手段1:遊技機において、
「透明樹脂からなる平板部材に所定配列をもって複数の貫通孔が形成される遊技パネル、及び前記遊技パネルの前記複数の貫通孔の別に各々植設される障害釘、を有し、前記遊技パネルの前面のうちの前記障害釘が植設される遊技領域に向けて遊技球が打ち込まれる遊技盤と、
前記透明樹脂からなる平板部材としての前記遊技パネルの後面側から発光演出を行う演出装置と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球を受け入れ困難な閉状態と当該閉状態よりも遊技球を受け入れ容易な開状態との間で開閉動作可能な開閉装置と、
前記遊技領域に向けて打ち込まれた遊技球を受け入れ可能な始動口と、
前記始動口への遊技球の入球を検出する始動検出手段と、
前記始動検出手段により前記始動口への遊技球の入球が検出されることに基づき、前記開閉装置が開閉動作される特別遊技の実行契機となる大当たりについての抽選処理を行う抽選手段と、
前記抽選手段により前記大当たりが当選されることに基づいて前記特別遊技を行う特別遊技実行手段と、を備え、
前記透明樹脂からなる平板部材としての前記遊技パネルと、前記遊技パネルの後面側から発光演出を行う前記演出装置との間には、前記複数の貫通孔に植設される前記障害釘の先端部による機械的な干渉から前記演出装置を保護する透明樹脂板が前記遊技パネルよりも硬質な樹脂材を採用して介在されてなり、
前記透明樹脂板には、所定の装飾画が描かれてなる
ことを特徴とする遊技機。
ところで前述の通り、透明樹脂からなる遊技盤では、該遊技盤に障害釘を直接打設すると、透明樹脂にヒビ割れが生じかねない。そこで、障害釘を配置する位置に予め穴を設けておき、その穴に障害釘を植設するようにすることも考えられるが、これでは障害釘が遊技盤を貫通しやすくなり、これによってその背後に設けられる部材(演出表示装置など)に障害釘の先端部が当接してしまいかねない。すなわちこの場合、演出表示装置等に傷が付いたり破損したりすることはもとより、障害釘が遊技盤側へ陥没することによって、当該障害釘としての機能を果さなくなる等の不具合が発生する問題がある。そしてこの場合、適正な遊技を行うことが困難となり、遊技の興趣が低下する懸念がある。
こうした問題に対し、障害釘を植設するために、後面側に貫通しない止り孔を採用することで、調整するために障害釘を叩いても、障害釘の植設側先端が遊技盤の後面側から突出するのを阻止するようにすることが考えられる。しかしながら、この場合、止り孔となっている分だけ相対的に、障害釘の埋込み量が少なくなり、遊技盤による障害釘の保持強度が低下してしまい、遊技盤の耐久性が低下する問題がある。そこで、止り孔の分だけ遊技盤を厚くすることで、遊技盤による障害釘の保持強度を維持させて耐久性が低下するのを防止することも考えられるが、遊技盤が厚くなることで、比較的高価な透明樹脂の使用量が増加したり、遊技盤の重量の増加によって遊技機における遊技盤を支持する部分(例えば、本体枠、ヒンジ機構、など)の強度を強く(補強)したり、或いは、組立の際等に遊技盤の取り回しがし辛くなったりして、遊技機に係るコストが増加するといった新たな問題が生じてしまう。またさらに、止り孔内に障害釘を挿入(植設)する際に、障害釘によって止り孔の開口部分が塞がれることで、止り孔内の空気が抜け難くなるので、挿入時の抵抗が大きくなって障害釘の植設に係る労力が大きくなり、障害釘の植設装置等にかかる負荷が増加する問題すらある。
この点、手段1の構成によると、
透明樹脂からなる平板部材に所定配列をもって複数の貫通孔が形成される遊技パネル、及び前記遊技パネルの前記複数の貫通孔の別に各々植設される障害釘、を有し、前記遊技パネルの前面のうちの前記障害釘が植設される遊技領域に向けて遊技球が打ち込まれる遊技盤と、前記透明樹脂からなる平板部材としての前記遊技パネルの後面側から発光演出を行う演出装置と、前記遊技領域に設けられ、遊技球を受け入れ困難な閉状態と当該閉状態よりも遊技球を受け入れ容易な開状態との間で開閉動作可能な開閉装置と、前記遊技領域に向けて打ち込まれた遊技球を受け入れ可能な始動口と、前記始動口への遊技球の入球を検出する始動検出手段と、前記始動検出手段により前記始動口への遊技球の入球が検出されることに基づき、前記開閉装置が開閉動作される特別遊技の実行契機となる大当たりについての抽選処理を行う抽選手段と、前記抽選手段により前記大当たりが当選されることに基づいて前記特別遊技を行う特別遊技実行手段と、を備え、前記透明樹脂からなる平板部材としての前記遊技パネルと、前記遊技パネルの後面側から発光演出を行う前記演出装置との間には、前記複数の貫通孔に植設される前記障害釘の先端部による機械的な干渉から前記演出装置を保護する透明樹脂板が前記遊技パネルよりも硬質な樹脂材を採用して介在されてなり、前記透明樹脂板には、所定の装飾画が描かれてなるものである。
このような構成によれば、透明樹脂からなる平板部材としての遊技パネルと、遊技パネルの後面側から発光演出を行う演出装置(発光演出装置や演出表示装置など)との間に、複数の貫通孔に植設される障害釘の先端部による機械的な干渉から演出装置を保護する透明樹脂板が前記遊技パネルよりも硬質な樹脂材を採用して介在されるため、調整の際に障害釘を叩いても、障害釘の植設側となる先端部が、透明樹脂板によって演出装置に当接するのを阻止することができ、障害釘の調整によって演出表示手段等の演出装置が傷ついたり破損したりするのを防止することができるようになる。また併せて、障害釘が必要以上に遊技パネル側へ陥没することも回避されるようになり、障害釘の調整の際に不具合が発生するのを防止することができるようになる。これによって、適正な遊技を行うことができるようになり、遊技の興趣の低下が抑制されるようになる。
また、上述の通り、後側に配置された演出表示手段等の演出装置を透明樹脂板によって障害釘の植設側となる先端部から保護することができるので、演出装置として、例えば遊技盤の大きさと略同じ大きさの演出表示手段を備えることも可能となり、遊技者に対して演出画像を大画面で見せることができ、迫力のある演出画像によって遊技者を楽しませて、より興趣の高められる遊技機とすることができる。
更に、障害釘の植設側となる先端部から演出表示手段等の演出装置を保護する透明樹脂板を備えているので、障害釘が植設される貫通孔としても何ら問題となることは無く、これにより、遊技パネルの厚さ全体を使って障害釘を保持することができ、障害釘の保持強度が低下するのを抑制して、遊技盤の耐久性が低下するのを防止することができる。
また、上記透明樹脂板として上記遊技パネルよりも硬質な樹脂材を採用するようにしたため、透明樹脂板の厚さを薄くしても、障害釘から演出表示手段等の演出装置を適切に保護することができるようになり、これによって透明樹脂板の重さを可及的に軽くすることができるようになる。
また、上述したように、遊技パネルの厚さが増加するのを防止することが可能となり、遊技パネルに係るコストが増加するのを抑制することができると共に、遊技パネルを有した遊技盤の重量が増加するのを抑制することができるので、遊技盤を支持する部分を補強したり遊技盤の取り回しがし辛くなったりするのを防止することができ、遊技機に係るコストが増加するのを抑制することができる。
なお、透明樹脂板を遊技パネルの後面側に密着するように配置しても良く、これにより、透明樹脂板の前面側で光が反射して後側に配置された演出表示手段等の演出装置による演出が見辛くなるのを防止することができる。また、遊技パネルつまり透明樹脂板の後面側も遊技媒体が移動可能な遊技領域或いは遊技媒体排出経路等とした場合、調整のために障害釘を叩いても、障害釘の植設側となる先端部が突出することが無く、遊技媒体を問題なく移動させることができ、遊技パネルの後面側でも遊技媒体の動きによって遊技者を楽しませたり、遊技媒体が滞るのを防止したりすることができ、遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。
ところで、従来は、上記障害釘が植設される部材に装飾画が直接描かれるようなことが多く、障害釘によって上記装飾画が傷つけられてしまうことがあった。例えば、装飾画として描かれたキャラクタ体に障害釘が直接打ち込まれることすらあり、遊技の興趣に悪影響を及ぼしかねない。この点、上記構成では、上記障害釘が植設される遊技パネルとは別に設けられる、上記透明樹脂板に例えばセル画などの装飾画を描くようにしたため、障害釘によって上記装飾画が傷つけられてしまうようなことが回避されるようになり、遊技の興趣の低下が抑制されるようになる。
ただし、上記構成では、上記遊技パネルの後面側から発光演出を行うことによって透光性のある遊技盤としての優位性を生かすようにしている。すなわち、このような構成にあって、上記透明樹脂板に例えばセル画などの装飾画を単に描くようにした場合には、該装飾画によって上記遊技パネルの後面側からの発光演出が見難くなり、上記透光性のある遊技盤としての優位性が著しく低下してしまいかねない。したがって、このような透光性のある遊技盤としての優位性を好適に維持する上では、上記透明樹脂板として、
・その前面に、所定の装飾画が印刷によって画像形成されてなる。
・その後面に、遊技者側から当該透明樹脂板を介して見たときの上記演出装置による発光演出の明瞭度合いに強弱が付けられるかたちで、複数色の着色材によって裏打ちが施されてなる。
といった、透明樹脂版を採用するようにすることがより望ましい。すなわち、このような構成では、上記透明樹脂板の後面には、上記複数色の着色材によって裏面層が形成されるようになる。例えば、上記遊技パネルの後面側からの発光演出を強調したい部分には、該当する部分に白系の着色材(白い着色材)による裏打ちを行うとともにその周辺の領域には黒系の着色材(黒い着色材)による裏打ちを行うようにすれば、遊技者側から当該透明樹脂板を介して見たときの上記演出装置による発光演出の明瞭度合いに強弱が付けられるようになり、透光性のある遊技盤としての優位性をより好適に生かすことができるようになる。
要は、上記手段1の構成にあって、上記透明樹脂版としては、その前面及び後面の少なくともいずれか一方に、
・所定の装飾画が印刷された装飾画層。
・遊技者側から当該透明樹脂板を介して見たときの前記演出装置による発光演出の明瞭度合いに強弱が付けられるかたちで複数色の着色材によって形成された裏面層。
が、上記裏面層が上記装飾画層の裏側となるように形成(印刷)されてなるものを採用するようにすれば、遊技者側から当該透明樹脂板を介して見たときの上記演出装置による発光演出の明瞭度合いに強弱が付けられるようになり、透光性のある遊技盤としての優位性をより好適に生かすことができるようになる。なお、上記着色材としては、例えば、インクやフィルムなどを採用することができる。また、複数色の着色材の裏打ちについては、印刷によって行うことができる。
