JP2008156471A - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、電気・電子部品、汎用半導体装置、光半導体装置等における半導体を封止するために用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置に関するものである。
従来より、電気・電子部品、汎用半導体装置、光半導体装置等における半導体の封止方法として、エポキシ樹脂組成物やシリコン樹脂組成物等による封止方法や、ガラス、金属、セラミック等を用いたハーメチックシール法が知られている。特に、エポキシ樹脂は、密着性、耐湿性、電気絶縁性、耐熱性、透明性等の点で優れており、さらに、大量生産可能でありコストメリットがあるため、近年ではエポキシ樹脂組成物を用いた封止方法が主流となっている。そして、エポキシ樹脂組成物を用いた封止方法としては、トランスファー成形により連続的に封止する方法が汎用されている。例えば、タブレット状に加工したエポキシ樹脂組成物からなる封止材料をトランスファー成形機に取り付けられた金型に備えたポットに装填し、加熱して溶融させた後、プランジャーで加圧して、前記金型が備えるランナー及びゲートを経由して、半導体素子等が配置された樹脂成形用のキャビティーに封止材料が送られ、さらに加熱することにより封止材料を硬化させて封止している。金型温度は、例えば175℃程度あるいは封止材料の硬化性に応じてさらに加温している。エポキシ樹脂組成物中には離型性向上のため離型剤を配合しておくことが一般的に知られているが、上記のようなトランスファー成形を連続的におこなうと、離型剤の種類によっては金型表面に離型剤が蓄積して金型表面が汚染され、結果として成形品表面の外観不良を引き起こすことがあった。このような場合には、その都度金型をクリーニングしなければならず手間がかかっていた。そこで、例えば、特許文献1のように両末端にアミノ基を有する所定のシリコン改質剤および所定の不飽和カルボン酸ジイミド系化合物を含有したエポキシ樹脂組成物が提案されている。
特開平09−157354号公報
以上のエポキシ樹脂組成物は、金型汚れの発生を低減させ連続成形性も良好である。しかしながら、金型のクリーニングサイクルの向上のためのアプローチは種々の方法があり、より最適なものへの検討がいまだなされているのが実情である。
本発明は、以上の通りの背景から、金型のクリーニングサイクルを向上させた半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材とともに、12−ヒドロキシステアリン酸とアミノ基含有ポリシロキサンとの反応生成物を必須成分として含有し、前記反応生成物が次式(1)
第2に、上記の半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、式(1)で表される化合物の含有量は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物全量に対して0.05〜2質量%の範囲であることを特徴とする。
第3に、上記第1または第2の半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、カルナバワックスを含有することを特徴とする。
第4に、半導体装置として、以上のいずれかの半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化体で半導体素子が封止されていることを特徴とする。
前記のとおりの上記の第1の発明によれば、金型汚れの発生を低減させ、金型のクリーニングサイクルを向上することができる。これによって、金型洗浄のための作業時間を削減することができ、生産性を向上させることができる。
上記の第2の発明によれば、前記式(1)で表される化合物の含有量が最適化されるため、上記第1の発明の効果をさらに一層向上させることができる。
上記第3の発明によれば、上記のとおりの効果は、より確実に、より一層顕著なものとなる。
以上のような顕著な効果は、上記の第4の発明の半導体装置として実際上大きく実現される。
本発明は前記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物では、前記のとおり、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材とともに、前記式(1)で表される化合物が必須成分として含有されているものである。
この式(1)で表される化合物は、12−ヒドロキシステアリン酸とアミノ基含有ポリシロキサンとの反応生成物である。ここで、12−ヒドロキシステアリン酸は次式(2)
前記式(1)で表される化合物は、前記式(2)の12−ヒドロキシステアリン酸と前記式(3)のアミノ基含有ポリシロキサンをCOOH当量:NH当量=2:1の割合で溶媒であるイソブチルケトンに溶解して煮沸還流にて3時間攪拌し、その後溶媒を減圧除去することで得ることができる。
以上のような式(1)の化合物が含有されていることによって、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、金型汚れの発生を低減させ、金型のクリーニングサイクルを向上することができるのである。
前記式(1)で表される化合物の含有量としては、半導体封止用エポキシ樹脂組成物全量に対して0.05〜2質量%が好ましい範囲として考慮される。0.05質量%未満の場合には、金型汚れの発生を十分に低減させることができない場合があるので好ましくない。2質量%を超える場合には、これ以上反応生成物を配合しても金型のクリーニングサイクルを十分に向上させることができず、かえって金型を汚す場合もあるので好ましくない。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂は、一般的に半導体封止用として使用される各種のエポキシ樹脂であってよく、特に限定されない。例えば、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらを単独もしくは複数種併用してもよい。このエポキシ樹脂は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物全量に対して7〜35質量%の範囲で配合することができる。
また、硬化剤としては、一般的に半導体封止用として使用される各種のものを適用できる。具体的には、フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のナフタレン骨格含有フェノール樹脂、多価フェノール化合物が例示される。これらは一種に限定されず、複数種を組み合わせて使用してもよい。硬化剤の含有量は特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比が0.5〜1.5、好ましくは0.8〜1.2となるように配合することができる。
さらに、無機充填材としては、一般的に半導体封止用として使用されるものであればよく、その種類は特に限定されない。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。無機充填材の含有量も特に限定されないが、例えば、半導体封止用エポキシ樹脂組成物全量に対して60〜93重量%とすることができる。
