圧力とがほぼ同一となる。このため、噴射指令と実際の噴射とがことなる事態が生じ得る。
このような現象は実施例7や実施例8のように第3逆止弁を備えた構成の場合にも生じ得る。
そこで、このような構成の燃料蓄圧装置が組み込まれた燃料噴射制御装置の燃料噴射制御手段(ECU12)は、第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との連通が遮断されているときは小容積用の第1の噴射時間−噴射量マップに基づいた燃料噴射を行い、第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との連通が許容されているときは大容積用の噴射時間−噴射量マップに基づいた燃料噴射を行う。
ここで、第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とが連通状態にあるか否かは双方の圧力を測定し、比較することによって把握することができる。そこで、ECU12は第1蓄圧室3と第2蓄圧室4がそれぞれ備える圧力センサ3a、4aから圧力値を取得し、第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との連通状態を算出し、その結果に基づいて使用するマップを選定する。
また、前記のような不都合を回避する手段として図15に示すような燃料蓄圧装置90を構成してもよい。燃料蓄圧装置90は、実施例7の燃料蓄圧装置70の第2蓄圧室4に減圧弁91を設置した構成となっている。このような構成の燃料蓄圧90は、ECU12により、第1逆止弁71及び第3逆止弁72が閉弁し、第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との連通が遮断された状態で、第2逆止弁8が開弁し、第1蓄圧室3から第2蓄圧室4との連通が許容される条件が満たさているか否かの判断を行う。この判断は第1蓄圧室3と第2蓄圧室4がそれぞれ備える圧力センサ3a、4aから圧力値を取得し、これらの値から算出する。その結果、上記の状態となっていると判断されたときは、ECU12は、減圧弁91に対し開弁指令を発する。
これにより、図16に示すように第2蓄圧室4内の圧力が低下するので、第1蓄圧室圧3内の圧力との間に差ができ、第2逆止弁8を閉弁させることができる。このため、ECU12は、制御マップとして小容積用の一の噴射時間−噴射量マップを備えていればよい。
次に本発明の実施例11について図17を参照しつつ説明する。実施例11は、第1逆止弁の他の構成を示すもので、第1蓄圧室3内の圧力に応じて開弁圧が変化する可変逆止弁の構成を示すものである。本実施例の可変逆止弁95は、第1蓄圧室3から燃料が流入する第1口部95a1と第2蓄圧室4へ燃料が流出する第2口部95a2が形成された第1室95を備えている。また、第1蓄圧室8から燃料が流入する第3口部95b1と減圧用の口部95b2が形成された第2室95bを備えている。この第1室95aと第2室95bとは軸受部95cで連通している。逆止弁95はさらに、シャフト95d1の一端側に鍔部95d2が設けられ、他端側に弁体95d3が設けられた可動子95dを備えている。この可動子95dは鍔部95d2が第1室95a内に位置し、弁体95d3が第2室95b内に位置するようにシャフト95d1を軸受部95cに支持させている。さらに、第1室95a内にはボール弁95eと、このボール弁95eと鍔部95d2との間で狭持される第1スプリング95fを備えている。また、第2室95b内には弁体95d3を第1室95a側へ付勢する第2スプリング95gが装着されている。
以上のように構成される可変逆止弁95は、図17(a)に示した状態から第1蓄圧室3内の圧力が上昇すると第2室95b内の弁体95d3が矢示96の方向へ押される。これに伴って、鍔部95d2も同一の方向へ移動する。これにより第1スプリング95fが伸びボール弁95eを第1口部95a1へ押し付ける力が弱まる。この結果、可変逆止弁95の開弁圧は低下する。
すなわち、可変逆止弁95は、第1蓄圧室3内の圧力が上昇すると開弁圧が
低下する。従って、第1蓄圧室3内の圧力が低いときは高い開弁圧によって第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との分離が図られている。また、第1蓄圧室3内の圧力が高いときは低い開弁圧によって第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との分離が図られている。このため、第1蓄圧室3内の圧力が高いときは第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とは容易に連通することができ、第1蓄圧室3内と第2蓄圧室4内の圧力差が大きくなることが回避されている。
低下する。従って、第1蓄圧室3内の圧力が低いときは高い開弁圧によって第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との分離が図られている。また、第1蓄圧室3内の圧力が高いときは低い開弁圧によって第1蓄圧室3と第2蓄圧室4との分離が図られている。このため、第1蓄圧室3内の圧力が高いときは第1蓄圧室3と第2蓄圧室4とは容易に連通することができ、第1蓄圧室3内と第2蓄圧室4内の圧力差が大きくなることが回避されている。
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
1、20、30、40、50、60、70、80、90 燃料蓄圧装置
2 燃料ポンプ
3 第1蓄圧室
4 第2蓄圧室
5 第1通路
6 第2通路
7、21、71 第1逆止弁
8 第2逆止弁
11 ON/OFF弁
12 ECU
13 インジェクタ
31 オリフィス
41、72 第3逆止弁
81、82 可変オリフィス
95 可変逆止弁
2 燃料ポンプ
3 第1蓄圧室