ここで、「透明樹脂」としては、「アクリル樹脂」、「ポリカーボネート樹脂」、「ABS樹脂」、「ポリプロピレン」、「ポリアリレート樹脂」、「メタクリル樹脂」、等が挙げられる。また、上記の透明樹脂は、「熱可塑性樹脂」とすることが望ましいが、「熱硬化性樹脂」であっても良い。
また、「遊技パネル」としては、「遊技領域の一部に対応する大きさとされたもの」、「遊技領域の全体に対応する大きさとされたもの」、等が挙げられる。なお、遊技パネルには、複数の障害釘が植設される貫通孔の他、始動口や開閉装置等の役物が設けられるための貫通孔(開口部)が形成されることとなる。
更に、「透明樹脂板」としては、板状の部材であっても良いし、シート状(膜状)の部材であっても良い。また、遊技パネルの後面側に密着した状態で配置しても良いし、遊技パネルとの間に隙間を有した状態で配置しても良く、要は、上記複数の貫通孔に植設される上記障害釘の先端部による機械的な干渉から上記演出装置が保護されるように配置されていればよい。ただし、透明樹脂板を遊技パネルに密着させて配置した場合には、後側に配置された演出表示手段等の演出装置が見辛くなるのを防止することができる点で有利である。なお、透明樹脂板に用いられる材料としては、遊技パネルに用いられる材料よりも硬質な材料を用いることが望ましい。
また、「演出装置」としては、「所定の演出画像を表示可能な表示面を有する演出表示手段」、「遊技状況等に応じて機械的に可動する演出可動役物」、「遊技状況等に応じて装飾が変化する演出装飾体」、「所定の間隔をもって点滅するランプ」、等が挙げられる。なお、「演出表示手段」としては、「液晶表示装置(LCD)」、「EL表示装置」、「プラズマ表示装置」、「CRT」、「レーザーディスプレイ」、等が挙げられる。なお、薄型の表示手段を用いることが望ましい。また、演出表示手段に対して見る方向によって異なる画像が見えるようなものとしても良い。
手段2:手段1の構成において、
「前記透明樹脂板は、
前記遊技パネルの後面に密着している」ものであることを特徴とする。
ところで、透明な遊技パネルと、透明な透明樹脂板との間に隙間が形成されていると、透明樹脂板の表面(前面)で光が反射することがあり、その光の反射によって透明樹脂板の後側に配置された演出表示手段等の演出装置が見辛くなって、遊技者の興趣を低下させてしまう恐れがある。
手段2の構成によると、透明樹脂板を、遊技パネルの後面に密着させるようにしたものである。なお、「密着」としては、「遊技パネルと透明樹脂板を形成する樹脂の重合によって密着させたもの」、「遊技パネルと透明樹脂板とを溶着によって密着させたもの」、「遊技パネルと透明樹脂板とを透明な接着剤によって密着させたもの」、「遊技パネルと透明樹脂板とを面接触により密着(圧着)させたもの」、等が挙げられる。
これにより、遊技パネルと透明樹脂板とが密着しているので、透明樹脂板の前面で光が反射するのを抑制することが可能となり、透明樹脂板での光の反射によって後側に配置された演出表示手段等の演出装置手段の演出が見辛くなるのを抑制することができ、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
また、密着により透明樹脂板が遊技パネルと一体化するので、遊技機の組立てに係る工程を少なくすることができ、組立てに係るコストを低減させることができる。
なお、遊技パネルと透明樹脂板とが密着しているので、遊技パネルつまり透明樹脂板の後面側も遊技媒体が移動可能な遊技領域或いは遊技媒体排出経路等とした場合、調整のために障害釘を叩いても、障害釘の植設側先端が突出することが無く、遊技媒体を問題なく移動させることができ、遊技パネルの後面側でも遊技媒体の動きによって遊技者を楽しませたり、遊技媒体が滞るのを防止したりすることができ、遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。
手段3:手段1又は手段2の構成において、
「前記透明樹脂板は、
前記遊技パネルよりも薄い板材からなる」ものであることを特徴とする。
手段3の構成によると、透明樹脂板を、遊技パネルよりも薄い板材から形成するようにしたものである。
これにより、透明樹脂板の重さを可及的に軽くすることができ、遊技盤等の重量が増加するのを抑制して、上述した作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
手段4:手段1から手段3までの何れか一つの構成において、
「前記遊技盤は、
前記遊技パネルの外周を略覆うと共に該遊技パネルが着脱可能に嵌合する嵌合段部、該嵌合段部の内側に配置され前後方向に貫通する貫通口、及び該貫通口の外周側且つ少なくとも後面側に所定配列で配置され所定のビスを螺合可能な複数の取付孔を備えた熱可塑性樹脂からなる枠状のパネルホルダと、
該パネルホルダ及び前記遊技パネルの前面側に配置され、前記遊技領域を区画形成すると共に該遊技領域内に遊技媒体を案内する案内レールを備えた前構成部材とを更に備えている」ものであることを特徴とする。
ここで、「遊技パネルを着脱可能」とするものとしては、「遊技パネルの少なくとも略対向する二辺に係合部を備えると共に、パネルホルダに遊技パネルの係合部と係合する被係合部を備え、係合部と被係合部とを係合させることで着脱可能とするもの」、「遊技パネルの適宜箇所に挿通孔を穿設し、その挿通孔を介してビス等をパネルホルダにねじ込むことで着脱可能とするもの」、等が挙げられる。
また、「嵌合段部」としては、「パネルホルダの前面側が窪んだ形態とされ、パネルホルダの前側から遊技パネルを嵌合させるようにしたもの」、「パネルホルダの後面側が窪んだ形態とされ、パネルホルダの後側から遊技パネルを嵌合させるようにしたもの」、「パネルホルダの周面の一つが窪んだ形態とされ、パネルホルダの周面から遊技パネルをスライド嵌合させるようにしたもの」、等が挙げられる。
ところで、透明樹脂からなる遊技パネル等の遊技盤を構成する部材の素材として、溶融させることで再成形可能な熱可塑性樹脂を用いることが考えられ、これにより、不要となった遊技盤を処分する際に、熱可塑性樹脂の部分を一旦溶融させた上で遊技盤や他の製品(部品)に成形することができ、資源を有効に再利用したり、廃棄処分する量を可及的に少なくして廃棄処理に係るコストを低減させたりすることができる。
しかしながら、遊技盤を熱可塑性樹脂等の樹脂により形成するようにした場合、遊技盤全体を成形するための成形型が大型のものとなり、遊技盤の成形に係るコストが増大する問題がある。また、遊技機における遊技盤は、その機種ごとに障害釘や入賞口等の配置が異なっているので、機種を変更するごとに遊技盤全体を新たに形成しなければならず、機種ごとに遊技盤を成形するための大型の成形型が必要となり、機種変更に係るコストが増加する問題がある。
一方、従来の遊技機における遊技盤を、障害釘等が植設される遊技パネルと、遊技パネルを支持する枠状のパネルホルダとにわけて構成するようにし、パネルホルダを遊技機の機種に依存しない共通パーツとすることで、遊技機にかかるコストを低減させることが考えられる。しかしながら、この場合、障害釘等が植設される遊技パネルの大きさが遊技盤の大きさよりも小さくなるので、従来より用いられている障害釘植設装置に遊技パネルをそのままセットすることができず、障害釘植設装置を改良したり新造したりする必要があり、遊技機の製造にかかるコストが増加する問題がある。
また、従来より、遊技盤には、障害釘や入賞口等が固定される他に、演出用や装飾用などの各種役物や、入賞口等に受入れられた遊技媒体を誘導する誘導路、遊技状況に応じて所定の演出画像を表示する演出表示手段、及び役物や演出表示手段等を制御するための制御基板等が所定のビス等により固定されている。そして、この遊技盤を樹脂により構成するようにした場合、従来の木製合板を用いたもののように任意の位置に固定用のビスをねじ込むことができず、ビスをねじ込む位置に予め下孔(例えば、取付孔)を穿設する必要がある。しかしながら、この場合、遊技機の機種によって、障害釘や各種役物等が固定される位置が異なるので、予め穿設する取付孔の位置も異なるものとなり、他の機種に使用することができない問題がある。
更に、遊技パネルとパネルホルダとの関係において、パネルホルダに遊技パネルの外形と略同一内形の貫通口を形成し、その貫通口に遊技パネルを嵌合させると共に接着することで、パネルホルダに遊技パネルを固定させる方法が考えられ、これにより、従来の障害釘植設装置にセットすることができるようになる。しかしながら、この場合、遊技パネルとパネルホルダとを組立てる際に、遊技パネルの外周或いは貫通口の内周に接着剤を塗布する工程が必要となり、工程が増加する問題がある。また、遊技パネルとパネルホルダとを接着固定すると、遊技機を廃棄処分等する際に、遊技パネルとパネルホルダとを分解するのに手間が係るようになり、廃棄処分等に係るコストが増加する問題がある。
手段4の構成によると、遊技盤に、遊技パネルの外周を略覆うと共に遊技パネルが着脱可能に嵌合する嵌合段部、嵌合段部の内側に配置され前後方向に貫通する貫通口、及び貫通口の外周側且つ少なくとも後面側に所定配列で配置され所定のビスを螺合可能な複数の取付孔を備えた熱可塑性樹脂からなる枠状のパネルホルダと、パネルホルダ及び遊技パネルの前面側に配置され、遊技領域を区画形成すると共に遊技領域内に遊技媒体を案内する案内レールを備えた前構成部材とを更に備えたものである。
これにより、遊技領域を有した遊技盤を、遊技パネル、パネルホルダ、及び前構成部材に分割するようにしているので、遊技機の機種によって障害釘や入賞口等の位置が変化する遊技パネルを交換パーツとすると共に、パネルホルダ及び前構成部材を共通パーツとすることができ、遊技パネルのみを交換するだけで種々の機種に対応可能な遊技盤を備えた遊技機とすることができる。
また、パネルホルダの後面側に、予め複数の取付孔が所定配列で備えられているので、ビスをねじ込む取付孔を適宜選択することにより、各種役物や演出表示手段等を所望の位置に取付固定することができる。つまり、各種役物や演出表示手段等を取付孔の配置に合せて略任意の位置に固定することができるので、同一のパネルホルダを用いても種々の機種に対応させることができ、機種を変更してもパネルホルダを流用することで遊技盤に係るコストを抑制することができる。
更に、機種に応じてパネルホルダに取付固定される入賞口や各種役物等の種々の所定の部材の取付固定位置が異なる位置となっていても、パネルホルダに予め複数の取付孔が所定配列で備えられているので、各種部材の固定部を取付孔の位置と対応させるように設計することで、パネルホルダを機種に依存しない遊技機の共通パーツとすることができ、機種を変更してもパネルホルダの成形型を流用することができるので、遊技機に係るコストを低減させることができる。