本発明は、さらに硬化促進剤を併用してもよく、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進させる作用があるものであれば特に制限されるものではない。例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン等の有機ホスフィン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミンなどの3級アミンなどを用いることができる。これらを単独もしくは複数種併用してもよい。
また、本発明は、カップリング剤を配合することができる。カップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのグリシドキシシラン、アミノシランなどのシランカップリング剤を用いることができる。これらを単独もしくは複数種併用してもよい。
本発明は、さらに必要に応じて、カーボンブラックなどの着色剤、カルナバワックス、脂肪酸アミド、ステアリン酸、モンタン酸アミド、脂肪酸エステル、カルボキシル基含有ポリオレフィンなどの離型剤、シリコーン可とう剤、ブロム化エポキシ樹脂などの難燃剤、三酸化アンチモンなどの難燃助剤などを添加することができる。なかでも、カルナバワックスを添加することで、金型のクリーニングサイクルをより一層向上することができる。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、前記式(1)で表される化合物、必要に応じてその他の材料を配合し、ミキサーやブレンダーなどで均一に混合した後、ニーダーやロールなどで加熱・混合して調製することができる。なお、加熱・混合した後で必要に応じて冷却固化し、粉砕して粉状にして使用してもよいし、タブレット状、スティック状に成形して使用してもよい。
そして、上記のようにして調製した半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて封止成形することによって、半導体装置を作製することができる。例えば、ICなどの半導体素子を搭載したリードフレームをトランスファー成形金型にセットし、トランスファー成形を行うことによって、半導体素子を上記半導体封止用エポキシ樹脂組成物による封止樹脂で封止した半導体装置を作製することができる。
以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって本発明が限定されることはない。
<実施例1〜8及び比較例1〜4>
製造室(温度12℃、湿度15%)において、表1に示す配合物(配合量の単位は質量部)をブレンダーで混合し均一化した後、加熱したニーダーで混練溶融させて押出し、冷却後、粉砕機で所定粒度に粉砕して、実施例1〜8及び比較例1〜4の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を粒状材料として得た。これらの半導体封止用エポキシ樹脂組成物の連続成形性について評価した。
製造室(温度12℃、湿度15%)において、表1に示す配合物(配合量の単位は質量部)をブレンダーで混合し均一化した後、加熱したニーダーで混練溶融させて押出し、冷却後、粉砕機で所定粒度に粉砕して、実施例1〜8及び比較例1〜4の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を粒状材料として得た。これらの半導体封止用エポキシ樹脂組成物の連続成形性について評価した。
なお、表1における半導体封止用エポキシ樹脂組成物の配合材料としては、下記のものを用いた。
o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:住友化学工業(株)製「ESCN195XL」エポキシ当量195
フェノールノボラック樹脂:荒川化学工業(株)製「タマノール752」水酸基当量104
ブロム化エポキシ樹脂:住友化学工業(株)製「ESB400T」エポキシ当量400
トリフェニルホスフィン(TPP):北興化学(株)製TPP
結晶シリカ:平均粒径25μm
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業(株)製「KBM403」
<連続成形性>
クリーニング後の金型で放熱フィン付きTO220パッケージを繰り返し成形し、目視評価によりパッケージに汚れが発生して次の金型のクリーニングが必要になるまでのショット数(クリーニングサイクル)を測定した。
o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:住友化学工業(株)製「ESCN195XL」エポキシ当量195
フェノールノボラック樹脂:荒川化学工業(株)製「タマノール752」水酸基当量104
ブロム化エポキシ樹脂:住友化学工業(株)製「ESB400T」エポキシ当量400
トリフェニルホスフィン(TPP):北興化学(株)製TPP
結晶シリカ:平均粒径25μm
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業(株)製「KBM403」
<連続成形性>
クリーニング後の金型で放熱フィン付きTO220パッケージを繰り返し成形し、目視評価によりパッケージに汚れが発生して次の金型のクリーニングが必要になるまでのショット数(クリーニングサイクル)を測定した。
TO220パッケージ:1フレーム=20キャビティ 8mm×8mm、厚み3.5mm
金型温度:175℃
注入圧力:6.9MPa(70kgf/cm2)
成形時間:90秒
金型温度:175℃
注入圧力:6.9MPa(70kgf/cm2)
成形時間:90秒
一方で、比較例1〜4では、前記式(1)で表される化合物が必須成分として含有されていないことにより、連続成形のショット数が十分でないことが確認された。
Claims (4)
- 式(1)で表される化合物の含有量は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物全量に対して0.05〜2質量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- カルナバワックスを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化体で半導体素子が封止されていることを特徴とする半導体装置。
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JP2006346744A JP2008156471A (ja) | 2006-12-22 | 2006-12-22 | 半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 |
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JP2012201695A (ja) * | 2011-03-23 | 2012-10-22 | Panasonic Corp | 封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 |
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2006
- 2006-12-22 JP JP2006346744A patent/JP2008156471A/ja active Pending
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