JP2008161885A - 連続鋳造機の冷却設備と鋳片の冷却方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連続鋳造機1で鋳造された鋳片2を下流側に配置された加熱炉3に装入する前に冷却する冷却装置4を備えた連続鋳造機の冷却設備において、冷却装置16は、鋳片2を200〜1200mmピッチで配置可能な冷却床20と、この冷却床20の下側に配置され且つ冷却床20に載置された鋳片2の下面側に向けて、吹きつけ角:0〜50°,風速:2〜20m/secで冷却風を送風する冷却ファン21とを有している。
【選択図】図1
Description
しかしながら、鋳片の割れが進展し割れが深くなった場合(大きな割れとなった場合)、前述のホットスカーフ処理だけでは対応できないことがある。このような場合、鋳片において疵が残存することになることから、ホットスカーフとは異なる他の工程で疵取りを行う作業が発生したり、製造品の品質の低下に繋がる問題となる。
この3次冷却では、鋳片を冷却することで鋳片のオーステナイト組織を例えばベイナイト組織に変態させて微細化させ、連続鋳造後の工程において鋳片に応力等がかかっても鋳片の組織の粒界に沿って鋳片の割れが進展しないようにするものである。
なお、上述した3次冷却とは異なるが鋳片を冷却する方法として特許文献3〜6に示すものがある。
特許文献3〜6に示す冷却方法では、冷却床に載置された鋳片に向けて冷却風(例えば、風やミストを含んだ風)などを送ることで鋳片を冷却するものである。
したがって、特許文献1〜2に示すような冷却方法であっても、安定的に鋳片の組織全体を微細組織に変態させることは非常に難しいのが実情である。
特許文献3〜6に示すような冷却方法は、鋳片を冷却するものではあるが、冷却する条件等は全く開示されていないばかりか、鋳片を微細組織に変態させるものでないので、3次冷却を行う方法としては適用することができない。
連続鋳造機で鋳造された鋳片を下流側に配置された加熱炉に装入する前に冷却する冷却装置を備えた連続鋳造機の冷却設備において、前記冷却装置は、前記鋳片を200〜1200mmピッチで配置可能な冷却床と、この冷却床の下側に配置され且つ冷却床に載置された鋳片の下面側に向けて、吹きつけ角:0〜50°,風速:2〜20m/secで冷却風を送風する冷却ファンとを有している点にある。
本発明のたの手段は、連続鋳造機で鋳造された鋳片を加熱炉に装入する前に冷却する冷却方法において、前記鋳片を200〜1200mmピッチで配置し、配置した鋳片の下面に対して、吹きつけ角:0〜50°,風速:2〜20m/secの冷却風を送風することで、当該鋳片を冷却する点にある。
その結果、鋳片を略同じ風速で均一に冷却するために鋳片の下面側に向けて冷却風を送風する方法を採用した。その上で発明者は、鋳片に対する冷却風の吹きつけ角を0〜50°、風速を2〜20m/sec、鋳片の配列ピッチを200〜1200mmにすることによって、鋳片を微細なフェライト−パーライト組織に変態することができ、鋳片の表面の割れが進展し難いことを実験等により見出した。
図1は、本発明の冷却設備を備えた連続鋳造機を示している。
図1に示すように、連続鋳造機1は、例えば、鋳片(例えば、ブルーム)2を鋳造する連続鋳造機であって、鋳造後の鋳片2を加熱する加熱炉3の上流側に設置されている。加熱炉3は、図示しない分塊圧延ラインの上流側に配置されていて鋳片2を圧延に適した温度まで上昇させるものである。連続鋳造機1と加熱炉3とは近接していて連続したライン上に設置された状態となっている。加熱炉3に連なる連続鋳造機1の最下流側には、鋳造した鋳片2を冷却する冷却設備4が設置されている。
以下、連続鋳造機1、冷却設備4について詳しく説明する。
連続鋳造機1は、取鍋9から供給された溶鋼を一時的に貯留するタンディッシュ10と、このタンディッシュ10からの溶鋼が供給される鋳型11と、この鋳型11により成型された鋳片2を引き出すと共に、鋳片2をサポートする複数のサポートロール12とを有している。この実施の形態の連続鋳造機1では、2ストランドのブルームを鋳造するものである。
連続鋳造機1の下流側には、鋳造した鋳片2を所定の長さに切断する切断装置14(ガスカッター)が設けられており、この切断装置14の下流側に前記冷却設備4が設けられている。
