JP2008162832A - ウェーハの検査方法とウェーハの検査装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のN領域の検査方法によると、ウェーハ2内に形成されている結晶欠陥4の存在部位と結晶欠陥4の非存在部位に対するエッチング速度が異なる異方性ドライエッチングを実施する。この異方性ドライエッチングにより、ウェーハ2の表面には結晶欠陥4を頂点とする円錐状のエッチング残渣6が残される。このエッチング残渣6を測定し、その測定値を評価することで、ウェーハ2のN領域の品質を検査することができる。
【選択図】図1
Description
半導体装置に安定した特性を持たせるために、シリコン単結晶の成長時に結晶欠陥の密度およびサイズを低減したいとする要求が存在しており、その要求に応じるための技術が開発されている。
従来の結晶欠陥の測定方法では、薬液を用いたエッチングを利用して結晶欠陥を測定する。あるいは、ウェーハに光を入射させ、結晶欠陥部での光散乱を利用して結晶欠陥を測定する。従来の方法によって測定する限り、N領域のウェーハの結晶欠陥密度は低いという測定結果が得られる。しかしながら、従来の測定方法では、微小な結晶欠陥が見落とされてしまっているのに過ぎない。本出願人らが開発した微小な結晶欠陥まで測定できる技術で測定してみると、N領域のウェーハの結晶欠陥密度は必ずしも低くない。そしてウェーハから製造する半導体装置の種類によっては、N領域のウェーハに存在する結晶欠陥密度によって、半導体装置の特性が影響を受けることがわかってきた。
本出願人らの研究によって、結晶欠陥が少ないことがわかっているために結晶欠陥密度を評価する必要がないと認識されていたN領域のウェーハについても、その結晶欠陥密度を評価する必要があることがわかってきた。また、N領域のウェーハの結晶欠陥密度を測定して評価することが可能となってきた。
上記の検査方法の測定工程では、エッチング残渣を測定する。ここで測定する対象には、エッチング残渣の個数、エッチング残渣の形態、エッチング残渣の大きさ、エッチング残渣の位置又はこれらの組み合せを含む。上記の検査方法では、異方性のドライエッチングを利用して微小な結晶欠陥さえも円錐状のエッチング残渣として顕在化させることができる。このため、上記の測定工程では、微小な結晶欠陥の存在を反映した測定値を得ることができる。
上記の検査方法によると、微小な結晶欠陥の存在を反映した測定値を得ることができるので、ウェーハの品質を正確に評価することができる。
この検査方法によると、ウェーハのN領域内に本検査方法で検出できない大きさの結晶欠陥が存在している場合であっても、ウェーハを加熱することで、その微小な結晶欠陥を構成している原子が酸化され、酸化物が形成される。本検査方法で検出できる大きさ(4nm以上)の酸素析出欠陥を形成することができ、未だ顕在化されていない結晶欠陥さえも顕在化させることが可能となる。
この場合の異方性ドライエッチング工程では、加熱工程後に、結晶欠陥の存在部位に対するエッチング速度と結晶欠陥の非存在部位に対するエッチング速度が異なる異方性エッチングを実施する。この異方性エッチングは、例えば、酸化物に対する選択比が高いエッチング材を用いて実施することができる。結晶欠陥の存在する部位のエッチング速度が遅く、かつ、結晶欠陥の存在しない部位、すなわちウェーハを構成している原子が綺麗に結晶構造を形成している部位のエッチング速度が速い異方性エッチングを実施すると、ウェーハの表面に酸素析出欠陥あるいは空洞欠陥等の酸化物で構成される結晶欠陥を頂点とする円錐状のエッチング残渣が残される。この方法によると、非常に微細な結晶欠陥であっても円錐状のエッチング残渣に顕在化するので、円錐状のエッチング残渣の数や大きさ等を測定することで、ウェーハのN領域内に存在する結晶欠陥を検出することができる。上記の検査方法によると、エッチング残渣の測定値を用いて、ウェーハのN領域内に酸素析出欠陥等の結晶欠陥が存在する程度を評価することができる。ウェーハのN領域の品質について正確な評価を行うことができる。
上記の検査方法によると、N領域内に存在する結晶欠陥が所定の量よりも少ないか多いかを指標にして、高品質なN領域を有するウェーハを選別することができる。すなわち、単位面積あたりのエッチング残渣数を計測して閾値と比較することで、高品質なN領域を有するウェーハなのか低品質なN領域を有するウェーハなのかを選別することができる。ウェーハのN領域の品質に対して正確な評価を行うことができる。
製造する半導体装置の種類によっては、結晶欠陥が極めて少ないウェーハを用いる必要がある場合と、結晶欠陥の存在がある程度は許容される場合がある。本明細書で開示される技術を用いると、製造する半導体装置の種類に応じて適切な条件を満たすウェーハを選別することが可能となる。
