JP2008156228A - セメント原料焼成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、セメント原料焼成装置系内からの揮発性成分の低減は勿論のこと、抽気ガス処理装置自体の長期安定運転および処理装置の簡素化を可能にする、抽気した排ガス中に含まれるセメント原料濃度の低い抽気装置を具備したセメント原料焼成装置の提供を課題とする。
【解決手段】セメントキルン排ガスの一部を抽気する抽気管と該排ガスから揮発性成分を除去する処理装置とを備えたセメント原料焼成装置において、セメント原料予熱装置とキルンとを連結するインレットフッドの位置であって、インレットフッドのキルン側の面で、且つ、キルン最上部よりキルン径の1/3下方の位置からインレットフッド上端までの高さの範囲で、壁面のガスが上から下に流れている部分に、膨らみ部の面積の1/2以上が位置する膨らみ部を有し、該膨らみ部に該抽気管が接続されていることを特徴とするセメント原料焼成装置を開発し、上記課題を解決した。
【選択図】なし
【解決手段】セメントキルン排ガスの一部を抽気する抽気管と該排ガスから揮発性成分を除去する処理装置とを備えたセメント原料焼成装置において、セメント原料予熱装置とキルンとを連結するインレットフッドの位置であって、インレットフッドのキルン側の面で、且つ、キルン最上部よりキルン径の1/3下方の位置からインレットフッド上端までの高さの範囲で、壁面のガスが上から下に流れている部分に、膨らみ部の面積の1/2以上が位置する膨らみ部を有し、該膨らみ部に該抽気管が接続されていることを特徴とするセメント原料焼成装置を開発し、上記課題を解決した。
【選択図】なし
Description
本発明は、セメント原料焼成系内における塩化アルカリ等の揮発性成分の存在量を低減させるために、セメントキルン排ガスの一部を抽気して処理する装置を備えたセメント原料焼成装置に関する。
近年セメント産業では、セメント原料の一部として産業廃棄物の利用が進められているが、産業廃棄物にはナトリウム、カリウム等のアルカリや塩素、硫黄等、種々の揮発性の不純物が含まれており、SPキルン(サスペンションプレヒータ方式)やNSPキルン(仮焼炉付きサスペンションプレヒータ方式)等のセメントキルンに利用すると、揮発性の低融点化合物である塩化アルカリ等が生成する。セメント原料や燃料からSPキルン、NSPキルン等セメント原料焼成系内に持ち込まれた揮発性の不純物は、高温となっているキルン内では気化しているが、キルン内より低温であるプレヒータ内では低融点化合物となって再度キルン内に持ち込まれることで系内を循環し、次第に濃縮されて揮発性成分の濃度も高くなる。揮発性成分は必然的にクリンカ中に取り込まれてセメントの品質低下を招くだけでなく、低融点化合物、主として塩化アルカリがプレヒータ等セメント原料焼成系内に付着していわゆるコーチングを発生・成長させて経路の閉塞を起こすため、運転停止等を余儀なくされる原因となっている。
これらの問題点を解決する方法として、従来セメント原料焼成系内から揮発性成分を含むセメントキルン排ガスの一部を抽気、処理して主にアルカリ塩化物を除去することにより焼成系内の塩化アルカリを低減させる所謂塩素バイパスまたはアルカリバイパスと呼ばれている方法が、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
これらの問題点を解決する方法として、従来セメント原料焼成系内から揮発性成分を含むセメントキルン排ガスの一部を抽気、処理して主にアルカリ塩化物を除去することにより焼成系内の塩化アルカリを低減させる所謂塩素バイパスまたはアルカリバイパスと呼ばれている方法が、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
この塩素バイパス法の原理は、抽気ガスをバイパス経路内で冷却し、含まれる揮発性成分を液化または固化して捕集・除去するものであるが、ボール、鎖等の固体冷媒を使用する一部のものを除いて、冷却空気または水散布で冷却し、抽気ガスに同伴するセメント原料ダスト上に揮発性成分の大部分を固定化して捕集・除去する方式が採用されている。即ち、塩素バイパス法では抽気ガスにセメント原料が同伴するのは不可避であり、また、抽気される揮発性成分がその表面に冷却固定化される媒体としての働きを有しており、塩素バイパスの主流である空気または水冷却方式においては、装置の運転上、不可欠の成分となっている。