また、遊技パネルをパネルホルダの嵌合段部に着脱可能に嵌合させるようにしており、接着固定していないので、遊技パネルとパネルホルダとを組立てるための組立工数が増加するのを抑制することができると共に、遊技パネルとパネルホルダとを容易に着脱することができるので、組立や、廃棄処分時等の分解に係る手間を簡略化することができる。
また、少なくともパネルホルダを熱可塑性樹脂からなるものとしているので、パネルホルダをリサイクルすることができ、廃棄処分にかかるコストを低減させることができると共に、省資源なものとすることができる。なお、遊技パネル、及び前構成部材についても、主要部分を熱可塑性樹脂からなるものとすることが望ましく、遊技盤のリサイクル率をより高められると共に、廃棄処分に係るコストを一層低減させることができ、環境に優しい遊技機とすることができる。また、パネルホルダや前構成部材を共通パーツとすることができるので、遊技機の製造の際に、回収したパネルホルダや前構成部材等をそのまま再利用するようにしても良く、更に、コストを低減させることができると共に、廃棄処分される廃棄物の量を低減させることができる。
更に、遊技パネルがパネルホルダの嵌合段部に嵌合されるので、パネルホルダの厚み内に遊技パネルの厚みを収めることが可能となり、遊技盤を遊技パネル、パネルホルダや、前構成部材等に分割される構成としても、その厚さが増加するのを抑制することができる。従って、遊技盤を既存のものと略同等の大きさのものとすることができるので、遊技機における遊技盤以外の部分を既存のものと共通化することができると共に、既存の製造ラインに載せることができ、製造に係るコストが増加するのを抑制することができる。
なお、保護部材を遊技パネルとパネルホルダとの間に配置するようにしても良く、これにより、遊技パネルをパネルホルダの嵌合段部に嵌合させると、保護部材が遊技パネルと嵌合段部とに挟持され、所定位置に保護部材を簡単に支持させることができると共に、保護部材が遊技パネルの後面と略密着し、保護部材の前面での反射を抑制して、後側に配置された演出表示手段等が見辛くなるのを防止することができる。
また、板状の遊技パネルを切り出し板材とすることが望ましく、これにより、成形用の金型を必要とせずに遊技パネルを製造することができるので、遊技パネルに係る製造コストを低減させることができる。また、上述の通り、遊技パネルとパネルホルダとを分割するようにすると共にパネルホルダを共通パーツとすることができるので、一体成形する場合と比較して、機種を変更する度に遊技盤全体の大きさに相当する大型の成形型を新たに製作する必要が無く、機種変更に係るコストが増加するのを抑制することができる。
更に、パネルホルダの厚さを、従来の遊技盤における木製合板の部分の厚さと対応した厚さ(18〜21mm、望ましくは、約19mm)とすると共に、遊技パネルの厚さをパネルホルダの厚さの約半分の厚さである8〜10mmの厚さとすることが望ましい。詳述すると、遊技パネルには多数の障害釘を植設する関係上、その厚さが8mmよりも薄いと障害釘を良好に保持することができなく恐れがあり、また、厚さが10mmよりも厚くても障害釘の保持が向上しないと共に遊技パネルの重量が必要以上に重くなる問題があるからである。これにより、樹脂からなるパネルホルダや遊技パネルの厚さを最適なものとすることができる。
また、パネルホルダの嵌合段部を前側が窪んだ形態とし、パネルホルダの前側から遊技パネルを嵌合させるようにすると共に、パネルホルダと前構成部材とで遊技パネルを挟持できるようにしても良い。これにより、遊技パネルを、パネルホルダとの嵌合だけでなく、パネルホルダと前構成部材との挟持によっても保持することができるので、何らかの理由によりパネルホルダとの嵌合が緩んでも、遊技パネルが脱落するのを防止することができ、遊技パネルをより確実に保持することができる。
更に、遊技パネルの他に、パネルホルダ、前構成部材、及びパネル裏板等を透明な部材によって構成しても良く、これにより、パネルホルダや前構成部材等を介しても、遊技盤の後方側を視認可能とすることができ、後方に配置された演出表示手段等の各種部材を視認させることで、これまでに無い雰囲気の遊技機とすることが可能となり、更に、遊技者の関心を引き付けられる訴求力の高い遊技機とすることができる。
手段5:手段4の構成において、
「前記透明樹脂板は、
前記遊技パネルと前記パネルホルダとの間に配置されている」ものであることを特徴とする。
ところで、遊技パネルの後面側に配置される透明樹脂板を、パネルホルダの後側に支持するようにした場合、別途の支持部材を用いてパネルホルダに透明樹脂板を支持させるようにしたり、パネルホルダに支持されるように透明樹脂板に加工を加えたりする必要があり、遊技機に係るコストが増加する問題があると共に、遊技パネルと透明樹脂板との間に隙間が形成されるので、透明樹脂板の前面側で光が反射し易くなり、光の反射によって後側に配置された演出表示手段等の演出装置が見辛くなって、遊技者の興趣を低下させてしまう恐れがある。
手段5の構成によると、透明樹脂板を、遊技パネルとパネルホルダとの間に配置したものである。つまり、遊技パネルとパネルホルダの嵌合段部との間に透明樹脂板を配置したものである。
これにより、透明樹脂板が遊技パネルとパネルホルダの嵌合段部との間で挟持されることとなり、別途の支持部材を用いなくても透明樹脂板を所定位置に支持することができ、遊技機に係るコストが増加するのを抑制することができる。また、透明樹脂板を遊技パネルの後面側に略密着させることができるので、透明樹脂板の前面側で光が反射するのを抑制することができ、後側に配置された演出表示手段等の演出装置の演出が見辛くなるのを防止して、遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。
手段6:手段4又は手段5の構成において、
「前記パネルホルダの前記取付孔は、
略全周に亘って配置される複数の第一取付孔と、
該第一取付孔に螺合されるビスよりも大径のビスが螺合可能とされ、上下方向の中央よりも上側に配置される複数の第二取付孔とからなる」ものであることを特徴とする。
ところで、パネルホルダの所定の部材を取付固定するための取付孔の大きさを全て同じもの、すなわち、同じ大きさのビスで所定の部材を固定するようにすると共に、種々の重量の所定の部材に対応し得るように、最も重い部材に対応した大きさのビスを用いるようにして、使用するビスの種類を少なくすると共に様々な重量の部材に対応させるようにすることが考えられる。しかしながら、この場合、一般的な重量の部材でも、大きなビスで固定することとなり、部材の固定が過剰品質となると共に、大きなビスでは取付孔に螺合させる際のねじ込み力が相対的に大きく、ビスによる固定作業の際に多くの働力が必要となり固定作業に時間がかかったり、電力などの消費量が多くなったりしてコストが増加する問題がある。
手段6の構成によると、パネルホルダに備えられる取付孔を、略全周に亘って配置される複数の第一取付孔と、中央より上側に配置され第一取付孔よりも大径の複数の第二取付孔としたものである。
これにより、一般的な重量の部材をパネルホルダに取付固定する場合は、全周に配置された第一取付孔を用いて取付固定し、重量の重い部材をパネルホルダに取付固定する場合には、上側に配置された大径のビスが螺合される第二取付孔を用いて取付固定するようにすることができるので、重量の重い部材を大径のビスにより固定して、その部材を確実に取付固定することができる。
また、重量の重い部材のみを大径のビスで固定するようにすることができるので、他の部材については、ねじ込み作業の楽な小径のビスで固定すれば良く、パネルホルダへの所定の部材の固定作業を楽に実施することができると共に、固定作業に係る時間や消費電力等を抑制して、コストが増加するのを防止することができる。
ところで、板状のパネルホルダに所定の部材を固定する場合、固定される部材の重心がパネルホルダの固定面よりも外側に飛出した位置となるので、その重心に係る重量によりパネルホルダとの固定部には回転モーメントが作用することとなる。具体的には、重心よりも上側に配置された固定部にはパネルホルダから遠ざかろうとする力が、また、重心よりも下側に配置された固定部にはパネルホルダに近づこうとする力が作用することとなる。そのため、上側の固定部では、螺合された固定用のビスを引抜こうとする力が作用し、ビスに引っ張り荷重がかかり、かかる荷重によっては小径のビスでは対応しきれない恐れがある。
しかしながら、本手段によると、大径のビスを螺合可能な第二取付孔を中心よりも上側に複数配置しているので、重量の重い部材を固定する際に、上側の固定部を大径のビスが螺合する第二取付孔に固定することができ、大きなビスを用いることで大きな引っ張り荷重がかかっても対応させることができ、確実に所定の部材をパネルホルダに固定することができる。
手段7:手段4から手段6までの何れか一つの構成において、
「前記パネルホルダは、
前記取付孔と対応するように複数の位置決め孔を更に備えている」ものであることを特徴とする。
ここで、「位置決め孔」とは、パネルホルダに取付固定される所定の部材に備えられた位置決め突起(別部材のピンでも良い)を挿入可能な孔であれば良く、「丸孔」、「角孔」、等の他に「多角形状の孔」としても良い。また、止り孔であっても良いし、貫通孔であっても良い。
手段7の構成によると、パネルホルダに、取付孔と対応する位置に位置決め孔を備えるようにしたものである。これにより、パネルホルダに演出表示手段等の所定の部材を取付固定する際に、所定の部材に備えられた位置決め突起を位置決め孔に挿入させることで、パネルホルダと所定の部材との位置関係を正しい位置にすることができ、組付け性を向上させることができる。
また、夫々の取付孔に対して対応する位置決め孔が備えられている、つまり、複数の位置決め孔が備えられているので、複数の位置決め孔によりパネルホルダが肉抜きされることとなり、パネルホルダの重量を軽減させることができる。なお、位置決め孔をパネルホルダの肉抜き部と兼用させるようにしても良い。
手段8:手段4から手段7までの何れか一つの構成において、
「前記パネルホルダは、
少なくとも後面側に開口する複数の肉抜き部を更に備えている」ものであることを特徴とする。
手段8の構成によると、パネルホルダに、少なくとも後面側に開口する複数の肉抜き部を更に備えるようにしたものである。これにより、パネルホルダを軽量化することができ、従来の木製合板からなるものと比較して、遊技盤の重量が増加するのを抑制することができる。また、パネルホルダに樹脂(熱可塑性樹脂)を用いているので、射出成形等により複数の肉抜き部を容易に形成することができる。