この検査方法によると、半導体チップを形成しない一部の領域に異方性エッチングを実施することで、そのウェーハのN領域の評価を行うことができる。ここでいう半導体チップが形成されない一部の領域とは、例えば、ダイシング前のダイシングライン上に位置する領域であってもよいし、マスク合わせマーク用に設けられている領域であってもよい。ウェーハを無駄にせずに、ウェーハのN領域に対して正確な評価を行うことができる。半導体チップを製造するウェーハ自体の品質を評価することができる。半導体チップを高歩留まりで製造することができる。
検査装置は、結晶欠陥の存在部位に対するエッチング速度と結晶欠陥の非存在部位に対するエッチング速度が異なる異方性のドライエッチングが実施されたウェーハの表面に残された円錐状のエッチング残渣を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された前記エッチング残渣の測定値を評価する評価手段を備えている。
(特徴1)異方性ドライエッチング工程では、高選択比RIEによるエッチングを行う。
(特徴2) ウェーハ上に検査用の検査領域を設けておき、その検査領域に対して異方性エッチング工程を行う。
(特徴3) ダイシング前のウェーハを複数の領域にダイシングするダイシングラインに対して異方性エッチング工程を行う。
(特徴4) ウェーハのアラインメントに用いる合わせマークを形成する領域に対して異方性エッチング工程を行う。
検査するウェーハはN領域20が形成された範囲を有していればよく、上記の(1)〜(3)のいずれの位置より得られたウェーハであっても、そのN領域20の検査を実施することができる。
これに対し、本検査方法によって上記のV領域のウェーハとN領域のウェーハの結晶欠陥密度を測定したところ、図3のグラフ中の白抜きで示す結果が得られた。結晶欠陥密度の低減が図られたと考えられていたN領域のウェーハであるにも関わらず、本検査方法によって検査したところ、微細な結晶欠陥が存在するために、実際には(2)に示すV領域のウェーハよりも(4)に示すN領域のウェーハのほうが高い結晶欠陥密度を有していることがわかった。
図2に、本検査方法によって測定されたV領域のウェーハとN領域のウェーハの結晶欠陥の分布を表わす図を示す。縦軸は結晶欠陥密度を示し、横軸はウェーハの半径を示している。上記のV領域のウェーハに対して本検査方法の異方性エッチングを実施したところ、(1)に示すように、サイズの大きい(従来の検査方法でも検出可能なサイズの)結晶欠陥がウェーハの全面にほぼ均一に存在することが確認された。この一方で、上記のN領域のウェーハに対して本検査方法の異方性エッチングを実施したところ、(2)に示すように、ウェーハの外周から中心に近づくにつれて、微小な結晶欠陥が多く存在していることが確認された。この微小な結晶欠陥は従来の技術では検出不能であり、中心近傍に多く存在する微小な結晶欠陥が検出されていなかったために、図3の(1)と(3)の結果が得られていたことがわかった。
今回の試験に用いたN領域のウェーハは、その中心部分に微細な結晶欠陥を多く含んでいることがわかった。仮に、このN領域のウェーハを用いるならば、特性が安定しない不良な半導体装置が製造されてしまうおそれがある。従来の検査方法によると、上記の試験に用いたN領域のウェーハには微小な結晶欠陥が形成されているにも関わらず、それらの微小な結晶欠陥が見落とされてしまうために、ウェーハが高品質であると評価されてしまう。従来のウェーハの検査方法では、ウェーハの品質の評価を正確に行うことができない。
図8に、本検査方法の工程を表わすフローチャートを示す。また、図1に、結晶欠陥を顕在化させる処理を表わす図を示す。図1(a)のウェーハ2は、図6の(2)の速度で成長したシリコン単結晶のインゴット16のからスライスされたものである。このウェーハ2には、インゴット16の成長時に導入された空洞欠陥あるいは酸素析出欠陥等の、微小な結晶欠陥4が存在している。
そのような異方性ドライエッチングを実施すると、ウェーハ2の表面には結晶欠陥4を頂点とする円錐状のエッチング残渣6が残される。図1(b)に、異方性ドライエッチング処理後のウェーハ2の様子を表わす。
図7の検査装置24は、ハードディスク26と、CCDカメラ28と、操作部30と、表示部32と、CPU34と、ROM36と、RAM38を備えている。この検査装置24を用いると、エッチング残渣6が残されたウェーハ2の表面の画像をCCDカメラ28で撮像し、その画像データをRAM38に記憶することができる。また、画像データに対して画像処理を実行し、エッチング残渣を測定し、測定によって得られた値を予め設定されている閾値と比較し、ウェーハ2を評価することができる。
上記の測定工程後に、単位面積あたりのエッチング残渣数を計算する(図8のステップS6)。本実施例では、このステップにおいてステップS4で作成した画像データに対してエッジ抽出等の画像処理を実行して単位面積あたりのエッチング残渣数を計算する。算出された値は、図7の検査装置24のRAM38に記憶しておくことができる。画像データをRAM38に記憶してもよい。