図2に示すように、搬送装置15は、切断した鋳片2を搬送する複数の搬送ロール17と、搬送ロール17で所定の位置まで搬送された鋳片2を冷却装置16に引き渡す引き渡し機構18とを有している。
引き渡し機構18は、例えば、搬送ロール17で搬送された鋳片2を持ち上げて、持ち上げた鋳片2を冷却装置16へ向けてスライドさせる複数のスライド部材18aを有している。この実施の形態のスライド部材18aは搬送ロール17で搬送している鋳片2の搬送方向を90°変更し、鋳片2を冷却装置16へ向けてスライドさせるものである。
具体的には、冷却床20は、鋳片2のスライド方向に延び且つ移動不能に固定された複数の固定バー22と、スライド方向に延び且つ移送方向に移動可能な複数の可動バー23とを有している。
各固定バー22には、鋳片2の下面を載置する載置部25が長手方向に複数設けられている。固定バー22に対する載置部25の配列ピッチ(長手方向の配列間隔)は、一定値であって、固定バー22に設けられた載置部25を平面視すると、各載置部25は長手方向と直交する方向に直線状に並んだ状態となっている。
可動バー23は、固定バー22の間に配置され且つスライド方向(搬送方向)に往復移動するものであって、スライド部材18aにより冷却床20の近傍まで搬送された鋳片2を持ち上げて、下流側に搬送して固定バー22の載置部25に据え置くように構成されている。
図4に示すように、各冷却ファン21は、当該冷却ファン21の中心から冷却床20に据え置かれた鋳片2の下面の中央部を結ぶ角度(以降、吹きつけ角ということがある)θ1,θ2,θ3が調整可能となっている。各冷却ファン21の吹きつけ角θ1〜θ3はそれぞれ0〜50°になるように設定されている。
本発明の冷却設備4では、冷却床20に切断した鋳片2を載置した後、可動バー23を往復移動させることで、鋳片2を順に載置部25の配列ピッチで下流側に移動しながら、冷却ファン21により鋳片2を冷却する。冷却床20の最下流に位置し冷却床20上での冷却が終了した鋳片2は当該冷却床20から搬送装置15に略平行な第2搬送装置19に載せられて、加熱炉3に直接、装入される。
本発明の冷却設備4、即ち、冷却方法では、鋳片2を冷却する際、鋳片2を200〜1200mmピッチで配置し、鋳片2に対して吹きつけ角θ1〜θ3:0〜50°,風速V1〜V3:2〜20m/secで冷却風を送風する。そして、冷却床20で冷却が完了した鋳片2は、前記搬送装置15とは異なる第2搬送装置19によって加熱炉3に装入する。
図5に示すように、本発明の冷却方法では、冷却ファン20の冷却によって、鋳片2を加熱炉3に装入する前の鋳片温度をAc1変態温度以下としており(ポイントE)、鋳片2の組織を粒の大きいオーステナイト組織(γ組織)から粒の小さなフェライト−パーライト組織(α+P組織)へと変態させている。鋳片2の組織をフェライト−パーライト組織にした状態で、当該鋳片2を加熱炉3に装入していることから加熱後の組織を粒の非常に小さな新たな組織とすることができる(ポイントF)。
一方で、鋳片2を冷却しても、鋳片2を加熱炉3に装入する前の鋳片温度がAc3変態温度以上となった場合(ポイントA)、冷却後の鋳片2の組織は粒の大きいオーステナイト組織となる。この状態で鋳片2を加熱炉3に装入して当該鋳片2を加熱すると加熱後の組織は、フェライト−パーライト組織とならず粒の大きいオーステナイト組織のままであることを確認している(ポイントB)。
表1、表2は、鋳片ピッチL1,L2、吹きつけ角(鋳片冷却角度)θ1〜θ3、風速V1〜V3を適宜変化させて、鋳片2を冷却した実験結果(鋳片冷却テスト結果)である。