なお、パネルホルダの肉抜き部を、パネルホルダの下端から所定範囲内までは後面側に開口するように形成することが望ましく、これにより、その部位の前面側を平坦な面とすることができ、その前面側に前構成部材の案内レールを配置することで、案内レールにより遊技媒体を円滑に案内させることができる。
また、パネルホルダの後面側だけでなく、前面側に肉抜き部が開口するようにしても良いし、パネルホルダの前後方向に貫通するように肉抜き部を備えても良い。また、遊技媒体と接するような部位(例えば、案内レールが形成された部位、遊技媒体排出流路が形成された部位など)においては、接する側とは反対側に開口するように肉抜き部を備えることが望ましく、これにより、肉抜き部内に遊技媒体が侵入したり、肉抜き部の開口に遊技媒体が接触したりして、遊技媒体の流通に不具合が生じるのを防止することができる。更に、肉抜き部を上記の位置決め孔と兼用させるようにしても良い。
手段9:手段4から手段8までの何れか一つの構成において、
「前記パネルホルダは、
前記取付孔の少なくとも一部が配置されると共に、前記貫通口の外周側且つ後面側に配置され前側に窪んだ形態の取付支持部を更に備えている」ものであることを特徴とする。
ここで、「取付支持部」とは、パネルホルダの後面側に取付けられる所定の部材(例えば、各種入賞口や受入口、演出用役物、装飾用役物、装飾部材、裏箱、演出表示手段等)に備えられたフランジ状の固定部を取付固定するための部位であり、具体的には、「取付固定される所定の部材の固定部の厚さよりも深く窪んだ形態のもの」、「パネルホルダの外周よりも所定量内側に配置された形態のもの」、等が挙げられる。なお、取付支持部の窪み量としては、1〜3mmの間が望ましく、1mmよりも少ないと取付固定される固定部の厚さが薄くなり固定部の強度が低下して破損する恐れがあるからであり、3mmよりも大きいと取付支持部におけるパネルホルダの厚さが薄くなりパネルホルダの強度が低下する恐れがあるからである。
ところで、従来より、遊技盤の後面側に取付固定される演出表示手段等の所定の部材には、遊技盤の後面に略沿うように遊技盤の外側に延びるフランジ状の固定部を備えており、その固定部を介して遊技盤の後面側に所定の部材が取付固定されるようになっている。ところが、遊技盤に所定の部材を取付固定すると、その固定部が遊技盤の後面よりも後側に突出した状態となるので、遊技盤を遊技機の遊技盤装着枠に装着固定する際に、遊技盤装着枠の装着部に固定部が当接し遊技盤が遊技盤装着枠に装着できなくなる恐れがある。そのため、固定部が遊技盤装着枠の装着部に当接しないように、固定部と当接する遊技盤装着枠の装着部に逃し部などを形成するようにすることが考えられる。
しかしながら、この場合、遊技機の機種によって遊技盤に固定される固定部の位置が異なるので、機種によって遊技盤装着枠も変更しなければならず、遊技機にかかるコストが増加する問題がある。そこで、固定部が遊技盤装着枠の装着部に当接しないように、所定の固定部材の固定部が、外周から遊技盤の後面に沿った中心側に配置されるようにすることで、固定部と装着部とが当接するのを回避するようにしていた。ところが、この場合、所定の部材の固定部が遊技盤の中心側に配置されるので、蓋然的に所定の部材が中心側に寄ってしまい、遊技盤の外周付近に所定の部材を配置することができず、例えば、所定の部材を箱状枠型の裏箱とした場合、裏箱の外周が遊技盤の外周よりも少なくとも装着部の分は小さくなって裏箱の容積が狭くなり、遊技盤の全体を有効に用いることができなかった。
手段9の構成によると、パネルホルダの後面側に、前側に窪んだ形態とされ、取付孔の少なくとも一部が配置される取付支持部を備えたものである。これにより、この取付支持部に演出表示手段等の所定の部材の固定部を取付固定することで、固定部がパネルホルダの後面から後側に突出するのを防止することができ、パネルホルダすなわち遊技盤を、遊技機における遊技盤装着枠に確実に装着固定することができる。つまり、遊技機における遊技盤装着枠を加工(変更)しなくても遊技盤を装着することができるので、遊技盤装着枠を機種に依存しない共通パーツとすることができ、遊技機にかかるコストが増加するのを防止することができる。
また、取付支持部をパネルホルダの外周付近に配置した場合、取付固定される所定の部材の固定部を可及的にパネルホルダの外周縁に近づけることができるので、よりパネルホルダの外周近くまで所定の部材を固定配置することが可能となり、より大きな所定の部材を取付固定したり、遊技盤の略全体に亘って所定の部材を配置したりすることができると共に、所定の部材によって広がりのある演出や装飾を行うことができ、遊技者の興趣を高められるものとすることができる。
なお、裏箱を所定の部材とした場合、その固定部を可及的にパネルホルダの外周縁に近づけて、その容積を可及的に大きくすることができるので、裏箱内により多くの或いは大きな役物等を配置したり、より大型の演出表示手段を支持したりすることができ、遊技者の興趣をより高められるものとすることができる。また、取付支持部の一部を、パネル裏板を収容可能な収容凹部としても良い。
手段10:手段9の構成において、
「前記取付支持部は、
少なくとも前記パネルホルダの後面側外周部が後側に突出したような状態で前側に窪んだ形態とされている」ものであることを特徴とする。
手段10の構成によると、パネルホルダにおける後面側の外周部が後側に突出したような状態となるように取付支持部が備えられているものである。これにより、遊技盤(パネルホルダ)を装着する枠状の遊技盤装着枠に対して当接するパネルホルダの外周部をパネルホルダの最も後側に位置する端部とすることができるので、取付支持部に所定の部材の固定部を取付固定しても、パネルホルダすなわち遊技盤を遊技機の遊技盤装着枠に確実に装着させることができる。
手段11:手段4から手段10までの何れか一つの構成において、
「前記パネルホルダは、
前記嵌合段部の深さが、嵌合された前記遊技パネルの前面と、前記パネルホルダの前面とが略同一面となるような深さとされている」ものであることを特徴とする。
ところで、パネルホルダに遊技パネルを支持させた状態で、従来の障害釘植設装置を用いて遊技パネルに障害釘を植設する場合、遊技パネルの前面と、パネルホルダの前面とが略一致していない状態であると、障害釘植設装置が遊技パネル又はパネルホルダの突出した方と接触する恐れがあり、従来の障害釘植設装置を用いることができず、装置を改造したり新設したりしなければならず、障害釘の植設に係るコストが増加する問題がある。
手段11の構成によると、パネルホルダにおける嵌合段部の深さを、嵌合された遊技パネルの前面とパネルホルダの前面とが略同一面となるような深さとしたものである。
これにより、遊技パネルをパネルホルダの嵌合断部に嵌合させるだけで、それらの前面側が略面一となるので、従来より用いられている障害釘植設装置を改造等しなくても遊技パネルをパネルホルダに保持した状態で従前の障害釘植設装置にセットすることが可能となり、障害釘の植設に係るコストが増加するのを抑制することができる。
手段12:手段4から手段11までの何れか一つの構成において、
「前記遊技パネルは、少なくとも略対向する二辺に配置された係合部を更に備え、且つ、
前記パネルホルダは、前記遊技パネルの前記係合部と着脱自在に係合する被係合部を更に備えている」ものであることを特徴とする。
ここで、「係合部」及び「被係合部」としては、「係合部を前面側が窪んだ段状の係合段部とすると共に、被係合部を係合段部と係合するように前面に略沿って突出する係合突部としたもの」、「係合部を前面側が窪んだ段状の係合段部とすると共に、被係合部を係合段部と係合する爪状の係合爪部としたもの」、「係合部を前面側が窪んだ段状の係合段部とすると共に、被係合部の一方を係合段部と係合するように前面に略沿って突出する係合突部とし、他方を係合段部と係合する爪状の係合爪部としたもの」、等が挙げられる。
手段12の構成によると、遊技パネルに、少なくとも略対向する二辺に係合部を備えると共に、パネルホルダに、遊技パネルの係合部と着脱自在に係合する被係合部を備えるようにしたものである。
これにより、遊技パネルをパネルホルダの嵌合段部に嵌合させた上で、係合部と被係合部とを互いに係合させることで着脱自在に係合保持するようにしており、接着固定していないので、遊技パネルとパネルホルダとを組立てるための組立工数が増加するのを抑制することができると共に、遊技パネルとパネルホルダとを容易に着脱することができるので、組立や、廃棄処分時等の分解に係る手間を簡略化することができる。
また、係合部と被係合部とを係合させることで、遊技パネルをパネルホルダに支持させるようにしており、例えば、遊技パネルをパネルホルダと前構成部材とで挟持するようにした場合と比較して、遊技領域を区画形成する前構成部材が無くても、遊技パネルとパネルホルダとを一体化することができるので、前構成部材を組付ける際の遊技パネルとパネルホルダの取り回しを容易なものとすることができると共に、遊技パネルとパネルホルダとを組付けた状態で遊技領域に障害釘や役物等を植設することができ、組立作業性等を向上させることができる。
手段13:手段12の構成において、
「前記遊技パネルの前記係合部は、前面側が窪んだ段状の係合段部とされ、且つ、
前記パネルホルダの前記被係合部は、略対向配置された一方の側が前記嵌合段部の前面との間に所定の隙間を形成した状態で前面に略沿った中心側に向かって延び前記係合段部と係合する係合突部と、該係合突部と略対向配置された他方の側が前記嵌合段部から前方に向かって大きくても前面まで突出し前記係合段部と係合する係合爪部とされている」ものであることを特徴とする。
手段13の構成によると、遊技パネルの係合部を、前面側が窪んだ段状の係合段部とすると共に、パネルホルダの被係合部の一方を、嵌合段部との間に係合段部が挿入できる隙間を形成し前面に沿って中心側に延びだす係合突部とし、他方を嵌合段部から前方に向かって突出する爪状の係合爪部としたものである。
これにより、遊技パネルにおける一辺側の係合段部をパネルホルダの係合突部と係合させた後に、他方の辺側の係合段部をパネルホルダの係合爪部と弾性係合させることでパネルホルダに遊技パネルを係合保持させることができ、パネルホルダと遊技パネルとの着脱を容易に行わせることができる。
また、大きくても前面まで突出する係合爪部としている、つまり、係合爪部がパネルホルダの前面から突出しないようにしているので、パネルホルダに遊技パネルを保持させた状態で、遊技盤(遊技パネルやパネルホルダ)の前面に沿って障害釘植設装置等の加工装置を作動(移動)させても、加工装置が係合爪部に当接することが無く、加工装置を用いて遊技盤に対して障害釘の植設等の所定の加工を良好に行わせることができる。
手段14:手段12又は手段13の構成において、
「前記パネルホルダは、