このステップでは、例えば、ウェーハ2のN領域内に存在する結晶欠陥が所定の量よりも少ないことを指標にして、ウェーハ2が高品質であるか否かを評価することができる。すなわち、単位面積あたりのエッチング残渣数から算出した値と閾値を比較し、閾値以下であるか否かによって高品質なN領域を有するウェーハを選別することができる。ウェーハのN領域の品質に対して正確な評価を行うことができる。高品質の半導体装置を高歩留まりで製造することができる。各ウェーハの評価を検査装置24のRAM38に記憶しておき、製造する半導体装置の種類に応じて適切な条件を満たすウェーハを選別することもできる。
図9に、第2実施例の検査方法の工程を表わすフローチャートを示す。また、図10に、結晶欠陥を顕在化させる処理を表わす図を示す。図10(a)のウェーハ40は、図6の(2)の速度で成長したシリコン単結晶のインゴット16のからスライスされたものである。このウェーハ40では、インゴット16の成長時に導入された結晶欠陥4と、さらに微小な結晶欠陥(図10(a)では図示せず)が混在している。
本検査方法では、まず、ウェーハ40を加熱処理する(図9のステップS10)。600〜1100℃でウェーハ40を加熱処理(アニーリング)すると、ウェーハ40の表面にはシリコン酸化膜が形成されることがある。同時に、ウェーハ40の内部では、結晶欠陥4および結晶欠陥4よりもさらに微小な結晶欠陥を取り囲むシリコン原子とウェーハ中に含まれている酸素の化学反応により、結晶欠陥が粗大化する。この結果として、結晶欠陥4が酸化されたことにより結晶欠陥5が形成されるとともに、ウェーハ40内に存在していた微小な結晶欠陥が酸化されたことにより、加熱によって本検査方法で検出可能な大きさの結晶欠陥7が形成される。図10(b)に、加熱処理によって顕在化された結晶欠陥5および7を示す。
本実施例の検査方法によると、異方性ドライエッチング工程をウェーハの半導体チップが形成されない一部の領域に実施することで、ウェーハを破壊せずにウェーハのN領域内に存在する結晶欠陥の検査を行うことができる。図4に、本実施例のウェーハ8の平面図を示す。ウェーハ8の表面には、ダイシングライン上に位置する溝10と、アラインメント用の合わせマーク13が形成されている。溝10と合わせマーク13が形成されていないその他の領域12は、半導体チップが形成される領域である。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
4,5,7:結晶欠陥
6,14:エッチング残渣
10:溝
12:半導体チップ形成面
13:合わせマーク
16:インゴット
18:V領域
19:OSF領域
20:N領域
22:I領域
24:検査装置
26:ハードディスク
28:CCDカメラ
30:操作部
32:表示部
34:CPU
36:ROM
38:RAM
Claims (6)
- ウェーハのN領域内に存在する結晶欠陥を検出してウェーハを検査する方法であって、
結晶欠陥の存在部位に対するエッチング速度と結晶欠陥の非存在部位に対するエッチング速度が異なる異方性のドライエッチングを実施する異方性ドライエッチング工程と、
前記異方性ドライエッチング工程後に前記ウェーハの表面に残された円錐状のエッチング残渣を測定する測定工程と、
前記測定工程によって測定された測定値を評価する評価工程と、
を備えているウェーハの検査方法。 - 前記異方性ドライエッチング工程を実施するのに先立って、ウェーハを加熱して未だ顕在化されていない結晶欠陥を顕在化させる加熱工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1のウェーハの検査方法。
- 前記測定工程は、単位面積あたりのエッチング残渣数を計測する計測工程を有し、
前記評価工程は、その計測値と閾値を比較する比較工程を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のウェーハの検査方法。 - 前記閾値は、そのウェーハを用いて製造する半導体装置の種類に応じて決定されることを特徴とする請求項3に記載のウェーハの検査方法。
- 前記異方性ドライエッチング工程を、
半導体チップを形成しないウェーハの一部の領域に実施することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のウェーハの検査方法。 - ウェーハのN領域内に存在する結晶欠陥を検出してウェーハを検査する装置であって、
結晶欠陥の存在部位に対するエッチング速度と結晶欠陥の非存在部位に対するエッチング速度が異なる異方性のドライエッチングが実施されたウェーハの表面に残された円錐状のエッチング残渣を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された測定値を評価する評価手段と、
を備えているウェーハの検査装置。
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