しかし、抽気ガスにセメント原料が同伴することによる原料ロス及び、高温のキルン排ガスの一部を抽気することによる熱エネルギーのロスは不可避であり、また、多量のセメント原料の同伴はバイパス経路内での閉塞の原因となり、処理装置の安定運転に支障を来す虞がある。従って、従来技術の多くが、抽気後の工程、すなわち、バイパス経路内における、抽気ガスに同伴するセメント原料の回収および/または熱エネルギーの回収効率の向上、および/または、バイパス経路内での閉塞の抑制を目的とするものである。
しかし、抽気ガスにセメント原料が同伴することによる原料ロス及び、高温のキルン排ガスの一部を抽気することによる熱エネルギーのロスは不可避であり、また、多量のセメント原料の同伴はバイパス経路内での閉塞の原因となり、処理装置の安定運転に支障を来す虞がある。従って、従来技術の多くが、抽気後の工程、すなわち、バイパス経路内における、抽気ガスに同伴するセメント原料の回収および/または熱エネルギーの回収効率の向上、および/または、バイパス経路内での閉塞の抑制を目的とするものである。
一方、セメントキルン排ガス中において、セメント原料濃度は均一に分布しているのではなく、抽気排ガス量が同じであっても、抽気ガス中に含まれるセメント原料濃度は、抽気口の設定位置によって変わる。従って、適当な位置に抽気口を設ければ、少ない同伴セメント原料量で、焼成装置系内を循環する揮発性成分の低減を達成できる事が考えられる。更に、同伴セメント原料濃度を低くすると、サイクロン等セメント原料と固化した揮発性成分の分離装置が不要となるためバイパス装置の構造が簡単になるだけでなく、バイパス経路内での閉塞も抑制され、装置の長期安定運転が可能となる。
従来技術では、抽気口は、特許文献4の仮焼炉後流側に設けたものを除いて、予熱装置の前流側すなわちセメント原料予熱装置とロータリーキルン(以下キルンと称す)とを連結するダクトの曲がり部(以下インレットフッドと称す)またはセメント原料予熱装置のインレットフッドから上方に延びているキルン排ガスの立ち上がりダクト(以下ライジングダクトと称す)部に設定されている。これは、排ガスの温度を考慮すると当然の選択であるが、インレットフッドまたはライジングダクト部内における効果的な抽気口設定位置について言及しているものは少ない。
その内の一つである、特許文献5には、インレットフッド中心部を流れるキルン排ガス中において塩素濃度(すなわち、塩化アルカリ濃度)が高いとして、少ない抽気量で効率的に除塩素を行なうために抽気管先端をインレットフッドのほヾ中心部に設定することが記載されている。また、特許文献6では、ダストの同伴量を減らしバイパス経路内での閉塞を防止するため、インレットフッド曲がり部の内側すなわちキルン側を流れる排ガス流中のダスト濃度が低いとして、内側側面に抽気口を設定する方法が記載されている。前者では、抽気装置の構造が複雑になるだけでなく、キルン排ガスのセメント原料濃度の高い部分からの抽気となり、抽気排ガス処理工程で閉塞その他の問題が生じる。後者では、抽気ガス量に同伴するセメント原料量を低減するにはある程度の効果があるか、抽気ガス量が増えると、抽気口から離れた、セメント原料濃度が高い部分のキルン排ガスが抽気ガスに混入するため、多量のセメント原料が同伴することにより生起する問題の根本的な解決にはならない。
その内の一つである、特許文献5には、インレットフッド中心部を流れるキルン排ガス中において塩素濃度(すなわち、塩化アルカリ濃度)が高いとして、少ない抽気量で効率的に除塩素を行なうために抽気管先端をインレットフッドのほヾ中心部に設定することが記載されている。また、特許文献6では、ダストの同伴量を減らしバイパス経路内での閉塞を防止するため、インレットフッド曲がり部の内側すなわちキルン側を流れる排ガス流中のダスト濃度が低いとして、内側側面に抽気口を設定する方法が記載されている。前者では、抽気装置の構造が複雑になるだけでなく、キルン排ガスのセメント原料濃度の高い部分からの抽気となり、抽気排ガス処理工程で閉塞その他の問題が生じる。後者では、抽気ガス量に同伴するセメント原料量を低減するにはある程度の効果があるか、抽気ガス量が増えると、抽気口から離れた、セメント原料濃度が高い部分のキルン排ガスが抽気ガスに混入するため、多量のセメント原料が同伴することにより生起する問題の根本的な解決にはならない。