既存の障害釘植設装置の位置決め手段に対応した位置決め部を更に備えている」ものであることを特徴とする。
ここで、「位置決め部」としては、「所定の大きさの孔からなるもの」、「互いに離れた位置に配置された二つ以上の切欠き部からなるもの」、「パネルホルダの所定の辺を用いたもの」、等が挙げられる。
手段14の構成によると、パネルホルダに、既存の障害釘植設装置の位置決め手段と対応した位置決め部を備えたものである。これにより、遊技パネルを支持するパネルホルダを既存の障害釘植設装置にセットすることが可能となるので、既存の障害釘植設装置により遊技パネルに障害釘を植設することができ、障害釘植設装置を改造したり新造したりする必要が無く、遊技機の製造にかかるコストが増加するのを抑制することができる。
なお、既存の障害釘植設装置に限らず、その他の既存の装置の位置決め手段と対応する位置決め部を備えるようにしても良く、これにより、既存の生産ラインに載せることができ、遊技機の製造にかかる設備費を低減させることができる。
手段15:手段4から手段14までの何れか一つの構成において、
「前記遊技盤は、
前記パネルホルダの後面側に配置されると共に該パネルホルダの幅と対応した幅で前側及び上側が開放された箱状とされ、遊技媒体が通過可能な大きさの遊技媒体排出口を有した底板、及び前記パネルホルダの後面との間に所定量の隙間が形成される逃し部を少なくとも備え、前記遊技領域内に打ち込まれた遊技媒体を収集して前記遊技媒体排出口から下方へ排出する樹脂からなる遊技媒体収集排出部材を更に有する」ものであることを特徴とする。
ところで、従来の遊技機では、遊技領域内に備えられた各種入賞口や、アウト口に受入れられた遊技媒体が、遊技盤の裏側に導かれた後に、遊技盤の下方へ排出されるようになっており、この遊技盤の裏側には、遊技領域の所定位置に配置された各種入賞口等から遊技媒体を下方へ排出誘導する誘導路が夫々取付固定されている。しかしながら、従来の遊技機では、遊技領域内に配置される入賞口等の位置が機種によって異なっているので、遊技媒体を排出誘導する誘導路も異なるものとなり、機種変更の際に誘導路も新調しなければならず、コストのかかるものとなっていた。
手段15の構成によると、パネルホルダの後面側に配置されると共にパネルホルダと対応した幅で前側及び上側が開放された箱状とされ、遊技媒体を排出する遊技媒体排出口を有した底板、及びパネルホルダとの間に所定量の隙間を形成する逃し部を備え、遊技領域内に打ち込まれた遊技媒体を収集して排出する樹脂からなる遊技媒体収集排出部材を更に備えたものである。
これにより、遊技領域内の何れの位置に各種入賞口やアウト口等が配置されていても、それら入賞口等に受入れられることで遊技パネルの後方側に誘導されて排出される遊技媒体を箱状の遊技媒体収集排出部材により収集して、所定位置に配置された遊技媒体排出口から排出させることができる。つまり、入賞口等を遊技領域の何れの位置に配置しても遊技媒体を確実に排出することができるので、遊技機の機種を変更して入賞口等の位置が変化しても、遊技媒体収集排出部材を変更することなく遊技媒体を確実に排出させることができ、遊技媒体収集排出部材を共通パーツとすることが可能となり、遊技機にかかるコストが増加するのを抑制することができる。
また、遊技媒体収集排出部材には、パネルホルダの後面との間に所定量の隙間を形成する逃し部を備えているので、この逃し部内に、パネルホルダの後面側の取付孔に取付けられる所定の部材(例えば、各種入賞口や受入口、演出用役物、装飾用役物、装飾部材、裏箱、演出表示手段等)に備えられたフランジ状の固定部が収納配置されるようにすることで、固定部がパネルホルダへの遊技媒体収集排出部材の取付けの妨げとなるのを回避することができ、遊技媒体収集排出部材及び所定の部材を夫々パネルホルダの後面側に確実に取付固定することができる。
更に、遊技媒体収集排出部材に逃し部が備えられており、遊技媒体収集排出部材が配置された位置と略同じ位置に所定の部材を配置してパネルホルダに取付固定することができるので、パネルホルダに対して所定の部材を任意の位置に自由に配置することができ、遊技機の設計自由度を高めて遊技者の興趣が高められるものとすることができる。
なお、遊技媒体収集排出部材における逃し部の深さとしては、0.5〜3mmの範囲内とすることが望ましく、0.5mmよりも少ないと取付固定される固定部の厚さが薄くなり固定部の強度が低下して破損する恐れがあるからであり、3mmよりも大きいと逃し部における遊技媒体収集排出部材の厚さが薄くなって強度が低下する恐れがあるからである。
また、遊技媒体収集排出部材における底板の上面を、遊技媒体排出口に向かって低くなるように傾斜させるようすることが望ましく、これにより、箱状に形成された遊技媒体収集排出部材に受入れられた遊技媒体は、底板に到達することでその傾斜面に沿って遊技媒体排出口へと誘導されて、確実に遊技媒体排出口から排出させることができ、遊技媒体収集排出部材内で遊技媒体が滞ったり、停滞したりするのを防止することができる。
更に、遊技媒体収集排出部材の後側に、所定の制御基板を支持可能な基板支持部を備えるようにすることが望ましく、これにより、遊技媒体収集排出手段を介してパネルホルダに制御基板を支持することができ、制御基板をパネルホルダに支持するための部材を別途用意する必要がないと共に、遊技媒体収集排出部材により所定の制御基板を支持する、つまり、従来の基板ホルダに遊技領域から排出される遊技媒体を収集して所定位置から排出する機能を持たせたものであり、一つの部材を多機能化することで部品点数を少なくすることができ、遊技機にかかるコストが増加するのを防止することができる。なお、「所定の制御基板」としては、「遊技内容を制御する主制御基板」、「主制御基板の制御を補助する副制御基板」、「装飾用制御基板」、「演出表示制御基板」、「払出制御基板」、等が挙げられる。また、制御基板を直接支持するようにしても良いし、制御基板を収納した基板ボックスを介して支持するようにしても良い。
また、遊技媒体収集排出部材に、基板支持部に支持された制御基板と電気的に接続され後方からスライド接続可能とされたドロワコネクタを備えるようにしても良く、これにより、ドロワコネクタと接続するコネクタを後方からスライド接続させるだけでドロワコネクタを介して容易に制御基板と接続することができ、電気配線の接続にかかる手間を簡略化することができる。因みに、「ドロワコネクタ」とは、ソケット側或いはプラグ側を相対的にスライド移動させることで、複数の電気的な配線同士を接続又は切断(解除)することのできる接続コネクタのことである。
手段16:手段4から手段15までの何れか一つの構成において、
「前記遊技盤は、
前記パネルホルダの後面側で下端から所定高さまでの所定範囲内に配置され、平面状の後面に所定配列で配置され遊技媒体よりも小径で所定のビスを螺合可能な複数のビス孔を備えたパネル裏板を更に有している」ものであることを特徴とする。
ところで、従来より遊技盤には、その中心よりも下部に入賞口やアタッカ装置、及びアウト口等が配置されるのが一般的であるので、遊技盤における裏面側の下部にはそれら入賞口等を支持すると共に、入賞口等に受入れられた遊技媒体を検出して後に排出誘導する検出誘導部材等が取付固定されている。そして、遊技盤の一部に共通パーツとしてパネルホルダを用いた場合、予めパネルホルダに複数の取付孔を備えていても、その下部に取付けられる部材の種類が多いので、パネルホルダをリサイクルして再利用しようとすると、一度用いられた取付孔を用いて部材を取付固定する確率が高くなり、一度使用された取付孔に再度ビスをねじ込むことによりビスの固定強度が低下する問題がある。
手段16の構成によると、パネルホルダの後面側で下端から所定範囲に配置され、遊技媒体よりも小径で所定のビスを螺合可能な複数のビス孔を後面側に備えた樹脂からなるパネル裏板を更に備えたものである。
これにより、パネルホルダの下部の所定範囲内をパネル裏板として分割することができるので、パネルホルダをリサイクルして再利用する際に、パネル裏板を新しいものと交換して使用することで、一度使用した取付孔を使用するものを回避することができ、パネルホルダをリサイクルしても、取付けられる部材の取付強度が低下するのを防止することができる。
また、リサイクルする際に、パネルホルダよりも小さいパネル裏板を新しいものとすれば良いので、パネルホルダ全体を新造する場合と比較して、その製造コストを少なくすることができる。
手段17:手段16の構成において、
「前記パネル裏板は、
前記パネルホルダにおける前記所定範囲内の前記肉抜き部を覆うように配置されている」ものであることを特徴とする。
ところで、遊技盤(パネルホルダ)を樹脂によって構成するようにした場合、樹脂は木製合板と比較して比重が大きいので、遊技盤の重量が重くなると共に樹脂の使用量が多くなり材料にかかるコストが増加する問題がある。そこで、遊技盤に複数の肉抜き部を形成することで、遊技盤を軽量化すると共に材料の使用量を少なくすることが考えられる。しかしながら、この場合、遊技媒体と接する部位に肉抜き部を形成すると、肉抜き部内に遊技媒体が侵入したり、肉抜き部に遊技媒体が接触したりして、遊技媒体が本来とは懸離れた意図しない動きをしたり、遊技媒体が停滞したりして遊技に影響を及ぼす恐れがある。
手段17の構成によると、パネル裏板を、パネルホルダの下端から所定範囲内に形成された肉抜き部を覆うように配置したものである。これにより、各種入賞口やアウト口等に受入れられた遊技媒体を排出するために、遊技パネルやパネルホルダの後面に沿うように流下した遊技媒体が、パネルホルダの後面側に形成された肉抜き部内に侵入したり、肉抜き部の開口に接触したりして、遊技媒体が本来とは懸離れた意図しない動きや、遊技媒体が停滞する等により遊技媒体の流通に不具合が生じ、遊技に影響が及ぼされるのを防止することができる。
また、パネル裏板の後面側に箱状の遊技媒体収集排出部材を配置するようにした場合、パネル裏板により、遊技媒体収集排出部材の開放された前側を閉鎖することができ、遊技媒体収集排出部材により確実に遊技媒体を収集することができると共に、遊技媒体収集排出部材により収集された遊技媒体が、パネルホルダの後面側に形成された肉抜き部内に侵入したり、肉抜き部の開口に接触したりして、遊技媒体が本来とは懸離れた意図しない動きや、遊技媒体が停滞する等により遊技媒体の流通に不具合が生じ、遊技に影響が及ぼされるのを防止することができる。
手段18:手段16又は手段17の構成において、
「前記パネルホルダは、
その後面と前記パネル裏板の後面とが略同一面となるように、該パネル裏板を収容可能な収容凹部を更に備えている」ものであることを特徴とする。