連続鋳造機1で300×430mmとなるブルーム(鋳片2)を鋳造し、当該鋳片2をAc3変態温度以上(800〜950℃)で切断して搬送及び冷却を行った。鋳片ピッチL1〜L3を0〜1500mmの間で変化させ、吹きつけ角θ1〜θ3を−10〜60°の間で変化させた。固定バー22と可動バー23との距離P、即ち、冷却床20のピッチPを、1000〜2500mmとした。なお、表1、表2において、冷却時間は鋳片切断からの時間としているが、実質的に鋳片2を切断してから切断した鋳片2を冷却床20まで搬送する時間は1〜2分であるため、冷却床20で鋳片2を冷却した時間は30〜59分である。冷却した鋳片2は、分塊圧延後(加熱→圧延→ホットスカーフ→圧延)、平滑化処理(表面スケール除去)し、磁粉探傷試験を行った。磁粉探傷試験では、鋳片2の縦横の4面について調査(試験)を行った。表1、表2において、鋳片2の表面割れ(表面欠陥)の表示[○][×]は、磁粉探傷試験JIS-G-0565(鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉検査)に基づいて試験を行い、表面欠陥を評価したものである。
[風速の影響について]
表1に示すように、冷却ファン21の風速V1〜V3を0m/secにした場合、即ち、冷却ファン21で鋳片2に対して送風を行わなかった場合、鋳片ピッチL1,L2をいかなる状態にしても表面欠陥が確認された。鋳片2の下面側は鋳片2の上面と比較して熱が滞留し易く、鋳片2の冷却速度が遅くなるため、同じ時間の冷却では下面と上面では温度差が発生することになる。
冷却ファン21の風速V1〜V3を20m/secよりも大きくした場合、鋳片ピッチL1,L2をいかなる状態にしても表面欠陥が確認された。風速V1〜V3が20m/secよりも大きくなると鋳片2のコーナ部を冷却し過ぎると共に、鋳片2の下面をも冷却し過ぎることになる。
よって、本発明の冷却方法では、鋳片2を冷却する際は、鋳片2の割れの生じない風速V1〜V3は2〜20m/secとしている。
[鋳片ピッチの影響について]
鋳片2を冷却する場合、冷却ファン21の風速V1〜V3を2〜20m/secに制御しても鋳片ピッチL1,L2によって最適値があることが確認した。
また、鋳片ピッチL1,L2を1200mmよりも大きくした場合、輻射熱の影響が少なくなり、風速V1〜V3を2〜20m/secにして冷却すると、鋳片2の隣り合う側面の温度が鋳片2の上面に比べて下がりやすくなる。よって、鋳片2の側面が過冷却状態となるので、鋳片2を加熱炉3に装入した際に、鋳片2の側面が急激に膨張して歪みによって割れが大きなものとなる。
[吹きつけ角(冷却角度)について]
鋳片2を冷却する場合、冷却ファン21の風速V1〜V3を2〜20m/secに制御し且つ鋳片ピッチL1,L2を200〜1200mmとしても、吹きつけ角θ1〜θ3に最適値があることを確認した。
冷却ファン21の吹きつけ角θ1〜θ3を0°より小さくした場合、即ち、図4に示すように、冷却ファン21の中心部の向きを水平線Nよりも下側に向けた場合、冷却ファン21から送風した冷却風が下側に流れやすくなって鋳片2に冷却風が当たりにくくなるので、冷却床20に載置した鋳片2を幅広く冷却することができない。その結果、鋳片2は温度がAc1変態温度以下まで下がらず、その結果、鋳片2の表面欠陥が確認された。
加熱炉3に装入前の鋳片2の温度と鋳片2の表面欠陥の個数(400m当たりの表面欠陥)をまとめると、図6に示すような結果となった。即ち、図6に示すように、本発明の冷却方法によれば、加熱炉3に装入前の鋳片2の温度を、Ac1変態温度以下である大凡500℃〜650℃の範囲とすることができ、鋳片2の表面欠陥の個数を無くすことができる。
2 鋳片
3 加熱炉
4 冷却設備
16 冷却装置
20 冷却床
21 冷却ファン
Claims (2)
- 連続鋳造機で鋳造された鋳片を下流側に配置された加熱炉に装入する前に冷却する冷却装置を備えた連続鋳造機の冷却設備において、
前記冷却装置は、前記鋳片を200〜1200mmピッチで配置可能な冷却床と、この冷却床の下側に配置され且つ冷却床に載置された鋳片の下面側に向けて、吹きつけ角:0〜50°,風速:2〜20m/secで冷却風を送風する冷却ファンとを有していることを特徴とする連続鋳造機の冷却設備。 - 連続鋳造機で鋳造された鋳片を下流側に配置された加熱炉に装入する前に冷却する冷却方法において、
前記鋳片を200〜1200mmピッチで配置し、配置した鋳片の下面に対して、吹きつけ角:0〜50°,風速:2〜20m/secの冷却風を送風することで、当該鋳片を冷却することを特徴とする鋳片の冷却方法。
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