本発明は、セメント原料焼成装置系内からの揮発性成分の低減は勿論のこと、抽気ガス処理装置自体の長期安定運転および処理装置の簡素化を可能にする、抽気した排ガス中に含まれるセメント原料濃度の低い抽気装置を具備したセメント原料焼成装置の提供を目的とする。
発明者等は、インレットフッドまたはライジングダクト内の特定の位置においてキルン排ガス中のセメント原料濃度が低くなること、および、インレットフッドまたはライジングダクトの形状の工夫により、キルン排ガス中のセメント原料濃度の低くなる部分の形成が可能なことを見出した。更に、抽気口の向きが重要であり、キルン排ガス中セメント原料濃度の低い部分の奥行が深くなる方向に抽気口を向けることすなわち、インレットフッドのキルン側の面の特定の位置に抽気口を設定することにより、セメント原料濃度の高い部分のキルン排ガスの抽気ガスへの混入が低減できることも見出した。この様な位置に抽気口を設定することにより、抽気ガスに同伴するセメント原料濃度の大幅な低減が可能となり、上記課題を解決する抽気排ガス処理装置を具備したセメント原料焼成装置が得られることを知り、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、セメントキルン排ガスの一部を抽気する抽気管と該排ガスから揮発性成分を除去する処理装置とを備えたセメント原料焼成装置において、セメント原料予熱装置とキルンとを連結するインレットフッドの位置であって、インレットフッドのキルン側の面で、且つ、キルン最上部よりキルン径の1/3下方の位置からインレットフッド上端までの高さの範囲で、壁面のガスが上から下に流れている部分に、抽気管抽気口面積の1.5〜10倍の開口部面積を有する膨らみ部の面積の1/2以上が位置する膨らみ部を有し、該膨らみ部に該抽気管が接続されていることを特徴とするセメント原料焼成装置に関する。
すなわち、本発明は、セメントキルン排ガスの一部を抽気する抽気管と該排ガスから揮発性成分を除去する処理装置とを備えたセメント原料焼成装置において、セメント原料予熱装置とキルンとを連結するインレットフッドの位置であって、インレットフッドのキルン側の面で、且つ、キルン最上部よりキルン径の1/3下方の位置からインレットフッド上端までの高さの範囲で、壁面のガスが上から下に流れている部分に、抽気管抽気口面積の1.5〜10倍の開口部面積を有する膨らみ部の面積の1/2以上が位置する膨らみ部を有し、該膨らみ部に該抽気管が接続されていることを特徴とするセメント原料焼成装置に関する。
また、本発明は、セメントキルン排ガスの一部を抽気する抽気管と該排ガスから揮発性成分を除去する処理装置とを備えたセメント原料焼成装置において、セメント原料予熱装置のライジングダクトのキルン側の面で、壁面のガスが上から下に流れている部分に膨らみ部を有し、該膨らみ部に該抽気管が接続されていることを特徴とするセメント原料焼成装置に関する。
本発明の方法によると、抽気ガスに同伴するセメント原料の含有量を低減した状態での抽気が可能となる。従って、本発明の方法によると、セメント原料焼成系内でのコーチングトラブルやクリンカーの品質低下を招く揮発性成分を効率的に除去できセメント原料焼成装置の安定運転が可能となることは勿論、抽気ガスに同伴してセメント原料焼成系外に排出されるセメント原料量が低いため、熱効率及び生産性が向上する。また、抽気ガスを処理する後工程で、セメント原料と揮発性成分を分離する工程が不要となるため装置の簡略化が可能となるだけでなく、抽気管を含めた抽気経路内でのコーチングが発生し難く抽気装置の長期安定運転も可能となる。
以下に、本発明を説明する。
以下に、本発明を説明する。