手段18の構成によると、パネルホルダに、その後面がパネル裏板の後面と略同一面となるようにパネル裏板を収容可能な収容凹部を形成したものである。これにより、パネルホルダとパネル裏板の後面を略同一面とすることができるので、パネルホルダとパネル裏板との境界部において前後方向に段が形成されるのを回避することができ、パネルホルダの後面側に沿って流下する遊技媒体をパネル裏板の後面側へスムーズに受け渡すことができる。また、パネルホルダの後面側からパネル裏板が後方へ突出するのを防止することができるので、パネルホルダつまり遊技盤を遊技機における遊技盤装着枠に確実に装着固定することができる。
なお、パネル裏板の前面側に減量用の凹陥部を形成するようにしても良く、これにより、パネル裏板の重量を軽減させることができると共に、パネル裏板に用いる材料の量を減らすことができ、パネル裏板にかかるコストを低減させることができる。また、パネル裏板において、ビス孔周りをボス状に、また、適宜位置にリブが形成されるように凹陥部を備えることが望ましく、これにより、ビス孔を用いた固定強度を維持することができると共に、パネル裏板全体の剛性が低下するのを防止することができる。
手段19:手段16から手段18までの何れか一つの構成において、
「前記パネルホルダ及び前記パネル裏板は、何れか一方に備えられる係止部と、何れか他方に備えられ該係止部に係止可能な係止爪とを備え、
前記係止部に前記係止爪を係止させることで、前記パネルホルダと前記パネル裏板とが互いに着脱自在に構成されている」ものであることを特徴とする。
手段19の構成によると、パネルホルダとパネル裏板の何れか一方に係止部を備えると共に、何れか他方に係止部と係止可能な係止爪を備えるようにして、それら係止部と係止爪とによりパネルホルダとパネル裏板とを着脱自在としたものである。
これにより、係止部と係止爪とを互いに係止させるだけで容易にパネルホルダにパネル裏板を固定させることができ、組立にかかる手間を簡略化することができると共に、係止部と係止爪とを簡単に係止を解除することができるので、遊技機を分解する際に、パネルホルダからパネル裏板を容易に取外すことができ、分解にかかる手間も簡略化することができる。
手段20:手段19の構成において、
「前記パネル裏板は、
前記ビス孔と対応するように複数の位置決め孔を更に備えている」ものであることを特徴とする。
手段20の構成によると、パネル裏板に、ビス孔と対応する位置に位置決め孔を備えるようにしたものである。これにより、パネル裏板に所定の部材を取付固定する際に、所定の部材に備えられた位置決め突起を位置決め孔に挿入させることで、パネル裏板と所定の部材との位置関係を正しい位置にすることができ、組付け性を向上させることができる。
また、夫々のビス孔に対して対応する位置決め孔が備えられている、つまり、複数の位置決め孔が備えられているので、複数の位置決め孔によりパネル裏板が肉抜きされることとなり、パネル裏板の重量を軽減させることができる。なお、パネル裏板の位置決め孔は、パネルホルダの位置決め孔と同様の構成とすることが望ましく、これにより、遊技盤に取付固定される所定の部材の固定部の構造を統一することができ、設計ミスが発生するのを防止することができる。
手段21:手段4から手段20までの何れか一つの構成において、
「前記遊技盤は、
前記遊技パネルの外周と前記パネルホルダとの間に所定量のクリアランスが形成されている」ものであることを特徴とする。
ところで、遊技パネルをパネルホルダの嵌合段部に嵌合させるようにした場合、遊技パネルに用いる材料とパネルホルダに用いる材料の物性の違いや、同じ材料を用いても構造や大きさ等の違いによって、気温等による温度変化や経時変化等により相対的に遊技パネルが伸縮し、それらの間に隙間ができたり、互いに押圧しあって歪みが発生したりして、遊技パネルにガタ付が発生したり、遊技パネルがパネルホルダから脱落したり、或いは、遊技パネルやパネルホルダが歪により変形したりするような異常が発生する恐れがある。そして、その異常の発生によって、遊技媒体が意図しない動きをしたり、遊技機が破損したり、遊技を中断しなければならない状態となったりして、遊技に支障が出て遊技者の興趣を低下させてしまう恐れがある。
手段21の構成によると、遊技パネルの外周とパネルホルダとの間に所定量のクリアランスを形成するようにしたものである。これにより、遊技パネルの外周とパネルホルダとの間に所定量のクリアランスが形成されているので、温度変化や経時変化により相対的に遊技パネルが伸縮しても、遊技パネルがパネルホルダから脱落したりガタ付いたり、或いは遊技パネルとパネルホルダとが互いに押圧し合って歪みが発生したりするような異常が発生するのを防止することができ、異常の発生により遊技媒体が意図しない動きをしたり、遊技パネルやパネルホルダ等が破損したり、遊技を中断しなければならない状態となったりするのを防止して、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
なお、遊技パネルをパネルホルダと前構成部材とにより挟持するようにしても良く、これにより、温度変化や経時変化等により遊技パネルが相対的に伸縮した際に、パネルホルダとの嵌合や外れたり、係合部と被係合部との係合が解除されたりしても、遊技パネルが遊技盤から脱落するのを確実に防止することができる。
また、「所定量のクリアランス」としては、0〜10mmの間とすることが望ましく、更には、1〜3mmの間とすることが望ましい。これよりも小さいと、遊技パネルが伸びた時に遊技パネルとパネルホルダとが強く接触して力が作用し遊技盤が歪む恐れがあるためであり、これよりも大きいと、遊技パネルが縮んだ時に遊技パネルとパネルホルダとの間の隙間が大きくなりすぎてガタ付等が発生する恐れがあるからである。
手段22:手段4から手段21までの何れか一つの構成において、
「前記パネルホルダの前記嵌合段部には、前後方向に延び互いに離反した位置に少なくとも二つの突出ピンを備えると共に、
前記遊技パネルには、前記突出ピンと嵌合する嵌合孔と、前記突出ピンを挿通可能な長孔とが夫々一つずつ少なくとも形成されている」ものであることを特徴とする。
手段22の構成によると、パネルホルダの嵌合段部に少なくとも二つの突出ピンを備えるようにすると共に、遊技パネルに突出ピンと嵌合する嵌合孔と長孔とを少なくとも一つずつ備えるようにしたものである。
これにより、遊技パネルの嵌合孔及び長孔に、パネルホルダの突出ピンを嵌合及び挿通させることで、容易に遊技パネルをパネルホルダに位置決めすることができると共に、遊技パネル等が温度変化や経時変化等によって伸縮しても、遊技パネルの長孔において固定位置が可動(スライド)して伸縮が許容されるので、位置決めした状態でも遊技パネルとパネルホルダとの間に応力が作用するのを防止して、応力がかかることで遊技盤が歪むのを防止することができる。
手段23:遊技機において、
「遊技者の操作によって遊技媒体が打ち込まれ少なくとも所定配列で複数の障害釘が前面側から植設される遊技領域、少なくとも略対向する二辺に配置され前面側が窪んだ段状の係合段部とされた係合部、所定位置に互いに離反して配置される嵌合孔及び長孔を備え、透明樹脂からなる遊技パネルと、
該遊技パネルの外周との間に所定量のクリアランスが形成されるように覆うと共に前記遊技パネルが着脱可能に嵌合し前面が前記遊技パネルの前面と略同一面となるような深さの嵌合段部、該嵌合段部の内側に配置され前後方向に貫通する貫通口、該貫通口の外周側且つ後面側に配置され少なくとも後面側外周部が後側に突出したような状態で前側に窪んだ形態の取付支持部、略全周に亘って配置され所定のビスを螺合可能な複数の第一取付孔と該第一取付孔に螺合されるビスよりも大径のビスが螺合可能とされ上下方向の中央よりも上側に配置される複数の第二取付孔とからなり少なくとも前記取付支持部に所定配列で配置される複数の取付孔、該取付孔と対応するように配置される複数の位置決め孔、少なくとも下端から所定高さまでの所定範囲では後面側に開口する複数の肉抜き部、前記所定範囲内に形成され後側から前側に向かって所定量窪んだ形態の収容凹部、該収容凹部内に備えられた係止部、前面から突出しないように形成され前記遊技パネルの前記係合部と着脱自在に係合し、略対向配置された一方の側が前記嵌合段部の前面との間に所定の隙間を形成した状態で前面に略沿った中心側に向かって延び前記係合段部と係合する係合突部と、該係合突部と略対向配置された他方の側が前記嵌合段部から前方に向かって大きくても前面まで突出し前記係合段部と係合する係合爪部とされた被係合部、前記嵌合段部から前後方向に延び前記遊技パネルの前記嵌合孔及び前記長孔と嵌合及び挿通可能な突出ピン、及び既存の障害釘植設装置の位置決め手段に対応した位置決め部を備えた熱可塑性樹脂からなる枠状のパネルホルダと、
該パネルホルダの前記嵌合段部に嵌合される前記遊技パネルの後面側に密着配置され、前記障害釘における植設側先端が前記遊技パネルの後面から突出するのを規制し、該遊技パネルよりも硬質な透明樹脂からなる透明樹脂板としての保護部材と、
前記遊技パネル及び前記パネルホルダ前面側に配置され、前記遊技領域を区画形成すると共に該遊技領域内に遊技媒体を案内する案内レールを備え樹脂からなる前構成部材と、
前記パネルホルダの後面側で下端から所定高さまでの前記所定範囲内の前記肉抜き部を覆うように配置されると共に、前記パネルホルダの前記収容凹部に後面同士が略同一面となるように収容可能とされ、平面状の後面に所定配列で配置され遊技媒体よりも小径で所定のビスを螺合可能な複数のビス孔、該ビス孔と対応するように配置される複数の位置決め孔、及び前記パネルホルダの前記係止部に係止可能な係止爪を備えた樹脂からなるパネル裏板と、
該パネル裏板の後面側に配置されると共に前記パネルホルダの幅と対応した幅で前側及び上側が開放された箱状とされ、遊技媒体が通過可能な大きさの遊技媒体排出口を有した底板、及び前記パネルホルダの後面との間に所定量の隙間が形成される逃し部を少なくとも備え、前記遊技領域内に打ち込まれた遊技媒体を収集して前記遊技媒体排出口から下方へ排出する樹脂からなる遊技媒体収集排出部材とを有した遊技盤、
及び該遊技盤の少なくとも透明な前記遊技パネルを通して遊技者から視認可能とされると共に、前記パネルホルダの前記取付孔を介して前記保護部材の後側に取付けられ、遊技者に対して所定の発光演出を提示可能な演出装置を備え、
前記保護部材には、
その前面に、所定の装飾画が印刷によって画像形成されてなり、
その後面に、遊技者側から当該保護部材を介して見たときの前記演出装置による発光演出の明瞭度合いに強弱が付けられるかたちで、複数色の着色材によって裏打ちが施されてなる」ものであることを特徴とする。