4 第2蓄圧室
5 第1通路
6 第2通路
7、21、71 第1逆止弁
8 第2逆止弁
11 ON/OFF弁
12 ECU
13 インジェクタ
31 オリフィス
41、72 第3逆止弁
81、82 可変オリフィス
95 可変逆止弁
Claims (12)
- 燃料ポンプから燃料が供給されるとともにインジェクタへ燃料を送出する第1蓄圧室と、
当該第1蓄圧室との間で燃料の授受が行われる第2蓄圧室と、
前記第1蓄圧室から前記第2蓄圧室へ燃料流入を制御する第1の流入制御手段と、
前記第2蓄圧室から前記第1蓄圧室への燃料流入を制御する第2の流入制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料蓄圧装置。 - 請求項1記載の燃料蓄圧装置において、
前記第2の流入制御手段は、前記第1蓄圧室内の圧力と前記第2蓄圧室の圧力との差によって開閉状態が切り替わる逆止弁であることを特徴とした燃料蓄圧装置。 - 請求項1記載の燃料蓄圧装置において、
前記第1の流入制御手段は、前記第1蓄圧室内の圧力と前記第2蓄圧室内の圧力との差によって開閉状態が切り替わる逆止弁であることを特徴とした燃料蓄圧装置。 - 請求項1記載の燃料蓄圧装置において、
前記第1の流入制御手段は、前記第1蓄圧室内の圧力に抗して付勢される弁体を備えた開閉弁であることを特徴とした燃料蓄圧装置。 - 請求項1記載の燃料蓄圧装置において、
前記第1の流入制御手段は、オリフィスであることを特徴とした燃料蓄圧装置。 - 請求項1記載の燃料蓄圧装置において、
前記第1の流入制御手段は、第1蓄圧室内の圧力に応じて開閉する逆止弁と、当該逆止弁と前記第2蓄圧室との間に配置され、前記逆止弁が開弁したときに前記第1蓄圧室内の圧力に抗して付勢される弁体を備えた開閉弁との組み合わせであることを特徴とする燃料蓄圧装置。 - 請求項1記載の燃料蓄圧装置において、
前記第1の流入制御手段は、前記第1蓄圧室内の圧力に抗して付勢される弁体を備えた開閉弁と、当該開閉弁と前記第2蓄圧室との間に配置されたオリフィスとの組み合わせであることを特徴とした燃料蓄圧装置。 - 請求項5又は7記載の燃料蓄圧装置において、
前記オリフィスは前記第1蓄圧室内の圧力に応じて流量が変化する可変オリフィスとしたことを特徴とする燃料蓄圧装置。 - 請求項1記載の燃料蓄圧装置において、
前記第1蓄圧室から前記第2蓄圧室へ燃料が流入する際に前記第1蓄圧室へ圧送する燃料量を制御する燃料調量手段を備えたことを特徴とした燃料蓄圧装置。 - 請求項1記載の燃料蓄圧装置において、
前記第2の流入制御手段は、前記第1蓄圧室内の圧力に応じて開弁圧が変化する可変逆止弁であることを特徴とした燃料蓄圧装置。 - 請求項1乃至10のいずれか一項記載の燃料蓄圧装置を備えた燃料噴射装置であって、
前記第1蓄圧室と前記第2蓄圧室との連通が遮断されているときは小容積用の第1の噴射時間−噴射量マップに基づいた燃料噴射を行うともに、前記第1蓄圧室と前記第2蓄圧室との連通が許容されているときは大容積用の噴射時間−噴射量マップに基づいた燃料噴射を行う燃料噴射制御手段を備えたことを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1乃至10のいずれか一項記載の燃料蓄圧装置を備えた燃料噴射装置であって、
前記第2蓄圧室に減圧弁を備えるとともに、
前記第1の流入制御手段により前記第1蓄圧室と前記第2蓄圧室との連通が遮断された状態で前記第2の流入制御手段による前記第1蓄圧室から前記第2蓄圧室との連通が許容される条件が満たされるときに前記減圧弁を開弁する制御を行う燃料噴射制御手段を備えたことを特徴とした燃料噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006352787A JP2008163806A (ja) | 2006-12-27 | 2006-12-27 | 燃料蓄圧装置及び燃料噴射装置 |
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Family
ID=39693611
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JP2006352787A Pending JP2008163806A (ja) | 2006-12-27 | 2006-12-27 | 燃料蓄圧装置及び燃料噴射装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008163806A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011033038A (ja) * | 2009-08-05 | 2011-02-17 | Robert Bosch Gmbh | 容積が減少させられた高圧蓄圧器 |
CN102444514A (zh) * | 2010-10-06 | 2012-05-09 | 罗伯特·博世有限公司 | 可变的高压储存器 |
JP2019218873A (ja) * | 2018-06-15 | 2019-12-26 | ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh | コモンレール及び燃料噴射システム |
DE102009061750B3 (de) | 2009-08-20 | 2021-09-09 | Ford Global Technologies, Llc | Schnellstart eines Common Rail-Systems |
-
2006
- 2006-12-27 JP JP2006352787A patent/JP2008163806A/ja active Pending
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