本発明者らは先ず、小規模のセメントキルン排ガス処理用テスト装置による実験を行った。これにより、抽気位置によって抽気排ガスに同伴するセメント原料量は大きく異なるが、揮発性成分の除去量すなわち、焼成系からの揮発性アルカリ塩化物除去効果はほとんど変わらないことを知った。また、ここで得られた実験結果を基に、揮発性成分について状態平衡計算を行なったところ、セメント焼成系内を循環する揮発性成分の8割近くが窯尻では気体で存在し、キルン排ガス中のセメント原料に付着固定化された状態で存在するものは少ないという知見を得た。更に、抽気排ガスに同伴するセメント原料濃度がテスト装置内のコーチング成長速度に影響を及ぼし、この濃度が高いとコーチング成長が速いことが確かめられた。小規模テスト装置で得られたこれ等の結果を総合すると、セメント原料焼成系からの塩化アルカリの除去は、セメント原料同伴量が成るべく少なくなるように抽気する方が好ましいことを示唆している。
抽気ガスに同伴するセメント原料量を少なくするには、キルン排ガス流中に含まれるセメント原料濃度の低い位置から抽気することが必要となるが、計算機実験及び実機実験を重ね、インレットフッド及びライジングダクト内の特定の位置においてセメント原料濃度が低く、この位置に抽気口を設定すれば良いという知見を得た。計算機実験では、この位置ではキルン排ガスの流速が3m/秒以下、好ましいところでは1m/秒以下と小さく、流れが澱みとなっている箇所であることが分かった。また、インレットフッド及びライジングダクト部に膨らみを設けたり、差し込みダンパーを設定することにより人為的にキルン排ガス流れの澱みを形成させることが可能なことも確かめることができた。
小規模のテスト装置に代え、実装置と同規模の実験装置で行なった結果でも、小規模テスト装置で得られた結果を再確認することができた。すなわち、小規模テスト装置を用いての実験で確かめられた、インレットフッド,ライジングダクト部内のキルン排ガス流れが弱く澱みを形成している位置に抽気口を設置することにより、ほとんどセメント原料を含まないキルン排ガスが抽気され、また、この方法で、セメント原料焼成系内を循環する揮発性の塩化アルカリを十分低減できることが確かめられた。また、抽気ガス中にセメント原料をほとんど含まないことから、従来の装置で必要であったサイクロン等の、セメント原料と揮発性成分との分離装置や、セメント原料の排出という複雑な操作が不要となり、更には、バイパス経路内でのコ−チング成長を抑制できることから、装置の長期安定運転が可能な事が確かめられた。それに対し、抽気位置が前述の範囲を外れると、多量のセメント原料が抽気ガスに同伴し、バイパス経路内で、セメント原料表面に付着した揮発性成分が糊剤として働きセメント原料同士が塊となる所謂コ−チングの成長が速く、排ガス処理装置そのものの長期間の運転が困難となることが分かった。
以下、本発明の一実施例を示す図面を用いて、本発明の抽気排ガス処理装置を備えたセメント原料焼成装置の詳細を説明する。尚、図1〜図7において、同一部分においては同一符号が付されている。また、揮発性成分はそのほとんどが塩化アルカリとして存在しているので、揮発性成分濃度への言及が必要な場合には、揮発性成分濃度に代えて塩素濃度で表わすことにする。
図1は、本発明のセメント原料焼成装置の構成を示す概略図である。ここでは、プレヒータの最下部であるインレットフッド1A部のキルン側から見て側面に抽気管2を接続した例を示す。一般に、プレヒータのインレットフッド1Aとライジングダクト1Bとは熱膨張吸収用のエキスパンションによって接続されており、その境界は通常、キルン1の最上端から、その上方にキルン径の1/2離れた範囲にある。