手段23の構成によると、遊技機に、「遊技媒体が打ち込まれ少なくとも所定配列で複数の障害釘が植設される遊技領域、少なくとも略対向する二辺に配置され前面側が窪んだ段状の係合段部とされた係合部、所定位置に互いに離反して配置される嵌合孔及び長孔を備え、透明樹脂からなる遊技パネル」と、「遊技パネルの外周との間に所定量のクリアランスが形成されるように覆うと共に遊技パネルが着脱可能に嵌合し前面が遊技パネルの前面と略同一面となるような深さの嵌合段部、嵌合段部の内側に配置され前後方向に貫通する貫通口、貫通口の外周側且つ後面側に配置され少なくとも後面側外周部が後側に突出したような状態で前側に窪んだ形態の取付支持部、略全周に亘って配置され所定のビスを螺合可能な複数の第一取付孔と第一取付孔よりも大径のビスが螺合可能とされ上下方向の中央よりも上側に配置される複数の第二取付孔とからなり少なくとも取付支持部に配置される複数の取付孔、取付孔と対応するように配置される複数の位置決め孔、少なくとも下端から所定高さまでの所定範囲では後面側に開口する複数の肉抜き部、下端から所定範囲内に形成され前側に向かって所定量窪んだ収容凹部、収容凹部内に備えられた係止部、前面から突出しないように形成され遊技パネルの係合部と着脱自在に係合し、略対向配置された一方の側が嵌合段部の前面との間に所定の隙間を形成し前面に略沿った中心側に向かって延びる係合突部と、係合突部と略対向配置された他方の側が嵌合段部から前方に向かって突出する係合爪部とされた被係合部、嵌合段部から前後方向に延び遊技パネルの嵌合孔及び長孔と嵌合及び挿通可能な突出ピン、及び既存の障害釘植設装置の位置決め手段に対応した位置決め部を備えた熱可塑性樹脂からなる枠状のパネルホルダ」と、「遊技パネルの後面側に密着配置され、障害釘における植設側先端が遊技パネルの後面から突出するのを規制し、遊技パネルよりも硬質な透明樹脂からなる保護部材」と、「遊技パネル及びパネルホルダ前面側に配置され、遊技領域を区画形成すると共に遊技領域内に遊技媒体を案内する案内レールを備えた樹脂からなる前構成部材」と、「パネルホルダの後面側で下端から所定高さまでの所定範囲内の肉抜き部を覆うように配置されると共に、パネルホルダの収容凹部に後面同士が略同一面となるように収容可能とされ、平面状の後面に配置されビスを螺合可能な複数のビス孔、ビス孔と対応するように配置される複数の位置決め孔、及びパネルホルダの係止部に係止可能な係止爪を備えた樹脂からなるパネル裏板」と、「パネル裏板の後面側に配置されると共にパネルホルダの幅と対応した幅で前側及び上側が開放された箱状とされ、遊技媒体が通過可能な大きさの遊技媒体排出口を有した底板、及びパネルホルダの後面との間に所定量の隙間が形成される逃し部を少なくとも備え、遊技領域内の遊技媒体を収集して遊技媒体排出口から下方へ排出する樹脂からなる遊技媒体収集排出部材」とを有した遊技盤、及び遊技盤における透明な遊技パネルを通して遊技者から視認可能とされると共にパネルホルダの取付孔を介して保護部材の後側に取付けられ、所定の演出を提示可能な演出手装置を備えたものである。
これにより、障害釘が植設された遊技盤の遊技パネルと演出表示手段等の演出装置との間に透明樹脂板としての保護部材が配置されているので、調整の際に障害釘を叩いても、障害釘の植設側先端が、保護部材によって演出装置に当接するのを阻止することができ、障害釘の調整によって演出装置が傷ついたり破損したりする不具合が発生するのを防止することができると共に、演出表示手段等の演出装置を保護部材によって障害釘の植設側先端から保護することができるので、例えば、演出装置として遊技盤の大きさと略同じ大きさの演出表示手段を問題なく備えることができ、遊技者に対して演出画像を大画面で見せることができ、迫力のある演出画像によって遊技者を楽しませて、より興趣の高められる遊技機とすることができる。
また、障害釘の植設側先端から演出表示手段等の演出装置を保護する保護部材を備えているので、障害釘を植設する下孔を貫通孔としても何ら問題となることは無く、これにより、遊技パネルの厚さ全体を使って障害釘を保持することができ、障害釘の保持強度が低下するのを抑制して、遊技盤の耐久性が低下するのを防止することができる。また、障害釘用の下孔を貫通孔とすることができるので、遊技パネルの厚さが増加するのを防止することが可能となり、遊技パネルに係るコストが増加するのを抑制することができると共に、遊技パネルを有した遊技盤の重量が増加するのを抑制することができるので、遊技盤を支持する部分を補強したり遊技盤の取り回しがし辛くなったりするのを防止することができ、遊技機に係るコストが増加するのを抑制することができる。
また、遊技パネルの後面側に保護部材が密着配置されているので、調整の際に障害釘を叩いても、障害釘の植設側先端が保護部材に当接して、障害釘が必要以上に遊技パネル側へ陥没するのを防止することができ、障害釘の調整の際に不具合が発生するのを防止することができる。
更に、遊技パネルと保護部材とが密着しているので、保護部材の前面で光が反射するのを防止することが可能となり、保護部材での光の反射によって後側に配置された演出表示手段等の演出装置の演出が見辛くなるのを防止することができ、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。また、遊技パネルと保護部材とが密着しているので、保護部材を遊技パネルと一体化されることとなり、遊技機の組立てに係る工程を少なくすることができ、組立てに係るコストを低減させることができる。
また、保護部材を遊技パネルよりも硬質な樹脂材で形成しており、保護部材の厚さを薄くしても、障害釘から演出表示手段等を保護することができるので、保護部材の重さ可及的に軽くすることができ、遊技盤等の重量が増加するのを抑制して、上述した作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
更に、遊技パネルにおける一辺側の係合段部をパネルホルダの係合突部と係合させた後に、他方の辺側の係合段部をパネルホルダの係合爪部と弾性係合させることでパネルホルダに遊技パネルを係合保持させることができ、パネルホルダと遊技パネルとの着脱を容易に行わせることができる。また、遊技パネルの係合部(係合段部)とパネルホルダの被係合部(係合突部及び係合爪部)とを互いに係合させることで、遊技パネルとパネルホルダとが、その前面側が略面一となる状態で保持することができるので、従来より用いられている障害釘植設装置を改造等しなくても遊技パネルをパネルホルダに保持した状態で従前の障害釘植設装置にセットすることが可能となり、障害釘の植設にかかるコストが増加するのを抑制することができる。
また、遊技パネルとパネルホルダとを互いに係合させる被係合部が、パネルホルダの前面から突出しないように備えられているので、パネルホルダに遊技パネルを保持させた状態で、遊技盤(遊技パネルやパネルホルダ)の前面に沿って障害釘植設装置等の加工装置を作動(移動)させても、加工装置が被係合部に当接することが無く、加工装置を用いて遊技盤に対し所定の加工(例えば、障害釘の植設など)を良好に行わせることができる。
更に、パネルホルダに、既存の障害釘植設装置の位置決め手段と対応した位置決め部を備えており、遊技パネルを支持するパネルホルダを既存の障害釘植設装置にセットすることが可能となるので、既存の障害釘植設装置により遊技パネルに障害釘を植設することができ、障害釘植設装置を改造したり新造したりする必要が無く、遊技機の製造にかかるコストが増加するのを抑制することができる。
また、パネルホルダの後面側の下端から所定範囲内に形成された肉抜き部を覆うように平面状のパネル裏板を配置しており、パネル裏板によりその後面側に配置される遊技媒体収集排出部材の開放された前側を閉鎖することができるので、各種入賞口やアウト口等に受入れられた遊技媒体を排出するために、遊技パネルやパネルホルダの後面に沿うように流下した遊技媒体や、遊技媒体収集排出部材により収集された遊技媒体が、パネルホルダの後面側に形成された肉抜き部内に侵入したり、肉抜き部の開口に接触したりして、遊技媒体が本来とは懸離れた意図しない動きや、遊技媒体が停滞する等により遊技媒体の流通に不具合が生じ、遊技に影響が及ぼされるのを防止することができる。
更に、パネルホルダの肉抜き部を、パネルホルダの下端から所定範囲内までは後面側に開口するように形成しているので、その部位の前面側を平坦な面とすることができ、その前面側に前構成部材の案内レールを配置することで、案内レールにより遊技媒体を円滑に案内させることができる。
また、パネルホルダに、その後面がパネル裏板の後面と略同一面となるようにパネル裏板を収容可能な収容凹部を形成しており、パネルホルダとパネル裏板の後面を略同一面とすることができるので、パネルホルダとパネル裏板との境界部において前後方向に段が形成されるのを回避することができ、パネルホルダの後面側に沿って流下する遊技媒体をパネル裏板の後面側へスムーズに受け渡すことができる。また、パネルホルダの後面側からパネル裏板が後方へ突出するのを防止することができるので、パネルホルダつまり遊技盤を遊技機における遊技盤装着枠に確実に装着固定することができる。
更に、係止部と係止爪とを互いに係止させるだけで容易にパネルホルダにパネル裏板を固定させることができるので、組立にかかる手間を簡略化することができると共に、係止部と係止爪とを簡単に係止を解除することができるので、遊技機を分解する際に、パネルホルダからパネル裏板を容易に取外すことができ、分解にかかる手間も簡略化することができる。
また、パネル裏板の前面側に減量用の凹陥部を形成しているので、これにより、パネル裏板の重量を軽減させることができると共に、パネル裏板に用いる材料の量を減らすことができ、パネル裏板にかかるコストを低減させることができる。
更に、遊技盤におけるパネルホルダの後面側、具体的には、パネル裏板の後面側に、箱状の遊技媒体収集排出部材が備えられているので、遊技領域内の何れの位置に各種入賞口やアウト口等が配置されていても、それら入賞口等に受入れられることで遊技パネルの後方側に誘導されて排出される遊技媒体を箱状の遊技媒体収集排出部材により収集して、所定位置に配置された遊技媒体排出口から排出させることができる。つまり、入賞口等を遊技領域の何れの位置に配置しても遊技媒体を確実に排出することができるので、遊技機の機種を変更して入賞口等の位置が変化しても、遊技媒体収集排出部材を変更することなく遊技媒体を確実に排出させることができ、遊技媒体収集排出部材を共通パーツとすることが可能となり、遊技機にかかるコストが増加するのを抑制することができる。