図2は、セメント原料焼成装置中の、抽気排ガス処理工程を示す該略図である。インレットフッド1Aには、キルン排ガスの一部を抽気するための抽気管2が挿入・接続されており、インレットフッド1Aから約1100℃の排ガスが、抽気管2を経由して冷却室3に導かれる。冷却室3に導入された排ガスは、冷却室3内において、冷却用空気ファン4によって入口3Aから冷却室の接線方向に向かって吹き込まれた空気の旋回流によって350℃以下、好ましくは約280℃にまで冷却される。尚、冷却室へ吹き込まれた冷却用空気の旋回流の一部は、抽気管2内壁に沿って抽気口方向へ逆流してエアカーテンを形成し抽気管2内壁におけるコーチング発生を抑制出来ることから、抽気ガス流速を、エアカーテンが抽気管先端まで到達可能であり、且つ、経済的な流速である8〜15m/秒の範囲に設定して、抽気管2の内壁におけるコーチング発生を完全に防止することにより、抽気排ガス処理装置の稼動を更に円滑にすることができる。抽気排ガス中の揮発性化合物は、冷却室3、チャンバ5を経由する間に十分冷却されてヒュームとなり、排気ファンに吸引されて集塵機6で捕集・除去されるが、本発明においては、キルン排ガス中のセメント原料量が低くなっている位置から抽気しているため抽気ガスに同伴するセメント原料濃度は低く、抽気排ガス処理経路内にサイクロン等を設けてセメント原料を塩化アルカリから分離する必要はない。
図3には、コンピュータシミュレーションにより求めた、キルン、インレットフッド、ライジングダクト部におけるキルン排ガスの流れの概略を示す。図中、(a)、(b)、(c)は各々、a−a,b−b,c−c断面における流線の概略を示す。インレットフッド、ライジングダクト内でのキルン排ガスの流れは均一でなく、澱みが発生している場所があることが分かる。
図4〜図7には、本発明を利用した抽気排ガス処理装置実施例の抽気部概略図を示す。図4は、インレットフッド1Aのキルン側から見て側面で、インレットフッド1Aのキルン1側前面の壁内面から500mm、詳細には壁内面から、壁内面に付着するコーチング層の厚み約300mmに、抽気管先端部の耐火物の厚みに遊びを加えた200mmを加えた500mmに、抽気管2の直径を加えた長さの幅と、キルン1最上部よりキルン径の1/3だけ下方の位置からインレットフッド1A上端までの高さとで囲まれた範囲に抽気管2を接続した例である。抽気管2を接続したこの範囲は、図3に示すように、窯尻部テーパーの存在とインレットフッド1Aの急激な曲がりによって、キルン排ガスの流れの弱い部分すなわち澱みが発生する部分である。この部分には、セメント原料濃度が低いキルン排ガス(ダスト濃度30〜50g/Nm3)が流れており、この部分に抽気口面積の8割以上が位置するように抽気管2を接続することにより、抽気ガス量の8割以上をこのセメント原料濃度が低い部分から抽気することが可能となる。残りの2割のガスが、澱み周辺のセメント原料濃度の相対的に高い部分(ダスト濃度約130g/Nm3)から抽気されるものであっても、集塵機6で捕集されるダスト中の塩素濃度は通常、25重量%以上、最低でも15重量%であり、セメント原料焼成系内の揮発性アルカリ化合物の、目標とする濃度への低減は十分達せられる。
限られた範囲内に抽気口面積の8割以上が存在する様に抽気口を設定するためには、抽気口の大きさすなわち抽気管径が問題となるが、抽気管径は、セメント原料焼成装置の形態、能力、抽気率、抽気ガス流速等に対応して決めることになる。また、前述の、冷却空気のエアカーテンが抽気管先端まで到達可能であり、且つ、経済的な流速である8〜15m/秒の範囲に設定して、抽気管2の内壁におけるコーチング発生を完全に防止することも考慮に入れる必要がある。このガス流速を維持し、且つ、抽気口面積が、限られた範囲内に8割以上が存在するためには、抽気管径は200〜1000mmの範囲内で、セメント原料焼成装置の形態、能力、抽気率に応じて決定することになる。
キルン1側から見てインレットフッド1Aの側面で、インレットフッド1A前面の壁内面から抽気管の直径に500mmを加えた長さの幅と、キルン1最上部よりキルン径の1/3だけ下方の位置からインレットフッド1A上端までの高さで囲まれた範囲内に開口部面積の1/2以上が位置する膨らみ部1Cを設け、該膨らみ部に抽気管2を接続した例もある。適当なサイズの膨らみ部を設定することによりキルン排ガス流の澱みが形成され、その部分においてはキルン排ガス流(ダスト濃度130g/Nm3)に乗って移動するセメント原料の一部がガス流から分離されるため、その濃度がほヾ半減(ダスト濃度約65g/Nm3)した部分が、前記した、セメント原料を主成分とするダスト濃度が30〜50g/Nm3と低くなった部分の周辺に発生する。従って、この膨らみ部に抽気口を設定すれば、抽気ガスに同伴するセメント原料濃度を更に低減することが出来る。また、抽気率を上げると、相対的にセメント原料濃度の高い周辺部分からの取り込みが多くなる場合があるが、その場合もこの構造の抽気部は大きな効果を発揮する。例えば、前記セメント原料濃度の低いキルン排ガス(ダスト濃度30〜50g/Nm3)に、膨らみ部のダスト濃度約65g/Nm3のガスが50%混合しても、集塵機6で捕集されるダスト中の塩素濃度は、通常22重量%以上、最低でも16重量%と高く、セメント原料焼成系内の揮発性アルカリ化合物の、目標とする濃度への低減は十分達せられる。