また、遊技媒体収集排出部材には、パネル裏板の後面との間に所定量の隙間を形成する逃し部を備えているので、この逃し部内に、パネル裏板の後面側のビス孔に取付けられる所定の部材(例えば、各種入賞口や受入口、演出用役物、装飾用役物、装飾部材、裏箱、演出表示手段等)に備えられたフランジ状の固定部が収納配置されるようにすることで、固定部がパネル裏板への遊技媒体収集排出部材の取付けの妨げとなるのを回避することができ、遊技媒体収集排出部材及び所定の部材を夫々パネル裏板の後面側に確実に取付固定することができる。また、遊技媒体収集排出部材に逃し部が備えられており、遊技媒体収集排出部材が配置された位置と略同じ位置に所定の部材を配置してパネル裏板に取付固定することができるので、パネルホルダやパネル裏板に対して所定の部材を任意の位置に自由に配置することができ、遊技機の設計自由度を高めて遊技者の興趣が高められるものとすることができる。
更に、パネルホルダの後面側に、前側に窪んだ形態の取付支持部が備えられているので、この取付支持部に所定の部材の固定部を取付固定することで、固定部がパネルホルダの後面から後側に突出するのを防止することができ、パネルホルダすなわち遊技盤を、遊技機における遊技盤装着枠に確実に装着固定することができる。つまり、遊技機における遊技盤装着枠を加工(変更)しなくても遊技盤を装着することができるので、遊技盤装着枠を機種に依存しない共通パーツとすることができ、遊技機にかかるコストが増加するのを防止することができる。
また、取付支持部をパネルホルダの外周付近に配置した場合、取付固定される所定の部材の固定部を可及的にパネルホルダの外周縁に近づけることができるので、よりパネルホルダの外周近くまで所定の部材を固定配置することが可能となり、より大きな所定の部材を取付固定したり、遊技盤の略全体に亘って所定の部材を配置したりすることができると共に、所定の部材によって広がりのある演出や装飾を行うことができ、遊技者の興趣を高められるものとすることができる。
また、パネルホルダにおける後面側の外周部が後側に突出したような状態となるように取付支持部が備えられており、遊技盤(パネルホルダ)を装着する枠状の遊技盤装着枠に対して当接するパネルホルダの外周部をパネルホルダの最も後側に位置する端部とすることができるので、取付支持部に所定の部材の固定部を取付固定しても、パネルホルダすなわち遊技盤を遊技機の遊技盤装着枠に確実に装着させることができる。
更に、遊技領域を有した遊技盤を、遊技パネル、パネルホルダ、及び前構成部材に分割するようにしているので、遊技機の機種によって障害釘や入賞口等の位置が変化する遊技パネルを交換パーツとすると共に、パネルホルダ及び前構成部材を共通パーツとすることができ、パネルホルダや前構成部材等をリサイクル可能とすることができると共に遊技パネルのみを交換するだけで種々の機種に対応可能な遊技盤を備えた遊技機とすることができる。
また、機種に応じてパネルホルダに取付固定される入賞口や各種役物等の種々の所定の部材の取付固定位置が異なる位置となっていても、パネルホルダに予め複数の取付孔が所定配列で備えられているので、各種部材の固定部を取付孔の位置と対応させるように設計することで、パネルホルダを機種に依存しない遊技機の共通パーツとすることができ、機種を変更してもパネルホルダの成形型を流用することができるので、遊技機に係るコストを低減させることができる。
更に、遊技パネルとパネルホルダとを分割するようにすると共にパネルホルダを共通パーツとすることができるので、一体成形する場合と比較して、機種を変更する度に遊技盤全体の大きさに相当する大型の成形型を新たに製作する必要が無く、機種変更に係るコストが増加するのを抑制することができる。
また、遊技パネルをパネルホルダの嵌合段部に嵌合させた上で、係合部と被係合部とを互いに係合させることで着脱自在に係合保持するようにしており、接着固定していないので、遊技パネルとパネルホルダとを組立てるための組立工数が増加するのを抑制することができると共に、遊技パネルとパネルホルダとを容易に着脱することができるので、組立や、廃棄処分時等の分解に係る手間を簡略化することができる。
更に、遊技パネルがパネルホルダの嵌合段部に嵌合されるので、パネルホルダの厚み内に遊技パネルの厚みを収めることが可能となり、遊技盤を遊技パネル、パネルホルダや、前構成部材等に分割される構成としても、その厚さが増加するのを抑制することができる。従って、遊技盤を既存のものと略同等の大きさのものとすることができるので、遊技機における遊技盤以外の部分を既存のものと共通化することができると共に、既存の製造ラインに載せることができ、製造に係るコストが増加するのを抑制することができる。
また、一般的な重量の部材をパネルホルダに取付固定する場合は、全周に配置された第一取付孔を用いて取付固定し、重量の重い部材をパネルホルダに取付固定する場合には、上側に配置された大径のビスが螺合される第二取付孔を用いて取付固定するようにすることができるので、重量の重い部材を大径のビスにより固定して、その部材を確実に取付固定することができる。
更に、パネルホルダに、取付孔と対応する位置に位置決め孔を備えるようにしているので、これにより、パネルホルダに所定の部材を取付固定する際に、所定の部材に備えられた位置決め突起を位置決め孔に挿入させることで、パネルホルダと所定の部材との位置関係を正しい位置にすることができ、組付け性を向上させることができる。
また、パネルホルダに、少なくとも後面側に開口する複数の肉抜き部を備えるようにしているので、これにより、パネルホルダを軽量化することができ、従来の木製合板からなるものと比較して、遊技盤の重量が増加するのを抑制することができる。また、パネルホルダに樹脂を用いているので、射出成形等により複数の肉抜き部を容易に形成することができる。
更に、少なくとも遊技パネルを透明部材により構成するようにしており、従来の遊技機のように遊技盤に開口部を備えなくても、遊技パネルを通して遊技盤の後方に配置された演出表示手段等を視認することができるので、遊技領域における実際に遊技媒体が流下可能な領域を可及的に広くすることができ、遊技媒体に種々の動きをさせて遊技者の興趣が低下するのを防止することができる。また、遊技領域が形成される遊技パネルを透明部材により構成するようにしているので、遊技パネルの後方に配置したものを遊技者に視認させることができ、例えば、遊技パネルの後方に、遊技領域全体に広がる大型の演出表示手段を配置してこれまでにない大型の演出画像を表示したり、種々の演出用や装飾用の役物を奥行き方向に配置してこれまでに無い奥行感のある遊技盤の構成としたりすることができ、遊技者の関心を引き付けられる訴求力の高い遊技機とすることができる。
また、遊技パネルの少なくとも略対向する二辺に係合部を備えると共に、パネルホルダに遊技パネルの係合部と係合する被係合部を備えるようにしており、遊技パネルの係合部とパネルホルダの被係合部とを互いに係合させることで、遊技パネルをパネルホルダに容易に支持させることができる。
更に、遊技パネルの外周とパネルホルダとの間に所定量のクリアランスが形成されるようにしており、このクリアランスによって、温度変化や経時変化により相対的に遊技パネルが伸縮しても、遊技パネルがパネルホルダから脱落したりガタ付いたり、或いは遊技パネルとパネルホルダとが互いに押圧し合って歪みが発生したりするような異常が発生するのを防止することができ、異常の発生により遊技媒体が意図しない動きをしたり、遊技パネルやパネルホルダ等が破損したり、遊技を中断しなければならない状態となったりするのを防止して、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
また、パネルホルダの嵌合段部に少なくとも二つの突出ピンを備えるようにすると共に、遊技パネルに突出ピンと嵌合する嵌合孔と長孔とを少なくとも一つずつ備えるようにしており、遊技パネルの嵌合孔及び長孔に、パネルホルダの突出ピンを嵌合及び挿通させることで、容易に遊技パネルをパネルホルダに位置決めすることができると共に、遊技パネル等が温度変化や経時変化等によって伸縮しても、遊技パネルの長孔において固定位置が可動(スライド)して伸縮が許容されるので、位置決めした状態でも遊技パネルとパネルホルダとの間に応力が作用するのを防止して、応力がかかることで遊技盤が歪むのを防止することができる。
また、上記構成では、透明樹脂板としての保護部材の前面に、当該保護部材としての透光性が維持されるように所定の装飾画を印刷によって画像形成した上で、その後面に、遊技者側から当該保護部材を介して見たときの上記演出装置による発光演出の明瞭度合いに強弱が付けられるように、複数色の着色材によって裏打ちを施すようにした。例えば、上記遊技パネルの後面側からの発光演出を強調したい部分には、該当する部分に白系の着色材(白い着色材)による裏打ちを行うとともにその周辺の領域には黒系の着色材(黒い着色材)による裏打ちを行うようにすれば、遊技者側から当該保護部材を介して見たときの上記演出装置による発光演出の明瞭度合いに強弱が付けられるようになり、透光性のある遊技盤としての優位性をより好適に生かすことができるようになる。
なお、パチンコ機としては、種々のタイプのものがあり、一般に「デジパチ機」と称されるものに代表される「入球口への入球状態を検出する入球状態検出手段(遊技状態検出手段として捉えることもできる)と、入球状態検出手段によって入球が検出されると所定の抽選を行う抽選手段と、抽選手段の抽選結果に応じて特別図柄を変動させると共に変動を停止させる特別図柄表示手段とを備えたもの」や「加えて、特別図柄の変動中に、複数の図柄からなる図柄列を変動表示し、図柄列にて図柄を停止表示させたり、キャラクタや種々の物品等の表示物を描写し、表示物を動作させたりする等によって適宜の演出表示を行う演出表示手段を更に具備するもの」、一般に「ハネモノ機」と称されるものに代表される「役物内での遊技球の振分けによって抽選を行う抽選手段を備えたもの」、一般に「アレパチ機」と称されるものに代表される「例えば16個等の所定個数の遊技球により1ゲームが行われ、1ゲームにおける複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて所定個数の遊技球の払出しを行うもの」等を例示することができる。
手段24:手段1から手段22までの何れか一つの構成において、
「前記遊技パネルの前記貫通孔に植設される障害釘は、
前記貫通孔の孔径よりも小さい径とされた棒状の胴体部と、
前記胴体部の一端にて当該障害釘が叩打される部位となる頭部と、を備え、
前記胴体部には、当該障害釘が前記貫通孔に植設されるとき、前記貫通孔の側壁との間で噛み合うように前記貫通孔の孔径よりも大きい径とされた肉厚山部が形成されてなる」ものであることを特徴とする。
このような構成では、上記遊技パネルに植設される障害釘が、その胴体部に、例えば螺旋状や、複数の輪状に形成された肉厚山部によって、上記貫通孔の側壁との間で局所的に支持されるようになり、胴体部が単に圧入される場合よりも当該障害釘としての安定感が増すようになる。