膨らみ部1Cの開口部の面積が小さすぎると抽気管2の長さを延長したものと同等になり、また大きすぎると膨らみ部1Cへの排ガスの流れ込みが容易になるため、結果として何れの場合にもキルン排ガス流の澱み発生を抑制するように働き、膨らみ部を設けた効果が低減する。また、張り出しが深すぎる場合、または浅すぎる場合にも、澱みを発生する効果は小さくなり、膨らみ部を設けた効果が低減する。膨らみ部1Cは、抽気管抽気口面積の1.5〜10倍、好ましくは3〜5倍の開口部面積を有し、インレットフッド1Aの外側方向に抽気管2の直径の0.5〜3倍、好ましくは直径程度張り出す様にするのが良い。また、その縦断面の形状は四角、半円、その他多角形でも良い。
図5は、プレヒータライジングダクト1Bの下部が、キルン1側に張り出した構造となっており、この張り出し部分の、キルン側から見て側面に当たる箇所に抽気管2を接続した例である。計算機シミュレーションの結果、この張り出し部においても、図3に示すのと同じようなキルン排ガス流れの弱い澱みが発生しており、この部分における排ガス中のセメント原料濃度は低くなっていることが予想されるが、実際に、この部分における排ガス中に含まれるセメント原料濃度は低くなっている(ダスト濃度30〜50g/Nm3)。この部分に抽気口面積の8割以上が位置するように抽気管2を設定すれば、抽気量の8割以上をこのセメント原料濃度の低い排ガス部分から抽気することができる。この場合にも、残りの2割のガスが、澱み周辺のセメント原料濃度の相対的に高い部分(ダスト濃度約130g/Nm3)から抽気されるものであっても、集塵機6で捕集されるダスト中の塩素濃度は通常、25重量%以上、最低でも19重量%であり、セメント原料焼成系内の揮発性アルカリ化合物の、目標とする値への低減は十分達せられる。
図6も、本発明の一実施例を示すが、プレヒータのライジングダクト1Bにキルン1側から部分的に差し込まれた差し込みダンパー1Dが、結果的に、前述の、ライジングダクト1Bの下部がキルン側へ張り出したのと同様の効果をキルン排ガス流れに対して与える構造になっている。抽気管2は、この張り出し部に相当する部分のキルン1側から見て側面に、膨らみ部開口部面積の1/2以上が位置する様に膨らみ部1Cを設け、この膨らみ部に接続する。適当なサイズの膨らみ部を設定することによりキルン排ガス流の澱みが形成され、その部分においてはキルン排ガス流からセメント原料が分離されるため、その濃度がほヾ半減することは前述した。従って、この場合にも、抽気ガスに同伴するセメント原料濃度を更に低減することが出来る。例えば、前記セメント原料濃度の低いキルン排ガス(ダスト濃度30〜50g/Nm3)に、膨らみ部のダスト濃度約65g/Nm3のガスが50%混合しても、セメント原料濃度の低いキルン排ガス(ダスト濃度30〜50g/Nm3)が50%混合しても、集塵機6で捕集されるダスト中に含まれる塩素濃度は、通常24重量%以上、最低でも17重量%と高く、セメント原料焼成系内からの揮発性アルカリ化合物の、目標とする値への低減は十分達せられる。
図7も、本発明の一実施例であり、ライジングダクト1Bのキルン1側から見て前面に膨らみ部1Cを設け、膨らみ部上方の内壁にひさし1Eを設けた例である。抽気管2は、該膨らみ部1C内でひさし1Eの下方に接続される。膨らみ部では図3に示す通り、キルン排ガスの逆流が生じており、セメント原料の一部が壁面に沿って上から下へ流れる。この部分の内壁に、ひさしとして張り出し部を設けると、逆流に乗って流れるセメント原料は抽気管2の上方で、排ガス流れの強い主流に戻され、抽気管2から抽気されるセメント原料の量を低減することが可能となる。ひさし1Eは、小さすぎると逆流に乗ってくるセメント原料を主流側に押し戻す効果が十分でなく、また、大きすぎるとダクト内における排ガス全体の流れを妨害するため、セメント原料焼成装置全体の運転状況が悪化するので好ましくない。そのため、ひさし1Eの幅は、抽気管直径の1.5〜5倍、好ましくは2〜3倍とし、煙道内での出っ張り長さは同じく抽気管直径の1/3〜2倍、好ましくは1/2〜1.5倍とする。ひさし1Eを取り付けることにより、ほヾセメント原料濃度の低いガス(ダスト濃度10〜50g/Nm3)のみよりなるガスの抽気が可能となり、集塵機6で捕集されるダスト中の塩素濃度は、通常30重量%、最低でも15重量%と高く、セメント原料焼成系内の揮発性アルカリ化合物の、目標とする値への低減は十分達せられる。
1 キルン
1A インレットフッド
1B ライジングダクト
1C 膨らみ部
1D 差し込みダンパー
1E ひさし
2 抽気管
3 冷却室
3A 冷却空気採入口
4 ファン
5 チャンバ
6 集塵機
1A インレットフッド
1B ライジングダクト
1C 膨らみ部
1D 差し込みダンパー
1E ひさし
2 抽気管
3 冷却室
3A 冷却空気採入口
4 ファン
5 チャンバ
6 集塵機
Claims (2)
- セメントキルン排ガスの一部を抽気する抽気管と該排ガスから揮発性成分を除去する処理装置とを備えたセメント原料焼成装置において、セメント原料予熱装置とキルンとを連結するインレットフッドの位置であって、インレットフッドのキルン側の面で、且つ、キルン最上部よりキルン径の1/3下方の位置からインレットフッド上端までの高さの範囲で、壁面のガスが上から下に流れている部分に、抽気管抽気口面積の1.5〜10倍の開口部面積を有する膨らみ部の面積の1/2以上が位置する膨らみ部を有し、該膨らみ部に該抽気管が接続されていることを特徴とするセメント原料焼成装置。
- セメントキルン排ガスの一部を抽気する抽気管と該排ガスから揮発性成分を除去する処理装置とを備えたセメント原料焼成装置において、セメント原料予熱装置のライジングダクトのキルン側の面で、壁面のガスが上から下に流れている部分に膨らみ部を有し、該膨らみ部に該抽気管が接続されていることを特徴とするセメント原料焼成装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008008921A JP2008156228A (ja) | 1996-03-15 | 2008-01-18 | セメント原料焼成装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016064939A (ja) * | 2014-09-24 | 2016-04-28 | 太平洋セメント株式会社 | セメント焼成装置 |
JP2021160983A (ja) * | 2020-03-31 | 2021-10-11 | 宇部興産株式会社 | 塩素バイパスの抽気装置、塩素バイパス設備、セメントクリンカ製造設備、及びセメントクリンカの製造方法 |
-
2008
- 2008-01-18 JP JP2008008921A patent/JP2008156228A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016064939A (ja) * | 2014-09-24 | 2016-04-28 | 太平洋セメント株式会社 | セメント焼成装置 |
JP2021160983A (ja) * | 2020-03-31 | 2021-10-11 | 宇部興産株式会社 | 塩素バイパスの抽気装置、塩素バイパス設備、セメントクリンカ製造設備、及びセメントクリンカの製造方法 |
JP7420628B2 (ja) | 2020-03-31 | 2024-01-23 | Ube三菱セメント株式会社 | 塩素バイパスの抽気装置、塩素バイパス設備、セメントクリンカ製造設備、及びセメントクリンカの製造方法 |
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